JPH0591570U - ボタン付けミシン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ボタンが縫着される二つ折り生地を傷めるこ
となく所定の姿勢に確実に保持できるとともに、作業の
安全化を図れるようにする。 【構成】 生地ホルダー６の先端部に、二つ折り生地８
を上下から挾持する一対の挾持板３２，３３を取り付
け、下部の挾持板３２を固定するとともに、上部の挾持
板３３を下部の固定挾持板３２側に弾性付勢させて、二
つ折り生地８を弾性的に挾持させるように構成してい
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、紳士・婦人服上衣やベストの前ボタン、内ポケット用ボタン、ズ ボンのピストルポケット用ボタンなどのように、各種の薄物の縫製品にボタンを 根付けしたり、根付けするとともに根巻きを施して縫着するように構成されたボ タン付けミシンに関するもので、特に根付け時において、上生地を二つ折りにし 、下生地との間に作られた隙間を通して上生地および下生地を共に保持する生地 の保持装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

この種のボタン付けミシンとして、本出願人は実開平３−９９５６６号公報に 開示されているような構成のものを提案している。

【０００３】 図８は上記公報に開示された本出願人提案の従来のボタン付けミシンの要部の 側面図を示し、同図において、１は縫針で、ミシンアーム（図示省略）内に設け た昇降駆動機構を介して一定位置を上下に往復運動する。２は生地ガイドで、左 右一対の生地ホルダー腕３，３間に亘って前後に位置調整可能に固定連結されて おり、この生地ガイド２の下側には、上記縫針１が上下に通過移動する貫通孔４ をもった針板５が密接状態に配置され固定されている。

【０００４】 ６は生地ホルダーで、この生地ホルダー６は、図９および図１０に明示するよ うに、薄い板金製の折り曲げ板部材６Ａと、この折り曲げ板部材６Ａの先端部に ねじ２７を介して固定された厚肉板部材６Ｂと、この厚肉板部材６Ｂの先端面側 に形成された孔６ｂに基端部を挿入し締付ねじ２９を介して厚肉板部材６Ｂに固 定され、その先端部が前方に向って突出する２本の針状のピン２８とからなり、 ボタンを縫着するために二つ折りされた生地８の上生地部８ａおよび下生地８ｂ に上記ピン２８を突き刺すことにより、二つ折り生地８を図１０に示すように保 持して生地ガイド２の上面に載置するように構成されている。

【０００５】 ９は生地ホルダー６の回転用シリンダで、このシリンダ９の収縮伸長により連 結杆１０，１１、軸１２、可動腕１３およびブラケット１４を介して生地ホルダ ー６を生地８に対して固定状態と固定解除状態とに切換える。１５は生地ホルダ ー調節板で、１方の生地ホルダー腕３の外側に沿って設けられ、その下端部が上 記軸１２の周りに揺動自在に取付けられている。１６はストッパーで、上記連結 杆１１に固定され、上記生地ホルダー調節板１５の中間部の上辺に接当可能な折 曲片１６ａを有している。

【０００６】 １７はストッパー調節具で、上記生地ホルダー腕３に取付けられているととも に、その先端部が上記生地ホルダー調節板１５に支軸１８を介して取付けられて いる。

【０００７】 つぎに、上記構成の動作について説明する。 生地ホルダー６を作業者側に開かせた回転状態において、該生地ホルダー６に 生地８を二つ折りにしてセットする。このとき、２本のピン２８を二つ折り生地 ８の折曲部近くの上生地部８ａおよび下生地部８ｂに突き刺すことにより、生地 ８が、その折曲部８ａ１をほぼ逆Ｕ字状の浮き上がり状態にして生地ホルダー６ に保持される。その後、ペダル（図示省略）の踏み込み操作によりシリンダ９を 伸長させて、生地ホルダー６を二つ折り生地８とともに生地ガイド２の上面に押 圧し固定する。

