JPH0592451U - エンジンのカバー構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エンジン端部でクランク軸を囲むカバー部材
のリブにクランクアングルセンサの取付穴を形成するこ
とによる音遮断効果の低下およびシール性の低下を防止
する。 【構成】 エンジンフロント側端部にオイルポンプボデ
ィ７を配置し、その所定位置に内径側および外径側の２
重の円弧状リブ１２，１３を形成し、また、両円弧状リ
ブ１２，１３を連結する放射状リブ１４，１５を形成す
る。そして、内径側の円弧状リブ１２にはタイミングプ
ーリ３の張り側噛み合い部分斜め下方の部位に開口穴１
７を設け、外径側の円弧状リブ１３には上記開口穴１７
に対向する位置にクランクアングルセンサ１９用の取付
穴２０を形成する。また、上記開口穴１７に嵌合する吸
込口を備えた樹脂製のカバー状チャンバ部材２２をリブ
間空間に装着し、その内部を消音室２３とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はエンジン端部にクランク軸を囲むカバー部材を備えたエンジンのカバ ー構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般にエンジンのフロント側端部にはクランク軸の一端が突設され、そのクラ ンク軸の突設端部に吸排気弁駆動用のタイミングプーリおよび補機駆動用のクラ ンクプーリが配設される。そして、上記タイミングプーリには上方のカムプーリ との間にタイミングベルトが巻き掛けられ、また、クランクプーリには各種補機 の被動プーリとの間にＶベルトが巻き掛けられる。また、このようなエンジンの 端部構造においては、タイミングベルトの噛み合い音とかの音を遮断するととも にダスト等の侵入を防止するためのカバーを設けるのが普通である。また、この ようにエンジンのフロント側端部にカバー（フロントカバー）を設けたものでは 、例えば特開昭６０−２５９７２７号公報に記載されているように、クランクプ ーリとフロントカバーとの間が共鳴空間となって騒音が外部に漏出するのを防止 するため、フロントカバーとクランクプーリ外周部との隙間を小さくするように フロントカバー側に突起を形成したものが知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

エンジン端部に上記のように音遮断とダストシールの役目をするカバー部材が 設けられたものでは、同端部にクランク軸回転角を検出するためのクランクアン グルセンサを取り付けようとした場合に、構造上の制約からどうしてもクランク 軸を囲む部分のカバー部材にセンサ取付用の穴を設けなければならなくなり、そ のために音遮断効果およびダストに対するシール性が大きく損なわれる。特に、 エンジンのフロント側端部にオイルポンプボディを備えたものでは、オイルポン プボディ外面の内径側および外径側に２重にリブをはわせ、また、それらリブを 連結するよう放射状のリブを設けることによってタイミングプーリ周りのカバー 部材を兼ねさせるようにできるが、その場合に、クランクアングルセンサを取り 付けられる位置は補機等の配置の関係もあって例えばタイミングプーリの張り側 噛み合い部分の斜め下方の位置というように特定されてしまうのが普通である。 しかし、クランクアングルセンサをこのようにタイミングプーリの張り側噛み合 い部分斜め下方の位置に取り付けようとすると、そのセンサ取付穴はオイルポン プボディの上記外径側リブに設けることになり、その場合に、このセンサ取付位 置の外方にはオイルパン合わせ面が突出しているのが普通であって、センサ取付 穴を外方から加工することができない。そこで、上記のような位置にセンサ取付 穴を形成する場合は、内径側リブに加工穴を設けて、内側から穴加工をしなけれ ばならなくなって、内径側および外径側の両リブに大きな穴ができ、音遮断効果 およびダストシール性が低下してしまう。タイミングプーリの張り側噛み合い部 分は特に騒音が大きい部位であるので、この位置で音遮断が損なわれることは重 大な問題である。

【０００４】 本考案は上記問題点に鑑みてなされたものであって、エンジン端部でクランク 軸を囲むカバー部材の音遮断用およびダストシール用のリブにクランクアングル センサ取付用の穴を形成する場合の音遮断効果およびシール性の低下を防止する ことを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案はエンジン端部にクランク軸を囲むカバー部材を備えたエンジンのカバ ー構造に係るものであって、前記カバー部材に、クランク軸径方向に相互に間隔 をおいてそれぞれクランク軸周方向に延びる内径側および外径側の２重の円弧状 リブと、これら２重の円弧状リブを相互に連結する複数の放射状リブを設けると ともに、内径側円弧状リブの所定位置に開口穴を設けて、この開口穴により内径 側へ連通するリブ間空間に消音室を形成し、かつ、外径側円弧状リブの前記開口 穴に対向する位置にクランクアングルセンサ用の取付穴を形成したことを特徴と する。

