JPH06104553A - 無電解めっきの接着剤層の表面処理方法 - Google Patents

無電解めっきの接着剤層の表面処理方法

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JPH06104553A
JPH06104553A JP25120292A JP25120292A JPH06104553A JP H06104553 A JPH06104553 A JP H06104553A JP 25120292 A JP25120292 A JP 25120292A JP 25120292 A JP25120292 A JP 25120292A JP H06104553 A JPH06104553 A JP H06104553A
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adhesive layer
roughening
sulfuric acid
electroless plating
chromium
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JP25120292A
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Mineo Kawamoto
峰雄 川本
Akio Takahashi
昭雄 高橋
Haruo Akaboshi
晴夫 赤星
Toyofusa Yoshimura
豊房 吉村
Iwao Kaminaga
岩男 神長
Tokihito Suwa
時人 諏訪
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 無電解めっきにより回路を形成する絶縁基板
の表面に形成された無電解めっきの接着剤層の表面処理
方法において、該接着剤層表面を色差濃度計による反射
濃度値で0.85〜1.0となるようにクロム硫酸混液を
用いて粗化することを特徴とする無電解めっきの接着剤
層の表面処理方法。 【効果】接着剤層表面の粗化残渣が極めて少ないため、
めっきレジストの接着性が向上し、現像時にめっきレジ
ストの剥離やエッジ部のシャープなパターンが形成さ
れ、レジストとしての解像度が著しく向上するので、微
細回路が容易に形成できる。これによって、信頼性の優
れた微細回路のプリント配線板を量産できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プリント配線板等の無
電解めっきの接着剤層の表面処理法に関し、特にクロム
硫酸混液で接着剤層を粗化した際に、その表面に粗化残
渣物が残らない無電解めっきの接着剤層の表面処理方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】無電解めっき法、特に、フルアディティ
ブ法でプリント配線板の回路を形成するには、絶縁基板
の表面に予め設けられた接着剤層の表面をクロム硫酸混
液(クロム化合物+硫酸+水)で粗化し、その後、無電
解めっき反応の触媒を付着させ、次に、めっきレジスト
を形成し、該めっきレジストの回路形成部分以外をUV
露光して硬化し、現像して未硬化部分(回路形成部分)
のめっきレジストを溶解除去し、無電解めっきで回路を
形成する方法が知られている。
【0003】また、無電解めっき反応の触媒が配合され
ている接着剤層を用い、クロム硫酸混液で粗化した後、
めっきレジストを形成し、以下同様にして回路を形成す
る方法もある。
【0004】上記の接着剤層は、一般にエポキシ樹脂、
フェノール樹脂、合成ゴム等を主成分とし、これに加硫
助剤や無機フィラーを配合したものである。この接着剤
層は、溶剤で溶解してロールコート法やカーテンコート
法で、絶縁基板に塗布する方法、または、フィルムに形
成したものを絶縁基板に加熱圧着する方法、または、ホ
ットロールでラミネートする方法等がある。また、該め
っきレジストの硬化も加熱、UV照射、または、これら
両者を組合せたものもある。
【0005】こうした無電解めっき法では、回路の形成
に先立ち、その下地となる接着剤層の表面を粗化してめ
っき膜の接着力(ピール強度)の向上やふくれの防止を
図っている。
【0006】この粗化液としては、一般にクロム硫酸混
液が使用されている。これは、クロム酸ナトリウム、重
クロム酸ナトリウム、重クロム酸カリウム、無水クロム
酸などの1種以上を水に溶解し、これに濃硫酸を混合し
たものである。また、フッ化物としてフッ化ナトリウム
を溶解したクロム硫酸混液も知られている(特公平2−
3557号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】近年、電気製品の小型
軽量化のため、それの用いられるプリント配線板には部
品実装密度向上の観点から、回路幅および回路間隔が1
00μm以下のものの要求が高くなっている。
【0008】このような微細回路をフルアディティブめ
っき法で形成しようとすると、従来のクロム硫酸混液で
処理した場合、接着剤層の粗化表面に形成されたドライ
フィルム型めっきレジストが、UV露光後の現像工程で
剥離したり、エッジ部にギザギザが発生する等の問題が
生じた。上記の剥離部分では、無電解めっき液が侵入し
てこの部分にめっきが析出し、回路間を短絡させる原因
となる。また、エッジ部にギザギザが発生した部分で
は、シャープな回路が得られないばかりか回路幅および
回路間隔が設計値をオーバーしたりあるいは低下させる
要因となる。こうした現象は、幅100μm以下の回路
や回路間隔の微細なプリント配線板を安定供給できない
と云う問題があった。
