JPH0612655A - 磁気記録媒体用結合剤および磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体用結合剤および磁気記録媒体

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JPH0612655A
JPH0612655A JP4167763A JP16776392A JPH0612655A JP H0612655 A JPH0612655 A JP H0612655A JP 4167763 A JP4167763 A JP 4167763A JP 16776392 A JP16776392 A JP 16776392A JP H0612655 A JPH0612655 A JP H0612655A
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JP
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magnetic
recording medium
binder
magnetic recording
polyurethane
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Application number
JP4167763A
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English (en)
Inventor
Yuichiro Murayama
裕一郎 村山
Hiroshi Hashimoto
博司 橋本
Masanori Satake
正紀 佐武
Tsutomu Okita
務 沖田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 分散性の大きなポリウレタン系結合剤を使用
した磁気記録媒体を得る。 【構成】 磁気記録媒体用のポリオールとポリイソシア
ネートを主要原料とした反応生成物であるポリウレタン
からなる結合剤において、ポリオール、さらに鎖延長剤
として使用する低分子ジオールがHO(CH2 CH2
S)nCH2 CH2OH(ここでnは2〜6を示す)で示
される−S−結合を有するポリオール成分からなる磁気
記録媒体用結合剤および該結合剤を使用した磁気記録媒
体。 【効果】 電磁変換特性に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録媒体用の結合
剤、具体的には磁気記録媒体の磁性層用結合剤、非磁性
層(中間層)用結合剤、バック層用結合剤、保護層用結
合剤として好適な結合剤および磁気記録媒体に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオ
テープあるいはフロッピーディスクなどとして広く用い
られている。磁気記録媒体は、強磁性粉末が結合剤(バ
インダ)中に分散された磁性層を非磁性支持体上に積層
している。磁気記録媒体は、電磁変換特性、走行耐久性
および走行性能などの諸特性において高いレベルにある
ことが必要とされる。すなわち、音楽録音再生用のオー
ディオテープにおいては、より高度の原音再生能力が要
求されている。また、ビデオテープについては、原画再
生能力が優れているなど電磁変換特性が優れていること
が要求されている。このような優れた電磁変換特性を有
すると同時に、磁気記録媒体は前述のように良好な走行
耐久性を持つことが要求されている。そして、良好な走
行耐久性を得るために、通常、研磨材および潤滑剤が磁
性層中に添加されている。
【0003】しかしながら、研磨材によって優れた走行
耐久性を得るためには、その添加量をある程度増加する
必要があり、そのため強磁性粉末の含有量が低下する。
また優れた走行耐久性をえるために粒子径の大きな研磨
材を使用した場合には、磁性層表面に研磨材が過度に突
出し易くなる。従って、研磨材による走行耐久性の改良
は上記の電磁変換特性の劣化をもたらす場合が多く問題
となる。そして、潤滑剤によって上記走行耐久性を向上
させる場合には、その添加量を多くする必要があり、こ
のため結合剤が可塑化され易くなり、磁性層の耐久性が
低下する傾向がある。
【0004】また、上記耐久性および電磁変換特性を向
上させるためには、磁性層の主成分の一つである結合剤
も、当然のことながら重要な働きを担っている。従来か
ら用いられている塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹
脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等では、磁性層の
耐摩耗性が劣り、磁気テープの走行系部材を汚染すると
いう問題があった。このような問題を改善する方法とし
て、硬い結合剤を用いて磁性層の硬度を上げる方法が行
われている。しかし磁性層の硬度を上げることにより磁
