JPH059010A - セラミツクス薄膜の製造方法 - Google Patents

セラミツクス薄膜の製造方法

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JPH059010A
JPH059010A JP3183908A JP18390891A JPH059010A JP H059010 A JPH059010 A JP H059010A JP 3183908 A JP3183908 A JP 3183908A JP 18390891 A JP18390891 A JP 18390891A JP H059010 A JPH059010 A JP H059010A
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Keiichi Sato
馨一 佐藤
Masakazu Nakamura
雅一 中村
Shinichi Yoyogi
新一 代々城
Yusuke Mitsuyoshi
裕介 光吉
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
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  • Oxygen, Ozone, And Oxides In General (AREA)
  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、セラミックスの前駆体であるような
金属化合物とアルコキシドとの混合物あるいは反応物な
どから、焼結あるいは粉砕という工程によりセラミック
ス粉末を得ることなく、該前駆体であるような材料から
基材上に直接セラミックス薄膜を製造する方法を提供す
ることにある。 【構成】セラミックスの前駆体、例えばマグネシウムエ
トキシドとシュウ酸アルミニウムとの混合物あるいは加
水分解生成物から熱プラズマスプレイにより、直接基材
上に、酸化アルミニウムマグネシウム(スピネル)薄膜
を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミックス薄膜の製
造方法に関する。さらに詳しくは、自動車、航空機、電
子機器などの先端技術分野における耐熱、耐摩耗、耐食
用など、あるいは電気的性質、光学的性質を付与するな
ど、優れた特性を有するセラミックス薄膜の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、耐熱性、耐摩耗性、耐食性な
ど機能性を有するセラミックス被膜、あるいは該被膜に
電気的性質、光学的性質を与えるセラミックス被膜は、
固相法あるいは共沈澱法などによって得られた前駆体で
あるような材料からバインダー混合、焼結および粉砕工
程を経て得られたセラミックス粉末の原材料から、熱プ
ラズマによる溶射によって基材上に薄膜を製造する方法
が公知の技術として知られている。この製造方法は、原
材料であるセラミックス粉末を得るための、前駆体であ
るような材料の焼結および粉砕に際して多大のエネルギ
ーを必要とし、さらには焼結後の粉砕時に不純物が混入
する恐れや、物理的な力による結晶歪が生起する可能性
など種々の問題点を有する。
【0003】一方、焼結および粉砕工程を伴わないでセ
ラミックス粉末を得る水熱合成法およびゾル−ゲル法も
考案されている。しかしながら前者の水熱合成法による
セラミックス粉末の製造には、およそ数十気圧、200
℃以上の反応条件を必要とする工程が含まれるため、実
験室レベルでの研究はかなり行なわれているが、工業化
する場合には製造装置が複雑になり、実用的ではない。
また後者のゾル−ゲル法によるセラミックス粉末の製造
方法は、近年電子材料の分野における微細加工技術の面
で注目され研究が行なわれてはいるが、生成される粒子
の大きさが極めて小さく、二次凝集を起こし易いために
溶射用材料としては不適である。粒子径をさらに大きく
し溶射用に適した材料とするためには、少なくとも10
00℃以上の熱処理を必要とし、工程が煩雑になり、場
合によっては粉砕工程も必要となるため、省エネルギー
化が望めない。
【0004】公知の技術である熱プラズマスプレイ法に
よりセラミックス薄膜を製造する場合には、原材料であ
るセラミックス粉末を得るために、前駆体であるような
材料からバインダー混合、成型、焼結さらには粉砕とい
う工程を経るため、製造工程が煩雑になりコスト高にな