【0009】上記現象は、特に、エポキシ樹脂系の接着
剤層の表面を、調製したてのクロム硫酸混液で粗化した
場合に発生し易い。この原因は、調製したてのクロム硫
酸混液は粗化力が強いために接着剤の溶解量が大きく、
接着剤層の表面にエポキシ樹脂を含む粗化残渣が付着し
て、クリーンな粗化表面が得られないためと考える。
【0010】この現象を、実際のプリント板の製造時に
おける接着剤層の表面粗化工程で説明する。
【0011】接着剤層を形成したワークサイズの基板
を、約10〜20mm間隔で垂直方向に50〜100枚
セットしたものを一篭とする。そして、この篭ごと一定
温度のクロム硫酸混液中に浸漬し粗化する。所定の時間
粗化後、この篭をクロム硫酸混液から引き上げ、接着剤
層表面やスルーホール内に残留しいるクロム硫酸混液を
洗浄(6価Crイオンの還元、硫酸の中和)するため、
排水処理設備と連結した水洗槽中に浸漬する。
【0012】しかし、いきなり水洗槽に浸漬すると水洗
槽中の6価Crイオンや硫酸濃度が篭の処理数と共に急
速に高まってしまうので、これを抑制するために、クロ
ム硫酸混液中から引上げた篭を空中で一定時間懸架し
て、接着剤層表面やスルーホール内に付着残留している
クロム硫酸混液の液切りを行なう。通常、この懸架時間
は0.5〜5分程度である。この液切り中にも、付着し
ているクロム硫酸混液で接着剤層表面の粗化が進行し、
液中に溶解している接着剤が粗化残渣として接着剤層表
面に付着する。特に、調製したばかりのクロム硫酸混液
では、粗化力が大きいため、液切り時に起こる前記現象
が顕著に発生する。なお、この粗化残渣は、クロム硫酸
混液で溶離、分解された接着剤中のエポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂、合成ゴムなどの分解物と溶離された無機フ
ィラー等である。
【0013】この粗化残渣が付着した状態で無電解めっ
きの触媒を付着させ、その上にめっきレジストを形成し
て加熱、または、UV露光等により硬化し現像すると、
未露光部分のめっきレジストが溶解される際に、上記の
付着粗化残渣が溶解され、現像液が侵入して硬化してい
るめっきレジストを剥離させる。また、粗化残渣がUV
露光時にUVを乱反射して、めっきレジストのエッジ部
にギザギザを発生させる。
【0014】従来、こうした粗化残渣を除去する方法と
して、粗化後に湯洗を行なう方法(特公平4−6116
号公報)、または、粗化後にアルカリ処理を行なう方法
(特開昭55−22841号公報,特公昭60−507
9号公報)が知られいる。しかし、これらの方法でも、
前記のレジストの幅が100μm以下の場合、レジスト
の剥離を防止できず、また、処理工程数が多くなると云
う問題があった。即ち、湯洗あるいはアルカリ処理でも
粗化残渣を十分に除去できないためと考えられる。
【0015】本発明の目的は、無電解めっきレジストの
剥離が発生しない接着剤層表面の処理方法を提供するも
のである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは検討を重ね
た結果、前記クロム硫酸混液で粗化した後の無電解めっ
きの接着剤層表面の反射濃度値が0.85〜1.0とする
ことが重要なことを見出し本発明に到達した。前記課題
を解決する本発明の要旨は次のとおりである。
【0017】(1) 無電解めっきにより回路を形成する
絶縁基板の表面に形成された無電解めっきの接着剤層の
表面処理方法において、該接着剤層表面を色差濃度計に
よる反射濃度値で0.85〜1.0となるように粗化する
ことを特徴とする無電解めっきの接着剤層の表面処理方
法。
【0018】(2) 無電解めっきにより回路を形成する
絶縁基板の表面に形成された無電解めっきの接着剤層の
表面処理方法において、該接着剤層表面を色差濃度計に
よる反射濃度値で0.85〜1.0となるようにクロム硫
酸混液を用いて粗化することを特徴とする無電解めっき
の接着剤層の表面処理方法。
【0019】(3) 前記クロム硫酸混液中の3価のCr
イオンが30〜120g/l含む含む粗化液で粗化する
前記(2)に記載の無電解めっきの接着剤層の表面処理方
法。
【0020】(4) 前記クロム硫酸混液中の3価のCr
イオンが20g/l以上、水100mlに対する溶解度
が6g以上のフッ化物が5〜20g/l含む粗化液で粗
化する前記(2)に記載の無電解めっきの接着剤層の表面
処理方法。
【0021】(5) 前記クロム硫酸混液中の3価のCr
イオンが20g/l以上、式〔1〕
【0022】
【化3】CnF2n+1SO2−Z …〔1〕 (但しnは3〜9の整数、Zは親水基を示す)で表され
るフッ化炭化水素系湿潤剤が0.1〜0.5g/l含む粗
化液で粗化する前記(2)に記載の無電解めっきの接着剤
層の表面処理方法。
【0023】(6) 前記クロム硫酸混液中の3価のCr
イオンが10g/l以上、水100mlに対する溶解度
が6g以上のフッ化物が5〜20g/l、前記式〔1〕
(但しnは3〜9の整数、Zは親水基を示す)で表され
るフッ化炭化水素系湿潤剤が0.1〜0.5g/l含む粗
化液で粗化する前記(2)に記載の無電解めっきの接着剤
層の表面処理方法。
【0024】前記の反射濃度値とは、接着剤層表面を粗
化後、水洗、乾燥してその表面を一般のカラー複写の色
差濃度計で測定することにより得られる。下限値は白色
標準板で0.05を示し、上限値は黒色反射板で2.25
を示す。この状態で硬化した接着剤層表面の反射濃度値
は1.05〜1.07を示す。従って、クロム硫酸混液で
粗化した場合、反射濃度値は低い値を示すが、特に、粗
化残渣が付着しいる接着剤層表面は数値が低く白色強度
が強い。
【0025】粗化後の接着剤層表面の反射濃度値が0.