性層の脆さが顕著となり、磁気ヘッドとの接触によりド
ロップアウトが発生したり、スチル特性が劣化するとの
問題がある。
【0005】さらに、強磁性粉末の高磁力化や強磁性粉
末の充填密度を増加させるための強磁性粉末の微細化
は、磁力あるいは比表面積の増大による凝集力の増大を
もたらし、強磁性粉末の分散が低下して、十分な磁気特
性や表面性が得られないという問題が生じていた。
【0006】また、磁性層と非磁性支持体との間に非磁
性層(中間層)を有する磁気記録媒体では、研磨剤やカ
ーボンブラックを分散させるための結合剤として従来か
ら用いられている結合剤では研磨剤やカーボンブラック
の分散性が劣り、平滑な上層に位置する磁性層の良好な
表面性が得られなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、磁性体との親
和力を向上させ、優れた電磁変換特性を有する磁気記録
媒体用の分散性に優れたポリウレタンからなる磁気記録
媒体用の結合剤として、スルホン酸、スルホン酸金属
塩、リン酸塩等の極性基を導入したポリウレタンが特公
昭58−41565号公報、特公昭63-59433号
公報に記載されているが、分散性を高めるために極性基
の量を多くすると、極性基間で会合を起こしやすくな
り、磁性層を形成するための塗料液の粘度が上昇して良
好な分散性が得られないという問題点がある。また、ポ
リウレタンやポリエステル樹脂中のエステル結合濃度を
増加させることで有機溶剤との親和力を高めることが特
開昭60-242516号公報に記載されており、また
樹脂の構成成分である低分子ジオール成分を改良するこ
とで分散性を向上させ、優れた電磁変換特性を得ること
も特開平2-87316号公報に記載されている。
【0008】また、ポリウレタン樹脂の構成成分として
エチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグ
リコールなどの低分子ジオールを用いることが一般的に
知られているが、これらはメチレン鎖が主であるため親
水性である磁性体表面との親和力には乏しく分散性向上
には好ましくなかった。これに対してジエチレングリコ
ール等を用いて親水性を向上させる技術も知られている
が、近年の高密度記録化に伴う更なる電磁変換特性向上
の要望には十分に応えるには至っていない。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリオールと
ポリイソシアネートを主要原料とした反応生成物である
ポリウレタンからなる磁気記録媒体用結合剤において、
ポリオールが−S−結合を有するもの、あるいはさらに
鎖延長剤として用いる低分子ジオールが−S−結合を有
する磁気記録媒体用結合剤であり、また、ポリオールま
たは鎖延長剤がHO(CH2 CH2 S)n CH2 CH2
OH(ここでnは2〜6を示す)であり、かつ前記ポリ
ウレタン分子中に−SO3 M、−OSO3 M、−COO
M、−PO3 2 、−OPO3 M′2 、−NR2 、−N
+3 - 、−N+ 2 R′SO3 -、−N+ 2 R′C
OO- (ただし、Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土
類金属、アンモニウム塩であり、M′は水素、アルカリ
金属、アルカリ土類金属、アンモニウム塩、アルキル基
であり、R、R′はアルキル基であり、Xはハロゲンを
示す)から選ばれた少なくとも1種の極性基を含有する
ポリウレタンからなる磁気媒体用結合剤である。
【0010】本発明において、磁気記録媒体用結合剤と
したは、磁気記録媒体の磁性層、非磁性層(中間)層、
バック層、保護層のいずれの層にも使用可能であるため
である。とくに、−Sの極性によって強磁性粉末の分散
性が優れるので、磁性層に用いることにより効果を発揮
する。
【0011】さらに、非磁性支持体の一方の面に強磁性
粉末と結合剤を含む磁性層を形成した磁気記録媒体にお
いて、結合剤がポリオールとポリイソシアネート、さら
に鎖延長剤を主要原料とした反応生成物であるポリウレ
タンを含み、前記ポリオールまた前記鎖延長剤である低
分子量ジオールが−S−結合を有するポリウレタンであ
る磁気記録媒体であり、また非磁性支持体の少なくとも
一方の面に、下層磁性層または下層非磁性層を設け、そ
の上に上層磁性層を設けた磁気記録媒体において、結合
剤がポリオールとポリイソシアネート、さらに鎖延長剤
を主要原料とした反応生成物であるポリウレタンを含
み、前記ポリオールまた前記鎖延長剤である低分子量ジ
オールが−S−結合を有するポリウレタンである磁気記
録媒体である。
【0012】すなわち、本発明は−S−結合を有するポ
リエステルポリオールを構成成分とするポリウレタン樹
脂を用いることにより、優れた磁性体の分散性及び電磁
変換特性をもつ磁気記録媒体を提供するものである。こ
の原因は解明されていないが、従来一般的に用いられて
きた低分子ジオールに比べて、−S-結合を含有する低
