JPH0718515B2 - 管継手 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は，給湯管，給水管等の管材を所定の機器に接合
する際，あるいは管材同士を接合する際に使用される管
継手に関する。

（従来の技術） 合成樹脂管，あるいは金属管の内周面または内外両周面
を合成樹脂で被覆した複合管を用いて，給湯管，給水管
等を配管する際に使用される管継手が，実開昭61-22991
号公報に開示されている。

該管継手は，第４図に示すように，一側部に，バルブ等
の機器や他の管継手に接続される円筒状の接続部63が設
けられた継手本体60を有する。該継手本体60の他側部に
は接続管50の端部内に嵌合される円筒状の案内部62が設
けられており，該案内部62と接続部63との間に，外面六
角形状のナット部64が設けられている。該ナット部64に
は，筒状の締付け部材70の内面が六角形状になった連結
部71が嵌合されて固定されている。該連結部71の外面
は，スパナ等の締付け具が係合し得るように角形状にな
っている。該締付け部材70には，継手本体60における案
内部62に所定の間隔をあけて外嵌される締付け部72が該
連結部71に連設されている。該締付け部72の外径は，連
結部71の外径よりも小さく，その基端部外周面にはねじ
溝が設けられている。該締付け部72の先端部には，先端
から軸方向に延びるスリットが周方向に適当な間隔をあ
けて形成されており，従って該先端部は縮径可能となっ
ている。そして，該締付け部72のねじ溝に袋ナット80が
螺合され，該袋ナット80を締付けることにより，該締付
け部72先端部が縮径される。

該管継手は，次のように使用される。まず，継手本体60
の接続管63を，バルブ等の所定部に装着し，袋ナット80
を緩めた状態で， 継手本体60における案内部62と，締付け部材70の締付け
部72との間に接続管50の端部を挿入する。そして，袋ナ
ット80を回転させる締付けることにより，締付け部材70
における締付け部72先端部を縮径させ，該締付け部72先
端部により接続管50を，継手本体60における案内部62の
外周面に設けられた凹溝62a内のシール部材90に圧着さ
れる。これにより，接続管50の端部は，継手本体10の案
内部62と締付け部材70の締付け部72とにより挟持されて
抜け止めされると共に，シール部材90により，継手本体
60の案内部62と接続管50との間が液密にシールされる。

（発明が解決しようとする課題） このような構成の従来の管継手では，継手本体60の案内
部62と，締付け部材70の締付け部72との間に接続管50の
端部を挿入する際に，シール部材90が締付け部72先端の
対向位置からずれ，ひどくなると接続管50の先端がシー
ル部材90を案内部62の凹溝62aから奥の方へ押しやって
しまうおそれがある。

また，バルブ等の所定の機器に装着された継手本体60の
案内部62と締付け部材70の締付け部72との間に接続管50
の端部を挿入し，袋ナット80を回転させて該締付け部72
先端部を縮径させる際に，該袋ナット80を過度に締付け
ると，締付け部材70が袋ナット80側に引き寄せられるお
それがある。その結果，締付け部材70の締付け部72先端
部が継手本体60の案内部62外周面に設けられた凹溝62a
の対向位置からずれ，接続管50がシール部材90に確実に
圧着されないおそれがある。このようになれば，漏水の
原因となり，また，接続管50が案内部62と締付け部72と
の間から抜けるおそれもある。

本発明は上記従来の問題を解決するものでありその目的
は，接合された接続管を確実に抜け止めし，かつその接
続管との接合部との漏水性に優れた管継手を提供するこ
とにある。