83付近ではめっき膜のふくれや、接着力(ピール強
度)低下の問題が起こらない程度に十分粗化されている
が、粗化残渣が約0.2mg/cm2以上付着すると、U
V露光時に光散乱が生じ、現像によってめっきレジスト
のエッジ部にギザギザや剥離が発生し易くなる。特に、
反射濃度値が0.8以下ではめっきレジストの剥離は基
板全面で発生する。
【0026】反射濃度値が0.85〜1.0では、粗化残
渣の付着量は0.03〜0.08mg/cm2であり、接
着剤層表面の粗化も十分で、めっきレジストのエッジ部
のギザギザや剥離が発生せず、めっき膜のふくれや、接
着力の低下も生じない。
【0027】反射濃度値が1.0を超えると接着剤層の
粗化が不十分となり、特に、反射濃度値が1.03以上
になるとめっき膜のふくれや接着力低下が起こり易くな
る。次に、粗化後の接着剤層表面の反射濃度値を0.8
5〜1.0にする方法について説明する。
【0028】第一の手段は、クロム硫酸混液中の3価の
Crイオン濃度を30g/l以上の粗化液を用いること
である。
【0029】図1はクロム硫酸混液中の3価のCrイオ
ン量と粗化後の接着剤層表面の反射濃度の関係を示すグ
ラフである。曲線Aでは3価のCrイオン濃度が25g
/l以下で反射濃度値が低くなり、めっきレジストの剥
離が発生し易い領域である。
【0030】調製したばかりのクロム硫酸混液中に、3
価のCrイオン濃度を30g/l以上存在させるには次
の方法がよい。その一つは、特公平2−3557号公報
に記載されるように、接着剤層をクロム硫酸混液中に故
意に溶解して6価のCrイオンを還元し、3価のCrイ
オンの濃度を高める方法である。しかし、この方法は、
予め接着剤をクロム硫酸混液に所定量溶解する必要があ
る。しかも、接着剤の溶解量と生成する3価のCrイオ
ン量との関係が必ずしも一定でなく、6価のCrイオン
と3価のCrイオンの分析を行ないながらその量を調整
する必要がある。また、予め接着剤層を溶解させるため
に、その分、クロム硫酸混液の寿命が短くなり好ましく
ない。
【0031】次に、好ましい手法としては、クロム硫酸
混液を調製する際に、チオ硫酸ナトリウムを添加して液
中に3価のCrイオンを形成する方法がある。これによ
って不足される6価のCrイオン量は、予め溶解するク
ロム酸化合物の量を多くしておけばよい。
【0032】3価のCrイオン量は30〜120g/l
が望ましい。20g/l以下では、接着剤層表面に粗化
残渣が付着し、反射濃度値も0.8以下となってめっき
レジストのエッジ部のギザギザや剥離が生じる。100
〜120g/lでは、粗化残渣は殆ど付着せず、反射濃
度値も0.98〜1.0を示し、めっきレジストのエッジ
部のギザギザや剥離は発生しないが、接着剤層の粗化力
が弱まるため、めっき膜の接着力(ピール強度)が通常
の2.5kg/cmが1.8kg/cm程度に低下する傾
向がある。また、3価のCrイオン濃度が130g/l
以上では、ピール強度が1.5kg/cm以下となり、
めっき膜の一部にふくれが認められるようになるので好
ましくない。
【0033】粗化後の接着剤層表面の反射濃度値を0.
85〜1.0にする第二の手段について説明する。
【0034】3価のCrイオンが20g/l以上含有す
るクロム硫酸混液に、水100mlに対する溶解度が6
g以上のフッ化物を5g/l以上溶解した粗化液を用い
る方法である。この場合、3価のCrイオン量は20g
/l程度でも接着剤層表面の反射濃度値が0.85〜1.
0とすることが可能である。また、この方法は均一な粗
化形状の接着剤層表面が得られることも分かった。
【0035】前記フッ化物としは、フッ化亜鉛、フッ化
アルミニウム、フッ化アンチモン、フッ化アンモニウ
ム、フッ化イオウ、フッ化ウラン、フッ化オスミウム、
フッ化カドミニウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウ
ム、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化キセノ
ン、フッ化クロム、フッ化ケイ素、フッ化ゲルマニウ
ム、フッ化コバルト、フッ化ジルコニウム酸塩、フッ化
水素酸、フッ化スズ酸、フッ化ストロンチウム、フッ化
タリウム、フッ化タンタル酸塩、フッ化窒素、フッ化
鉄、フッ化銅、フッ化銀、フッ化ニッケル、フッ化ホウ
素、フッ化マグネシウム、フッ化マンガン、フッ化リチ
ウム、フッ化レニウム等、多くのフッ化物がある。しか
し、クロム硫酸混液に使用されている公知のフッ化ナト
リウムやフッ化カドミニウムは、水100mlに対する
溶解度が4g程度であり、均一な粗化形状の接着剤層表
面を得る効果が小さい。
【0036】本発明では、水100mlに対する溶解度
が6g以上のフッ化物を用いると、クロム硫酸混液中の
3価のCrイオン量が20g/lでも粗化残渣の付着を
より低減でき、かつ、均一な粗化形状を有する接着剤層
表面が得られる。
【0037】また、フッ化水素酸のように有毒で取扱い
上問題のあるもの、あるいは特殊な化合物等を除くと、
フッ化アンチモン、フッ化アンモニウム、フッ化オスミ
ウム、フッ化カリウム、フッ化銀、フッ化ゲルマニウ
ム、フッ化スズ酸、フッ化タリウム等が望ましい。
【0038】3価のCrイオン量が20g/l以上含有
するクロム硫酸混液に、上記のフッ化物を5g/l以
上、望ましくは、5〜20g/l溶解すると、粗化残渣
が付着せず、かつ、均一な粗化形状を有する接着剤層表
面が得られる。20g/l以上溶解してもそれ以上の効
果は得られないので不経済である。
【0039】図1の曲線Bは、フッ化アンモニウムを1
0g/l溶解したクロム硫酸混液中の3価のCrイオン
量と粗化後の接着剤層表面の反射濃度値との関係を示し
たもので、3価のCrイオン量が20g/lでも反射濃
度値が高く、めっきレジストの剥離は発生しない。
【0040】粗化後の接着剤層表面の反射濃度値を0.
