JPH06123800A - X線顕微鏡用試料容器 - Google Patents

X線顕微鏡用試料容器

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JPH06123800A
JPH06123800A JP18292593A JP18292593A JPH06123800A JP H06123800 A JPH06123800 A JP H06123800A JP 18292593 A JP18292593 A JP 18292593A JP 18292593 A JP18292593 A JP 18292593A JP H06123800 A JPH06123800 A JP H06123800A
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慶記 池滝
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生体試料を含む水溶液を狭い容納空間内に保
持させ、その移動を防止してX線顕微鏡観察を容易にす
る。 【構成】 水溶液と一緒に被観察試料を容納密封する容
納空間を形成させた試料容器において、容納空間内に、
水溶液の接触角が90°以下の比較的細い素線材料をメ
ッシュ状に編組した試料保持部材を装入させて構成し、
素線で囲まれたメッシュ部内に表面張力によって自己保
持される水膜を形成すると共に、水膜内に被観察試料を
保持させ得るようにする。又、試料容器体としての比較
的薄い試料保持基板上に比較的小開口による容納空間を
表裏連通させて構成し、容納空間内に表面張力によって
自己保持される水膜を形成すると共に、該水膜内に被観
察試料を保持させ得るようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、X線顕微鏡用試料容器
に関し、より詳しくは、X線,又は、軟X線の何れか一
方を用いるX線顕微鏡での光学系内の所要位置に装着さ
れて、内部に被観察試料を水溶液と一緒に容納する容納
空間を形成させた試料容器であって、X線顕微鏡,軟X
線顕微鏡等に適用されて、被観察試料を容納保持するた
めの試料容器に係るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、X線光源やX線光学素子の研究開
発が著るしく進捗し、その応用システムの1つとして、
X線顕微鏡が製品化されている。そして、この種のX線
顕微鏡には、主に、例えば、ウォルター型等の斜入射光
学系(図12(a)),回折を利用したフレネルゾーンプレ
ート(図12(b)),2枚の球面鏡に多層膜をコーティン
グした直入射型のシュワルツシルド光学系(図12(c))
のように結像素子を利用した種々の形式のものがある。
一般に、この種のX線顕微鏡は、その回折限界が、用い
られるX線の波長に比例して小さくなるために、可視光
を用いた通常の光学顕微鏡に比較するとき、その空間分
解能が1桁以上高くなることが知られている。例えば、
数百Åの波長を用いたX線顕微鏡では、50nm程度ま
での分解能を期待できるという利点を有し、又、これに
合わせて、小型で且つ高輝度のレーザープラズマ光源の
出現は、ラボラトリー・ユースのX線顕微鏡の開発を一
層促進させる結果となっているもので、このようにX線
顕微鏡については、次世代の優れた顕微鏡として位置付
けられている。
【0003】又、最近に至り、通常仕様のX線を用いる
X線顕微鏡に併せて、所謂、軟X線を用いるX線顕微
鏡,つまり軟X線顕微鏡が注目を集めている。ここで、
軟X線の特長とするところは、光学顕微鏡よりも高分解
能観察が可能で、且つ電子顕微鏡でのような被観察対象
である試料に対する前処理が一切不要であり、しかも、
軟X線は、電子線に比較するとき、生体試料に与えるダ
メージが非常に少なくて、必要に応じては、生活環境に
近似の状態におかれた生体を、そのままで高解像度,無
染色等の下に観察できるという生体観察にとっては、極
めて望ましい生体観察顕微鏡への応用が可能な点等であ
る。一方、特に、所謂「水の窓」と呼ばれる領域(波
長;23Å〜44Åの範囲)に該当する軟X線を用いる
ときは、このような望ましいとされる可及的に自然に近
い状態で生体試料を観察できることが明らかにされた結