（課題を解決するための手段） 本発明の管継手は，接続すべき接続管に内嵌される円筒
状でその外周部に環状の凹溝が周方向に設けられた案内
部を有する継手本体と，該継手本体の案内部における凹
溝内に該案内部の軸方向への摺動可能に配設されてお
り，縮径力の作用により該凹溝内を摺動し得るように外
周面がテーパ状になったスライドリングと，該スライド
リングの摺動により該スライドリングにて圧縮されて径
方向へ膨出するように，前記案内部の凹溝内に嵌合され
たシール部材と，該継手本体の案内部に接続管が挿入さ
れる間隙を有して同心状に外嵌されており，該案内部の
凹溝に対向する部分が縮径可能である締付けリングと，
該締付けリングの縮径可能な部分を縮径させるべく該締
付けリングに外嵌されており，前記案内部の凹溝内に配
設されたストライドリングに縮径力を作用させるべく該
締付けリングに内嵌された接続管を変形させる圧縮部材
と，を具備してなり，そのことにより上記目的が達成さ
れる。

（実施例） 以下に本発明を実施例について説明する。

本発明の管継手は，第１図（ａ）に示すように，継手本
体10,締付けリング40および圧縮部材としての袋ナット5
0を有している。

継手本体10は，中央部に例えば外面六角形状のナット部
11を有し，該ナット部11の一端面には円筒状の案内部12
が設けられ，他端面に管状の接続部13が設けられてい
る。案内部12は接続すべき接続管50内に嵌合され得るよ
うに，該接続管50の内径より若干小さい外径を有してい
る。該案内部12の先端近傍部外周面には，周方向に環状
の凹溝14が全周にわたって設けられている。該凹溝14
は，第２図（ａ）に示すように，案内部12外周面とは平
行な底面14aと該底面14aに対して直角な状態となった一
対の側面14bおよび14bとにより構成されている。該凹溝
14の深さは案内部12の厚みにより変化するが，通常は接
続管60の厚みの1/2程度に設定されている。

該凹溝14内には,2本のスライドリング15aおよび15bと,2
本の環状のシール部材16および16とが嵌合されている。

２本のスライドリング15aおよび15bは，該凹溝14内の中
央部に嵌合されている。案内部12の先端側に位置する一
方のスライドリング15aは，外周面が先端側になるにつ
れて外径が漸増するテーパー状になっている。案内部12
の基端側に位置する他方のスライドリング15bの外周面
は，上記スライドリング15aとは逆に，基端側になるに
つれて外径が漸増するテーパー状になっている。いずれ
のスライドリング15aおよび15bも，凹溝14の底面14aに
ゆるく外嵌し，テーパー状外周面に半径方向への縮径力
が作用した場合に，該凹溝14の底面14aに沿って相互に
離反する方向へ移動するようになっている。スライドリ
ング15aおよび15bの外径は，案内部12の外径よりは小さ
く，凹溝14内に収容されるのが好ましいが，接続管50内
径より小さければ凹溝14より多少飛び出ていてもよい。

シール部材16および16は，例えばゴム製の０リングが用
いられており，各スライドリング15aおよび15bを軸線方
向の両側から挟むように凹溝14内に嵌合されている。ス
ライドリング15aおよび15bとシール部材16および16は，
スライドリング15aおよび15bが僅かに軸方向へ移動して
もシール部材16および16が軸方向に圧縮されるように，
凹溝14の各側面14bおよび14bとスライドリング15aおよ
び15bにて緩く圧縮された状態になっている。シール部
材16および16の外径は，案内部12の外径よりは若干小さ
く，スライドリング15aおよび15bの外径よりは若干小さ
く設定されている。これにより，案内部12に接続管50の
端部が外嵌された場合に，該接続管50の端部内周面をス
ライドリング15aおよび15bの最大外径部分で案内するこ
とにより，シール部材16および16が接続管50の端面で傷
付いたり，端面で押されて凹溝14から脱出することが防
止される。

継手本体10における接続部13は，第１図（ａ）に示すよ
うに，案内部12よりも若干大きい内径および外径を有
し，ナット部11を介して案内部12内に連通している。該
接続部13の外周面には，バルブ等の機器と接続されるよ
うに，ねじ溝が形成されている。