分子ジオールは親水性が強く、これをポリウレタン樹脂
の構成セグメントに導入することでポリウレタン樹脂と
磁性体表面の親和力が向上でき、ポリウレタン中の極性
基がよりいっそう磁性体に吸着しやすくなり磁性体の分
散性が向上したためと考えられる。
【0013】とくに、結合剤の一部として、ポリオール
又は鎖延長剤がHO(CH2 CH2S)n CH2 CH2
OH(ここでnは2〜6を示す)であり、かつ前記ポリ
ウレタン分子中に−SO3 M、−OSO3 M、−COO
M、−PO3 2 、−OPO3 M′2 、−NR2 、−N
+3 - 、−N+ 2 R′SO3 -、−N+ 2 R′C
OO- に有するものである(ただし、Mは水素、アルカ
リ金属、ルカリ土類金属、アンモニウム塩であり、M'
は水素、アルカリ金属、ルカリ土類金属、アンモニウム
塩、アルキル基であり、R、R' はアルキル基であり、
Xはハロゲンを示す)。
【0014】ポリオールもしくは鎖延長剤において、n
が1であると磁性体との親和性が弱く効果を発揮しな
い。また、nが7以上であると溶剤への溶解性が低下
し、分散性が低下する。これらの極性基の量はポリマー
1g当たり1×10-6〜2×10-4当量含むことが好ま
しい。2×10-4当量より多いと粘度が上昇し、分散性
が低下しやすく1×10-6当量より少ないと分散性が低
下しやすい。
【0015】本発明の−S−結合を有する脂肪族ポリオ
ールは、好ましくは分子量が500〜5000の炭化水
素鎖の末端にOH基を有するポリオールであり、OH基
は炭素鎖の末端以外にあっても良い。また、分子量の好
ましい範囲は800〜3000であり、分子量が小さい
と分散性が好ましくなく、分子量が大きすぎると溶剤へ
の溶解性が低下し分散性が低下する。炭素鎖は直鎖、分
岐のいずれの構造のものも用いることができ、また炭素
鎖には飽和、不飽和のいずれのものも用いることができ
る。脂肪族ポリオールとして不飽和のポリオレフィンポ
リオール、ポリブタジエンポリオールを用いる場合に
は、不飽和二重結合は少ない方が好ましい。
【0016】ポリウレタン中のポリオレフィンポリオー
ルの含有率は、20〜90重量%とすることが好ましく
少ないと分散性が好ましくなく、耐久性の効果が小さ
い。一方多すぎるとガラス転移温度(Tg)が低下し、
得られる組成物の物性の調整が困難となる。ポリウレタ
ンの分子量は重量平均で、1〜15万とすることが好ま
しく、これよりも大きいと粘度が高く分散性が低下し、
これよりも小さいと機械的な強度が低く耐久性が悪化す
る。
【0017】また、ポリイソシアネートには、MDI
(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)、T
DI(トリレンジイソシアネート)、XDI(キシリレ
ンジイソシアネート)等の芳香族のポリイソシアネート
が好ましい。ポリオレフィンポリオールのセグメントは
柔らかいので、芳香族ジイソシアネートの方が物性の調
整がしやすい。
【0018】ポリオールとポリイソシアネートに加えて
鎖延長剤等の添加剤を加えることができるが、鎖延長剤
にはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、
2,3−ブタンジオール、ビスフェノールA、ジヒドロ
キシエチルエーテル、ハイドロキノンジヒドロキシエチ
ルエーテル等のグリコール類やジフェニルメタンジアミ
ン、m−フェニレンジアミン等のジアミン等を用いるこ
とができる。ポリウレタンの分子の末端は、OH基末端
が好ましい。OH基は、磁性層中のイソシアネート硬化
剤と反応架橋して磁性層塗膜強度を強くする。また、ポ
リウレタンのガラス転移温度(Tg)は、−20〜+5
0℃が好ましい。ガラス転移温度が低いと硬化前の磁性
塗膜がブロッキング性が低く、高いと脆くなり耐久性の
面で好ましくない。
【0019】本発明の結合剤を磁性層に用いる場合に
は、本発明のポリウレタンに塩化ビニル系の合成樹脂を
併用しても良い。併用することができる塩化ビニル系樹
脂の重合度は200〜600が好ましく、250〜45
0が特に好ましい。塩化ビニル系樹脂はビニル系モノマ
ー、例えば酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニリ
デン、アクリロニトリルなどを共重合させたものでも良
い。
【0020】ポリウレタンおよび塩化ビニル系樹脂の他
に、各磁性層の形成には各種の合成樹脂を用いることが
できる。例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ニト
ロセルロース樹脂などのセルロース誘導体、アクリル樹
脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール
樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂である。これら
は、単独でも組み合わせでも使用することができる。
