JPH06118967A - 適応型雑音低減装置 - Google Patents

適応型雑音低減装置

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JPH06118967A
JPH06118967A JP4285490A JP28549092A JPH06118967A JP H06118967 A JPH06118967 A JP H06118967A JP 4285490 A JP4285490 A JP 4285490A JP 28549092 A JP28549092 A JP 28549092A JP H06118967 A JPH06118967 A JP H06118967A
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Kaoru Gyotoku
薫 行徳
Toru Sasaki
徹 佐々木
Hitoshi Okubo
仁 大久保
Takayuki Mizuuchi
崇行 水内
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 適応型雑音低減装置において、人声音声のよ
うな非定常信号であって、有色音声の場合にも、低減対
象音声を適切に低減する。 【構成】 単位遅延時間の遅延回路の複数個の直列接続
からなる線形結合器と、この線形結合器の各タップから
の信号と加重係数とを掛け合わせる係数乗算器を備え、
参照入力音声信号から、主要入力音声信号中の低減対象
信号に近似する信号を形成する適応フィルタ手段24を
設ける。合成手段14で、この適応フィルタ手段24の
出力信号を主要入力音声信号から減算処理する。合成手
段14の出力パワーが最小化されるように適応フィルタ
手段24を調整する。主要入力音声信号中の低減対象信
号と、参照入力音声信号中の低減対象信号との遅延時間
差に相当する適応フィルタ手段24の線形結合器のタッ
プにおける加重係数を、他のタップにおける加重係数に
対して相対的に大きめに設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、適応処理を用いた雑
音低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、適応型雑音低減装置として、図6
に示すような回路が知られている。図6において、1は
主要入力端子、2は参照入力端子であって、主要入力端
子1を通じて入力された信号は遅延回路3を介して合成
回路4に供給される。また、参照入力端子2を通じて入
力された信号は、適応フィルタ回路5を介して合成回路
4に供給され、遅延回路3からの信号から減算される。
この合成回路4の出力は、適応フィルタ回路5に帰還さ
れると共に、出力端子6に導出される。
【0003】この雑音低減装置においては、主要入力端
子1には、希望信号sと、これとは無相関の不要音声信
号(雑音)n0 とが加算されたものが入力される。一
方、参照入力端子2には、雑音n1 が入力される。この
参照入力の雑音n1は、希望信号sとは無相関である
が、雑音n0 とは相関があるようにされている。
【0004】適応フィルタ回路5は、参照入力雑音n1
を処理して、雑音n0 に近似する信号yを出力する。こ
の適応フィルタ回路5の出力信号yとして、雑音n0 と
逆相、等振幅の信号を得るようにすることもできる。遅
延回路3は、適応フィルタ回路5での処理時間を考慮し
て、減算処理する信号の時間合わせをするためのもので
ある。この遅延回路3は、場合によっては設けなくても
よい。
【0005】適応フィルタ回路5における適応のアルゴ
リズムは、合成回路4の出力である減算出力(残差出
力)eを最小にするように働く。すなわち、今、s,n
0 ,n1 ,yが統計的に定常であり、平均値が0である
と仮定すると残差出力eは、 e=s+n0 −y となる。これを二乗したものの期待値は、sがn0 と、
また、yと無相関であるから、 E[e2 ]=E[s2 ]+E[(n0 −y)2 ] +2E[s(n0 −y)] =E[s2 ]+E[(n0 −y)2 ] となる。適応フィルタ回路5が収束するものとすれば、
適応フィルタ回路5は、E[e2 ]が最小になるように