るという欠点を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、従来の
熱プラズマスプレイ法によるセラミックス薄膜製造にお
ける欠点、即ち原材料を得るための前駆体であるような
材料の焼結および粉砕に多大のエネルギーを必要とし、
さらに装置および工程が煩雑になり、コスト高になると
いう欠点を克服するために、鋭意検討した結果、セラミ
ックスの前駆体であるような材料あるいはそれらの混合
物からバインダー混合、焼結および粉砕、さらには再
度、焼結および粉砕という煩雑な工程を経ることなく、
直接セラミックス薄膜を基材上にしかも連続的に製造で
きることを見出した。
【0006】耐熱性、耐摩耗性、耐食性、電気的性質、
光学的性質など機能性を付与するための基材としては特
に制限はなく、各種金属、セラミックス、プラスチック
など様々な材料が挙げられるが、セラミックス薄膜製造
時に、基材温度上昇抑制のために該基材へ向けて基材表
面あるいは基材裏面へ基材冷却用不燃性物質などを吹き
付けることにより、該基材の温度を100℃前後と低く
抑えることができるので、例えば耐熱性に劣る紙などの
表面上でもセラミックス薄膜が製造できる。
【0007】本発明者等は、かかる知見に基づきさらに
重ねて検討した結果、本発明を完成するに至ったもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】 すなわち本発明は、下
記一般式(1)で表されるセラミックスの前駆体である
ような材料あるいはそれらの混合物から熱プラズマスプ
レイ法により基材上に直接溶射して、ペロブスカイト型
複合酸化物薄膜を除く、セラミックス薄膜を製造する方
法を提供するものである。 一般式(1) AOX (ただしX は0.5以上の
実数である。)
【0009】本発明において上記A元素としては、例え
ばB、Mg、Al、Si、Fe、Sn、Zn、Zr、N
i、Li、Ba、Mn、Co、Sc、Y、La、Ce、
Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、Luなどを挙げることができ、さらに
好ましくは、Mg、Al、Fe、Ba、Sc、Y、L
a、Ce、Nd、Sm、Euを挙げることができるが、
これのみに限定されるものではない。また本発明におけ
る金属元素としては、元素周期律表の第IA 族、第IIA
族、第IIB 族、第IIIA族、第IIIB族、第IVA 族、第IVB
族、第VA族、第VB族、第VIA 族、第VIIA族、第VIII族で
あるとし、希土類元素は元素周期律表の第IIIA族のうち
Sc、Yを除いた元素とする。
【0010】A元素の中から選ばれる少なくとも一種類
以上の元素を有する、アルコキシドを除く、金属化合物
あるいはこれらの元素を有する金属化合物の混合物な
ど、すなわち水和物、無機酸塩、アンモニウム塩および
有機酸塩などとA元素の中から選ばれる少なくとも一種
類以上の元素を有するアルコキシドとを混合するか、あ
るいは反応させるなど何れでも良く、しかも金属化合物
中に含有される金属元素とアルコキシド中に含有される
金属元素とが、同一のものであっても差し支えない。こ
の場合、好ましくは水和物としては水酸化物、オキシ水
酸化物、無機酸塩としては硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、
硫酸塩、有機酸塩としては蟻酸塩、シュウ酸塩、酢酸
塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸
塩、クエン酸塩、アジピン酸塩、ムチン酸塩、安息香酸
塩、サリチル酸塩、フタル酸塩、イソフタル酸塩、テレ
フタル酸塩、トリメリット酸塩、セバシン酸塩、ピロメ
リット酸塩あるいはステアリン酸塩などを挙げることが
でき、さらに好ましくは、シュウ酸塩、クエン酸塩、酒
石酸塩を挙げることができるが、これのみに限定される
ものではない。
【0011】セラミックスの前駆体であるような1種類
の金属元素を含有する、アルコキシドを除く、金属化合
物の例としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニ
ウム、水酸化鉄、水酸化バリウム、水酸化スカンジウ
ム、水酸化イットリウム、水酸化ランタン、水酸化セリ
ウム、水酸化ネオジウム、水酸化サマリウム、水酸化ユ
