JPH061113U - 車両のステアリング支持構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両が衝突したときのステアリング支持部材
の変形量を低減させるとともに、組付作業性を向上させ
る。 【構成】 車両の幅方向に架設されたステアリングコラ
ム1aを支持するステアリング支持メンバ２に後端部3aを
固着された第１のブラケット３の前端部3bと、ステアリ
ング支持メンバ２の前方のカウルパネル４との間に隙間
Ｌが設けられている。衝突時、後方からの荷重Ｆによっ
てステアリングコラム1aとステアリング支持メンバ２と
第１のブラケット３は前方へ隙間Ｌだけ変形するが、第
１のブラケット３の前端部3bがカウルパネル４の第２の
ブラケット4bに突き当り変形は止められるのでステアリ
ング支持メンバ２の変形量は低減される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両のステアリング支持構造、さらに詳しくは自動車のステアリン グ支持メンバ等の支持構造の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

自動車等のステアリングを備えた車両においては、運転席の前に車室前方下部 から斜め上方に向って延びたステアリングコラムがあって、このステアリングコ ラムは通常その中央部を、その上方に車幅方向に延びたステアリング支持メンバ 等のステアリング支持部材に支持されている。

【０００３】 このような支持構造を備えた自動車において、自動車が他の物に衝突すると、 運転者の体が後方からステアリングホイールに突き当り、その突き当った荷重で ステアリング支持部材を前方へ変形させステアリングコラムが正常な取付位置よ り上方に立ち上がる方向に傾くことがあり、ステアリング系のコラプシブル機構 等が正常に作動するように、ステアリング支持部の剛性を高める必要がある。

【０００４】 上記の問題を解決するために実開平2-54677 号公報では、車両の幅方向に架設 されたステアリング支持部材の長手方向の中間部分と該ステアリング支持部材の 前方に位置するカウルパネルとの間に板状のブラケットを架設させて、前記ステ アリング支持部材が前方へ受ける上記荷重を該板状ブラケットを介して前記カウ ルパネルへ分散させ、前記ステアリング支持部材が変形させられることを抑止す るステアリング支持構造が開示されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら上記のような従来のステアリング支持構造は、前記板状ブラケッ トの一端をステアリング支持部材に固定し、他端をカウルパネルにボルトとナッ トとにより組み付ける構造となっており、特にステアリング支持部材が該ステア リング支持部材の両端部を車体のカウルサイドパネルに固定されて車体における 前後方向の位置決めがされているため、前記板状ブラケットをカウルパネルと該 ステアリング支持部材との間に組み付ける作業手順のときは、該板状ブラケット を車体における前後方向および幅方向の両方向を同時に位置決めしながら組み付 ける作業を要し、組付作業性が悪いという問題がある。

【０００６】 本考案の目的は上記事情に鑑み、車両が衝突したときのステアリング支持部材 の変形量を低減し、しかも組付作業性を容易にした車両のステアリング支持構造 を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案にかかる車両のステアリング支持構造は、上記ステアリング支持部材と 、該ステアリング支持部材の前方に位置するカウルパネルと、前記ステアリング 支持部材と前記カウルパネルとのどちらか一方に一端が固着されたブラケットと を備え、該ブラケットの他端が前記ステアリング支持部材と前記カウルパネルと の他の一方へ向って延びて前記他の一方に近接してなることを特徴とするもので ある。

【０００８】 また、上記ステアリング支持部材を両端と車両の側面パネルに架設されて支持 されるステアリング支持メンバとすることができる。

【０００９】 さらに、上記ブラケットを上記ステアリング支持部材の前方に位置する障害物 を迂回する形状とすることができる。

【００１０】 さらにまた、上記カウルパネルをカウルパネル本体と、該カウルパネル本体に 固着されて該カウルパネル本体の後方へ突出したブレーキペダル支持部材やクラ ッチペダル支持部材を兼用する第２のブラケットとからなるものとすることがで きる。

【００１１】

【作用および考案の効果】

本考案にかかる車両のステアリング支持構造は、ステアリング支持部材または カウルパネルのいずれか一方の部材に一端を固着されたブラケットが、他方の部 材へ向って延びていて、その延びた先端は他方の部材に単に近接しているだけで ありその他方とは組み付けられていない。即ち、具体的には例えば一端をステア リング支持部材に固着されたブラケットの他端は、ステアリング支持部材の前方 に位置するカウルパネルの後方へ近接している状態であって、カウルパネルとブ ラケットとの間には所定の間隔が存する。

【００１２】 上記のように構成されてなる車両のステアリング支持構造は、カウルパネルと ブラケットとを組み付けないため、組付作業性を低下させるという問題はない。

【００１３】 また、自動車が他の物に衝突したときは運転者の体がステアリングホイールに 突き当り、そのステアリングホイールに入力された後方から前方へ向う荷重は、 そのステアリングを支持するステアリング支持部材を前方へ移動させる、即ち該 ステアリング支持部材を前方へ変形させるが、該ステアリング支持部材は前記ブ ラケットとカウルパネルとの間の所定の隙間の長さだけ変形され、その後は、ブ ラケットとカウルパネルとが突き当り、ステアリング支持部材を変形させる荷重 はブラケットを介してカウルパネルへ分散されて、ステアリング支持部材の変形 は上記ブラケットとカウルパネルとが突き当ったときに止まり、ステアリング支 持部材の変形量は極めて微少に抑えることができる。

【００１４】 なお、ステアリング支持部材を車体の幅方向に架設されてなるステアリング支 持メンバとした場合は、該ステアリング支持メンバが配された幅方向のいかなる 位置に前記ブラケットを固着させても前述の効果が得られ該ブラケットを配置す る設計自由度が大きくなる。

