JPH06103538A - 磁気抵抗効果型磁気ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果型磁気ヘッド及びその製造方法

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JPH06103538A
JPH06103538A JP24751392A JP24751392A JPH06103538A JP H06103538 A JPH06103538 A JP H06103538A JP 24751392 A JP24751392 A JP 24751392A JP 24751392 A JP24751392 A JP 24751392A JP H06103538 A JPH06103538 A JP H06103538A
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film
magnetic
magnetoresistive
magnetic field
separation
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Application number
JP24751392A
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English (en)
Inventor
Toru Takeura
亨 竹浦
Kazuhiro Shigemata
和弘 茂俣
Masaya Taki
昌也 瀧
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Hitachi Ltd
Hitachi Information and Telecommunication Engineering Ltd
Original Assignee
Hitachi Computer Peripherals Co Ltd
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安定したバイアス磁界を磁気抵抗効果膜に印
加して、安定した再生出力を得ることができる磁気抵抗
効果型磁気ヘッドを提供すること。 【構成】 磁気抵抗効果膜5に高抵抗金属材料の分離膜
4を介して軟磁性膜3からのバイアス磁界を与えるソフ
トバイアス方式の磁気抵抗効果型磁気ヘッドにおいて、
この分離膜4の導通によって発生する分離膜磁界を打消
す補助膜6を設けた。補助膜6は分離膜と同一材質及び
同一厚さ或いは同抵抗にすることによって分離膜磁界
を打消して、磁気抵抗効果膜に軟磁性膜からのバイアス
磁界のみを印加させることにより、安定した再生出力を
得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記憶装置に搭載さ
れる磁気抵抗効果型磁気ヘッドに係り、特に一定のバイ
アス磁界を印加して安定的な再生出力を得ることができ
るソフトバイアス方式の磁気抵抗効果型磁気ヘッドに関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に磁気記録装置は、磁気ヘッドと磁
気記録媒体との相対的移動によって磁気データを磁気記
録媒体に記録再生するものであり、この相対的移動の高
速化によって記録媒体の単位面積当りのデータ記憶量を
増加して再生信号の高出力化を保っている。しかしなが
ら近年の磁気記録装置、例えば磁気ディスク記録装置或
いは磁気テープ記録装置は、小型大容量記録の要望によ
って記録媒体と磁気ヘッドとの相対速度が低下する傾向
にあるため、磁気ヘッドと記録媒体の相対速度が遅くな
り、従来の巻線タイプの磁気ヘッドでの高出力化が困難
になってきている。
【0003】そこで近年の磁気記録装置においては、再
生出力が磁気ヘッドと記録媒体の相対速度に依存しない
磁気抵抗効果素子を信号再生専用に設けた磁気抵抗効果
型磁気ヘッド(以下、MR型磁気ヘッドと呼ぶ)が提案
されている。
【0004】磁気ディスク記録装置の分野において前記
MR型磁気ヘッドは、書込み用の誘導型薄膜磁気ヘッド
と組あわされて複合型薄膜磁気ヘッドと呼ばれ、記録ヘ
ッド及び再生ヘッドをそれぞれの能力を最大に発揮する
様に設計される。この複合型薄膜磁気ヘッドは、図10
に示す様に基板1上に2つの磁気シールド膜8を介して
再生専用のMR型再生(磁気)ヘッド102と記録用の
記録ヘッド101を順次積層形成して両ヘッドを分離且
つ複合化して構成している。
【0005】前記MR型磁気ヘッド102は、2つの磁
気シールド膜8の間に絶縁材9により充填され、磁気デ
ィスクの磁界に応じて抵抗値が変化する磁気抵抗効果膜
5と、該磁気抵抗効果膜5にバイアス電圧を印加するバ
イアス印加用軟磁性膜3と、これら膜3及び5間を分離
する分離用絶縁膜2と、前記磁気抵抗効果膜5と導通し
て検出電流を外部に導く電極端子(図示せず、以下同
じ)によって構成される。このMR型磁気ヘッドは、図
示しない回路からバイアス電圧が印加された状態で磁気
抵抗効果膜5が磁気ディスク上の磁界を遮ることによっ
て磁気ディスクのデータ磁化に対応した抵抗変化を外部
に電極端子を介して引出す様に構成されている。また記
録ヘッド101は、前記再生ヘッド102の上部に磁気
シールド膜8を介して形成されるインダクティブヘッド
であり、下部コア103と、上部コア104と、該上下
コア103及び104間に充填されるホトレジスト等の
有機材料からなる非磁性絶縁層と、該薄膜磁気ヘッドを
励磁するためのCu等の金属導体からなるコイル105
により基本的に構成される。前記薄膜磁気ヘッド先端の
媒体対向部に設けられた前記上部磁気コア104及び下
部磁気コア103の各先端部は、書込みギャップ106
を形成しており、この書込ギャップによってデータの記
録が行なわれる。
【0006】さて、前述のMR型再生(磁気)ヘッド1
02は、高出力を得る為に磁気抵抗効果膜5にバイアス
磁界を印加する必要があり、その手段としていろいろな
方法が提案されている。その中のひとつの方法として、
ソフトバイアス法と呼ばれる方法がある。このソフトバ
イアス法は、図7に示す如くバイアス用軟磁性膜3が分
離用絶縁材2を介して磁気抵抗効果膜5にバスアス磁界
を与えることによって磁気抵抗効果膜5の高出力を確保
するものである。このソフトバイアス法によるMR型磁
気ヘッドは、他のバイアス法に比べ高い出力が得られ、
わりと簡単な構造となっているという利点がある。しか
し、軟磁性膜3と磁気抵抗効果膜膜5の間の距離をなる
べく小さくし、軟磁性膜3と磁気抵抗効果膜膜5を分離
する膜を形成する必要があり、軟磁性膜3と磁気抵抗効
果膜膜5の間にたまる電荷が放電して磁気抵抗効果膜膜
5を断線させる危険性があった。又、非常に薄い磁気抵
抗効果膜膜5に電流を流すと磁気抵抗効果膜膜内の電流
密度が上がりマイグレ−ション等の信頼性が低下する恐
れがあった。
【0007】従来技術においては、この磁気抵抗効果膜
膜の断線等を防止するために特開平3−116510号
公報に記載された手法が提案されている。このMR型磁
気ヘッドは、図8に示す如く軟磁性膜3とMR膜5の間
に高抵抗の金属から成る高抵抗金属分離膜4を配置し、
この高抵抗金属分離膜4によって前述の電荷放電による
断線や電流密度の上昇を抑えるものである。
【0008】尚、前記ソフトバイアス法を採用したMR
型磁気ヘッドに関する文献としては、例えば特開昭62
−143223号公報,特開平2−198016号公
報,特開平2−214010号公報が挙げられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術によるM
R型磁気ヘッドは、磁気抵抗効果膜膜による検出電流を
増加させ高出力を得ようとした場合に高抵抗金属分離膜
によるバイアス磁界も変化して磁気抵抗効果膜膜の安定
的な出力を得るのが困難になると言う不具合を招くもの
