JPH06116382A - 軟質ポリカーボネート樹脂 - Google Patents

軟質ポリカーボネート樹脂

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JPH06116382A
JPH06116382A JP5205616A JP20561693A JPH06116382A JP H06116382 A JPH06116382 A JP H06116382A JP 5205616 A JP5205616 A JP 5205616A JP 20561693 A JP20561693 A JP 20561693A JP H06116382 A JPH06116382 A JP H06116382A
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JP
Japan
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formula
polycarbonate resin
weight
polyether
resin
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JP5205616A
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English (en)
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Haruo Watanabe
治生 渡辺
Takeshi Sato
剛 佐藤
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Hodogaya Chemical Co Ltd
Original Assignee
Hodogaya Chemical Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G64/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carbonic ester link in the main chain of the macromolecule
    • C08G64/18Block or graft polymers
    • C08G64/183Block or graft polymers containing polyether sequences

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
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  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来のポリカーボネート樹脂にくらべて、機
械的性質の強度を低下することなく、大きな引張伸び率
を有し、低温特性に優れた軟質ポリカーボネート樹脂を
提供することにある。 【構成】 次の式(a)で表されることを特徴とする軟
質ポリカーボネート樹脂。〔式(a)中、Aはポリエー
テルブロックであり、Bはカーボネートオリゴマーブロ
ックを示し、Aの割合は、20〜50重量%である。L
は7〜30の整数を示す。Aは、式(b)および式
(c)(式(c)中、R1 およびR2 のうち一方は水
素、もう一方はメチル基を示す。)で表される基を構成
単位とし、数平均分子量は、500〜3000であり、
Aにおける(c)の割合は5〜35重量%である。B
は、次式(d)で表される。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械的性質として引張
伸び率が大きく、低温特性に優れ、透明性を有する軟質
ポリカーボネート樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂は、優れた透明性
や、高い耐衝撃性を有しており、電気、電子部品や家電
製品の機械機構部品に成形品として利用されている。又
最近では他樹脂とのブレンド、ポリマーアロイ化により
新しい成形材料の創出にも役立てられている。
【0003】これらの用途に使用されているポリカーボ
ネート樹脂は、プラスチック的硬さを有しているものの
引張試験における伸び率は約100%を示し、さらに伸
び率を大きくするようなポリカーボネート樹脂として、
結晶性を有する芳香族化合物とゴム的性質を有する脂肪
族化合物の共重合反応による方法が多数検討されてい
る。
【0004】このような改質ポリカーボネート樹脂につ
いては、Jour’.Apply.Polym’.Sc
ie’.の343〜352ページ(1961年)に、又
Jour’.Polym.Scie’.Part C
707〜730ページ(1963年)に、ビスフェノー
ルA、及びブロックビスフェノールAとポリテトラメチ
レンエーテルグリコールから、軟質ポリカーボネート樹
脂の製造方法が報告されている。
【0005】同様な反応例として、特開昭49−133
494、特開昭51−61597には、各種の脂肪族グ
リコールの反応性が、又特開昭56−36517、特開
昭60−94420、特開昭62−11724、特開昭
62−161825、さらに米国特許3,287,44
2等にも、脂肪族化合物として、ポリエチレングリコー
ル、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを使用した
改質ポリカーボネート樹脂が紹介されている。
【0006】しかし、これらのポリカーボネート樹脂
は、一般的なポリカーボネート樹脂に比べ、機械的特質
としての引張伸び率は大きくなっているものの強度が低
下してしまい成形品にした場合に、低強度になり、満足
すべきポリカーボネートを得るには至っていなかった。
また、ポリカーボネート樹脂は、他の種類の樹脂にブレ
ンドすることにより、衝撃性を向上させるための改質用
添加樹脂として、よく用いられているが、この場合に
も、機械的性質としての強度と伸び率の優れたバランス
の良い樹脂が要求されていた。
【0007】また従来のビスフェノールAとポリテトラ
メチレンエーテルグリコールから得られる軟質ポリカー
ボネートは、ガラス転移温度が高いために、低温におけ
る機械的性質が損なわれるため、低温の環境下での使
用、例えば建築材料として使用される透明屋根材等には
