JPH059260A - 硬化性樹脂およびそれを含有する組成物 - Google Patents

硬化性樹脂およびそれを含有する組成物

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JPH059260A
JPH059260A JP3259516A JP25951691A JPH059260A JP H059260 A JPH059260 A JP H059260A JP 3259516 A JP3259516 A JP 3259516A JP 25951691 A JP25951691 A JP 25951691A JP H059260 A JPH059260 A JP H059260A
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英之 大成
Toshiro Nanbu
俊郎 南部
Hirotoshi Kawaguchi
広利 川口
Nagahiko Okimura
祥彦 沖村
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久夫 古川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 可とう性、耐溶剤性、耐酸性雨性、耐スリキ
ズ性の良好な低粘度の硬化性樹脂およびそれを含有する
組成物を提供する。 【構成】 数平均分子量が600 〜6000で、加水分解性シ
リル基を1分子中に少なくとも2個有する硬化性樹脂な
らびにそれを含有する組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は主鎖が実質的に脂肪族ポ
リエステル鎖からなり、末端に加水分解性シリル基を有
する硬化性樹脂およびそれを含有する組成物に関する。
【0002】とくに、可とう性、耐溶剤性、耐酸性雨
性、耐スリキズ性の良好な低粘度の硬化性樹脂およびそ
れを含有する組成物を提供するものであり、塗料、接着
剤、シーリング剤、ポッティング剤などのベース樹脂と
して、あるいはニトロセルロースやセルロースアセテー
トブチレートなどの繊維素、エポキシ樹脂、ポリエステ
ル、アルキッド、アクリルポリオールとのブレンド、ま
た加水分解性シリル基含有ビニル樹脂(たとえば特開昭
54-36395号公報参照)とのブレンド用樹脂として有用で
ある。
【0003】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】硬化性樹
脂が溶液状態で用いられる分野、とくに塗料の分野で
は、米国のVOC規制にみられるような溶剤の排出規制に
適合できるハイソリッドコーティング材料の出現が望ま
れている。
【0004】また一方で上塗り塗料に対する市場の要求
品質も、とくに自動車用塗料ではユーザーの高級化志向
に由来する高外観性、洗車機でキズの付かない耐スリキ
ズ性の向上、また環境問題に由来する耐酸性雨性の向上
が望まれている。
【0005】しかるに現在一般に主として用いられてい
るメラミン系塗料は、ハイソリッド化の努力はなされて
いるものの、たとえばハイソリッド化するために低粘度
のメラミン樹脂成分の配合比を増量すると耐酸性、耐ス
リキズ性がさらに低下すること、またレギュラーソリッ
ドタイプでも耐酸性、耐スリキズ性は必ずしも満足する
レベルに至っていないという問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の課題
を解消すべく、鋭意研究を行なった結果、主鎖が脂肪族
ポリエステル鎖からなり末端に加水分解性シリル基を有
する硬化性樹脂が、低粘度で、その硬化物が優れた耐ス
リキズ性、可とう性、耐溶剤性、耐酸性雨性を有するこ
とを見出し本発明に至った。
【0007】すなわち本発明は、(i) 1分子中にアクリ
ロイル基とアルコール性水酸基とを分子末端にあわせも
つ脂肪族ポリエステル樹脂(A) と (ii)一般式(I):
【0008】
【化9】
【0009】(式中、R1 は炭素数1〜10のアルキレン
基、アリーレン基およびアラルキレン基より選ばれる2
価の炭化水素基、R2は炭素数1〜10のアルキル基、X
1 は加水分解性基、mは1〜3の整数を示す)で表わさ
れるイソシアナートシラン化合物(B) とを反応させたの
ちに、 (iii) 一般式(II):
【0010】
【化10】
