JPH06105114B2 - 管継手 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は，給湯管，給水管等の管材を接合する際に使用
される管継手に関する。

（従来の技術） 合成樹脂管，あるいは金属管の内周面または内外両周面
を合成樹脂で被覆した複合管を用いて，給湯管，給水管
を配管する際に使用される管継手が実開昭61-22991号公
報に開示されている。

該管継手は，第９図に示すように，一側部に，バルブ等
の機器や他の管継手に接続される円筒状の接続部73が設
けられた継手本体70を有する。該継手本体70の他側部に
は接続管60の端部内に嵌合される円筒状の案内部72が設
けられており、該案内部72と接続部73との間に，外面六
角形状のナット部74が設けられている。該ナット部74に
は，筒状の締付け部材80の基端部に配設された内面が六
角形状の連結部81が嵌合されて固定されている。該連結
部81の外面は，スパナ等の締付け具が係合し得るように
六角形状になっている。該締付け部材80には，継手本体
70における案内部72に対して所定の間隔をあけて外嵌さ
れる締付け部82が該連結部81に連設されている。該締付
け部82の外径は，連結部81の外径よりも小さく，その基
端部外周面にはねじ溝が設けられている。該締付け部82
の先端部には，先端から軸方向にのびるスリットが周方
向に適当な間隔をあけて形成されており，従って，該先
端部は縮径可能となっている。そして，該締付け部82の
ねじ溝に袋ナット90が螺合され，該袋ナット90を締付け
ることにより，該締付け部82先端部が縮径される。

該管継手は，継手本体70の先端部73を，バルブ等の所定
部に装着し，袋ナット90を緩めた状態で，継手本体70に
おける案内部72と，締付け部材80の締付け部82との間に
接続管60の端部を挿入する。そして，袋ナット90を回転
させて締付けることにより，締付け部材80における締付
け部82先端部を縮径させ，該締付け部82先端部により接
続管60を，継手本体における案内部72の外周面に設けら
れた凹溝72a内のシール部材100に圧着させる。これによ
り，接続管60は，継手本体70の案内部72と締付け部材80
の締付け部82とにより挟持されて抜け止めされると共
に，シール部材100により，継手本体70の案内部72と接
続管60との間が液密にシールされる。

（発明が解決しようとする課題） このような構成の従来の管継手では，継手本体70,締付
け部材80,および袋ナット90は，通常，合成樹脂にて製
造される。該管継手に接続管60を接続するには，継手本
体70の案内部72と締付け部材80の締付け部82との間に接
続管60の端部を挿入し，袋ナット90を回転させて該接続
管60を縮径させる。袋ナット90の締付けは，その外周面
にスパナ等の締付け工具を係合させることにより行われ
る。この時に袋ナット90を締付け工具で過度に締付ける
と，締付け部材80の連結部81が変形し，該連結部81と継
手本体70のナット部74との嵌合が緩み，締付け部80が袋
ナット90側に引き寄せられる。その結果，締付け部材80
の締付け部82先端部が継手本体70の案内部72外周面に設
けられた凹溝72aの対向位置からずれ，接続管60がシー
ル部材100に確実に圧着されないおそれがある。このよ
うになれば，漏水の原因となり，また，接続管60が案内
部72と締付け部82との間から抜けるおそれもある。

本発明は上記従来の問題を解決するものであり，その目
的は，接続管との接続時に，締付け工具より過度に締付
けられても，接合された接続管を確実に抜け止めし、か
つ接続管との接合部を確実にシールし得る管継手を提供
することにある。

（課題を解決するための手段） 本発明の管継手は，接続すべき接続管が外嵌される円筒
状の案内部を有する継手本体と， 該継手本体の案内部とは接続管が挿入される間隙を有し
て外嵌され先端部が縮径可能な円筒状であって，その基
端部が該継手本体の所定部分に嵌合されて該継手本体と
一体的に回転される締付け部材と，該締付け部材と該継
手本体との嵌合部に装着されて締付け部材が継手本体か
ら離脱することを防止する抜け止めピンと，該締付け部
材の先端を縮径させるべく該締付け部材に外嵌されて軸
方向へ移動される圧縮部材とを 具備しており，そのこ
とにより上記目的が達成される。

