JPH0586276A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH0586276A
JPH0586276A JP27495291A JP27495291A JPH0586276A JP H0586276 A JPH0586276 A JP H0586276A JP 27495291 A JP27495291 A JP 27495291A JP 27495291 A JP27495291 A JP 27495291A JP H0586276 A JPH0586276 A JP H0586276A
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JP
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polyolefin
ethylene
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component
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Application number
JP27495291A
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English (en)
Inventor
Koichi Yokoyama
公一 横山
Tetsuya Kawamura
哲也 河村
Katsuyuki Yokomizo
勝行 横溝
Tatsuo Teraya
竜男 寺屋
Yuji Fujita
祐二 藤田
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (a)ポリエステルと、(b)不飽和グリシ
ジル化合物で変性された変性ポリオレフィンを2重量%
以上含むポリオレフィンと、(c)不飽和カルボン酸ま
たはその誘導体で変性されたエチレン−α−オレフィン
共重合体ゴムとを含有し、成分(a)および成分(b)
の割合が、重量比で(a)/(b)=2/98〜98/
2であり、成分(c)の含有量が(a)+(b)の合計
100重量部に対して2〜40重量部であることを特徴
とする熱可塑性樹脂組成物。 【効果】 ポリエステルとポリオレフィンとの特性を兼
備し、特に機械的強度および成形品の表面剥離性に優れ
た熱可塑性樹脂組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリエステルとポリオレ
フィンとを含有する熱可塑性樹脂組成物に関する。より
詳しくは、ポリエステルとポリオレフィンとが良好に相
溶化し、耐衝撃性、機械的強度、表面剥離性などの力学
的特性、耐水性、耐薬品性、耐熱性、外観などの表面特
性に優れ、自動車の内外装品や電装部品あるいは家電製
品などの成形品用等として好適な熱可塑性樹脂組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】ポリエステルは耐熱性、
機械的強度および絶縁性に優れた樹脂である。これに対
してポリオレフィンは、軽量かつ耐衝撃性に優れ、成形
性、耐水性あるいは耐薬品性などの環境特性が良好であ
るという特長を有する。このため、それぞれに優れた特
長を有するポリエステルとポリオレフィンとを配合する
ことにより、両者の長所を備えた樹脂組成物をつくる試
みが行なわれている。しかし、ポリエステルとポリオレ
フィンは相溶性が悪いために、両者を配合した熱可塑性
樹脂組成物は耐衝撃性、機械的強度などが大きく低下
し、また表面剥離を生じるという問題がある。
【0003】そこで、ポリエステルとポリオレフィンの
相溶性を向上させることを目的として、ポリエステル
に、不飽和カルボン酸またはその誘導体、特に無水マレ
イン酸(MAH)等の不飽和ジカルボン酸の無水物で変
性したポリオレフィンを配合して溶融混練することによ
り、ポリエステルとポリオレフィンの相溶分散性を向上
させ、耐衝撃性の向上や吸水による劣化を防止すること
が行なわれている。しかし、この方法では相溶化による
物性の改善が十分でなく、中でも特に表面剥離性は殆ど
改善されない。従って、本発明の目的はポリエステルと
ポリオレフィンとが良好に相溶化し、優れた力学的特性
および表面特性を有する熱可塑性樹脂組成物を提供する
ことにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねた結果、ポリエステルとポリオレフィンとに、特定
量の不飽和グリシジル化合物で変性されたポリオレフィ
ンと、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された
エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムを配合させる
と、ポリエステルとポリオレフィンとが良好に相溶化
し、特に破断点伸度などの力学的特性および表面剥離性
が改善され、加工製品の外観や耐久性に優れた熱可塑性
樹脂組成物が得られることを見出だし、本発明に到達し
たものである。
【0005】すなわち、本発明は、(a)ポリエステル
と、(b)不飽和グリシジル化合物で変性された変性ポ
リオレフィンを2重量%以上含むポリオレフィン、およ
び(c)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性され
たエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとを含有し、
成分(a)および成分(b)の割合が、重量比で(a)
/(b)=2/98〜98/2であり、成分(c)の含
有量が(a)+(b)の合計100重量部に対して2〜
40重量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物
に関するものである。
【0006】以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物を詳細
に説明する。本発明で使用する熱可塑性樹脂組成物成分
の(a)ポリエステルは、一般に飽和ジカルボン酸と飽
和二価アルコールとのポリ縮合で得られる熱可塑性樹脂
であり、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロ
ピレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレ
ート(ポリブチレンテレフタレート)、ポリヘキサメチ
レンテレフタレート、ポリシクロヘキサン−1,4−ジ
メチロールテレフタレート、ポリネオペンチルテレフタ
レート等が挙げられる。これらの中ではポリエチレンテ
レフタレートおよびポリブチレンテレフタレートが好ま
しい。
【0007】上記成分(a)のポリエステルは、o−ク
ロロフェノール溶媒中において25℃で測定した溶液粘
度より求めた固有粘度[η](dl/g)が0.30〜1.8 で、
末端カルボキシル基の濃度が10〜200m当量/kgの
ものが好ましい。ポリエチレンテレフタレートの場合、
固有粘度[η]は0.30〜1.2 で、末端カルボキシル基濃
度は10〜200m当量/kgのものが好ましい。なお、
ポリエチレンテレフタレート中のテレフタル酸成分は、
アルキル基、ハロゲン基等で置換されたものでもよく、
またグリコール成分は、エチレングリコールの他に50
重量%程度まで他のグリコール、例えば1,4−ブチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレン
グリコール等を含有していてもよい。
【0008】また、ポリブチレンテレフタレートの場
合、固有粘度[η]は0.30〜1.8 で、末端カルボキシル
基濃度は10〜200m当量/kgのものが好ましい。こ
の場合もテレフタル酸成分はアルキル基、ハロゲン基等
で置換されたものでもよく、またグリコール成分は1,
4−ブチレングリコールの他に50重量%程度まで他の
グリコール、例えばエチレングリコール、プロピレング
リコール、ヘキサメチレングリコール等を含有していて
もよい。
【0009】本発明における熱可塑性樹脂組成物の
(b)成分の一つである未変性ポリオレフィンとは、エ
チレン、およびプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−
1、3−メチルブテン−1、4−メチル−ペンテン−
1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素
数3以上のα−オレフィンの単独重合体、これら2種以
上のモノマーのランダム、ブロック、グラフト等の共重
合体、これらの混合物、エチレンまたは炭素数3以上の
α−オレフィンの主要部と他の不飽和モノマーとのラン
ダム、ブロック、グラフト等の共重合体をいう。
【0010】これらポリオレフィンの中では、エチレン
またはプロピレンの単独重合体、エチレンとプロピレン
の共重合体、エチレンまたはプロピレンと他のα−オレ
フィンとの共重合体が好ましい。特に好ましいのは、エ
チレン含有量が20重量%以下のエチレン−プロピレン
共重合体であり、このようなポリプロピレンは通常0.1
〜200g/10分程度のメルトフローレート(MF
R、JISK7210、荷重2.16kg、230℃)を有する。エチ
レンの重合体としては高圧法低密度ポリエチレン(LD
PE)や低圧法高密度ポリエチレン(HDPE)などの
単独重合体のほか、線状低密度ポリエチレン(LLDP
E)なども用いることができる。
【0011】また、上記ポリオレフィンに対してオレフ