不適であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のポリ
カーボネート樹脂にくらべて、機械的性質の強度を低下
することなく、大きな引張伸び率を有し、低温特性に優
れた軟質ポリカーボネート樹脂を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリカーボネ
ート樹脂の柔軟性に影響を与える脂肪族化合物につい
て、鋭意検討した結果、下記に示した(b)式と(c)
式で表される基を構成単位としているポリエーテルブロ
ックをポリカーボネート樹脂中に有せしめることによ
り、機械的強度を低下させることなく伸び率を増大さ
せ、同時に低温特性にも優れた軟質ポリカーボネート樹
脂を見出し、本発明を完成した。
【0010】
【化4】
【0011】(式(c)中、R1 およびR2 のうち一方
は水素、もう一方はメチル基を示す。)即ち、本発明
は、次の式(a)で表されることを特徴とする軟質ポリ
カーボネート樹脂である。
【0012】
【化5】
【0013】〔式(a)中、Aはポリエーテルブロック
であり、Bはカーボネートオリゴマーブロックを示し、
Aの割合は、20〜50重量%である。Lは7〜30の
整数を示す。Aは、式(b)および式(c)、
【0014】
【化6】
【0015】(式(c)中、R1 およびR2 のうち一方
は水素、もう一方はメチル基を示す。)で表される基を
構成単位とし、数平均分子量は、500〜3000であ
り、Aにおける(c)の割合は5〜35重量%である。
Bは、次式(d)で表される。
【0016】
【化7】
【0017】Aで表されるポリエーテルブロックは、
(b)式で表される繰り返し単位および(c)式で表さ
れる繰り返し単位から構成された共重合ブロックであ
り、本発明では、Aにおける(c)の割合を5〜35重
量%に規定したものである。尚、(c)式で表される単
位は、同一構造のジオールにおける結合方向の違いから
生ずる繰り返し単位である。
【0018】Bで表されるカーボネートオリゴマーブロ
ックは、カーボネート結合を介して所定のジフェニル構
造が1〜10個繰り返される単位である。該ジフェニル
構造は、上記所定の連結基を使用して形成している。こ
のXは、Bブロック単位内で同一でも異なってもよい。
本発明において、軟質ポリカーボネート樹脂は、(a)
式において、同一の分子構造の同一分子種の集合体であ
ってもよいし、異なる分子構造の複数の分子種の集合体
であってもよい。
【0019】本発明の交互ブロック軟質ポリカーボネー
ト樹脂は、式(a)で表され、
【0020】
【化8】
【0021】式(a)中、Aはポリエーテルブロックで
あり、Bはカーボネートオリゴマーブロックを示し、A
の割合は、20〜50重量%、好ましくは35〜50重
量%である。Lは7〜30、好ましくは10〜20の整
数を示す。ここで、交互ブロック軟質ポリカーボネート
単位の繰り返し数は、7〜30であり、7より低いと機
械的物性、特に破断強度が著しく低下し、使用するに耐
えない。また、Lが30を越えると、溶融粘度が高くな
り、成形加工性が悪い。
【0022】また、(a)式中、Aのポリエーテルブロ
ックの割合は、20〜50重量%、好ましくは35〜5
0重量%であり、20重量%より少ない場合は、改質添
加用樹脂として使用した場合に硬さは向上するものの、
耐衝撃性は低下し、改質添加用樹脂としては使用できな
い。一方、50重量%を越えると、熱変形温度が低くな
り、又耐溶剤性も悪くなるので、使用場所が制限される
ので好ましくない。
【0023】本発明の交互ブロック軟質ポリカーボネー
ト樹脂の製造方法は、特に制限なく、従来公知の方法が
適用できるが、例えば、好ましくは、以下が挙げられ
る。本発明の軟質ポリカーボネート樹脂は、式(e)
【0024】
【化9】
【0025】(式中、X、Y1 、Y2 、nおよびmは前
記と同義である。)で表される芳香族ジヒドロキシ化合
物を、ジクロロメタン溶液に溶解し、脱酸剤を添加して
おき、そこにホスゲンあるいは液化ホスゲンを導入する
従来公知の方法で得られる式(f)
【0026】
【化10】
【0027】(式中、X、Y1 、Y2 、n、mおよびM
は前記と同義である。)で表されるカーボネートオリゴ
マーをジクロロメタン等の溶媒に溶解し、脱酸剤を添加
しておき、式(b)と式(c)で表される基、
【0028】
【化11】
【0029】(式(c)中、R1 およびR2 のうち一方
は水素、もう一方はメチル基を示す。)を構成単位とし
ているポリエーテルの末端水酸基をあらかじめ、ホスゲ
ンにより従来公知の方法で末端クロロホルメート化され
たポリエーテルを上記カーボネートオリゴマーのジクロ
ロメタン溶液の中に5〜10℃の温度で滴下し、滴下終
了後15〜25℃で3〜6時間反応を行うことにより得
ることができる。
【0030】カーボネートオリゴマーブロックおよび本
発明を製造する時使用する脱酸剤としては、トリメチル
アミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンのよう
な第3級アミン及びピリジン等が好適である。又少量の
アルカリ水溶液等も加えることが出来る。そして反応に
使用される溶媒としては、(e)式で表される芳香族ジ
ヒドロキシ化合物及び式(b)と(c)で表される基を
構成単位としているポリエーテルの両者を溶解すること
が出来る溶媒であれば使用可能であり、例えば、テトラ
クロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロメタン、ジ
クロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレ
ン、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素系炭化水素
及びジオキサン、テトラヒドロフランのような環状オキ
シ化合物等が用いられる。
【0031】ここで、式(e)で示される芳香族ジヒド
ロキシ化合物としては、様々なものがあるが、例えば、
ビス−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス
−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−2−(4
−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
