JPH0586463B2 - - Google Patents
Info
- Publication number
- JPH0586463B2 JPH0586463B2 JP4906087A JP4906087A JPH0586463B2 JP H0586463 B2 JPH0586463 B2 JP H0586463B2 JP 4906087 A JP4906087 A JP 4906087A JP 4906087 A JP4906087 A JP 4906087A JP H0586463 B2 JPH0586463 B2 JP H0586463B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- shape memory
- alloys
- memory effect
- alloy
- effect
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
- 229910052742 iron Inorganic materials 0.000 claims description 14
- 229910001285 shape-memory alloy Inorganic materials 0.000 claims description 10
- 239000012535 impurity Substances 0.000 claims description 4
- 230000003446 memory effect Effects 0.000 description 31
- 229910045601 alloy Inorganic materials 0.000 description 23
- 239000000956 alloy Substances 0.000 description 23
- XEEYBQQBJWHFJM-UHFFFAOYSA-N Iron Chemical compound [Fe] XEEYBQQBJWHFJM-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 21
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 13
- 229910000734 martensite Inorganic materials 0.000 description 13
- 238000005452 bending Methods 0.000 description 8
- 238000012360 testing method Methods 0.000 description 7
- 229910000640 Fe alloy Inorganic materials 0.000 description 6
- 229910001566 austenite Inorganic materials 0.000 description 6
- 230000015572 biosynthetic process Effects 0.000 description 6
- 238000010438 heat treatment Methods 0.000 description 5
- 238000011084 recovery Methods 0.000 description 5
- 229910002551 Fe-Mn Inorganic materials 0.000 description 4
- 238000012545 processing Methods 0.000 description 4
- 230000009466 transformation Effects 0.000 description 4
- 238000001816 cooling Methods 0.000 description 3
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 3
- 239000000463 material Substances 0.000 description 3
- 229910052759 nickel Inorganic materials 0.000 description 3
- 230000001105 regulatory effect Effects 0.000 description 3
- 238000005482 strain hardening Methods 0.000 description 3
- 229910000676 Si alloy Inorganic materials 0.000 description 2
- 229910000831 Steel Inorganic materials 0.000 description 2