【0011】(式中、R3 は炭素数1〜10のアルキレン
基、アリーレン基およびアラルキレン基より選ばれる2
価の炭化水素基、R4は炭素数1〜10のアルキル基、X
2 は加水分解性基、nは1〜3の整数を示す)で表わさ
れるアミノシラン化合物(C) を反応させ、さらに (iv)一般式(III) :
【0012】
【化11】
【0013】(式中、R5 は炭素数1〜25のアルキル
基、アリール基およびアラルキル基より選ばれる1価の
炭化水素基、(CH3 O)3 Si−(CH2 3 −また
は(C2 5 O)3 Si−(CH2 3 −を示す)で表
わされる単官能有機イソシアナート化合物(D-1) および
(または)多官能有機イソシアナート化合物(D−2)
を実質的に無水の条件で反応させてえられ、数平均分子
量600 〜6000で、加水分解性シリル基を1分子中に
少なくとも2個有する硬化性樹脂ならびに 一般式(IV):
【0014】
【化12】
【0015】(式中、R6 、R7 は水素原子または炭素
数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基
より選ばれる1価の炭化水素基、Yはハロゲン原子、ア
ルコキシ基、アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ
基、チオアルコキシ基およびアミノ基より選ばれる基
で、少なくとも1個はアルコキシ基またはフェノキシ基
であり、aは1〜3の整数を示す)で表わされるシリル
基を1分子中に少なくとも1個有するシリル基含有ビニ
ル系共重合体と前記硬化性樹脂とからなることを特徴と
する組成物に関する。
【0016】
【実施例】本発明では1分子中にアクリロイル基とアル
コール性水酸基とをあわせもつ脂肪族ポリエステル樹脂
(A) とイソシアナートシラン化合物(B) とが反応せしめ
られる。
【0017】前記脂肪族ポリエステル樹脂(A) は、1分
子中にアクリロイル基とアルコール性水酸基とを分子末
端にあわせもち、数平均分子量が200 〜5000、さらには
300〜3000の脂肪族ポリエステル樹脂が好ましく、この
ようなものであればとくに限定はない。
【0018】前記脂肪族ポリエステル樹脂(A) のポリエ
ステル鎖の具体例としては、ポリエチレンアジペート、
ポリジエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペー
ト、ポリテトラメチレンアジペート、ポリネオペンチレ
ンアジペート、ポリメチルペンタンジオールアジペー
ト、ポリ- ε- カプロラクトン、ポリメチルバレロラク
トンなどのポリエステルまたはコポリエステル、ポリヘ
キサメチレンカーボネートなどがあげられる。
【0019】これらのなかではポリ- ε- カプロラクト
ンやポリメチルバレロラクトンが耐候性の点で好まし
く、また、ポリメチルバレロラクトンは耐酸性雨性が良
好であるという点から好ましい。
【0020】前記脂肪酸ポリエステル樹脂(A) の具体例
としては、たとえばポリ- ε- カプロラクトンアクリレ
ートとしてプラクセルFA-1、プラクセルFA-2、プラクセ
ルFA-3、プラクセルFA-4、プラクセルFA-8(以上、ダイ
セル化学工業(株)製)、ポリメチルバレロラクトンア
クリレート((株)クラレ製)などがあげられる。
【0021】前記イソシアナートシラン化合物(B) は一
般式(I):
【0022】
【化13】
【0023】で表わされる化合物である。
【0024】式中、R1 は炭素数1〜10の2価の炭化水
素基で、具体的には、直鎖あるいは分枝したアルキレン
基のほかにシクロヘキシレン基などの炭素数6〜10のシ
クロアルキレン基を含む、トリメチレン基、ヘキサメチ
レン基などの炭素数1〜10のアルキレン基、フェニレン
基などの炭素数6〜10のアリーレン基、あるいはキシリ
レン基などの炭素数7〜10のアラルキレン基であり、R
2 はメチル基、エチル基などの炭素数1〜10のアルキル
基である。
【0025】X1 は加水分解性基であり、加水分解性基
の具体例としては、たとえばハロゲン原子、メトキシ
基、エトキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、アセ
トキシ基などのアシロキシ基、アミノキシ基、フェノキ
シ基、チオアルコキシ基、アミノ基より選ばれる基など
があげられる。このなかでは、アルコキシ基およびアシ