ィン系エラストマーを40重量%程度まで配合したもの
も用いることができる。ここで、オレフィン系エラスト
マーとは、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセ
ン−1、4−メチル−ペンテン−1等のα−オレフィン
の2種または3種以上の共重合体ゴム、またはα−オレ
フィンと他種モノマーとの共重合体を意味する。上記α
−オレフィンの2種または3種以上の共重合体ゴムの具
体例としてはエチレン−プロピレンゴム(EPR)、エ
チレン−ブテンゴム(EBR)およびエチレン−プロピ
レン−ジエンゴム(EPDM)などを挙げることができ
る。また、下記一般式で表わされる非共役ジエンコモノ
マーを含有するプロピレンランダム共重合体(PPD
M)も成分(b)として使用することができる。
【0012】
【化2】
【0013】[式中、R1 〜R4 は水素原子または炭素
数1〜6のアルキル基であり、mは1〜20の整数を表
わす。]
【0014】本発明における熱可塑性樹脂組成物の
(b)成分中に2重量%以上含まれる変性ポリオレフィ
ンとは、上述の各種ポリオレフィンを不飽和グリシジル
化合物で変性したものである。ここで、変性剤として使
用される不飽和グリシジル化合物としては、分子中にオ
レフィンと共重合し得る不飽和基とグリシジルオキシ基
とを有するグリシジル化合物が挙げられ、具体的には、
不飽和グリシジルエステル類、不飽和グリシジルエーテ
ル類のほか、アクリルアミド基あるいはメタクリルアミ
ド基とエポキシ基とを有する下記一般式(1)で示され
るものが好ましく使用される。
【0015】
【化3】
【0016】[式中、Rは水素原子または炭素数1〜6
のアルキル基であり、Arはグリシジルオキシ基を少な
くとも1つ以上有する炭素数6〜20の芳香族炭化水素
基であり、nは1〜4の整数を表わす。]上記一般式の
不飽和グリシジル化合物の中でも、特に下記一般式
(2)で示されるグリシジル化合物が好ましい。
【0017】
【化4】
【0018】[式中、Rは水素原子または炭素数1〜6
のアルキル基である。]このようなグリシジル化合物
は、例えば特開昭60-130580 号に示されるような方法に
より製造することができる。これら不飽和グリシジル化
合物は単独で、あるいは2種以上併用することもでき
る。
【0019】このような変性剤によって変性される原料
ポリオレフィンとしては、先に例示したものが挙げられ
るが、これらのうち特にポリエチレンおよびポリプロピ
レンが好ましく用いられる。ポリプロピレンとしては前
述のように単独重合体以外にエチレンの他、ブテン、4
−メチルペンテン−1等の他のα−オレフィンを40重
量%程度まで共重合したものやPPDMが含まれ、ポリ
エチレンにはLDPE、HDPEおよびLLDPEが含
まれる。
【0020】本発明において好ましい変性ポリオレフィ
ンは、上記の原料ポリオレフィン、中でもポリエチレン
またはポリプロピレンを、前記一般式(1)で示される
グリシジル化合物、特に前記一般式(2)で示されるグ
リシジル化合物で変性したものものである。上記変性ポ
リオレフィンの変性剤としての不飽和グリシジル化合物
の含有量は原料ポリオレフィンの種類などによって異な
り一概には言えないが、一般には0.1 〜10重量%程
度、好ましくは0.3 〜7重量%である。
【0021】変性ポリオレフィンは溶液法または溶融混
練法等の既知の変性法を利用して得ることができる。ま
た、市販のものから所望のものを適宜選択して使用して
もよい。変性法の具体例として、前記グリシジル化合物
によるポリプロピレンの変性例(グラフト重合)を以下
に示す。すなわち、溶融混練法においては、ポリプロピ
レンと前述したグリシジル化合物、および必要に応じて
触媒を用い、これら成分を押出機や二軸混練機等に投入
し、170〜300℃程度の温度に加熱して溶融しなが
ら、0.1 〜20分程度混練して変性ポリプロピレンを得
る。また溶液法の場合には、キシレン等の有機溶剤に上
記の出発物質を溶解し、90〜200℃程度の温度で0.
1 〜100時間撹拌しながら変性を行なう。
【0022】いずれの変性法の場合にも、触媒として通
常のラジカル重合用触媒を用いることができ、例えば過
酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化ジ−t−ブ
チル、過酸化アセチル、過安息香酸t−ブチル、過酸化
ジクミル、過安息香酸、過酢酸、過ピバリン酸t−ブチ
ル、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオ
キシヘキシン等の過酸化物類や、アゾビスイソブチロニ
トリル等のジアゾ化合物類等が用いられる。触媒の添加
量は変性用のグリシジル化合物100重量部に対して0.
