JPH0598536A - 高密度織物の製法 - Google Patents

高密度織物の製法

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JPH0598536A
JPH0598536A JP4078242A JP7824292A JPH0598536A JP H0598536 A JPH0598536 A JP H0598536A JP 4078242 A JP4078242 A JP 4078242A JP 7824292 A JP7824292 A JP 7824292A JP H0598536 A JPH0598536 A JP H0598536A
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weft
warp
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yarn
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JP4078242A
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English (en)
Inventor
Masaharu Yoshida
正治 吉田
Hiromi Tanaka
広美 田中
Kiyoshi Takase
清 高瀬
Shozo Makino
正三 牧野
Masahide Kaneko
正秀 金子
Setsuo Kihara
節雄 木原
Keiji Umezawa
慶司 梅沢
Masao Matsumoto
雅夫 松本
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Kanebo Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 天然繊維のような毛羽立ち感があつて織られ
た糸同士に動きにくく、しかも適度の通気性,耐水性を
備えた高密度織物の製法を提供する。 〔構成〕 緯糸1としてフイブリル化型複合フイラメン
トを用い、経糸2として短繊維紡績糸を用い、上記経糸
2に糊剤を付与することなく製織したのち、得られた生
機をそのまま割繊・収縮工程にかけて緯糸をフイブリル
化し、ついで精練工程にかけるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、天然繊維の風合いを
備え、適度の通気度,吸湿性を有しながら高耐水性を有
する優れた高密度織物の製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】羽毛(ダウン)を充填した衣料,寝具等
の表材や、防風,防寒衣料用の生地としては、従来か
ら、綿の細番手糸を経,緯に高密度に打ち込んで製織し
たのち、樹脂加工,表面押圧等の処理を施した高密度織
物が用いられている。このような高密度織物は、それ自
体ある程度の防水性を有し、しかも樹脂加工等によつて
簡単に防水性を高めることができるという利点を有す
る。しかし、上記高密度織物は、細い糸を経,緯に高密
度に打ち込んで織成しなければならないため製織効率が
悪く、また得られた織物が厚地となつて風合いがよくな
いという問題がある。さらに、樹脂加工等によつて防水
性を高めたものは、経時的にその効果が薄れてしまうと
いう難点も有する。
【0003】これに対し、本出願人は、特殊なフイブリ
ル化型複合フイラメントを用い、製織後に上記フイブリ
ル化型複合フイラメントを割繊し熱収縮を与えることに
よつて、織物を高密度化する方法を開発し、すでに権利
化している(特公昭62−8535号公報)。この方法
によれば、製織時は通常の織物と同様の打ち込みで足り
るため製織効率がよく、しかも得られる織物が超高密度
であるため、その織り組織の構造自体によつて適度の通
気性と防水性が得られ、特殊な樹脂加工を必要としな
い。そして、その表面は非常に平滑性に優れているとい
う利点を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記高密度
織物は、経,緯の糸同士が平滑であるがゆえに、生地に
荷重がかかつた場合に糸と糸とがスリツプして隙間があ
きやすく、高密度とはいえ、その間からダウンの屑や微
小な埃等が飛散して喘息等の原因となつたり、寝具の場
合には、室内で繁殖したダニが上記糸と糸の隙間から侵
入して寝具内部で繁殖して、やはり喘息等を誘発する原
因となる等の問題があることがわかつた。さらに、最近
の自然回帰志向を反映して、衣料等にしても天然繊維調
の毛羽立ち感が好まれるため、従来歓迎されていた平滑
性がかえつて敬遠されるという傾向がみられる。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、このような
事情に鑑みなされたもので、天然繊維のような毛羽立ち