- 230000000052 comparative effect Effects 0.000 description 2
- 230000007797 corrosion Effects 0.000 description 2
- 238000005260 corrosion Methods 0.000 description 2
- 239000000203 mixture Substances 0.000 description 2
- 230000001737 promoting effect Effects 0.000 description 2
- 239000010959 steel Substances 0.000 description 2
- 238000005728 strengthening Methods 0.000 description 2
- 229910000599 Cr alloy Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910000881 Cu alloy Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910001030 Iron–nickel alloy Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910000914 Mn alloy Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910018643 Mn—Si Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910004337 Ti-Ni Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910011209 Ti—Ni Inorganic materials 0.000 description 1
- 230000008602 contraction Effects 0.000 description 1
- 230000006866 deterioration Effects 0.000 description 1
- 230000002542 deteriorative effect Effects 0.000 description 1
- 238000005516 engineering process Methods 0.000 description 1
- 230000006870 function Effects 0.000 description 1
- KHYBPSFKEHXSLX-UHFFFAOYSA-N iminotitanium Chemical compound [Ti]=N KHYBPSFKEHXSLX-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 239000004615 ingredient Substances 0.000 description 1
- 238000011835 investigation Methods 0.000 description 1
- 238000003754 machining Methods 0.000 description 1
- 238000002844 melting Methods 0.000 description 1
- 230000008018 melting Effects 0.000 description 1
- 238000000034 method Methods 0.000 description 1
- 229910021652 non-ferrous alloy Inorganic materials 0.000 description 1
- 238000010791 quenching Methods 0.000 description 1
- 230000000171 quenching effect Effects 0.000 description 1
- 238000011160 research Methods 0.000 description 1
- 239000000126 substance Substances 0.000 description 1
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
この発明は、良好な形状記憶効果を安定して発
揮する鉄系の形状記憶合金に関するものである。 (従来の技術とその問題点) 現在、形状記憶特性を有する合金、いわゆる
“形状記憶合金”として、Ti−Ni合金、Cu合金
を始めとする非鉄系合金の他に、Fe−Ni系、Fe
−Mn系合金等の鉄系の形状記憶合金も確認され
ている。そのような鉄系合金の中でも、Fe−Mn
系合金が最も安価であるため、この系に属する形
