JPH059917Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、座席シートのシートパツドに覆い被
せたシートカバーの端部を車体フレームに固定す
るためのシートカバー固定用トリム（以下、単に
トリムという）に関するものである。

〔従来の技術〕

従来のトリムT′は、第７図に示されるように、
帯板状の本体１の幅方向の一端部に車体フレーム
１２（第５図参照）に引掛けられるフツク部２が
長さ方向に沿つて形成されていると共に、該本体
１の幅方向の中央部に折曲げ溝３が長さ方向に沿
つて形成された構成である。このトリムT′は、
第８図に示されるように、シートカバー４の一端
を本体１の折曲げ溝３の近傍に仮縫い（Sa）し
た後に、この本体１を二つ折りにして、その間に
シートカバー４を挟み込んで本縫い（Sb）を施
すことによつて、シートカバー４の端部に縫着さ
れる。

第８図に示されるようにして、二つ折りにした
本体１の間にシートカバー４を挟み込んで、両者
１，４を本縫い（Sb）する場合には、同図で二
点鎖線で示されるように、二つ折りにした本体１
の上方の部分が反発して持ち上げられないよう
に、作業者の手によつてこれを押え付けて本縫い
（Sb）を行つている。

しかし、従来のトリムT′は、折曲げ溝３によ
つて折曲げ部が構成されていたので、本縫い時に
おける本体１の反発力が大きい。作業者は、この
大きな反発力に抗して本体を押え付けて本縫い作
業を行わねばならず、大きな負担を強いられてい
たと同時に、このために作業能率も悪かつた。

〔考案が解決しようとする課題〕

本考案は、トリムの本体に設けられる折曲げ部
の構造の工夫によつて、二つ折りにした本体の間
にシートカバーを挟み込んで本縫いを行う場合に
生ずる反発力を小さくし、これによつて作業者の
負担と軽減と、作業能率の向上を図ることを課題
としてなされたものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記課題を解決するためには本考案の採用した
第１の手段は、トリムの本体の折曲げ部の内側に
長さ方向に沿つた凸部を設けることにより、二つ
折りにされた本体の間に所定の隙間が形成される
ようにしたことである。また、第２の手段は、ト
リムの押出成形直後に折曲げ部において本体を折
曲げることにより、該折曲げ部に曲げ癖を付ける
ようにしたことである。

〔実施例〕

以下、実施例を挙げて、本考案を更に詳細に説
明する。なお、上記「従来の技術」の項目で説明
した部分と同一部分には、同一符号を付して説明
する。

本考案に係わるトリムＴの本体１の幅方向の中
央部の折曲げ部Ｂには、折曲げた場合に内側とな
る部分に凸部５が長さ方向に沿つて設けられてい
ると共に、折曲げた場合に外側となる部分に深い
折曲げ溝６が設けられている。上記凸部５にも、
折曲げを容易にするための浅い折曲げ溝７が設け
られている。

このトリムＴは、樹脂の連続押出成形法によつ
て成形され、その成形直後において、第２図で二
点鎖線で示されるように、折曲げ部Ｂにおいて本
体１を数回折曲げて曲げ癖を付けておくと、本縫
い作業時において、本体１の折曲げが容易になる
と同時に、二つ折りにした場合における反発力を
小さくすることができる。また、本体１のフツク
部２と反対の端部には、丸み部８が設けられてお
り、このようにして本体１の端部に丸み部８を設
けることにより、押出成形時における樹脂の流れ
が良好となつて、本体１の薄肉の部分においても
樹脂が均一に流れるようになつて、製品品質の向
上が図られる。なお、第１図及び第２図におい
て、９は、本縫い時における縫い溝を示す。

