JP2844703B2 - 結像型軟x線顕微鏡装置 - Google Patents

結像型軟x線顕微鏡装置

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JP2844703B2 JP20656389A JP20656389A JP2844703B2 JP 2844703 B2 JP2844703 B2 JP 2844703B2 JP 20656389 A JP20656389 A JP 20656389A JP 20656389 A JP20656389 A JP 20656389A JP 2844703 B2 JP2844703 B2 JP 2844703B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、主として生体観察のための高分解能の結像
型軟X線顕微鏡装置に関する。
〔従来の技術〕
従来から提案されているX線顕微鏡は、次の4種類に
大別される。
まず、光学系を持たないものとして、点X線源から発
生するX線の発散光束中の点X線源の近くに試料を配置
し、その後方の離れた位置にX線フィルム又は二次元X
線検出器を配置した投影拡大型。
同じく光学系をもたないものとして、X線源としてほ
ぼ平行なX線光束を供給するものを用いて、試料とレジ
ストを密着して配置する密着型。この場合のX線源とし
ては、シンクロトロン放射(以下、単にSRという。)、
プラズマX線源や電子線励起X線源が用いられる。
光学系によりX線ビームを微小スポットに絞り、ビー
ムと試料とを相対的に走査する走査型。この場合には、
X線源としてはSRを用い、X線ビームを微小スポットに
絞るための光学素子としては、フレネルゾーンプレート
(以下、単にFZPという。)又は多層膜鏡や全反射鏡が
用いられる。
SR、プラズマX線源や電子線励起X線源からなるX線
源と、FZP又は多層膜鏡や全反射鏡等の光学素子を用い
て試料上にX線を集光し、同様の光学素子によって試料
の像をフィルムや蛍光板又は二次元X線検出器上に形成
する結像型。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記のごとき従来のX線顕微鏡は、以下のように最適
化が不十分でX線照射量も多く、技術的に生きた生体の
高分解能観察は困難であった。
すなわち、投影拡大型では、高輝度点X線源が必要
とされるところ、一般には強度が不足するため長時間露
光が必要となり、このため動態観察が困難である。ま
た、フレネル回折の影響による分解能の低下を避けるた
め、試料を薄切することが必要となっており、生きたま
までの観察は困難であった。
密着型では、レジスト以外には高分解能検出器がない
ため、レジストの現像処理が必要で、実時間観察が困難
である。また、倍率が1であるため別途電子顕微鏡など
で拡大観察する必要がある。さらに、この場合にもフレ
ネル回折の影響による分解能の低下を避けるため、投影
拡大型と同様に試料の薄切という破壊観察が必要となっ
ている。
走査型では、指向性の良いX線源が必要とされ、この
ためにはSRのような大がかりなX線源を用いなければな
らず装置が極めて大型になるという欠点があった。しか
も、所望の画像を得るための走査時間すなわち露光時間
が長くなるため、動態観察が困難である。
結像型においては、FZPを使用する場合には効率が低
いため高強度のX線源としてSRのような大がかりなX線
源が必要である。また、鏡を使用した結像型では分解能
の向上が難しく、光学系も大きくなるという欠点があ
り、未だ最適化が不十分であった。
本発明の目的は、非固定・非破壊で最小の照射X線量
によって生きた生体の動態を20nm程度の高分解能で観察
することのできる小型な結像型のX線顕微鏡装置を提供
することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明によるX線顕微鏡装置は、基本的には上記結像
型を採用し、第1図に示した如く、X線源からのX線を
単一の凹面非球面多層膜鏡コンデンサーによって試料上
に集光し、結像光学系としての位相ゾーンプレートPZP
を用いて、二次元X線撮像素子上に試料像を拡大形成す
る構成を有している。
そして、単一の凹面非球面多層膜鏡コンデンサーとし
ては、最も形状が簡単で製作が比較的容易な回転楕円体
多層膜反射鏡とすることが有効である。
また、パルスX線源としては、パルスレーザーによる
プラズマX線源を用い、レーザ光をターゲット上に集光
して微小領域からX線が発生する構成とし、ターゲット
を回転楕円体多層膜反射鏡の第一焦点に配置し、試料を
その第二焦点上に配置している。そして、多層膜鏡によ
ってX線の単色化を行い、パルスレーザーにより励起発
光される1パルスのX線で光子計数撮像を行うシステム
としたものである。
具体的には、X線の波長λ、スペクトル幅をΔλとす
るとき、二次元X線撮像素子に入射する画素当たりの最
大検出光子数nmaxを 25≦nmax<λ/Δλ となるようにパルスX線源のX線強度を調整し、1パル
スで光子計数撮像を行うこととした。そして、そのとき
のパルス幅を1μs以下とし、この1パルスで撮像可能
な強度のパルスX線源を使用している。ここで、多層膜
反射鏡の層構造の周期数Ncを50〜400として、λ/Δλ
も50〜400となるように単色化すると共に収差補正の良
好な回転楕円体多層膜反射鏡により、パルスレーザX線
源からのX線を試料上に高効率で一様に集光する。そし
て、高効率・高分解能な位相ゾーンプレートからなる対
物光学系によって生体試料の拡大像を形成する。
ここで、10μm程度の厚さの生体を非個定・非破壊で
内部観察するため軟X線の波長域は2.3〜4.4nmを使用す
る。これは生体の蛋白質や脂質がコントラスト差として
認識でき、かつ細胞の厚さ程度を透過する波長域である
ためである。
そして、試料の生きたままでの観察を行うため、次の
ような観点で装置を構成した。
(a)X線光路は真空であるため、試料は水を含む厚さ
10μm程度の容器内に収納して観察することとした。
(b)動く生体の観察のため、μsec程度の露光時間と
し、このためにパルスX線源と結像型光学系を採用し
た。
(c)最小限の放射線損傷で観察するため、20〜50nm程
度の高分解能を維持しつつ高い効率を維持する位相ZPを
対物光学系とし、多層膜鏡による凹面反射鏡によるコン
デンサー光学系を用いてX線の単色化を行い、これに基
づいて光子計数撮像を可能とした。
(d)そして、実時間観察するため二次元X線撮像素子
を採用し、通常は試料に損傷を与えることの少ない光学
顕微鏡で観察し、必要時にX線顕微鏡観察を行うことと
した。
〔作用〕
X線は生体に与える損傷が大きく容易に致死量を越え
るため、X線顕微鏡では最小の照射量で必要な画像が取
得出来るように工夫する必要があり、この為上記の如き
本発明の構成では、光子計数による撮像法を採用した。
この光子計数撮像法を利用し、生体の動態を最小の損傷
で観察するために、最小のX線照射量、検出限界コント
ラスト、検出限界蛋白質厚さ、X線画像の階調、ドーズ
量(単位質量当たりのX線の吸収量)、パルス幅、スペ
クトル幅などを以下のような考え方で最適化した。