感があつて織られた糸同士が動きにくく、しかも撥水加
工を施せば適度の通気性,高耐水性を備えた高密度織物
の製法の提供をその目的とする。
【0006】上記の目的を達成するため、この発明の高
密度織物の製法は、緯糸としてフイブリル化型複合フイ
ラメントを準備するとともに経糸として短繊維紡績糸を
準備し、上記経糸に糊剤を付与することなく製織したの
ち、得られた生機をそのまま割繊・収縮工程にかけて緯
糸をフイブリル化し、ついで精練工程にかけるようにし
たという構成をとる。
【0007】
【作用】すなわち、本発明者らは、より天然繊維に近い
毛羽立つた風合いで、しかも適度の通気性と防水性を備
えた高密度織物を得るために一連の研究を重ねた。その
結果、先の出願にかかる発明で用いたものと同様のフイ
ブリル化型複合フイラメントを緯糸として用い、経糸と
して短繊維紡績糸を用い、これらの緯糸,経糸を糊剤を
用いることなく製織してそのまま割繊・収縮させ、さら
に精練すると、上記短繊維紡績糸の有する毛羽がそのま
ま残つて落ちにくく、しかも精練前の割繊・収縮による
緯糸の高密度化によつて全体として非常に高密度で経,
緯の糸が動きにくい、優れた高密度織物が得られること
を見いだし、この発明に到達した。
【0008】つぎに、この発明を詳細に説明する。
【0009】この発明で緯糸として用いるフイブリル化
型複合フイラメントとは、ポリアミドと、上記ポリアミ
ドと親和性のない重合体(例えばポリエステル等)と
が、複合紡糸によつて長手方向に沿つて接合されている
ものであり、具体的には、その横断面において、両成分
A,B(いずれがポリアミド成分であつても可)が、図
1に示すようにサイドバイサイド型になつたもの、図
2,図3に示すようにサイドバイサイド繰り返し型にな
つたもの、図4〜図8に示すように放射状の形状を有す
る成分Aとこの放射部を補完する形状を有する他の成分
Bからなるもの、図9,図10に示すように放射型の形
状を有する成分Aとこの放射部を補完する他の成分Bか
らなり一方の放射形状が中心側において途切れているも
の、図11に示すようにサイドバイサイド繰り返し型で
あつて中空部があるもの等があげられる。
【0010】上記複合フイラメントの一成分であるポリ
アミドとしては、例えばナイロン4,ナイロン6,ナイ
ロン7,ナイロン11,ナイロン12,ナイロン66,
ナイロン6・10,ポリメタキシレンアジパミド,ポリ
パラキシリレンデカンアミド,ポリビスシクロヘキシル
メタンデカンアミドおよびこれらを成分とするコポリア
ミド等があげられる。
【0011】また、上記ポリアミドとともに複合フイラ
メントを形成する、ポリアミドと親和性のない重合体と
しては、ポリエステル,ポリオレフイン,ポリアクリロ
ニトリル等があげられるが、上記ポリアミドとの溶融複
合紡糸を容易に行うという観点からポリエステルおよび
ポリオレフインが好ましく、なかでもポリエステルが最
適である。すなわち、ポリアミドとポリエステルの組み
合わせを用いると、得られる織物の色調,光沢,風合い
等が最も好ましいものとなる。上記ポリエステルとして
は、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメ
チレンテレフタレート、ポリエチレンオキシベンゾエー
ト、ポリ1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレー
ト、ポリピバロラクトンおよびこれらを成分とするコポ
リエステル等があげられ、上記ポリオレフインとして
は、ポリエチレン,ポリプロピレンおよびこれらを成分
とするコポリオレフイン等があげられる。
【0012】上記二成分を組み合わせた複合フイラメン
トは、互いの重合体が相互に親和性を有しないため、通
常、機械的屈曲や摩擦等の物理的な衝撃によつて、ある
いは上記ポリアミドを薬液によつて膨潤させる化学的方
法によつて、細いフイブリルの束に割繊することができ
る。このような薬液(以下「フイブリル化剤」という)
としては、例えばベンジルアルコール,β−フエニルエ
チルアルコール,フエノール,m−クレゾール,ギ酸,
酢酸等があげられる。これらは、単品を直接用いるより
も、その水溶液もしくはその水性エマルジヨンとして用
いるのが適している。特に、ベンジルアルコールの水性
エマルジヨンを用いると、織物の収縮性やフイブリル化
効果の点で、また取り扱いが比較的容易な点で好適であ
る。そして、その濃度は、1〜50重量%、なかでも3
〜30重量%に設定することが好適である。1重量%未
満ではフイブリル化の効果が弱く、逆に50重量%を超
えると水性エマルジヨンの場合には不安定となり、のち
のフイブリル化剤の除去が非常に困難となるだけでな
く、ポリアミド成分以外の繊維成分に悪影響を及ぼす傾
向がみられるからである。
【0013】なお、上記複合フイラメントを割繊するこ
とによつて得られるフイブリル束の平均単糸繊度は0.