状記憶合金の報告が目立つようになつてきた。 例えば、Mn含有量を15.9〜30.0wt%に規制し
たFe−Mn合金(特開昭55−73846号)、Mn含有
量を他の合金元素との兼ね合いで12.2〜20.5wt%
に規制したFe−Mn−Si、Ni、Cr合金(特開昭55
−76043号)、更に形状記憶効果を高めるためにSi
を4〜7wt%と高め、Mn量を26〜34wt%に規制
したFe−高Mn、高Si合金(特開昭61−201724
号)等が報告されている。 しかし、前二報告における合金では形状記憶効
果は極めて小さく(加熱、冷却による膨張、収縮
量が通常鋼の2倍程度)、形状記憶合金としての
用途には極めて不満足なものであつた。また、
Fe−高Mn−高Si合金に関しては形状記憶効果が
改善されはいるものの、Si量が高いために熱間加
工性に劣り、また、構造材としての強度も十分な
ものではない。 ここに、前述したようなFe−Mn系合金におけ
る形状記憶効果のメカニズムは必ずしも明確なも
のではないが、一般には次のように解釈されてい
る。 すなわち、冷間において加工を及び行うと歪誘
起変態によつてε−マルテンサイトが生成し、加
工歪がε−マルテンサイトとして蓄えられる。次
いで、こうした状態の合金をAc1点以上に加熱す
ると、ε−マルテンサイトからオーステナイトへ
の逆変態時に先きの冷間加工時の塑性歪、つまり
加工歪を可逆的に解放することとなり、その結
果、加工前の状態が復元され、形状記憶効果を示
すと言うものである。従つて、冷間加工の際にε
−マルテンサイトが生成し易くて加工による格子
歪(転位の発生)が抑えられる合金ほど、より優
れた形状記憶効果が得られると予想される。しか
し、従来の合金ではこの加工時のε−マルテンサ
イトの生成、導入が十分でなく、大部分の塑性歪
が転位として導入されるため良好な形状記憶効果
が得られなかつたと考えられる。 (問題点を解決するための手段) 本発明者等は、上述のような視点から検討を行
い、従来知られていた鉄系の形状記憶合金にみら
れる上記のような問題点を解消し、より一層優れ
た形状記憶効果を備えたコストの安い合金を実現
すべく研究を重ねたところ、Mn量を調整したFe
−Mn合金に微量のNを添加すると加工時のε−
マルテンサイトの生成が極めて容易となり、室温
での形状記憶効果が従来の鉄系合金に比べて大幅
に改善される、との知見を得るに至つたのであ
る。 すなわち、Mn:15〜30%の鉄系合金に0.03〜
0.3%のNを含有せしめることによりオーステナ
イト相の強化がはかられ、強度上昇そして転位発
生の抑制が実現されるとともに加工時にε−マル
テンサイトの生成が促進されるのである。通常、
鉄系合金にはNは0.02%以下程度不可避的に含有
されている。 この発明は、上記知見に基づいてなされたもの
であり、その要旨とするところは、重量%にて、
Mn:15〜30%、N:0.03〜0.3%を含有し、残部
Feおよび不可避不純物から成る鉄基合金の形状
記憶合金であり、または該成分にさらに15%以下
のCr、Ni、6%以下のSi、Co、0.5%以下のC、
Alから成る群から選んだ1種または2種以上含
有し、残部Feおよび不可避不純物から成る組成
に構成することで、優れた形状記憶効果を安定し
て発揮せしめ得るようにした鉄基合金の形状記憶
合金である。 (作用) 次いで、この発明において合金の組成成分割合
を上記の如くに数値限定した理由を説明する。 Mn: Mnは成分は、形状記憶効果を発現するのに有
効であるε−マルテンサイトの生成に極めて大き
な影響を与える元素であるが、その含有量が15%
未満であつたり、あるいは30%を越えたりすると
室温におけるε−マルテンサイト生成が不十分と
なり、良好な形状記憶効果が得られなくなること
から、Mn含有量は15〜30%と限定した。 N: Nはオーステナイト相それ自体を著しく強化す
ると同時にγ−ε変態を促進し、形状記憶効果を
大きく向上させる効果を有するが、その効果は
0.03%以上の添加によつて得られる。また、0.3
%を越えて含有すると、熱間加工性や成形性を劣
化させるため、N含有量を0.03〜0.3%と限定し
た。好ましくは、0.08〜0.2程度である。 Cr: Crは耐食性を向上させると同時に、加工歪導
入時にε−マルテンサイトの生成を促進し、形状
記憶効果を向上させる効果があるが、15%を越え
て含有すると、加工性および形状記憶効果を劣化
させるため上限を15%とした。 Ni: Niは形状記憶効果を劣化させることなく、耐
食性および靭性を向上させる効果があるが、15%
を越えて含有すると形状記憶効果を劣化させるよ
うになるので15%を上限とした。 Si: Siはε−マルテンサイトの生成を促進し、形状
記憶効果を向上させる効果をもつが、6%を越え
て添加すると時間加工性が著しく劣化するため6
%を上限とした。 Co: Coは形状記憶効果を向上させるが、極めて高
価であり、多量に添加すると返つて形状記憶効果
を損なうので上限を6%とした。 C: Cはオーステナイトを強化し、γ→ε変態を促