ビス−1−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス−
3−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、ビス−1−
(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等の、ビス
−(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類、2,2−
(3,5,3′,5′−テトラクロロ−4,4′−ジヒ
ドロキシジフェニル)プロパン、2,2−(3,5−ジ
クロロ−4,4′−ジヒドロキシジフェニル)プロパン
等のハロゲン含有のビスフェノール類、あるいは4,
4′−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4′−
ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒ
ドロキシジフェニルエーテル等のビスフェノール類及び
ヒドロキノン等が用いられる。
【0032】(d)式あるいは式(f)式において、カ
ーボネートオリゴマーブロックの繰り返し単位の数M
は、1〜10であり、Mが10を超えると、成形品にし
た場合に、温度によりひずみが大きくなり、寸法変化を
起こしやすい。式(a)中、Aで表されるポリエーテル
ブロックは、式(b)と式(c)で表される基を構成単
位としており、具体的には、テトラヒドロフランと3−
メチルテトラヒドロフランのランダム共重合体ポリエー
テルであり、公知のポリテトラメチレンエーテルグリコ
ールの製造方法、特開昭63−235320号記載の方
法により製造可能であり、テトラヒドロフランと3−メ
チルテトラヒドロフランとのモル比を95/5乃至40
/60で混合し、0〜50℃の温度で、HClO4 、H
SO3 F、HSO3 Cl、HBF4 等のプロトン酸ある
いはEt3 OBF4 、CH3 COSbCl6 、C65
2 PF6 等のイオンコンプレックスそしてCH3 CO
Cl−BF3 、SOCl2 −AlCl3 、POCl3
FeCl3のような重合開始剤を単独又は酸無水物や促
進剤と併用した触媒を添加することにより、開環共重合
させることが出来る。
【0033】このようにして得られた(b)式と(c)
式で表される基を構成単位とするランダム共重合ポリエ
ーテルの数平均分子量は500〜3000、好ましくは
500〜2000であり、数平均分子量が500より小
さいと、柔軟性が低下し、本願目的の一つである機械的
物性としての伸び率も低下する。一方、3000を超え
ると、溶融温度が低くなり、硬いプラスチック的性質か
ら軟らかいエラストマー的性質への移行がみられ、強度
低下を起こす。
【0034】(a)式中、Aで表されているポリエーテ
ルブロック中の(c)式の割合は、5〜35重量%、好
ましくは8〜20重量%であり、5重量%以下では、従
来のポリテトラメチレンエーテルグリコールと芳香族ジ
ヒドロキシ化合物から得られるポリカーボネート樹脂と
比較して、機械的性質としての強度、伸び率において差
異が認められない。そして、35重量%以上では、ポリ
カーボネート樹脂の軟化温度、溶融温度が低くなり、常
温における硬さ、強度等の物性低下を招く。
【0035】
【実施例】以下本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。 〔カーボネートオリゴマーの製造〕攪拌装置、シリカゲ
ル管、温度計、滴下ロートを取り付けた1リットルの4
口径反応器に、ビスフェノールA 102.8g(0.
45モル)、ピリジン58.9g(0.75モル)そし
てジクロロメタン300mlを入れ、ビスフェノールA
を攪拌溶解しながら内温を5〜7℃に保った。そこに滴
下ロートより液化ホスゲン34.8g(0.35モル)
を30分間にて3時間反応を行い、攪拌停止後、反応液
を水洗しピリジン塩酸塩を除去後、1000ccのメタ
ノール中にて結晶を析出させた。この結晶を水とメタノ
ールにより、よく洗浄し乾燥したところ97.7gのカ
ーボネートオリゴマーを得た。
【0036】この生成物をアセチル化法での水酸基価を
測定したところ数平均分子量は840であった(この芳
香族ジヒドロキシ化合物をBA−1と略す。)。同様の
操作でビスフェノールA、ピリジン、液化ホスゲンを適
宜調整し、及び数平均分子量1326のカーボネートオ
リゴマー(BA−2と略す。)を得た。 〔共重合ポリエーテルの製造〕脱水されたテトラヒドロ
フラン281.2g(3.9モル)、3−メチルテトラ
ヒドロフラン94.7g(1.1モル)〔モル比:78
/22〕を攪拌機、温度計、N2 シール装置を備えた1
リットル四つ口セパラブルフラスコに仕込み、温度10
℃で70%過塩素酸10.5g、無水酢酸95gを添
加、6.5時間重合反応を行った。反応終了液を20%
水酸化ナトリウム水溶液500gで中和し、以下一般方
法に順じ、モノマー回収、加水分解、精製操作を行い、
共重合ポリエーテル276gを得た。このものは水酸基
118.1、数平均分子量950、NMR解析の結果、
式(c)に対応する3−メチルテトラメチレンエーテル
基を15重量%含有していた。
【0037】この共重合ポリエーテルの水酸基価(OH
価 mg KOH/g)はピリジン−無水酢酸法で求
め、これにより数平均分子量を求めた。NMR解析は13
C−NMR(日本電子製FX−60)で使用した。 〔共重合ポリエーテルのクロロホーメート化〕数平均分
子量950を有する3−メチルテトラメチレンエーテル
基を15重量%含有する共重合ポリエーテル100g
(0.105モル)をジクロロメタン500gに溶解し
ておき、そこにホスゲン22.9g(0.230モル)
を、溶液温度10℃以下において、約2時間をかけ吹き
込みながらら反応を行った。吹き込み終了後、3〜4時
間後反応を行う。この時反応溶液温度は30〜40℃に
保つことにより、反応を完結した。後処理として、反応
液を水洗し、その後、脱水乾燥し、塩化水素ガス及び反
応溶媒の除去を行うことにより、数平均分子量1009
(GLC−2と略す)を有する共重合ポリエーテルの末
端クロロホーメート化合物112gを得た。 〔実施例−1〕攪拌装置、シリカゲル管、温度計、滴下
ロートを取り付けた。1リットルの4口径の反応器にB
A−1を84g(0.1モル)、ピリジンを17.5g
