JPH0586275A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH0586275A
JPH0586275A JP27495191A JP27495191A JPH0586275A JP H0586275 A JPH0586275 A JP H0586275A JP 27495191 A JP27495191 A JP 27495191A JP 27495191 A JP27495191 A JP 27495191A JP H0586275 A JPH0586275 A JP H0586275A
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JP
Japan
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modified
polyolefin
weight
styrene
resin composition
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Pending
Application number
JP27495191A
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English (en)
Inventor
Koichi Yokoyama
公一 横山
Tatsuo Teraya
竜男 寺屋
Katsuyuki Yokomizo
勝行 横溝
Yuji Fujita
祐二 藤田
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Publication date
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリオレフィンとポリエステルとの特性を兼
備する力学的特性および表面特性に優れた熱可塑性樹脂
組成物を提供する。 【構成】 (a)ポリエステルと、(b)不飽和カルボ
ン酸またはその誘導体で変性された変性ポリオレフィン
を2重量%以上含むポリオレフィンと、(c)不飽和グ
リシジル化合物で変性されたスチレン系樹脂とを含有
し、前記成分(a)および(b)の割合が、重量比で
(a)/(b)=2/98〜98/2であり、成分
(c)の含有量が(a)+(b)の合計100重量部に
対して2〜40重量部であることを特徴とする熱可塑性
樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリエステルとポリオレ
フィンとを含有する熱可塑性樹脂組成物に関する。より
詳しくは、ポリエステルとポリオレフィンとが良好に相
溶化し、耐衝撃性、機械的強度などの力学的特性、およ
び外観などの表面特性に優れ、自動車の内外装品や電装
部品あるいは家電製品などの成形品用等として好適な熱
可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】ポリエステルは耐熱性、
機械的強度および絶縁性に優れた樹脂である。これに比
べてポリオレフィンは、軽量かつ耐衝撃性に優れ、成形
性が良好であるという特長を有する。このため、それぞ
れに優れた特長を有するポリエステルとポリオレフィン
とを配合することにより、両者の長所を備えた樹脂組成
物をつくる試みが行なわれている。しかし、ポリエステ
ルとポリオレフィンは相溶性が悪いために、両者を配合
した熱可塑性樹脂組成物は耐衝撃性や機械的強度などが
低下し、成形品に表面剥離が生じるという問題がある。
そこで、ポリエステルとポリオレフィンとを含有する熱
可塑性樹脂組成物に、不飽和カルボン酸またはその誘導
体、特に無水マレイン酸(MAH)等の不飽和ジカルボ
ン酸の無水物で変性したポリオレフィンを配合すること
により、両者の相溶性を改善することが行なわれている
が、力学的特性および表面特性の改善は依然として不十
分である。従って、本発明の目的はポリエステルとポリ
オレフィンとが良好に相溶化し、優れた力学的特性およ
び表面特性を有する熱可塑性樹脂組成物を提供すること
にある。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねた結果、ポリエステルとポリオレフィンとの組成物
において、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性し
た特定量の変性ポリオレフィンと不飽和グリシジル化合
物で変性した特定量の変性スチレン系樹脂とを配合する
と、ポリエステルとポリオレフィンとが良好に相溶化
し、力学的特性および表面特性に優れ、特に降伏点強度
や表面剥離が改善された熱可塑性樹脂組成物が得られる
ことを見出し、本発明に到達したものである。すなわ
ち、本発明は、(a)ポリエステルと、(b)不飽和カ
ルボン酸またはその誘導体で変性された変性ポリオレフ
ィンを2重量%以上含むポリオレフィンと、(c)不飽
和グリシジル化合物で変性されたスチレン系樹脂とを含
有し、前記成分(a)および(b)の割合が、重量比で
(a)/(b)=2/98〜98/2であり、成分
(c)の含有量が(a)+(b)の合計100重量部に
対して2〜40重量部であることを特徴とする熱可塑性
樹脂組成物である。
【0004】以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物を詳細
に説明する。本発明の熱可塑性樹脂組成物成分の(a)
ポリエステルは、一般に飽和ジカルボン酸と飽和二価ア
ルコールとのポリ縮合で得られる熱可塑性樹脂であり、
例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテ
レフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート(ポ
リブチレンテレフタレート)、ポリヘキサメチレンテレ
フタレート、ポリシクロヘキサン−1,4−ジメチロー
ルテレフタレート、ポリネオペンチルテレフタレート等
が挙げられる。これらの中ではポリエチレンテレフタレ
ートおよびポリブチレンテレフタレートが好ましい。
【0005】上記成分(a)としてのポリエステルは、
o−クロロフェノール溶媒中において25℃で測定した
溶液粘度より求めた固有粘度[η](dl/g)が0.30〜1.