進して形状記憶効果を改善する作用があるが、
0.5%を越えて添加すると、加工性、形状記憶効
果が著しく劣化するため上限を0.5%とした。 Al: Alには脱酸の作用があり、この脱酸作用を通
じて形状記憶効果を向上させる効果も有するが、
0.5%を越えて添加しても効果に変化はなく、熱
間加工性が劣化するので0.5%を上限とした。な
お、Cr,Ni,Si,Co,CおよびAlは、いずれも
結果的には本発明にかかるMn−N−Fe合金の形
状記憶効果を向上させるものであり、その意味に
おいて均等物であり、それらは、必要に応じ少な
くとも1種が前述Mn−N−Fe合金の形状記憶効
果を一層向上させるために添加されるものであ
る。 次に、この発明を実施例によつて比較例と対比
しながら説明する。 (実施例) 高周波溶解にて、第1表に示される如き化学成
分の14種の鉄合金を溶製した。 次いで、それらの合金の鋳塊を1200℃に加熱し
てから厚さ5mmの板にまで圧延し、常温にまで空
冷した後、再び1100℃に加熱して水冷すると言う
焼入れ処理を施した。このときの組織はオーステ
ナイト+微量のεマルテンサイト又はオーステナ
イト1相(比較鋼で一部α′マルテンサイト)であ
つた。 このようにして得た板材から、厚さ1mm×幅5
mm×長さ100mmの短冊状試験片を切り出し、各試
験片に対して室温での曲げ加工、Ac1点以上の加
熱、および室温までの空冷を行い、その復元率
(α値)を測定した。 ここで、復元率(α値)の測定は、次のように
実施した。 まず、種々の組成の鉄合金から、第1図aで示
されるような厚さ1mmの短冊状試験片を作成し、
次いで、室温下において第1図bで示される如く
曲率半径10mmにて90〔度〕の角度をなすまでの曲
げ加工を行い、更にその曲げ加工後の各試験片を
加熱炉中でAc1点以上の温度に加熱保持してから
室温にまで冷却し、加熱−冷却による試験片の曲
がり角度の変化〔第1図c参照〕を調査する。続
いて、この調査で得られた値から、 式:α=θ1−θ0/θ0 但し、 θ0:曲げ加工直後の試験片の曲がり角度(90度に
設定される)、 θ1:曲げ加工後、Ac1点以上の温度への加熱と室
温までの冷却とを施したときの試験片の曲がり
角度 を用いて復元率(α値)を算出するのである。 ここで、復元率(α値)が0より大きいと言う
ことは形状記憶効果が発現されていることを意味
し、前記α値が大きければ大きいほど形状記憶効
果に優れていると判断される。 これらの結果を第1表に併せて示す。 ここに、第1表に示される結果からも明らかな
ように、本発明の条件を満たす鉄合金はいずれも
復元率が0.5以上と大きな値を示している。 一方、これに対して、Mn成分やN成分の含有
量が本発明で規定する範囲から外れている比較合
金は、十分に満足できる形状記憶効果を有してい
ないことが明白である。
揮する鉄系の形状記憶合金に関するものである。 (従来の技術とその問題点) 現在、形状記憶特性を有する合金、いわゆる
“形状記憶合金”として、Ti−Ni合金、Cu合金
を始めとする非鉄系合金の他に、Fe−Ni系、Fe
−Mn系合金等の鉄系の形状記憶合金も確認され
ている。そのような鉄系合金の中でも、Fe−Mn
系合金が最も安価であるため、この系に属する形
状記憶合金の報告が目立つようになつてきた。 例えば、Mn含有量を15.9〜30.0wt%に規制し
たFe−Mn合金(特開昭55−73846号)、Mn含有
量を他の合金元素との兼ね合いで12.2〜20.5wt%
に規制したFe−Mn−Si、Ni、Cr合金(特開昭55
−76043号)、更に形状記憶効果を高めるためにSi
を4〜7wt%と高め、Mn量を26〜34wt%に規制
したFe−高Mn、高Si合金(特開昭61−201724
号)等が報告されている。 しかし、前二報告における合金では形状記憶効
果は極めて小さく(加熱、冷却による膨張、収縮
量が通常鋼の2倍程度)、形状記憶合金としての
用途には極めて不満足なものであつた。また、
Fe−高Mn−高Si合金に関しては形状記憶効果が
改善されはいるものの、Si量が高いために熱間加
工性に劣り、また、構造材としての強度も十分な
ものではない。 ここに、前述したようなFe−Mn系合金におけ
る形状記憶効果のメカニズムは必ずしも明確なも
のではないが、一般には次のように解釈されてい
る。 すなわち、冷間において加工を及び行うと歪誘
起変態によつてε−マルテンサイトが生成し、加
工歪がε−マルテンサイトとして蓄えられる。次
いで、こうした状態の合金をAc1点以上に加熱す
ると、ε−マルテンサイトからオーステナイトへ
の逆変態時に先きの冷間加工時の塑性歪、つまり
加工歪を可逆的に解放することとなり、その結
果、加工前の状態が復元され、形状記憶効果を示
すと言うものである。従つて、冷間加工の際にε
−マルテンサイトが生成し易くて加工による格子
歪(転位の発生)が抑えられる合金ほど、より優
