JPH06127160A

JPH06127160A - 再転写シート

Info

Publication number: JPH06127160A
Application number: JP4282868A
Authority: JP
Inventors: Mitsuo Yamane; 満夫山根
Original assignee: Brother Industries Ltd
Current assignee: Brother Industries Ltd
Priority date: 1992-10-21
Filing date: 1992-10-21
Publication date: 1994-05-10

Abstract

(57)【要約】【目的】再転写時のシートの固定を容易とするととも
に、低い転写エネルギーで良好な印字品質及び再転写品
質が得られる再転写シートを提供する。【構成】再転写シート１０の基材１１の一方にフッ素
系ポリマーを主成分とする表面処理剤層１２を形成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、文字，記号，図形等の
像を感圧転写することにより、被転写物の表面に文字，
記号，図形等を形成する乾式転写材の再転写シートに係
り、特に、感熱転写方式のプリンタ，タイプライタ、ワ
ードプロセッサ等の印字装置によって印字，感熱転写し
て作製される乾式転写材における再転写シートに関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、感熱転写方式により乾式転写材を
製造することのできる基本シートに関する報告が特開昭
６３−１２８９８７号公報になされている。この報告で
は、水に対する接触角が少なくとも９５゜である平滑な
表面性状を有するポリエチレン，ポリプロピレン，フッ
素系樹脂等のフィルムか、紙，金属箔，プラスチックフ
ィルム基材の表面にシリコーン樹脂からなる被覆層を形
成したシートを用いている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このような、９５゜以
上（特に１０５゜以上）の接触角を有するシートへ感熱
転写により像を形成するためには、インクの表面張力を
小さくしてシート上を濡れさせた上、シートとインク間
の接着力をインク間の凝集力やインクとポリエチレンテ
レフタレート（ＰＥＴ）基材との接着力より大きくしな
ければならないので、インクの温度を高くする必要があ
る。そこで、それを達成するためには高印字エネルギー
が要求されることにより、感熱転写装置にとっては、ヘ
ッドの耐久性，電源への負荷等、極めて不利となる。

【０００４】また、感熱転写により濡れ性の悪い面へ形
成した像は、該面との付着力が弱いために、少々の圧力
を加えただけで再転写してしまうことになる。そのた
め、必要外の像まで再転写することになり汚れの原因と
なってしまう。しかも、取扱時に少々触れただけで像が
取れてしまう問題にもなる。

【０００５】更に、該シートにおいては、表面の静摩擦
係数が著しく小さいので、感熱転写したインク像を再転
写するときに、シートが動きやすくて固定しがたいとい
う問題がある。それゆえ、再転写像が位置ずれしたり歪
んだりして完全な像が得られないことになる。

【０００６】ところで、このように、感圧再転写時に問
題となるシートの動きを防ぐために、特開昭６３−２４
６２９８号公報では、粘着剤層を転写パターンとは別に
シート上に設けたという報告がなされている。

【０００７】しかし、この粘着剤層を部分的に所定の位
置に設けることは、製造上の工夫を必要とし、かつ、専
用の装置を用いなければならないため、多大なコストが
かかることになる。また、粘着剤面を使用時まで被覆す
るために、離型紙等を付けなければならず、更に装置の
工夫，コストが必要となる。その上、シリコーン樹脂か
らなる剥離性被覆層を設けたシートにおいては、被覆層
と粘着剤層の２種類を塗工する必要があり、また、どち
らを先に塗工しても後から塗工するときに影響を与える
可能性が十分ある。すなわち、シリコーンを先に塗工す
ると粘着剤塗工時にはじきを生じることになり、一方、
粘着剤を先に塗工すると、べとつきが原因で塗工困難に
なり、このべとつきを防ぐために離型紙を付けても、そ
の厚みが影響してやはり塗工困難となる。たとえうまく
製造できたとしても、粘着剤層は一部にしか存在しない
のだから、像の周り全てが固定されていないため、やは
り、シートが動いてしまい、完全な像を形成することは
難しいのである。

【０００８】そこで本発明は、かかる事情を背景に為さ
れたものであって、その第一の目的とするところは、再
転写時にシートの固定を容易とし、動きがたくした再転
写シートを提供することにある。