調整される。このとき、E[s2 ]は影響を受けないの
で、 Emin [e2 ]=E[s2 ]+Emin [(n0 −
y)2 ] となる。
【0006】すなわち、E[e2 ]が最小化されること
によってE[(n0 −y)2 ]が最小化され、適応フィ
ルタ回路5の出力yは、雑音n0 の推定量になる。そし
て、合成回路4からの出力の期待値は、希望信号sのみ
となる。すなわち、適応フィルタ回路5を調整して全出
力パワーを最小化することは、減算出力eが、希望音声
信号sの最小二乗推定値になることに等しい。
【0007】出力eは、一般に、信号sに多少の雑音が
残ったものになるが、出力雑音はn−yで与えられるか
らE[(n−y)2 ]を最小化することは、出力の信号
対雑音比を最大化することに等しい。
【0008】合成回路4が音響合成手段となる場合もあ
る。すなわち、適応フィルタ回路5で、雑音と逆相、等
振幅の雑音打ち消し音声信号−yを形成し、これをスピ
ーカなどに供給して、主要音声に音響的に加算して雑音
を低減する構成とする。この場合の残差eは、残差検出
用マイクロホンで収音することとなる。
【0009】なお、適応フィルタ回路5はアナログ信号
処理回路で実現する場合とデジタル信号処理回路で実現
する場合の、いずれでも可能である。適応フィルタ回路
5を、デジタルフィルタを用いて実現した場合の例を図
7に示す。この例では、適応のアルゴリズムとして、い
わゆるLMS(Least Mean Squares;最小平均二乗)法
を使用する。
【0010】図7に示すように、この例では、FIRフ
ィルタ型の適応線形結合器300を使用する。これは、
それぞれ単位サンプリング時間の遅延時間τ(Z-1)を
有する複数個の遅延回路DL1,DL2,……DLm
(mは正の整数)と、入力雑音n1 及び各遅延回路DL
1,DL2,……DLmの出力信号と加重係数との掛け
算を行う加重回路(係数乗算器)MX0,MX1,MX
2,……MXmと、加重回路MX0〜MXmの出力を加
算する加算回路310を備える。加算回路310の出力
はyである。
【0011】加重回路MX0〜MXmに供給する加重係
数は、例えばマイクロコンピュータからなるLMS演算
回路320で、合成回路4からの残差信号eと参照入力
とに基づいて形成される。このLMS演算回路320で
実行されるアルゴリズムは、次のようになる。
【0012】今、時刻k における参照入力ベクトルXk
を、図7にも示すように、 Xk =[x0k1k2k ・・・xmkT とし、出力をyk 、加重係数をwjk(j=0,1,2,…m )と
すると、入出力の関係は、次の数1に示すように、
【0013】
【数1】 となる。
【0014】そして、時刻k における加重ベクトルWk
を、 Wk =[w0k1k2k ・・・wmkT と定義すれば、入出力関係は、 yk =Xk T ・Wk … (1) で与えられる。希望の応答をdk とすれば、出力との誤
差ek は次のように表される。 ek =dk −yk=dk −Xk T ・Wk … (2) LMS法では、加重ベクトルの更新を、 Wk+1 =Wk +2μ・ek ・Xk … (3) なる式により行っていく。加重係数の初期値は、一定値
あるいはランダムな値にせていされる。μは適応の速度
と安定性を決める利得因子(ステップゲイン)である。
【0015】上記式(3)において、ある時点k での係
数ベクトルWk を修正するベクトルが、式(3)の右辺
の第2項であるが、利得因子μと瞬時誤差ek とはスカ
ラー値で、ともに修正値を直接左右する。同じく参照入
力ベクトルXk も積の形で働くので、これも修正値を左
右する。平均的な収束の時定数τa は、 τa =(n+1)/4μ・trE〔Xi j T 〕 で表される。ここで、nは参照入力ベクトルの次数(F
IRフィルタのタップ数に対応)、trE〔Xi j T
は参照入力の平均パワーである。つまり、FIRフィル
タのタップ数が大きいほど収束速度は遅くなり、利得因
子μが大きいほど収束速度が速くなる。
【0016】定常的な信号の場合、収束速度が速いと最
終的な残留雑音レベルが大きく、逆に収束が緩慢である
と最終的な雑音レベルが小さくなる。しかし、対象とす
る信号が音声のように変動する場合には、収束しきる前
