JPH06114405A - 冷間圧延用ワークロール、その製造方法およびそのワークロールを用いる金属板の圧延方法 - Google Patents

冷間圧延用ワークロール、その製造方法およびそのワークロールを用いる金属板の圧延方法

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JPH06114405A
JPH06114405A JP4264613A JP26461392A JPH06114405A JP H06114405 A JPH06114405 A JP H06114405A JP 4264613 A JP4264613 A JP 4264613A JP 26461392 A JP26461392 A JP 26461392A JP H06114405 A JPH06114405 A JP H06114405A
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cold rolling
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 レーザー加工によって表面にクレータ列が形
成されたワークロールであって、そのクレータ列が、ロ
ールの軸方向に実質的に平行に並んでおり、その深さは
2〜20μmで幅(a) が50〜 300μm、かつロールの周方
向に50〜500μmの間隔(c) で繰返しているものである
ことを特徴とする冷間圧延用ワークロール、およびその
製造方法と、そのロールを用いて鋼板を冷間圧延する方
法。 【効果】 冷間圧延時に本発明のロールを用いると、そ
の圧延が高速であってもオイルピットやスリップ疵、焼
付き疵が発生しにくい。すなわち、光沢度に優れた金属
板を生産性良く圧延することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光沢度の良い金属板を
冷間圧延によって製造するためのワークロール(以下、
単にロールという)およびその製造方法、ならびにその
ロールを用いて金属板を冷間圧延する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属板を圧延すると、ロール表面の疵あ
るいは凹凸がその金属板の表面に転写されるので、製品
に要求される表面品質に応じて、ロールの表面を研削し
て用いる必要がある。したがって、冷延金属板が優れた
光沢度を必要とする場合には、ロールを高番手の砥石で
研磨して圧延に使用している。ところが、このようにロ
ールの表面粗さを小さくしようとすればするほど、研磨
作業に必要な時間が増大する。
【0003】一方、要求される表面品質がそれほど厳し
くない鋼材は、冷却能力の大きい水溶性エマルションを
圧延油として使用し、 180mmφ以上の大径ロールを用い
た普通鋼用圧延機であるタンデムミルやレバースミルで
高速圧延されているが、この大径ロールを有する普通鋼
用ミルで高速圧延した薄鋼板は、ロールと鋼板との間に
生じた油膜の油圧によってオイルピットと呼ばれるくぼ
みが生じ、光沢度が低下するという問題があるので、高
光沢度を要求されるステンレス鋼板などの薄鋼板を冷間
圧延する場合には適用できない。そこで、光沢度の高い
薄鋼板の製造は100mmφ以下の小径ロールを使用するゼ
ンジミアミルと呼ばれる多段圧延機で低速で圧延してい
る。
【0004】前記オイルピットと呼ばれる微小な凹状の
欠陥は、金属板表面の凹部およびロール表面の凹部に捕
捉された圧延油の静水圧によって形成される。しかも、
このとき金属板とロールとの間に形成される油膜が厚い
と、圧延前の金属板上の凹部も残存してしまう。このオ
イルピットによる光沢度の低下を防止する目的で、鋼板
表面に存在する研削目の方向とロール表面の研削目の方
向を交叉させて圧延する方法が特開昭60−227904号公報
に提案されている。しかし、鋼材表面に疵がない場合
に、改めて研削目をつけることは工程が増し、非能率的
である。
【0005】また、特公昭62−11922 号公報には、顕微
鏡的模様付けを施した圧延シリンダを用いて冷間圧延を
すると、焼き付きが防止され、なおかつその後の塗装に