85〜1.0にする第三の手段を説明する。
【0041】この方法は、3価のCrイオンが20g/
l以上含有するクロム硫酸混液に、前記式〔1〕(但し
nは3〜9の整数、Zは親水基を示す)で表されるフッ
化炭化水素系湿潤剤を0.1g/l以上溶解したものを
用いる方法である。
【0042】この方法では、前記フッ化物と同様な効果
が得られる。なお、前記Zで示される親水基としては、
アルカリ金属,アンモニウム基,アミン基,置換アミン
基,第四アンモニウム基,アミド基,置換アミド基等が
挙げられる。また、上記の式〔1〕で示されるフッ化炭
化水素系湿潤剤の代表的なものとしては、C817SO2
−Zで示される住友3M社の商品名フロラード(Flu
orad)がある。
【0043】上記フッ化炭化水素系湿潤剤としは、クロ
ム硫酸混液に添加した場合、発泡しないものが望まし
く、かつ、クロム硫酸混液の酸性液中でも活性で、表面
張力を低下させる効果があるものがよい。このようなフ
ッ化炭化水素系湿潤剤の一例としは、住友3M社の商品
名フロラード(Fluorad)FC−95や同FC−
98が挙げられる。
【0044】溶解量としは、0.1g/l以上、好まし
くは0.1〜0.5g/lで、粗化接着剤層表面に粗化残
渣の付着がなく、かつ、均一な粗化形状の粗化面が得ら
れる。
【0045】図1の曲線Cは、その一例としFluor
ad FC−95を0.2g/l溶解したクロム硫酸混
液中の3価のCrイオン量と粗化後の接着剤層表面の反
射濃度値との関係を示したものである。曲線Bのフッ化
アンモニウムと同様に、3価のCrイオン量が20g/
lでも反射濃度値が高く、めっきレジストの剥離は発生
しない。
【0046】次に、粗化後の接着剤層表面の反射濃度値
を0.85〜1.0の範囲にする第四の手段を説明する。
【0047】この方法は、3価のCrイオンが10g/
l以上含有するクロム硫酸混液に、前記フッ化物と前記
フッ化炭化水素系湿潤剤とを溶解したものを用いる方法
である。これによって、クロム硫酸混液中の3価のCr
イオン量が10g/lと低くとも、接着剤層表面に粗化
残渣が殆ど付着せず、かつ、極めて均一な粗化形状が得
られる。曲線Dは、その一例で、フッ化カリウム5g/
lと、FluoradFC−98を0.1g/l溶解し
た場合のクロム硫酸混液中の3価のCrイオン量と粗化
後の接着剤層表面の反射濃度値との関係を示したもので
ある。クロム硫酸混液中の3価のCrイオン量が10g
/lでも反射濃度値が高く、めっきレジストの剥離も発
生しない。
【0048】次に、本発明による微細回路のプリント配
線板の製法について説明する。
【0049】接着剤として、主成分がエポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂、合成ゴムで、これに加熱硬化型のエポキ
シ樹脂硬化剤、あるいはUV硬化型のエポキシ硬化剤、
合成ゴムの加硫助剤であるZnOまたはMgOを配合し
たものを用いた。
【0050】また、クロム硫酸混液による粗化後の接着
剤層表面に形成される凹凸をより助長するため、炭酸カ
ルシウム、ケイ酸カルシウム等の無機フィラーと、更
に、耐熱性や弾性力を向上させるために酸化ケイ素、ジ
ルコニウムシリケート等の無機フィラーを配合した。
【0051】更にまた、上記接着剤層にめっき反応触媒
を分散した接着剤や、予めめっき触媒を付着させた無機
フィラーを用いることもできる。
【0052】前記の接着剤を適用する場合は、溶剤に溶
解分散し、絶縁基板の表面にロールコート、カーテンコ
ート法により塗布したり、また、フィルム化したものを
プレスで加熱圧着あるいはホットロールでラミネートし
て形成することができる。硬化方法も加熱、UV、また
は両者を併用することができる。接着剤層硬化後は、任
意の個所にプレス,ドリルまたはレーザーによりスルー
ホールを形成することもできる。
【0053】クロム硫酸混液のクロム化合物と硫酸の濃
度は、クロム化合物を80〜150g/l、濃硫酸を1
00〜300ml/lとしたものが好ましいが、これに
限定されるものではない。また、接着剤層の粗化条件と
しては30〜50℃で3〜15分で十分で、機械攪拌、
空気攪拌を行なって接着剤の溶解性を高めるのが好まし
い。
【0054】以上のようにして接着剤層を粗化した(粗
化液の液切りを含む)後、排水処理設備と直結した水洗
槽中で接着剤層表面を洗浄し、水洗、めっき触媒の付
与、水洗、触媒活性化、水洗、乾燥等の公知の一連の処
理を行なう。接着剤層表面をより清浄化する目的で、こ
の処理工程の中に、従来技術の湯洗やアルカリ処理を導
入しもよい。
【0055】次に、ドライフィルム型めっきレジストを
ラミネートするなどしてめっきレジストを形成する。次
いで、マスクを介し回路形成部以外のめっきレジストに
UV露光を行なって硬化し、未露光部分(回路形成部)
のめっきレジストを溶剤で現像,除去し、めっきレジス
トの形成が終了する。そして、無電解めっきで回路形成
部分にめっき膜を析出して回路を形成することによりプ
リント配線板が得られるる。
【0056】本発明によれば、幅100μm以下のめっ