ロキシ基が安定性、臭気の点で好ましい。mは1〜3の
整数である。
【0026】イソシアナートシラン化合物(B) の具体例
としては、たとえば3-イソシアナートプロピルトリメト
キシシラン、3-イソシアナートプロピルトリエトキシシ
ラン、3-イソシアナートプロピルメチルジメトキシシラ
ンなどがあげられる。
【0027】脂肪族ポリエステル樹脂(A) とイソシアナ
ートシラン化合物(B) の反応は、脂肪族ポリエステル樹
脂(A) 中に含まれるアルコール性水酸基1モルに対しイ
ソシアナートシラン化合物(B) 0.3 〜1.0 モル、さらに
は 0.6〜1.0 モルの割合で行なわれるのが好ましい。イ
ソシアナートシラン化合物(B) の割合が0.3 モル未満で
は未反応のアルコール性水酸基が多くなって、保存安定
性が低下する傾向があり、1.0 モルをこえると未反応の
イソシアナートシラン化合物(B) が残存する傾向があ
り、好ましくない。
【0028】前記反応はたとえば実質的に無水の条件下
で常温〜200 ℃の温度で0.5 から5時間で行なうことが
でき、この条件で行なえば容易に反応が進行する。
【0029】前記反応では触媒としてジブチル錫ラウレ
ート、オクチル酸スズなどの有機スズ触媒などを用いる
ことができる。
【0030】また、反応中における脂肪族ポリエステル
樹脂(A) のアクリロイル基のラジカル重合を抑制するた
めには、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエ
ーテル、BHT などの重合禁止剤を反応前に添加しておく
ことが好ましい。
【0031】このようにして前記(A) 成分の水酸基と
(B) 成分のイソシアナート基がウレタン結合を形成した
生成物がえられる(ウレタン化)。
【0032】ついで一般式(II):
【0033】
【化14】
【0034】で表わされるアミノシラン化合物(C) のア
ミノ基が、前記反応によりえられた反応物のアクリロイ
ル基と反応せしめられる。
【0035】一般式(II)中、R3 は炭素数1〜10の2価
の炭化水素基で、具体的には、直鎖あるいは分枝したア
ルキレン基のほかにシクロヘキシレン基などの炭素数6
〜10のシクロアルキレン基を含む、トリメチレン基、ヘ
キサメチレン基などの炭素数1〜10のアルキレン基、フ
ェニレン基などの炭素数6〜10のアリーレン基、あるい
はキシリレン基などの炭素数7〜10のアラルキレン基で
あり、R4 はメチル基、エチル基などの炭素数1〜10の
アルキル基である。
【0036】X2 は一般式(I)中のX1 と同様の加水
分解性基、nは1〜3の整数である。
【0037】前記アミノシラン化合物(C) の具体例とし
ては、たとえば3-アミノプロピルトリメトキシシラン、
3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピ
ルメチルジメトキシシランなどのアミノシラン化合物が
あげられる。
【0038】前記反応は前記反応生成物中に含まれるア
クリロイル基1モルに対しアミノシラン化合物(C)0.7〜
1.0 モル、より好ましくは0.8 〜1.0 モルの割合で行な
われるのが好ましい。
【0039】アミノシラン化合物(C) の割合が0.7 モル
未満では未反応のアクリロイル基が残存し、硬化性樹脂
の硬化性が低下する傾向があり、1.0 モルをこえると未
反応のアミノシランが残存する傾向があり、好ましくな
い。
【0040】前記反応は、たとえば10〜100 ℃の温度で
0.5 〜2時間行なわれる。
【0041】なお、前記反応においてはアミノシラン化
合物(C) 5〜90モル%を、たとえばγ- メルカプトプロ
ピルトリメトキシシランなどのメルカプトシラン化合物
に置き換えることもできる。
【0042】このようにして(A) 成分のアクリロイル基
に(C) 成分のアミノ基が付加したアミノシラン変性樹脂
がえられる。
【0043】ついで、前記のようにしてえられた反応生
成物であるアミノシラン変性樹脂のアミノ基と単官能有
機イソシアナート化合物(D-1) および(または)多官能
有機イソシアナート化合物(D-2) とが反応せしめられ
る。
【0044】前記単官能有機イソシアナート化合物(D-
1) は、一般式(III) :
【0045】
【化15】
【0046】で表わされる化合物である。
【0047】一般式(III) 中、R5 は直鎖あるいは分枝