果、この該当領域における軟X線の利用についての研究
が盛んである。
【0004】次に、図8,図9及び図10を参照して、
従来例による軟X線顕微鏡の原理並びに構成の概要につ
いて述べる。即ち、図8に示す従来の軟X線顕微鏡,こ
の場合、結像型の軟X線顕微鏡31は、軟X線光源32
から放射される軟X線をコンデンサレンズ33によっ
て、試料容器34内に受容した被観察試料34aに照射
させると共に、対物レンズ35によって、その透視像を
検出器36上に結像させて検出するようになっており、
この場合、軟X線は大気による吸収が大きいために、該
軟X線の通る部分を真空雰囲気にする必要があることか
ら、通常では、軟X線光源32から検出器36までの全
装置手段を真空チャンバ装置37内に収納させ(以下、
真空密封型と称する)ている。又、前記被観察試料34
aが生体試料等であって真空雰囲気を適用できない場合
のために、図9に見られるように、前記真空チャンバ装
置37の構成自体について、軟X線光源32からコンデ
ンサレンズ33までの射出端に射出窓38を含む軟X線
射出側を収納する真空チャンバ部37aと、入射端に入
射窓39を含んで対物レンズ35から検出器36までの
検出側を収納する真空チャンバ部37bとに区分すると
共に、各真空チャンバ部37a,37bでの射出窓38
と入射窓39との間の可及的に狭い間隔dにされた空間
部,ひいては大気中に開放された空間部40に、試料容
器34内に受容した被観察試料34aを配置させ(以
下、大気開放型と称する)ておき、前例と同様に、軟X
線光源32から放射される軟X線をコンデンサレンズ3
3により、射出窓38を通して被観察試料34aに照射
させると共に、被観察試料34aを透過した軟X線を入
射窓39から受入れ、対物レンズ35によって、その透
視像を検出器36上に結像させて検出するようにしてい
る。
【0005】而して、この種の軟X線顕微鏡により、真
空乾燥を避けるために水分を含んだ状態で被観察試料,
特に、この場合、生体試料を観察するときには、これが
真空密封型であるか、あるいは大気開放型であるかによ
って、適用可能な試料容器の種類,構成が異なることに
なる。即ち、前者の真空密封型軟X線顕微鏡に適用する
場合にあっては、前記被観察試料を真空中に配置するた
めに、真空雰囲気から水を隔てる必要があり、この場合
には、図10に示されているように、内部に空間部が形
成されてスペーサとなる1個の比較的薄い試料保持基板
42の表裏を2枚の薄膜43で挟むことによって形成さ
れた内部空間44内に対し、被観察試料34aと水溶液
45とを夫々に封入した構成の試料容器41とする。一
方、後者の大気開放型軟X線顕微鏡に適用する場合は、
配置空間が大気中に開放されている関係上、前記試料保
持基板42を必ずしも各薄膜43で挟む必要はなく、単
に、内部空間内に被観察試料34aと水溶液45とを保
持させればよいのであるが、先にも述べたように、配置
空間内での空気層による吸収を考慮して、該配置空間内
を可及的減圧下に保持するための機構構成を設けるよう
にするのである。
【0006】又、図11には、従来の提案に係るこの種
の試料容器の一例(この場合、特開昭63−29820
0号公報に所載)を示す。即ち、この図11に示す説明
図において、この試料容器50は、シリコン基板51の
一方の面に対し、厚さ0.3μm程度の窒化シリコン薄
膜52を積層形成すると共に、該シリコン基板51を他
方の面側から異方性エッチング処理して、入射窓又は射
出窓となる開口部51aを開口形成させることにより、
開口部51aのあるシリコン基板51−窒化シリコン薄
膜52の一体化された1組の構成体を用意し、一方の構
成体の窒化シリコン薄膜52面に対して、所定厚さに設
定されたシリコン系のスペーサ53を同系の接着剤等で
接合させることによって容納空間部54を構成させ、該
容納空間部54内に生体試料を含む水を容納させると共
に、更に、そのスペーサ53に他方の構成体の窒化シリ
コン薄膜52面を同様に接合させて密封したものであ
る。そして、このように生体試料を含む水を容納して密
封した試料容器50については、前記前者の真空密封型
軟X線顕微鏡の場合であれば、真空チャンバ内にセット
させた上で、真空引きして所定圧まで減圧させ、又、後
者の大気開放型軟X線顕微鏡の場合であれば、夫々に所