締付けリング40は，継手本体10のナット部11に外嵌され
た鍔部41と，継手本体10の案内部12とは所定の間隙を有
して外嵌されるように該鍔部41の一端面に設けられた円
筒状の縮径部42と，を有する。鍔部41は，継手本体10の
ナット部11外周面に密着する内周面を有し，またその外
周面は，スパナ等の締付け工具が係止し得るように，例
えば六角形状になっている。

円筒状の縮径部42の先端は，継手本体10の案内部12外周
面に設けられた凹溝14内のスライドリング15aおよび15b
に対向している。該縮径部42は，先端部に軸線方向に延
びる複数の切欠き部42aが周方向に適当な間隙をあけて
配設されており，該先端部が外部から加わる径方向への
縮径力にて縮径され得る。該縮径部42の外周には，切欠
き部42aが形成された先端部を除いて，ねじ溝42bが設け
られている。該縮径部42の内径は，継手本体10の案内部
12に外嵌される接続管50の外径よりも若干大きくなって
いる。

袋ナット30は，内径に円筒空間を有する角筒状をしてい
る。その内周面の一側部には，前記締付けリング40の縮
径部42外周面に設けられたねじ溝42bと螺合するねじ溝3
1が形成されており，該ねじ溝31が縮径部42のねじ溝42b
に螺合するようになっている。該袋ナット30は，該ねじ
溝31に連続する内周面の中央部が，ねじ溝31から離れる
に連れて徐々に縮径するテーパ面32となっており該テー
パ面32が前記縮径部42の先端に当接し得る。袋ナット30
のねじ溝31が形成された一側部とは反対側の側部の内周
面33は，該テーパ面32に連続しており，その内径は一定
で，締付けリング40の縮径部42の外径よりも若干小さく
なっている。

このような構成の管継手と接続管との接続は次のように
行われる。

締付けリング40の縮径部42外周面のねじ溝42bに袋ナッ
ト30のねじ溝31を緩く螺合させた状態で，該袋ナット30
を通して，締付けリング40の縮径部42と継手本体10の案
内部12の間隙内に接続管50を挿入する。そして，該接続
管50の端面を継手本体10のナット部11端面に突き当て
る。

このような状態で，袋ナット30を回転させて，該袋ナッ
ト30を締付けリング40の鍔部41に接近するように，縮径
部42に対してねじ送りする。袋ナット30がねじ送りされ
ると，該袋ナット30の内周面中央部のテーパ面32が縮径
部42の先端に当接し，さらに袋ナット30が回転して同方
向にねじ送りされると，切欠き部42aが設けられた縮径
部42先端部が該テーパ面32により縮径される。これによ
り，該縮径部42先端は，第１図（ｂ）に示すように，接
続管50の外周面を全周にわたって内方へ押圧し，該接続
管50の一部を変形させて凹状に窪ます。

接続管50の窪んだ部分は，第２図（ｂ）に示すように，
継手本体10における案内部12の凹溝14内に嵌合された２
本のスライドリング15aおよび15bのテーパー状外周面を
外周側から半径方向に縮径させる。これにより２本のス
ライドリング15aおよび15bはくさび作用により互いに離
反する方向へ移動する。案内部12の先端側のスライドリ
ング15aが該案内部12の先端側へ移動することにより，
該案内部12の先端側に位置するシール部材16が凹溝14の
案内部12に先端側側面14bと該スライドリング15aとによ
り圧縮され，外周側へ膨出する。案内部12の基部側のシ
ール部材16はスライドリング15bと凹溝14の端面とによ
り圧縮されて同様に外周側へ膨出する。その結果，シー
ル部材16および16は凹溝14の底面14aと接続管50の外周
面とに密着され，接続管50と案内部12との間を液密にシ
ールする。

このとき，接続管50の窪んだ部分は,2本のスライドリン
グ15aおよび15bの間に嵌入し，各スライドリング15aお
よび15bと締付けリング40の縮径部42とにより挟持され
る。その結果，該接続管50の端部は，継手本体10の案内
部12および締付けリング40の縮径部42に嵌合された状態
で抜け止めされる。