したアルキル基のほかにシクロヘキシル基などの炭素数
6〜25のシクロアルキル基を含む、ヘキシル基、オクチ
ル基、ドデシル基、ステアリル基などの炭素数1〜25の
アルキル基、フェニル基などの炭素数6〜25のアリール
基、ベンジル基などの炭素数6〜25のアラルキル基、 (CH3 O)3 Si−(CH2 3 −または (C2 5 O)3 Si−(CH2 3 −である。
【0048】前記単官能有機イソシアナート化合物(D-
1) の具体例としては、たとえばn-ブチルイソシアナー
ト、n-ドデシルイソシアナート、ステアリルイソシアナ
ート、シクロヘキシルイソシアナート、フェニルイソシ
アナート、ベンジルイソシアナート、3-イソシアナート
プロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナートプロピ
ルトリエトキシシラン、3-イソシアナートプロピルメチ
ルジメトキシシランなどがあげられる。
【0049】前記多官能有機イソシアナート化合物(D-
2) としてはイソシアナート基を一分子中に2個以上有
するものであればとくに限定はないが、好ましくはイソ
シアナート基を一分子中に2〜3個有するものがよい。
その具体例としては、たとえばヘキサメチレンジイソシ
アナート、イソホロンジイソシアナート、2,4-トルイレ
ンジイソシアナート、ジフェニルメタン-4,4´- ジイソ
シアナート、ジシクロヘキシルメタン-4,4´-ジイソシ
アナート、キシリレンジイソシアナート、リジンメチル
エステルジイソシアナート、
【0050】
【化16】
【0051】イソホロンジイソシアナートの3量体(イ
ソシアヌレート)などがあげられる。
【0052】前記イソシアナート化合物のうち、えられ
る硬化性樹脂を外装用として用いるばあいには、脂肪族
イソシアナートや脂環式イソシアナートが芳香族イソシ
アナートに比べ、耐候黄変性の点で好ましい。
【0053】また、たとえば3-イソシアナートプロピル
トリメトキシシランなどの加水分解性シリル基含有単官
能イソシアナート化合物を(D-1) 成分として用いると加
水分解性シリル基をさらに1つ導入することになり、た
とえば2官能イソシアナートなどの多官能有機イソシア
ナート化合物を(D-2) 成分として用いることによりアミ
ノシラン変性樹脂を2分子結合させることができる。し
たがって、前記単官能有機イソシアナート化合物(D-1)
および多官能有機イソシアナート化合物(D-2)はその目
的に応じて、単独で用いることもでき、あるいは複数の
ものを併用することもできる。
【0054】前記反応は、アミノシラン変性樹脂に含ま
れるアミノ基の活性水素に対し、前記イソシアナート化
合物が好ましくは0.7 〜1.0 g当量、より好ましくは0.
8 〜1g当量の割合で行なわれる。前記イソシアナート
化合物の割合が0.7 g当量未満では保存安定性(水分に
よる増粘)、耐黄変性が低下する傾向があり、また1.0
g当量をこえるとフリーイソシアナートが残存する傾向
があり、好ましくない。
【0055】前記反応は実質的に無水の条件で行なわ
れ、たとえばアミノシラン変性樹脂またはその溶液に前
記イソシアナート化合物(D-1) および(または)(D-2)
を常温〜60℃の温度で添加するだけで、発熱を伴なって
容易に進行する。
【0056】前記のように、本発明の硬化性樹脂は一連
の付加反応(ウレタン化→マイケル付加→ウレア化)に
よって製造され、脱離生成物の除去の必要もなく、反応
剤の量と反応温度をコントロールすることにより容易に
目的とする硬化性樹脂をうることができる。
【0057】前記反応においては、溶剤は使用しなくて
もよいが、反応の温度や粘度を制御するために溶剤を用
いてもよい。
【0058】前記溶剤としては活性水素を有しない溶
剤、たとえばヘプタン、トルエン、キシレン、酢酸ブチ
ル、メチルエチルケトンなどがあげられる。とくに原料
中に水分が含まれるばあいは、ヘプタンやトルエンを用
い、あらかじめ水分を共沸脱水により除くこともでき
る。
【0059】このようにしてえられた硬化性樹脂は脂肪
族ポリエステル鎖と少なくとも1個、好ましくは1〜3
個のウレタン結合、少なくとも1個、好ましくは1〜3
個の3置換ウレア結合を骨格に有し、末端に加水分解性
シリル基を有している。
【0060】また、硬化性樹脂の数平均分子量は、600
〜6000、好ましくは 700〜4000である。数平均分子量が