定圧まで予め減圧させた各真空チャンバ部での射出窓と
入射窓間の空間部内にセットし、その後、軟X線による
観察を行うのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ここで、前記した従来
における各試料容器34,41及び50の場合には、夫
々に装置へのセットから観察開始までの期間,ないしは
その観察中に、該各試料容器34,41及び50内での
容納空間部内にあって、水と一緒に封入された生体試料
が勝手に移動してしまうという点が問題になる。つま
り、X線,軟X線を用いる顕微鏡においては、視野範囲
があまり広くないために、生体試料の僅かな移動も観察
の障害となるもので、例えば、生体試料を含んでいる水
自体の対流とか、その細胞活動に伴う生体試料の移動に
加えて、配置姿勢での重力,浮力による生体試料の移動
を夫々に発生するために、特定の観察対象における長時
間の連続観察が困難になるものであった。
【0008】又、一方において、「水の窓」領域の範囲
内にある軟X線(波長;例えば、40Å)であっても、
例えば、厚さ5μmの水に対する透過率は14%程度に
しか過ぎず、その数値は、決して大きいものではない。
従って、前記生体試料を含んで用いられる水溶液の厚
さ,この場合は、軟X線の透過方向での水溶液の厚さ
(換言すると、前記試料容器41では、スペーサとなる
試料保持基板42の厚さに相当する)を、より以上に薄
くする方が有利ではあるが、実質的に、ここでの水溶液
の厚さを薄く設定しようとすればするほど、その製作が
困難になることも当然である。そして、前記後者の大気
開放型軟X線顕微鏡での試料容器の場合には、該顕微鏡
での軟X線が、少なくとも軟X線射出側,検出側の各真
空チャンバ部37a,37bでの射出窓38と入射窓3
9との間の大気層を通るために、前記前者の真空密封型
軟X線顕微鏡の試料容器をそのまま適用するのでは、全
体の透過率が非常に小さくなってしまう。そこで、この
ように「水の窓」領域の軟X線を用いる場合において
も、前記試料容器41での試料保持基板42を挟む各薄
膜43を廃止したときに、その内部空間44に対して被
観察試料34aと水溶液45とをどのように保持するか
が課題となる。
【0009】本発明は、従来の各上記の事情に鑑みてな
されたものであり、その目的とするところは、1個の観
察対象を長時間に亘ってX線顕微鏡の狭い視野範囲内に
捕らえることが容易なX線顕微鏡用試料容器を提供する
ことである。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】前記目的を達成
するために、本発明の第1の発明に係るX線顕微鏡用試
料容器は、X線,又は、軟X線の何れか一方を用いたX
線顕微鏡における光学系内の所要位置に装着されて、内
部に水溶液と一緒に被観察試料を容納密封する容納空間
を形成させた試料容器であって、前記容納空間内には、
水溶液の接触角が90°以下の比較的細い素線材料をメ
ッシュ状に編組した試料保持部材を装入させて構成し、
前記試料保持部材における素線で囲まれたメッシュ部内
に表面張力によって自己保持される水膜を形成すると共
に、該水膜内に被観察試料を保持させ得るようにしたこ
とを特徴とするものである。
【0011】又、本発明の第2の発明に係るX線顕微鏡
用試料容器は、X線,又は、軟X線の何れか一方を用い
たX線顕微鏡における光学系内の所要位置に装着され
て、内部に水溶液と一緒に被観察試料を容納する容納空
間を形成させた試料容器であって、試料容器体としての
比較的薄い試料保持基板上に比較的小開口による容納空
間を表裏連通させて構成し、前記容納空間内に表面張力
によって自己保持される水膜を形成すると共に、該水膜
内に被観察試料を保持させ得るようにしたことを特徴と
するものである。
【0012】ここで、前記第1の発明に適用する試料容
器での比較的細い素線材料をメッシュ状に編組した試料
保持部材について述べる。近年、金属メッシュで保持し
た薄膜からなるX線透過窓が商品化されており、この種
のX線透過窓として、ダイアモンド薄膜を用いた構成を
図2(a),(b) に示す。即ち、これらの図2(a),(b) にお
いて、21は、外周縁の外輪部21aで囲繞された内部
に保持空間21bを有し、且つ中心部に透過窓部21c
