JPH0612034Y2 - 土留壁形成用鋼管杭 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、土留壁形成用鋼管杭に関する。

〔従来の技術〕

従来の鋼管杭としては、次の[1],[2]に記載したものが
知られている。

[1]隣接する鋼管杭の周面のうちの、径方向で対向する
二位置に、互いに係合可能な雄型と雌型との二種の継手
部材を各別に設けて、相隣る位置の鋼管杭の雌雄の継手
部材どうしを係合連結するように構成したもの。

[2]上記[1]の鋼管杭において、継手部材どうしの係合隙
間に充填される膨張性充填剤を用い、各継手部材どうし
の連結箇所における止水性を向上させるように構成した
もの（例えば実開昭56-33350号公報参照）。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、上記[1]に記載の従来構造のものは、隣接する
鋼管杭どうしの間における継手部材の連結箇所に隙間が
でき、止水性が悪いという欠点があった。

また、前記[2]に記載の従来構造のものでは、前記[1]の
構造に比べて止水性の面では改善されているものの、鋼
管杭に対する継手部材そのものの構造や、継手部材内へ
の膨張性充填部材の供給構造が複雑となり、全体として
コスト高となり易いものであった。

本考案の目的は、止水性を高められる鋼管杭を簡単な構
造で提供する点にある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の土留壁形成用鋼管杭の特徴構成は、隣接する鋼
管杭の周面のうち、互いに対向する箇所の周面に圧接し
て、両鋼管杭どうしを互いに離間する方向に付勢する止
水用板バネを、鋼管杭のほぼ全長又はそれに近い状態に
わたって取付けてあることにあり、その作用効果は、次
の通りである。

〔作用〕

つまり、上記鋼管杭を地中穴に並列に埋設する時に、止
水用板バネを、隣接する鋼管杭の互いに対向する箇所の
周面に圧接して、両鋼管杭どうしを互いに離間する方向
に付勢することにより、鋼管杭間の隙間がそのほぼ全長
又はそれに近い状態にわたって封止される。

〔考案の効果〕

従って、鋼管杭に板バネを取付けるだけの簡単な構造
で、専用の継手部材や膨張性充填材などを必要としない
止水性の高い土留壁を形成できる鋼管杭を提供すること
ができた。

〔実施例〕

次に、本考案の実施例を、図面に基づいて説明する。

第１図に示すように、地中にアースオーガ等の掘削機に
よって互いに並ぶ状態で掘削されるとともにセメントミ
ルク等の自硬性流動物を充填した竪穴(A)内に鋼管杭(1)
を並列状態で挿入し、自硬性流動物の固化に伴い、土留
壁等の地中壁を構成するものである。

前記鋼管杭(1)夫々を構成するに、第２図及び第３図に
示すように隣接する鋼管杭(1)の周面に圧接する横断面
視蛇行形状の止水用板バネ(2)を、直径600mmの筒状の鋼
管のほぼ全長にわたって溶接してある。

尚、前記板バネ(2)は２〜３mm程度の板厚のものが使用
される。

次に、土留壁(B)の施工方法は、鋼管製のケーシング(4)
とそれに内装したスクリューオーガー(5)を、互いに逆
転させながら竪穴(A)を掘削するドーナツオーガー方式
を採用して、その方式で掘削した竪穴(A)内に、ソイル
セメントを充填した後、鋼管杭(1)をその竪穴(A)内に落
とし込み、順次掘削しながら複数の鋼管杭(1)を並列に
埋設していく。

そして、先に埋込まれた鋼管杭(1)は、第１図及び第２
図に示すように、隣に竪穴(A)を形成する段階で、掘削
機(6)によってドーナツオーガー方式で掘削することに
より、既掘削側より未掘削側の方が掘削抵抗が大きいた
めに、掘削に伴ってケーシング(4)を既掘削側へ寄せよ
うとする力が働き、従って、既埋設の鋼管杭(1)がケー
シング(4)によって隣の既埋設鋼管杭(1)側に押され、板
バネ(2)と隣接の鋼管杭(1)の周面とが密着し止水性が上
がる。

〔別実施例〕

前記板バネ(2)を鋼管杭(1)の周面に溶接するのに、タッ
プ溶接又は連続溶接によって行ってもよく、また、板バ
ネ(2)は、第４図に示すように左右に延びる蛇行状バネ
部(2A)を一体形成したものであっても良く、また、隣接
する鋼管杭(1)の周面に圧接する部分(7)を形成してあれ
ば、いかなる形状であっても良く、更に、鋼管杭(1)の
ほぼ全長又はそれに近い状態にわたって板バネ(2)を設
けてあれば良い。

前記圧接部分(7)には、第５図に示すように、テープ状
の水膨張性樹脂材(8)を、その全長にわたって貼付して
止水性をより向上させてあっても良い。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便利
にする為に符号を記すが、該記入により本考案は添付図
面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る土留壁形成用鋼管杭の実施例を示
し、第１図は土留壁の形成途中の側面図、第２図は土留
壁の形成途中の平面図、第３図は要部平面図、第４図及
び第５図は夫々別実施例を示す要部平面図である。 (1)……鋼管杭、(2)……止水用板バネ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】隣接する鋼管杭(1)の周面のうち、互いに
   対向する箇所の周面に圧接して、両鋼管杭(1)どうしを
   互いに離間する方向に付勢する止水用板バネ(2)を、鋼
   管杭(1)のほぼ全長又はそれに近い状態にわたって取付
   けてある土留壁形成用鋼管杭。