も好適であることが示されている。ところがこのように
モチーフが繰返し形成された構造では、圧延油やロール
の摩耗によって生じる金属粉が流動しにくいので、オイ
ルピットの形成や、凹部の目詰まり等によるシリンダ表
面の平坦化がおこる。
【0006】圧延によって、オイルピットを生じさせる
ことなく、しかも金属板上の元の凹部が残存しないよう
にするには、圧下率を大きくして、ロールと金属板とが
十分に接触するようにして圧延するのが良いとされてい
る。ところが、そのような方法では、金属板の凹部の残
存やオイルピットの発生を防ぐことはできても、ロール
の研磨目が金属板に転写されて金属板表面の粗度が大き
くなったり、潤滑不足から焼付きが発生するという問題
が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高速で圧延
しても、オイルピットを生じることなく、ゼンジミアミ
ルで低速圧延した時と同等な光沢を有する金属板を製造
しうる冷間圧延技術を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、表面粗さが
通常と同程度のロールであっても、ロール軸方向と実質
的に平行なクレータ列を有するロールを用いて圧延した
場合には、従来のロール周方向に研磨目があるものを用
いて圧延を行った時に比べて、金属板の表面光沢度が著
しく向上することを見出した。すなわち、本発明の要旨
は次の (1)〜(4) にある。
【0009】(1) レーザー加工によって表面にクレータ
列が形成されたワークロールであって、そのクレータ列
が、下記〜の条件を満たすものであることを特徴と
する冷間圧延用ワークロール。
【0010】上記クレータ列は、ロールの軸方向と実
質的に平行に並んでいる。
【0011】クレータ列は、深さが2〜20μmで幅が
50〜 300μmである。
【0012】クレータ列の周方向の繰返し間隔は50〜
800 μmである。
【0013】(2) 1つのクレータ列の軸方向長さがその
幅の3〜50倍であって、そのクレータ列が、軸方向にそ
の長さの1〜3倍の間隔をもって繰返されている (1)の
冷間圧延用ワークロール。
【0014】(3) ワークロールを回転させながらレーザ
ー加工を施してそのロールの表面を加工する際に、ロー
ルの回転数とレーザー光遮断用のチョッパーブレードの
回転数とを、クレータ列がロールの軸方向に実質的に平
行に並んで形成されるように調節し、さらにロールが1
回転あるいは数回転する毎にレーザー光が軸方向にクレ
ータ径の0.1 〜1倍進むようにレーザー加工を行って
(1)または(2) の冷間圧延用ワークロールを製造する方
法。
【0015】(4) レバースミルでの圧延では少なくとも
最終パスで、タンデムミルでの圧延では少なくとも最終
スタンドで、 (1)または(2) の冷間圧延用ワークロール
を用いて金属板を冷間圧延する方法。
【0016】本発明において、クレータとは、金属板に
レーザー加工を施した際にその金属板表面に生じる微小
な凹凸を意味し、図1に示す凹部1と、その外縁にリン
グ状または三日月状に盛り上がった凸部2を含めたもの
を表す。クレータの形成後に凸部を研削して用いる場合
には、クレータはその凹部のみとなる。また、クレータ
列とは、このクレータを連続して直線的に形成させたも
のを意味する。
【0017】クレータ列がロールの軸方向と実質的に平
行であるとは、クレータ列に多少の曲がり等の配列の乱
れがあること、あるいは、このクレータ列がロール軸に
対してわずかに(軸方向に対して±5〜6°程度)傾斜
していることを含み、このような誤差範囲のずれを許容
し、隣合うクレータ列の凹部同志が重なり合わない程度
に平行ということである。
【0018】図2は、ロールの周方向の断面を拡大した
図であり、 (イ)はクレータ列の周方向繰返し間隔(図
のc)が大きく、クレータの凸部同志が重ならない場合
を示し、 (ロ)は同部が重なる場合、 (ハ)は(イ)の
状態のクレータ列を形成した後で研磨を施した場合を示
す図である。本明細書におけるクレータの深さとは、
(イ)および(ロ)の場合には、凸部の頂点から凹部の
底辺までの距離を指し、(ハ)の場合にはクレータとク