にその性質が変化してしまうため、ある程度収束速度が
速い方がキャンセル量が大きくなる。
【0017】利得因子μの値は、適応フィルタ回路5の
出力yが雑音n0 を打ち消すものに近づき、装置の出力
が希望信号sと同等のものになるように収束するために
は、次の条件を満足する必要がある。 0<μ<(信号の電力)/(FIRフィルタのタップ数+1)…(4) μが、式(4)の範囲より大きくなると、適応フィルタ
回路5の出力yは発散してしまい、装置の出力として大
きな雑音を発する。
【0018】従来、利得因子μの値は、処理後の信号の
品位に直接に影響する適応フィルタのタップ数と、参照
入力信号の大きさ(電力)とを勘案して、上記の式
(4)を満足して適応フィルタ回路5が正常に動作する
(収束する)ように、一定の値に定められている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した適
応雑音低減システムは、対象の信号が、定常的な信号で
あって、かつ、白色雑音のような信号である場合には、
本来望まれているシステム出力を得ることができる。し
かしながら、人声などのような、非定常であって、か
つ、有色の音声信号の場合には、望ましいシステム出力
が得られない場合が生じることがある。
【0020】例えば、前述したLMS法や学習同定法な
どの適応アルゴリズムを用いて、人声音声に対する雑音
の残差出力パワーが最小化するように適応動作させた場
合、人声音声は、パワーが周波数の低域に片寄っている
ために、適応フィルタは、適応動作によってローパスフ
ィルタの特性を持つ移動平均型フィルタを構成してしま
うことがあることが判明した。
【0021】すなわち、今、例えば、主要・参照の両入
力を、マイクロホンからの音声とすると、これら主要入
力用マイクロホン及び参照入力用マイクロホンには、音
源から信号が入射されるが、時刻tの主要入力中の雑音
成分nと同等の成分が参照入力には、時刻t+Dに入射
されているとする。
【0022】そして、このとき、タップ数と主要入力に
対する遅延を適当に設定し、システムを適応動作させ
る。例えば、雑音となる人間の音声が参照入力の2倍の
レベルで、参照入力と同時刻に主要入力に入射した場合
(D=0)に、適応フィルタのタップ数を3、遅延回路
3の遅延量をτの1倍、加重係数の初期値はすべて0に
設定し、適応動作させた様子を図8に示す。図8A、図
8B、図8Cは加重係数w0k、w1k、w2kに相当する。
なお、この場合、減算回路4に入力端において、主要入
力中と参照入力中の低減対象信号の遅延量はτであるか
ら、本来的には適応フィルタ回路5では、遅延回路DL
1の出力である2番目のタップに対する加重係数w1k
他の加重係数に比較して大きい状態となるはずである。
【0023】しかしながら、図13に示すように、この
場合には、係数w0k〜w2kは、すべて同じ係数値を取っ
ており、この場合のFIRフィルタは時間的に加算平均
を取っており、ローパスフィルタと同等の効果を持つ。
【0024】このようになると、適応雑音低減システム
においては、低域に片寄って低減処理がおこなわれてし
まうため、システム出力としては、完全に不要信号をキ
ャンセルできずに、残差出力に高域が残って、人声の音
色に悪影響を与えてしまうのである。
【0025】システム出力として望ましい低減出力が得
られない他の例を上げる。すなわち、低減対象の信号が
様々なパスを経て、主要入力、参照入力に、それぞれ供
給される場合、適応動作により構成されたフィルタは、
前述の通り、誤差パワーを最小化するように構成され
る。このため、パワーの大きな信号の低減量は大きく、
小さいパワーの信号の低減量が小さくなるものである。
【0026】この発明は、以上の欠点を克服できる適応
型雑音低減装置を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、この発明による雑音低減装置は、後述の実施例の参
照符号を対応させると、主要入力音声信号が入力される
主要入力端子と、前記主要入力音声信号中の低減対象信
号と相関がある参照入力音声信号が入力される参照入力
端子と、単位遅延時間の遅延回路の複数個の直列接続か