を開口した環状ホルダー部材である。22は、この環状
ホルダー部材21の保持空間21bに配置した金属製の
支持グリッド部材,この場合、金属素線材料をメッシュ
状に編組した試料保持部材としての厚さ0.3mm程度
の金属メッシュ部材である。23は、この金属メッシュ
部材22の上面を被覆することで補強された厚さ1μm
前後の薄いダイアモンド薄膜を示し、このような金属メ
ッシュ部材22による補強により、このダイアモンド薄
膜23は、例えば、その有効口径が数mm(図2では6
mm)程度であっても、1気圧程度の圧力差には十分に
耐えられる。
【0013】ところで、前記生体試料に合わせて用いる
水溶液での水分子については、その分極性が強いことか
ら、一般に、炭素を含む有機物以外の物質に対して接触
角が小さく、該物質の表面に十分且つ効果的に付着して
吸着されることが知られており、従って、前記金属メッ
シュ部材22に対しても水を接触させと、メッシュの金
属素線で囲まれた空間メッシュ部内に表面張力によって
自己保持される水膜が形成されることになるもので、こ
の場合、特に、図2で示したダイアモンド薄膜23を保
持する金属メッシュ部材22に水を接触させた上で、余
分な水をふきとることによって、ここでの水膜が曲面を
形成して空間メッシュ部内に保持されることになる。即
ち、この現象を応用することにより、被観察試料として
の,例えば、生体試料を含んでいる水溶液を該メッシュ
部の非常に狭い空間内に保持し、且つ可及的に移動を阻
止して閉じ込め得るのである。
【0014】現在までのところ、メッシュの金属素線で
囲まれた空間における水の接触角θに関する理論的な式
は存在しない。そこで、このメッシュの金属素線で囲ま
れた空間を、よく知られている図3に示すような筒型細
孔空間で近似させ、前記曲面を形成している水膜におけ
る水の接触角θについて検討してみる。ここで、曲面S
の曲率半径をR,メッシュのピッチ(金属素線間の間
隔)に相当する筒型細孔の直径を2rとすれば、 cosθ=r/R ‥‥(1) の関係がある。この (1)式の誘導過程から、Rは、図示
のように曲面Sが上向凹面であれば正,曲面Sが上向凸
面であれば負である。従って、水の接触角θ<90°で
は、cosθ>0で曲面Sが上向凹面となって所要の水
膜を形成し、該水膜内に生体試料を保持することができ
る。一方、水の接触角θ≧90°では、cosθ≦0で
曲面Sが上向凸面又は水平面となり、この場合、介在さ
れる水は、滴状になって薄くは広がらず、このために所
要の水膜を形成しないことが分かる。即ち、水の接触角
θ≧90°では、生体試料を含んでいる水溶液をメッシ
ュ部内に保持できない。
【0015】又、前記ダイアモンド薄膜23を補強保持
する金属メッシュ部材22のピッチは、最小で20μm
程度のものまで作製可能であるから、少なくとも20μ
m×20μm以下の狭いメッシュ部内の空間に、生体試
料を含んでいる水溶液を閉じ込め得ると共に、ここで
は、生体試料の僅かな移動をも生ずることなしに、長時
間に亘る連続観察が容易になる。更に、この金属メッシ
ュ部材22においては、試料容器21自体の強度をも補
強するという効果があるので、X線が減衰しないような
薄くしかも強度のある薄膜を用いたX線窓の作製が可能
となる。
【0016】次に、前記第2の発明に適用する試料容器
では、図5に示されているように、比較的薄い容器体基
板25に対して、少なくとも1個以上の比較的小開口に
よる容納空間26を表裏連通させて構成し、この容納空
間26内に、表面張力によって自己保持される水膜27
を形成させ、且つこの水膜27内に被観察試料として
の,例えば、生体試料を保持させ得るのである。従っ
て、この場合には、容器体基板25の材質,並びに容納
空間26としての開口の大きさと深さ(基板厚さ)とを
適切に選択することにより、該基板25の厚さよりも水
膜27の厚さを薄くでき、しかも、このように小開口へ
の水溶液の表面張力による水膜27の形成では、装置に
対する装着姿勢に余り捕らわれずに観察し得るのであ
る。
【0017】
【実施例】図1(a) は、本発明の第1の発明を適用した
第1実施例によるX線顕微鏡用試料容器の概要構成を模
式的に示す縦断面構成図であり、図1(b) は、同水膜を
保持するニッケル製金属メッシュ部材を全体的に拡大し