れた形状記憶効果が得られると予想される。しか
し、従来の合金ではこの加工時のε−マルテンサ
イトの生成、導入が十分でなく、大部分の塑性歪
が転位として導入されるため良好な形状記憶効果
が得られなかつたと考えられる。 (問題点を解決するための手段) 本発明者等は、上述のような視点から検討を行
い、従来知られていた鉄系の形状記憶合金にみら
れる上記のような問題点を解消し、より一層優れ
た形状記憶効果を備えたコストの安い合金を実現
すべく研究を重ねたところ、Mn量を調整したFe
−Mn合金に微量のNを添加すると加工時のε−
マルテンサイトの生成が極めて容易となり、室温
での形状記憶効果が従来の鉄系合金に比べて大幅
に改善される、との知見を得るに至つたのであ
る。 すなわち、Mn:15〜30%の鉄系合金に0.03〜
0.3%のNを含有せしめることによりオーステナ
イト相の強化がはかられ、強度上昇そして転位発
生の抑制が実現されるとともに加工時にε−マル
テンサイトの生成が促進されるのである。通常、
鉄系合金にはNは0.02%以下程度不可避的に含有
されている。 この発明は、上記知見に基づいてなされたもの
であり、その要旨とするところは、重量%にて、
Mn:15〜30%、N:0.03〜0.3%を含有し、残部
Feおよび不可避不純物から成る鉄基合金の形状
記憶合金であり、または該成分にさらに15%以下
のCr、Ni、6%以下のSi、Co、0.5%以下のC、
Alから成る群から選んだ1種または2種以上含
有し、残部Feおよび不可避不純物から成る組成
に構成することで、優れた形状記憶効果を安定し
て発揮せしめ得るようにした鉄基合金の形状記憶
合金である。 (作用) 次いで、この発明において合金の組成成分割合
を上記の如くに数値限定した理由を説明する。 Mn: Mnは成分は、形状記憶効果を発現するのに有
効であるε−マルテンサイトの生成に極めて大き
な影響を与える元素であるが、その含有量が15%
未満であつたり、あるいは30%を越えたりすると
室温におけるε−マルテンサイト生成が不十分と
なり、良好な形状記憶効果が得られなくなること
から、Mn含有量は15〜30%と限定した。 N: Nはオーステナイト相それ自体を著しく強化す
ると同時にγ−ε変態を促進し、形状記憶効果を
大きく向上させる効果を有するが、その効果は
0.03%以上の添加によつて得られる。また、0.3
%を越えて含有すると、熱間加工性や成形性を劣
化させるため、N含有量を0.03〜0.3%と限定し
た。好ましくは、0.08〜0.2程度である。 Cr: Crは耐食性を向上させると同時に、加工歪導
入時にε−マルテンサイトの生成を促進し、形状
記憶効果を向上させる効果があるが、15%を越え
て含有すると、加工性および形状記憶効果を劣化
させるため上限を15%とした。 Ni: Niは形状記憶効果を劣化させることなく、耐
食性および靭性を向上させる効果があるが、15%
を越えて含有すると形状記憶効果を劣化させるよ
うになるので15%を上限とした。 Si: Siはε−マルテンサイトの生成を促進し、形状
記憶効果を向上させる効果をもつが、6%を越え
て添加すると時間加工性が著しく劣化するため6
%を上限とした。 Co: Coは形状記憶効果を向上させるが、極めて高
価であり、多量に添加すると返つて形状記憶効果
を損なうので上限を6%とした。 C: Cはオーステナイトを強化し、γ→ε変態を促
進して形状記憶効果を改善する作用があるが、
0.5%を越えて添加すると、加工性、形状記憶効
果が著しく劣化するため上限を0.5%とした。 Al: Alには脱酸の作用があり、この脱酸作用を通
じて形状記憶効果を向上させる効果も有するが、
0.5%を越えて添加しても効果に変化はなく、熱
間加工性が劣化するので0.5%を上限とした。な
お、Cr,Ni,Si,Co,CおよびAlは、いずれも
結果的には本発明にかかるMn−N−Fe合金の形
状記憶効果を向上させるものであり、その意味に
おいて均等物であり、それらは、必要に応じ少な
くとも1種が前述Mn−N−Fe合金の形状記憶効
果を一層向上させるために添加されるものであ
る。 次に、この発明を実施例によつて比較例と対比
しながら説明する。 (実施例) 高周波溶解にて、第1表に示される如き化学成
分の14種の鉄合金を溶製した。 次いで、それらの合金の鋳塊を1200℃に加熱し
てから厚さ5mmの板にまで圧延し、常温にまで空
冷した後、再び1100℃に加熱して水冷すると言う
焼入れ処理を施した。このときの組織はオーステ
ナイト+微量のεマルテンサイト又はオーステナ
イト1相(比較鋼で一部α′マルテンサイト)であ
つた。 このようにして得た板材から、厚さ1mm×幅5
mm×長さ100mmの短冊状試験片を切り出し、各試
験片に対して室温での曲げ加工、Ac1点以上の加
熱、および室温までの空冷を行い、その復元率
(α値)を測定した。 ここで、復元率(α値)の測定は、次のように
実施した。 まず、種々の組成の鉄合金から、第1図aで示