【０００８】 一方、図では省略するボタンホルダーを介してボタンをそのボタン孔が針板５ の貫通孔４上に対応するように根付け姿勢にセットする。この状態で、ミシンの 作動を開始して、縫針１を上下に往復運動させると同時に、図示省略した可動テ ーブルをＸ軸方向に往復運動させることにより、根糸を介して予め設定された運 針数での根付け縫製が行なわれる。

【０００９】 この根付け縫製が終了したならば、上記ボタンホルダーの９０度回転により、 根巻き縫製姿勢に切換えられる。つぎに、上記可動テーブルを介しての生地ホル ダー６およびボタンホルダーのＸおよびＸ軸方向の設定量ごとの往復運動により 、根巻き糸を介して予め設定された運針数での根巻き縫製が行なわれ、ボタン７ が生地８から浮いた状態でしっかりと生地８に縫着される。

【００１０】

【考案が解決しようとする課題】

以上のように、従来のボタン付けミシンでは、ボタンを縫着する二つ折り生地 を生地ホルダーに保持させるにあたって、ピン２８を二つ折り生地８に突き刺し て保持させていたために、生地８にピン孔などの傷を付けやすいばかりでなく、 生地ホルダー６に生地８をセットしたり、ボタン付け後にホルダー６から生地８ を取り外したりする際に作業者の手指等にピン２８が当るとか、刺るなどして負 傷しやすいといったように、作業に危険をともなう問題があった。

【００１１】 この考案は上記実情に鑑みてなされたもので、二つ折り生地を、傷付けること なく所定の姿勢に確実に保持できるとともに、作業の安全化を達成することがで きるボタン付けミシンを提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、この考案に係るボタン付けミシンは、一定位置を 上下に往復運動する縫針と、この縫針が通過移動する貫通孔をもった針板と、二 つ折り生地を載置する生地ガイドと、上記二つ折り生地を上記生地ガイド上に載 置し固定する生地ホルダーと、ボタン孔が上記針板の貫通孔上に位置する姿勢で ボタンを上記二つ折り生地の上部において保持するボタンホルダーと、このボタ ンホルダーおよび上記生地ホルダーを水平面内の互に直交する二次元方向の少な くとも一次元方向に往復移動させる駆動装置とを備えたボタン付けミシンにおい て、上記生地ホルダーの先端部に、二つ折り生地を上下から挟持する一対の挟持 板を取り付け、そのうち、下部の挟持板を固定するとともに、上部の挟持板を下 部の挟持板に当接する方向に弾性付勢させて、二つ折り生地を弾性的に挟持する ように構成したものである。

【００１３】 特に、上記上部の挟持板として、その幅方向の両端部において二つ折り生地を 下部の固定挟持板に押圧するように幅方向に沿って僅かに湾曲した形状に形成さ れたものを使用するのが好ましい。

【００１４】

【作用】

この考案によれば、二つ折り生地を生地ホルダー先端部の上下一対の挟持板間 に差し込むことにより、その二つ折り生地を上記一対の挟持板によって弾性的に 挟むように保持させることが可能となり、生地を傷付けないで済むとともに、厚 味が多少変動しても、生地をしっかりと所定の姿勢に保持させて、皺の発生など を招くことなく、ボタンを所定の箇所に正しく縫付けることができる。

【００１５】 特に、請求項２のように、二つ折り生地を挟持させるに、挟持板の幅方向の両 端部で強く弾性挟持させるようにすれば、繰り返し使用によって弾性付勢力が低 下したとしても、二つ折り生地をすべりのない状態で確実、適正に挟み保持させ ることができる。

【００１６】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図面にもとづいて説明する。 図１および図２はそれぞれ要部の斜視図、図３は要部の拡大側面図であり、同 図において、１〜６，９〜１８は図８で示す従来例と同一の構成要素であるため 、該当部分に同一の符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。