らなる線形結合器と、この線形結合器の各タップからの
信号と加重係数とを掛け合わせる係数乗算器を備え、前
記参照入力端子からの参照入力音声信号が供給されて、
前記主要入力音声信号中の低減対象信号に近似する信号
を出力する適応フィルタ手段と、この適応フィルタ手段
の出力信号を主要入力音声信号から減算処理する合成手
段と、この合成手段の出力パワーが最小化されるように
上記適応フィルタ手段を調整する手段とを備え、少なく
とも、前記主要入力音声信号中の低減対象信号と、前記
参照入力音声信号中の低減対象信号との間の遅延時間差
に相当する前記適応フィルタ手段の線形結合器のタップ
における加重係数を、他のタップにおける加重係数に対
して相対的におおきめに設定するようにしたことを特徴
とする。
【0028】
【作用】上記のこの発明の構成によれば、適応フィルタ
手段は、低減対象音声が、本来的に低減されるような加
重係数に、初期的に設定される。このため、人声音声の
ような非定常信号で、有色の音声信号であっても、適応
フィルタが移動平均型フィルタの構成となることが避け
られ、また、信号パワーの大小に影響されないシステム
出力が得られる。
【0029】
【実施例】以下、図1〜図5を参照しながら、この発明
による適応型雑音低減装置の一実施例について説明す
る。
【0030】図1において、11は希望音声を収音する
ための主要入力用マイクロホン、21は雑音として除去
したい方向の不要音声や周囲騒音を収音するための参照
入力用マイクロホンである。この例は、希望音声の到来
方向は、主として、図2において矢印ARで示すよう
に、図上、上方から下方に向かう方向(以下正面方向と
いう)であり、この方向と逆方向(以下背面方向とい
う)からの音声を雑音として収音しないようにする装置
を実現する例である。
【0031】この例の場合には、主要入力用マイクロホ
ン11は、図2に示すような無指向性のマイクロホンで
構成される。一方、参照入力用マイクロホン21は、図
2に示すように、希望音声到来方向に感度が低く、背面
方向に感度が高い単一指向性のマイクロホンで構成され
る。
【0032】また、この例の場合においては、これらマ
イクロホン11、21は、矢印ARの方向に沿って並べ
られ、その間の距離dは後述する適応フィルタ回路の単
位遅延時間τの間に音声が伝播される距離(d=cτ)
に等しく選定されている。
【0033】そして、主要入力用マイクロホン11によ
り収音され、電気信号に変換されて得られた音声信号
は、増幅器12を介してA−D変換器13に供給され
て、デジタル信号に変換され、減算回路14に供給され
る。また、参照入力用マイクロホン21により収音さ
れ、電気信号に変換されて得られた音声信号は、増幅器
22を介してA−D変換器23に供給されて、デジタル
信号に変換されて、適応フィルタ回路24に供給され
る。
【0034】この実施例では、適応フィルタ回路24
は、図3に示すようにように構成されている。すなわ
ち、適応フィルタ回路24は、単位遅延時間τの2個の
遅延回路241,242と、3個の加重回路243,2
44,245と、加算回路246とからなる3タップの
FIRフィルタ240と、このFIRフィルタ240の
加重回路243,244,245に供給する加重係数を
出力するLMS演算回路247から構成される。この適
応フィルタ回路24は、マイクロコンピュータを備える
DSP(デジタルシグナルプロセッサ)により構成する
ことができる。そして、A−D変換器23からのデジタ
ル信号は、演算回路247に供給されると共に、FIR
フィルタ240を介して減算回路14に供給される。
【0035】減算回路14の出力信号は、演算回路24
7に帰還されると共に、D−A変換器15によりアナロ
グ信号に戻され、出力端子16に導出される。なお、D
−A変換器15を省いて、減算回路14の出力信号をデ
ジタル信号のままで出力端子16に導出するようにして
もよい。
【0036】この場合、適応フィルタ回路24のLMS
演算回路247からの加重係数w0k、w1k、w2kは、次
の演算式から求められる。 w0k+1=w0k+2μ0 ・ek ・x0k …(5) w1k+1=w1k+2μ1 ・ek ・x1k …(6) w2k+1=w2k+2μ2 ・ek ・x2k …(7) そして、この例では、この(5)、(6)、(7)式に