であった。即ち、図9に示す如く、単なる分離用絶縁膜
を用いた図7に示すMR型磁気ヘッドの場合は検出電流
を増加させるに従ってバイアス用軟磁性膜のバイアス磁
界はカーブbの様に所定電流値以上で飽和して一定にな
るものの、図8に示した高抵抗金属分離膜を使用したM
R型磁気ヘッドの場合は高抵抗金属分離膜に流れる検出
電流を増加させると高抵抗金属分離膜が作るバイアス磁
界もカーブaの様に増加し、このバイアス磁界が印加さ
れる磁気抵抗効果膜の再生出力が安定しないと言う不具
合があった。
【0010】本発明の目的は、前記従来技術による不具
合を除去することであり、軟磁性膜とMR膜の分離膜と
して高抵抗金属膜材料を用いた場合であっても、検出電
流の増加に無関係に一定のバイアス磁界を印加させ、安
定な再生出力が得られる磁気抵抗効果型磁気ヘッドを提
供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明による磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、前記分離膜
に印加される電流により発生する分離膜磁界を打消す磁
界を発生する磁界消去手段を設けたことを第1の特徴と
する。また本発明による磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、
前記磁気抵抗効果膜に前記分離膜に印加される電流によ
り発生する分離膜磁界を打消す磁界を発生する補助膜を
配置したことを第2の特徴とし、前記補助膜が分離膜と
同材質及び同厚さの高抵抗金属材料であることを第3の
特徴とし、前記補助膜が分離膜と同抵抗の高抵抗金属材
料であることを第4の特徴とする。更に本磁気抵抗効果
型磁気ヘッドは、前記磁気抵抗効果膜に前記分離膜に印
加される電流により発生する分離膜磁界を打消す磁界を
発生する補助膜を配置すると共に、前記分離膜と補助膜
との抵抗比を選択することによって磁気抵抗効果膜に与
えることを第5の特徴とする。更に本発明による磁気抵
抗効果型磁気ヘッドの製造方法は、絶縁性の基板上に磁
気シールド膜及び絶縁材を形成する第1ステップと、該
絶縁材上に軟磁性材料の軟磁性膜を形成する第2ステッ
プと、該軟磁性膜上に高抵抗金属材料の分離膜を形成す
る第3ステップと、該分離膜上に磁気抵抗効果素子材料
の磁気抵抗効果膜を形成する第4ステップと、該磁気抵
抗効果膜上に第3ステップで形成した分離膜から磁気抵
抗効果膜に与えられる磁界を打消す補助膜を形成する第
5ステップを含むことを第6の特徴とする。
【0012】また本発明による磁気抵抗効果型磁気ヘッ
ドの製造方法は、絶縁性の基板上に磁気シールド膜及び
絶縁材を形成する第1ステップと、該絶縁材上に軟磁性
材料の軟磁性膜を形成する第2ステップと、該軟磁性膜
上に高抵抗金属材料の分離膜を形成する第3ステップ
と、該分離膜上に磁気抵抗効果素子材料の磁気抵抗効果
膜を形成する第4ステップと、該磁気抵抗効果膜上に第
3ステップで形成した分離膜と同一材質及び厚さの補助
膜を形成する第5ステップを含むことを第7の特徴とす
る。
【0013】更に本磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造方
法は、前記第5ステップにおいて形成する補助膜が第3
ステップで形成した分離膜と同一抵抗値の高抵抗金属材
料で形成することを第8特徴とし、前記ステップ3にお
いて軟磁性膜上にTi、Nb、Ta、Crいずれかの高
抵抗金属材料をスパッタリングして分離膜を形成するこ
とを第9の特徴とする。また本製造方法は、前記ステッ
プ1おいて磁気シールド上にAL23又はSiO2を塗
布して絶縁材を形成し、前記ステップ2において軟磁性
膜をNiFe合金、NiFe合金にRuやRh元素を添
加した金属及びNiCr合金又はNiCo合金をスパッ
タリングして形成し、前記ステップ3において軟磁性膜
上にTi、Nb、Ta、Crいずれかの高抵抗金属材料
をスパッタリングして分離膜を形成し、前記ステップ4
においてNiFe合金をスパッタリングして磁気抵抗効
果膜を形成することを第10の特徴とする。
【0014】
【作用】前記第1及び第2の特徴の磁気抵抗効果型磁気
ヘッドは、磁界消去手段又は補助膜が高抵抗金属材料の
分離膜から発生する磁界を打消して磁気抵抗効果膜に軟
磁性膜からのバイアス磁界のみを印加するため検出電流
の増加に無関係に一定のバイアス磁界を印加させ、安定
な再生出力を得ることができる。
【0015】また第3の特徴による磁気抵抗効果型磁気
ヘッドは、補助膜を分離膜と同材質及び同厚さの高抵抗
金属材料で構成して同抵抗値にすることにより分離膜か
ら発生する磁界を打消して磁気抵抗効果膜に軟磁性膜か
らのバイアス磁界のみを印加して安定な再生出力を得る
ことができる。第4の特徴による磁気抵抗効果型磁気ヘ
ッドも同様に補助膜と分離膜とを同抵抗にして軟磁性膜
からのバイアス磁界のみを印加して安定な再生出力を得
ることができる。第5の特徴による磁気抵抗効果型磁気
ヘッドは、分離膜と補助膜の抵抗比を選択することによ
りバイアス磁界を調整することができる。
【0016】前記第6の特徴による磁気抵抗効果型磁気
ヘッドの製造方法は、第5ステップにおいて分離膜から
磁気抵抗効果膜に与えられる磁界を打消す補助膜を形成
することによって分離膜から発生する磁界を打消して磁
気抵抗効果膜に軟磁性膜からのバイアス磁界のみを印加
して安定な再生出力を得ることができる。
【0017】第7の特徴による製造方法は、第5ステッ
プにおいて補助膜を分離膜と同一材質及び厚さとするこ
とによって前述同様に分離膜から発生する磁界を打消し
て安定的な出力を確保することができ、第8の製造方法
は補助膜を分離膜と同一抵抗値の高抵抗金属材料で作成
した同様の効果を達成することができる。また第9及び
第10の特徴による製造方法は各膜等の材質を適正なも
のに選択することによって高性能の磁気抵抗効果型磁気
ヘッドを得ることができる。
【0018】
【実施例】以下本発明による磁気抵抗効果型磁気ヘッド
の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。図1は本
実施例による磁気抵抗効果型磁気ヘッドを含む複合型薄
膜磁気ヘッドの横断面を示す図、図2は磁気抵抗効果型
磁気ヘッド(以下、MR型磁気ヘッドと呼ぶ)の斜視
図、図11は本MR型磁気ヘッドの製造工程を説明する
ためのである。本実施例による磁気抵抗効果型磁気ヘッ
ドは、図1に示す如く、MR型磁気ヘッドを磁気的に遮
断する2つの磁気シールド膜8の間に絶縁材9により充
填され、磁気ディスク上の磁界によって抵抗値が変化す
る磁気抵抗効果を利用した磁気抵抗効果膜5と、該磁気
抵抗効果膜5にバイアス磁界を印加するための軟磁性膜
3と、該軟磁性膜3と磁気抵抗効果膜5とを高抵抗の金
属材料によって分離する分離膜4と、前記分離膜4と反
対側の磁気抵抗効果膜5に形成される補助膜6と、該磁
気抵抗効果膜5からの検出電流を外部に出力する電極端
子(図示せず)とによって構成されている。また前記補
助膜6は、分離膜4と同一材料及び同一厚さに形成する
のが望ましいが、他の材料を使用する場合は分離膜4と
同抵抗値となる厚みに設定する。
【0019】このMR型磁気ヘッドの製造は、図11に
示す様に下記(1)〜(11)の手順に従って行なわれる。 (1)基板1及び磁気シールド膜8上に例えばAL23
SiO2等を数百nμm程度塗布して第1のギャップを
構成する絶縁材9を作成する。 (2)この絶縁材9上に例えばNiFe合金、NiFe合
金にRuやRh等の元素を添加した金属及びNiCr合
金/NiCo合金等を数十nmスパッタリングして、後
述の磁気抵抗効果膜5にバイアス磁界を印加するための
軟磁性膜3を形成する。図11(a)参照。 (3)この軟磁性膜3上に例えばTi、Nb、Ta、Cr
等の高抵抗金属材料を数nm〜数十nmスパッタリング