きレジストでも密着性が優れ、かつ、エッジ部にギザギ
ザ等の発生がなくシャープな微細回路が形成されるの
で、信頼性の優れたプリント配線板を得ることができ
る。
【0057】
【作用】本発明によれば、めっきレジストの剥離やエッ
ジ部のギザギザの発生を防止できるのは、クロム硫酸混
液で粗化した接着剤層表面に粗化残渣が殆ど付着してい
ないためである。この時の接着剤層表面の反射濃度値は
0.85〜1.0である。
【0058】この反射濃度はクロム硫酸混液中の3価の
Crイオン量を30g/l以上としたことによる。これ
は、3価のCrイオンが殆ど含まれない調製したばかり
のクロム硫酸混液の場合、例えば、40℃で5分間処理
すると、接着剤層は厚さで約10〜15μm溶解する。
これに対し、3価のCrイオン量が30g/l以上のク
ロム硫酸混液では、同じ条件で厚さ5〜7μmの溶解量
であり、接着剤の粗化力が弱くなっている。
【0059】調製したばかりのクロム硫酸混液の場合
は、接着剤の樹脂成分の溶解力が強い。このため、粗化
後に行なう粗化液の液切りにおいても粗化量が多く、付
着しているクロム硫酸混液の温度が下ったときに、該液
中に溶解している接着剤の樹脂成分が粗化残渣として付
着するためと考える。
【0060】前記3価のCrイオン量が30g/l以上
のクロム硫酸混液では、粗化力が弱いため、液切りでも
粗化量が少なく、粗化残渣の付着が少ないものと推定さ
れる。
【0061】また、フッ化物を溶解する方法では、クロ
ム硫酸混液中でHFが生成し、このHFが接着剤層中に
浸透して行き、配合されている無機フィラーを溶解し、
6価のCrイオンや硫酸の酸化で接着剤樹脂成分が分
解,溶解させる作用を助長し、粗化形状に均一性を付与
するものと考える。フッ化物としては水に対する溶解度
が大きいものほど、この効果が大きい。粗化中に均一な
粗化形状が付与されることによって、3価のCrイオン
量が20g/l程度と少ないものでも、液切り工程での
粗化残渣の付着が起りにくいものと推定される。
【0062】また、フッ化炭化水素系湿潤剤を溶解した
ものは、該湿潤剤によってクロム硫酸混液の表面張力が
低下し、接着剤層表面の濡れ性が向上するために均一な
粗化形状が得られるものと考える。クロム硫酸混液の表
面張力が低下することから、液切り工程で表面に付着し
ている粗化液の液切り速度が向上し、3価のCrイオン
量が20g/l程度と少ないものでも、粗化残渣が付着
しにくいものと推定される。
【0063】更に、フッ化物とフッ化炭化水素系湿潤剤
を併用したクロム硫酸混液では、フッ化物による無機フ
ィラーの溶解性向上と、湿潤剤によるクロム硫酸混液の
濡れ性向上との相乗効果により、極めて均一な粗化形状
の接着剤層表面が得られ、3価のCrイオン量が20g
/l程度と少ないものでも、粗化残渣が付着しにくいも
のと推定される。
【0064】
【実施例】
〔実施例1〕接着剤として、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂(エポキシ当量450〜500)25重量部、レ
ゾール型フェノール樹脂30重量部、アクリロニトリル
ブタジエンゴム45重量部、2−エチル−4−メチルイ
ミダゾール0.3重量部、酸化亜鉛3重量部、酸化ケイ
素0.2重量部、ジルコニウムシリケート25重量部、
炭酸カルシウム5重量部からなる固形成分を、メチルエ
チルケトン、キシレン、エチルセロソルブの3種混合
(配合重量比1:1:1)溶剤に溶解、分散させたもの
を作製した。
【0065】次に、長さ500mm×幅300mm×厚
さ0.5mmのガラスエポキシ基板の表面に、上記の接
着剤溶液を硬化後の厚さが30μmになるようにカーテ
ンコート法で塗布して80℃,40分、更に、120
℃,30分、タックフリーに乾燥した。室温まで冷却
後、ガラスエポキシ基板の裏面に同様にして接着剤を塗
布し、80℃,40分で乾燥し、両面の接着剤層を16
0℃,60分で加熱硬化した。室温まで冷却後、色差濃
度計(大日本スクリーン社製、DM−400型)で接着
剤層表面の反射濃度値を測定した。その結果、硬化した
接着剤層表面の反射濃度値は1.05であった。
【0066】一方、チオ硫酸ナトリウムで3価のCrイ
オン濃度が0〜120g/lの範囲で変えた無水クロム
酸100g/l、濃硫酸230ml/lとからなるクロ
ム硫酸混液を調製した。そして、45℃,5分で空気攪
拌しながら上記の接着剤の表面を粗化した。次に、空中
で2分間、液切りを行ない、排水処理設備と直結した水
洗槽で10分間処理し、100℃,15分間乾燥した。
【0067】室温まで冷却後、同様にして粗化した接着
剤の反射濃度値を測定した。その結果を表1に示す。
【0068】また、一方で、同時に3価のCrイオン濃
度を変えたクロム硫酸混液で粗化し、液切り、及び水洗
をした別の試片を、更に水洗し、17%塩酸で5分間処
理した後、めっき触媒液(日立化成社製、HS−101
B)に15℃で3分間浸漬して接着剤層表面にめっき触
媒を付与した。水洗後、3.6%塩酸としゅう酸からな
る活性化液に20℃,5分間浸漬し、水洗後、120
℃,20分間乾燥した。