おける各加重係数の初期値w00、w10、w20のうち、減
算回路14の入力端における主要入力中の低減対象信号
と参照入力中の低減対象信号との遅延時間差に相当する
タップ位置の加重係数(この例では、矢印ARとは逆方
向からの低減対象信号は、主要入力用マイクロホン11
には、距離dの分だけ、すなわちτだけ、参照入力用マ
イクロホン21よりも遅延して収音されるので加重係数
1k)の初期値w10が他の加重係数の初期値よりも大き
く設定される。これは、適応フィルタは、時間的には、
減算回路14の入力端における主要入力中の低減対象信
号と参照入力中の低減対象信号との間に遅延時間差が生
じないように働くもので、前記遅延時間差に相当する遅
延のタップ位置の係数を他の係数より優先して扱う必要
があるという考えから定めたものである。
【0037】このように構成して、適応システムを動作
させたときの3つの加重係数w0k、w1k、w2kの時間変
化は、図4A、B、Cに示すようになった。
【0038】この場合には、矢印ARとは逆方向からの
低減対象信号は、主要入力用マイクロホン11には、参
照入力用マイクロホン21よりもτだけ遅延して収音さ
れるので、適応フィルタ回路としては、2番目のタッ
プ、すなわち遅延回路241の出力x1kに対する加重係
数w1kが他の加重係数よりも大きい状態が正しい動作状
態であり、図4は、その動作状態になっていることが分
かる。
【0039】こうして、この発明によれば、適応フィル
タが従来のようなローパスフィルタの特性を示すことな
く、目的とする低減対象信号を、十分に低減することが
できる。因みに、図8で示した従来例における低減度
は、−19dBであったのに対し、この例の場合の低減
度としては、−22dB〜−23dBが得られた。
【0040】以上の例では、加重係数w1kの初期値を他
の加重係数に比べて大きく設定したが、要は、この加重
係数1kと他の加重係数との相対的な問題であるので、こ
の加重係数1kを大きくする代わりに、他の加重係数を、
この加重係数1kよりも小さくするようにしても同様の効
果が得られる。
【0041】また、加重係数の初期値を制御する代わり
に、各加重係数の更新式(5)、(6)、(7)におけ
る各ステップゲインμ0 、μ1 、μ2 の値を制御するよ
うにしてもよい。
【0042】すなわち、主要入力中の低減対象信号と参
照入力中の低減対象信号との遅延時間差に相当する遅延
のタップ位置の係数を他の係数より優先して扱う必要が
あるという考えから、係数w1kのステップゲインμ1 の
値を、他のステップゲインμ0 、μ2 よりも大きく設定
する。
【0043】このように構成して、適応システムを動作
させたときの3つの加重係数の時間変化は、図5に示す
ようになった。この例の場合にも、適応フィルタ回路と
しては、2番目のタップ、すなわち遅延回路241の出
力x1kに対する加重係数w1kが他の加重係数よりも常に
大きい状態となっており、正しい動作状態になってい
る。よって、減算回路14において、主要入力から低減
対象信号が差し引かれた後の誤差は少なくなるものであ
る。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、主要入力信号中の低減対象信号と、参照入力中の低
減対象信号との遅延時間差に応じた適応フィルタ手段の
タップの加重係数の初期値あるいは、ステップゲインを
他のタップのそれらに比較して大きく設定するようにす
ることにより、人声音声のような非定常信号であって、
かつ有色である場合にも、主要入力中の目的とする低減
対象信号を適切に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による適応型雑音低減装置の一実施例
の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例に使用する適応フィルタ回
路の一例の回路図である。
【図3】第1及び第2のマイクロホンの指向性の一例を
示す図である。
【図4】この発明の一実施例の動作を説明するための図
である。
【図5】この発明の一実施例の動作を説明するための図
である。
【図6】適応雑音低減装置の概要を示すブロック図であ