して分離膜4を形成する。図11(b)参照。 (4)この分離膜4上に例えばNiFe合金等を数十nm
スパッタリングして磁気抵抗効果膜膜5を形成する。図
11(c)参照。 (5)この磁気抵抗効果膜5上に前記分離膜4と同一の高
抵抗金属材を同等の厚さだけスパッタリングして補助膜
6を形成する。尚、該補助膜6を分離膜4と異種材料で
形成する場合は、補助膜6の膜厚を分離膜4の抵抗と等
しくなる程度の膜厚とする。図11(d)参照。 (6)続けて引出導体膜7を、例えばAu、Cu等の低抵
抗体を数十nm〜数百nmスパッタリングして形成す
る。図11(e)参照。 (7)フォトリソ技術により前記5層の連続膜を所望形状
に一括パターニングする。 (8)この後図2に示す形状にトラック幅Twに相当する
部分の引出導体膜7のみをエッチングして除去し、この
上に第2ギャップを構成する磁気シールド膜8を数百n
μm程度全面にスパッタリングして形成する。 (9)前記磁気抵抗効果膜5から出力を検出するためのス
ルーホールを引出導体膜7の一部に形成し、スルーホー
ルを形成した部分に外部に信号を取り出すための端子を
形成する(図示せず)。 (10)次に、この基板を機械加工により切断し、機械加工
により所定のギャップ深さに加工して磁気ヘッドを完成
させる。そして、引出導体膜7の端子部よりリ−ド線を
引出して外部装置に接続する。尚、磁気シールド膜8が
構成する第1ギャップ及び第2ギャップの膜厚は、磁気
ヘッドの必要とされる周波数特性から適切な値を選定す
る。尚、この様に磁気抵抗効果膜に補助膜を形成するこ
とによって、磁気抵抗効果膜にダメ−ジを与えることな
く引出電極を形成することが容易となる。
【0020】この様に構成したMR型磁気ヘッドの分離
膜4,磁気抵抗効果膜5及び補助膜6の関係を図3のモ
デル図を用いて説明する。これら3膜間における磁気抵
抗効果膜5に印加され磁界は、分離膜4で発生した磁界
が点線で示すように分離膜磁界21として印加され、補
助膜6で発生した磁界が前記分離膜磁界21と逆方向に
実線で示すように補助膜磁界20として印加される。こ
れにより、磁気抵抗効果膜5内においては前記磁界20
及び21が互いに打ち消し合う様に作用し、分離膜4と
補助膜6の抵抗値が等しいために分離膜4に流れる電流
と補助膜6に流れる電流が等しくなり、それぞれの膜が
作る磁界も等しくなり、磁気抵抗効果膜膜5には軟磁性
膜3のみのバイアス磁界を印加することができる。
【0021】また、分離膜4に対し補助膜6の抵抗値が
大きい場合には、分離膜4に流れる電流の方が多くなっ
て分離膜4で作られる磁界21が大きく、磁気抵抗効果
膜5には軟磁性膜3と同じ方向のバイアス磁界が印加さ
れることにより、検出電流を増加させた場合にバイアス
量過多になる傾向にある。一方、分離膜4に対し補助膜
6の抵抗値が小さい場合には、補助膜6に流れる電流の
方が多くなり補助膜6で作られる磁界20が大きく、磁
気抵抗効果膜5には軟磁性膜と逆方向のバイアス磁界が
印加されることにより、検出電流を増加させた場合にバ
イアス量が不足する傾向にある。
【0022】この様に、本実施例においてはMR型磁気
ヘッドにおいて補助膜を形成することにより検出電流の
変化に対する波形対称性の変化を小さくすることができ
る。なかでも分離膜と補助膜の抵抗値が等しくなるよう
にすることにより、検出電流を増加しても磁気抵抗効果
膜5へのバイアス磁界は、軟磁性膜からのバイアス磁界
のみとなり軟磁性膜が飽和したのち、軟磁性膜に流れる
電流の作るバイアス磁界分が増加するものの、ほぼ一定
のバイアス磁界が印加され、波形対称性が0近傍となる
検出電流領域が広がり波形歪の少ない安定した再生出力
が得られる。
【0023】この様に本実施例によるMR型磁気ヘッド
の磁気抵抗効果膜5に印加されるバイアイス磁界は、前
述の様に分離膜4による磁界21と補助膜6による磁界
20とが互に打消し合って軟磁性膜3のみのバイアス磁
界しか印加されないものであり、このことは下記実験に
よって証明された。まずMR型磁気ヘッドにおける磁気
抵抗効果膜5に印加されるバイアイス磁界をみるために
磁気ヘッドの再生波形の対象性を観察する方法がある。
この方法は、図4に示す様に再生出力の正側V+と負側
V−で、波形対称性を(V+−V-)/(V++V-)と定
義した時、最適なバイアス量の場合は波形対称性が0と
なり、波形対称性が0以下の場合はバイアス量が不足と
なる。逆に波形対称性が0以上の場合はバイアス量過多
となる。
【0024】前記実施例構造における、波形対称性と検
出電流との実測結果を図5に示す。図中のカ−ブaは補
助膜なしの場合で条件は、磁気抵抗効果膜の膜厚を45
nm,分離膜の膜厚を10nm,比抵抗を100μΩc
mとし、磁気抵抗効果膜にバイアスを印加するための軟
磁性膜の膜厚を50nm,比抵抗を80μΩcm,飽和
磁束密度を0.7としたときの波形対象性を示すもので
あり、検出電流が10mA付近で波形対称性の傾きが変
化していることから、この付近でほぼ軟磁性膜が飽和し
ていると思われ、このときの波形対称性は0以下でバイ
アス不足である。更に検出電流10mA以上に増加させ
ると分離膜と軟磁性膜に流れる電流により磁気抵抗効果
膜にバイアス磁界が印加され、最適バイアスの波形対称
性0からバイアス量過多に大きくズレていき、波形対称
性が0近傍の検出電流領域が狭いことが判る。
【0025】これに対して、磁気抵抗効果膜/分離膜/
軟磁性膜の膜厚/比抵抗等の磁気特性を上記と同じとし
て、補助膜の膜厚を10nm,比抵抗を200μΩcm
とし、分離膜に対し補助膜の抵抗値を2倍としたとき
は、図5のカ−ブbに示す様に検出電流に対する波形対
称性の変化(傾き)が小さくなり、波形対称性が0近傍
の検出電流領域が広がることが判明した。この場合の、
波形対称性が0となる検出電流は補助膜無しに比べ補助
膜の影響により大きくなる(但し、波形対称性が0とな
る検出電流は、軟磁性膜厚、及び、軟磁性膜の飽和磁束
密度を変えることにより調整することが可能である)。
【0026】更に、前記各磁気抵抗効果膜等の磁気的条
件を前記と同様として、補助膜の膜厚を10nm,比抵
抗を100μΩcmとし、分離膜と補助膜の抵抗値が等
しくなるようにしたときは、カ−ブcに示す様に検出電
流の増加に対し波形対称性の変化がほとんど無くなり、
最適バイアスの波形対称性が0近傍となる検出電流領域
がさらに広がる。このときも、波形対称性が0となる検
出電流は上記抵抗値が2倍のときよりもさらに大きくな
る(但し、前記同様に、軟磁性膜を変えてやることによ
り波形対称性が0となる検出電流を調整することが可能
である)。逆に前記同様の条件で、補助膜の膜厚を10
nm,比抵抗を50μΩcmとし、分離膜に対し補助膜
の抵抗を2分の1としたときは、カ−ブdに示すように
検出電流を増加しても、最適バイアスの波形対称性が0
まで達せず逆にバイアス量不足となる傾向になることが
判明した。
【0027】また、前記実験は磁気抵抗効果膜等の条件
を固定して補助膜の比抵抗のみを変えた場合のもである
が、これら条件を変化させた例を図6を参照して説明す
る。まず、図5のカ−ブbに示した補助膜の抵抗値を2
倍とし、軟磁性膜の比抵抗を130μΩcm,飽和磁束
密度を0.6とした場合には、図6のカ−ブaに示す様
に検出電流7mA付近で波形対称性の傾きが変化し、図
5のカ−ブbに示したときよりもバイアス量不足となる
ことが判明した。これは軟磁性膜の比抵抗を大きくした
ことにより、磁気抵抗効果膜に流れる電流が増加したこ
と、飽和磁束密度を小さくしたことによる軟磁性膜の飽
和が速くなったこと、飽和磁束密度を小さくて軟磁性膜
が飽和したときのバイアス量を減少したためと思われ
る。しかし、このことは、検出電流を増加させると波形
対称性が0に近ずいてバイアス量過多方向にズレて行
き、検出電流の増加に対する波形対称性の傾きが緩くな
り、波形対称性が0近傍となる検出電流領域が広がるこ
とが判る。即ち、波形対称性が0に近ずく傾きは、軟磁