(0.22モル)、そしてジクロロメタンを500ml
を入れ、BA−1を攪拌溶解しながら内温を7〜10℃
に保った。そこに滴下ロートより、GLC−2に準じて
調製した数平均分子量750のテトラヒドロフランと3
−メチルテトラヒドロフランの共重合ポリエーテル(式
(c)に対応する基 15重量%含有)の末端クロロホ
ーメート化合物(GLC−1と略す)75g(0.1モ
ル)を40分間で滴下し、滴下後15〜20℃で3時間
反応を行った。攪拌停止後、反応液を水洗し、ピリジン
塩酸塩を除去後、メタノール中にてポリマーを析出させ
た。ポリマーを微粉砕して、水、メタノールにより、よ
く洗浄し乾燥させ105gの白色ポリマーを得た。
【0038】このポリマーのジクロロメタン中での極限
粘度〔η〕を求めたところ0.68であった。また、こ
のポリマーをジクロロメタン溶液にて、赤外吸収スペク
トルを見ると、1760cm-1にカーボネート結合と、
3400〜3500cm-1にフェノール性水酸基の吸収
が認められた。又DSC(示差走査熱量計)によるガラ
ス転移温度(Tg)及びジクロロメタン溶液から流延に
より得たフィルムの機械的性質を表1に示した。 〔実施例−2〕実施例−1と同様の操作により、BA−
2 0.05モルと数平均分子量1009のテトラヒド
ロフランと3−メチル−テトラヒドロフランの共重合ポ
リエーテル(式(c)に対応する基 15重量%含有)
の末端クロロホーメート化合物(GLC−2)0.05
モルを反応させて108gの白色ポリマーを得た。
【0039】このポリマーのジクロロメタン中での極限
粘度〔η〕を求めたところ0.79であった。DSCに
よるTg及びジクロロメタン溶液から流延により得たフ
ィルムの機械的性質を表1に示した。 〔実施例−3〕実施例−1と同様の操作により、BA−
2 0.04モルと数平均分子量1009のGLC−2
0.038モルを反応させて80gの白色ポリマーを
得た。このポリマーのジクロロメタン中での極限粘度は
0.89であった。DSCによるTg及びジクロロメタ
ン溶液から流延により得たフィルムの機械的性質を表1
に示した。 〔比較例−1〕カーボネートオリゴマーの調製で得られ
た、BA−1 0.1モルと分子量750のポリテトラ
メチレンエーテルグリコールの末端クロロホーメート化
合物(PGC−1と略す。)0.1モルを実施例−1と
同様に反応を行い102gの白色ポリマーを得た。この
ポリマーのジクロロメタン中での極限粘度を求めたとこ
ろ0.65であった。DSCによるTg及び、ジクロロ
メタン溶液から流延により得たフィルムの機械的性質を
表1に示した。 〔比較例−2〕カーボネートオリゴマーの調製で得られ
た、BA−2 0.1モルと分子量1050のポリテト
ラメチレンエーテルグリコールの末端クロロホーメート
化合物(PGC−2と略す。)0.1モルを実施例−1
と同様に反応を行い155gの白色ポリマーを得た。こ
のポリマーのジクロロメタン中での極限粘度を求めたと
ころ0.70であった。DSCによるTg及びジクロロ
メタン溶液から流延により得たフィルムの機械的性質を
(表1)に示した。
【0040】
【表1】
【0041】表1から、本発明は、ポリテトラメチレン
エーテルグリコールと芳香族ジヒドロキシ化合物のポリ
カーボネートオリゴマーからのポリカーボネート樹脂に
比べ、ガラス転移温度が低く、低温においても、大きい
破断強度及び伸び率を示していることが分かる。 〔実施例−4〕実施例−3で得られた極限粘度0.89
の軟質ポリカーボネート樹脂とポリスチレン樹脂(電気
化学(株)社製、製品名「ポリスチレンGP−1」、ペ
レット状)を重量で1対1の割合で、混合押出機(CS
I、Inc社製、CS−194)を用いて混練部180
℃、押出しダイ部190℃で溶融混練し、ロットを押出
し、ペレットを作製した。このペレットを射出成形機
(CSI、Inc社製、CS−183)により、金型温
度70〜80℃、シリンダー温度170〜200℃で、
ポリスチレン樹脂と本発明の軟質ポリカーボネート樹脂
のブレンド樹脂の引張試験片を作製し、引張試験を行っ
た。 〔比較例−3〕数平均分子量1030を有するビスフェ
ノールAから得られたカーボネートオリゴマーと数平均
分子量980を有するポリテトラメチレンエーテルグリ
コールの末端クロロホーメート化合物から合成した軟質
ポリカーボネート樹脂(温度20℃、ジクロロメタン溶
液での極限粘度が0.72を有する)とポリスチレン樹
脂(電気化学(株)社製、製品名「ポリスチレンGP−
1」、ペレット状)を重量で1対1の割合で溶融混練
し、以下実施例4と同様の方法で、ポリテトラメチレン
エーテルグリコールのカーボネート樹脂とポリスチレン
樹脂のブレンド樹脂の引張試験片を作製し、引張試験を
行った。 〔比較例−4〕ポリスチレン樹脂(電気化学(株)社
製、製品名「ポリスチレンGP−1」)のみで引張試験
片を作製し、引張試験を行った。
【0042】実施例4、比較例3〜4の結果を表2に示
す。尚、破断強度及び破断伸び率は、JIS K−71
13に準拠して行った。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】本発明は、ポリエーテルブロックとカー
ボネートオリゴマーブロックの構造およびその含有割合
を特定したために、低温においても、破断強度及び伸び
率を維持出来るため、柔軟性を有するポリカーボネート
樹脂として、種々の構造材料として使用でき、また、例
えば、電気、電子部品材料、あるいは構造部材として使
用される、各種ポリマーの衝撃性改良材として好適に使
用できる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年9月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 軟質ポリカーボネート樹脂
【特許請求の範囲】
【化1】 〔式(a)中、Aはポリエーテルブロックであり、Bは
カーボネートオリゴマーブロックを示し、Aの割合は、
20〜50重量%である。Lは7〜30の整数を示す。
Aは、式(b)および式(c)、
【化2】 (式(c)中、R1 およびR2 のうち一方は水素、もう
一方はメチル基を示す。)で表される基を構成単位と
し、数平均分子量は、500〜3000であり、Aにお
ける(c)の割合は5〜35重量%である。Bは、次式
(d)で表される。