600 未満では可とう性が低下し、6000をこえると耐酸
性、耐スリキズ性が低下する。
【0061】また、硬化性樹脂1分子中には少なくとも
2個、好ましくは2〜6個、より好ましくは2〜4個の
加水分解性シリル基が含まれる。
【0062】本発明の硬化性樹脂は、脂肪族ポリエステ
ル鎖により可とう性に優れること、ウレタン結合と N,
N,N´-3置換ウレア結合により耐溶剤性に優れること、
凝集力の高い結合をもっているにもかかわらず樹脂粘度
が低く、他の樹脂との相溶性も良好であるという基本的
特徴を有する。したがって本発明の硬化性樹脂は、自動
車用のハイソリッドトップコートとして最も有用であ
る。
【0063】また、近年この用途での品質改良が望まれ
ている耐酸性雨性、耐スリキズ性は現在一般に主に用い
られているアクリルメラミン塗料に比べて著しく優れて
いる。
【0064】本発明の硬化性樹脂の硬化物が耐酸性雨性
に優れるのは、アクリルメラミン塗料のようなエーテル
架橋ではなく、耐薬品性の強いシロキサン架橋であるこ
とが原因と考えられる。また耐スリキズ性の発現の原因
はよくわからないが本発明の硬化性樹脂の骨格が弾性回
復が良好であるためと考えられる。
【0065】本発明の組成物は、一般式(IV):
【0066】
【化17】
【0067】で表わされるシリル基を1分子中に少なく
とも1個、好ましくは2〜10個有するシリル基含有ビニ
ル系共重合体と、前記硬化性樹脂とからなる。
【0068】前記一般式(IV)において、R6 、R7は同
じでも違っていてもよく、それぞれ水素原子または、メ
チル基、エチル基などの炭素数1〜10のアルキル基、フ
ェニル基などのアリール基およびベンジル基などのアラ
ルキル基より選ばれる1価の炭化水素基である。
【0069】Yは、ハロゲン原子、メトキシ基、エトキ
シ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、アセトキシ基な
どのアシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基などの
チオアルコキシ基およびアミノ基より選ばれる基であ
り、Yの少なくとも1個はアルコキシ基またはフェノキ
シ基である。
【0070】aは1〜3の整数を示す。
【0071】ビニルモノマーとしてはとくに限定はな
く、たとえば、メチルメタクリレート、n-ブチルメタク
リレート、イソブチルメタクリレートなどのメタクリル
系モノマー、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシル
アクリレートなどのアクリル系モノマー、γ−トリメト
キシシリルプロピルメタクリレートなどの加水分解性シ
リル基含有ビニルモノマー、スチレン、アクリルアミド
などが使用される。
【0072】前記ビニル重合体の合成法としては、たと
えば特開昭54-36395号公報に示されている方法を用いれ
ばよい。
【0073】また、前記組成物中には前記ビニル系共重
合体5〜95部(重量部、以下同様)、好ましくは10〜70
部と前記硬化性樹脂95〜5部、好ましくは90〜30部が合
計100 部になるように含まれている。
【0074】ビニル系共重合体の割合が5部未満では耐
酸性の改良効果が小さくなる傾向があり、95部をこえる
と耐スリキズ性の改良効果が小さくなる傾向がある。
【0075】シリル基含有ビニル系樹脂とブレンドする
ことにより、耐酸性雨性、硬度を上げることができる。
さらに、その他の樹脂や塗料とのブレンドも可能であ
り、たとえばエポキシ樹脂、ポリエステルアルキッド、
アクリルポリオールなどの樹脂とのブレンドによって、
可とう性、耐溶剤性を改良することができ、メラミンア
ルキッド塗料、メラミンアクリル塗料とのブレンドによ
って耐酸性雨性、耐スリキズ性の改良も可能である。
【0076】前記組成物に配合しうるその他の成分の配
合量は、本発明の特徴となる物性の点から組成物中の樹
脂固形分100 部に対し50部以下であるのが好ましい。
【0077】本発明の組成物にはさらに、公知の溶剤、
脱水剤、老化防止剤、レベリング剤、顔料を配合するこ
とができる。
【0078】本発明の硬化性樹脂またはそれを含有する
組成物の硬化は、公知の硬化触媒を用いて行なうことが
できる。硬化触媒の具体例としては、たとえばジブチル
錫ラウレート、オクチル酸錫などの有機錫化合物;パラ