第３図（ａ）および（ｂ）は本発明の他の実施例を示す
案内部12先端部の断面図である。本実施例では，継手本
体10における案内部12の凹溝14内に１本のスライドリン
グ15cが，案内部12の軸方向に摺動可能に遊嵌されてい
る。該スライドリング15cは，外周面が案内部12の基端
側になるにつれて外径が漸増するテーパ状になってお
り，シール部材16は，凹溝14内のスライドリング15cに
おる案内部12基端側に隣接して嵌合されている。また，
第１図の実施例と同様に，締付けリング40の縮径部42の
先端は，凹溝14内のスライドリング15cの外周面に対向
している。

本実施例の場合も，第１図の実施例と同様に，締付けリ
ング40の縮径部42に対して袋ナット30をねじ送りするこ
とにより，接続管50の管壁が内周側へ窪み，スライドリ
ング15cのテーパ状外周面が外周側から径方向へ縮径さ
れる。これによりスライドリング15cは案内部12の基端
側へ移動し，スライドリング15に隣接して嵌合されてい
るシール部材16を凹溝14の側面14bと該スライドリング1
5cとにより圧縮する。その結果，シール部材16は外周側
へ膨出し，接続管50と案内部12との間を液密にシールす
る。このとき，同時に，接続管50は継手本体10の案内部
12と締付けリング40の縮径部42とにより挟持される。

（発明の効果） 本発明の管継手は，このように，継手本体の案内部に外
嵌された接続管の端部における一部を縮径させ，該案内
部の凹溝内に設けられたスライドリングを該凹溝内にて
接続管の軸方向に摺動させることにより，該凹溝内に嵌
合されたシール部材を圧縮して該シール部材を径方向へ
膨出させているため，該案内部と接続管との間が該シー
ル部材により確実にシールされる。また，このシールは
スライドリングによる押付力が小さくても，大きくても
確実となるため，締付けリングの締付度合に多少の差が
生じても，また接続管の径に多少のバラつきがあっても
確実にシールできる。

さらに，シール部材は，圧縮されない状態では，案内部
に外嵌される接続管内周面とはほとんど摺接しないた
め，該シール部材が凹溝内からずれるおそれがない。ま
た，シール部材とし，シール効果の高いＯリングを使用
し得るため，シール効果をより一層向上させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ）は本発明の管継手の一部破断側面図，第１
図（ｂ）はその動作説明のための一部破断側面図，第２
図（ａ）は第１図（ａ）における要部拡大図，第２図
（ｂ）は第１図（ｂ）における要部拡大図，第３図
（ａ）は本発明の管継手の他の実施例の要部断面図，第
３図（ｂ）はその動作説明図，第４図は従来の管継手の
一部破断側面図である。 10……継手本体,12……案内部,14……凹溝,15a,15b,15c
……スライドリング,16……シール部材,30……袋ナッ
ト,40……締付けリング,50……接続管。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】接続すべき接続管に内嵌される円筒状でそ
   の外周部に環状の凹溝が周方向に設けられた案内部を有
   する継手本体と， 該継手本体の案内部における凹溝内に該案内部の軸方向
   への摺動可能に配設されており，縮径力の作用により該
   凹溝内を摺動し得るように外周面がテーパ状になったス
   ライドリングと， 該スライドリングの摺動により該スライドリングにて圧
   縮されて径方向へ膨出するように，前記案内部の凹溝内
   に嵌合されたシール部材と， 該継手本体の案内部に接続管が挿入される間隙を有して
   同心状に外嵌されており，該案内部の凹溝に対向する部
   分が縮径可能である締付けリングと， 該締付けリングの縮径可能な部分を縮径させるべく該締
   付けリングに外嵌されており，前記案内部の凹溝内に配
   設されたストライドリングに縮径力を作用させるべく該
   締付けリングに内嵌された接続管を変形させる圧縮部材
   と， を具備する管継手。