（実施例） 以下に本発明を実施例について説明する。

本発明の管継手は，第１図に示すように，筒状の継手本
体10を有する。該継手本体10は，軸方向の一側部に，円
筒状の案内部11を有する。該案内部11は，接続すべき接
続管60内に内嵌され得るように、その外径が，該接続管
60の内径より若干小さく設定されている。該案内部11の
先端近傍部の外周面には，周方向に環状の凹溝11aが全
周にわたって設けられており，該凹溝11a内にゴム等の
弾性材でなる環状のシール部材20が嵌合されている。

該継手本体10は，その案内部11の基端側に，案内部11よ
り大きい外径のナット部13を有する。該ナット部13は，
第２図および第３図に示すように，外周面が例えば六角
形状になっており，その外周面には，凹溝13aが全周に
わたって設けられている。該凹溝13aの底面は，円弧状
に窪んでいる。

該継手本体10のナット部13における案内部11の配設側側
面とは反対側側面には，バルブ等の機器や他の管継手と
の接続部12が突設されている。該接続部12は，ナット部
13より小さく，かつ案内部11よりも大きい外径を有し，
その外周面には，機器や他の管継手のねじ部にねじ込ま
れるねじ溝12aが設けられている。該接続部12の内周面
はその内径が案内部11の内径より若干大きく，ナット部
13の内周面に連続している。ナット部13の内周面は案内
部11内周面および接続部12内周面に連続するテーパー状
になっている。

該継手本体10のナット部13および案内部12には，筒状の
締付け部材30が同心状に外嵌されている。該締付け部材
30は，その軸方向の一側部に，継手本体10のナット部13
に外嵌する連結部31を有する。該連結部31の外周面は，
第２図に示すように，スパナ等の締付け工具が係止し得
るように，例えば六角形状になっており，その内周面
は，ナット部13外周面に，該外周面に設けられた凹溝13
aを除いて密着している。該連結部31の凹溝13aに対向す
る軸心対称の二位置には、第３図に示すように，各凹溝
13a内に連通する各一対の貫通孔31a,…がそれぞれ設け
られている。対をなす各貫通孔31aは，連結部31の１つ
の角部を挟んで相隣する外周面にそれぞれの開口端が位
置して，該連結部31の軸心との直交軸とは平行になって
いる。各貫通孔31aの内径は，凹溝13aの溝幅と等しくな
っている。そして，対をなす各貫通孔31aおよび31aと両
貫通孔31aにて挟まれた凹溝13a内部分を，金属製の抜け
止めピン40が挿通している。

各抜け止めピン40は，その軸方向両端部が各貫通孔31a
内にそれぞれ位置しており各貫通孔31a内周面に両端部
が密着することにより位置決めされて，連結部31が継手
本体10のナット部13から抜けることを防止している。

該締付け部材30は，連結部31が設けられた一側部とは反
対側の側部に，筒状の締付け部32を有しており，その基
端部は，該連結部31に同心状に一体的に結合されてい
る。該締付け部材30の先端は，継手本体10の案内部11外
周面に設けられた凹溝11aに対向しており，その先端部
分には，軸方向に延びる複数の切欠き部32aが周方向に
適当な間隔をあけて配設されている。該締付け部32の先
端部分は，該切欠き部32aにより外部から加わる径方向
の縮径力にて縮径され得る。該締付け部32の外周面に
は，切欠き部32aが形成された先端部分を除いて，ねじ
溝32bが設けられている。該締付け部32の内径は，継手
本体10の案内部11に外嵌される接続管60の外径よりも若
干大きく設定されている。