トルエンスルホン酸、酸性リン酸エステルなどの酸性化
合物;エチレンジアミン、イソホロンジアミン、N,N-ジ
メチルドデシルアミンなどのアミン化合物などがあげら
れる。
【0079】これらの硬化触媒の使用量は硬化性の点か
ら硬化性樹脂100 部に対して0.005〜10部、さらには0.1
〜8部であるのが好ましい。本発明の硬化性樹脂の硬
化は常温で速かに進行するが、80〜160 ℃に加熱するこ
とによりさらに短時間で硬化させることもできる。
【0080】このような本発明の組成物は、耐酸性、耐
スリキズ性、可とう性、耐候性に優れており、とくに外
装用被覆剤として好適に用いることができる。
【0081】以下、本発明を実施例により具体的に説明
する。
【0082】製造例1(加水分解性シリル基含有アクリ
ル共重合体の合成) 撹拌装置、温度計、チッ素導入管および冷却管を備えた
反応器にソルベッソ100 を200 g仕込み、110 ℃に昇温
した。ついで撹拌しながらチッ素雰囲気下、n-ブチルメ
タクリレート177 g、メチルメタクリレート177 g、ト
リメトキシシリルプロピルメタクリレート240 g、アク
リルアミド6g、アゾビスイソブチロニトリル32gおよ
びキシレン64gからなる混合液を5時間かけて連続添加
した。そののち、アゾビスイソブチロニトリル4gとキ
シレン40gの溶液を2時間かけて連続添加し、さらに1
時間後重合を行なった。
【0083】ついで、キシレンで固形分濃度が60%にな
るように希釈し、加水分解性シリル基含有アクリル共重
合体(1) の溶液をえた。えられた加水分解性シリル基含
有アクリル共重合体(1) は数平均分子量3000、溶液粘度
200cps(23℃)であった。
【0084】実施例1 撹拌装置、温度計、チッ素導入管および冷却管を備えた
反応器にプラクセルFA-3(ダイセル化学工業(株)製ポ
リカプロラクトンアクリレート、数平均分子量:458 )
284 g、3-イソシアナートプロピルトリメトキシシラン
127 g、キシレン200 gを仕込んで撹拌し、チッ素雰囲
気下100 ℃で2時間反応させた。反応終了後、生成物
(i) の赤外吸収スペクトル分析を行なったところ、2270
cm-1のNCOの吸収の完全な消失と、1540cm-1のウレタン
結合の生成が認められた。また1630〜1640cm-1のアクリ
ロイル基の吸収は残存していた。生成物(i) の赤外線吸
収スペクトルのチャートを図1に示す。
【0085】ついで反応温度を30℃に下げたのち、3-ア
ミノプロピルトリメトキシシラン116 gを加え、1時間
反応させたのち、さらに60℃で30分間反応を続けた。反
応液の赤外吸収スペクトル分析を行なったところ、1630
〜1640cm-1のアクリロイル基の吸収が消失していた。該
生成物(ii)の赤外線吸収スペクトルのチャートを図2に
示す。
【0086】ついで反応温度を30℃に下げたのち、滴下
ロートでシクロヘキシルイソシアナート73gを徐々に加
え、滴下終了後60℃で30分間反応させた。反応終了後、
キシレンで固形分濃度が60%になるように希釈し、硬化
性樹脂(1) 溶液をえた。えられた硬化性樹脂(1) の赤外
吸収スペクトル分析を行なったところ、尿素結合に由来
する赤外吸収1640cm-1が生成しており、またGPC 法によ
る数平均分子量は1000であった。えられた硬化性樹脂の
赤外線吸収スペクトルのチャートを図3に示す。
【0087】ついで、えられた硬化性樹脂溶液100 部
(固形分濃度60%)に対し、ジブチル錫ジラウレートを
0.5 部加え、塗装粘度までソルベッソ100 で希釈し、ク
リアー塗料をえた。
【0088】30cm×10cm×0.08mmの電着中塗り板上にメ
ラミンアクリル黒エナメルを乾燥膜厚10〜15μになるよ
うにスプレー塗装したのちに、セッティングを1分置
き、前記のクリアー塗料を乾燥膜厚40〜50μになるよう
スプレー塗装した。ついでセッティングを5分置いたの
ちに140 ℃で30分焼付けを行ない、さらに室温で1日放
置後、下記に示すようにして塗膜物性を評価した。結果
を第1表に示す。
【0089】(溶液粘度)固形分濃度60%の硬化性樹脂
溶液の粘度を23℃でB型粘度計を用いて測定。
【0090】(鉛筆硬度)JIS K-5400に準拠して評価。
【0091】(耐酸性)試験片を1%硫酸中に24時間浸
漬した後の、浸漬前に対する20°光沢の保持率(%)を
求める。保持率が高いほうが耐酸性が良好であることを