5デニール以下でなければならない。すなわち、平均単
糸繊度が0.5デニールを超えると、緯糸の収縮率が低
下し、また得られる織物の風合いも悪くなるからであ
る。なお、上記「平均単糸繊度」とは、(フイブリル化
前の単糸繊度)/(フイブリル化後の単糸繊維本数)に
よつて規定されるもので、例えば図8に示す形状の複合
フイラメントの単糸繊度が2デニールであり、割繊によ
つて、この複合フイラメントが、図12に示すように1
3本の単糸繊維(フイブリル)となる場合に、その平均
単糸繊度は0.2デニールとなる。この条件を満足させ
るためには、ポリアミドと、ポリアミドと親和性のない
重合体との重量比を、1:4〜4:1に設定することが
好適である。この範囲を外れると、フイブリル化後に繊
度の太い単糸繊維が残りやすい。
【0014】一方、この発明において経糸に用いる短繊
維紡績糸としては、綿糸,絹糸,羊毛等の天然繊維や、
ビスコースレーヨン,ベンベルグ,アセテート等の再生
繊維,ポリエステル等の合成繊維等、各種の繊維から紡
績したものを用いることができる。また、フイラメント
からなる芯糸を短繊維で包みながら紡糸したコアヤーン
を用いることもできる。したがつて、この発明において
「短繊維紡績糸」とは、100%短繊維のものだけでな
く、上記コアヤーンのように部分的に短繊維を用いるも
のも含む趣旨である。そして、上記短繊維紡績糸のなか
でも、風合いおよび吸湿性の観点から、綿糸等の天然繊
維を用いることが好適である。なお、紡績する繊維の平
均長さは、30〜40mmの短繊維であることが毛羽立
ちの点で好適である。
【0015】また、上記紡績糸の糸の太さは、糸の種類
にもよるが、0.9〜1.1デニールのものを用いるこ
とが好適で、その撚り方向は、S方向であつてもZ方向
であつてもよい。さらに、この紡績糸は、単糸で用いて
も双糸を用いても差し支えないが、製織性および毛羽の
脱落防止を考慮すれば双糸の方が好ましい。
【0016】この発明では、前記特殊なフイブリル化型
複合フイラメントを緯糸とし、上記短繊維紡績糸を経糸
として例えばつぎのようにして高密度織物を製造する。
すなわち、まず上記短繊維紡績糸を紙管に巻き取りチー
ズ(もしくはコーン)化してクリールに掛けたのち、経
糸の糸本数の数だけ各チーズから糸を引き出して整経ビ
ームに巻き取る。このとき、従来の紡績糸では、サイジ
ング工程を経由させて、経糸に、糊剤としてデンプン,
ポリビニルアルコール(PVA)等を供給することが行
われるが、この発明では、このようなサイジング工程を
経由せず、すなわち経糸に糊剤付与を行わずに、そのま
まの状態で製織工程にかけるようにする。これが、この
発明の大きな特徴である。
【0017】製織工程では、上記整経ビームを織機に掛
け、緯糸として前記フイブリル化型複合フイラメントを
打ち込んで製織する。このようにして得られた生機を、
前記フイブリル化剤に浸すか、あるいはパツデイングし
て長手方向に沿つて割繊して細いフイブリル束にした上
で、70℃以上、好ましくは90〜120℃、より好ま
しくは90〜100℃の湯または水蒸気で加熱処理する
ことにより、緯糸を構成する上記フイブリル束を10〜
40%収縮させる(最終的な製品の収縮率は0〜15%
である)。
【0018】そして、緯糸が割繊され高密度化された生
機を通常の精練工程にかけて不純物を除去し、染色工
程,仕上げ工程を経て製品とすることができる。
【0019】このようにして得られた織物は、経糸に糊
剤が与えられていず、精練工程をとばしてそのままの状
態で割繊・収縮されるため、従来のように精練工程時の