1 〜10重量部程度である。なお、上記のグラフト反応
時にフェノール系酸化防止剤を添加することも可能であ
る。
【0023】こうして得られる変性ポリプロピレンのグ
ラフト率は0.1 〜10重量%程度であり、1〜1000g/
10分程度のメルトフローレート(MFR、JISK7210、
荷重2.16kg、230℃)を有する。またポリエチレンな
どの他の原料ポリオレフィンの変性も上述の方法に準じ
て行なうことができ、不飽和グリシジル化合物のグラフ
ト率が0.1 〜10重量%で、0.1 〜1000g/10分程度
のメルトフローレート(MFR、JISK7210、荷重2.16k
g、190℃)有する変性ポリエチレンも好ましい。
【0024】本発明では上記成分(a)および成分
(b)の相溶化の改善のために、(c)不飽和カルボン
酸またはその誘導体で変性されたエチレン−α−オレフ
ィン共重合体ゴムを配合する。本発明の熱可塑性樹脂組
成物成分(c)において用いられる変性剤の不飽和カル
ボン酸またはその誘導体としては、例えば、アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、エンド−ビシクロ
[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸
(エンディック酸)、フマール酸、テトラヒドロフタル
酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロ
トン酸等の不飽和モノあるいはジカルボン酸、またはそ
の誘導体、例えば酸、ハライド、アミド、イミド、無水
物、エステル等が挙げられる。誘導体の具体例として
は、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水
エンディック酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチ
ル、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイ
ン酸ジメチル等が挙げられる。これらの中では、不飽和
ジカルボン酸またはその誘導体が好適であり、特にマレ
イン酸およびエンディック酸、またはそれらの無水物が
好ましい。これら変性剤は単独で、あるいは2種以上同
時に使用することもできる。
【0025】このような変性剤によって変性されるエチ
レン−α−オレフィン共重合体ゴムとは、エチレン、プ
ロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペ
ンテン−1等のα−オレフィンの2種または3種以上の
共重合体ゴム、またはα−オレフィンと他種モノマーと
の共重合体ゴムを意味する。上記α−オレフィンの2種
または3種以上の共重合体ゴムの具体例としてはエチレ
ン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−ブテンゴム
(EBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EP
DM)等を挙げることができる。これらの共重合体ゴム
は1種類を単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を
併用することができる。
【0026】(c)成分の変性共重合体ゴムは前記変性
ポリオレフィンの変性法と同様にして得ることができ
る。こうして得られる不飽和カルボン酸またはその誘導
体で変性されたエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム
のグラフト率は0.1 〜10重量%程度であり、1〜1000
g/10分程度のメルトフローレート(MFR、JISK72
10、荷重2.16kg、230℃)を有する。
【0027】本発明において上記(a)成分および
(b)成分の配合割合は、重量比で(a)/(b)=2
/98〜98/2、好ましくは10/90〜90/10
である。重量比が2/98未満では強度、剛性が不足
し、また98/2を超えると耐衝撃性の低下を招き、両
者の特性を兼備した熱可塑性樹脂組成物が得られない。
成分(b)において、未変性ポリオレフィンと変性ポリ
オレフィンとの割合は、重量比で98/2〜0/10
0、好ましくは95/5〜0/100である。本発明は
成分(b)の全量が変性ポリオレフィンである組成物も
包含する。すなわち、成分(a)のポリエステルと成分
(b)の変性ポリオレフィンと成分(c)の不飽和カル
ボン酸またはその誘導体で変性されたエチレン−α−オ
レフィン共重合体ゴムとからなる組成物は相溶性に優
れ、ポリオレフィンとポリエステルとの特色を兼ね備え
ており、本発明に含まれるものである。しかし、成分
(b)中の未変性ポリオレフィンと変性ポリオレフィン
の重量比が98/2未満では変性ポリオレフィンが少な
すぎ、その配合によるポリオレフィンとポリエステルの
相溶性の改善効果が認められない。成分(c)の含有量
は(a)+(b)の合計100重量部に対して2〜40
重量部、好ましくは5〜30重量部である。(c)の重