て概要を示す平面説明図、図1(c) は、同ニッケル製金
属メッシュ部材の水膜を形成した1単位の容納空間部を
拡大して示す平面説明図である。図4(a) は、本発明の
第2の発明を適用した第2実施例によるX線顕微鏡用試
料容器体の要部構成を模式的に示す斜視図であり、図4
(b) は、同水膜を保持する試料容器体を示す図4(a) B
−B線部の縦断面図である。
【0018】先ず、図1(a) に示す第1実施例構成にお
いて、試料容器は、シリコン基板1の一方の面に対し
て、例えば、真空蒸着法によって厚さ0.3μm程度の
ダイアモンド薄膜2を積層形成すると共に、該シリコン
基板1の中央部を他方の面側から異方性エッチング処理
して、ダイアモンド薄膜2の中央一部を含む入射窓開口
又は射出窓開口としての開口部1aを開口形成させるこ
とにより、該開口部1aのあるシリコン基板1−ダイア
モンド薄膜2の一体化された1組の構成体を用意する。
又、一方の構成体,この場合は、軟X線源側の構成体に
おけるダイアモンド薄膜2面に対して、所定の厚さに設
定されたシリコン系のスペーサ3を同系の接着剤等で接
合させて容納空間部4を構成させると共に、ダイアモン
ド薄膜2に接した状態で、図1(b) に示されているよう
に、線径0.3mm程度のニッケル素線材料をピッチ2
5μmでメッシュ状に編組した試料保持部材としての金
属メッシュ部材5を配置する。そして、容納空間部4内
でのダイアモンド薄膜2に接したニッケル製金属メッシ
ュ部材5に対して、適宜に水溶液を滴下させることによ
り、図1(b),(c) に示されているように、ニッケル素線
で囲まれた1単位毎のメッシュ部内にあって、表面張力
で自己保持される水膜6(図1(c) には、表面張力によ
って自由表面が凹状曲面になった保持状態が示されてい
る)を容易に形成できると共に、該水膜6内にあって所
期通りに生体試料7を保持させた上で、更に、そのスペ
ーサ3に他方の構成体のダイアモンド薄膜2面を同様に
接合させて全体を密封する。即ち、このように構成され
る第1実施例の試料容器では、線源にX線,又は、軟X
線の何れか一方を用いたX線顕微鏡,特に、この場合
は、真空密封型X線顕微鏡における試料容器として効果
的に適用させ得るのである。
【0019】従って、本第1実施例の試料容器において
は、ニッケル素線で囲まれた1単位毎のメッシュ部内,
つまり、限られた僅かな容納空間内に対して、表面張力
により自己保持される水膜6を形成させ、該水膜6内に
生体試料7を保持させるようにしているので、観察対象
である生体試料7の移動が良好に制約され、その観察が
極めて容易になる。又、本第1実施例による試料容器で
は、構造的に見るとき、軟X線源側での入射窓開口とな
る開口部1aが、ダイアモンド薄膜2をニッケル製金属
メッシュ部材5によって補強させてあるために、その力
学的強度が十分に向上されており、放出される飛散粒子
による衝撃に耐え得るのは勿論のこと、入射窓の圧力差
による破損の可能性も低下する。
【0020】ここで、本第1実施例の場合には、金属メ
ッシュ部材の材料にニッケル素線を用いているが、水と
の親和性に優れるその他の金属を用いてもよく、更に
は、同様に水との親和性に優れるその他の材料,例え
ば、アクリル、レーヨン、ナイロンのような高分子化合
物とか、シリコン系の無機化合物を用いても差し支えは
ない。一方、本第1実施例における試料容器内での生体
試料の容納空間にメッシュ部材を設ける形態としても、
軟X線源側での入射窓開口となる開口部1aに対してメ
ッシュ部材で補強保持されたダイアモンド薄膜を設け、
検出器側での射出窓開口となる開口部1bに窒化シリコ
ン薄膜を設けるようにしてもよく、又、これとは逆の構
成にしてもよい。
【0021】次に、図4(a) に示す第2実施例構成にお
いて、試料容器は、厚さ5μm程度の比較的薄い銅板製
試料保持基板11上にあって、開口寸法50μm×50
μmの比較的小開口による表裏連通させた容納空間部1
2をピッチ間隔100μmで規則的に複数個並設させた
ものであり、容納空間部12に対して、適宜に水溶液を
滴下させることにより、ここでも同様に、該容納空間部
12内にあって、表面張力で自己保持される水膜13
(図4(b) には、表面張力によって自由表面が凹状曲面