【化3】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械的性質として引張
伸び率が大きく、低温特性に優れ、透明性を有する軟質
ポリカーボネート樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂は、優れた透明性
や、高い耐衝撃性を有しており、電気、電子部品や家電
製品の機械機構部品に成形品として利用されている。又
最近では他樹脂とブレンドすること、即ち、ポリマーア
ロイ化により新しい成形材料の創出にも役立てられてい
る。
【0003】これらの用途に使用されているポリカーボ
ネート樹脂は、プラスチック的硬さを有しているものの
引張試験における伸び率は約100%を示し、さらに伸
び率を大きくするようなポリカーボネート樹脂として、
結晶性を有する芳香族化合物とゴム的性質を有する脂肪
族化合物の共重合反応による方法が多数検討されてい
る。
【0004】このような改質ポリカーボネート樹脂につ
いては、Jour’.Apply.Polym’.Sc
ie’.の343〜352ページ(1961年)に、又
Jour’.Polym.Scie’.Part C
707〜730ページ(1963年)に、ビスフェノー
ルA、及びブロックビスフェノールAとポリテトラメチ
レンエーテルグリコールから、軟質ポリカーボネート樹
脂の製造方法が報告されている。
【0005】同様な反応例として、特開昭49−133
494、特開昭51−61597には、各種の脂肪族グ
リコールの反応性が、又特開昭56−36517、特開
昭60−94420、特開昭62−11724、特開昭
62−161825、さらに米国特許3,287,44
2等にも、脂肪族化合物として、ポリエチレングリコー
ル、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを使用した
改質ポリカーボネート樹脂が紹介されている。
【0006】しかし、これらのポリカーボネート樹脂
は、一般的なポリカーボネート樹脂に比べ、機械的特質
としての引張伸び率は大きくなっているものの強度が低
下してしまい成形品にした場合に、低強度になり、満足
すべきポリカーボネートを得るには至っていなかった。
また、ポリカーボネート樹脂は、他の種類の樹脂にブレ
ンドすることにより、衝撃性を向上させるための改質用
添加樹脂として、よく用いられているが、この場合に
も、機械的性質としての強度と伸び率の優れたバランス
の良い樹脂が要求されていた。
【0007】また従来のビスフェノールAとポリテトラ
メチレンエーテルグリコールから得られる軟質ポリカー
ボネートは、ガラス転移温度が高いために、低温におけ
る機械的性質が損なわれるため、低温の環境下での使
用、例えば建築材料として使用される透明屋根材等には
不適であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のポリ
カーボネート樹脂にくらべて、機械的性質の強度を低下
することなく、大きな引張伸び率を有し、低温特性に優
れた軟質ポリカーボネート樹脂を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリカーボネ
ート樹脂の柔軟性に影響を与える脂肪族化合物につい
て、鋭意検討した結果、下記に示した(b)式と(c)
式で表される基を構成単位としているポリエーテルブロ
ックをポリカーボネート樹脂中に有せしめることによ
り、機械的強度を低下させることなく伸び率を増大さ
せ、同時に低温特性にも優れた軟質ポリカーボネート樹
脂を見出し、本発明を完成した。
【0010】
【化4】
【0011】(式(c)中、R1 およびR2 のうち一方
は水素、もう一方はメチル基を示す。)即ち、本発明
は、次の式(a)で表されることを特徴とする軟質ポリ
カーボネート樹脂である。
【0012】
【化5】
【0013】〔式(a)中、Aはポリエーテルブロック
であり、Bはカーボネートオリゴマーブロックを示し、
Aの割合は、20〜50重量%である。Lは7〜30の
整数を示す。Aは、式(b)および式(c)、
【0014】
【化6】
【0015】(式(c)中、R1 およびR2 のうち一方
は水素、もう一方はメチル基を示す。)で表される基を
構成単位とし、数平均分子量は、500〜3000であ
り、Aにおける(c)の割合は5〜35重量%である。
Bは、次式(d)で表される。
【0016】
【化7】
【0017】Aで表されるポリエーテルブロックは、
(b)式で表される繰り返し単位および(c)式で表さ
れる繰り返し単位から構成された共重合ブロックであ
り、本発明では、Aにおける(c)の割合を5〜35重
量%に規定したものである。尚、(c)式で表される単
位は、同一構造のジオールにおける結合方向の違いから
生ずる繰り返し単位である。
【0018】Bで表されるカーボネートオリゴマーブロ
ックは、カーボネート結合を介して所定のジフェニル構
造が1〜10個繰り返される単位である。該ジフェニル
構造は、上記所定の連結基を使用して形成している。こ
のXは、Bブロック単位内で同一でも異なってもよい。
本発明において、軟質ポリカーボネート樹脂は、(a)
式において、同一の分子構造の同一分子種の集合体であ
ってもよいし、異なる分子構造の複数の分子種の集合体
であってもよい。
【0019】本発明の交互ブロック軟質ポリカーボネー
ト樹脂は、式(a)で表され、
【0020】
【化8】
【0021】式(a)中、Aはポリエーテルブロックで
あり、Bはカーボネートオリゴマーブロックを示し、A
の割合は、20〜50重量%、好ましくは35〜50重
量%である。Lは7〜30、好ましくは10〜20の整
数を示す。ここで、交互ブロック軟質ポリカーボネート
単位の繰り返し数は、7〜30であり、7より低いと機
械的物性、特に破断強度が著しく低下し、使用するに耐
えない。また、Lが30を越えると、溶融粘度が高くな
り、成形加工性が悪い。
【0022】また、(a)式中、Aのポリエーテルブロ
ックの割合は、20〜50重量%、好ましくは35〜5
0重量%であり、20重量%より少ない場合は、改質添
加用樹脂として使用した場合に硬さは向上するものの、
耐衝撃性は低下し、改質添加用樹脂としては使用できな
い。一方、50重量%を越えると、熱変形温度が低くな
り、又耐溶剤性も悪くなるので、使用場所が制限される
ので好ましくない。
【0023】本発明の交互ブロック軟質ポリカーボネー
ト樹脂の製造方法は、特に制限なく、従来公知の方法が