されるような厚さ1mmの短冊状試験片を作成し、
次いで、室温下において第1図bで示される如く
曲率半径10mmにて90〔度〕の角度をなすまでの曲
げ加工を行い、更にその曲げ加工後の各試験片を
加熱炉中でAc1点以上の温度に加熱保持してから
室温にまで冷却し、加熱−冷却による試験片の曲
がり角度の変化〔第1図c参照〕を調査する。続
いて、この調査で得られた値から、 式:α=θ1−θ0/θ0 但し、 θ0:曲げ加工直後の試験片の曲がり角度(90度に
設定される)、 θ1:曲げ加工後、Ac1点以上の温度への加熱と室
温までの冷却とを施したときの試験片の曲がり
角度 を用いて復元率(α値)を算出するのである。 ここで、復元率(α値)が0より大きいと言う
ことは形状記憶効果が発現されていることを意味
し、前記α値が大きければ大きいほど形状記憶効
果に優れていると判断される。 これらの結果を第1表に併せて示す。 ここに、第1表に示される結果からも明らかな
ように、本発明の条件を満たす鉄合金はいずれも
復元率が0.5以上と大きな値を示している。 一方、これに対して、Mn成分やN成分の含有
量が本発明で規定する範囲から外れている比較合
金は、十分に満足できる形状記憶効果を有してい
ないことが明白である。
【表】
【表】
(注) *:本発明の範囲外
(発明の効果) 以上の説明した如く、この発明によれば、復元
率が0.5以上と、従来知られていたFe−Mn合金よ
りも著しく優れた形状記憶効果を有する低コスト
の鉄合金を得ることができ、それらを継手材料と
して利用することにより、各種構造部材の締結・
固定等における信頼性向上が達成されるのみなら
ず、より新規な産業技術開発の可能性を一層身近
かなものとすることができるなど、産業上極めて
有効な効果がもたらされるのである。
(発明の効果) 以上の説明した如く、この発明によれば、復元
率が0.5以上と、従来知られていたFe−Mn合金よ
りも著しく優れた形状記憶効果を有する低コスト
の鉄合金を得ることができ、それらを継手材料と
して利用することにより、各種構造部材の締結・
固定等における信頼性向上が達成されるのみなら
ず、より新規な産業技術開発の可能性を一層身近
かなものとすることができるなど、産業上極めて
有効な効果がもたらされるのである。
第1図は、形状記憶効果(復元率)の測定方法
の説明図であり、第1図aは試験前の試験片を、
第1図bは曲げ加工後の試験片を、そして第1図
cはAc1点以上への加熱と冷却とを施した後の試
験片の状態とをそれぞれ示す略式説明図である。
の説明図であり、第1図aは試験前の試験片を、
第1図bは曲げ加工後の試験片を、そして第1図
cはAc1点以上への加熱と冷却とを施した後の試
験片の状態とをそれぞれ示す略式説明図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量%にて、Mn:15.0〜30.0%、N:0.03〜
0.30%を含有し、残部Feおよび不可避不純物から
成ることを特徴とする形状記憶合金。 2 重量%にて、Mn:15.0〜30.0%、N:0.03〜
0.30%に加えて、それぞれ15%以下のCrおよび
Ni、それぞれ6%以下のSiおよびCo、それぞれ
0.5%以下のCおよびAlから成る群から選んだ1
種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可
避不純物から成ることを特徴とする形状記憶合
金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4906087A JPS63216946A (ja) | 1987-03-04 | 1987-03-04 | 形状記憶合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4906087A JPS63216946A (ja) | 1987-03-04 | 1987-03-04 | 形状記憶合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63216946A JPS63216946A (ja) | 1988-09-09 |
JPH0586463B2 true JPH0586463B2 (ja) | 1993-12-13 |
Family
ID=12820540
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4906087A Granted JPS63216946A (ja) | 1987-03-04 | 1987-03-04 | 形状記憶合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS63216946A (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02149648A (ja) * | 1988-12-01 | 1990-06-08 | Nisshin Steel Co Ltd | 形状記憶ステンレス鋼およびその形状記憶方法 |