性膜の比抵抗を大きくしたことにより、軟磁性膜に流れ
る電流が減り、軟磁性膜に流れる電流の作る磁界が減る
ため、検出電流の増加に対する波形対称性の傾きが緩く
なり、波形対称性が0近傍となる検出電流領域が広がる
ものと考えられる。
【0028】一方、図5のカ−ブcに示した補助膜の抵
抗値を2分の1とし、軟磁性膜の比抵抗を60μΩc
m,飽和磁束密度を0.8とした場合には、図6のカ−
ブbに示す様に、検出電流15mA付近で波形対称性の
傾きが変化し、波形対称性はほぼ0付近となる。これ
は、軟磁性膜の比抵抗を小さくしたことにより、磁気抵
抗効果膜に流れる電流が減ったこと、軟磁性膜の飽和磁
束密度を大きくしたことによる軟磁性膜の飽和が遅くな
ったこと、軟磁性膜の飽和磁束密度を大きくしたことに
よる軟磁性膜が飽和したときのバイアス量が増えたため
と考えられる。また、軟磁性膜の比抵抗を小さくしたこ
とにより軟磁性膜に流れる電流が増え、軟磁性膜に流れ
る電流の作る磁界も増加することにより、検出電流の増
加に対する波形対称性のバイアス量不足方向への傾きが
緩くなり、波形対称性が0近傍となる検出電流領域が広
がるものと思われる。従って本実施例における分離膜と
補助膜の磁気特性を任意に選択することによって磁気抵
抗効果膜に与えるバイアス磁界を調整することも容易に
なる。
【0029】この様に、本実施例の如くMR型磁気ヘッ
ドにおいて分離膜と同抵抗の補助膜を形成することによ
り検出電流の変化に対する波形対称性の変化を小さくす
ることができる。また前記補助膜と分離膜の抵抗比を調
整することによって磁気抵抗効果膜に与えるバイアス磁
界を調整することもでき、例えば補助膜と分離膜とが相
互にバイアス磁界を磁気抵抗効果膜に与える様に構成す
ることもできる。特に前記分離膜と補助膜の抵抗値が等
しくなるようにすることにより、検出電流を増加しても
磁気抵抗効果膜へのバイアス磁界が軟磁性膜からのバイ
アス磁界のみとなり軟磁性膜が飽和したのち、軟磁性膜
に流れる電流の作るバイアス磁界分が増加するものの、
ほぼ一定のバイアス磁界が印加され、波形対称性が0近
傍となる検出電流領域が広がり波形歪の少ない安定した
再生出力が得られる。又、バイアス用の軟磁性膜から引
出導体膜まで連続して形成でき、一括でパターニングで
きることからヘッド形成工程が短く、高歩留まりのヘッ
ド形成が可能となる。さらに、トラック幅に相当する領
域の引出導体膜を除去する際に、補助膜がストッパの働
きをするためにMR膜にダメ−ジを与えることなく、高
信頼性のヘッド形成が可能である。尚、上記実施例で
は、軟磁性膜3を先に形成する例を挙げて説明したが、
逆に、引出導体膜7を先に形成する構造のMR型磁気ヘ
ッドにおいても、ほぼ同様の効果が得られることはいう
までもない。
【0030】
【発明の効果】以上述べた様に本発明による磁気抵抗効
果型磁気ヘッドは、磁界消去手段又は補助膜が高抵抗金
属材料の分離膜から発生する磁界を打消して磁気抵抗効
果膜に軟磁性膜からのバイアス磁界のみを印加するため
検出電流の増加に無関係に一定のバイアス磁界を印加さ
せ、安定な再生出力を得ることができる。また補助膜を
分離膜と同同材質及び同厚さの高抵抗金属材料で構成し
て同抵抗値にするか或いは補助膜と分離膜とを同抵抗に
して軟磁性膜からのバイアス磁界のみを印加して安定な
再生出力を得ることができる。更に前記分離膜と補助膜
の抵抗比を選択することによって磁気抵抗効果膜に与え
るバイアス磁界を調整して安定的な高出力性能の磁気抵
抗効果型磁気ヘッドを得ることもできる。
【0031】また本発明による磁気抵抗効果型磁気ヘッ
ドの製造方法は、分離膜から磁気抵抗効果膜に与えられ
る磁界を打消す補助膜を形成することによって分離膜か
ら発生する磁界を打消して磁気抵抗効果膜に軟磁性膜か
らのバイアス磁界のみを印加して安定な再生出力を得る
ことができる。また補助膜を分離膜と同一材質及び厚さ
とするか、補助膜を分離膜と同一抵抗値の高抵抗金属材
料で作成した同様の効果を達成することができる。磁気
抵抗効果型磁気ヘッドを構成する各膜等の材質を適正な
ものに選択することによって高性能安定出力の磁気抵抗
効果型磁気ヘッドを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による磁気抵抗効果型磁気ヘ
ッドを示す図。
【図2】本実施例による磁気抵抗効果型磁気ヘッド素子
の斜視図。
【図3】本発明による磁気抵抗効果型磁気ヘッドの磁気
抵抗効果膜の磁界分布を示す図。
【図4】波形対称性の定義を示すための磁気ヘッド再生
波形を示す図。
【図5】分離膜を変えたときの検出電流と波形対称性の
関係を表した図。
【図6】軟磁性膜を変えたときの検出電流と波形対称性
の関係を表した図。
【図7】従来技術による磁気抵抗効果型磁気ヘッドを示
す図。
【図8】他の従来技術による磁気抵抗効果型磁気ヘッド
を示す図。
【図9】従来の磁気抵抗効果型磁気ヘッドによるの検出
電流とバイアス磁界の関係を表した図。
【図10】本実施例による磁気抵抗効果型磁気ヘッドの
斜視外観図。
【図11】本実施例による磁気抵抗効果型磁気ヘッドの
製造工程を説明するための図。
【符号の説明】
1:基板,2:分離用絶縁材,3:バイアス用軟磁性
膜,4:分離膜,5:磁気抵抗効果膜,6:補助膜,
7:引出導体膜,8:磁気シ−ルド膜,9:絶縁材。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年9月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 磁気抵抗効果型磁気ヘッド及びその製
造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記憶装置に搭載さ
れる磁気抵抗効果型磁気ヘッドに係り、特に一定のバイ
アス磁界を印加して安定的な再生出力を得ることができ
るソフトバイアス方式の磁気抵抗効果型磁気ヘッドに関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に磁気記装置は、磁気ヘッドと磁
気記録媒体との相対的移動によって磁気データを磁気記
録媒体に記録再生するものであり、この相対的移動の高
速化によって記録媒体の単位面積当りのデータ記憶量を
増加して再生信号の高出力化を保っている。しかしなが
ら近年の磁気記装置、例えば磁気ディスク記装置或
いは磁気テープ記装置は、小型大容量記録の要望によ
って記録媒体と磁気ヘッドとの相対速度が低下する傾向
にあるため、磁気ヘッドと記録媒体の相対速度が遅くな
り、従来の巻線タイプの磁気ヘッドでの高出力化が困難
になってきている。
【0003】そこで近年の磁気記装置においては、再
生出力が磁気ヘッドと記録媒体の相対速度に依存しない
磁気抵抗効果素子を信号再生専用に設けた磁気抵抗効果
型磁気ヘッド(以下、MR型磁気ヘッドと呼ぶ)が提案
されている。
【0004】磁気ディスク記装置の分野において前記
MR型磁気ヘッドは、書込み用の誘導型薄膜磁気ヘッド
と組あわされて複合型薄膜磁気ヘッドと呼ばれ、記録ヘ
ッド及び再生ヘッドをそれぞれの能力を最大に発揮する
様に設計される。この複合型薄膜磁気ヘッドは、図10
に示す様に基板1上に2つの磁気シールド膜8を介して
再生専用のMR型再生(磁気)ヘッド102と記録用の
記録ヘッド101を順次積層形成して両ヘッドを分離且
つ複合化して構成している。
【0005】前記MR型磁気ヘッド102は、2つの磁
気シールド膜8の間に絶縁材9により充填され、磁気デ
ィスクの磁界に応じて抵抗値が変化する磁気抵抗効果膜
5と、該磁気抵抗効果膜5にバイアス電圧を印加するバ
イアス印加用軟磁性膜3と、これら膜3及び5間を分離
する分離用絶縁膜2と、前記磁気抵抗効果膜5と導通し
て検出電流を外部に導く電極端子(図示せず、以下同
じ)によって構成される。このMR型磁気ヘッドは、図
示しない回路からバイアス電圧が印加された状態で磁気
抵抗効果膜5が磁気ディスク上の磁界を遮ることによっ