示す。
【0092】(耐スリキズ性)試験片を水平に固定し、
試験板上に研摩材(JIS 8種ローム±1.2 %、JIS 11種
ローム±1.2 %、カオリン0.6 %、中性洗剤1.0 %、水
96.0%混合物)を塗布したのちに、クラフト紙で覆った
重り(接触面直径5cm、荷重22g/cm2 )を塗膜面上で
ストロークさせる。0回、12回、100 回ストローク後の
明度を色差計で測定しその明度の差(△L)で耐スリキ
ズ性を評価する。△Lの小さい方が耐スリキズ性が良好
であることを示している。
【0093】(マンドレル折り曲げ)30cm×10cm×0.08
mmの塗装試験片(軟綱板の上に硬化性樹脂または組成物
を乾燥膜厚が50μとなるように塗装したもの)をエリク
セン社マンドレルテスターで折り曲げたあとのクラック
の長さをcmで評価。
【0094】実施例2 シクロヘキシルイソシアナート73gの代わりにヘキサメ
チレンジイソシアナート49gを用いた以外は実施例1と
同様に反応を行ない固形分濃度60%の硬化性樹脂(2) 溶
液をえた。えられた硬化性樹脂(2) の赤外吸収スペクト
ル分析を行なったところ、尿素結合に由来する赤外吸収
1640cm-1が生成しており、またGPC 法による数平均分子
量は1500であった。
【0095】ついで実施例1と同様にして塗膜を形成
し、塗膜物性を評価した。結果を第1表に示す。
【0096】実施例3 シクロヘキシルイソシアナート73gの代わりにトリ(6-
イソシアネートヘキシル)イソシアヌレート98gを用い
た以外は実施例1と同様に反応を行ない固形分濃度60%
の硬化性樹脂(3) をえた。えられた硬化性樹脂(3) の赤
外吸収スペクトル分析を行なったところ、尿素結合に由
来する赤外吸収スペクトル1640cm-1が生成しており、ま
たGPC 法による数平均分子量は3000であった。
【0097】ついで実施例1と同様にして塗膜を形成
し、塗膜物性を評価した。結果を第1表に示す。
【0098】実施例4 撹拌装置、温度計、チッ素導入管および冷却管を備えた
反応器にポリメチルバレロラクトンアクリレート
((株)クラレ製、数平均分子量:1080)407.2 g、3-
イソシアナートプロピルトリメトキシシラン77.3g、キ
シレン200 gを仕込み、撹拌、チッ素雰囲気下、100 ℃
で2時間反応させた。反応液の赤外吸収スペクトル分析
を行なったところ、2270cm-1のNCO の吸収の完全な消失
と、1540cm-1のウレタン結合の生成が認められた。また
1630〜1640cm-1のアクリロイル基の吸収は残存してい
た。
【0099】ついで反応温度を30℃に下げたのち、3-ア
ミノプロピルトリメトキシシラン70.9gを加え、1時間
反応させたのち、さらに60℃で30分間反応を続けた。反
応液の赤外吸収スペクトル分析を行なったところ1630〜
1640cm-1のアクリロイル基の吸収が消失していた。
【0100】ついで反応温度を30℃に下げたのち、滴下
ロートでシクロヘキシルイソシアネート44.6gを徐々に
加え、滴下終了後、60℃で30分間反応させた。反応終了
後、キシレンで固形分濃度が60%になるように希釈し、
硬化性樹脂4をえた。
【0101】えられた硬化性樹脂(4) の赤外吸収スペク
トル分析を行なったところ、尿素結合に由来する赤外吸
収1640cm-1が生成しており、またGPC 法による数平均分
子量は1600であった。
【0102】ついで実施例1と同様にして塗膜を形成
し、塗膜物性を評価した。結果を第1表に示す。
【0103】比較例1 市販のメラミンアクリルクリアー塗料を用いて実施例1
と同様にして塗膜を形成し、塗膜物を評価した。結果を
表1に示す。
【0104】実施例5〜7および比較例2 硬化性樹脂(1) 溶液と加水分解性シリル基含有アクリル
共重合体(1) 溶液とを第2表に示す割合で混合し、実施
例1〜4と同様にして、塗装、評価を行なった。結果を
表2に示す。
【0105】
【表1】
【0106】
【表2】
【0107】
【発明の効果】本発明の硬化性樹脂およびそれを含有す
る組成物は、耐酸性、耐スリキズ性、可とう性、耐溶剤
性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1でえられた生成物(i) の赤外線吸収ス
ペクトルのチャートを示す。
【図2】実施例1でえられた生成物(ii)の赤外線吸収ス
