JPH0610353U - 溶湯鍋運搬用台車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 載置座の間隔が異なる溶湯鍋を積載すること
ができる構成にする。 【構成】 車体の所定箇所に摺動板を固着してその上に
鍋受台を配置すると共に、鍋受台を他方の鍋受台の方向
へ移動させ又その反対方向へ移動させる往復動手段を備
えている。このため、本考案の台車は、往復動手段を作
動させることによって、溶湯鍋を載置する２つの鍋受台
の間隔を調整することができ、載置座の間隔が異なる種
類の溶湯鍋を運搬する場合でも、運搬台車を別の種類の
ものに代える必要はない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は製鉄所において金属溶湯を収容した鍋を積載して運搬する台車に関す る。

【０００２】

【従来の技術】

従来の溶湯鍋運搬用台車は図４に示す構成になっている。図４において、１は レール上を走行自在に構成され、その中心部に溶湯鍋を貫入させるための開口が 設けられた車体、２，２は車輪、３ａ，３ｂは上記開口を挟んだ対向位置の車体 １上に固着された鍋受台である。２０は溶湯鍋、２１，２１は溶湯鍋２０を吊り 上げるためのトラニオン、２２は鍋受台３ａ，３ｂ上に溶湯鍋２０を載置するた めの座（載置座）、３０，３０はクレーンのフックを示す。

【０００３】 このような台車によって、例えば、高炉から受入れた溶銑を製鋼工程へ運搬す る場合、溶銑用の溶湯鍋を鍋受台３ａ，３ｂ上に載置した台車を所定場所に搬送 して溶銑を受入れ、この台車を製鋼工程まで搬送した後、溶湯鍋のトラニオン２ １にクレーンのフック３０をかけて吊り上げ、溶銑を転炉内へ装入する。又、吹 錬された溶鋼を次工程へ送る場合、溶鋼用の溶湯鍋を積載した別の台車を所定場 所に搬送して溶鋼を受入れ、この台車を次の工程へ搬送する。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上述のように、従来の溶湯鍋運搬用台車は２つの鍋受台３ａ，３ｂが固着され ており、その間隔Ｌが一定になっているので、この鍋受台３ａ，３ｂ上には載置 座２２，２２の間隔が異なる溶湯鍋を載置することはできず、特定の大きさの溶 湯鍋の運搬するための専用の構造になっている。若し、載置座２２の間隔の違い が比較的小さい溶湯鍋であっても、その吊り上げ又は吊り下しに際して、トラニ オン２１を懸吊するクレーンのフック３０が鍋受台３ａ，３ｂに当たって通過で きないような寸法の溶湯鍋は積載することはできない。

【０００５】 しかし、時には、溶鋼用の鍋を積載する台車に溶銑用の鍋を積載しなければな らないことがある。このような必要が生じる時の一例としては、次のような場合 がある。転炉は、通常、溶銑を吹錬して溶鋼にする設備であるが、溶銑予備処理 用に使用されることがある。この際には、予備処理後の溶銑を再び転炉に装入し なければならないので、処理後の溶銑を受ける際にも、使用する溶湯鍋は溶鋼用 の鍋ではなく、溶銑用の鍋（上部に注ぎ口がある溶湯鍋）にしなければならない 。しかし、溶鋼用の鍋と溶銑用の鍋では、載置座２２の間隔が異なり、これらを 積載する運搬台車における鍋受台３ａ，３ｂが異なるので、溶鋼用の鍋を積載す る台車に溶銑用の鍋を積載することはできない。

【０００６】 このような場合には、予備処理後の溶銑を受けるために、別途、鍋受台の間隔 が異なる溶銑運搬用の台車を配車して溶銑用の鍋を積載しなければならない。こ のため、運搬台車は溶湯鍋の大きさ（載置座の間隔）毎に準備し、多数台を常備 しておかなければならず、その製作や補修に多額の費用を要すると共に、多数台 の台車を待機させることができる台車置場が必要である。

【０００７】 本考案は載置座の間隔が異なる溶湯鍋を積載することができる溶湯鍋運搬用台 車を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段及び作用】

上記の目的を達成するために、本考案においては、車体上の鍋受台配置箇所の 少なくとも一方に平滑な摺動板を固着し、又車体上に少なくとも一方の鍋受台を 他方の鍋受台の方向へ移動させ又その反対方向へ移動させる往復動手段を備えて いる。

【０００９】 上記のように、本考案の台車は鍋受台を移動させる往復動手段を備えているの で、溶湯鍋の大きさに応じ、２つの鍋受台の間隔を調整できる構成になっている 。