JPH02228451A (ja) * | 1989-02-28 | 1990-09-11 | Nippon Steel Corp | 鉄基形状記憶合金 |
US5032195A (en) * | 1989-03-02 | 1991-07-16 | Korea Institute Of Science And Technology | FE-base shape memory alloy |
JPH0328319A (ja) * | 1989-06-26 | 1991-02-06 | Nisshin Steel Co Ltd | ステンレス鋼製のパイプ継手およびその製造法 |
JPH0382741A (ja) * | 1989-08-25 | 1991-04-08 | Nisshin Steel Co Ltd | 耐応力腐食割れ性に優れた形状記憶ステンレス鋼およびその形状記憶方法 |
FR2654748B1 (fr) * | 1989-11-22 | 1992-03-20 | Ugine Aciers | Alliage inoxydable a memoire de forme et procede d'elaboration d'un tel alliage. |
US5290372A (en) * | 1990-08-27 | 1994-03-01 | Woojin Osk Corporation | Fe-Mn group vibration damping alloy manufacturing method thereof |
-
1987
- 1987-03-04 JP JP4906087A patent/JPS63216946A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63216946A (ja) | 1988-09-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH0586463B2 (ja) | ||
US5350559A (en) | Ferrite steel which excels in high-temperature strength and toughness | |
JP2668113B2 (ja) | 加工性に優れた高強度非磁性ステンレス鋼材料の製造方法 | |
JPH0472013A (ja) | 耐濃硫酸腐食性に優れた二相ステンレス鋼の製造方法 | |
JPH02270938A (ja) | 鉄基形状記憶合金及びその製造方法 | |
JPH0124206B2 (ja) | ||
JP3004784B2 (ja) | 高温用高靱性フェライト系ステンレス鋼 | |
JPH07157852A (ja) | 高温塩害特性に優れたフェライト系ステンレス鋼 | |
JPH03243743A (ja) | 中常温域で高い硬度を有する中常温用耐摩耗鋼 | |
JP3364322B2 (ja) | 製造性、加工性および高温長時間時効後の高温強度に優れた自動車排気マニホールド用ステンレス鋼 | |
JPH01215491A (ja) | Cr−Mo系低合金鋼用被覆アーク溶接棒 | |
JPS6059981B2 (ja) | 粒界腐食割れ特性および加工性にすぐれた高強度ステンレス鋼 | |
JP3718637B2 (ja) | 溶接性に優れた耐火鋼材 | |
JP2955438B2 (ja) | 超電導材コンジット用ステンレス鋼 | |
JPS63157838A (ja) | 耐隙間腐食性に優れる2相ステンレス鋼 | |
JPS60238456A (ja) | 耐粒界腐食性と靭性の優れたフエライト系ステンレス鋼 | |
JPS6270553A (ja) | 高温強度の優れるオ−ステナイト鋼 | |
JP3473083B2 (ja) | 高温塩害特性、靱性及び高温強度に優れたCr含有鋼 | |
JPH02149648A (ja) | 形状記憶ステンレス鋼およびその形状記憶方法 | |
JPH05255788A (ja) | 耐水素脆化高Ni基合金およびその製造方法 | |
JPH10147848A (ja) | 高温強度及び高温酸化特性に優れたエンジン排ガス経路部材用フェライト系高Cr鋼 | |
JP2003342692A (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼 | |
JPS61223155A (ja) | 高耐食性Ni基合金およびその製造法 | |
JPH0649600A (ja) | 耐酸腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼 | |
JPH02270934A (ja) | 溶接熱影響部の耐応力除去焼鈍脆化特性に優れた高張力鋼 |