ウロピウム、アンモニウムミョウバン、シュウ酸マグネ
シウム、シュウ酸アルミニウム、シュウ酸鉄、シュウ酸
バリウム、シュウ酸スカンジウム、シュウ酸イットリウ
ム、シュウ酸ランタン、シュウ酸セリウム、シュウ酸ネ
オジウム、シュウ酸サマリウム、シュウ酸ユウロピウ
ム、酢酸マグネシウム、酢酸アルミニウム、酢酸鉄、酢
酸バリウム、酢酸スカンジウム、酢酸イットリウム、酢
酸ランタン、酢酸セリウム、酢酸ネオジウム、酢酸サマ
リウム、酢酸ユウロピウム、酒石酸マグネシウム、酒石
酸アルミニウム、酒石酸鉄、酒石酸バリウム、酒石酸ス
カンジウム、酒石酸イットリウム、酒石酸ランタン、酒
石酸セリウム、酒石酸ネオジウム、酒石酸サマリウム、
酒石酸ユウロピウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸
アルミニウム、クエン酸鉄、クエン酸バリウム、クエン
酸スカンジウム、クエン酸イットリウム、クエン酸ラン
タン、クエン酸セリウム、クエン酸ネオジウム、クエン
酸サマリウム、クエン酸ユウロピウムなどを挙げること
ができるが、これのみに限定されるものではない。
【0012】さらにセラミックスの前駆体であるような
2種類の金属元素を含有する、アルコキシドを除く、金
属化合物の例としては、シュウ酸アルミニウムバリウ
ム、シュウ酸アルミニウムマグネシウム、シュウ酸マグ
ネシウム鉄、シュウ酸アルミニウムケイ素、酢酸アルミ
ニウムバリウム、酢酸アルミニウムマグネシウム、酢酸
マグネシウム鉄、酢酸アルミニウムケイ素、酒石酸アル
ミニウムバリウム、酒石酸アルミニウムマグネシウム、
酒石酸マグネシウム鉄、酒石酸アルミニウムケイ素、ク
エン酸アルミニウムバリウム、クエン酸アルミニウムマ
グネシウム、クエン酸マグネシウム鉄、クエン酸アルミ
ニウムケイ素などを挙げることができるが、これのみに
限定されるものではない。
【0013】前述の金属化合物と混合あるいは反応させ
るアルコキシドとしては、例えば1種類の金属元素を有
するアルコキシドとして、マグネシウムメトキシド、マ
グネシウムエトキシド、マグネシウムプロポキシド、マ
グネシウムブトキシド、アルミニウムメトキシド、アル
ミニウムエトキシド、アルミニウムプロポキシド、アル
ミニウムブトキシド、鉄メトキシド、鉄エトキシド、鉄
プロポキシド、鉄ブトキシド、バリウムメトキシド、バ
リウムエトキシド、バリウムプロポキシド、バリウムブ
トキシド、スカンジウムメトキシド、スカンジウムエト
キシド、スカンジウムプロポキシド、スカンジウムブト
キシド、イットリウムメトキシド、イットリウムエトキ
シド、イットリウムプロポキシド、イットリウムブトキ
シド、ランタンメトキシド、ランタンエトキシド、ラン
タンプロポキシド、ランタンブトキシド、セリウムメト
キシド、セリウムエトキシド、セリウムプロポキシド、
セリウムブトキシド、ネオジウムメトキシド、ネオジウ
ムエトキシド、ネオジウムプロポキシド、ネオジウムブ
トキシド、サマリウムメトキシド、サマリウムエトキシ
ド、サマリウムプロポキシド、サマリウムブトキシド、
ユウロピウムメトキシド、ユウロピウムエトキシド、ユ
ウロピウムプロポキシド、ユウロピウムブトキシドなど
を挙げることができるが、これのみに限定されるもので
はない。この場合にアルコキシドとしては、中心金属と
ハロゲン原子が1種類または2種類以上結合したもので
も良いが、好ましくは1種類および1個以下が良い。
【0014】さらに複合アルコキシドとしてはアルミニ
ウムバリウムメトキシド、アルミニウムバリウムエトキ
シド、アルミニウムバリウムプロポキシド、アルミニウ
ムバリウムブトキシド、アルミニウムマグネシウムメト
キシド、アルミニウムマグネシウムエトキシド、アルミ
ニウムマグネシウムプロポキシド、アルミニウムマグネ
シウムブトキシド、マグネシウム鉄メトキシド、マグネ
シウム鉄エトキシド、マグネシウム鉄プロポキシド、マ
グネシウム鉄ブトキシド、アルミニウムケイ素メトキシ
ド、アルミニウムケイ素エトキシド、アルミニウムケイ
素プロポキシド、アルミニウムケイ素ブトキシドなどを
挙げることができるが、これのみに限定されるものでは
ない。この場合にアルコキシドとしては、中心金属とハ
ロゲン原子が1種類または2種類以上結合したものでも
良いが、好ましくは1種類および1個以下が良い。
【0015】また金属化合物とアルコキシドとを混合す
る場合、均一に分散される方法であれば特に制限されな
いが、分散がしにくい場合には必要に応じて溶媒を添加