て磁気ディスクのデータ磁化に対応した抵抗変化を外部
に電極端子を介して引出す様に構成されている。また記
録ヘッド101は、前記再生ヘッド102の上部に磁気
シールド膜8を介して形成されるインダクティブヘッド
であり、下部コア103と、上部コア104と、該上下
コア103及び104間に充填されるホトレジスト等の
有機材料からなる非磁性絶縁層と、該薄膜磁気ヘッドを
励磁するためのCu等の金属導体からなるコイル105
により基本的に構成される。前記薄膜磁気ヘッド先端の
媒体対向部に設けられた前記上部磁気コア104及び下
部磁気コア103の各先端部は、書込みギャップ106
を形成しており、この書込ギャップによってデータの記
録が行なわれる。
【0006】さて、前述のMR型再生(磁気)ヘッド1
02は、高出力を得る為に磁気抵抗効果膜5にバイアス
磁界を印加する必要があり、その手段としていろいろな
方法が提案されている。その中のひとつの方法として、
ソフトバイアス法と呼ばれる方法がある。このソフトバ
イアス法は、図7に示す如くバイアス用軟磁性膜3が分
離用絶縁材2を介して磁気抵抗効果膜5にバスアス磁界
を与えることによって磁気抵抗効果膜5の高出力を確保
するものである。このソフトバイアス法によるMR型磁
気ヘッドは、他のバイアス法に比べ高い出力が得られ、
わりと簡単な構造となっているという利点がある。しか
し、軟磁性膜3と磁気抵抗効果膜5の間の距離をなるべ
く小さくし、軟磁性膜3と磁気抵抗効果膜5を分離する
膜を形成する必要があり、軟磁性膜3と磁気抵抗効果
の間にたまる電荷が放電して磁気抵抗効果膜5を断線
させる危険性があった。又、非常に薄い磁気抵抗効果
に電流を流すと磁気抵抗効果膜内の電流密度が上がり
マイグレ−ション等の信頼性が低下する恐れがあった。
【0007】従来技術においては、この磁気抵抗効果
断線等を防止するために特開平3−116510号公
報に記載された手法が提案されている。このMR型磁気
ヘッドは、図8に示す如く軟磁性膜3とMR膜5の間に
高抵抗の金属から成る高抵抗金属分離膜4を配置し、こ
の高抵抗金属分離膜4によって前述の電荷放電による断
線や電流密度の上昇を抑えるものである。
【0008】尚、前記ソフトバイアス法を採用したMR
型磁気ヘッドに関する文献としては、例えば特開昭62
−143223号公報,特開平2−198016号公
報,特開平2−214010号公報が挙げられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術によるM
R型磁気ヘッドは、磁気抵抗効果膜による検出電流を増
加させ高出力を得ようとした場合に高抵抗金属分離膜に
よるバイアス磁界も変化して磁気抵抗効果膜の安定的な
出力を得るのが困難になると言う不具合を招くものであ
った。即ち、図9に示す如く、単なる分離用絶縁膜を用
いた図7に示すMR型磁気ヘッドの場合は検出電流を増
加させるに従ってバイアス用軟磁性膜のバイアス磁界は
カーブbの様に所定電流値以上で飽和して一定になるも
のの、図8に示した高抵抗金属分離膜を使用したMR型
磁気ヘッドの場合は高抵抗金属分離膜に流れる検出電流
を増加させると高抵抗金属分離膜が作るバイアス磁界も
カーブaの様に増加し、このバイアス磁界が印加される
磁気抵抗効果膜の再生出力が安定しないと言う不具合が
あった。
【0010】本発明の目的は、前記従来技術による不具
合を除去することであり、軟磁性膜とMR膜の分離膜と
して高抵抗金属膜材料を用いた場合であっても、検出電
流の増加に無関係に一定のバイアス磁界を印加させ、安
定な再生出力が得られる磁気抵抗効果型磁気ヘッドを提
供することである。
【00011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明による磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、前記分離膜
に印加される電流により発生する分離膜磁界を打消す磁
界を発生する磁界消去手段を設けたことを第1の特徴と
する。また本発明による磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、
前記磁気抵抗効果膜に前記分離膜に印加される電流によ
り発生する分離膜磁界を打消す磁界を発生する補助膜を
配置したことを第2の特徴とし、前記補助膜が分離膜と
同材質及び同厚さの高抵抗金属材料であることを第3の
特徴とし、前記補助膜が分離膜と同抵抗の高抵抗金属材
料であることを第4の特徴とする。更に本磁気抵抗効果
型磁気ヘッドは、前記磁気抵抗効果膜に前記分離膜に印
加される電流により発生する分離膜磁界を打消す磁界を
発生する補助膜を配置すると共に、前記分離膜と補助膜
との抵抗比を選択することによって磁気抵抗効果膜に与
えるバイアス磁界を調整することを第5の特徴とする。
更に本発明による磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造方法
は、絶縁性の基板上に磁気シールド膜及び絶縁材を形成
する第1ステップと、該絶縁材上に軟磁性材料の軟磁性
膜を形成する第2ステップと、該軟磁性膜上に高抵抗金
属材料の分離膜を形成する第3ステップと、該分離膜上
に磁気抵抗効果素子材料の磁気抵抗効果膜を形成する第
4ステップと、該磁気抵抗効果膜上に第3ステップで形
成した分離膜から磁気抵抗効果膜に与えられる磁界を打
消す補助膜を形成する第5ステップを含むことを第6の
特徴とする。
【0012】また本発明による磁気抵抗効果型磁気ヘッ
ドの製造方法は、絶縁性の基板上に磁気シールド膜及び
絶縁材を形成する第1ステップと、該絶縁材上に軟磁性
材料の軟磁性膜を形成する第2ステップと、該軟磁性膜
上に高抵抗金属材料の分離膜を形成する第3ステップ
と、該分離膜上に磁気抵抗効果素子材料の磁気抵抗効果
膜を形成する第4ステップと、該磁気抵抗効果膜上に第
3ステップで形成した分離膜と同一材質及び厚さの補助
膜を形成する第5ステップを含むことを第7の特徴とす
る。
【00013】更に本磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造
方法は、前記第5ステップにおいて形成する補助膜が第
3ステップで形成した分離膜と同一抵抗値の高抵抗金属
材料で形成することを第8特徴とし、前記ステップ3
において軟磁性膜上にTi、Nb、Ta、Crいずれか
の高抵抗金属材料をスパッタリングして分離膜を形成す
ることを第9の特徴とする。また本製造方法は、前記ス
テップ1おいて磁気シールド上にAL23又はSiO
2スパッタリングして絶縁材を形成し、前記ステップ
2において軟磁性膜をNiFe合金、NiFe合金にR
uやRh元素を添加した金属及びNiCr合金又はNi
Co合金をスパッタリングして形成し、前記ステップ3
において軟磁性膜上にTi、Nb、Ta、Crいずれか
の高抵抗金属材料をスパッタリングして分離膜を形成
し、前記ステップ4においてNiFe合金をスパッタリ
ングして磁気抵抗効果膜を形成することを第10の特徴
とする。
【0014】
【作用】前記第1及び第2の特徴の磁気抵抗効果型磁気
ヘッドは、磁界消去手段又は補助膜が高抵抗金属材料の
分離膜から発生する磁界を打消して磁気抵抗効果膜に軟
磁性膜からのバイアス磁界のみを印加するため検出電流
の増加に無関係に一定のバイアス磁界を印加させ、安定
な再生出力を得ることができる。
【0015】また第3の特徴による磁気抵抗効果型磁気
ヘッドは、補助膜を分離膜と同材質及び同厚さの高
抵抗金属材料で構成して同抵抗値にすることにより分離
膜から発生する磁界を打消して磁気抵抗効果膜に軟磁性
膜からのバイアス磁界のみを印加して安定な再生出力を
得ることができる。第4の特徴による磁気抵抗効果型磁
気ヘッドも同様に補助膜と分離膜とを同抵抗にして軟磁
性膜からのバイアス磁界のみを印加して安定な再生出力
を得ることができる。第5の特徴による磁気抵抗効果型