レータの間の平坦部から凹部の底辺までの距離を意味す
る。また、クレータ列の幅とはその両端の頂点間の距離
(図のa)を意味し、(ハ)の場合には平坦部とその隣
の平坦部との距離である。
【0019】図3は、クレータ列が軸方向に適当な長さ
をもって繰返し存在している場合の平面図である。この
図の斜線部は凸部の頂点にかこまれた部分であり、ロー
ル表面を螺旋状にマスキングしてレーザー加工した場合
の一例である。図中、a、cは図2と同じくクレータ幅
およびその周方向繰返し間隔を表し、bはクレータ列の
軸方向長さ、dはその軸方向繰返し間隔である。
【0020】
【作用】図4は、冷間圧延時にロール表面と金属板表面
が滑りを発生することを説明する図である。 (a)はロー
ルバイト部の圧延長手方向の断面図であり、 (b)はロー
ル上のある一点が金属板上に描く軌跡を示す図である。
ロール1が金属板Sを厚さt1 から厚さt2 になるよう
にXの方向へ冷間圧延する場合、金属板Sの圧延速度v
がロール周速Vと同じになる点を中立点(図中のN点)
と呼ぶ。このN点より後方(ロール入側)を後進域と呼
び、図中のA点における圧延速度をv1 とする。また、
N点より前方(ロール出側)を先進域と呼び、図中のB
点における圧延速度をv2 とする。このときv1 <v2
である。
【0021】したがって、ロール周速Vと金属板Sの圧
延速度v1 、v2 はv1 <V<v2であって、先進域と
後進域での金属板の圧延速度が異なるので、ロール上の
ある点が、A点、N点、B点の方向に回転すると、この
点は金属板S上を滑りながら図4(b) に示すような軌跡
を描く。この図のとおり、先進域では圧延方向と逆向き
の軌跡を描くことがわかる。
【0022】図5は研磨目の方向がロール周方向に平行
である通常のロールを用いて冷間圧延を行った時に、金
属板表面に形成されるロール研磨目の転写(以下、転写
パターンという)を説明する図である。研磨目の方向が
ロール周方向と平行であるロールを用いて図5(a) に示
すような圧延を行うと、前に述べたようにロールと金属
板との間には相対的な滑りを生ずるので、金属板Sの表
面にはロール1の滑り疵がつくことになる。したがっ
て、金属板Sの表面にはロール1の研磨目が転写される
のに加えて、周方向に長い滑り疵がつくので、図5(c)
に示すようなロール研磨目の凹凸が強調された表面にな
る。またロール研磨目が周方向と平行である場合には、
この時に発生するオイルピットを押し潰すことができな
いので、図5(d) に示すようにオイルピットが残存して
しまう。
【0023】一方、本発明のロールを用いて冷間圧延を
行った時の転写パターンを図6を用いて説明する。この
ときも、図5で説明したのと同じく、金属板Sとロール
1は図6(b) に示すような滑りを発生し、ロール軸方向
に長いクレータ列が滑ることによって、金属板S上にロ
ール軸方向に長い滑り疵が付く。この滑り疵が付くこと
で、金属板Sの表面が一部平滑化されることになるので
ある。したがって、転写されたクレータ列の跡や発生し
たオイルピットは、このクレータ列によって押し潰され
て消滅し、圧延後の金属板の板幅方向および圧延方向の
断面は図6(c)あるいは図6(d) に示すような滑
らかな表面となる。この、表面上に生成した微小な凸形
状は、滑りが起きている際にロールの凹部に金属板表面
がめりこんで盛り上がったものである。
【0024】図7に、ロールの周方向と平行に研磨目を
有するロールで冷間圧延を行った後の、金属板表面の拡
大平面図と断面形状を示す。また、図8は、本発明のロ
ールで冷間圧延を行った後の、金属板表面の拡大平面図
と断面形状を示す図である。
【0025】どちらの図も、断面形状は板断面の横方向
(板長手方向あるいは板幅方向)に比べて、板と垂直な
方向(板の厚み方向)の尺度を 100倍としてある。両図
を比較してみると、従来のロールを使用して圧延した場
合(図7の場合)に比べ、本発明のロールを使用して圧
延した場合(図8の場合)の方がなめらかな断面形状を
有しており、オイルピットが軽減していることが分か
る。
【0026】本発明において、ロールにクレータ列を形
成する方法としてはレーザー加工法を用いる。通常の、