になった保持状態が示されている)を容易に形成できる
と共に、該水膜13内にあって所期通りに生体試料14
を保持させることができるのである。即ち、このように
構成される第2実施例の試料容器では、そのままの態
様,つまり、前記第1実施例による試料容器の場合での
ように、あらためて生体試料7を含む水膜6を周囲から
密封することなく、生体試料14を含む水膜13をむき
だしのままで、しかも、表面張力による保持であること
から、その配置姿勢になんらの拘束,規制をも受けず
に、線源にX線,又は、軟X線の何れか一方を用いたX
線顕微鏡,特に、この場合は、大気開放型X線顕微鏡に
おける試料容器として効果的に適用させ得るのである。
【0022】従って、本第2実施例の試料容器において
も、1単位毎の容納空間部12内,つまり、限られた僅
かな容積及び開口寸法の容納空間12内に対して、表面
張力により自己保持される水膜12を形成させ、該水膜
12内に生体試料14を保持させるようにしているの
で、観察対象である生体試料14の移動が良好に制約さ
れ、その観察が極めて容易になる。
【0023】又、本第2実施例による試料容器を真空密
封型X線顕微鏡に適用する場合は、例えば、図6に示さ
れているように、前記図10に示した試料容器内に対し
て、生体試料14を含む水膜13を容納空間部12内に
保持させた試料保持基板11の全体を収納させて用いる
か、或は、図7に示されているように、あらためて入
射,射出の各窓開口17を有する試料室16内に対し
て、同様に生体試料14を含む水膜13を容納空間部1
2内に保持させた試料保持基板11の全体を収納させて
用いるようにすればよい。
【0024】ここで、本第2実施例の場合には、試料保
持基板に銅板を用いているが、水との親和性に優れるそ
の他の金属を用いてもよく、更には、同様に水との親和
性に優れるその他の材料,例えば、アクリル、レーヨ
ン、ナイロンのような高分子化合物とか、シリコン系の
無機化合物を用いても差し支えはない。
【0025】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の第1の発
明に係るX線顕微鏡用試料容器によれば、X線,又は、
軟X線の何れか一方を用いたX線顕微鏡の光学系内の所
要位置に装着されて、内部に水溶液と一緒に被観察試料
を容納密封する容納空間を形成させた試料容器におい
て、容納空間内に、水溶液の接触角が90°以下の比較
的細い素線材料をメッシュ状に編組した試料保持部材を
装入させて構成したので、試料保持部材の素線で囲まれ
た比較的小さいメッシュ部内に対して、表面張力によっ
て自己保持される水膜を容易に形成でき、且つこのよう
に自己保持された水膜内に被観察試料を効果的に保持さ
せ得るのであり、この結果、観察時における被観察試料
の移動を防止できて長時間の観察も容易になる。
【0026】又、本発明の第2の発明に係るX線顕微鏡
用試料容器によれば、同試料容器において、試料容器体
としての比較的薄い試料保持基板上に比較的小開口によ
る容納空間を表裏連通させて構成したので、ここでも、
容納空間内に表面張力によって自己保持される水膜を容
易に形成でき、且つこのように自己保持された水膜内に
被観察試料を効果的に保持させ得るもので、同様に観察
時における被観察試料の移動を防止できて長時間の観察
が容易になり、併せて、軟X線の吸収も少なくなる等の
優れた特長がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) は、本発明の第1の発明を適用した第1実
施例による試料容器の概要構成を模式的に示す縦断面構
成図である。(b) は、同水膜を保持する金属メッシュ部
材を全体的に拡大して概要を示す平面説明図である。
(c) は、同金属メッシュ部材の水膜を形成した1単位の
容納空間部を拡大して示す平面説明図である。
【図2】(a) は、同金属メッシュ部材による薄膜の支持
態様を示す平面図である。(b) は、同金属メッシュ部材
による薄膜の支持態様を示すA−A線部の縦断面図であ
る。
【図3】同第1の発明に対応して金属メッシュ部材にお
ける水膜の接触角を説明する略図である。
【図4】(a) は、本発明の第2の発明を適用した第2実
施例によるX線顕微鏡用試料容器体の要部構成を模式的
に示す斜視図である。(b) は、同水膜を保持する試料容