して、溶解させるか、あるいは分散剤など適宜添加して
も良い。この場合溶媒は公知の有機溶媒あるいは水が適
宜使用される。有機溶媒としては、メタノール、エタノ
ール、メチルエチルケトン、アセトンなど必要に応じて
何れでも良い。さらに混合前後に、アルコキシドを加水
分解あるいは金属化合物と反応させても良い。また分散
剤は公知の界面活性剤など、例えばラウリル硫酸塩など
が使用できる。
【0016】アルコキシドの加水分解は、アルコキシド
単体あるいは金属化合物とアルコキシドの混合物に加水
分解剤を添加することにより、あるいは加水分解剤中に
アルコキシド単体あるいは金属化合物とアルコキシドの
混合物を添加することにより行なわれる。加水分解剤
は、酸またはアルカリ水溶液、さらには水などが使用可
能であるが、これらに限定されるものではない。酸また
はアルカリとしては無機酸、有機酸、有機アミン類、水
酸化物など何れでも良く、例えば無機酸としては硝酸、
リン酸、硫酸、塩酸、有機酸としては蟻酸、シュウ酸、
酢酸、プロピオン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、ク
エン酸、アジピン酸、ムチン酸、安息香酸、サリチル
酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリ
ット酸、セバシン酸、ピロメリット酸、ステアリン酸、
有機アミン類としてはトリメチルアミン、ジメチルアミ
ン、水酸化物としては水酸化アンモニウム、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウムなどを挙げることができるが、
これのみに限定されるものではない。
【0017】本発明において、アルコキシド単体あるい
は金属化合物とアルコキシドの混合物を加水分解剤によ
って加水分解すると、加水分解の条件によって、ゾル溶
液あるいは生成したゲルがスラリー状または塊状になる
場合があるが、何れの場合も使用可能である。スラリー
状または塊状になる場合には適宜ゲルを砕いて使用すれ
ば良い。
【0018】上述した金属化合物あるいはアルコキシド
は、各化合物調製時にA元素と置換可能な元素を別の金
属化合物、例えば金属酸化物として添加し、調製したも
のでも良い。また混合物あるいは混合溶液中に、さらに
各種金属酸化物あるいはガラスなどを添加配合しても良
い。これらを添加配合する場合、上述した元素の金属化
合物あるいはアルコキシド調製時さらには加水分解時
に、各種金属酸化物あるいはガラスを添加して、その金
属化合物あるいはアルコキシドまたは加水分解生成物中
に混在させても良い。もちろん混合した添加剤がアルコ
キシドあるいは加水分解生成物中に完全に溶融している
必要はないが、好ましくは溶融していた方が良い。さら
にアルコキシドの調製に必要なアルコールは、異種のア
ルコールを混合したもの、例えばメタノールとエタノー
ルを混合したものでも良い。また金属化合物は混合した
酸、例えばシュウ酸とクエン酸を予め混合して、調製し
たものでも良い。
【0019】A元素を一種類以上含有したセラミックス
の前駆体であるような材料などを熱プラズマ炎中に導入
し、基材上に溶射することにより、下記一般式(1)で
表されるペロブスカイト型複合酸化物薄膜を除く、セラ
ミックス薄膜を得ることができる。 一般式(1) AOX (ただしX は0.5以上の実
数である。)
【0020】用いる熱プラズマ源としては、好ましく
は、高周波誘導プラズマ、マイクロ波誘導プラズマある
いは直流アークプラズマのいずれでも良いが、これに限
定されるものではない。
【0021】
【作用】本発明の如く、熱プラズマスプレイの溶射用材
料として、セラミックスの前駆体であるような金属化合
物とアルコキシドとの混合物あるいは反応物などを使用
する場合には、熱プラズマ中で超高温が加わると、前駆
体の熱分解反応あるいはアルコキシドの加水分解生成物
物中に残存する有機物の熱分解反応および脱水反応と、
熱分解により生成されたセラミックスの分解あるいはガ
ラス化反応とが前後して起こるが、熱分解反応や脱水反
応が遅いためか、あるいは熱分解反応あるいは脱水反応
により、熱プラズマによる超高温から、生成されつつあ
るセラミックスが保護されるために、構造変化を起こす
ような分解などが抑制され、セラミックスの生成反応が
主反応として進行し、結晶性の高い薄膜や、例えば要求
される組成の非晶質の薄膜が、比較的容易に製造される