【0069】上記のめっき触媒が付着した試片を用い、
その接着剤層表面に厚さ35μmのドライフィルム型め
っきレジスト(日立化成社製,SA−7135)を12
0℃のホットロールでラミネートした。そして、回路
幅、回路間隔が共に40〜120μmの解像度評価パタ
ーン、幅10mmのピール強度評価パターン、並びに2
5×25mmの半田耐熱性評価パターンを有するマスク
を介してUVを露光し、回路間隔部分のめっきレジスト
を硬化させた。その後、トリクロロエタンで現像し、未
露光の回路形成部分のめっきレジストを溶解除去した。
水洗乾燥後、ポストUVを照射してめっきレジストを硬
化した。
【0070】上記の3価のCrイオン濃度を変えたクロ
ム硫酸混液で粗化した接着剤層表面の反射濃度値と、微
細幅のめっきレジストの接着性とを評価した。その結果
を表1に示す。
【0071】更に、めっきレジストを形成した試片を、
水酸化ナトリウムでpH12.5(25℃)の無電解銅
めっき液(硫酸銅10g/l、エチレンジアミン四酢酸
35g/l、37%ホルマリン2.5ml/l、二酸化
ゲルマニウム100mg/l、分子量1000のポリエ
チレングリコール0.2g/l)を用い、72℃で9時
間めっきを行ない、厚さ約30μmの回路を形成した。
【0072】上記回路のエッジ部のギザギザと、めっき
膜のふくれ(半田耐熱性評価パターン部分)を観察し
た。次に、水洗、乾燥後、150℃で40分間熱処理し
た。室温まで冷却後、ピール強度及び260℃の半田耐
熱性を評価した。その結果を、めっき膜のふくれと共に
表1に示した。
【0073】
【表1】
【0074】表1によれば、3価のCrイオン濃度が2
0g/l以下のクロム硫酸混液で粗化した試片は、めっ
き膜のふくれ、ピール強度、半田耐熱性に問題はなかっ
たが、反射濃度値が0.80以下で、幅100μm以下
のめっきレジストに剥離が発生し、微細回路の形成が困
難であった。また、めっきレジストが全面剥離発生(×
印)部分ではエッジ部にギザギザが認められた。
【0075】一方、3価のCrイオンが130g/lの
クロム硫酸混液で粗化した試片では、反射濃度値が1.
02で、幅40μmのめっきレジストも密着しており、
剥離なし(○印)部分ではエッジ部のギザギザも認めら
れなかった。しかし、めっき膜のふくれが一部発生し、
ピール強度が1.4kg/cmと低く、半田耐熱性試験
でも43秒でふくれが発生した。これらに対し、3価の
Crイオン濃度が30〜120g/lのクロム硫酸混液
で粗化した試片では、反射濃度値が0.85〜1.00を
有し、幅100μm以下のめっきレジストがエッジ部に
ギザギザもなく十分に密着している。また、メッキ膜の
ふくれも認められず、ピール強度も1.8〜2.6kg/
cmで、半田耐熱性も180秒以上を示した。
【0076】〔実施例2〕接着剤として、ビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂(エポキシ当量450〜500)2
0重量部、レゾール型フェノール樹脂30重量部、アク
リロニトリルブタジエンゴム50重量部、ヘキサフルオ
ロアンチモン酸トリフェニルスルホニウム塩1重量部、
酸化亜鉛3重量部、酸化ケイ素1重量部、ジルコニウム
シリケート20重量部、水酸化カルシウム5重量部から
なる固形成分を、メチルエチルケトンに溶解、分散させ
たものを作製した。この接着剤を厚さ30μmのポリエ
チレンテレフタレートフィルムにナイフコートし、10
0℃で15分間乾燥して厚さ30μmの接着剤フィルム
を作製した。
【0077】次に、長さ500mm×幅300mm×厚
さ0.5mmのガラスエポキシ基板の両面に、上記接着
剤フィルムを130℃のホットロールでラミネートし
た。そしてUVを約1.2J/cm2照射した後、ポリエ
チレンテレフタレートフィルムを剥離し、150℃で3
0分間加熱して接着剤を硬化した。室温まで冷却後、実
施例1と同様にして接着剤層表面の反射濃度値を測定し
た。その結果、硬化した接着剤層表面の値は1.07を
示した。
【0078】以下、実施例1と同様にチオ硫酸ナトリウ
ムで3価のCrイオン濃度を10〜100g/lの範囲
で変えた無水クロム酸120g/l、濃硫酸200ml
/lとからなるクロム硫酸混液を調製した。この各クロ
ム硫酸混液にフッ化カリウムをそれぞれ5g/l溶解
し、40℃,5分で空気攪拌しながら上記接着剤の表面
を粗化した。
【0079】次に、空中で0.5分間、液切りを行な
い、排水処理設備と直結した水洗槽で10分間処理し、
100℃,15分間乾燥した。室温まで冷却後、同様に
して粗化した接着剤の反射濃度値を測定した。その結果
を表2に示した。
【0080】また、上記と同時に粗化、液切り及び水洗
した別の試片を、実施例1と同一条件で処理し、接着剤
層表面にめっき触媒を付与した。これにドライフィルム
型めっきレジストを形成し無電解銅めっきを実施し、同
一条件で評価した。結果を表2に示した。
【0081】
【表2】
【0082】3価のCrイオン濃度が10g/lのクロ
ム硫酸混液で粗化した試片では、めっき膜のふくれ、ピ
ール強度、半田耐熱性には問題ないが、反射濃度値が