該締付け部材30の締付け部32には，圧縮部材としての袋
ナット50が螺合される。該袋ナット50は，内部に円筒空
間を有する角筒状をしている。その内周面の一側部に
は，締付け部材30の締付け部32外周面に設けられたねじ
溝32bと螺合するねじ溝51が形成されている。該ねじ溝5
1に連続する袋ナット50内周面の中程の先端寄り部分
は，ねじ溝51から離れるに連れて徐々に縮径するテーパ
面52となっている。該テーパ面52は，前記締付け部32の
先端部に当接し得るようになっており，該締付け部32の
先端部にテーパ面52が当接した状態で，袋ナット50全体
を締付け部32の基端側に移動させることにより該締付け
部32先端部分が縮径される。袋ナット50のねじ溝51が形
成された一側部とは反対側の側部内周面53は，該テーパ
面52に連続しており，その内径は，前記継手本体10の案
内部11に外嵌される接続管60の外径より若干大きい一定
径になっている。

このような構成の本発明の管継手は，次のようにして使
用される。

本発明の管継手をバルブ等の機器や他の管継手に接続す
る場合には，継手本体10のナット部13に嵌合された締付
け部材30の連結部31外周面にスパナ等の締付け工具を係
合させて，継手本体10の接続部12を機器や他の管継手の
ねじ部にねじ込む。

このような状態で接続管60を，締付け部材30の締付け部
32外周面のねじ溝32bに袋ナット50のねじ溝51を緩く螺
合させた状態で，該袋ナット50を通して，締付け部材30
の締付け部32と継手本体10のナット部13にほぼ当接する
まで挿入する。

次いで，袋ナット50を回転させて，該袋ナット50を締付
け部材30の連結部31に接近するように，締付け部32に対
してねじ送りする。袋ナット50の回転は，その外周面に
スパナ等の締付け工具を係合させることにより行われ
る。袋ナット50がねじ送りされると，該袋ナット50の内
周面のほぼ中央部に形成されているテーパ面52が締付け
部32の先端に当接する。テーパ面52が締付け部32先端に
当接した後も更に袋ナット50を回転させて同方向にねじ
送りすると，切欠き部32aが設けられた締付け部32先端
部分がテーパ面52により縮径される。これにより，締付
け部32先端部分は，第４図に示すように，接続管60の一
部を全周にわたって内方へ押圧して変形させ，凹状に窪
ます。

接続管60の窪んだ部分は，継手本体10の案内部11外周面
に設けた凹溝11a内に嵌入する。その結果，該接続管60
は，継手本体10の案内部11と締付け部材30の締付け部32
とにより挟持され，案内部11と締付け部32との間から抜
け止めされる。凹溝11a内に嵌入した接続管60の窪んだ
部分は，凹溝11a内に嵌合されているシール部材20を圧
縮する。これにより，接続管60の内周面と案内部11の外
周面との間が液密にシールされる。

締付け工具による袋ナット50のねじ込みにより，締付け
部材30に過度の締付けトルクが付加されると，締付け部
材30の連結部31内周面が変形し，該連結部31が継手本体
10のナット部分13から抜ける方向へ移動しようとする。
この場合には，連結部31を貫通する各抜け止めピン40が
ナット部13外周面に設けられた凹溝13aに嵌合している
ので，該締付け部材30は，継手本体10に対して同方向に
回転するものの，軸方向に移動することがなく，その結
果，締付け部材30の締め付け部32先端が継手本体10の案
内部11外周面に設けられた凹溝11aの対向位置からずれ
ることがない。従って，袋ナット50が過度に締付けられ
ても，接続管60が管継手から脱離するおそれがなく，ま
た該管継手と接続管60とは確実にシールされる。

第５図および第６図は本発明の他の実施例を示す断面図
である。本実施例では，継手本体10における接続部12と
ナット部13との間に工具係合部14が設けられている。該
工具係合部14の外周面は，スパナ等の締付け工具が係止
し得るように，例えば六角形状になっている。該工具係
合部14に相隣して配設されたナット部13に外嵌される締
付け部材30′の連結部31′は，その外周面が工具係合部
14の外周面より小径であり，該連結部31′の外周面には
丸みが付与されている。他の構成は，第１図〜第４図の
管継手と同様である。