磁気ヘッドは、分離膜と補助膜の抵抗比を選択すること
によりバイアス磁界を調整することができる。
【0016】前記第6の特徴による磁気抵抗効果型磁気
ヘッドの製造方法は、第5ステップにおいて分離膜から
磁気抵抗効果膜に与えられる磁界を打消す補助膜を形成
することによって分離膜から発生する磁界を打消して磁
気抵抗効果膜に軟磁性膜からのバイアス磁界のみを印加
して安定な再生出力を得ることができる。
【0017】第7の特徴による製造方法は、第5ステッ
プにおいて補助膜を分離膜と同一材質及び同一厚さとす
ることによって前述同様に分離膜から発生する磁界を打
消して安定的な出力を確保することができ、第8の製造
方法は補助膜を分離膜と同一抵抗値の高抵抗金属材料で
作成した同様の効果を達成することができる。また第9
及び第10の特徴による製造方法は各膜等の材質を適正
なものに選択することによって高性能の磁気抵抗効果型
磁気ヘッドを得ることができる。
【0018】
【実施例】以下本発明による磁気抵抗効果型磁気ヘッド
の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。図1は本
実施例による磁気抵抗効果型磁気ヘッドを含む複合型薄
膜磁気ヘッドの横断面を示す図、図2は磁気抵抗効果型
磁気ヘッド(以下、MR型磁気ヘッドと呼ぶ)の斜視
図、図11は本MR型磁気ヘッドの製造工程を説明する
ためのである。本実施例による磁気抵抗効果型磁気ヘッ
ドは、図1に示す如く、MR型磁気ヘッドを磁気的に遮
断する2つの磁気シールド膜8の間に絶縁材9により充
填され、磁気ディスク上の磁界によって抵抗値が変化す
る磁気抵抗効果を利用した磁気抵抗効果膜5と、該磁気
抵抗効果膜5にバイアス磁界を印加するための軟磁性膜
3と、該軟磁性膜3と磁気抵抗効果膜5とを高抵抗の金
属材料によって分離する分離膜4と、前記分離膜4と反
対側の磁気抵抗効果膜5に形成される補助膜6と、該磁
気抵抗効果膜5からの検出電流を外部に出力する電極端
子(図示せず)とによって構成されている。また前記補
助膜6は、分離膜4と同一材料及び同一厚さに形成する
のが望ましいが、他の材料を使用する場合は分離膜4と
同抵抗値となる厚みに設定する。
【0019】このMR型磁気ヘッドの製造は、図11に
示す様に下記(1)〜(11)の手順に従って行なわれる。 (1)基板1及び磁気シールド膜8上に例えばAL23
SiO2等を数百nm程度スパッタリングして第1のギ
ャップを構成する絶縁材9を作成する。 (2)この絶縁材9上に例えばNiFe合金、NiFe合
金にRuやRh等の元素を添加した金属及びNiCr合
金/NiCo合金等を数十nmスパッタリングして、後
述の磁気抵抗効果膜5にバイアス磁界を印加するための
軟磁性膜3を形成する。図11(a)参照。 (3)この軟磁性膜3上に例えばTi、Nb、Ta、Cr
等の高抵抗金属材料を数nm〜数十nmスパッタリング
して分離膜4を形成する。図11(b)参照。 (4)この分離膜4上に例えばNiFe合金等を数十nm
スパッタリングして磁気抵抗効果膜5を形成する。図1
1(c)参照。 (5)この磁気抵抗効果膜5上に前記分離膜4と同一の高
抵抗金属材を同等の厚さだけスパッタリングして補助膜
6を形成する。尚、該補助膜6を分離膜4と異種材料で
形成する場合は、補助膜6の膜厚を分離膜4の抵抗と等
しくなる程度の膜厚とする。図11(d)参照。 (6)続けて引出導体膜7を、例えばAu、Cu等の低抵
抗体を数十nm〜数百nmスパッタリングして形成す
る。図11(e)参照。 (7)フォトリソ技術により前記5層の連続膜を所望形状
に一括パターニングする。 (8)この後図2に示す形状にトラック幅Twに相当する
部分の引出導体膜7のみをエッチングして除去し、この
上に第2ギャップを構成する磁気シールド膜8を数百
程度全面にスパッタリングして形成する。 (9)前記磁気抵抗効果膜5から出力を検出するためのス
ルーホールを引出導体膜7の一部に形成し、スルーホー
ルを形成した部分に外部に信号を取り出すための端子を
形成する(図示せず)。 (10)次に、この基板を機械加工により切断し、機械加工
により所定のギャップ深さに加工して磁気ヘッドを完成
させる。そして、引出導体膜7の端子部よりリ−ド線を
引出して外部装置に接続する。尚、磁気シールド膜8が
構成する第1ギャップ及び第2ギャップの膜厚は、磁気
ヘッドの必要とされる周波数特性から適切な値を選定す
る。尚、この様に磁気抵抗効果膜に補助膜を形成するこ
とによって、磁気抵抗効果膜にダメ−ジを与えることな
く引出電極を形成することが容易となる。
【0020】この様に構成したMR型磁気ヘッドの分離
膜4,磁気抵抗効果膜5及び補助膜6の関係を図3のモ
デル図を用いて説明する。これら3膜間における磁気
抵抗効果膜5に印加され磁界は、分離膜4で発生した磁
界が点線で示すように分離膜磁界21として印加され、
補助膜6で発生した磁界が前記分離膜磁界21と逆方向
に実線で示すように補助膜磁界20として印加される。
これにより、磁気抵抗効果膜5内においては前記磁界2
0及び21が互いに打ち消し合う様に作用し、分離膜4
と補助膜6の抵抗値が等しいために分離膜4に流れる電
流と補助膜6に流れる電流が等しくなり、それぞれの膜
が作る磁界も等しくなり、磁気抵抗効果膜5には軟磁性
膜3のみのバイアス磁界を印加することができる。
【0021】また、分離膜4に対し補助膜6の抵抗値が
大きい場合には、分離膜4に流れる電流の方が多くなっ
て分離膜4で作られる磁界21が大きく、磁気抵抗効果
膜5には軟磁性膜3と同じ方向のバイアス磁界が印加さ
れることにより、検出電流を増加させた場合にバイアス
量過多になる傾向にある。一方、分離膜4に対し補助膜
6の抵抗値が小さい場合には、補助膜6に流れる電流の
方が多くなり補助膜6で作られる磁界20が大きく、磁
気抵抗効果膜5には軟磁性膜と逆方向のバイアス磁界が
印加されることにより、検出電流を増加させた場合にバ
イアス量が不足する傾向にある。
【0022】この様に、本実施例においてはMR型磁気
ヘッドにおいて補助膜を形成することにより検出電流の
変化に対する波形対称性の変化を小さくすることができ
る。なかでも分離膜と補助膜の抵抗値が等しくなるよう
にすることにより、検出電流を増加しても磁気抵抗効果
膜5へのバイアス磁界は、軟磁性膜からのバイアス磁界
のみとなり軟磁性膜が飽和したのち、軟磁性膜に流れる
電流の作るバイアス磁界分が増加するものの、ほぼ一定
のバイアス磁界が印加され、波形対称性が0近傍となる
検出電流領域が広がり波形歪の少ない安定した再生出力
が得られる。
【0023】この様に本実施例によるMR型磁気ヘッド
の磁気抵抗効果膜5に印加されるバイアイス磁界は、前
述の様に分離膜4による磁界21と補助膜6による磁界
20とが互に打消し合って軟磁性膜3のみのバイアス磁
界しか印加されないものであり、このことは下記実験に
よって証明された。まずMR型磁気ヘッドにおける磁気
抵抗効果膜5に印加されるバイアイス磁界をみるために
磁気ヘッドの再生波形の対象性を観察する方法がある。
この方法は、図4に示す様に再生出力の正側V+と負側
V−で、波形対称性を(V+−V-)/(V++V-)と定
義した時、最適なバイアス量の場合は波形対称性が0と
なり、波形対称性が0以下の場合はバイアス量が不足と
なる。逆に波形対称性が0以上の場合はバイアス量過多
となる。
【0024】前記実施例構造における、波形対称性と検
出電流との実測結果を図5に示す。図中のカ−ブaは補
助膜なしの場合で条件は、磁気抵抗効果膜の膜厚を45
nm,分離膜の膜厚を10nm,比抵抗を100μΩc
mとし、磁気抵抗効果膜にバイアスを印加するための軟
磁性膜の膜厚を50nm,比抵抗を80μΩcm,飽和
磁束密度を0.7としたときの波形対象性を示すもので
あり、検出電流が10mA付近で波形対称性の傾きが変
化していることから、この付近でほぼ軟磁性膜が飽和し