量比が2重量%未満ではポリエステルとポリオレフィン
の相溶性を改善できず、40重量%を超えると機械物性
の低下を招く。
【0028】本発明では上記した成分以外にも、熱可塑
性樹脂組成物の強化や改質を目的としてその他の物質、
例えば、ガラス繊維等の充填材や強化材、熱安定剤、光
安定剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、発泡剤、造核剤
等を添加配合することができる。
【0029】上記の各成分、すなわちポリエステルと、
不飽和グリシジル化合物で変性したポリオレフィンを2
重量%含むポリオレフィンと、不飽和カルボン酸または
その誘導体で変性されたエチレン−α−オレフィン共重
合体ゴムとを、上記の割合で配合混練することにより、
ポリエステルとポリオレフィンとが良好に相溶化し、ポ
リエステルとポリオレフィンとの特性を兼備した本発明
の熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
【0030】溶融混練の方法としては従来公知の各種方
法が採用可能である。すなわち、バッチ式混練機を用い
て一括混練する方法、あるいはバンバリーミキサー、ブ
ラベンダー、混練ロール、一軸押出機、二軸押出機等の
混練機を用いて混練する方法等を例示することができ
る。混練の温度は230〜320℃、好ましくは250
〜280℃の範囲である。混練温度が230℃未満では
ポリエステルとポリオレフィンの相溶化が不十分であ
り、また320℃を越える温度では樹脂本来の特性が損
なわれることがある。
【0031】各成分の混練順序は特に制限はなく、成分
(a)、成分(b)、および成分(c)を一括混練して
よく、また成分(a)と成分(b)を混練した後、成分
(c)を混練してもよい。さらには、成分(b)として
未変性ポリオレフィンと変性ポリオレフィンとを独立に
用い、未変性ポリオレフィンと成分(a)とを混練した
後、変性ポリオレフィンと成分(c)とを混練してもよ
く、その他の混練順序もとり得るものである。
【0032】
【作用】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリエステル
と、不飽和グリシジル化合物(アクリルアミドあるいは
メタクリルアミド基とエポキシ基を有する化合物)で変
性されたポリオレフィンを含有するポリオレフィンと、
不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたエチレ
ン−α−オレフィン共重合体ゴムとを含有するものであ
り、樹脂成分であるポリエステルとポリオレフィンとが
良好に相溶化して耐衝撃性、耐熱性、機械的強度、絶縁
性に優れるとともに、表面剥離がない熱可塑性樹脂組成
物である。本発明の熱可塑性樹脂組成物がこのような効
果を発揮する理由は必ずしも明らかではないが、変成ポ
リオレフィンの特に(メタ)クリルアミド基およびエポ
キシ基と、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性さ
れたエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとの相互作
用を介してポリエステルとポリオレフィンとが相溶化す
ることによると考えられる。
【0033】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明は下記の例に限定される
ものではない。実施例および比較例において、原料成分
および添加剤として以下のものを使用した。
【0034】ポリエステル (1) ポリブチレンテレフタレート(PBT):帝人
(株)製 C 7000N、固有粘度[η]1.08(o−クロロフ
ェノール中、25℃)。 (2) ポリエチレンテレフタレート(PET):帝人
(株)製 TR 4550BH、固有粘度[η]0.70(o−クロロ
フェノール中、25℃)。
【0035】未変性ポリオレフィン (1) ポリプロピレンホモポリマー(PP):東燃化学
(株)製 J209 、メルトフローレート(MFR、230
℃、2.16kg荷重) 8.5g/10分。 (2) 高密度ポリエチレン(HDPE):東燃化学(株)
製 J6140V 、メルトフローレート(MFR、190℃、
2.16kg荷重)5.0g/10分。
【0036】変性ポリオレフィン (1) 変性ポリプロピレン(変性PP(1) ):ポリプロピ
レン[メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg
荷重)1g/10分]100重量部に対し、有機過酸化
物(パーヘキシン25B:日本油脂(株)製) 0.1重量
部、無水マレイン酸1重量部をドライブレンドした後、
直径30mm、L/D比30の単軸式押出機を用い、ス
クリュー回転速度60rpm 、温度200℃で溶融混練
し、メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷
重)150g/10分の変性ポリプロピレンを得た。こ
の変性ポリプロピレンの無水マレイン酸グラフト率は0.