熱によつて経方向にある程度収縮固定されたのちに割繊
・収縮を行う場合にくらべ、緯糸の割繊が充分に行われ
ている。したがつて、経,緯の糸が、前記特公昭62−
8535号公報にかかる発明の高密度織物よりも、互い
の交差点が塞がつた状態で交差しており、また経糸を形
成する短繊維紡績糸の糸表面からランダムに突出する毛
羽が残留しているため、糸同士が容易にスリツプしない
ようになつている。このため、この高密度織物をダウン
充填衣料等の表材として用いると、極めて優れたダウン
プルーフ性を示す。また、布団やクツシヨン等の表材と
して用いた場合には、室内から中綿へのダニの侵入を防
止することができ、もともと中綿内でダニが繁殖してダ
ニの糞や死骸等が中綿内に散乱していてもこれが表に出
るようなことがない。したがつて、小児喘息等の防止に
優れた効果を発揮する。もちろん、撥水加工を与えるこ
とにより、適度の通気性と高耐水圧を与えることができ
る。また、織物表面が経糸の毛羽によつて毛羽立つてい
るため、紡績糸の織物らしい素朴な感触となる。
【0020】なお、上記製法において、フイブリル化剤
を用いる場合、その処理液温度は、80〜90℃に設定
することが好適である。また、浸漬処理においては、生
機の繊維重量に対し、上記フイブリル化剤が1〜30重
量%含有されるように設定することが好適である。
【0021】また、上記製法では、通常の織物仕上げで
行われるつや出し加工を行わないが、これは、この発明
が、織物表面の毛羽立ちを積極的に残して摩擦係数を大
きくすることを目的としているためである。さらに、同
様の目的で、加工工程において通常行われる毛焼き処理
も行わないことが好ましい。
【0022】さらに、上記製法において、割繊・収縮後
に行う精練工程では、高圧精練法によることが好まし
い。上記高圧精練法は、通常の精練よりも処理温度を高
くし(150〜160℃)、処理時の圧力を約3気圧に
上げて行うもので、処理時間を従来より大幅に短縮する
ことができるため(従来は30分程度、高圧精練法によ
れば1分程度)、綿繊維のやせを抑制することができ
る。
【0023】また、上記製法において、割繊・収縮工程
を、経糸方向にフリーテンシヨンで行うようにすると、
より一層緯糸のフイブリル化がきめ細かく行われるよう
になり好適である。
【0024】なお、上記製法において、緯糸に用いる特
殊なフイブリル化型複合フイラメントとして、抗菌性粒
子を含有するものを用いると、防ダニ性のみならず抗菌
性をも付与することができ、非常に衛生的な高密度織物
を得ることができる。
【0025】上記抗菌性粒子とは、充分な抗菌性能を有
すれば無機系,有機系のいずれであつてもよいが、一般
に無機系のものが安定で、繊維製造時の変質が少ないた
め好適である。このような無機系抗菌性粒子としては、
銀,銅,亜鉛等の金属またはそれらの化合物、セラミツ
ク系化合物、ゼオライト系化合物等があげられ、なかで
もゼオライトに抗菌性金属を担持させたものが、安定で
抗菌効果が持続するので好適である。
【0026】上記抗菌性ゼオライトは、特開昭59−1
33235号公報に開示されているようなもので、アル
ミノシリケートからなる天然ゼオライトまたは合成ゼオ
ライトのイオン交換可能な部分に抗菌性の金属イオンが
1種または2種以上担持されているものである。上記天
然ゼオライトとしては、アナルシン,チヤパサイト,ク
リノブチロライト,エリオナイト,フオジヤサイト,モ
ルデナイト,フイリツプサイト等があげられ、上記合成
ゼオライトとしては、A−型ゼオライト,X−型ゼオラ
イト,Y−型ゼオライト,モルデナイト等の合成ゼオラ