(i)光子計数撮像による検出限界とドーズ量 第2図は、二次元光子計数のようすを示す図であり、
試料面上は分解能δと焦点深度2Dfとで形成される微小
領域に分割され、これが撮像素子の1画素に対応する。
そして、各画素での透過する光子数の差により画像が形
成される。各画素にはn0の光子が入射し、透過する光子
数は各画素の透過率により種々の値をとる。
いま、分解能で規定される隣接画素のX線光子の検出
を独立な確率事象と見なし、X線光子はポアソン分布に
従うと仮定する。(光学系のMTF、フレアやゴーストの
影響は除外する。)更に、主として吸収差によりコント
ラストが形成され、回折散乱により結像光学系外に失わ
れるX線は無視できると仮定する。(回折散乱X線だけ
を結像に利用する暗視野照明法は除外する。) 隣接画素の光子数の差の平均値が、その分散よりある
程度大きければ画像の検出が可能となる。従って、照射
光子数をn0〔光子数/画素〕とすると、画素p1.p2での
光子検出の事象の平均値E,分散Vと検出限界SN比(S/
N)dとの間には、次式が成立する。
透過率をTとすると、平均は E(P1)=T1 E(P2)=T2 、分散はポアソン分布では V(P1)=T1 V(P2)=T2 となり、第2図の様にX線検出光子数n1は、 n1=T・n0であるから、n1,n2は各々、 n1=T1・n0, n2=T2・n0, となる。
ここでコントラストCを次のように定義する。
(1)(2)より、 C2(n1+n2)≧(S/N)d 2 となるが、検出限界コントラストCd≪1の場合、 画素当たりの最大検出光子数は nmax≒(n1+n2)/2 となることから、検出限界コントラストCdは、次のよう
になる。
通常ゼロから最大光子数までの階調が得られるが、画
像として信頼性のある再現階調数drは次のようになる。
X線光子の検出限界SN比は、検出方式や検出器の種類
等により異なる。光子数nを ごとに区切り、有意な情報として画像の階調表現が可能
と仮定すると、識別限界の光子数は、 となり、 の場合に、X線光子の検出限界SN比は、 ようになる。
ところで、 ごとに有意な情報と見なす場合は、 となり、 の場合に、 となる。そして、 とする場合は、 となり、 となる。
尚、具体的な階調表現の光子数は、 ここで、第3図に示すように、試料の厚さをt、蛋白
質の厚さをtp、水と蛋白質の線吸収係数をそれぞれ、
Aw,Apとすると、水のX線透過率Twは次のようになる。
Tw=exp(−Aw・t) (6) また、これより試料のX線透過率Tsは次のようにな
る。
Ts=Tw・exp{−(Ap−Aw)・tp} (7) 試料の最大透過率Tsmaxは水の窓の波長域〔2.3〜4.4n
m〕では、Ap>Awであるから、 Tsmax=Tw となり、このときの光子数が最大検出光子数nmaxとな
る。
焦点深度内での検出限界の蛋白質の厚さtpdは、
(2)式と、T1=Tw,T2=Tsより、次のようになる。
X線照射により生ずる生体損傷は主としてドーズ量に
よって決定される。(ドーズ量は単位質量当たりのX線
吸収量である。) 試料の平均透過率を Tsm≡∫TsdS/∫dS 密度をρ、顕微鏡の分解能をδ、試料容器の窓の透過率
をTc、対物の効率をη0とすると、平均吸収率は(1−T
sm)、照射光子数は n0=nmax/(Tw・Tc・η0) 光子のエネルギーhνと質量ρ・δ2・tから、ドーズ
量Dm(δ)は、次のように与えられる。
以上の式によれば、画素当たりの最大検出光子数nmax
を与えると、検出限界コントラストCd、再現階調数dr
求まり、またX線の波長から線吸収係数Ap,Awを求める
と、検出限界の蛋白質の厚さtpdが決まり、さらに試料
の平均透過率Tsm、試料容器の窓の透過率Tc、水の透過
率Tw、対物の効率η0、試料の密度ρ、試料の厚さt、
対物の分解能δから、ドーズ量Dm(δ)が(9)式のと
おり、求められる。
すなわち、本発明における光子計数撮像法において
は、画素当たりの最大検出光子数nmaxを与えることによ
って、主要な性能すなわち検出限界(コントラストと階
調)やドーズ量などが決定される。
(ii)最小照射線量でのX線顕微鏡画像の撮像 そこで、上記のごとき原理的解析結果に基づいて、本
発明では光子計数撮像法における最適な最小X線照射線
量を以下のように求めた。
すなわち、以下のような例から実用的には、最大検出
光子数は、 25≦nmax<200 程度が適当である。
これに従い、最小照射線量は画素当たりの最大検出光
子数が、上記の範囲になるような照射量である。
上記の最大検出光子数は、以下のような検討に基づい
て決定された。まず前提条件として、 使用波長は水の窓の波長域(2.3〜4.4nm)の中でも、
水の透過率が良く、且つ生体のコントラストが得られや
すい2.5nm程度とする。
水と蛋白質の線吸収係数はこの波長に対して、 Aw=0.13/μm Ap=1.5/μm 試料の厚さtは、水の透過率と細胞の厚さのバランス
から、細胞1個が観察できる厚さ10μmとする。
平均透過率Tsmは、細胞の平均の蛋白質厚さを tpm=0.15・t としたものとする。
試料の密度はρ≒1g/cm3 試料容器の窓の透過率は、Tc=0.63、対物の効率は、
η0=0.3とするが,これについては後述する。
このような前提において、最大光子数nmaxを与えると
次のような結果が得られる。
(a)nmax=100の場合 (イ)検出限界コントラストCd≒0.1 再現階調数dr≒10階調 (ロ)検出限界蛋白質厚さtpd≒150nm (ハ)ドーズ量Dm(20nm)≒4×104J/Kg Dm(50nm)≒6×103J/Kg が求められる。ここで、分解能δが20nmの場合にはドー
ズ量が致死量(≒1×104J/Kg)を超える。
(b)nmaxが200以上の場合には、上記(a)の場合よ
りも、低コントラストの試料を観察が可能となるが、以
下のような問題点が生ずる。
(イ)ドーズ量が増大し、細胞の致死量を大きく超え
る。
(ロ)光子検出の精度を維持するため一層の単色化が必
要となり、多層膜鏡等の他に分光素子が必要になる(後
述)。
(ハ)スペクトル幅が狭くなり、X線源の利用効率が低
下するため、より強力で大型のX線源が必要となる。
(c)nmaxが25以下の場合には、分解能20nmの場合で
も、ドーズ量は致死量以下に低減されるが、検出限界コ
ントラストCdは0.2以上、再現階調drが5以下、限界蛋
白質の厚さが300nm以上となり、画質や試料検出の制約
が大きくなり、実用上問題となる。
(d)性能の評価と試料処理 イ)上記(a)の(ロ)のように、蛋白質の厚さtpが検
出限界厚さtpdよりも薄い場合は、厚さtgd≒8.4nmの金
などで生体染色をすることによって、試料のコントラス
トが上記Cd≒0.1よりも大きくできるため、容易に観察
することができる。生体染色するための金の厚さtgd
上記(8)式においてApの代わりに金の線吸収係数Ag
24/μm〔λ=2.5nm〕を代入して求められる。
ロ)このように、細胞内小器官やウイルス等の薄い低コ
ントラスト試料の観察には、生体染色が必要不可欠であ
る。また、特定部位に生体染色を施してコントラストを
更に大幅に向上させることによって、X線照射線量の低
減も可能である。例えば、コントラストC=0.1の試料