ペクトルのチャートを示す。
【図3】実施例1でえられた硬化性樹脂の赤外線吸収ス
ペクトルのチャートを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沖村 祥彦 兵庫県高砂市高砂町沖浜町2−63 光雲寮 (72)発明者 古川 久夫 兵庫県神戸市北区筑紫が丘四丁目5−7

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i) 1分子中にアクリロイル基とアルコ
    ール性水酸基とを分子末端にあわせもつ脂肪族ポリエス
    テル樹脂(A) と (ii)一般式(I): 【化1】 (式中、R1 は炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレ
    ン基およびアラルキレン基より選ばれる2価の炭化水素
    基、R2 は炭素数1〜10のアルキル基、X1 は加水分解
    性基、mは1〜3の整数を示す)で表わされるイソシア
    ナートシラン化合物(B) とを反応させたのちに、 (iii) 一般式(II): 【化2】 (式中、R3 は炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレ
    ン基およびアラルキレン基より選ばれる2価の炭化水素
    基、R4 は炭素数1〜10のアルキル基、X2 は加水分解
    性基、nは1〜3の整数を示す)で表わされるアミノシ
    ラン化合物(C) を反応させ、さらに (iv)一般式(III) : 【化3】 (式中、R5 は炭素数1〜25のアルキル基、アリール基
    およびアラルキル基より選ばれる1価の炭化水素基、
    (CH3 O)3Si−(CH2 3 −または (C2 5 O)3 Si−(CH2 3 −を示す)で表わ
    される単官能有機イソシアナート化合物(D-1) および
    (または)多官能有機イソシアナート化合物(D−2)
    を実質的に無水の条件で反応させてえられ、数平均分子
    量600 〜6000で、加水分解性シリル基を1分子中に
    少なくとも2個有する硬化性樹脂。
  2. 【請求項2】 硬化性樹脂の主鎖が主としてポリカプロ
    ラクトンである請求項1記載の硬化性樹脂。
  3. 【請求項3】 硬化性樹脂の主鎖が主としてポリバレロ
    ラクトンである請求項1記載の硬化性樹脂。
  4. 【請求項4】 前記イソシアナートシラン化合物(B) 中
    の式: 【化4】 (式中、R2 は炭素数1〜10のアルキル基、X1 は加水
    分解性基、mは1〜3の整数を示す)で表わされる基お
    よび(または)アミノシラン化合物(C) 中の式: 【化5】 (式中、R4 は炭素数1〜10のアルキル基、X2 は加水
    分解性基、nは1〜3の整数を示す)で表わされる基が
    トリメトキシシリル基である請求項1記載の硬化性樹
    脂。
  5. 【請求項5】 前記イソシアナートシラン化合物(B) 中
    の式: 【化6】 (式中、R2 は炭素数1〜10のアルキル基、X1 は加水
    分解性基、mは1〜3の整数を示す)で表わされる基お
    よび(または)アミノシラン化合物(C) 中の式: 【化7】 (式中、R4 は炭素数1〜10のアルキル基、X2 は加水
    分解性基、nは1〜3の整数を示す)で表わされる基が
    メチルジメトキシシリル基である請求項1記載の硬化性
    樹脂。
  6. 【請求項6】 一般式(IV): 【化8】 (式中、R6 、R7 は水素原子または炭素数1〜10のア
    ルキル基、アリール基およびアラルキル基より選ばれる
    1価の炭化水素基、Yはハロゲン原子、アルコキシ基、
    アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基、チオアル
    コキシ基およびアミノ基より選ばれる基で、少なくとも
    1個はアルコキシ基またはフェノキシ基であり、aは1
    〜3の整数を示す)で表わされるシリル基を1分子中に
    少なくとも1個有するシリル基含有ビニル系共重合体と
    請求項1記載の硬化性樹脂とからなることを特徴とする
    組成物。
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