【０００９】また、本発明の第二の目的は、再転写シー
ト上のインク像が少々の圧力や擦過により剥離しない再
転写シートを提供することにある。

【００１０】更に、本発明の第三の目的は、低い転写エ
ネルギーで良好な転写品質を得られる再転写シートを提
供することにある。

【００１１】更にまた、本発明の第四の目的は、インク
像と再転写シートとの付着力を、従来のものと比べて大
きくしたにもかかわらず、良好な再転写品質が得られる
再転写シートを提供することにある。

【００１２】それから、本発明の第五の目的は、表面処
理剤の組成中に濡れ性の良い材料（水に対する接触角８
０゜以下）を用いても、良好な再転写品質が得られるよ
うな再転写シートを提供することにある。

【００１３】更にそれから、本発明の第六の目的は、感
熱転写時の印加エネルギーを変更しても、良好な再転写
品質が得られるように、濡れ性を調節可能とした表面処
理剤を有する再転写シートを提供することにある。

【００１４】

【課題を解決するための手段】そして、本発明は、かか
る目的を達成するために、再転写シートの表面処理剤の
組成中にフッ素系ポリマーを含有させたことを特徴とす
るものである。また、静摩擦係数が０．２０以上で、水
に対する接触角が８０〜１２０゜の表面処理剤を形成す
ることにより、更に有利に目的を達成することができる
のである。

【００１５】

【作用】本発明に従う再転写シート１０は、たとえば、
図面に示されるように、基材１１の一方の面上に表面処
理剤層１２を形成することによりなる。

【００１６】かかる基材１１は、２５〜２００μｍ、好
ましくは、５０〜１５０μｍの厚みを有することが望ま
しい。そして、製造上、取扱上十分な機械的強度を有し
ている一方、感圧再転写時に圧力がかかり易いように、
また、感熱転写で乾式転写材を製造し易いように、ある
程度の柔軟性を有することが好ましい。

【００１７】しかし、あまり伸びの大きいものでは、再
転写時に加圧することにより基材１１が伸びてしまい、
インク像１３に歪みが生じるため、好適には２００％以
下の伸びを有するフィルムがよい。

【００１８】また、感圧再転写時に正確にインク像１３
を被転写物上へ再転写できるように、基材１１は、透明
あるいは半透明であるのが好ましく、特に、感熱転写像
が完全に再転写したかどうか確認し易い、半透明のシー
トであることが望ましい。

【００１９】そして、このような特性を備えた基材１１
としては、一般に、プラスチックフィルム，紙，金属箔
等が用いられる。プラスチックフィルムの例としては、
ポリエチレン，ポリプロピレン，ポリテトラフルオロエ
チレンやテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチ
レン共重合体（ＦＥＰ）やテトラフルオロエチレン−パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体（ＰＦＡ）
やテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体（ＥＴＦ
Ｅ）やポリクロロトリフルオロエチレン（ＰＣＴＦＥ）
やポリビニリデンフルオライド（ＰＶＤＦ）やポリビニ
ルフルオライド（ＰＶＦ）やエチレン−クロロトリフル
オロエチレン共重合体（ＥＣＴＦＥ）等のフッ素系ポリ
マーからなるフッ素系フィルム，ポリエチレンテレフタ
レート，ナイロン，ポリイミド，ポリ塩化ビニル，ポリ
カーボネート，ポリサルフォン，エチレン−酢酸ビニル
共重合体，アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共
重合体，アイオノマー等が挙げられる。

【００２０】次に、基材１１の一面に形成される表面処
理剤層１２は、表面の静摩擦係数が０．２０以上、好ま
しくは０．２５以上であることが望ましい。

【００２１】これは、インク像１３をシート上から被転
写物上へ再転写する時に、シートが動いて位置ずれしな
いように固定して、完全な再転写像を形成可能とするた
めに必要となる。

【００２２】また、水との接触角を８０〜１２０゜好ま
しくは、８０〜１１０゜とすることにより、インク像と
再転写シートとの付着力を大きくすることができるた
め、少々の押え圧で不要部分までも再転写することがな
いようになる。そして、擦っても剥がれがたくなるの
で、取扱が容易となる。

【００２３】更に、これまで、大きな像を感熱転写装置
で転写させるとき、ヘッドが小さいシリアルの場合に
は、何回にも分けて像を形成する必要があり、重ねて転
写させなければいけなかった。そのため、前に転写した
像を次の転写時にヘッドが掻き取ってしまって、完全な
像ができないという問題があった。それゆえ、一行ごと
に像を分割し、離して転写させることによってヘッドに
よる像の掻き取りを防止して、再転写する時に分割像を
次々にあわせて再転写像を完成させていたが、本発明の
シートを用いれば、付着力が大きくなるために、大きな
像をつなげた状態で熱転写することができるようにな
る。そして、濡れ性が良くなり、付着力が大きくなるた
めに、低い熱転写エネルギーで感熱転写像を形成するこ
とが可能となり、その品質も、良好なものが得られるよ
うになるのである。