【０００６】

【作用】

カバー部材に、内径側および外径側の２重の円弧状リブとこれらを連結する複 数の放射状リブが設けられたことによって、カバー部材自身の剛性が高まるとと もに、エンジン端部における音遮断効果およびダストシール性が高まり、しかも 、これらリブの間の空間に、内径側に連通する消音室が形成されることによって 、エンジン端部に発生した音が減衰され、騒音低減効果が一層高まる。また、外 径側円弧状リブに形成するクランクアングルセンサ用の取付穴は、消音室の吸込 口となる内径側リブの開口穴を利用して加工することができる。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

【０００８】 図１は本考案の一実施例を示すエンジンフロント側端部のクランク軸周りを一 部破断面で示す正面図、図２は図１のＡ−Ａ断面図である。図において、１はエ ンジン本体であり、２はエンジン本体１に軸支されたクランク軸であって、この クランク軸２の一端はエンジンフロント側端面から突設され、その突設部分には 内側に吸排気弁駆動用のタイミングプーリ３が、外側に補機駆動用のクランクプ ーリ４が配置され、これらタイミングプーリ３とクランクプーリ４が取り付けボ ルト５により共締されている。クランク軸２のエンジンフロント側突設部分には 、また、タイミングプーリ３の内側にオイルポンプボディ７が配置され、このオ イルポンプボディ７とその背面側のカバー８とでオイルポンプ室９が形成されて いる。また、図で１０はタイミングベルトカバー、１１はオイルパンを示す。

【０００９】 上記オイルポンプボディ７の外面には、タイミングプーリ３の張り側噛み合い 部分を含む下方位置に、内径側および外径側の２重の円弧状リブ１２，１３がク ランク軸径方向に相互に間隔をおいてそれぞれクランク軸周方向に延設され、ま た、これら内径側および外径側の円弧状リブ１２，１３を連結する二つの放射状 リブ１４，１５と一つの上下リブ１６が間隔をおいて設けられている。第１の放 射状リブ１４はクランク軸２と略同じ高さ位置で水平に延長され、第２の放射状 リブ１５と上下リブ１６はクランク軸２の真下位置を挟んで左右略対称に位置す る。そして、上記内径側の円弧状リブ１２には、タイミングプーリ３の張り側噛 み合い部分斜め下方に位置する両放射状リブ１４，１５間の部位に開口穴１７が 設けられ、外径側の円弧状リブ１３には上記開口穴１７に対向する位置にボス部 １８が設けられ、該ボス部１８にはクランクアングルセンサ１９を取り付ける取 付穴２０が形成されている。この取付穴２０は、内径側円弧状リブ１２の上記開 口穴１７を通して内側からの穴加工によって形成されるものであって、この取付 穴１９に取り付けられることによってクランクアングルセンサ１９はクランクプ ーリ４内端面に固定された検出プレート２１に所定間隙をおいて対向せしめられ る。また、両放射状リブ１４，１５と両円弧状リブ１２，１３に囲まれた空間に は上記開口穴１７に嵌合する吸込口を備えた樹脂製のカバー状チャンバ部材２２ が装着され、その内部がタイミングプーリ３の張り側噛み合い部分に生ずるタイ ミングベルト噛み合い音を低減する消音室２３とされている。

【００１０】 なお、上記実施例ではエンジン端部のカバー部材がオイルポンプボディである 場合を説明したが、本考案はこれに限定されるものではなく、クランク軸を囲む カバー部材が他の部材で構成されたものにも適用できる。

【００１１】

【考案の効果】

本考案は以上のように構成されているので、カバー部材に設けた音遮断用およ びダストシール用のリブにクランクアングルセンサを取り付ける場合のセンサ取 付穴による音遮断効果の低下およびシール性の低下を防止することができ、また 、消音室の吸込口となる開口穴をセンサ取付穴の加工穴として利用することがで きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すエンジンフロント側端
部のクランク軸周りを一部断面で示す正面図

【図２】図１のＡ−Ａ断面図

【符号の説明】

１ エンジン本体 ２ クランク軸 ３ タイミングプーリ ７ オイルポンプボディ １２，１３ 円弧状リブ １４，１５ 放射状リブ １７ 開口穴 ２０ 取付穴 ２２ チャンバ部材 ２３ 消音室

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 立川 謙一 広島県安芸郡府中町新地３番１号 マツダ 株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジン端部にクランク軸を囲むカバー
   部材を備えたエンジンのカバー構造であって、前記カバ
   ー部材に、クランク軸径方向に相互に間隔をおいてそれ
   ぞれクランク軸周方向に延びる内径側および外径側の２
   重の円弧状リブと、これら２重の円弧状リブを相互に連
   結する複数の放射状リブを設けるとともに、前記内径側
   円弧状リブの所定位置に開口穴を設けて、該開口穴によ
   り内径側へ連通するリブ間空間に消音室を形成し、か
   つ、前記外径側円弧状リブの前記開口穴に対向する位置
   にクランクアングルセンサ用の取付穴を形成したことを
   特徴とするエンジンのカバー構造。