JPH0610183B2 - 新規なドーパ誘導体 - Google Patents

新規なドーパ誘導体

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JPH0610183B2
JPH0610183B2 JP21704889A JP21704889A JPH0610183B2 JP H0610183 B2 JPH0610183 B2 JP H0610183B2 JP 21704889 A JP21704889 A JP 21704889A JP 21704889 A JP21704889 A JP 21704889A JP H0610183 B2 JPH0610183 B2 JP H0610183B2
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JP
Japan
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dopa
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JP21704889A
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保雄 山本
康夫 宮寺
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Showa Denko Materials Co Ltd
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Hitachi Chemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(ド
ーパともいう)含有ペプチドの化学的合成を可能とする
新規なドーパ誘導体に関する。
〔従来の技術〕
イ貝、フジツボ等の貝類の分泌する接着性タンパク質は
ポリテトラフルオロエチレン等の低エネルギー表面に対
して強い接着力をもっている。この接着性タンパク質に
豊富に含まれている構成アミノ酸の一つはドーパで、ド
ーパが接着機構に深く関与していると言われている。
また、ドーパは高等動物ではアドレナリンやノルアドレ
ナリンの前駆体で、すでに単量体としてパーキンソン氏
病の有効な治療薬であることはよく知られている。その
ため、ドーパを含有するペプチドは医薬品への応用も期
待されるところである。
このように、ドーパを含むペプチドを通常のアミノ酸を
含むペプチドと同様に化学的に合成する技術は新しい接
着剤や医薬品を開発する上で強く望まれていた。
アミノ酸を原料として化学合成法でペプチドを合成する
場合、脱水縮合反応に関与するアミノ酸の主鎖のアミノ
基及びカルボキシル基以外の側鎖アミノ基、カルボキシ
ル基、ヒドロキシ基等の官能基を種々の保護基を用いて
保護し、必要に応じて中間生成物から保護基を外して
(脱保護)、その後の反応に関与させるようにすること
が必要である。
主鎖のアミノ基を保護する方法としてはベンジルオキシ
カルボニル基による方法、t−ブチルオキシカルボニル
基による方法、9−フルオレニルメトキシカルボニル基
(Fmoc基)による方法等があるが、温和な塩基性条件で
脱保護でき、固相法によるペプチドの化学的合成が可能
なFmoc基による方法が最近では注目されている。
通常のアミノ酸のFmoc基によるアミノ基の保護はカルピ
ノ(L.A.Carpino)らによって開発され(J.Org.Chem.,1
972,37,3404-3409)、マイエンホーファー(J.Meienhof
er)らにより固相に適用された(Int.J.Protein Res.,1
979,13,35-42)。その後、チャン(C.Chang)ら(Int.
J.Protein Res.,1980,15,59-66)、シェーン(I.Sch
n)ら(Synthesis,1986,4,303-305)、ミルトン(R.C.