研磨によって研磨目を形成する方法では、研磨目を軸方
向とするためにロールと砥石の位置、速度等を複雑に調
整する必要がある上に、砥石の摩耗により幅方向の仕上
がり粗さが不均一になりやすい。
【0027】また、このクレータ列はロール軸に対して
ある程度傾斜していても、本発明の効果を奏することが
できるが、ロール軸と実質的に平行であると、軸方向に
応力がはたらかず、ねじれ変形を発生しないので最も効
率が良い。
【0028】図9は、クレータを連続して形成させるこ
とを説明する図であり、図9の(a)(b)(c)(d)は、それぞ
れクレータの軸方向隣側に次なるクレータを形成する際
に、それらの中心間距離Lとクレータの外径Dとの関係
で分類して示したものである。図9(a) に示すようにL
/Dが1以上であると、クレータ同志が重ならないの
で、本発明で意図する目的を達することができない。逆
にL/Dが 0.1未満であると、レーザー光がロールへ及
ぼす熱影響が著しいので、ロールの表面が軟化し摩耗に
よって凹凸が消失し易くなるので好ましくない。すなわ
ち、同一クレータ列中の隣あったクレータ同志はL/D
が 0.1〜1となる範囲内で重なるように加工するのが良
い。本発明の「クレータ列」には、L/Dが1であっ
て、実際には凹部同志が接触していないものも含む。
【0029】このような加工を施すには、ワークロール
の回転数とレーザー光遮断用のチョッパーブレードの回
転数とを、クレータが軸方向に並んで形成されるように
調節し、さらにワークロールが1回転あるいは数回転す
る毎にレーザー光が軸方向にクレータ径の 0.1〜1倍進
むようにしてレーザー加工すればよく、具体的にはロー
ルの回転数がチョッパーブレードの回転数の1倍あるい
は整数倍となるように調節して加工すればよい。なお、
このクレータ列を適当な長さとして用いる場合には、加
工前のロール表面に軸方向に等間隔のマスキングを行っ
た後で前記加工を行えばその目的は達成できる。このマ
スキングは螺旋状に行うのが、作業性からも、仕上がり
形状からも好ましい。マスキングには鋼、アルミニウ
ム、銅などのワイヤーや、適当な厚みと幅を有する金属
箔などのようにレーザー光を反射あるいは吸収するもの
を用いればよい。
【0030】クレータ列の深さは2〜20μmが適正であ
る。2μm未満では、加工し難いだけでなく、油膜厚さ
と比べてロールの凹凸が小さすぎるのでオイルピットが
発生しやすい。また、20μmを超えると、金属板表面に
滑り疵が付きすぎる。図2(a) のようにクレータ部同志
が重ならない場合に、凸部を研削せずに使用するときに
は、凸部の頂点から凹部の底辺までの距離が2〜20μm
であって、かつ凸部の幅が5〜50μmであるようにする
のがよい。5μm未満では摩耗しやすく、50μmを超え
ると圧延時の接触弧(図4のA→N→B)内に存在する
凸部の数が減少し、すべりに起因する平滑化作用が小さ
くなる。この場合、クレータ部とその隣のクレータ部の
間に存在する凹部の深さ(凸部の頂点と母材表面との距
離)は、レーザー加工によるかぎりクレータの深さを超
えない。
【0031】クレータ列の幅は50〜300 μmが適正であ
る。50μm未満である場合には、凹部と凸部の差が小さ
いので圧延時に摩耗しやすい。 300μmを超えると圧延
時の接触弧(図4のA→N→B)内に存在する凸部の数
が減少し、すべりに起因する平滑化作用が小さくなる。
【0032】また、クレータ列はロールの周方向に50〜
800 μmの繰返し間隔で存在するのが良い。50μm未満
ではクレータ凸部の頂点同志が重なり正確なクレータの
配列を得るのが難しい。 800μmを超えると、平滑化を
均一に行うことができない。
【0033】この繰返し間隔は、本発明の効果を奏する
範囲内であれば、一定である必要はない。なお、クレー
タ列の幅が小さい場合に繰返し間隔が大きいと、平滑化
の作用が低下することがあるので、そのような場合には
繰返し間隔を 500μm以内とするのが好ましい。
【0034】本発明のロールが有するクレータ列はロー
ルの軸方向一杯につながっていてもよいが、軸方向に連
続する長さが 15000μmを超えると、ロールバイト部で
圧延油をかき込む作用が大きくはたらくので、油膜が厚