る。
【図7】適応フィルタ回路の構成例を示す図である。
【図8】従来の適応型雑音低減装置の動作説明のための
図である。
【符号の説明】
11 主要入力用マイクロホン 21 参照入力用マイクロホン 14 減算回路 24 適応フィルタ回路 241,242 遅延回路 243,244,245 係数乗算器(加重回路) 247 LMS演算回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水内 崇行 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主要入力音声信号が入力される主要入力
    端子と、 前記主要入力音声信号中の低減対象信号と相関がある参
    照入力音声信号が入力される参照入力端子と、 単位遅延時間の遅延回路の複数個の直列接続からなる線
    形結合器と、この線形結合器の各タップからの信号と加
    重係数とを掛け合わせる係数乗算器を備え、前記参照入
    力端子からの参照入力音声信号が供給されて、前記主要
    入力音声信号中の低減対象信号に近似する信号を出力す
    る適応フィルタ手段と、 この適応フィルタ手段の出力信号を主要入力音声信号か
    ら減算処理する合成手段と、 この合成手段の出力パワーが最小化されるように上記適
    応フィルタ手段を調整する手段とを備え、 少なくとも、前記主要入力音声信号中の低減対象信号
    と、前記参照入力音声信号中の低減対象信号との間の遅
    延時間差に相当する前記適応フィルタ手段の線形結合器
    のタップにおける加重係数を、他のタップにおける加重
    係数に対して相対的におおきめに設定するようにした適
    応型雑音低減装置。
  2. 【請求項2】 主要入力音声信号が入力される主要入力
    端子と、 前記主要入力音声信号中の低減対象信号と相関がある参
    照入力音声信号が入力される参照入力端子と、 単位遅延時間の遅延回路の複数個の直列接続からなる線
    形結合器と、この線形結合器の各タップからの信号と加
    重係数とを掛け合わせる係数乗算器を備え、前記参照入
    力端子からの参照入力音声信号が供給されて、前記主要
    入力音声信号中の低減対象信号に近似する信号を出力す
    る適応フィルタ手段と、 この適応フィルタ手段の出力信号を主要入力音声信号か
    ら減算処理する合成手段と、 この合成手段の出力パワーが最小化されるように上記適
    応フィルタ手段を調整する手段とを備え、 少なくとも、前記主要入力音声信号中の低減対象信号
    と、前記参照入力音声信号中の低減対象信号との間の遅
    延時間差に相当する前記適応フィルタ手段の線形結合器
    のタップにおける加重係数を更新する際に使用する利得
    因子を、他のタップにおける加重係数に対して相対的に
    変更するようにした適応型雑音低減装置。
  3. 【請求項3】 主要入力音声信号が入力される主要入力
    端子と、 前記主要入力音声信号中の低減対象信号と相関がある参
    照入力音声信号が入力される参照入力端子と、 単位遅延時間の遅延回路の複数個の直列接続からなる線
    形結合器と、この線形結合器の各タップからの信号と加
    重係数とを掛け合わせる係数乗算器を備え、前記参照入
    力端子からの参照入力音声信号が供給されて、前記主要
    入力音声信号中の低減対象信号に近似する信号を出力す
    る適応フィルタ手段と、 この適応フィルタ手段の出力信号を主要入力音声信号か
    ら減算処理する合成手段と、 この合成手段の出力パワーが最小化されるように上記適
    応フィルタ手段を調整する手段とを備え、 少なくとも、前記主要入力音声信号中の低減対象信号
    と、前記参照入力音声信号中の低減対象信号との間の遅
    延時間差に相当する前記適応フィルタ手段の線形結合器
    のタップにおける加重係数の初期値を、前記低減対象信
    号の出力パワーが小さくなるような値に設定するように
    した適応型雑音低減装置。
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