の観察には、最大光子数nmax=100が必要であるが、こ
の試料にtgd=8.4nmの厚さの金の生体染色をすると、コ
ントラストがC=0.2に向上するため、上記(3)式よ
り、最大検出光子数nmaxは25で染色試料の検出が可能で
ある。すなわち、照射線量が1/4になり、従ってドーズ
量は1/4に低減される。
ハ)上記(a)の(ハ)のように、分解能δ=20nmの
時、ドーズ量は細胞の致死量≒1×104J/Kgを超えてい
るが、このような場合には、生体損傷を低減するため冷
却して細胞の代謝を遅らせるなどの処理をすることが有
効である。
(iii)フレアがある場合の検出限界 結像素子としてゾーンプレートを使用する場合、1次
回折光が結像光として利用されるが、それ以外の次数の
回折光によりフレアが発生する。このフレアの影響は次
のように考えられる。
一般にフレアは像面に一様に広がり、光学系による絞
りや試料のピンボケ像と見なせる。従って、後述のよう
にフレアの強度は照射強度,試料の平均透過率と視野の
大きさ(実視野径)に依存する。光学系のフレア係数を
ηf(後述のように算出可能)とすると、フレア光子数
ηfと検出光子数nIはそれぞれ次式のようになる。
ηf≒η0・ηf・Tsm・n0 (10) nI≒η0(Ts+ηf・Tsm)n0 (11) (11)より、各画素での検出光子数はそれぞれ、 nl≒η0(T1+ηf・Tsm)n02≒η0(T2+ηf・Tsm)n0 となり、最大検出光子数は、 nmax≒η0(Tsmax+ηf・Tsm)n0 となる。
フレアがある場合、検出可能な像のコントラストCI
求めたい試料のコントラストCsは、区別する必要が生ず
る。それぞれのコントラストを次のように定義する。
CI=|n1−n2|/(n1+n2) (12) Cs=|T1−T2|/(T1+T2) (13) 上記のn1,n2とT1,T2の関係から、次式が成立する。
Cs=CI(n1+n2)/(n1+n2−2nf) (14) 像のコントラストCIと検出限界SN比には、(i)で述べ
たのと同様に、 CI 2(n1+n2)≧(S/N)d 2 (15) が成り立つ。そして、 nmax≒(n1+n2)/2 となり、これと(14)(15)より、試料の検出限界コン
トラストCsd、再現階調数dsd、検出限界蛋白質厚tpd
それぞれ、次のようになる。
以上より、フレアの存在によって性能が劣化するが、
その検出限界は上式により評価、算出が可能である。
(iv)動態観察に必要なパルス幅 分解能δ、速度vとすると運動物体のぶれや変形のな
い鮮明な画像を得るのに必要な露光時間txは、 tx≦δ/(10・v) (19) 程度にすることが必要である。本発明のX線顕微鏡では
分解能δ≒10nmをめざしており、原形質流動・繊毛や鞭
毛運動の速度の最大値Vmaxは、 Vmax≒1mm/s なので露光時間tx、 tx≒1μs となる。1μsという極短時間の露光は走査型では実現
が困難な為、パルスX線源を用いた結像型の顕微鏡シス
テムとすることが合理的である。
また、1μsという極短時間の露光システムは、試料
の熱運動や装置の振動に対しても有利であり、防振装置
を小型に構成することが可能となる。
(v)光子計数の最大検出光子数とスペクトル幅 上述のように生きた生体の動態観察のためには、従来
のような時系列的な光子計数ではなく、1μs程度の瞬
時に全画素の光子数を検出する必要がある。そこで光子
の計数誤差を無くすため、波長差によるエネルギー差が
1光子のエネルギーより小さい必要から、次式が成り立
つ。
Δn・h・ν>nmax・h・Δν ここで、Δn=1,ν=c/λ, ν/Δν=λ/Δλ であるから、最大検出光子数nmaxは、次のようになる。
nmax<λ/Δλ (20) ところで、前述のとおり最大検出光子数は、 25≦nmax<200 とするのが適当である。
そして、スペクトル幅Δλは、これを規定する多層膜
鏡の多層膜の周期数Ncとの関係は、後述のように、 λ/Δλ≒Nc (21) となっているので、 50<Nc<400 とすれば、X線の単色化の条件が満たされることにな
る。
ここで、多層膜の周期数Ncとしては、400程度までと
することによって、より一層低コントラストの試料につ
いての観察が可能となる。例えば.Ncが100の場合に比
べて1/2のコントラストの試料の観察が可能となる。し
かし、生体のドーズ量は4倍に増え、生体の損傷が大き
くなって生体の観察後には生体が死滅する場合が多くな
る。そして、周期数をさらに増すことによって一層の単
色化を図ることができるため対物光学系の色収差の制約
が少なくなり、有効視野の拡大等の性能向上が図れる。
しかしながら、通常の材料の組合せにおいては層数の増
加程には反射率が向上しない。しかも、X線源からのX
線の利用効率を低下させることとなり、より強力なX線
源を必要とするため、装置全体が大型化してしまう。こ
のため、周期数は400程度までが限度であり、X線源の
小型化と生体の損傷の観点からは、これ以上の単色化は
実用的ではない。
一方、多層膜の周期数Ncが50より少なくなる場合に
は、光子計数における照射光子数を低減でき生体の損傷
を軽くすることができるが、単色化が難しくなって対物
光学系の色収差が著しくなると共に、光子計数の計数誤
差が大きくなる。このため、検出性能の低下を招き高コ
ントラストの試料しか観察できず実用上問題となる。し
かも、周期数が少ない場合には、多層膜鏡においてはX
線領域での十分な反射率を達成することが難しくなる。
(vi)二次元X線撮像素子の感度 理想的な最高感度は1光子を検出できることである
が、軟X線領域ではX線光子1個が入射した場合、信号
となる平均発生電子正孔対の数が暗時雑音電子数より大
きくなるため、量子効率、開口効率が100%に近いもの
が得られれば実現可能となる。
固体撮像素子の場合、使用X線波長λ=2.5nm,光電検
出素子がSiでは、平均発生電子正孔対の数npは137、 ファノ因子Fが0.12、暗時雑音電子数が50(電子/画
素)となり、冷却により10(電子/画素)程度まで低減
することが可能である。
〔実施例〕
以下、本発明による結像型X線顕微鏡装置の構成につ
いて、図示した実施例に基づいて説明する。
第1図は、パルスレーザー1によるレーザを集光レン
ズ3によって、真空保持用窓4を介してディスク又はテ
ープ状の薄膜ターゲット5に集光し、必要な強度及び波
長のX線を発生させる。パルスレーザー1の発光の制御
はパルス制御部2によって、所望のパルス間隔(最大30
Hz)でなされる。X線薄膜ターゲット5からのX線は回
転楕円体多層膜反射鏡9によって試料容器12内の試料13
に集光される。そして、結像光学系としての位相ゾーン
プレートPZP14を用いて、二次元X線撮像素子15上に試
料像を100倍(分解能100nm)〜500倍(分解能20nm)に
拡大形成する。二次元X線撮像素子15としては、例え
ば、背面照射型のFT−CCDのような固体撮像素子が有効
である。
このような構成では、図示のとおりパルスレーザーに
よるX線薄膜ターゲット5が回転楕円体多層膜反射鏡9
の第一焦点に配置され、試料13がその第二焦点上に配置
される。そして、多層膜鏡によってX線の単色化を行
い、パルスレーザーにより励起発光される1パルスのX