適用できるが、例えば、好ましくは、以下が挙げられ
る。本発明の軟質ポリカーボネート樹脂は、式(e)
【0024】
【化9】
【0025】(式中、X、Y1 、Y2 、nおよびmは前
記と同義である。)で表される芳香族ジヒドロキシ化合
物を、ジクロロメタン溶に溶解し、脱酸剤を添加して
おき、そこにホスゲンあるいは液化ホスゲンを導入する
従来公知の方法で得られる式(f)
【0026】
【化10】
【0027】(式中、X、Y1 、Y2 、n、mおよびM
は前記と同義である。)で表されるカーボネートオリゴ
マーをジクロロメタン等の溶媒に溶解し、脱酸剤を添加
しておき、式(b)と式(c)で表される基、
【0028】
【化11】
【0029】(式(c)中、R1 およびR2 のうち一方
は水素、もう一方はメチル基を示す。)を構成単位とし
ているポリエーテルの末端水酸基をあらかじめ、ホスゲ
ンにより従来公知の方法で末端クロロホルメート化され
たポリエーテルを上記カーボネートオリゴマーのジクロ
ロメタン溶液の中に5〜10℃の温度で滴下し、滴下終
了後15〜25℃で3〜6時間反応を行うことにより得
ることができる。
【0030】カーボネートオリゴマーブロックおよび本
発明を製造する時使用する脱酸剤としては、トリメチル
アミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンのよう
な第3級アミン及びピリジン等が好適である。又少量の
アルカリ水溶液等も加えることが出来る。そして反応に
使用される溶媒としては、(e)式で表される芳香族ジ
ヒドロキシ化合物及び式(b)と(c)で表される基を
構成単位としているポリエーテルの両者を溶解すること
が出来る溶媒であれば使用可能であり、例えば、テトラ
クロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロメタン、ジ
クロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレ
ン、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素系炭化水素
及びジオキサン、テトラヒドロフランのような環状オキ
シ化合物等が用いられる。
【0031】ここで、式(e)で示される芳香族ジヒド
ロキシ化合物としては、様々なものがあるが、例えば、
ビス−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス
−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−2−(4
−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
ビス−1−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス−
3−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、ビス−1−
(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等の、ビス
−(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類、2,2−
(3,5,3′,5′−テトラクロロ−4,4′−ジヒ
ドロキシジフェニル)プロパン、2,2−(3,5−ジ
クロロ−4,4′−ジヒドロキシジフェニル)プロパン
等のハロゲン含有のビスフェノール類、あるいは4,
4′−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4′−
ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒ
ドロキシジフェニルエーテル等のビスフェノール類及び
ヒドロキノン等が用いられる。
【0032】(d)式あるいは式(f)式において、カ
ーボネートオリゴマーブロックの繰り返し単位の数M
は、1〜10であり、Mが10を超えると、成形品にし
た場合に、温度によりひずみが大きくなり、寸法変化を
起こしやすい。式(a)中、Aで表されるポリエーテル
ブロックは、式(b)と式(c)で表される基を構成単
位としており、具体的には、テトラヒドロフランと3−
メチルテトラヒドロフランのランダム共重合体ポリエー
テルであり、公知のポリテトラメチレンエーテルグリコ
ールの製造方法、特開昭63−235320号記載の方
法により製造可能であり、テトラヒドロフランと3−メ
チルテトラヒドロフランとのモル比を95/5乃至40
/60で混合し、0〜50℃の温度で、HClO4 、H
SO3 F、HSO3 Cl、HBF4 等のプロトン酸ある
いはEt3 OBF4 、CH3 COSbCl6 、C65
2 PF6 等のイオンコンプレックスそしてCH3 CO
Cl−BF3 、SOCl2 −AlCl3 、POCl3
FeCl3のような重合開始剤を単独又は酸無水物や促
進剤と併用した触媒を添加することにより、開環共重合
させることが出来る。
【0033】このようにして得られた(b)式と(c)
式で表される基を構成単位とするランダム共重合ポリエ
ーテルの数平均分子量は500〜3000、好ましくは
500〜2000であり、数平均分子量が500より小
さいと、柔軟性が低下し、本願目的の一つである機械的
物性としての伸び率も低下する。一方、3000を超え
ると、溶融温度が低くなり、硬いプラスチック的性質か
ら軟らかいエラストマー的性質への移行がみられ、強度
低下を起こす。
【0034】(a)式中、Aで表されているポリエーテ
ルブロック中の(c)式の割合は、5〜35重量%、好
ましくは8〜20重量%であり、5重量%以下では、従
来のポリテトラメチレンエーテルグリコールと芳香族ジ
ヒドロキシ化合物から得られるポリカーボネート樹脂と
比較して、機械的性質としての強度、伸び率において差
異が認められない。そして、35重量%以上では、ポリ
カーボネート樹脂の軟化温度、溶融温度が低くなり、常
温における硬さ、強度等の物性低下を招く。
【0035】
【実施例】以下本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。 〔カーボネートオリゴマーの製造〕攪拌装置、シリカゲ
ル管、温度計、滴下ロートを取り付けた1リットルの4
口径反応器に、ビスフェノールA 102.8g(0.