25重量%であった。なお、グラフト率は以下の方法で算
出した。
【0037】変性ポリプロピレンのIRスペクトル(変
性ポリプロピレンを沸騰キシレンに溶解し、不溶分を除
去した後、メタノールにより溶解成分を沈殿させ、これ
を50μm程度の厚さにプレスしたものに対して測
定。)において、無水マレイン酸のカルボニル(C=
O)結合の伸縮にかかるピーク(1780cm-1)と、アイソ
タクティックポリプロピレンに特有のピークの1つ(84
0 cm-1)との吸光度の比からグラフト率を算出した。
【0038】(2) 変性ポリプロピレン(変性PP(2)
):ポリプロピレン[メルトフローレート(MFR、
230℃、2.16kg荷重)1g/10分]100重量部に
対し、有機過酸化物(パーヘキシン25B)0.05重量
部、下記化学式で表わされる不飽和グリシジル化合物
(AXE)[鐘淵化学工業(株)製]
【0039】
【化5】
【0040】を3重量部をドライブレンドした後、直径
30mm、L/D比30の単軸式押出機を用い、スクリ
ュー回転速度60rpm 、温度200℃で溶融混練し、メ
ルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)3
0g/10分の変性ポリプロピレンを得た。この変性ポ
リプロピレンのAXEのグラフト率は、2.5 重量%であ
った。なお、グラフト率はAXEのC=O結合の伸縮に
かかるピーク(1648cm-1)を基準としたこと以外は、前
記無水マレイン酸の場合と同様にして求めた。
【0041】(3) 変性ポリエチレン(変性PE):高密
度ポリエチレン[メルトフローレート(MFR、190
℃、2.16kg荷重)1.0g/10分、ジエン含量: 0.4m
ol%]100重量部に対し、有機過酸化物(パーヘキ
シン25B) 0.1重量部、AXE20重量部をドライブ
レンドした後、直径30mm、L/D比30の単軸式押
出機を用い、スクリュー回転速度60rpm 、温度200
℃で溶融混練し、メルトフローレート(MFR、190
℃、2.16kg荷重) 0.7g/10分の変性ポリエチレンを
得た。この変性ポリプロピレンのAXEグラフト率は、
1.7 重量%であった。
【0042】不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性
されたエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム (1) 変性エチレン−ブテン共重合体(変性EBR):エ
チレン−ブテン共重合体[日本合成ゴム(株)製 EBM2
041P、メルトフローレート(MFR、190℃、2.16kg
荷重) 1.5g/10分]100重量部に対し、有機過酸
化物(パーヘキシン25B) 0.1重量部、無水マレイン
酸1重量部をドライブレンドした後、直径30mm、L
/D比30の単軸式押出機を用い、スクリュー回転速度
80rpm 、温度200℃で溶融混練し、メルトフローレ
ート(MFR、190℃、2.16kg荷重)1.5g/10分
の変性エチレン−ブテン共重合体を得た。この変性の変
性エチレン−ブテン共重合体の無水マレイン酸グラフト
率は 0.5重量%であった。
【0043】実施例1〜28および比較例1〜17 ポリエステル(PETまたはPBT)と、ポリオレフィ
ン(PPまたはHDPE)と、変性ポリオレフィン(変
性PP(1) 、変性PP(2) または変性PE)、および不
飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたエチレン
−α−オレフィン共重合体ゴム(変性EBR)とを第1
表に示す割合で用い、これを直径45mm、L/D比3
0の二軸式押出機を用い、スクリュー回転速度200rp
m 、温度250℃で溶融混練し、ペレット化した。この
ようにして得られた熱可塑性樹脂組成物のメルトフロー
レート(MFR、250℃、2.16kg荷重)、表面剥離
性、曲げ弾性率、アイゾット(Izod)衝撃強度、降伏点強
度、破断点伸度および熱変形温度(HDT) を測定した。結
果を第1表に合せて示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】上記第1表に示した各物性の測定方法は以
下のとおりである。 (1) メルトフローレート:250℃、2.16kg荷重で測
定。 (2) 表面剥離性:テストピース表面にカミソリを用いて
1mm×1mm のマス目を100個つけ、マス目にセロハン
テープ(ニチバン(株)製)を付着した後はぎ取った。
100個のマス目のうち、セロハンテープに付着せずテ
ストピース表面に残ったマス目の数を数えた。 (3) 曲げ弾性率(23℃):ASTM D790 により測定。 (4) アイゾット(Izod)衝撃強度(23℃):ASTM D256
により測定。 (5) 破断点伸度(23℃):ASTM D638 により測定。 (6) 降伏点強度(23℃):ASTM D638 により測定。 (7) 熱変形温度(HDT) (4.6kg/cm2 ):ASTM D648 によ
り測定。
【0050】第1表から明らかなように、ポリエステル