線を照射し、二次元X線撮像素子15によって光子計数撮
像を行う。
ここで、試料13を水平に保って観察するために、照射
及び観察X線は鉛直方向に配置し、X線励起用のレーザ
は水平配置とした。具体的には、ターゲット5と励起用
のレーザビームとの角度を約35°とし、X線の回転楕円
体多層膜反射鏡9への入射角を65°程度としている。そ
して、X線薄膜ターゲット5の交換及び飛散物等の廃棄
除去手段6、絞り7及び中性粒子やプラズマの遮蔽窓8
により、所定の方向にX線が照射するように構成してい
る。遮蔽窓8はまた、X線の強度nmaxを200未満とする
調整用のフィルタとしても機能している。コンデンサー
としての回転楕円体多層膜反射鏡9の背面には、X線の
吸収による温度上昇、劣化を防止するための水冷の冷却
装置10が設けられている。
試料容器12の直前には、視野絞り11が設けられてお
り、この開口径は観察倍率に応じて適切な大きさに交換
されるが、同一倍率においてもフレア防止やコントラス
ト向上のために適宜の口径のものが使用される。
二次元X線撮像素子15から出力される画像情報は、画
像処理部16で処理され、ディスプレイやプリンタ等の画
像出力部17に出力される。尚、画像の処理部17は、X線
源側に配置された強度調整用フィルタ8と連動して、最
大検出光子数nmaxが200未満の適当な値になるように調
整する機能を有している。
以上の各構成要素に対して、コンデンサーとしての回
転楕円体多層膜反射鏡9から二次元X線撮像素子15の受
光面までは真空に保持するために、真空容器18内に収納
されている。真空容器18内の圧力は、X線の吸収を無視
できる、10-2Pa程度に保たれている。また、X線薄膜タ
ーゲット5の周囲には、飛散物等が生じるために除去手
段6等が必要となっているので、別の真空容器19によっ
てX線源部を隔離することが必要となっている。
以上の如き構成において、画素当たりの最大検出光子
数nmaxを100とした場合に、μsec以下程度の1パルスの
瞬時に光子計数撮像を実現するための、X線源や光学系
の最適仕様について、以下に詳述する。
まず、X線源の利用効率が定まり、光学系の効率が決
まると最終的なX線源のパルス強度(X線源の仕様)が
決定され、さらにレーザ励起のX線源を用いる場合に
は、レーザの仕様も決定される。
各観点について順次説明する。
(vii)無指向性光源の径と利用効率 結像型X線顕微鏡の基本的構成は、第4図の如くであ
り、ターゲット5からのX線はコンデンサー9により試
料容器12内の試料13に集光され、対物光学系14によって
二次元X線撮像素子15上に拡大像を形成する。ここで、
効率や透過率を以下のように定義する。
NAc:コンデンサーの入射側開口数 NAo:対物の入射側開口数 φs:X線源部の直径 φc:コンデンサーが利用可能なX線源部の直径 φo:試料の実視野直径(絞り系) ηw:X線源からのスペクトル利用効率 ηs:X線源からの空間的利用効率 ηc:コンデンサーの効率(集光効率) ηo:対物の効率 Ts:試料の透過率 Tc:試料容器の窓の透過率 まず、X線源の利用効率は空間的な利用効率とスペク
トル利用効率の積となり、必要な性能を満たした上で効
率が最高になるようにX線源の種類と光学系の方式、種
類を選定して設計することが必要である。
X線源の光学系による空間的利用効率ηsは、 となる。
但し、φc≦φs,NAc≦1 である。
また、正弦条件と対物の視野と開口数より、 NAc・φc=NAo・φo (23) であるから、これを用いて、実際の効率ηsを求めるこ
とができる。後述のように、本発明では倍率によらず
(23)式の値は、1.125μmである。
上記の式に示されているように、大開口数のコンデン
サーが作れる限り光源径が小さいほど利用効率が高い。
最適光源径とコンデンサーの開口数は、 φs≒9μm ηs≒1.56% φc≒φs NAc≒0.125 となる。これより光源径が小さいと開口数を大きくする
必要があるため、コンデンサーの設計・製作が困難にな
り、またレーザプラズマX線源ではX線発生効率が低下
する。逆に光源径が大きいと利用効率が低下し、強度不
足となり1パルスでの撮像の目的には使用困難となる。
X線源のスペクトルの利用効率は、多層膜反射鏡によ
る分光スペクトル幅(Δλ/λ≒1/200)とX線源のス
ペクトル特性から、 ηw≒10-1・Δλ/λ≒5×10-4 程度となる。
(viii)光学系の効率 一方、使用波長2.5nmの場合、実現可能な光学系の効
率は次のようになる。
すなわち、コンデンサーとしての回転楕円体多層膜反
射鏡の反射効率ηcは、ニッケルNiとバナジウムV等の
多層膜とすれば、 ηc≒0.3 試料容器の窓の透過率Tcは、試料容器がSi3N4とする
と、 Tc≒0.63 対物の効率ηoは、位相ゾーンプレートの1次回折光の
効率η1であるから、後述のように、 ηo≒0.3 となる。
(ix)X線パルス強度と出力 X線源のパルス強度と出力は、上述の如き光源の利用
効率、光学系の効率、試料の透過率、検出器の感度(光
子計数)より計算される。
(vii)(viii)より、X線顕微鏡光学系の総合効率
ηは、 η=η0・Tc 2・ηc・ηw・ηs (24) =3×10-7 となる。
これから検出器1画素に対応するX線源の光子数をns
とすると、検出器の1画素に到達する光子数nIは、 nI=Ts・η・ns (25) となる。
試料の最大透過率をTsmax=Tw=0.273 最大光子検出数をnmax=100 とすると、必要なX線源光子数nsは ns=nmax/(Tw・η) (26) =1×109〔光子・画素〕 となる。
X線光子のエネルギーεpを、 εp=hν=7.9×10-17J〔λ=2.5nm〕 NTSC方式準拠の画素数から、撮像素子の外接円内の画
素数NIを、 NI≒π×(450)2=6.4×105 とすると、1枚のX線画像を得るに必要なX線パルス強
度PXと毎秒30画像を得るに必要なX線出力IXは、次のよ
うに与えられる。
PX=NI・ns・εp≒50〔mJ/画像〕 (27) IX=1.5W (x)レーザパルス強度と出力 上記のX線をレーザ励起プラズマによって発生させる
のが後述のように望ましい。レーザにより発生させるX
線の発生効率ηXをηX=0.1とすると、レーザパルス強
度PLとレーザ出力ILは、PX=ηX・PLより、次のように
なる。
PL=500〔mJ/画像〕 IL=15W 上記のようなX線源とパルスレーザは製作可能であ
る。
(xi)X線源の仕様と方式 以上のようにして、X線源の最適仕様が定められた訳
であるが、この仕様に合致するX線源としては、パルス
レーザを用いたレーザプラズマX線源が最適である。他
方式のプラズマX線源や電子線励起X線源は、X線源の
大きさが0.1〜1mmφと大きいため、(vii)で述べた
ように、利用効率が低くなり強度不足で実用に耐えな
い。
無指向性のX線源としては、上述の結果をまとめる
と、以下の条件が必要となる。
a)X線源径〜10μmφ b)X線スペクトル;2.3nm〜4.4nm c)X線パルス幅<1μs d)X線パルス強度>50mJ e)X線繰り返し周波数〜30Hz この条件を達成するために、レーザ励起プラズマX線
源が適しているが、そのレーザとしてはスラブレーザー