くなり表面の平滑化状態が圧延速度に左右されやすい。
このとき、平滑化によって発生した金属板の摩耗粉がク
レータの凹部に蓄積しやすく、溝部の深さが一定となり
にくい点からも 15000μm未満にするのがよい。この、
クレータ部に圧延油をかき込む作用と金属板の表面を研
削する効果とのバランスを考慮すれば、クレータ列の軸
方向の長さはその幅の3〜50倍であるのが好ましい。
【0035】このとき、軸方向の繰返し間隔は、平滑化
をできるだけ均一に行える範囲として、軸方向の長さの
1〜3倍であることが望ましい。
【0036】本発明のロールを用いて冷間圧延を行う際
に、レバースミルによる場合は少なくとも最終パスに、
タンデムミルによる場合は少なくとも最終スタンドに適
用すれば、オイルピットを平滑化する効果に加え、それ
までのパスあるいはスタンドで金属板の表面上に発生し
た焼付き疵やスリップ疵を平滑化することができる。
【0037】次に本発明を実施例に基づいて説明する。
【0038】
【実施例1】380mmφ、長さ 400mmの JIS SUJ-2鋼製の
ロールの表面を研磨して、最大高さ(Rmax)が 0.5μmの
ブライトロールとした後、チョッパーブレード方式の波
長が10.6μmである C02レーザービーム加工機を用い
て、パルス周波数:20000Hz 、パワー:4×106 W/cm2
で表面加工を行った。
【0039】この時、ロールの回転数、チョッパーブレ
ードの回転数およびレーザービームのロール軸方向送り
速度を調節して、表1に示す種々のロールを得た。
【0040】これらのロールを用いて SUS430 の鋼(厚
さ 3.2mm、幅 100mm、熱間圧延焼鈍材、酸洗済)を、4-
Hi5スタンドのタンデム圧延機を用いて表2の圧延スケ
ジュールで5パスまで冷間圧延をおこなった。従来ロー
ルとして、ロールの周方向に研磨目を有する通常のロー
ルを使用した。各パスにおける使用ロールと、圧延後の
金属板表面の性状を表3に示す。なお、圧延時に潤滑油
として、合成エステル系圧延油(50℃での粘度が10cSt
のものと25cSt のもの2種類)の濃度3%エマルション
を使用した。
【0041】なお、No.1〜4 のロールはレーザー加工を
したままで使用し、No.5〜7 のロールはレーザー加工
後、凸部を研削して使用した。
【0042】表3の光沢度は JISによる測定角度45°の
鏡面光沢度 (Gs45°) で 450以上を○、 300以上 450未
満を△、 300未満を×として評価した。また、光沢む
ら、オイルピット、焼付き疵の有無については、有りを
×、なしを○、として表示した。これらが存在していて
も、問題にならない程度に軽微であるには△として表示
した。総合評価においては、ひとつでも×があれば×と
し、全てが○の場合を◎、それ以外すなわち○と△が混
在している場合を○とした。
【0043】表3から分かるように、本発明のロールを
少なくとも最終パスに使用して圧延した場合には、従来
のロールで圧延した場合に比べて、光沢度、光沢ムラ、
オイルピット、焼付き疵のいづれも著しく改善されてい
ることがわかる。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【実施例2】ロールの表面に、直径 450μmのアルミニ
ウム製ワイヤーを2500μm間隔で、巻きつけ角度がロー
ルの周方向に対して30°となるように、螺旋状に巻きつ
けた後に実施例1と同様にして表面加工を行い、表4に
示すロールを作製した。図10に、マスキングを行ってこ
の加工を施す概略図を示す。潤滑油として合成エステル
系圧延油(50℃での粘度が10cSt 、25cSt 、 50cStの3
種類)の濃度3%エマルションを使用した他は全て実施
例1と同様にして冷間圧延を行った。
【0048】なお、No.12 〜15のロールはレーザー加工
をしたままで使用し、No.16 〜18のロールはレーザー加
工後、凸部を研削して使用した。
【0049】表5に各パスにおける使用ロールと、圧延
後の金属板表面の性状を示した。
【0050】表5から分かるように、本発明のロールを
少なくとも最終パスに使用して圧延した場合には、従来