【００２４】更にまた、この表面処理剤は、１００％以
上の伸びを有することが望ましい。これにより、再転写
時に加圧することによって、表面処理剤が一方的に伸び
るため、表面処理剤と像との付着力が弱くなる。それ
で、濡れ性がよく、付着力が大きい表面処理剤であって
も、再転写性が良好となるのである。

【００２５】上記、表面処理剤として用いられるものの
例として、ポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ），
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共
重合体（ＦＥＰ），テトラフルオロエチレン−パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合体（ＰＦＡ），テト
ラフルオロエチレン−エチレン共重合体（ＥＴＦＥ），
ポリクロロトリフルオロエチレン（ＰＣＴＦＥ），ポリ
ビニリデンフルオライド（ＰＶＤＦ），ポリビニルフル
オライド（ＰＶＦ），エチレン−クロロトリフルオロエ
チレン共重合体（ＥＣＴＦＥ）等のフッ素系ポリマーの
１種または２種以上の混合物を主成分としたものが挙げ
られる。

【００２６】このような表面処理剤は、加熱溶融コーテ
ィング，溶剤系コーティング，熱ラミネート，微粉末を
他のポリマーや溶媒中に分散させてコーティングする等
して、前記基材上に形成する。

【００２７】また、ポリエチレン，エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体，エチレン−エチルアクリレート共重合体，
エチレン−アクリル酸共重合体，アイオノマー，エチレ
ン−メタクリル酸共重合体，シリコーン等の、１種また
は２種以上の混合物を加えても良い。

【００２８】しかし、ここで、伸びを付与するためや、
製造上の有利性のために、濡れ性の良い材料（水に対す
る接触角８０゜以下）を用いた場合には、表面処理剤の
濡れ性が８０゜以下となり再転写性が悪くなってしま
う。また、再転写シート上に像を形成する感熱転写時の
印加エネルギーを高くした場合、インク像１３と表面処
理剤との付着力が強くなり過ぎて、やはり再転写性が悪
くなってしまう。

【００２９】そこで、上記表面処理剤の組成中に、シリ
コーンやフッ素系添加剤を加えることにより、水に対す
る接触角８０〜１２０゜を達成し、かつ、その添加量を
調節することにより、印加エネルギーに対応した濡れ性
を有する表面処理剤を容易に調整可能である。

【００３０】上記シリコーンとしては、オイル，ゴム，
樹脂等、有機ケイ素化合物であれば、どのような形状の
ものでも良い。これらは、１種でも２種以上を混合して
も良い。また上記フッ素系添加剤としては、フッ素系
界面活性剤等フッ素を含有する化合物で有ればどのよう
なものでも良い。

【００３１】上記シリコーン，フッ素系添加剤は、０．
０１重量部〜５０重量部の割合で配合せしめ、１００％
以上の伸びを有するシリコーンに関しては、０．０１重
量部〜１００重量部の割合で配合せしめる。

【００３２】このような表面処理剤を上記シート上に設
けることにより、感熱転写性，再転写性，耐擦過性，取
扱時の像の付着力，再転写時のシートの固定等の良好な
再転写シートを得ることができる。また、その濡れ性を
任意に調節できるようになる。

【００３３】尚、かかる再転写シート上に所望の転写像
を感熱転写するために用いられるインクリボンは、通常
の感熱転写型のプリンタ，タイプライタ，ワードプロセ
ッサ等の印字装置に用いられている、ワックス主体のイ
ンクを塗布したものであってもなんら差し支えないが、
特に感熱転写性，感圧再転写性をいっそう向上させた転
写性調整層とインク層よりなる二層構造のインクリボン
を使用することが望ましい。この転写性調整層は、トッ
プコート層としてインク層の上に設けられるものであっ
て、インク層より感熱接着性，硬度，粘度，凝集力の大
きな層であって、これにより、濡れ性の悪い再転写シー
ト上への感熱転写性が著しく良好となるのであり、ま
た、一体となって感圧再転写することが可能となる。そ
のうえ、インク層に感圧接着性を持たせることにより、
一層、感圧再転写性が良好となるのである。