と未変性のポリオレフィンとからなる組成物(比較例5
〜7および10〜15)は、ポリエステル(比較例1、
2)およびポリオレフィン(比較例3、4)に比べて、
表面剥離性、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度、破断点
伸度、降伏点強度および熱変形温度のすべてが劣り、ポ
リエステルとポリオレフィンの相溶性が悪いことが分
る。また、ポリエステルと未変性のポリオレフィンと
に、無水マレイン酸変性ポリオレフィンを配合した組成
物(比較例8〜9および16〜17)は表面剥離性にお
いて若干の改善はみられるものの、その他の物性は依然
として不十分である。これに対して本発明の熱可塑性樹
脂組成物は、上記比較例に比べて、表面剥離性、曲げ弾
性率、アイゾット衝撃強度、破断点伸度、降伏点強度お
よび熱変形温度のすべてが良好であり、特に表面剥離
性、アイゾット衝撃強度および破断点伸度の改善が著し
い。
【0051】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の熱可塑性
樹脂組成物は、ポリオレフィンとポリエステルの相溶性
を向上させるために、不飽和グリシジル化合物で変性し
たポリオレフィンおよび不飽和カルボン酸またはその誘
導体で変性されたエチレン−α−オレフィン共重合体ゴ
ムを配合してなるものであり、耐衝撃性、耐熱性、機械
的強度、絶縁性に優れるとともに、耐表面剥離性など良
好な表面性を有している。このような本発明の熱可塑性
樹脂組成物は、各種エンジニアリングプラスチックとし
て、特に自動車の内装および外装部品、家電部品、工業
材料部品、包装材料等用の樹脂組成物として好適であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺屋 竜男 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡1丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内 (72)発明者 藤田 祐二 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡1丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ポリエステルと、(b)不飽和グ
    リシジル化合物で変性された変性ポリオレフィンを2重
    量%以上含むポリオレフィンと、(c)不飽和カルボン
    酸またはその誘導体で変性されたエチレン−α−オレフ
    ィン共重合体ゴムとを含有し、成分(a)および成分
    (b)の割合が、重量比で(a)/(b)=2/98〜
    98/2であり、成分(c)の含有量が(a)+(b)
    の合計100重量部に対して2〜40重量部であること
    を特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1における成分(b)の変性ポリ
    オレフィンが、下記一般式 【化1】 [式中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基
    であり、Arはグリシジルオキシ基を少なくとも1つ以
    上有する炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であり、n
    は1〜4の整数を表わす。]で表わされる不飽和グリシ
    ジル化合物で変性されたポリオレフィンである請求項1
    に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1における成分(c)の不飽和カ
    ルボン酸またはその誘導体で変性されたエチレン−α−
    オレフィン共重合体ゴムが、不飽和ジカルボン酸または
    その無水物で変性されたエチレン−プロピレンゴム、エ
    チレン−ブテンゴムおよびエチレン−プロピレン−ジエ
    ンゴムから選択される少なくとも1種類のゴムである請
    求項1または請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012014823A1 (ja) * 2010-07-30 2012-02-02 東洋紡績株式会社 電気電子部品低圧インサート成形用樹脂組成物、電気電子部品封止体および電気電子部品封止体の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012014823A1 (ja) * 2010-07-30 2012-02-02 東洋紡績株式会社 電気電子部品低圧インサート成形用樹脂組成物、電気電子部品封止体および電気電子部品封止体の製造方法
JP5853701B2 (ja) * 2010-07-30 2016-02-09 東洋紡株式会社 電気電子部品低圧インサート成形用樹脂組成物、電気電子部品封止体および電気電子部品封止体の製造方法

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