45モル)、ピリジン58.9g(0.75モル)そし
てジクロロメタン300mlを入れ、ビスフェノールA
を攪拌溶解しながら内温を5〜7℃に保った。そこに滴
下ロートより液化ホスゲン34.8g(0.35モル)
を30分間にて3時間反応を行い、攪拌停止後、反応液
を水洗しピリジン塩酸塩を除去後、1000ccのメタ
ノール中にて結晶を析出させた。この結晶を水とメタノ
ールにより、よく洗浄し乾燥したところ97.7gのカ
ーボネートオリゴマーを得た。
【0036】この生成物をアセチル化法での水酸基価を
測定したところ数平均分子量は840であった(この芳
香族ジヒドロキシ化合物をBA−1と略す。)。同様の
操作でビスフェノールA、ピリジン、液化ホスゲンを適
宜調整し、数平均分子量1326のカーボネートオリゴ
マー(BA−2と略す。)を得た。 〔共重合ポリエーテルの製造〕脱水されたテトラヒドロ
フラン281.2g(3.9モル)、3−メチルテトラ
ヒドロフラン94.7g(1.1モル)〔モル比:78
/22〕を攪拌機、温度計、N2 シール装置を備えた1
リットル四つ口セパラブルフラスコに仕込み、温度10
℃で70%過塩素酸10.5g、無水酢酸95gを添
加、6.5時間重合反応を行った。反応終了液を20%
水酸化ナトリウム水溶液500gで中和し、以下一般方
法に順じ、モノマー回収、加水分解、精製操作を行い、
共重合ポリエーテル276gを得た。このものは水酸基
118.1、数平均分子量950、NMR解析の結果、
式(c)に対応する3−メチルテトラメチレンエーテル
基を15重量%含有していた。
【0037】この共重合ポリエーテルの水酸基価(OH
価 mg KOH/g)はピリジン−無水酢酸法で求
め、これにより数平均分子量を求めた。NMR解析は13
C−NMR(日本電子製FX−60)で使用した。 〔共重合ポリエーテルのクロロホーメート化〕数平均分
子量950を有する3−メチルテトラメチレンエーテル
基を15重量%含有する共重合ポリエーテル100g
(0.105モル)をジクロロメタン500gに溶解し
ておき、そこにホスゲン22.9g(0.230モル)
を、溶液温度10℃以下において、約2時間をかけ吹き
込みながら反応を行った。吹き込み終了後、3〜4時間
後反応を行う。この時反応溶液温度は30〜40℃に保
つことにより、反応を完結した。後処理として、反応液
を水洗し、その後、脱水乾燥し、塩化水素ガス及び反応
溶媒の除去を行うことにより、数平均分子量1009
(GLC−2と略す)を有する共重合ポリエーテルの末
端クロロホーメート化合物112gを得た。 〔実施例−1〕攪拌装置、シリカゲル管、温度計、滴下
ロートを取り付けた。1リットルの4口径の反応器にB
A−1を84g(0.1モル)、ピリジンを17.5g
(0.22モル)、そしてジクロロメタンを500ml
を入れ、BA−1を攪拌溶解しながら内温を7〜10℃
に保った。そこに滴下ロートより、GLC−2に準じて
調製した数平均分子量750のテトラヒドロフランと3
−メチルテトラヒドロフランの共重合ポリエーテル(式
(c)に対応する基 15重量%含有)の末端クロロホ
ーメート化合物(GLC−1と略す)75g(0.1モ
ル)を40分間で滴下し、滴下後15〜20℃で3時間
反応を行った。攪拌停止後、反応液を水洗し、ピリジン
塩酸塩を除去後、メタノール中にてポリマーを析出させ
た。ポリマーを微粉砕して、水、メタノールにより、よ
く洗浄し乾燥させ105gの白色ポリマーを得た。
【0038】このポリマーのジクロロメタン中での極限
粘度〔η〕を求めたところ0.68であった。また、こ
のポリマーをジクロロメタン溶液にて、赤外吸収スペク
トルを見ると、1760cm-1にカーボネート結合と、
3400〜3500cm-1にフェノール性水酸基の吸収
が認められた。又DSC(示差走査熱量計)によるガラ
ス転移温度(Tg)及びジクロロメタン溶液から流延に
より得たフィルムの機械的性質を表1に示した。 〔実施例−2〕実施例−1と同様の操作により、BA−
2 0.05モルと数平均分子量1009のテトラヒド
ロフランと3−メチル−テトラヒドロフランの共重合ポ
リエーテル(式(c)に対応する基 15重量%含有)
の末端クロロホーメート化合物(GLC−2)0.05
モルを反応させて108gの白色ポリマーを得た。
【0039】このポリマーのジクロロメタン中での極限
粘度〔η〕を求めたところ0.79であった。DSCに
よるTg及びジクロロメタン溶液から流延により得たフ
ィルムの機械的性質を表1に示した。 〔実施例−3〕実施例−1と同様の操作により、BA−
2 0.04モルと数平均分子量1009のGLC−2