【００１５】 さらに、前記ブラケットとステアリング支持部材の前方に位置する障害物を迂 回する形状としたときは、ステアリング支持部材とカウルパネルとの間に空調ダ クト等が配設された構造の車両に対しても前記と同じ効果を得ることができる。

【００１６】 さらにまた、前記カウルパネルが、カウルパネル本体とペダル支持部材を兼用 するブラケットとからなるときは、ブラケットの形状によってカウルパネルを後 方へ突出させる成形が必要とされる場合は、一般にカウルパネルを後方へ突出さ せて一体的に成形することは困難であるので、後方へ突出させた形状のブラケッ トをカウルパネルに固着させる必要がある。この場合、部品数の増加を招来する ことを防ぐため、該ブラケットをブレーキペダル支持部材やクラッチペダル支持 部材と兼用させることによって部品数の増加を防止することができる。

【００１７】

【実施例】

以下、図面を参照しながら本考案の実施例について詳細に説明する。図１は本 考案にかかる車両のステアリング支持構造の実施例を示す車両の部分断面図であ る。

【００１８】 図示のステアリング支持構造は、ステアリングコラム1aを車両に支持するステ アリング支持構造であって、車両の幅方向、即ち図面の奥行方向と手前方向とを 車両本体に架設されたステアリング支持メンバ２と、該ステアリング支持メンバ ２に一端3aを固着された鉤形状の第１のブラケット３と、前記ステアリング支持 メンバ２の前方に位置するカウルパネル４とを備え、前記第１のブラケット３の 固着されていない他端3bはカウルパネル４と微少な隙間Ｌを保持して近接してい る。

【００１９】 また、カウルパネル４はカウルパネル本体4aと、該カウルパネル本体4aに固着 されて、該カウルパネル本体4aの後方へ突出した、ブレーキペダル支持ブラケッ トを兼用する第２のブラケット4bとから構成されている。

【００２０】 次に本実施例の作用について説明する。

【００２１】 当該車両が前方の障害物に衝突したときに、その衝突の反動で運転者は、前方 のステアリングホイール1bにぶつかり、該ステアリングホイール1bに後方から前 方へ向う荷重Ｆが入力され、その荷重Ｆによってステアリング系１を支持してい るステアリング支持メンバ２を前方へ変形させる。このときステアリング支持メ ンバ２に一端3aを固着された第１のブラケット３は該ステアリング支持メンバ２ が前方へ変形するにしたがい前方へ移動する、即ち該第１のブラケット３の固着 されていない他端3bとその前方の第２のブラケット4bとの間の隙間Ｌが徐々に狭 くなる。さらに上記ステアリング支持メンバ２が前方へ大きく変形すると、前記 第１のブラケット３の他端3bは第２のブラケット4bと圧接されて、第１のブラケ ット３は前方への移動を停止する。従って第１のブラケット３を固着してなるス テアリング支持メンバ２の変形を止めることができる。

【００２２】 上記の作用によって、車両を衝突させたときにステアリング支持メンバの変形 を微量に抑止することができ、その結果ステアリング系に装備された他の装置、 例えばコラプシブル機構やエアバック装置を正常に作動させることができる。ま た、第１のブラケット３は一端3aのみを固着された片持ち構造であるため、他端 3bを固定する作業を必要としないので組付作業性が向上する。特に本実施例のよ うにステアリング支持メンバ２とカウルパネル４との間に空調用ダクト６が配設 されている場合は、第１のブラケットの他端3bをカウルパネルに固定する作業を 必要としないことによる作業性の向上の効果は大である。

【００２３】 なお、上記第１のブラケット３は特に鉤形状である必要はなく、ステアリング 支持メンバ２の前の空調用ダクト６を迂回しかつ十分な強度をもつ形状であれば どのような形状であってもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案にかかる車両のステアリング支持構造の
実施例を示す車両の部分断面図

【符号の説明】

１ ステアリング系 1a ステアリングコラム 1b ステアリングホイール ２ ステアリング支持メンバ ３ 第１のブラケット 3a 第１のブラケットの一端 3b 第１のブラケットの他端 ４ カウルパネル 4a カウルパネル本体 4b 第２のブラケット ６ 空調用ダクト Ｆ 荷重 Ｌ 隙間

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ステアリングコラムを車両に支持するス
   テアリング支持構造であって、ステアリング支持部材
   と、該ステアリング支持部材の前方に位置するカウルパ
   ネルと、前記ステアリング支持部材と前記カウルパネル
   とのどちらか一方に一端が固着されたブラケットとを備
   え、該ブラケットの他端が前記ステアリング支持部材と
   前記カウルパネルとの他の一方へ向って延びて前記他の
   一方に近接してなることを特徴とする車両のステアリン
   グ支持構造。
2. 【請求項２】 前記ステアリング支持部材が両端を車両
   の側面パネルに架設されて支持されるステアリング支持
   メンバであることを特徴とする請求項１記載の車両のス
   テアリング支持構造。
3. 【請求項３】 前記ブラケットが前記ステアリング支持
   部材の前方に位置する障害物を迂回する形状であること
   を特徴とする請求項１記載の車両のステアリング支持構
   造。
4. 【請求項４】 前記カウルパネルがカウルパネル本体
   と、該カウルパネル本体に固着されて該カウルパネル本
   体の後方へ突出した、ブレーキペダル支持部材やクラッ
   チペダル支持部材を兼用する第２のブラケットとからな
   ることを特徴とする請求項１記載の車両のステアリング
   支持構造。