【００１７】 図１および図２において、２２はミシンアームで、縫針１を上下に往復運動さ せる昇降駆動機構（図示省略）を内装している。２３はボタンホルダーで、ボタ ン７をその周部の両側から弾性的に保持する一対の半円弧状の挟持片２３ａ，２ ３ｂからなる。２４はボタンホルダー回転用シリンダで、このシリンダ２４の伸 長収縮により連結杆３５，３６を介して上記ボタンホルダー２３を、図１に示す ような根付け縫製姿勢と図２で示すような根巻き縫製姿勢とに切換える。

【００１８】 ２５は可動テーブルで、この可動テーブル２５は図示省略した２つのステッピ ングモータおよびタイミングベルト３７を介して水平面内で互いに直交する二次 元方向、つまり、Ｘ−Ｙ軸方向に同期的に往復駆動移動するように構成されてお り、この可動テーブル２５の左右両側面に左右一対の生地ホルダー腕３，３が固 定されている。２６はボタンホルダー腕で、腕継手２７を介して上記可動テーブ ル２５に支持され、以上の構成により、ボタンホルダー２３および生地ホルダー ６が可動テーブル２５を介してＸ−Ｙ軸方向に同期的に往復移動可能に構成され ている。

【００１９】 図４は生地ホルダー６の拡大分解斜視図、図５は生地ホルダー６の拡大組付け 斜視図、図６は図３の仮想線の丸で示した個所の拡大図を示し、上記生地ホルダ ー６は、薄い板金製の折り曲げ板部材６Ａと、この折り曲げ板部材６Ａの先端部 に裏当て板３０およびねじ３１を介して固定され、その前端には生地ガイド２の 針通過用貫通孔４に対応する箇所に切欠孔３２ａを有する下部の固定挟持板３２ と、この固定挟持板３２の上部に対向配置されて固定支持部材３４に対し上下に スライド自在に支持され、その前端に上記切欠孔３２ａに対向する切欠孔３３ａ を有する上部の可動挟持板３３と、この上部の可動挟持板３３を下部の固定挟持 板３２に当接させるように下方向に弾性付勢する圧縮コイルスプリング３５とか らなり、これら上下一対の挟持板３３，３２により二つ折り生地８を上下から弾 性的に挟持するように構成されている。

【００２０】 なお、上記可動挟持板３３を上下スライド自在に支持する固定支持部材３４は 、図４および図５に示されているように、上記固定挟持板３２の前端縁から立上 げ板部３２ｂにビス３６を介して固定されている。また、この可動挟持板３３の 後端部３３ｂは、二つ折り生地８を一対の挟持板３２，３３間に差入れやすいよ うに斜め上方に湾曲されており、さらに、この可動挟持板３３は、図７に明示す るように、その幅方向の両端部３３ｃ，３３ｃにおいて二つ折り生地８を下部の 固定挟持板３２に強く押圧するように幅方向に沿って僅かに上向きに湾曲した形 状に形成されている。

【００２１】 なお、上記した構成の根巻き機能付きボタン付けミシンは、根付け縫製および 根巻き縫製といった一連のシーケンス動作や縫い速度などをプログラム可能なプ ログラムメモリ、各種データをアクセスメモリ可能なデータメモリおよびＣＰＵ からなるマイクロコンピュータユニットを備えているとともに、上記可動テーブ ル２５の移動量や運針数などを設定する各種の設定器がマイクロコンピュータユ ニットに接続されているが、これらについては考案の要旨と直接関係がないため 、省略する。

【００２２】 つぎに、上記構成の動作について説明する。 図１のように、シリンダ２４の伸長により根付け縫製姿勢にあるボタンホルダ ー２３にボタン７を弾性的に保持するとともに、作業者側に開いた状態の生地ホ ルダー６の上下一対の挟持板３３，３２間に二つ折りにした生地８の上生地と下 生地を少々離隔させ、そのままの状態で後方から差込むことにより、該二つ折り 生地８を上記一対の挟持板３３，３２によって弾性的に挟み保持させる。