【0021】他の合成樹脂を併用する場合には、磁性層
に含まれるウレタンは、結合剤中に10重量%以上を含
有されていることが好ましく、さらに好ましくは20重
量%以上の量である。また塩化ビニル系樹脂は、結合剤
中に80重量%以下含有されていることが好ましく、さ
らに好ましくは70重量%以下の量である。
【0022】また、本発明の結合剤とともに、ポリイソ
シアネート化合物等の硬化剤を使用することができる。
ポリイソシアネート化合物の例としては、トリレンジイ
ソシアネート3モルとトリメチロールプロパン1モルと
の反応生成物(例、デスモジュールL−75(バイエル
社製))、キシリレンジイソシアネートあるいはヘキサ
メチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート3モ
ルとトリメチロールプロパン1モルとの反応生成物、ヘ
キサメチレンジイソシアネート3モルとのビューレット
付加化合物、トリレンジイソシアネート5モルのイソシ
アヌレート化合物、トリレンジイソシアネート3モルと
ヘキサメチレンジイソシアネート2モルのイソシアヌレ
ート付加化合物、イソホロンジイソシアネートおよびジ
フェニルメタンジイソシアネートのポリマーを挙げるこ
とができる。磁性層に含まれるポリイソシアネート化合
物は、結合剤中に10〜50重量%の範囲で含有されて
いることが好ましく、さらに好ましくは20〜20重量
%の範囲である。
【0023】また、電子線照射による硬化処理を行う場
合には、反応性二重結合を有する化合物(例、ウレタン
アクリレート)を使用することができる。樹脂成分と硬
化剤との合計(すなわち結合剤)の重量は、強磁性粉末
100重量部に対して、5〜40重量部の範囲内にある
ことが好ましく、さらに好ましくは20〜30重量部で
ある。5重量%以下であると分散性が低下したり、塗膜
の力学特性が低くなり電磁変換特性や走行耐久性が低下
する。本発明の磁気記録媒体に使用される強磁性粉末
は、強磁性酸化鉄、コバルト含有強磁性酸化鉄又は強磁
性合金粉末でSBET 比表面積が40m2 /g以上(好ま
しくは50m2 /g以上)、結晶子サイズは35nm以
下、好ましくは25nm以下である。強磁性粉末として
はFe、Ni、Fe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、
Co−Ni−Fe等が挙げられ、金属成分の20重量%
以下の範囲内で、アルミニウム、ケイ素、硫黄、スカン
ジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、銅、
亜鉛、イットリウム、モリブデン、ロジウム、パラジウ
ム、金、錫、アンチモン、ホウ素、バリウム、タンタ
ル、タングステン、レニウム、金、水銀、鉛、リン、ラ
ンタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、テルル、
ビスマスを含む合金を挙げることができる。また、強磁
性金属粉末が少量の水、水酸化物または酸化物を含むも
のなどであってもよい。
【0024】これらの強磁性粉末の製法は既に公知であ
り、本発明で用いる強磁性粉末についても公知の方法に
従って製造することができる。強磁性粉末の形状に特に
制限はないが、通常は針状、粒状、サイコロ状、米粒状
および板状のものなどが使用される。とくに針状の強磁
性粉末を使用することが好ましい。
【0025】上記の樹脂成分、硬化剤および強磁性粉末
を、通常磁性塗料の調製の際に使用されているメチルエ
チルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチ
ル等の溶剤と共に混練分散して磁性塗料とする。混練分
散は通常の方法に従って行うことができる。なお、磁性
塗料中には、上記成分以外に、α−Al2 3 、Cr2
3 等の研磨材、カーボンブラック等の帯電防止剤、脂
肪酸、脂肪酸エステル、シリコーンオイル等の潤滑剤、
分散材など通常使用されている添加剤あるいは充填剤を
含むものであってもよい。以上の材料により調製した磁
性塗料を非磁性支持体上に塗布して磁性層を形成する。
【0026】本発明の磁気記録媒体の製造方法は例え
ば、走行下にある非磁性支持体の表面に磁性層塗布液を
好ましくは磁性層の乾燥後の層厚が0.5〜10μmの
範囲内、より好ましくは1.5〜7.0μmになるよう
に塗布する。ここで複数の磁性塗料を逐次あるいは同時
に重層塗布してもよい。重層磁性層または下層非磁性
層、上層磁性層などの二層以上の複数の層を有する磁気
記録媒体の各層の組成、物性、材料、製法等については
特開平2−240824号公報、特願平4−21782
号等に記載したものを使用することができる。上記磁性
塗料を塗布する塗布機としては、エアードクターコー
ト、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エ
アナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバー
スロールコート、トランスファーロールコート、グラビ
ヤコード、キスコート、キャストコート、スプレイコー
ト、スピンコート等が利用できる。これらの塗布方法に
ついては、「コーティング工学」朝倉書店(1972
年)または「コーティング技術の進歩」株式会社総合技
術センター(1988年)に記載されている。
【0027】本発明で用いる非磁性支持体の磁性塗料が
塗布されていない面にバック層(バッキング層)が設け
られていてもよい。通常バック層は、非磁性支持体の磁
性塗料が塗布されていない面に、研磨材、帯電防止剤な
どの粒状成分と結合剤とを有機溶剤に分散したバック層
形成塗料を塗布して設けられた層である。なお、非磁性
支持体の磁性塗料およびバック層形成塗料の塗布面に接
着剤層が設けられいてもよい。
【0028】塗布された磁性塗料の塗布層は、磁性塗料
の塗布層中に含まれる強磁性粉末を磁場配向処理を施し
た後に乾燥される。このようにして乾燥された後、塗布
層に表面平滑化処理を施す。表面平滑化処理には、たと
えばスーパーカレンダーロールなどが利用される。表面
平滑化処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によ
って生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率
が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得
ることができる。
【0029】本発明の磁気記録媒体は、表面の中心線平
均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて4nm以
下(好ましくは3〜1nmの範囲)という極めて優れた
平滑性を有する表面であることが好ましい。その方法と
して、例えば上述したように特定の強磁性粉末と結合剤
を選んで形成した記録層を上記カレンダー処理を施すこ
とにより行われる。カレンダー処理条件としては、カレ
ンダーロールを温度を60〜100℃の範囲、圧力を1
00〜400kg/cm2 の範囲の条件で作動させるこ
とによって行われることが好ましい。このようにして硬
化処理された積層体を次に所望の形状にする。裁断はス
リッターなどの通常の裁断機などを使用して通常の条件
で行うことができる。
【0030】
【作用】本発明の磁気記録媒体用結合剤は、ポリオール
とポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレ
タンもしくは、さらに鎖延長剤に−S−結合を有するジ
オールを用いたので、得られたウレタンの分散性が高
く、本発明の結合剤を使用して磁性粉末を含有した塗布
用の組成物から得られた磁性層は、磁性粉末の分散性が
極めて大きくなり、長期保存性に優れ、広範囲の温湿度
条件下の耐久性に優れている。以下に、本発明の実施例
を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0031】
【実施例】
合成例1 温度計、撹拌機および部分還流式冷却器を具備した反応
容器にジメチルテレフタレート349部(重量部を示
し、以下も同様である)、5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸ジメチル59部、ジメチルアジペート348部、
−S−結合含有低分子ジオオール(AKZO社製2,2
−エチレンジチオジエタノール)75部、ジエチレング
リコール756部、ネオペンチルグリコール125部、
酢酸亜鉛0.66部、酢酸ナトリウム0.08部を加え
140〜220℃で3時間エステル交換反応を行った。
【0032】次いで反応系を1〜5mmHgまで減圧
し、210〜250℃で6時間重縮合反応を行った。得
られたポリエステルポリオールはNMR等の解析結果か
らその組成は下記の通りであった。
【0033】インフタル酸 22.5モル%、アジピン
酸 25.0モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸 0.05モル%、2,2−エチレンジチオジエタノ
ール5.0モル%、1,4−ブタンジオール 35モル
%、ネオペンチルグリコール10モル%。
【0034】同様の製造法により第1表に示したポリエ
ステルポリオール(B)〜(G)を得た。
【0035】
【表1】
【0036】実施例1 強磁性合金粉末(組成:Fe94%、Zn4%、Ni2
%、Hc1500Oe、結晶子サイズ20nm)100
部をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで塩ビ/
酢ビ/グリシジルメタクリレート=86/9/5の共重
合体にヒドロキシエチルスルホネートナトリウム塩を付
加した化合物(SON3 Na 1×10-5eq/g、エ
ポキシ=10-3eq/g、Mw30,000)を10部
及びメチルエチルケトン60部で60分間混練し、次い