【００１０】

【実施例】

図１は本考案の一実施例を示す概略の正面図である。図１において、図４と同 じ構成部分については同一の符号を付し説明を省略する。本実施例においては、 鍋受台３ａ，３ｂが配置される箇所の車体１上には機械加工によって表面が平滑 にされた摺動板４ａ，４ｂが溶接によって固着され、その上に鍋受台３ａ，３ｂ がボルト・ナット（図示せず）によって取り付けられている。又、車体１上には 電動機或いは油圧モータなどによって作動する往復動手段５ａ，５ｂが備えられ 、上記ボルト・ナットの締結を緩めた後、摺動板４ａ，４ｂ上の鍋受台３ａ，３ ｂをそれぞれ対向する鍋受台の方向へ摺動させたり、又その反対方向へ摺動させ たりすることができるようになっている。このため、この台車は、往復動手段５ を作動させることによって、鍋受台３ａと鍋受台３ｂの間隔Ｌを適宜調整するこ とが可能である。

【００１１】 なお、鍋受台の間隔Ｌの調整範囲があまり大きくない場合には、鍋受台３ａと 鍋受台３ｂの何れか一方だけを移動させる往復動手段を備え、鍋受台の間隔Ｌの 調整を片側だけで行なう構造にしてもよい。 又、摺動板４上方の所定箇所は鋼板で覆われており、高熱及びスラグの飛散な どによって摺動面が損傷されないように保護されている。

【００１２】 図２は鍋受台及びその取付け箇所の拡大図である。１は車体、３ｂは一方の移 動可能な鍋受台、４ｂは鍋受台３ｂの摺動板である。摺動板４ｂの摺動面は平滑 な鋼板であるが、その上面に配置された鍋受台３ｂの下部には角柱の摺動部材が 間隔をあけて平行に固着されており、その摺動面は細長い矩形を多数平行に配置 した形状になっている。５ｂは鍋受台３ｂを移動させる往復動手段であり、電動 機或いは油圧モータなどによって作動する。この往復動手段５ｂの一端は鍋受台 ３ｂの外側の端に固着されており、往復動手段５ｂによって鍋受台３ｂを押圧す ると、鍋受台３ｂは対向する鍋受台３ａの方向へ移動し、両者の間隔がＬ₀ から Ｌ₁ に狭められる。なお、往復動手段５ｂには位置検出器（図示せず）が備えら れており、鍋受台３ｂを予め設定した位置で停止させることができる。

【００１３】 図３は鍋受台を移動させる往復動手段の他の実施例を示す図である。図３にお いて、図２で説明済みの構成部分については同一の符号を付し説明を省略する。 この実施例においては、鍋受台３ｂを移動させる往復動手段として、一対の油圧 シリンダー６ｂ，７ｂが備えられており、この油圧シリンダー６ｂ及び油圧シリ ンダー７ｂは鍋受台３ｂの両側の車体１上に取り付けられている。又、鍋受台３ ｂの両側の下部には押圧部材８が固着されており、この押圧部材８を押圧するこ とによって、鍋受台３ｂが摺動する。油圧シリンダー６ｂは鍋受台３ｂを鍋受台 ３ａの方向へ摺動させ、油圧シリンダー７ｂはその反対方向へ摺動させる。

【００１４】 なお、鍋受台を移動させる往復動手段として、図２の実施例においては、電動 機或いは油圧モータなどによって作動する装置を用い、上記図３においては、正 作動させるものと逆作動させるものよりなる一対の油圧シリンダーを用いている が、往復動手段はこれらのものに限定されるものではなく、電動ジャッキ或いは エアシリンダーなどであってもよい。

【００１５】

【考案の効果】

本考案においては、車体の所定箇所に摺動板を固着してその上に鍋受台を配置 すると共に、鍋受台を他方の鍋受台の方向へ移動させ又その反対方向へ移動させ る往復動手段を備えているので、２つの鍋受台の間隔が調整可能になっている。

【００１６】 本考案を使用すれば、載置座の間隔が異なる種類の溶湯鍋を運搬する場合であ っても、運搬台車を別の種類のものに代えることなく、鍋受台の間隔を調整する ことによって積載が可能になる。このため、台車の保有台数が減少し、台車に係 る費用が低減する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す概略の正面図である。

【図２】鍋受台及びその取付け箇所の拡大図である。

【図３】鍋受台を移動させる往復動手段の他の実施例を
示す図である。

【図４】従来の溶湯鍋運搬用台車の構成を示す図であ
る。

【符号の説明】

１ 車体 ３ａ，３ｂ 鍋受台 ４ａ，４ｂ 摺動板 ５ａ，５ｂ 往復動手段 ６ｂ 油圧シリンダー ７ｂ 油圧シリンダー ８ 押圧部材 ２０ 溶湯鍋 ２１ トラニオン ２２ 載置座 ３０ クレーンのフック

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】中心部に溶湯鍋を貫入させるための開口を
   有する車体上に、前記開口を挟んだ対向位置に一対の鍋
   受台を設け、この鍋受台に溶湯鍋を載置する溶湯鍋運搬
   用台車において、 前記車体上の前記鍋受台配置箇所の少なくとも一方に平
   滑な摺動板を固着し、又前記車体上に少なくとも一方の
   鍋受台を他方の鍋受台の方向へ移動させ又その反対方向
   へ移動させる往復動手段を備えたことを特徴とする溶湯
   鍋運搬用台車。