【００２３】 ついで、図示省略のペダルの踏み込みによりシリンダ９を伸長させて、生地ホ ルダー６を生地ガイド２側に揺動させて、二つ折り生地８が生地ガイド２の上面 に載置されるように、二つ折り生地８を根付け位置に押圧し固定する。この状態 で、ミシンの作動を開始して、縫針１を上下に往復運動させると同時に、可動テ ーブル２５をＸ軸方向に往復移動させることにより、根糸を介して予め設定した 運針数での根付け縫製が行なわれる。

【００２４】 以上の根付け縫製が終了したならば、シリンダ２４が収縮してボタンホルダー ２３が回転し、図２で示すような根巻き縫製姿勢に切換えられる。つぎに、可動 テーブル２５がＸ−Ｙ軸方向にそれぞれ設定量ごとに往復移動することにより、 根巻き糸を介してボタン７と二つ折り生地８との間の根糸に対して所定の運針数 での根巻きが行なわれて、所定のボタン付けが終了する。

【００２５】 なお、上記実施例では、１台のミシンで根付けと根巻きとを連続的に行なえる ように構成したものを説明したが、根付け専用のボタン付けミシンであってもよ い。

【００２６】

【考案の効果】

以上のように、この考案によれば、ボタンを縫着すべき二つ折り生地を上下一 対の挟持板間に弾性的に挟持するようにしたので、生地を傷めないで済み、どん な材質の生地へのボタン付けにも適用することができるとともに、生地の厚味の 変動に対しても生地をしっかりと所定の姿勢に保持させて、適正、良好なボタン 付けを行なうことができる。しかも、作業者の手指等が負傷することも殆どなく 、作業の安全性を確保することができる。

【００２７】 特に、生地をその幅方向に沿って線状に弾性挟持するのでなく、その幅方向の 両端部の二点で弾性挟持するように構成するときは、長年月に亘る使用において も常時確実な生地保持機能を達成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例によるボタン付けミシンの
要部の右斜視図である。

【図２】同実施例の要部の左斜視図である。

【図３】同要部の拡大側面図である。

【図４】生地ホルダーの分解斜視図である。

【図５】生地ホルダーの組付け斜視図である。

【図６】図３の丸で囲んだ部分の拡大図である。

【図７】図５のＡ−Ａ線に沿った断面図である。

【図８】従来のボタン付けミシンの要部の拡大斜視図で
ある。

【図９】従来のボタン付けミシンにおける生地ホルダー
の分解斜視図である。

【図１０】図８の要部の拡大斜視図である。

【符号の説明】

１ 縫針 ２ 生地ガイド ５ 針板 ６ 生地ホルダー ８ 二つ折り生地 ２３ ボタンホルダー ２５ 可動テーブル ３２ 固定挟持板 ３３ 可動挟持板

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一定位置を上下に往復運動する縫針と、
   この縫針が通過移動する貫通孔をもった針板と、二つ折
   り生地を載置する生地ガイドと、上記二つ折り生地を上
   記生地ガイド上に載置し固定する生地ホルダーと、ボタ
   ン孔が上記針板の貫通孔上に位置する姿勢でボタンを上
   記二つ折り生地の上部において保持するボタンホルダー
   と、このボタンホルダーおよび上記生地ホルダーを水平
   面内の互いに直交する二次元方向の少なくとも一次元方
   向に往復移動させる駆動装置とを備えたボタン付けミシ
   ンにおいて、上記生地ホルダーの先端部に、二つ折り生
   地を上下から挟持する一対の挟持板を取り付け、そのう
   ち、下部の挟持板を固定するとともに、上部の挟持板を
   下部の挟持板に当接する方向に弾性付勢させて、二つ折
   り生地を弾性的に挟持するように構成したことを特徴と
   するボタン付けミシン。
2. 【請求項２】 上記上部の挟持板は、その幅方向の両端
   部において二つ折り生地を下部の固定挟持板に押圧する
   ように幅方向に沿って僅かに湾曲した形状に形成されて
   いる請求項１のボタン付けミシン。