の高調波又はエキシマレーザーなどのパルスレーザーを
使用することが有効である。具体的には、厚さ数μmの
ターゲット材料を選定したうえで、以下の(f)〜
(j)の項目について最適化することによって、上記の
条件が満たされる。
f)レーザー・X線変換効率>0.1 g)レーザー波長〜250nm h)レーザー集光径〜10μmφ i)レーザーパルス幅<1μs j)レーザーパルス強度>500mJ (xii)コンデンサーの方式と最適化 コンデンサーの効率ηcと開口数、及び単色化の程度
については前述したところから、以下の条件が求められ
ている。
a)X線源の小型化のために 反射率(効率)ηc≒30%が必要。
b)X線源の効率的利用ために 開口数:NAc≒0.125が必要。
c)1パルスで光子計数撮像するための単色化(分光ス
ペクトル幅)の程度として λ/Δλ≒200 そして、さらに照明系としては、以下の(d)(e)
(f)の条件を満たすことが必要である。
d)最小限の光学素子によって効率良く照明を行うた
め、臨界照明法を用い、その時の光源倍率Mは、 M=実視野/X線源径となる。
e)X線源を効率的に集光、照明むらの除去のため収差
補正を良好に行うことが必要である。
f)照明系の小型化のためにX線源と試料間の垂直距離
は、200〜800mm程度が望ましい。
g)コンデンサーには前記(vii)より試料に照射さ
れる強度の2000倍程度の極めて強いX線が照射されるた
め、光学素子の保護のため、冷却することが必要であ
る。
これらの条件を達成するには、ニッケル・バナジウム
などで膜周期数をNc≒200程度とした回転楕円体多層膜
鏡が有効である。
尚、多層膜として具体的には、本願と同一出願人によ
る特願昭63−189640号や特願昭63−189641号に開示した
もの等がある。
これらの条件をゾーンプレートや全反射鏡のような他
の光学素子で実現することは困難である。例えば、ゾー
ンプレートでは輪帯数や開口数を大きくすることが必要
となるが、その製造は困難である。具体的には、光源−
試料間の距離Lcを100mm,NAc=0.125,光源倍率M=2の
場合(分解能20nm,倍率500倍の対物との組合せ)、後述
の式から、ゾーンプレートの輪帯数は312500,最小線幅
6.7nm,輪帯半径4.17mmとなり、現状の技術では製作が困
難である。そして、冷却についても、ゾーンプレートは
その構造上困難である。また、全反射鏡では単色化のた
めに別に分光素子が必要となり、開口部遮蔽のため光源
の空間的利用効率も低い。更に、球面多層膜鏡では1面
では収差補正が困難なため、効率の良い均一な照明がで
きないし、収差補正のために2面の反射を用いる場合に
は、低反射率と開口部遮蔽のため低効率となる。例えば
2つの反射球面を用いたシュワルツシルド型の場合、反
射率30%の多層膜を使用しても、中央部遮蔽を考慮する
ならば、せいぜい5%程度の集光効率になってしまう。
以上の観点からして、コンデンサーとしては1回の反
射で収差補正が良好で効率的な集光を可能とし、最も簡
単な形状の回転楕円体多層膜鏡が最適である。しかも、
回転楕円体面の加工精度は結像系に用いるのとは異な
り、形状精度は200nm程度、表面粗さは0.2nm程度なので
製作が可能である。また、素子の冷却についても、回転
楕円体多層膜鏡であれば、その裏面を水冷にて冷却する
ことができるので極めて有効である。
このような多層膜鏡においては、反射X線の分光特性
は第5図のようになる。第5図では、横軸に波長λ(又
は反射角度θ)、縦軸はX線強度を示す。また、第6図
は多層膜の構成を示す概略断面図であり、多層膜へのX
線の入射角を法線を基準として測った角度θとして示し
ている。
ここで、多層膜によって分光されるスペクトル幅Δλ
は、次のように決定される。
可干渉距離(λ2/Δλ)と、多層膜の周期数Nc及び
多層膜の1周期の厚さdTとの間には、 2Nc・dTcosθ=λ2/Δλ (28) が成り立つ。一方、隣接周期間の干渉の条件から、次の
ブラッグの条件が成り立つ。
2dTcosθ=λ (29) この(29)式と(28)式とから前記した(21)式の関
係が求められる。
ところで、回転楕円体多層膜鏡においては、第7図に
示す如く、ターゲット5から発生するX線の入射角が回
転楕円体多層膜鏡9の反射領域ごとに異なり、その変化
量が以下に示す反射の許容角度幅を超えている。従っ
て、同一構成の多層膜では、領域によって反射率が大き
く低下する。このため、反射領域ごとに入射角の変化に
対応して多層膜の膜厚を変える必要がある。ただし、同
一反射点での入射角の幅αは、反射の許容角度幅内であ
る。具体的には、第7図に示した如く、回転楕円体反射
鏡9の中心部でのX線入射角をφ、反射鏡の両端での入
射角をψ+Δψ,ψ−Δψとする。そして、入射角が変
わった場合に多層膜としての所定の反射率が維持できる
角度幅、即ち入射許容角度幅をdθとすると、上記(2
1)式と(29)式から、多層膜鏡の有効反射の許容角度
幅は多層膜の周期数Ncとの間には、 tanθ・dθ≒1/Nc (30) となる。一方、照明系では、正弦条件が満たされている
とすると、 Δψ≒{sin-1(NAc)−sin-1(NAc/M)}/2 さらに、NAc≪1であるので、 Δψ≒NAc(M−1)/(2・M) となる。従って、 で与えられる数だけ回転楕円体の反射領域を帯状に分割
し、各領域ごとに膜厚を最適化した多層膜を構成するこ
とが好ましい。
例えば、θ=65°、M=2の場合を計算すると、Δψ
/dθ≒13となるので、回転楕円体の反射領域を26の帯状
領域に分割して多層膜を形成することが好ましい。尚、
θ=65°としたのは、試料を水平に保って観察するため
に適切な角度であることは前述したとおりである。
(xiii)対物光学系の方式と最適化 対物光学系については、高効率、高分解能、高倍率で
しかも小型で製作可能なものとして、位相ゾーンプレー
トを採用した。対物光学系の必要条件として、以下の
(a)〜(d)がある。
a)試料損傷の低減のための高効率化 η0≒30% b)分解能については、生体観測が可能な光学顕微鏡の
分解能が200nmであるので、これよりも優れた値として
分解能δをδ=20〜100nmとする。
c)高分解能を撮像素子にて可能とするために、倍率β
は撮像素子の画素寸法(10μm)を所望の分解能で除し
た値として決定され、 β=100〜500の高倍率とする。
d)装置全体の小型化のために、物像間距離L0を400mm
程度以下とする。
上記の各条件は、以下の設計例のように位相ゾーンプ
レートによって達成できる。しかし、同様の仕様の対物
光学系を全反射鏡や多層膜反射鏡のような鏡で実現する
ことは次のような理由で困難である。すなわち高倍率な
鏡で物像間距離を200mm程度に小型化することは困難で
ある。また、高分解能な鏡は形状精度が波長程度(数n
m)と厳しいため製作も困難である。更に、多層膜鏡対
物を構成する場合には、収差補正のため低い反射率の面
を2面使用しなければならず、開口の一部も遮蔽される
ため低効率であり、また光学調整も難しくなる。
ところで、一般にゾーンプレートは第8図の平面図に
示す如く、輪帯状の光学素子であり、その断面形状によ