0.80以下で、幅120μm以下のめっきレジストに
剥離やエッジ部のギザギザが発生し、微細回路の形成が
困難であった。これに対し、3価のCrイオン濃度が2
0〜120g/lのクロム硫酸混液で粗化した試片で
は、反射濃度値が0.86〜0.99を有し、幅100μ
m以下のめっきレジストが密着しており、エッジ部のギ
ザギザも認められなかった。また、メッキ膜のふくれも
認められず、ピール強度も1.7〜2.6kg/cmで、
半田耐熱性も180秒以上を示した。
【0083】〔実施例3〕接着剤として、ビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂(エポキシ当量450〜500)2
0重量部、レゾール型フェノール樹脂20重量部、ノボ
ラック型フェノール樹脂15重量部、アクリロニトリル
ブタジエンゴム45重量部、酸化亜鉛5重量部、酸化ケ
イ素1重量部、ジルコニウムシリケート30重量部、ケ
イ酸カルシウム10重量部からなる固形成分を、メチル
エチルケトンに溶解、分散させたものを作製した。この
接着剤を厚さ30μmのポリエチレンテレフタレートフ
ィルムにナイフコートし、100℃で15分間乾燥して
厚さ35μmの接着剤フィルムを作製した。
【0084】次に、長さ500mm×幅300mm×厚
さ0.5mmのガラスエポキシ基板の両面に、上記した
接着剤フィルムをホットプレス(圧力10kg/c
2,温度160℃)で60分間加熱圧着した。室温ま
で冷却後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離
し、実施例1と同様にして接着剤層表面の反射濃度値を
測定した。その結果、硬化した接着剤層表面の値は1.
07を示した。
【0085】以下、実施例1と同様にチオ硫酸ナトリウ
ムで3価のCrイオン濃度を10〜100g/lの範囲
で変えた無水クロム酸150g/l、濃硫酸220ml
/lとからなるクロム硫酸混液を調製した。この各クロ
ム硫酸混液にフッ化炭化水素系湿潤剤(住友3M社製
Fluorad FC−98)をそれぞれ0.1g/l
溶解し、50℃,5分で空気攪拌しながら上記接着剤の
表面を粗化した。
【0086】次に、空中で3分間、液切りを行ない、排
水処理設備と直結した水洗槽で10分間処理し、100
℃,15分間乾燥した。室温まで冷却後、同様にして粗
化した接着剤の反射濃度値を測定した。その結果を表3
に示した。
【0087】また一方で、上記と同様に粗化、液切り及
び水洗した別の試片を、実施例1と同一条件で処理し、
接着剤層表面にめっき触媒を付与した。これにドライフ
ィルム型めっきレジスト(日立化成社製 SR−320
0)の形成し、無電解銅めっきを行って同一条件で評価
した。結果を表3に示した。
【0088】
【表3】
【0089】3価のCrイオン濃度が10g/lのクロ
ム硫酸混液で粗化した試片では、めっき膜のふくれ、ピ
ール強度、半田耐熱性は問題ないが、反射濃度値が0.
80で、幅100μm以下のめっきレジストに剥離が発
生し、エッジ部にギザギザが認められ、微細回路の形成
が困難であった。
【0090】これに対し、3価のCrイオン濃度が20
〜120g/lのクロム硫酸混液で粗化した試片では、
反射濃度値が0.86〜1.00で、幅100μm以下の
めっきレジストにも剥離がなく、エッジ部のギザギザも
発生していなかった。また、メッキ膜のふくれも認めら
れず、ピール強度も1.8〜2.8kg/cmで、半田耐
熱性も180秒以上を示した。
【0091】〔実施例4〕接着剤として、実施例2の接
着剤フィルムを用い、実施例2と同一条件で長さ500
mm×幅300mm×厚さ0.5mmのガラスエポキシ
基板の両面に、上記接着剤フィルムをホットロールでラ
ミネートし、硬化した。室温まで冷却後、実施例1と同
様にして接着剤層表面の反射濃度値を測定した。その結
果、硬化した接着剤層表面の値は1.07を示した。
【0092】以下、実施例1と同様にチオ硫酸ナトリウ
ムで3価のCrイオン濃度を10〜100g/lの範囲
で変えた無水クロム酸80g/l、濃硫酸300ml/
lとからなるクロム硫酸混液を調製した。この各クロム
硫酸混液にフッ化カリウムを10g/lと、フッ化炭化
水素系湿潤剤(住友3M社製 Fluorad FC−
98)を0.3g/lを溶解した。35℃,15分で空
気攪拌しながら上記接着剤の表面を粗化した。
【0093】次に、空中で1分間、液切りを行ない、排
水処理設備と直結した水洗槽で10分間処理し、100
℃,15分間乾燥した。室温まで冷却後、同様にして粗
化した接着剤の反射濃度値を測定した。その結果を表4
に示した。
【0094】また一方で、上記と同様に粗化、液切り及
び水洗した別の試片を、更に、湯洗(50℃,10分,
空気攪拌)し、アルカリ処理(NaOH 5g/l,5
0℃,10分,空気攪拌)を行なった。次いで、実施例
1と同一条件で接着剤層表面にめっき触媒を付与して、
ドライフィルム型めっきレジストを形成し無電解銅めっ
きを行って同一条件で評価した。結果を表4に示した。
【0095】
【表4】
【0096】その結果、3価のCrイオン濃度が10g