で ポリウレタン樹脂(A) 10部(固形分) 研磨剤(アルミナ 粒子サイズ0.3μm) 2部 カーボンブラック(粒子サイズ40nm) 2部 メチルエチルケトン/トルエン=1/1 200部 を加えてサンドミルで120分間分散した。これに ポリイソシアネート 5部(固形部) (日本ポリウレタン製 コロネート3041) ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 50部 を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平
均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性塗料を
調整した。得られた磁性塗料を乾燥後の厚さが2.5μ
mになるように、厚さ10μmのポリエチレンテレフタ
レート支持体の表面にリバースロールを用いて塗布し
た。
【0037】磁性塗料が塗布された非磁性支持体を、磁
性塗料が未乾燥の状態で3000ガウスの磁石で磁場配
向を行い、さらに乾燥後、金属ロール−金属ロール−金
属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属
ロールの組み合わせによるカレンダー処理を(速度85
m/分、線圧300kg/cm、温度90℃)で行った
後8mm幅にスリットし、下記の測定方法によって特性
を測定し、その結果を表2に示す。
【0038】実施例2 ポリウレタン樹脂(A)をポリウレタン樹脂(B)とし
た以外は実施例1と同様に磁気記録媒体を製造して特性
を測定した。 実施例3 ポリウレタン樹脂(A)をポリウレタン樹脂(C)とし
た以外は実施例1と同様に磁気記録媒体を製造して特性
を測定した。
【0039】実施例4 上層用磁性層の磁性塗料を使用し、下層用磁性層として
下記の磁性塗料を使用した。 下層用磁性層 Co−γFeOx(x=1.45、長軸長0.25μm、Hc850Oe、 Br1400ガウス) 100部 塩ビ系共重合体(スルホン酸0.25重量%含有) 11部 ポリウレタン樹脂(スルホン酸0.25重量%含有) 4部 ポリイソシアネート化合物 (日本ポリウレタン製 コロネート3041) 6部 ステアリン酸 1部 ブチルステアレート 1部 カーボンブラック(平均粒径20nm) 5部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=7/3 200部 塗布液の調整はオープンニーダー及びサンドグラインダ
ーを用いて行い、上層厚0.2μm、下層厚2.8μm
になるように厚さ10μmのポリエチレンテレフタレー
ト支持体の表面に同時重層塗布を行った。
【0040】次いで、磁性塗料が未乾燥の状態で300
0ガウスの磁石で磁場配向を行い、さらに乾燥後、金属
ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロ
ール−金属ロール−金属ロールの組み合わせによるカレ
ンダー処理(速度80m/分、線圧300kg/cm、
温度90℃)で行った後8mm幅にスリットした。
【0041】実施例5 下層用非磁性塗料を下記組成にした点以外は実施例5と
同様に作成した。 下層用非磁性層の調整 TiO2 (平均粒径0.035μm、結晶型ルチル、TiO2 含有量90%以 上、表面処理層アルミナ、SBET 35〜45m2 /g、真比重4.1、pH6 .5〜8.0) 85部 カーボンブラック(平均粒径20nm) 5部 塩ビ系共重合体(スルホン酸0.25重量%含有) 11部 ポリウレタン樹脂(スルホン酸0.25重量%含有) 4部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=7/3 200部 。
【0042】比較例1 ポリウレタン樹脂Aをポリウレタン樹脂Dとした以外は
実施例1と同様に作成した。 比較例2 ポリウレタン樹脂Aをポリウレタン樹脂Eとした以外は
実施例1と同様に作成した。 比較例3 ポリウレタン樹脂Aをポリウレタン樹脂Fとした以外は
実施例1と同様に作成した。 比較例4 ポリウレタン樹脂Aをポリウレタン樹脂Gとした以外は
実施例1と同様に作成した。 比較例5 ポリウレタン樹脂Aをポリウレタン樹脂Dとした以外は
実施例4と同様に作成した。 比較例6 ポリウレタン樹脂Aをポリウレタン樹脂Dとした以外は
実施例5と同様に作成した。
【0043】測定方法 電磁変換特性:シバソク製ノイズメーター925Rを
使用し、ハイパスフィルター10kHz、ローパスフィ
ルター4.2MHzでノイズレベルを測定し、Y−SN
比を求めた。また、ハイパスフィルター10kHz、ロ
ーパスフィルター500kHzのAMでC−S/Nを求
めた。なおVTRはSony(株)製:EV−S900
0を用いて、比較例1の試料を0dBとしたときのテー
プの相対的な再生出力を測定した。 表面粗さRa:デジタルオプチカルプロフィメータ
(WYKO製)による光干渉法により、カットオフ0.