イト等があげられる。また、上記抗菌性金属イオンとし
ては、銀(Ag)イオン,銅(Cu)イオン,亜鉛(Z
n)イオン,ビスマス(Bi)イオン,カドミウム(C
d)イオン,クロム(Cr)イオン,水銀(Hg)イオ
ン等があげられ、なかでも銀イオン,銅イオン,亜鉛イ
オンが好適である。
【0027】また、上記抗菌性ゼオライトとして、特開
昭62−70220号公報に開示されているような、抗
菌性無定形アルミノシリケートのイオン交換可能な部分
に抗菌性の金属イオンが1種または2種以上担持された
抗菌性無定形アルミノ珪酸塩を用いることもできる。
【0028】このような抗菌性粒子は、フイブリル化型
複合フイラメントの成分材料であるポリアミド成分もし
くはポリアミドと親和性のない重合体成分、あるいはこ
れらの双方に含有される。その含有方法としては、例え
ば、フイブリル化型複合フイラメントの紡出工程におい
て、ポリアミドチツプ(または上記他の成分材料チツ
プ)と上記抗菌性粒子とを混合し、両者を相溶状態で紡
出する方法があげられる。また、金属イオンを担持して
いないゼオライト系固体粒子とポリアミドチツプとを相
溶状態で紡出したのち、抗菌性金属の水溶性塩類の溶液
で処理して上記ゼオライト系固体粒子中に金属イオンを
担持させる方法を用いてもよい。これらの方法によれ
ば、単に繊維表面に抗菌性粒子を付着させるのではな
く、繊維内部に抗菌性粒子が含有されるため、水洗等に
よつて上記抗菌性粒子が脱落することがなく、長期にわ
たつて抗菌性が持続する。
【0029】なお、上記抗菌性粒子の大きさは、0.0
5〜2ミクロン程度に設定することが、抗菌性能,紡糸
性の点で好適である。そして、上記抗菌性粒子の含有量
は、含有させる繊維成分材料に対し1〜5重量%程度に
設定することが好適である。この範囲内で、最も効果的
に抗菌性を発現させることができ、しかも繊維強度が低
下しない。
【0030】このように、抗菌性粒子を含有するフイブ
リル化型複合フイラメントを緯糸として用いて得られる
高密度織物は、従来にない風合いと耐水性を有するとと
もに防ダニ効果を有し、しかも緯糸に含有される抗菌性
粒子によつて抗菌効果を有する。したがつて、ダニの
糞,死骸,人間の汗,フケ等で不潔になりやすい用途に
用いても、生地に雑菌が繁殖することがなく、生地を衛
生的に保つことができる。
【0031】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0032】
【実施例1】下記の緯糸,経糸を準備し、下記の製織条
件で生機をつくつた。 緯糸:前記フイブリル化型複合フイラメント ポリアミド/ポリエステル 50d/25f 割繊後の平均単糸繊度 0.2デニール 2成分の重量比 1 : 2 分割態様 図8のもの 経糸:綿の紡績糸 80/2番手,1本 1インチ当たりの経糸密度: 織上時… 81本 仕上時…115本 1インチ当たりの緯糸密度: 織上時… 86本 仕上時… 92本 糊剤:付与せず
【0033】つぎに、上記生機を、割繊・収縮→ヒート
セツト→精練→晒→染色→仕上という手順に従つて処理
することにより、目的とする高密度織物を得た。なお、
各処理条件は下記の通りである。 割繊・収縮: 処理液 …25%ベンジルアルコール水性エマルジヨン 処理条件…95℃×1分 ヒートセツト: 処理条件…185℃×1分 精練,晒,染色,仕上:常法に従う。
【0034】このようにして得られた高密度織物は、図
13に模式的に示すように、緯糸1であるフイブリル束
と経糸2である短繊維紡績糸との隙間が殆どなく、緯糸