そして、第３図に示されるように、本体１の内
側の部分にシートカバー４の端部を重ねて、本体
１に設けられた凸部５に近い部分において、両者
１，４を仮縫い（Sa）する。次に、第４図に示
されるように、本体１を二つ折りにして重ね合わ
せると、二つ折りにされた本体１の間にシートカ
バー４が挟み込まれる。ここで、本体１の折曲げ
部Ｂの内側の部分には、凸部５が長さ方向に沿つ
て設けられているので、本体１を二つ折りにする
と、この凸部５も折曲げ溝７の部分で二つ折りに
なつて折曲げられ、この結果、第４図及び第６図
に示されるように、二つ折りにされた本体１の間
に所定の隙間１１が形成され、この隙間１１にシ
ートカバー４の端部が挿入された状態となる。

従つて、第４図に示されるようにして、本縫い
（Sb）を行う場合においても、原形状に復元しよ
うとする本体１の反発力が小さくなつて、作業者
の手によつて本体１を押え付ける力は、従来のト
リムT′に比較して著しく小さくなる。また、ト
リムＴの押出成形直後において、本体１の折曲げ
部Ｂに曲げ癖を設けてあることも、二つ折りにし
た場合における本体１の反発力が小さくなる原因
となつている。更に、従来品に比較して、硬度の
低い樹脂を使用することも、トリムの本体を二つ
折りにした場合に生ずる反発力が小さくなること
につながる。なお、第３図及び第４図において、
１４は、ミシン針を示す。

測定結果によると、従来のトリムT′の反発力
が0.5Kg重であつたのに対し、本考案に係わるト
リムＴのそれは、0.1〜0.2Kg重であつて、著しく
減少していた。

このトリムＴは、第５図及び第６図に示される
ように、そのフツク部２を車体フレーム１２に引
掛けることにより、座席シートのシートパツド１
３に覆い被せられているシートカバー４の下端部
を車体フレーム１２に固定している。

〔考案の効果〕

本考案に係わるトリムは、トリムの本体の折曲
げ部の内側に長さ方向に沿つた凸部を設けること
により、二つ折りにされた本体の間に形成される
隙間にシートカバーの端部が挿入されて、挟み込
まれる構造となるので、二つ折りにした本体の間
にシートカバーを挟み込んで本縫いを行う場合に
生ずる反発力が小さくなる。これにより、作業者
の負担の軽減と、作業能率の向上を図ることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第６図は、本考案を説明するため
の図であつて、第１図は、本考案に係わるトリム
Ｔの斜視図、第２図は、同じく側面図、第３図及
び第４図は、それぞれ仮縫い時、及び本縫い時に
おけるトリムＴの部分の斜視図、第５図は、トリ
ムＴの使用状態における断面図、第６図は、第５
図におけるトリムＴの部分の拡大断面図である。
第７図及び第８図は、従来のトリムT′を説明す
るための図であつて、第７図は、その正面図、第
８図は、本縫い時における断面図である。 本考案を構成している主要部分の符号の説明は
以下の通りである。Ｂ……折曲げ部、Ｔ……トリ
ム、１……本体、２……フツク部、４……シート
カバー、５……本体の折曲げ部に設けられた凸
部、１１……二つ折りにした本体の間に形成され
る隙間、１２……車体フレーム。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 帯板状の本体の幅方向の一端部に車体フレー
   ムに引掛けられるフツク部が長さ方向に沿つて
   形成されていると共に、該本体の幅方向の中央
   部に折曲げ部が長さ方向に沿つて形成されてお
   り、二つ折りにした本体の間にシートカバーの
   端部が挟み込まれて縫着され、座席シートのシ
   ートパツドに覆い被せたシートカバーの端部を
   車体フレームに固定するためのシートカバー固
   定用トリムであつて、 前記本体の折曲げ部の内側に長さ方向に沿つ
   た凸部を設けることにより、二つ折りにされた
   本体の間に所定の隙間が形成されるようにした
   ことを特徴とするシートカバー固定用トリム。 (2) 押出成形直後に折曲げ部において本体を折曲
   げることにより、該折曲げ部に曲げ癖が付けら
   れていることを特徴とする請求項１に記載のシ
   ートカバー固定用トリム。