ていると思われ、このときの波形対称性は0以下でバイ
アス不足である。更に検出電流10mA以上に増加させ
ると分離膜と軟磁性膜に流れる電流により磁気抵抗効果
膜にバイアス磁界が印加され、最適バイアスの波形対称
性0からバイアス量過多に大きくズレていき、波形対称
性が0近傍の検出電流領域が狭いことが判る。
【0025】これに対して、磁気抵抗効果膜/分離膜/
軟磁性膜の膜厚/比抵抗等の磁気特性を上記と同じとし
て、補助膜の膜厚を10nm,比抵抗を200μΩcm
とし、分離膜に対し補助膜の抵抗値を2倍としたとき
は、図5のカ−ブbに示す様に検出電流に対する波形対
称性の変化(傾き)が小さくなり、波形対称性が0近傍
の検出電流領域が広がることが判明した。この場合の、
波形対称性が0となる検出電流は補助膜無しに比べ補助
膜の影響により大きくなる(但し、波形対称性が0とな
る検出電流は、軟磁性膜厚、及び、軟磁性膜の飽和磁束
密度を変えることにより調整することが可能である)。
【0026】更に、前記各磁気抵抗効果膜等の磁気的条
件を前記と同様として、補助膜の膜厚を10nm,比抵
抗を100μΩcmとし、分離膜と補助膜の抵抗値が等
しくなるようにしたときは、カ−ブcに示す様に検出電
流の増加に対し波形対称性の変化がほとんど無くなり、
最適バイアスの波形対称性が0近傍となる検出電流領域
がさらに広がる。このときも、波形対称性が0となる検
出電流は上記抵抗値が2倍のときよりもさらに大きくな
る(但し、前記同様に、軟磁性膜を変えてやることによ
り波形対称性が0となる検出電流を調整することが可能
である)。逆に前記同様の条件で、補助膜の膜厚を10
nm,比抵抗を50μΩcmとし、分離膜に対し補助膜
の抵抗を2分の1としたときは、カ−ブdに示すように
検出電流を増加しても、最適バイアスの波形対称性が0
まで達せず逆にバイアス量不足となる傾向になることが
判明した。
【0027】また、前記実験は磁気抵抗効果膜等の条件
を固定して補助膜の比抵抗のみを変えた場合のもである
が、これら条件を変化させた例を図6を参照して説明す
る。まず、図5のカ−ブbに示した補助膜の抵抗値を2
倍とし、軟磁性膜の比抵抗を130μΩcm,飽和磁束
密度を0.6とした場合には、図6のカ−ブaに示す様
に検出電流7mA付近で波形対称性の傾きが変化し、図
5のカ−ブbに示したときよりもバイアス量不足となる
ことが判明した。これは軟磁性膜の比抵抗を大きくした
ことにより、磁気抵抗効果膜に流れる電流が増加したこ
と、飽和磁束密度を小さくしたことによる軟磁性膜の飽
和が速くなったこと、飽和磁束密度を小さくて軟磁性膜
が飽和したときのバイアス量を減少したためと思われ
る。しかし、このことは、検出電流を増加させると波形
対称性が0に近ずいてバイアス量過多方向にズレて行
き、検出電流の増加に対する波形対称性の傾きが緩くな
り、波形対称性が0近傍となる検出電流領域が広がるこ
とが判る。即ち、波形対称性が0に近ずく傾きは、軟磁
性膜の比抵抗を大きくしたことにより、軟磁性膜に流れ
る電流が減り、軟磁性膜に流れる電流の作る磁界が減る
ため、検出電流の増加に対する波形対称性の傾きが緩く
なり、波形対称性が0近傍となる検出電流領域が広がる
ものと考えられる。
【0028】一方、図5のカ−ブcに示した補助膜の抵
抗値を2分の1とし、軟磁性膜の比抵抗を60μΩc
m,飽和磁束密度を0.8とした場合には、図6のカ−
ブbに示す様に、検出電流15mA付近で波形対称性の
傾きが変化し、波形対称性はほぼ0付近となる。これ
は、軟磁性膜の比抵抗を小さくしたことにより、磁気抵
抗効果膜に流れる電流が減ったこと、軟磁性膜の飽和磁
束密度を大きくしたことによる軟磁性膜の飽和が遅くな
ったこと、軟磁性膜の飽和磁束密度を大きくしたことに
よる軟磁性膜が飽和したときのバイアス量が増えたため
と考えられる。また、軟磁性膜の比抵抗を小さくしたこ
とにより軟磁性膜に流れる電流が増え、軟磁性膜に流れ
る電流の作る磁界も増加することにより、検出電流の増
加に対する波形対称性のバイアス量不足方向への傾きが
緩くなり、波形対称性が0近傍となる検出電流領域が広
がるものと思われる。従って本実施例における分離膜と
補助膜の磁気特性を任意に選択することによって磁気抵
抗効果膜に与えるバイアス磁界を調整することも容易に
なる。
【0029】この様に、本実施例の如くMR型磁気ヘッ
ドにおいて分離膜と同抵抗の補助膜を形成することによ
り検出電流の変化に対する波形対称性の変化を小さくす
ることができる。また前記補助膜と分離膜の抵抗比を調
整することによって磁気抵抗効果膜に与えるバイアス磁
界を調整することもでき、例えば補助膜と分離膜とが相
互にバイアス磁界を磁気抵抗効果膜に与える様に構成す
ることもできる。特に前記分離膜と補助膜の抵抗値が等
しくなるようにすることにより、検出電流を増加しても
磁気抵抗効果膜へのバイアス磁界が軟磁性膜からのバイ
アス磁界のみとなり軟磁性膜が飽和したのち、軟磁性膜
に流れる電流の作るバイアス磁界分が増加するものの、
ほぼ一定のバイアス磁界が印加され、波形対称性が0近
傍となる検出電流領域が広がり波形歪の少ない安定した
再生出力が得られる。又、バイアス用の軟磁性膜から引
出導体膜まで連続して形成でき、一括でパターニングで
きることからヘッド形成工程が短く、高歩留まりのヘッ
ド形成が可能となる。さらに、トラック幅に相当する領
域の引出導体膜を除去する際に、補助膜がストッパの働
きをするためにMR膜にダメ−ジを与えることなく、高
信頼性のヘッド形成が可能である。尚、上記実施例で
は、軟磁性膜3を先に形成する例を挙げて説明したが、
逆に、引出導体膜7を先に形成する構造のMR型磁気ヘ
ッドにおいても、ほぼ同様の効果が得られることはいう
までもない。
【0030】
【発明の効果】以上述べた様に本発明による磁気抵抗効
果型磁気ヘッドは、磁界消去手段又は補助膜が高抵抗金
属材料の分離膜から発生する磁界を打消して磁気抵抗効
果膜に軟磁性膜からのバイアス磁界のみを印加するため
検出電流の増加に無関係に一定のバイアス磁界を印加さ
せ、安定な再生出力を得ることができる。また補助膜を
分離膜と同材質及び同厚さの高抵抗金属材料で構成
して同抵抗値にするか或いは補助膜と分離膜とを同
抗にして軟磁性膜からのバイアス磁界のみを印加して安
定な再生出力を得ることができる。更に前記分離膜と補
助膜の抵抗比を選択することによって磁気抵抗効果膜に
与えるバイアス磁界を調整して安定的な高出力性能の磁
気抵抗効果型磁気ヘッドを得ることもできる。
【0031】また本発明による磁気抵抗効果型磁気ヘッ
ドの製造方法は、分離膜から磁気抵抗効果膜に与えられ
る磁界を打消す補助膜を形成することによって分離膜か
ら発生する磁界を打消して磁気抵抗効果膜に軟磁性膜か
らのバイアス磁界のみを印加して安定な再生出力を得る
ことができる。また補助膜を分離膜と同一材質及び同一
厚さとするか、補助膜を分離膜と同一抵抗値の高抵抗金
属材料で作成することで同様の効果を達成することがで
きる。磁気抵抗効果型磁気ヘッドを構成する各膜等の材
質を適正なものに選択することによって高性能安定出力
の磁気抵抗効果型磁気ヘッドを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による磁気抵抗効果型磁気ヘ
ッドを示す図。
【図2】本実施例による磁気抵抗効果型磁気ヘッド素子
の斜視図。
【図3】本発明による磁気抵抗効果型磁気ヘッドの磁気
抵抗効果膜の磁界分布を示す図。
【図4】波形対称性の定義を示すための磁気ヘッド再生
波形を示す図。
【図5】分離膜を変えたときの検出電流と波形対称性の
関係を表した図。
【図6】軟磁性膜を変えたときの検出電流と波形対称性
の関係を表した図。
【図7】従来技術による磁気抵抗効果型磁気ヘッドを示
す図。
【図8】他の従来技術による磁気抵抗効果型磁気ヘッド
を示す図。
【図9】従来の磁気抵抗効果型磁気ヘッドによるの検出
電流とバイアス磁界の関係を表した図。