のフイブリル化が充分に行われているものであつた。
【0035】
【比較例1】実施例1と同様の糸を経,緯に用い、実施
例1と同様にして製織した。ただし、経糸に付与する糊
剤としてPVAを用いた。そして、得られた生機を、毛
焼→精練→晒→割繊・収縮→ヒートセツト→シルケツト
→染色→仕上の手順に従つて、通常の条件で処理し、目
的とする高密度織物を得た。このものは、図14に模式
的に示すように、緯糸のフイブリル化が不充分で、経,
緯の糸1,2の隙間が多少開いたものであつた。
【0036】
【比較例2】経,緯に60/2番手の綿紡績糸を用い、
1インチ当たり経糸密度が120本,1インチ当たり緯
糸密度が74本の織物を準備した。
【0037】上記実施例1品および比較例1品につい
て、その風合いを評価するとともに、フツ素系樹脂によ
る撥水加工後の耐水圧(JIS L−1092に準ず
る)と、表面の摩擦係数(傾斜法による)を測定した。
これらの結果を下記の表1に示す。また、上記実施例品
および比較例1,2品を用いて開口なしの袋を作製して
新鮮な餌を入れ、ダニを繁殖させた容器内に入れてダニ
が新鮮な餌を求めてこの袋内にどの程度侵入するかによ
つて、その防ダニ効果の指標とした。この結果を下記の
表2に示す。なお、この試験は、ヤケヒヨウヒダニとコ
ナダニの2種類について行つた。
【0038】
【表1】 *1:JIS L−1092Aに従う。 *2:JIS L−1096Aに従う。 *3:JIS L−1079Cに従う。
【0039】
【表2】
【0040】上記の結果から、実施例1品は、従来にな
い風合いと耐水性を有しており、高密度で、しかも経,
緯の糸がスリツプしにくいことから、ダニを通しにくい
という優れた効果を有することがわかる。
【0041】
【実施例2】下記の緯糸,経糸を準備し、下記の製織条
件で生機をつくつた。 緯糸:前記フイブリル化型複合フイラメント ポリアミド(紡出時に抗菌性粒子であるZeoAgZn
を3重量%練り込んだもの)/ポリエステル 100d
/50f 割繊後の平均単糸繊度 0.2デニール 2成分の重量比 3 : 7 分割態様 図8のもの 経糸:コアヤーン32/1番手 芯−ポリエステルフイラメント 鞘−綿 2成分の重量比 3 : 7 組織:平織 1インチ当たりの緯糸密度: 織上時… 86本 仕上時… 90本 1インチ当たりの経糸密度: 織上時… 87本 仕上時…114本 糊剤:使用せず
【0042】つぎに、上記生機を、前記実施例1と同様
にして処理することにより、目的とする高密度織物を得
た。
【0043】このようにして得られた高密度織物は、実
施例1と同様、図13に模式的に示すように、緯糸1で
あるフイブリル束と経糸2であるコアヤーンとの隙間が
殆どなく、緯糸1のフイブリル化が充分に行われている
ものであつた。そして、この高密度織物は、上記実施例
1品と同様、従来にない風合いと耐水性を有するととも
に防ダニ効果を有し、しかも、緯糸1に含有される抗菌
性粒子によつて抗菌効果を有する。したがつて、ダニの
糞,死骸,人間の汗,フケ等で不潔になりやすい用途に
用いても、生地に雑菌が繁殖することがなく、生地を衛
生的に保つことができる。
【0044】
【発明の効果】以上のように、この発明は、緯糸として
特殊なフイブリル化型複合フイラメントを用い、経糸と
して短繊維紡績糸を用いるとともに、経糸に糊剤を付与
することなく製織し、割繊・収縮を、精練工程よりも前
に行うようにしたものである。したがつて、従来のよう
に精練工程時の加熱によつて経方向にある程度収縮した
状態でセツトしたのち割繊・収縮を行うのではなく、緯