【００３４】

【実施例】以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような記載によって何らの制約をも受けるもの
でないことは、言うまでもないところである。

【００３５】また、本発明には、以下の実施例の他に
も、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を
逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々
なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが理
解されるべきものである。

【００３６】実施例１５０μｍの厚さを有するポリエチレンテレフタレートフ
ィルム上に、ポリテトラフルオロエチレンからなる表面
処理剤を塗工して、水との接触角が１１０゜で、静摩擦
係数が０．２８程度の、表面平滑な再転写シートを得
た。この表面処理剤の伸びは、２２０％である。

【００３７】このようにして得られた再転写シート１０
上に、感熱転写型のワードプロセッサ（ブラザー工業
（株）製ＮＰ−５１００）によりインクを感熱転写し
て、所望の良好な転写像を有する乾式転写材を得た。そ
して、この得られた乾式転写材を用いて、紙，プラスチ
ック等の被転写物への感圧再転写を行ったところ、きれ
いな再転写像を得ることができた。その上、シートの動
きが少なく、固定して再転写できるので、良好な再転写
像を得やすいという利点があった。

【００３８】ところで、この表面処理剤の厚みを１μ
ｍ，３μｍ，５μｍと変えたところ、５μｍ，３μｍ，
１μｍの順で再転写性が良好であった。これは、厚みが
大きい方が、伸びの絶対量が大きいためであると考えら
れる。

【００３９】実施例２厚さが１００μｍのナイロンフィルムを用いて、その上
に下記組成の表面処理剤を設けて、水との接触角が９５
゜前後で、静摩擦係数が０．３５程度の、平滑な表面を
有する再転写シートを得た。この表面処理剤の伸びは５
００％である。表面処理剤組成重量部エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体１００エチレン−酢酸ビニル共重合体２０シリコーンオイル３そして、このようにして得られた再転写シートを用い
て、実施例１と同様に乾式転写材を製造し、被転写物上
に再転写像を感圧再転写により形成したところ、きれい
な再転写像を得ることができた。

【００４０】実施例３厚さが５０μｍのポリプロピレンフイルムを用いて、そ
の上にテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレ
ン共重合体からなる表面処理剤を設けて、水との接触角
が１１４゜で、静摩擦係数が０．２６程度の再転写シー
トを得た。この表面処理剤の伸びは、４００％である。

【００４１】そして、このようにして得られた再転写シ
ートを用いて、実施例１と同様に乾式転写材を製造し、
被転写物上に再転写像を感圧再転写により形成したとこ
ろきれいな再転写像を得ることができた。

【００４２】

【発明の効果】以上、詳述したことから明かなように、
感熱転写方式のプリンタ，タイプライタ，ワードプロセ
ッサ等の印字装置を用いて、乾式転写材を作製するに際
して、その印字される再転写シートの上に、本発明に従
って表面処理剤を使用することにより、従来より濡れ性
のよい面へ印字した転写像を良好に再転写させることが
可能となる。そのため、感熱転写エネルギーも低減で
き、綺麗な印字像を得ることができる。

【００４３】そして、感熱転写時の印加エネルギーに対
応して、添加剤の添加量を調節することにより、表面処
理剤の濡れ性を調節できるため、最適の感熱転写品質、
再転写品質が得られる。

【００４４】その上、これまでは利用できなかった、水
に対する接触角が８０゜以下の物質も利用することがで
きるようになる。

【００４５】また、インク像の付着力が大きいために、
耐擦過性が良好となり、取扱が容易となる。

【００４６】更に、静摩擦係数が大きくできるため、再
転写時のシート固定が容易となり、完全な再転写像の形
成が可能となる。

【００４７】ところで、静摩擦係数が０．２０以上で、
水に対する接触角が８０〜１２０゜である表面処理剤を
用いて、この表面処理剤の主成分として、フッ素系ポリ
マーを使用すれば、上記効果をより確かにすることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明に従う再転写シートの一例を示
す断面図である。

【符号の説明】

１０再転写シート１１シート基材１２表面処理剤層１３インク像

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】感熱転写方式により作製される乾式転写
剤を製造するための再転写シートにおいて、該シートの
一方の面に形成される表面処理剤の組成中にフッ素系ポ
リマーが含まれることを特徴とする再転写シート。
【請求項２】前記表面処理剤の静摩擦係数が０．２０
以上であり、且つ水との接触角が８０〜１２０゜である
ことを特徴とする請求項１記載の再転写シート。