【図10】本実施例による磁気抵抗効果型磁気ヘッドの
斜視外観図。
【図11】本実施例による磁気抵抗効果型磁気ヘッドの
製造工程を説明するための図。
【符号の説明】 1:基板,2:分離用絶縁材,3:バイアス用軟磁性
膜,4:分離膜,5:磁気抵抗効果膜,6:補助膜,
7:引出導体膜,8:磁気シ−ルド膜,9:絶縁材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀧 昌也 神奈川県小田原市国府津2880番地 日立コ ンピュータ機器 株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気抵抗効果膜に高抵抗金属材料から成
    る分離膜を介して軟磁性膜からのバイアス磁界を与えた
    状態で前記磁気抵抗効果膜に電流を印加し、磁気記録媒
    体からの磁界変化に応じた該磁気抵抗効果膜の抵抗値の
    変化を検出する磁気抵抗効果型磁気ヘッドにおいて、前
    記分離膜に印加される電流により発生する分離膜磁界を
    打消す磁界を発生する磁界消去手段を設けたことを特徴
    とする磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 磁気抵抗効果膜に高抵抗金属材料から成
    る分離膜を介して軟磁性膜からのバイアス磁界を与えた
    状態で前記磁気抵抗効果膜に電流を印加し、磁気記録媒
    体からの磁界変化に応じた該磁気抵抗効果膜の抵抗値の
    変化を検出する磁気抵抗効果型磁気ヘッドにおいて、前
    記磁気抵抗効果膜に前記分離膜に印加される電流により
    発生する分離膜磁界を打消す磁界を発生する補助膜を配
    置したことを特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記補助膜が分離膜と同材質及び同厚さ
    の高抵抗金属材料であることを特徴とする請求項2項記
    載の磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記補助膜が分離膜と同抵抗の高抵抗金
    属材料であることを特徴とする請求項2項記載の磁気抵
    抗効果型磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 磁気抵抗効果膜に高抵抗金属材料から成
    る分離膜を介して軟磁性膜からのバイアス磁界を与えた
    状態で前記磁気抵抗効果膜に電流を印加し、磁気記録媒
    体からの磁界変化に応じた該磁気抵抗効果膜の抵抗値の
    変化を検出する磁気抵抗効果型磁気ヘッドにおいて、前
    記磁気抵抗効果膜に前記分離膜に印加される電流により
    発生する分離膜磁界を打消す磁界を発生する補助膜を配
    置すると共に、前記分離膜と補助膜との抵抗比を選択す
    ることによって磁気抵抗効果膜に与えるバイアス磁界を
    調整することを特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】 磁気抵抗効果膜に高抵抗金属材料から成
    る分離膜を介して軟磁性膜からのバイアス磁界を与えた
    状態で前記磁気抵抗効果膜に電流を印加し、磁気記録媒
    体からの磁界変化に応じた該磁気抵抗効果膜の抵抗値の
    変化を検出する磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造方法で
    あって、絶縁性の基板上に磁気シールド膜及び絶縁材を
    形成する第1ステップと、該絶縁材上に軟磁性材料の軟
    磁性膜を形成する第2ステップと、該軟磁性膜上に高抵
    抗金属材料の分離膜を形成する第3ステップと、該分離
    膜上に磁気抵抗効果素子材料の磁気抵抗効果膜を形成す
    る第4ステップと、該磁気抵抗効果膜上に第3ステップ
    で形成した分離膜から磁気抵抗効果膜に与えられるバイ
    アス磁界を打消す補助膜を形成する第5ステップを含む
    ことを特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 磁気抵抗効果膜に高抵抗金属材料から成
    る分離膜を介して軟磁性膜からのバイアス磁界を与えた
    状態で前記磁気抵抗効果膜に電流を印加し、磁気記録媒
    体からの磁界変化に応じた該磁気抵抗効果膜の抵抗値の
    変化を検出する磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造方法で
    あって、絶縁性の基板上に磁気シールド膜及び絶縁材を
    形成する第1ステップと、該絶縁材上に軟磁性材料の軟
    磁性膜を形成する第2ステップと、該軟磁性膜上に高抵
    抗金属材料の分離膜を形成する第3ステップと、該分離
    膜上に磁気抵抗効果素子材料の磁気抵抗効果膜を形成す
    る第4ステップと、該磁気抵抗効果膜上に第3ステップ
    で形成した分離膜と同一材質及び厚さの補助膜を形成す
    る第5ステップを含むことを特徴とする磁気抵抗効果型
    磁気ヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 磁気抵抗効果膜に高抵抗金属材料から
    成る分離膜を介して軟磁性膜からのバイアス磁界を与え
    た状態で前記磁気抵抗効果膜に電流を印加し、磁気記録
    媒体からの磁界変化に応じた該磁気抵抗効果膜の抵抗値
    の変化を検出する磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造方法
    であって、絶縁性の基板上に磁気シールド膜及び絶縁材
    を形成する第1ステップと、該絶縁材上に軟磁性材料の
    軟磁性膜を形成する第2ステップと、該軟磁性膜上に高
    抵抗金属材料の分離膜を形成する第3ステップと、該分
    離膜上に磁気抵抗効果素子材料の磁気抵抗効果膜を形成
    する第4ステップと、該磁気抵抗効果膜上に第3ステッ
    プで形成した分離膜と同一抵抗値の高抵抗金属材料から
    成る補助膜を形成する第5ステップを含むことを特徴と
    する磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ステップ3において軟磁性膜上にT
    i、Nb、Ta、Crいずれかの高抵抗金属材料をスパ
    ッタリングして分離膜を形成することを特徴とする請求
    項5乃至8記載の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記ステップ1おいて磁気シールド上
    にAL23又はSiO2を塗布して絶縁材を形成し、前
    記ステップ2において軟磁性膜をNiFe合金、NiF
    e合金にRuやRh元素を添加した金属及びNiCr合
    金又はNiCo合金をスパッタリングして形成し、前記
    ステップ3において軟磁性膜上にTi、Nb、Ta、C
    rいずれかの高抵抗金属材料をスパッタリングして分離
    膜を形成し、前記ステップ4においてNiFe合金をス
    パッタリングして磁気抵抗効果膜を形成することを特徴
    とする請求項6及び7記載の磁気抵抗効果型磁気ヘッド
    の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998006093A1 (fr) * 1996-05-20 1998-02-12 Hitachi, Ltd. Support d'enregistrement magnetique et dispositif de memoire magnetique utilisant un tel support

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