って、第9図に示したように、フレネルゾーンプレート
FZP、位相ゾーンプレートPZP、鋸歯状ゾーンプレートBZ
P等に分類される。これらのうちBZPが最も効率が高い
が、X線領域用としては製作が困難であるため通常はBZ
Pに次いで効率の高いPZPが採用される。そして、位相ゾ
ーンプレートとしては、さらに効率の向上、フレアの低
減を図ることが必要であり、また照射スペクトル幅と色
収差との整合、有効視野径の確保、さらに倍率変換にお
いても焦点面を一定に保つ(所謂同焦点)ことも必要で
ある。
以下、個々の観点について位相ゾーンプレートの具体
的設計例に沿って説明する。
位相ゾーンプレートの効率 第10図はゾーンプレートの回折光を示す図であり、図
のような多くの次数の回折光がある。一般に厚さの無視
できる位相ゾーンプレートの各次数の回折光の焦点距離
及び回折効率は以下のように与えられる。
fm=f/m(m=0,±1,±3,±5…) (32) ηm=(1+TZ 2−2TZ・cosχ)/(mπ)2 (33) η0=(1+TZ 2+2TZ・cosχ)/4 (34) ηab=(1−TZ 2)/2 (35) ただし、 fm:m次回折光の焦点距離 f:結像に利用する1次回折光の焦点距離 ηm:m次回折光の回折効率(但しη0≡η1) η0:0次回折光(直接光)の回折効率 ηab:位相ゾーンプレートの吸収率 TZ:位相ゾーンプレートの振幅透過率 χ:隣接(明暗)輪帯の位相差 ここで、振幅透過率TZ=1、位相差χ=πならば、理
想的な効率40%となるが、現実にはゾーンプレートの材
料に吸収があるために効率は低下し、波長2.5nmにおい
ては30%程度の効率が最大となる。しかし、断面形状を
階段状や鋸歯状にすれば更に高効率が可能となる(例え
ば、本願と同一出願人による特開平1−142604号公
報)。
尚、これらの高効率ゾーンプレートは、以下のフレア
の低減にも極めて有効である。
位相ゾーンプレートのフレア 通常の結像には回折効率が最も高い1次回折光を使用
するが、それ以外の回折光はフレアとなり、これらの除
去が必要となる。第11図は、m次回折光によるフレアの
発生状態を示す図である。図では、実線は1次回折光に
よる結像を示し、破線はm次回折光による結像とフレア
を示している。m次回折によりゾーンプレートの近傍
に、高さhmの小さい像が形成され、この像が1次回折光
の像面(高さh1)上では実効的にhmfの大きさに広がっ
たボケ像となる。
ここで、1次回折光の像面上で、m次回折光によるボ
ケ像の相対強度ζmは、 ζm=(h1/hmf2 となるが、βをゾーンプレートの一次回折光による倍
率、rNを位相ゾーンプレートの半径(最外郭輪帯の半
径)とし、φ0をここでは視野絞り径とすると、 h1=βφ0/2 hmf≒β{(m−1)rN±φ0/2} (ここで、複符号の+はmが1以上の場合、−はmが0
又は負の場合を示す。) となるので、相対強度ζmは、次式のようになる。
ζm≒1/{(m−1)2rN/φ0±1}2 (36) そして、(10)式における光学系のフレア係数ηf
各回折光の回折効率と幾何学的なボケ像の相対強度との
積の総和であるから、次のようになる。
ここで、TZ=0である通常のフレネルゾーンプレート
やTZ≠1である現実の位相ゾーンプレートを使用する光
学系では、上式の第1項の0次回折光をカットするよう
に照明法を構成できる。従って、第2項以降の高次回折
光によるフレアのみが問題となる。
(37)式から、m次回折光のフレア係数ηfmは回折次
数の4乗に反比例するため、フレアの主要回折光として
0,−1次,±3及び±5次までを考慮すれば十分であ
る。また、視野絞り径をゾーンプレート径の5分の1
(φ0=2rN/5)にすれば、フレアは100分の1程度に減
少する。最大検出光子数を100程度とする本実施例の顕
微鏡においては、視野絞りを絞ることにより、フレアの
光子数を1個程度以下に抑えて無視することができる。
このような観点から、各対物毎に撮像素子の対角線長
で決まる視野絞り(この絞り径で実視野が決定される)
以外に、ゾーンプレート径の5分の1程度の視野絞りを
用意しておくことによって、必要に応じてフレアの少な
い鮮明な画像が得られるように構成した。これは、明る
い視野内に僅かの黒点がある場合(Tsm/Tsmax≒1)の
ようなフレアが目立つ状態においても、フレアのない鮮
明な像を観察し得る条件である。実用上はこれほど厳し
く視野を制限する必要はない。より詳細に検討するに、
フレアnfの許容量は、前述のとおり1画素当たり平均1
個以下であり、これを式にて示せば、(10),(11)式
より、nf≪nmaxであるから、次のようになる。
nf≒nf・(Tsm/Tsmax)・nmax<1 そして、通常の生体試料では、試料の厚さは10μm、
平均のタンパク質の厚さはtpm=1.5μmであるから、
(7)式より平均透過率がTsm=0.035となる。また、T
smax=Tw=0.273であるから、 Tsm/Tsmax=0.128 となる。従って、フレア係数ηfの許容値は、 ηf<1/(0.128・nmax) となる。ここで、最大検出光子数nmaxが100個の場合
は、nf<0.08となる。そして、(37)式より、上記のフ
レア係数となる視野絞り径φ0は、 φ0≒7rN/5 と求められる。このように、通常の試料観察において
は、視野絞りの口径をゾーンプレートの直径の70%の径
に制限することによって、フレアを無視することができ
る。
以上のごとく、フレアを無視し得る鮮明な観察のため
には、試料に応じて視野を制限すればよく、通常の試料
ではゾーンプレート径の70%まで絞れば十分であり、こ
れ以上に絞っても視野が狭くなるばかりである。このた
め、実用上は撮像素子の対角線長から決まる実視野径
と、通常試料用にゾーンプレート径の70%の口径を持つ
絞り及び限界試料用にゾーンプレート径の20%の口径を
持つ絞りを設けておけば、これらを使い分けて実用的な
観察を行うことができる。
尚、前記特開平1−142604号公報のようにマイナス次
数の回折光の無い高効率ゾーンプレートでは絞りを挿入
せずに、+3次や+5次の像位置にその像と同程度の大
きさの遮光物を配置することによっても、フレアを大幅
に減少させることが可能である。
ゾーンプレートの諸量の関係 まず、一般の光学系に成り立ち設計上必要な式として
次のようなものがある。分解能δと焦点深度Dfについ
て、NA0を開口数,波長λとすると、δ=λ/{2(N
A0)} (38) Df=±λ/{2(NA02} (39) が成り立つ。また、焦点距離f、物像間距離L0及び倍率
βに関して、 f=β・L0/(β+1)2 (40) が成り立つ。
一方、ゾーンプレートでは焦点距離は1次回折光の焦
点距離であり、ゾーンプレートの輪帯半径rkとの関係は
以下のようになる。
rk 2≒kλf (41) 但し、輪帯番号;k=1,2,3,…,N0 (明暗で2と数える) そして、一般に光学系の諸量とゾーンプレートの諸量
との間には、ゾーンプレートの最小輪帯幅としての最外
郭輪帯の幅ΔrNを、 ΔrN=rN−rN-1 とすると、以下のような関係が成り立つ。
δ≒ΔrN(β+1)/β (42) Df≒±f(β+1)2/(2N0β2) (43) rN≒L0・NA0/(β+1) (44) N0≒L0・NA0 2/(λ・β) (45) ここで、倍率β、分解能δ、使用波長λが仕様として