と考えられる。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、従来行われてきたセラ
ミックス粉末を熱プラズマスプレイ用材料として用いて
セラミックス薄膜を製造する方法と同程度の密着性、緻
密性を有するセラミックス薄膜を、基材上に直接的にし
かも連続的に製造することができる。さらに基材冷却用
の不燃性物質の吹き付けを併用することにより、溶射中
の基材温度上昇を低く抑えることができるために、金
属、セラミックスのみならず耐熱製に劣る例えば紙など
の基材上へも直接該薄膜を製造することも可能である。
このことは耐熱性薄膜、耐摩耗性薄膜、耐食性薄膜ある
いは電気的特性、光学的特性を有する薄膜などの製造分
野に関し、省力化および省エネルギー化を図ることがで
きる。
【0023】したがって本発明により、熱プラズマスプ
レイ装置を使用して、ペロブスカイト型複合酸化物を除
くセラミックスの前駆体であるような金属化合物とアル
コキシドとの混合物あるいは反応物などから直接的にし
かも連続的にセラミックス薄膜を製造することができる
ようになったことは、簡素な工程でしかも安価に薄膜を
提供するものであり、その効果は極めて大である。
【0024】
【実施例】以下実施例を挙げて、本発明を具体的に説明
する。ただし、本発明の範囲は、下記実施例により何等
限定されるものではない。
【0025】実施例1 撹拌機および滴下器を備えたフラスコ中に、市販のマグ
ネシウムエトキシド100gと予めモレキュラーシーブ
で脱水乾燥させたエタノール1000mlとを仕込み、
良く撹拌した後、予め良く乾燥させた市販のシュウ酸ア
ルミニムを、マグネシウムとアルミニウムの割合が1対
2になるように加え、30分間混合し、スラリー溶液を
調製した。
【0026】次に熱プラズマを発生させ、この熱プラズ
マ炎に上記試料を0.01〜0.5ml/分にて供給
し、φ40mm×40mmの一般構造用圧延鋼材丸棒の
面上におよび20mm×70mm×3mmの平鉄上にそ
れぞれ溶射し酸化アルミニウムマグネシウム(スピネ
ル)薄膜を形成した。実施した際の熱プラズマ発生条件
を表1に掲げた。この形成した酸化アルミニウムマグネ
シウム(スピネル)薄膜の密着強度および見掛気孔率を
同様に表2に掲げた。
【0027】実施例2 実施例1のスラリー溶液中に、撹拌しながら蒸留水を少
量ずつ加えることにより、ゾル状溶液あるいは部分的に
ゲル化した溶液を調製した。
【0028】次に熱プラズマを発生させ、この熱プラズ
マ炎に上記試料を0.01〜0.5ml/分にて供給
し、実施例1に従いそれぞれ丸棒および平鉄上に溶射し
て酸化アルミニウムマグネシウム(スピネル)薄膜を形
成した。実施した際の熱プラズマ発生条件を表1に、形
成した酸化アルミニウムマグネシウム(スピネル)薄膜
の密着強度および見掛気孔率を表2に掲げた。
【0029】比較例1 市販の溶射用酸化アルミニウムマグネシウム(スピネ
ル)粉末を入手した。この時の粒度は26〜60μmで
ある。
【0030】次に熱プラズマを発生させ、実施例1に従
いそれぞれ丸棒および平鉄上に溶射して酸化アルミニウ
ムマグネシウム(スピネル)薄膜を形成した。実施した
際の熱プラズマ発生条件を表1に、形成した酸化アルミ
ニウムマグネシウム(スピネル)薄膜の密着強度および
見掛気孔率を表2に掲げた。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】なお、実施例および比較例におけるセラミ
ックス薄膜の特性は、下記方法によって測定した。 1.密着性 JIS H8666(セラミック溶射試験方法)に従
い、密着強度を求めた。
【0034】2.緻密性 JISなどで規定されている気孔率測定法により、見掛
気孔率として求めた。算出方法は、下記式(2)によっ
た。 式(2) 見掛気孔率=(W3 −W1 )/(W3
2 )×100(%) 上記式において、W1 ;乾燥重量(g)、W2 ;水中重
量(g)、W3 ;飽水重量(g)とする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 光吉 裕介 東京都中央区京橋二丁目3番13号 東洋イ ンキ製造株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (I)1種類以上の金属元素を有するア
    ルコキシドを除く、金属化合物、 (II)1種類以上の金属元素を有するアルコキシド、