Milton)ら(Int.J.ProteinRes.,1987,30,431-432)に
より、種々の改良がなされている。これらによれば、ア
ミノ酸のアミノ基にFmoc基を導入する場合、アミノ酸を
炭酸ナトリウムの存在下で9−フルオレニルメトキシカ
ルボニルクロライドと反応させ、あるいはアミノ酸を炭
酸水素ナトリウム存在下で9−フルオレニルペンタフル
オロフェニルカーボネートと反応させ、あるいはアミノ
酸をトリエチルアミン存在下で9−フルオレニルメチル
−N−スクシンイミディルカーボネートと反応させてい
る。
側鎖にヒドロキシル基,アミノ基,カルボニル基などの
官能基をもつアミノ酸のアミノ基をFmoc基で保護する場
合は、あらかじめ側鎖の官能基をt−ブチル基,t−ブ
チルオキシカルボニル基,ベンジル基又はp−トルエン
スルホニル基等で保護しておくほうがよい。例えばチロ
シンはジクロロベンジル基で側鎖のヒドロキシ基を保護
しておくと、Fmoc基で保護されたアミノ酸の収率は85
%で、保護していない場合の収率70%より優れている
ことが、上記のミルトン(R.C.Milton)らの文献に記載
されている。
一方、ドーパは水性溶液中、ホウ酸又はホウ酸塩と反応
させホウ酸コンプレックスを生成せしめると中性ないし
アルカリ性でも安定性が極めて高くなることは知られて
いる(特開昭48-26745号公報)。
〔発明が解決しようとする課題〕
アミノ酸がドーパである場合は、炭酸ナトリウムや炭酸
水素ナトリウムなどによる塩基性条件の影響のため、従
来のいずれの方法によってもアミノ基をFmoc基で保護し
たドーパを製造することができなかった。したがって、
分子内にドーパを含有するペプチドもまた製造すること
ができなかった。
本発明はドーパ含有ペプチドの化学的合成を可能とす
る、アミノ基をFmoc基で保護したドーパ誘導体を提供す
るものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、式〔I〕 で表されるN−(9−フルオレニルメトキシカルボニ
ル)−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニンである。
本発明の式〔I〕で表される化合物は式〔II〕 で表される化合物に、ホウ酸塩又はリン酸塩を反応させ
たのち、一般式〔III〕 (式中、Rは 又はハロゲン原子を表す。) で表される化合物を反応させることによって製造するこ
とができる。
式〔II〕で表される化合物はL体、D体及びDL体のい
ずれを用いてもよく、試薬グレードの市販品を容易に入
手することができる。
また一般式〔III〕で表される化合物も、試薬グレード
の市販品が容易に入手できる。
上記の反応は溶媒中で行われ、その溶媒としては、例え
ば水とアセトニトリル、ジエチルエーテル、ジオキサ
ン、アセトン等から選ばれる1種類以上の有機溶媒の混
合溶媒を用いることができる。
本発明で用いるホウ酸塩としては四ホウ酸塩、メタホウ
酸塩等があり、特にナトリウム塩、カリウム塩が用いや
すい。また、リン酸塩としてはリン酸三ナトリウム、リ
ン酸二ナトリウム、リン酸一ナトリウム及びこれらのナ
トリウム塩をカリウム塩に置き換えたもの等が挙げられ
る。本発明においてはこれらの化合物の少なくとも一種
が使用される。ホウ酸塩又はリン酸塩の量は、式〔II〕
で表される化合物とホウ素又はリンがキレート化合物を
生成するのに十分な量とする。
式〔II〕で表される化合物とホウ酸塩又はリン酸塩の反
応温度及び反応時間は、上記のキレート化合物が生成す
る条件を選ぶように設定すればよく、例えば0〜100
℃で3分〜24時間攪拌して行う。
式〔II〕で表される化合物にホウ酸塩又はリン酸塩を反
応させたのち、一般式〔III〕で表される化合物を反応
させるときの反応温度及び反応時間は、Fmoc化反応が起
こるように条件を適宜選べばよく、例えば0〜100℃
で1〜6時間攪拌して行う。この際、反応液のpHを8〜
12に調整して更に1〜10分間攪拌すればFmoc化反応
を十分に行わせることができる。pH調整剤としてはpHが
急激に変化しない炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウム
が好ましい。
上記反応の雰囲気は大気中であっても構わないが、副反
応をできる限り抑えるためには、窒素やアルゴン等の不
活性ガス雰囲気下で行う方が好ましい。
このようにして得られた式〔I〕で表される化合物は、
反応液を塩酸や硫酸等の酸で酸性(例えばpH1〜6)に
したのち、エーテル、酢酸エチル、テトラヒドロフラ
ン、ジクロルメタン、クロロホルム等の有機溶媒で抽出