のロールで圧延した場合に比べて、光沢度、光沢ムラ、
オイルピット、焼付き疵のいづれも著しく改善されてい
ることがわかる。また、圧延油は25cSt 以上の高粘度油
に対しても高い光沢度を示すことがわかる。
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【発明の効果】冷間圧延時に本発明のロールを用いる
と、その圧延が高速であってもオイルピットやスリップ
疵、焼付き疵が発生しにくい。すなわち、光沢度に優れ
た金属板を生産性良く圧延することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザー加工によりロール表面に形成されるク
レータの断面形状を示す図である。
【図2】クレータの幅およびクレータ列の周方向繰返し
間隔を説明する図である。
【図3】クレータ列が軸方向に適当な長さをもって繰返
されている場合のロール表面の平面図である。
【図4】冷間圧延時にロール表面と金属板表面が滑りを
発生することを説明する図である。 (a)はロールバイト
部の圧延長手方向の断面図であり、 (b)はロール上のあ
る一点が金属板上に描く軌跡を示す図である。
【図5】研磨目の方向が周方向である通常のロールを用
いて冷間圧延を行った時に、金属板表面に形成されるロ
ール研磨目の転写を説明する図である。
【図6】本発明のロールを用いて冷間圧延を行った時の
転写パターンを説明する図である。
【図7】ロールの周方向に研磨目を有する従来ロールで
冷間圧延を行った後の、金属板表面の拡大平面図と断面
形状を示す図である。
【図8】本発明のロールで冷間圧延を行った後の、金属
板表面の拡大平面図と断面形状を示す図である。
【図9】ロール軸方向のクレータ配列の形態を説明する
図である。
【図10】マスキングを行ってロールにクレータ列を形
成するための加工を施す状態を示す概略図である。
【符号の説明】
1.(クレータの)凹部、 2.(クレータの)凸部、
3.母材表面、a.クレータ幅、 b.クレ
ータ長さ、c.(クレータ列の)周方向繰返し間隔、
d.(クレータ列の)軸方向繰返し間隔、S.金属板、
R.ロール、L.クレータ中心間距離、
D.クレータ外径、M.マスキング、 LB.
レーザー光

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】レーザー加工によって表面にクレータ列が
    形成されたワークロールであって、そのクレータ列が、
    下記〜の条件を満たすものであることを特徴とする
    冷間圧延用ワークロール。 上記クレータ列は、ロールの軸方向に実質的に平行に
    並んでいる。 クレータ列は、深さが2〜20μmで幅が50〜 300μm
    である。 クレータ列のロール周方向の繰返し間隔は50〜800 μ
    mである。
  2. 【請求項2】1つのクレータ列の軸方向長さがその幅の
    3〜50倍であって、そのクレータ列が、軸方向に軸方向
    長さの1〜3倍の間隔をもって繰返されていることを特
    徴とする請求項1に記載の冷間圧延用ワークロール。
  3. 【請求項3】ワークロールを回転させながらレーザー加
    工を施してそのワークロールの表面を加工する際に、ワ
    ークロールの回転数とレーザー光遮断用のチョッパーブ
    レードの回転数とを、クレータ列がロールの軸方向と実
    質的に平行に形成されるように調節し、さらにワークロ
    ールが1回転あるいは数回転する毎にレーザー光が軸方
    向にクレータ径の 0.1〜1倍進むようにしてレーザー加
    工を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の冷
    間圧延用ワークロールの製造方法。
  4. 【請求項4】レバースミルでの圧延では少なくとも最終
    パスで、タンデムミルでの圧延では少なくとも最終スタ
    ンドで、請求項1または2に記載の冷間圧延用ワークロ
    ールを用いることを特徴とする金属板の冷間圧延方法。
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