    (I)と(II)との混合物および/または(I)と
    (II)との反応物を熱プラズマにより基材上に直接溶
    射し、セラミックス膜とすることを特徴とするセラミッ
    クス薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 一般式(1)で表されるセラミックスに
    おいて、Aの金属元素が元素周期律表の第IA族、第IIA
    族、第IIB 族、第IIIA族、第IIIB族、第IVA 族、第IVB
    族、第VA族、第VB族、第VIA 族、第VIIA族、第VIII族か
    ら選ばれる少なくとも1種類以上を用いてなることを特
    徴とする請求項1記載のセラミックス薄膜の製造方法。 一般式(1) AOX (ただしX は0.5以上の
    実数。)
  3. 【請求項3】 一般式(1)において、Aの金属元素が
    元素周期律表の第IA族、第IIA 族、第IIIA族、第IIIB
    族、第VIIA族、第VIII族から選ばれる少なくとも1種類
    以上を用いてなることを特徴とする請求項1記載のセラ
    ミックス薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 一般式(1)において、Aの金属元素が
    B、Mg、Al、Si、Fe、Sn、Zn、Zr、N
    i、Li、Ba、Mn、Co、Sc、Y、希土類から選
    ばれる少なくとも1種類以上を用いてなることを特徴と
    する請求項1記載のセラミックス薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 一般式(1)において、Aの金属元素が
    Mg、Al、Fe、Ba、Sc、Y、希土類から選ばれ
    る少なくとも1種類以上を用いてなることを特徴とする
    請求項1記載のセラミックス薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 金属化合物が、水和物、無機酸塩、アン
    モニウム塩、有機酸塩であることを特徴とする請求項1
    ないし5いずれか記載のセラミックス薄膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 金属化合物が、水酸化物、オキシ水酸化
    物、硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、アンモニウム
    塩、蟻酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、コ
    ハク酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アジピ
    ン酸塩、ムチン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、フタ
    ル酸塩、イソフタル酸塩、テレフタル酸塩、トリメリッ
    ト酸塩、セバシン酸塩、ピロメリット酸塩あるいはステ
    アリン酸塩であることを特徴とする請求項1ないし5い
    ずれか記載のセラミックス薄膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 熱プラズマ源として高周波誘導プラズ
    マ、マイクロ波誘導プラズマまたは直流アークプラズマ
    を用いることを特徴とする請求項1ないし7いずれか記
    載のセラミックス薄膜の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010215439A (ja) * 2009-03-15 2010-09-30 Gifu Univ スピネル前駆体ゾル、スピネル前駆体ゾルの製造方法、及びスピネルがコーティングされたチタン酸アルミニウム焼結体の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010215439A (ja) * 2009-03-15 2010-09-30 Gifu Univ スピネル前駆体ゾル、スピネル前駆体ゾルの製造方法、及びスピネルがコーティングされたチタン酸アルミニウム焼結体の製造方法

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