本実施例の管継手をバルブ等の機器や他の管継手に接続
する場合には，継手本体10の工具係合部14にスパナ等の
締付け工具を係合させて，継手本体10の接続部12を機器
等のねじ部にねじ込む。工具係合部14は，継手本体10に
一体的に設けられているので、該工具係合部14を介して
接続部12に十分な締付けトルクが付与される。しかも，
締付け工具が締付け部材30′の連結部31′に接触しない
ので，過度の締付けトルクが工具係合部14に付与されて
も，連結部31′内周面が継手本体10のナット部13外周面
とは摺動するおそれがない。

機器等に接続された管継手に接続管60を接続する場合に
は，第１図〜第４図の実施例と同様に，締付け部材30′
の締付け部32に対して袋ナット50をねじ送りする。袋ナ
ット50のねじ送りにより，締付け部32の先端部分が縮径
して，接続管60に対する抜け止めおよびシールが行われ
る。袋ナット50が過度に締付けられた場合にも，締付け
部材30′の連結部31′を貫通する抜け止めピン40がナッ
ト部13外周面の凹溝13aに嵌合しているので，該連結部
材30′が継手本体10から離脱するおそれがない。

第７図は本発明の更に他の実施例を示す断面図である。
本実施例においては，機器や他の管継手に接続される継
手本体10の接続部12の内周面にねじ部12bが形成されて
いる。該接続部12は，第５図および第６図の管継手にお
ける工具係合部14と同様に機能するように，その外周面
は，工具係合部14の外周面と同様に，例えば六角形状
で，締付けリング30の連結部31外周面より大径になって
いる。他の構成は，第１図〜第４図に示す実施例の管継
手と同様である。

なお，上述の実施例は，いずれも直管タイプの管継手に
ついて説明したが，本発明は，第８図に示すように，継
手本体部10′の接続部12′がＬ字状に屈曲しており，両
端部に締付け部材30が装着されたエルボタイプの管継手
等に対しても適用できる。この場合には継手本体10′の
両端部に接続管60が接続される。

更に締付け部材30の抜けを防止するための抜け止めピン
40は，上述の実施例に限定されるものではなく，例えば
継手本体10′のナット部13の半径方向に挿入されるもの
であってもよい。

（発明の効果） 本発明の管継手は，このように，継手本体と該継手本体
の所定部分に嵌合されて一体的に回転される締付け部材
が抜け止めピンにより，抜け止めされているため，該締
付け部材は継手本体から離脱するおそれがなく，継手本
体に対する締付け部材の軸方向位置は変化しない。従っ
て，該管継手に装着される接続管は継手本体と締付け部
材との間にて確実にシールされ，また該接続管が締付け
部材と継手本体との間から抜けることも防止される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の管継手の一実施例を示す断面図，第２
図は第１図のII-II線における断面図，第３図は第１図
のIII-III線における断面図，第４図は第１図の管継手
の動作を説明するための断面図，第５図は本発明の管継
手の他の実施例を示す断面図，第６図は第５図のVI-VI
線における断面図，第７図および第８図はそれぞれ本発
明の管継手の更に他の実施例を示す断面図，第９図は従
来の管継手の断面図である。 10……継手本体,11……案内部,12……接続部,13……ナ
ット部,20……シール部材,30,30′……締付け部材,31,3
1′……連結部,32……縮径部,40……抜け止めピン,50…
…袋ナット（圧縮部材）,60……接続管。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】接続すべき接続管が外嵌される円筒状の案
   内部を有する継手本体と， 該継手本体の案内部とは接続管が挿入される間隙を有し
   て外嵌され先端部が縮径可能な円筒状であって，その基
   端部が該継手本体の所定部分に嵌合されて該継手本体と
   一体的に回転される締付け部材と， 該締付け部材と該継手本体との嵌合部に装着されて締付
   け部材が継手本体から離脱することを防止する抜け止め
   ピンと， 該締付け部材の先端を縮径させるべく該締付け部材に外
   嵌されて軸方向へ移動される圧縮部材と， を具備する管継手。