糸の自由度の高い状態で緯糸の割繊を行うことができ、
従来の高密度織物よりもさらに高密度の織物を得ること
ができる。しかも経糸を形成する短繊維紡績糸の糸表面
からランダムに突出する毛羽によつて、糸同士が滑ら
ず、容易には動かないようになつている。このため、こ
の高密度織物をダウン充填衣料等の表材として用いる
と、極めて優れたダウンプルーフ性を示すのみならず、
布団やクツシヨン等の表材として用いた場合には、ダニ
侵入防止効果が高く、またもともと中綿内でダニが繁殖
したものであつても、ダニの糞や死骸が表に出ることが
なく、小児喘息等の防止に優れた効果を発揮する。もち
ろん、適度の通気性と高耐水圧も備えている。また、織
物表面が経糸の毛羽によつて摩擦係数が高く、滑りにく
いので使い勝手がよい。さらに、全体が、紡績糸の織物
らしい素朴な感触となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に用いられるフイブリル化型複合フイ
ラメントの一例を示す横断面図である。
【図2】この発明に用いられるフイブリル化型複合フイ
ラメントの一例を示す横断面図である。
【図3】この発明に用いられるフイブリル化型複合フイ
ラメントの一例を示す横断面図である。
【図4】この発明に用いられるフイブリル化型複合フイ
ラメントの一例を示す横断面図である。
【図5】この発明に用いられるフイブリル化型複合フイ
ラメントの一例を示す横断面図である。
【図6】この発明に用いられるフイブリル化型複合フイ
ラメントの一例を示す横断面図である。
【図7】この発明に用いられるフイブリル化型複合フイ
ラメントの一例を示す横断面図である。
【図8】この発明に用いられるフイブリル化型複合フイ
ラメントの一例を示す横断面図である。
【図9】この発明に用いられるフイブリル化型複合フイ
ラメントの一例を示す横断面図である。
【図10】この発明に用いられるフイブリル化型複合フ
イラメントの一例を示す横断面図である。
【図11】この発明に用いられるフイブリル化型複合フ
イラメントの一例を示す横断面図である。
【図12】上記フイブリル化型複合フイラメントの一例
のものが割繊された状態の説明図である。
【図13】この発明の一実施例の織物表面の状態を示す
模式的な平面図である。
【図14】公知品の織物表面の状態を示す模式的な平面
図である。
【符号の説明】
1 緯糸 2 経糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // D06M 13/144 (72)発明者 金子 正秀 滋賀県長浜市鐘紡町1−39 (72)発明者 木原 節雄 滋賀県長浜市祇園町380番地 (72)発明者 梅沢 慶司 大阪府大阪狭山市大野台7丁目5−1 (72)発明者 松本 雅夫 大阪府大阪市都島区友淵町1丁目6番8− 303号

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 緯糸としてフイブリル化型複合フイラメ
    ントを準備するとともに経糸として短繊維紡績糸を準備
    し、上記経糸に糊剤を付与することなく製織したのち、
    得られた生機をそのまま割繊・収縮工程にかけて緯糸を
    フイブリル化し、ついで精練工程にかけるようにしたこ
    とを特徴とする高密度織物の製法。
  2. 【請求項2】 上記フイブリル化型複合フイラメント
    が、抗菌性粒子を含有するものである請求項1記載の高
    密度織物の製法。
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