25mmの条件で中心線平均粗さRaとして求めた。 SQ(角型比)振動試料型磁束計(東英工業(株))
を用いて、Hm 5000OeでBr/Bmを求めた。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】ポリオールとポリイソシアネートを主要
原料とした反応生成物であるポリウレタンからなる磁気
記録媒体用結合剤において、ポリオールが−S−結合を
有するもの、さらに鎖延長剤として使用する低分子ジオ
ールが−S−結合を有する磁気記録媒体用結合剤を磁性
層の結合剤として使用したので、磁性体の分散性が極め
て高く、電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を得ること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沖田 務 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオールとポリイソシアネートを主要
    原料とした反応生成物であるポリウレタンからなる磁気
    記録媒体用結合剤において、ポリオールが−S−結合を
    有することを特徴とする磁気記録媒体用結合剤。
  2. 【請求項2】 ポリウレタンが−S−結合を有する低分
    子ジオールからなる鎖延長剤を有することを特徴とする
    請求項1記載の磁気記録媒体用結合剤。 【請求項2】 ポリオールまたは鎖延長剤がHO(CH
    2CH2S)nCH2CH2OH(ここでnは2〜6を示
    す)であり、かつポリウレタン分子中に−SO3M、−
    OSO3M、−COOM、−PO32、−OPO
    3M′2、−NR2、−N+3-、−N+2R′SO3 -
    −N+2R′COO-(ただし、Mは水素、アルカリ金
    属、アルカリ土類金属、アンモニウム塩であり、M′は
    水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム
    塩、アルキル基であり、R、R′はアルキル基であり、
    Xはハロゲンを示す)から選ばれた少なくとも1種の極
    性基を含有するポリウレタンからなることを特徴とする
    請求項1もしくは2記載の磁気媒体用結合剤。
  3. 【請求項3】 非磁性支持体の一方の面に強磁性粉末と
    結合剤を含む磁性層を形成した磁気記録媒体において、
    前記結合剤が−S−結合を有するポリオールとポリイソ
    シアネートを主要原料とした反応生成物であるポリウレ
    タンを含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 ポリウレタンが−S−結合を有するジオ
    ールからなる鎖延長剤を有することを特徴とする請求項
    3記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 非磁性支持体の少なくとも一方の面に、
    下層磁性層または下層非磁性層を設け、その上に上層磁
    性層を設けた磁気記録媒体において、前記磁性層もしく
    は非磁性層の少なくとも一層は、強磁性粉末もしくは非
    磁性粉末を結合する結合剤として−S−結合を有するポ
    リオールとポリイソシアネートを主要原料とした反応生
    成物であるポリウレタンを含むことを特徴とする磁気記
    録媒体。
JP4167763A 1992-06-25 1992-06-25 磁気記録媒体用結合剤および磁気記録媒体 Pending JPH0612655A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024004741A1 (ja) * 2022-06-29 2024-01-04 学校法人神奈川大学 高分子化合物及びその分解方法、その高分子化合物を含むプラスチック製品、繊維強化プラスチックとそれに含まれる繊維を回収する方法、並びにポリエステル、ポリウレタン又はポリカーボナートの製造方法

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WO2024004741A1 (ja) * 2022-06-29 2024-01-04 学校法人神奈川大学 高分子化合物及びその分解方法、その高分子化合物を含むプラスチック製品、繊維強化プラスチックとそれに含まれる繊維を回収する方法、並びにポリエステル、ポリウレタン又はポリカーボナートの製造方法

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