器体を示すB−B線部の縦断面図である。
【図5】(a) は、同第2の発明に対応して試料容器体の
概念を1単位の容納空間部で示す斜視説明図である。
(b) は、同水膜を保持する1単位の容納空間部を示すC
−C線部の縦断面説明図である。
【図6】同第2実施例による試料容器の別の使用例を示
す縦断面説明図である。
【図7】同第2実施例による試料容器の更に別の使用例
を示す縦断面説明図である。
【図8】一般的な真空密封型軟X線顕微鏡の原理を説明
するための概要構成を示す略図である。
【図9】一般的な大気開放型軟X線顕微鏡の原理を説明
するための概要構成を示す略図である。
【図10】真空密封型軟X線顕微鏡に適用されている試
料容器の概念を示す縦断面図である。
【図11】従来例によるX線顕微鏡用試料容器の概要構
成を示す縦断面図である。
【図12】(a) は、従来の結像素子としてのウォルター
型斜入射光学系によるX線顕微鏡を示す図である。(b)
は、従来の結像素子としてのフレネルゾーンプレートに
よるX線顕微鏡を示す図である。(c) は、従来の結像素
子としての直入射型のシュワルツシルド光学系によるX
線顕微鏡を示す図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板 1a 開口部(入射窓開口,射出窓開口) 2 ダイアモンド薄膜 3 スペーサ 4 容納空間部 5 金属メッシュ部材 6 水膜 7 生体試料(被観察試料) 11 試料保持基板 12 容納空間部 13 水膜 14 生体試料(被観察試料)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永井 宏明 東京都渋谷区幡ヶ谷2の43の2 オリンパ ス光学工業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線,又は、軟X線の何れか一方を用い
    たX線顕微鏡における光学系内の所要位置に装着され
    て、内部に水溶液と一緒に被観察試料を容納密封する容
    納空間を形成させた試料容器であって、前記容納空間内
    には、水溶液の接触角が90°以下の比較的細い素線材
    料をメッシュ状に編組した試料保持部材を装入させて構
    成し、前記試料保持部材における素線で囲まれたメッシ
    ュ部内に表面張力によって自己保持される水膜を形成す
    ると共に、該水膜内に被観察試料を保持させ得るように
    したことを特徴とするX線顕微鏡用試料容器。
  2. 【請求項2】 前記X線顕微鏡における光学系が、減圧
    雰囲気下に保持されることを特徴とする請求項1に記載
    のX線顕微鏡用試料容器。
  3. 【請求項3】 X線,又は、軟X線の何れか一方を用い
    たX線顕微鏡における光学系内の所要位置に装着され
    て、内部に水溶液と一緒に被観察試料を容納する容納空
    間を形成させた試料容器であって、試料容器体としての
    比較的薄い試料保持基板上に比較的小開口による容納空
    間を表裏連通させて構成し、前記容納空間内に表面張力
    によって自己保持される水膜を形成すると共に、該水膜
    内に被観察試料を保持させ得るようにしたことを特徴と
    するX線顕微鏡用試料容器。
  4. 【請求項4】 前記X線顕微鏡における光学系内の所要
    位置が、大気圧雰囲気中,又は、前記容納空間内での水
    膜の自己保持を妨げない減圧雰囲気中に開放されている
    ことを特徴とする請求項3に記載のX線顕微鏡用試料容
    器。
  5. 【請求項5】 前記被観察試料が、生体試料であること
    を特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載のX線顕
    微鏡用試料容器。
  6. 【請求項6】 少なくとも一つの開口を有し、上記開口
    が液体による膜を形成可能なように構成された顕微鏡用
    試料容器。
  7. 【請求項7】 前記試料容器がメッシュ形状を有すると
    共に、複数の開口が整列配置されている請求項6に記載
    の顕微鏡用試料容器。
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