0.038モルを反応させて80gの白色ポリマーを
得た。このポリマーのジクロロメタン中での極限粘度は
0.89であった。DSCによるTg及びジクロロメタ
ン溶液から流延により得たフィルムの機械的性質を表1
に示した。 〔比較例−1〕カーボネートオリゴマーの調製で得られ
た、BA−1 0.1モルと分子量750のポリテトラ
メチレンエーテルグリコールの末端クロロホーメート化
合物(PGC−1と略す。)0.1モルを実施例−1と
同様に反応を行い102gの白色ポリマーを得た。この
ポリマーのジクロロメタン中での極限粘度を求めたとこ
ろ0.65であった。DSCによるTg及び、ジクロロ
メタン溶液から流延により得たフィルムの機械的性質を
表1に示した。 〔比較例−2〕カーボネートオリゴマーの調製で得られ
た、BA−2 0.1モルと分子量1050のポリテト
ラメチレンエーテルグリコールの末端クロロホーメート
化合物(PGC−2と略す。)0.1モルを実施例−1
と同様に反応を行い155gの白色ポリマーを得た。こ
のポリマーのジクロロメタン中での極限粘度を求めたと
ころ0.70であった。DSCによるTg及びジクロロ
メタン溶液から流延により得たフィルムの機械的性質を
(表1)に示した。
【0040】
【表1】
【0041】表1から、本発明は、ポリテトラメチレン
エーテルグリコールと芳香族ジヒドロキシ化合物のポリ
カーボネートオリゴマーからのポリカーボネート樹脂に
比べ、ガラス転移温度が低く、低温においても、大きい
破断強度及び伸び率を示していることが分かる。 〔実施例−4〕実施例−3で得られた極限粘度0.89
の軟質ポリカーボネート樹脂とポリスチレン樹脂(電気
化学(株)社製、製品名「ポリスチレンGP−1」、ペ
レット状)を重量で1対1の割合で、混合押出機(CS
I、Inc社製、CS−194)を用いて混練部180
℃、押出しダイ部190℃で溶融混練し、ロットを押出
し、ペレットを作製した。このペレットを射出成形機
(CSI、Inc社製、CS−183)により、金型温
度70〜80℃、シリンダー温度170〜200℃で、
ポリスチレン樹脂と本発明の軟質ポリカーボネート樹脂
のブレンド樹脂の引張試験片を作製し、引張試験を行っ
た。 〔比較例−3〕数平均分子量1030を有するビスフェ
ノールAから得られたカーボネートオリゴマーと数平均
分子量980を有するポリテトラメチレンエーテルグリ
コールの末端クロロホーメート化合物から合成した軟質
ポリカーボネート樹脂(温度20℃、ジクロロメタン溶
液での極限粘度が0.72を有する)とポリスチレン樹
脂(電気化学(株)社製、製品名「ポリスチレンGP−
1」、ペレット状)を重量で1対1の割合で溶融混練
し、以下実施例4と同様の方法で、ポリテトラメチレン
エーテルグリコールのカーボネート樹脂とポリスチレン
樹脂のブレンド樹脂の引張試験片を作製し、引張試験を
行った。 〔比較例−4〕ポリスチレン樹脂(電気化学(株)社
製、製品名「ポリスチレンGP−1」)のみで引張試験
片を作製し、引張試験を行った。
【0042】実施例4、比較例3〜4の結果を表2に示
す。尚、破断強度及び破断伸び率は、JIS K−71
13に準拠して行った。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】本発明は、ポリエーテルブロックとカー
ボネートオリゴマーブロックの構造およびその含有割合
を特定したために、低温においても、破断強度及び伸び
率を維持出来るため、柔軟性を有するポリカーボネート
樹脂として、種々の構造材料として使用でき、また、例
えば、電気、電子部品材料、あるいは構造部材として使
用される、各種ポリマーの衝撃性改良材として好適に使
用できる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の式(a)で表されることを特徴とす
    る軟質ポリカーボネート樹脂。 【化1】 〔式(a)中、Aはポリエーテルブロックであり、Bは
    カーボネートオリゴマーブロックを示し、Aの割合は、
    20〜50重量%である。Lは7〜30の整数を示す。
    Aは、式(b)および式(c)、 【化2】 (式(c)中、R1 およびR2 のうち一方は水素、もう
    一方はメチル基を示す。)で表される基を構成単位と
    し、数平均分子量は、500〜3000であり、Aにお
    ける(c)の割合は5〜35重量%である。Bは、次式
    (d)で表される。 【化3】
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