し、減圧濃縮等の適当な方法で有機溶媒を除去し、ジク
ロルメタン/ヘキサン、メタノール/エーテル等の混合
溶媒から再結晶するか、必要ならばカラムクロマトグラ
フィーなどの精製操作を行って精製品とする。
本発明で得られた式〔I〕で表される化合物は、カルボ
キシル基及び/又は側鎖の水酸基を適当な保護基で保護
したのち、これとアミノ基及び/又はカルボキシル基及
び/又は側鎖の官能基を適当な保護基で保護した通常の
アミノ酸とを原料として、配列中にドーパを含有するペ
プチドを化学的に合成する。
〔実施例〕
3,4−ジヒドロキシフェニル−L−アラニン(シグマ
社製)593mg(3ミリモル)にアセトニトリル20m
とアセトン10mの混合溶液を加え、さらに0.0
1M四ホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.18)30m
を加え、室温で15分間攪拌したのち、9−フルオレニ
ルメチルN−スクシンイミディルカーボネート(ケンブ
リッジ・リサーチ・バイオケミカルズ社製)1015mg
(3ミリモル)を加えて室温で12時間攪拌した。反応
混合溶液に炭酸ナトリウム788mg(7.4ミリモル)
を少量ずつ加え、5分間さらに攪拌し、未反応の原料を
エーテル15mで3回抽出し、水層に濃塩酸を加え、
pH2とした。この水層から反応生成物を酢酸エチル20
mで3回抽出し、酢酸エチル層を0.1規定塩酸水溶
液20mで1回洗浄した。無水硫酸マグネシウムで酢
酸エチル溶液を乾燥後、酢酸エチルを留去し、残留物を
ジクロロメタン/ヘキサンから再結晶し、反応生成物2
71mg(収率67%)を得た。
この反応生成物の分析結果は次のとおり。
融点:159℃ H核磁気共鳴スペクトル:第1表13 C核磁気共鳴スペクトル:第2表 高速液体クロマトグラフム:第1図 赤外線吸収スペクトル:第2図 第1図において反応生成物は保持時間3.4分に表れて
いる。同じ分析条件では原料の3,4−ジヒドロキンフ
ェニル−L−アラニンは保持時間1.2分に、また他の
原料の9−フルオレニルメチルN−スクシンイミディル
カーボネートは保持時間8.9分に表れることを別に確
かめている。
以上の結果から、反応生成物は式〔I〕で表される化合
物であることが確認された。
なお、融点は示差走査熱量計(パーキンエルマ社製,D
SC−7型)を用い、昇温速度10℃/min,試料量
1.8mgで測定し、H及び13C核磁気共鳴スペクト
ルは核磁気共鳴装置(ブルカー社製,AC−250型)
により測定し、高速液体クロマトグラフィー(本体:ウ
ォーターズ社製、600シリーズ)はカラムにマイクロ
ボンダスフェア(μBondasphere)5μC18−100
Å(3.9mm×15cm,ウォーターズ社製)を用い、展
開溶媒は0.1%トリフルオロ酢酸−水と0.1%トリ
フルオロ酢酸−アセトニトリルの50:50混液,流量
1.0m/min,検出波長220nmで行い、赤外吸
収スペクトルは赤外分析装置(日立製270−50型)
を用いKBr錠剤法で測定した。
〔発明の効果〕 本発明は、アミノ基がFmoc基で保護された新規なドーパ
誘導体を提供するもので、これまでできなかったドーパ
含有ペプチドの化学的合成を可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の化合物の高速液体クロマトグラム、第
2図は本発明の化合物の赤外線吸収スペクトルである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式〔I〕 で表されるN−(9−フルオレニルメトキシカルボニ
    ル)−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン。
JP21704889A 1989-08-23 1989-08-23 新規なドーパ誘導体 Expired - Lifetime JPH0610183B2 (ja)

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US07/569,018 US5098999A (en) 1989-08-23 1990-08-17 Amino-protected dopa derivative and production thereof

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JPH0381258A JPH0381258A (ja) 1991-04-05
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