/lのクロム硫酸混液でも、反射濃度値が0.85を示
し、幅80μmまでめっきレジストが接着していた。ま
た、エッジ部のギザギザも認められなかった。その他の
3価のCrイオン濃度のクロム硫酸混液で粗化した試片
も同じ結果を示し、めっき膜のふくれ、ピール強度、半
田耐熱性にも問題はなかった。
【0097】
【発明の効果】本発明によれば、接着剤層表面の粗化残
渣が極めて少ないため、めっきレジストの接着性が向上
し、現像時にめっきレジストの剥離やエッジ部のシャー
プなパターンが形成され、レジストとしての解像度が著
しく向上する。例えば、これまでの方法では粗化残渣が
付着して、接着剤層表面の反射濃度値が0.80の場
合、めっきレジストの最小解像度は、回路幅(現像で除
去される幅)/回路間隔(現像で残る幅)が80μm/
125μmであったが、本発明によれば最小値が40μ
m/40μmとなり、極めて微細なものが安定して得ら
れる。これによって、信頼性の優れた微細回路のプリン
ト配線板を量産できるので、工業的価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】3価のCrイオン濃度の異なるクロム硫酸混液
を用いて粗化した接着剤層表面の反射濃度値との関係を
示すグラフである。
【符号の説明】
A…添加剤を含まないクロム硫酸混液による粗化、B…
フッ化アンモニウム10g/l溶解したクロム硫酸混液
による粗化、C…フッ化炭化水素系湿潤剤0.2g/l
溶解したクロム硫酸混液による粗化、D…フッ化カリウ
ム5g/lとフッ化炭化水素系湿潤剤0.1g/lとを
溶解したクロム硫酸混液による粗化。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉村 豊房 茨城県勝田市稲田1410番地 株式会社日立 製作所AV機器事業部内 (72)発明者 神長 岩男 茨城県勝田市稲田1410番地 株式会社日立 製作所AV機器事業部内 (72)発明者 諏訪 時人 茨城県勝田市稲田1410番地 株式会社日立 製作所AV機器事業部内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無電解めっきにより回路を形成する絶縁
    基板の表面に形成された無電解めっきの接着剤層の表面
    処理方法において、該接着剤層表面を色差濃度計による
    反射濃度値で0.85〜1.0となるように粗化すること
    を特徴とする無電解めっきの接着剤層の表面処理方法。
  2. 【請求項2】 無電解めっきにより回路を形成する絶縁
    基板の表面に形成された無電解めっきの接着剤層の表面
    処理方法において、該接着剤層表面を色差濃度計による
    反射濃度値で0.85〜1.0となるようにクロム硫酸混
    液を用いて粗化することを特徴とする無電解めっきの接
    着剤層の表面処理方法。
  3. 【請求項3】 前記クロム硫酸混液中の3価のCrイオ
    ンが30〜120g/l含む粗化液で粗化する請求項2
    に記載の無電解めっきの接着剤層の表面処理方法。
  4. 【請求項4】 前記クロム硫酸混液中の3価のCrイオ
    ンが20g/l以上、水100mlに対する溶解度が6
    g以上のフッ化物が5〜20g/l含む粗化液で粗化す
    る請求項2に記載の無電解めっきの接着剤層の表面処理
    方法。
  5. 【請求項5】 前記クロム硫酸混液中の3価のCrイオ
    ンが20g/l以上、式〔1〕 【化1】CnF2n+1SO2−Z …〔1〕 (但しnは3〜9の整数、Zは親水基を示す)で表され
    るフッ化炭化水素系湿潤剤が0.1〜0.5g/l含む粗
    化液で粗化する請求項2に記載の無電解めっきの接着剤
    層の表面処理方法。
  6. 【請求項6】前記クロム硫酸混液中の3価のCrイオン
    が10g/l以上、水100mlに対する溶解度が6g
    以上のフッ化物が5〜20g/l、式〔1〕 【化2】CnF2n+1SO2−Z …〔1〕 (但しnは3〜9の整数、Zは親水基を示す)で表され
    るフッ化炭化水素系湿潤剤が0.1〜0.5g/l含む粗
    化液で粗化する請求項2に記載の無電解めっきの接着剤
    層の表面処理方法。
  7. 【請求項7】前記式〔1〕で示されるフッ化炭化水素系
    湿潤剤において、Zで示される親水基がアルカリ金属,
    アンモニウム基,アミン基,置換アミン基,第四アンモ
    ニウム基,アミド基,置換アミド基である請求項5また
    は6に記載の無電解めっきの接着剤層の表面処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012511828A (ja) * 2008-12-12 2012-05-24 ネーデルランドセ・オルガニサティ・フォール・トゥーヘパスト−ナトゥールウェテンスハッペライク・オンデルズーク・テーエヌオー 電子回路堆積方法

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