与えられているので、上記(45)式によれば、N0又はL0
の何れかを決めれば、これらの式から、効率以外のゾー
ンプレートとしての全ての諸量が決定されることにな
る。ここで、N0またはL0の何れかを決定する要因が、前
述したフレアと以下の許容スペクトル幅と有効視野径で
ある。
照射スペクトル幅と色収差との整合 一般に色収差dZ′は、 dZ′=(1+β)2df (46) であり、実用上は色収差が焦点深度より小さければ問題
ない。このため、像面上での焦点深度はβ2Dfであるか
ら、 dZ′≦β2Df (47) が成立すればよい。これが許容色収差量を決める条件と
なる。
ここで、ゾーンプレートについては、(41)式より、
df=−f・dλ/λとなり、これと(40)(45)(46)
式とからゾーンプレートの色収差は dZ′={(N0(β/NA02}dλ (48) となる。そして、Δλ=2dλであることと(39)(47)
(48)式とから、 λ/Δλ≦N0 (49) となる。
この(49)式がゾーンプレートの許容色収差の条件で
あり、スペクトル幅Δλとゾーンプレートの輪帯数N0
を上記の関係を満たすように構成する必要がある。
本実施例の構成においては、前述したように多層膜鏡
によってスペクトル幅が、λ/Δλ≒Nc≒200と決定さ
れているので、N0≦200とすることが必要となる。
ゾーンプレートの有効視野 第12図は、ゾーンプレートによる像面の湾曲の状態を
示した図であり、ゾーンプレートによる像は一般には実
戦で示すように湾曲している。本発明におけるゾーンプ
レートの開口数NA0は、NA0<0.1程度と比較的小さいの
で、ゾーンプレートの3次収差係数によって結像性能を
評価することができる。ゾーンプレートの3次収差係数
によれば、歪曲収差係数がゼロなので、非点収差と像面
湾曲が像を劣化させる支配的要因となる。この3次収差
係数からメリディオナル像面の曲率半径RMは、 RM=f/3 (50) であり、これと焦点深度β2Dfとから有効視野が決定さ
れる。すなわち、像面の湾曲量が像面の焦点深度内に入
る領域が有効な視野となる。
第7図は、ゾーンプレート対物についての結像関係の
概略光路を示しており、高さφ0/2の試料13の像がゾー
ンプレート14によって、像高がβφ0/2に拡大形成され
る。ここでは、半径RMの湾曲した像面Iが像面上での焦
点深度β2Dfの範囲に入っているため像高βφ0/2の範囲
までが鮮明な像として検出可能である。この関係は、 (βφ0/2)2/(2RM)≦β2Df (51) と表される。
いま、ゾーンプレートの半面角をωとすると、 ω=βφ0/{2(1+β)f} であるから、(45)と(51)式より、 となる。
従って、有効視野径φIは、 φI≒2ωL0 であるから、上記(45)式のL0を代入すると、 と求められる。
ここで、第13図の平面図に示す如く、有効な像の大き
さは撮像素子15の対角線長よりも大きいことが必要であ
る。撮像素子の有効対角線長は、後述のように概ね9mm
であるので、φI≦9mmとなるように(53)式に基づいて
N0を決定すればよい。
ゾーンプレートの設計例 以上のごとき検討において、上記の照射スペクトル
幅と色収差との整合の観点から決定されるN0≦200の条
件は、上記のゾーンプレートの有効視野の観点におい
て実用上のφI≧9mmとして(53)式で決定される条件と
は、両立しない。このため、上記ととの観点のうち
何れかを重視した設計とするか、両者の折衷案とするこ
とが必要となる。
以上の如き観点に基づいて設計された本発明による結
像型X線顕微鏡装置の仕様諸元を表1、表2及び表3に
示す。表1の例は上記の照射スペクトル幅と色収差と
の整合を重視した設計例であり、この場合は色収差は少
ないがゾーンプレートの径が小さいため(37)式より、
フレアが多く且つ有効視野が狭くなる。一方、表2の例
はのゾーンプレートの有効視野を重視したものであ
る。これは有効視野が広いが色収差は大きくなる。表3
はフレアを重視した設計例で、フレアが少なく且つ有効
視野は広いが色収差が非常に大きいため、一層の単色化
が必要となる。
実際の設計に当たって、設計の自由度としてはゾーン
プレートの輪帯数N0又は物像間距離L0の何れかのみであ
るため、各実施例のように色収差、有効視野及びフレア
のいずれかを重視することとなる。このため、使用目的
に応じた構成とすることか必要であるが、通常は表2の
例が最も実用的と考えられる。
尚、下記実施例では、何れも対物としてのゾーンプレ
ートの倍率を3変倍としたものであり、変倍に際しても
焦点面の変化を生じない同焦点として構成されたもので
ある。また、ここでの1次回折光の焦点距離fは、β≫
1であるため、実質的に作動距離とほぼ同じである。
尚、r1は輪帯の最小半径である。フレア係数ηfは、TZ
=1,χ=πまたは、0次回折光をカットする照明法を採
用し且つφ0が実視野の場合の値である。
上記の数値例において、以下の表4のような共通の仕
様を有している。
(xiv)その他 倍率変換について 試料の損傷を最小限に留めるため、必要領域のみにX
線を照射することが必要であり、又X線源の効率的な利
用のためにも、対物光学系の分解能、倍率ごとに必要な
範囲と開口数で照明するための専用の多層膜鏡コンデン
サーを組み合わせることが必要である。従って、対物光
学系を上記の表に示した各倍率のものに交換して用いる
場合、各対物光学系の交換に応じて、コンデンサーとし
ての回転楕円体多層膜鏡を最適組み合わせのものに交換
することが必要である。
この交換のための構成として、第14図に示した如く、
回転楕円体多層膜鏡9と異なる倍率の回転楕円体多層膜
鏡9aを鉛直方向上で異なる位置に配置すると共に、レー
ザの集光用レンズ3とターゲット5とを水平方向に一体
的に移動しする。このとき、ターゲット5と試料13と
が、それぞれ常に回転楕円体多層膜鏡の第1焦点及び第
2焦点上に位置することはいうまでもない。
試料容器の窓材について 試料を収納する容器の窓材としては、X線透過率が高
い材料、例えばSi3N4膜などを用いることが必要であ
る。この場合、試料容器の厚さは50nm、窓の直径は有効
視野との関係から100μm程度とすることが望ましい。
また、本願と同一出願人による特開昭63−298200号公報
に開示した如き構成でも良い。
二次元X線撮像素子について 光子計数可能な二次元X線撮像素子としては、検出感
度の波長域;2.3nm〜4.4nm、量子効率、開口効率がほぼ1
00%で、画素寸法が10μm、NTSC方式に準拠して画素数
が700x525=367500、従って対角線長が9mm、毎秒像数は
30とすることが望ましい。このための素子の方式として
は、例えば背面照射型FT−CCD等がある。
光学顕微鏡でのモニター観察について X線顕微鏡で常時観察することは試料の損傷を早める
ため、第15図に示す如く、通常は光学顕微鏡20で観察す
ることとし、必要に応じてX線顕微鏡上に試料を移送し
て必要部分のみの生体細胞のX線顕微鏡による観察を行
うことが有効である。この場合、光学顕微鏡としては、
位相差、微分干渉、偏光、蛍光、暗視野等の検鏡方法が
可能となるようにシステムを構成することが好ましい。
〔発明の効果〕
以上のごとき本発明の結像型軟X線顕微鏡によれば、
多層膜鏡によってX線の単色化を行い、パルスX線源か
ら発光される1パルスのX線をコンデンサーとしての楕
円体多層膜反射鏡により試料面上に集光し、対物光学系
としての位相ゾーンプレートによって拡大像を形成し、
二次元X線撮像素子にて光電的に光子計数撮像を行う構
成としたため、高効率・高分解能が可能となっている。
そして、これによって、生体の損傷を最小限にして、生
きた生体の動態を非破壊で20nm程度という極めて高分解
能で観察することが可能となっている。また、一般の電
子顕微鏡では、瞬間凍結・薄切・染色して、試料の固定
状態にて観察しているのに対し、本発明によれば、生き
ている細胞を固定することなくその動態を非破壊にて観
察することが可能である。一方光学顕微鏡においても、
非固定・非破壊での動態観察が可能であるが、その分解
能はせいぜい200nmに過ぎないが、本発明のX線顕微鏡
においては、20nmに達する極めて高分解能の観察が可能
となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による結像型軟X線顕微鏡の構成を示す
概略構成図、第2図は二次元X線撮像素子による光子計
数のようすを示す説明図、第3図は試料における水と蛋
白質の厚さについての構造の模式図、第4図は本発明に
おける結像型X線顕微鏡の光源の径と利用効率を説明す
るための基本構成図、第5図は回転楕円体多層膜鏡にお
ける反射X線の分光特性図、第6図は回転楕円体多層膜
鏡の多層膜の構成を示す概略断面図、第7図は回転楕円
体多層膜鏡における反射光束の様子を示す光路図、第8
図は一般的ゾーンプレートの平面図、第9図は各種ゾー
ンプレートの断面図、第10図はゾーンプレートの回折光
を示す図、第11図はm次回折光によるフレアの発生状態
を示す図、第12図はゾーンプレートによる像面の湾曲の
状態を示す図、第13図は撮像素子の対角線長と像の有効
領域との関係を示す平面図、第14図はコンデンサーとし
ての回転楕円体多層膜鏡の変換の様子を示す概略構成
図、第15図は光学顕微鏡とX線顕微鏡との交換による観
察の様子を示す図である。 〔主用部分の符号の説明〕 1……パルスレーザー 2……パルス制御部 3……集光レンズ 4……真空保持用窓 5……ターゲット 6……飛散物の排気部 7……中性粒子(プラズマ)遮蔽窓やX線強度調節用フ
ィルター 8……絞り 9……コンデンサ多層膜鏡と切り替え機構 10……冷却部 11……絞り 12……試料容器 13……試料 14……対物ゾーンプレート 15……二次元X線撮像素子 16……画像処理部 17……画像出力部 18……観察光学系の真空容器 19……X線源部の真空容器 20……光学顕微鏡
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭47−24288(JP,A) 特開 昭60−98399(JP,A) 特開 平1−128000(JP,A) 特開 昭62−126334(JP,A) 有留宏明ら「レーザープラズマX線源 を用いたX線顕微鏡」大阪大学レーザー 核融合研究センター共同研究報告集, 1993年,p.127−128 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G21K 1/06 G21K 7/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パルスX線源と、単一の凹面非球面多層膜
    鏡コンデンサーと位相ゾーンプレート対物と、二次元X
    線撮像素子と画像処理手段及び出力手段とを有すること
    を特徴とする結像型軟X線顕微鏡装置。
  2. 【請求項2】前記凹面非球面多層膜鏡コンデンサーは、
    回転楕円体多層膜反射鏡であり、該回転楕円体多層膜反
    射鏡の第一焦点に前記パルスX線源が配置され、前記回
    転楕円体多層膜反射鏡の第二焦点上に試料が配置されて
    いることを特徴とする請求項1記載の結像型軟X線顕微
    鏡装置。
  3. 【請求項3】前記パルスX線源は、パルスレーザをター
    ゲット上に集光してX線を発生するパルスレーザ励起プ
    ラズマX線源であり、前記凹面非球面多層膜鏡コンデン
    サーによってX線の単色化を行い、パルスレーザーによ
    り励起発光される1パルスのX線で光子計数撮像を行う
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の結像型軟X線顕
    微鏡装置。
  4. 【請求項4】X線の波長をλ、スペクトル幅をΔλとす
    るとき、前記パルスレーザー励起X線源は、前記二次元
    X線撮像素子に入射する画素当たりの最大検出光子数n
    maxが、 25≦nmax<λ/Δλ となるX線発生強度を有していることを特徴とする請求
    項3記載の結像型軟X線顕微鏡装置。
  5. 【請求項5】前記パルスレーザー励起プラズマX線源
    は、パルス幅1μs以下の1パルスで前記二次元X線撮
    像素子が撮像可能な強度のパルスX線を発生し、前記凹
    面非球面多層膜鏡コンデンサーの層構造の周期数Ncが50
    〜400で、前記凹面非球面多層膜鏡コンデンサーによ
    り、λ/Δλ=50〜400に単色化して、前記パルスレー
    ザX線源からのX線を試料上に集光することを特徴とす
    る請求項3又は4記載の結像型軟X線顕微鏡装置。
  6. 【請求項6】前記ターゲットから飛散する飛散物を除去
    するための除去手段を設けたことを特徴とする請求項3
    乃至5記載の結像型軟X線顕微鏡装置。
  7. 【請求項7】前記凹面非球面多層膜鏡コンデンサーによ
    り試料に照射されるX線の波長域は2.3〜4.4nmであるこ
    とを特徴とする請求項1乃至6記載の結像型軟X線顕微
    鏡装置。
  8. 【請求項8】前記凹面非球面多層膜鏡コンデンサーに
    は、冷却装置が設けられていることを特徴とする請求項
    1乃至7記載の結像型軟X線顕微鏡装置。
  9. 【請求項9】前記凹面非球面多層膜鏡コンデンサーは、
    反射領域を帯状領域に分割し、各領域ごとに所定の膜厚
    で多層膜を形成することを特徴とする請求項1乃至8記
    載の結像型軟X線顕微鏡装置。
  10. 【請求項10】前記位相ゾーンプレート対物の交換に応
    じて、前記凹面非球面多層膜鏡コンデンサーを交換する
    ことを特徴とする請求項1乃至9記載の結像型軟X線顕
    微鏡装置。
  11. 【請求項11】光学顕微鏡を併設することを特徴とする
    請求項1乃至10記載の結像型軟X線顕微鏡装置。
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有留宏明ら「レーザープラズマX線源を用いたX線顕微鏡」大阪大学レーザー核融合研究センター共同研究報告集,1993年,p.127−128

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