8 で、末端カルボキシル基の濃度が10〜200m当量
/kgのものが好ましい。ポリエチレンテレフタレートの
場合、固有粘度[η]は0.30〜1.2 で、末端カルボキシ
ル基濃度は10〜200m当量/kgのものが好ましい。
なお、ポリエチレンテレフタレート中のテレフタル酸成
分は、アルキル基、ハロゲン基等で置換されたものでも
よく、またグリコール成分は、エチレングリコールの他
に50重量%程度まで他のグリコール、例えば1,4−
ブチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメ
チレングリコール等を含有していてもよい。また、ポリ
ブチレンテレフタレートの場合、固有粘度[η]は0.30
〜1.8 で、末端カルボキシル基濃度は10〜200m当
量/kgのものが好ましい。この場合もテレフタル酸成分
はアルキル基、ハロゲン基等で置換されたものでもよ
く、またグリコール成分は1,4−ブチレングリコール
の他に50重量%程度まで他のグリコール、例えばエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレ
ングリコール等を含有していてもよい。
【0006】本発明の熱可塑性樹脂組成物成分の(b)
ポリオレフィンとは、エチレン、およびプロピレン、ブ
テン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−
メチル−ペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、
デセン−1等の炭素数3以上のα−オレフィンの単独重
合体、これら2種以上のモノマーのランダム、ブロッ
ク、グラフト等の共重合体、これらの混合物、エチレン
または炭素数3以上のα−オレフィンの主要部と他の不
飽和モノマーとのランダム、ブロック、グラフト等の共
重合体をさす。これらポリオレフィンの中では、エチレ
ンまたはプロピレンの単独重合体、エチレンとプロピレ
ンの共重合体、エチレンまたはプロピレンと他のα−オ
レフィンとの共重合体が好ましい。特に好ましいのは、
プロピレンとエチレン含有量が20重量%以下のエチレ
ンとの共重合体であり、このような共重合体は通常0.1
〜200g/10分程度のメルトフローレート(MF
R、JISK7210、荷重2.16kg、230℃)を有する。エチ
レンの重合体としては高圧法低密度ポリエチレン(LD
PE)や低圧法高密度ポリエチレン(HDPE)などの
単独重合体のほか、線状低密度ポリエチレン(LLDP
E)なども用いることができる。
【0007】また、上記ポリオレフィンに対して40重
量%程度までオレフィン系エラストマーを配合したもの
も用いることができる。ここで、オレフィン系エラスト
マーとは、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセ
ン−1、4−メチル−ペンテン−1等のα−オレフィン
の2種または3種以上の共重合体ゴム、またはα−オレ
フィンと他種モノマーとの共重合体を意味する。上記α
−オレフィンの2種または3種以上の共重合体ゴムの具
体例としてはエチレン−プロピレン共重合体ゴム(EP
R)、エチレン−ブテン共重合体ゴム(EBR)および
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPD
M)を挙げることができる。エチレン−プロピレン−ジ
エン共重合体ゴム(EPDM)中のジエン成分として
は、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シ
クロオクタジエン、メチルノルボルネン等の非共役ジエ
ン、またはブタジエン、イソプレン等の共役ジエンが挙
げられる。また、下記一般式(1)で表わされる非共役
ジエンコモノマーを含有するプロピレンランダム共重合
体(PPDM)も成分(b)として使用することができ
る。
【0008】
【化2】
【0009】[式中、R1 〜R4 は水素原子または炭素
数1〜6のアルキル基であり、mは1〜20の整数を表
わす。]
【0010】本発明の熱可塑性樹脂組成物の成分(b)
中に2重量%以上含まれる変性ポリオレフィンとは、上
記の各種ポリオレフィンを不飽和カルボン酸またはその
誘導体で変性したものである。ここで、変性剤として使
用される不飽和カルボン酸およびその誘導体は、オレフ
ィンと共重合可能なものであり、具体例としては、アク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸、エンド−ビシクロ
[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸
(エンディック酸)、フマル酸、テトラヒドロフタル
酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロ
トン酸等の不飽和モノあるいはジカルボン酸、またはそ
の誘導体、例えば酸、ハライド、アミド、イミド、無水
物、エステル等が挙げられる。誘導体の具体例として
は、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水
エンディック酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチ
ル、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイ
ン酸ジメチル等が挙げられる。これらの中では、不飽和
ジカルボン酸またはその誘導体が好適であり、特にマレ
イン酸およびエンディック酸、またはそれらの無水物が
好ましい。上記の不飽和カルボン酸およびその誘導体は
単独で、あるいは2種以上併用することもできる。
【0011】上記の変性剤によって変性する原料ポリオ
レフィンとしては前述の成分(b)に例示したものが挙
げられるが、これらのうち特にポリエチレンおよびポリ
プロピレンが好ましく用いられる。ポリプロピレンとし
ては前述のように単独重合体以外にエチレンの他、ブテ
ン、4−メチルペンテン−1等の他のα−オレフィンを
40重量%程度まで共重合したものやPPDMが含ま
れ、ポリエチレンにはLDPE、HDPEおよびLLD
PEが含まれる。
【0012】本発明において好ましい変性ポリオレフィ
ンは、上記の原料ポリオレフィン、中でもポリエチレン
またはポリプロピレンを、前記不飽和ジカルボン酸ある
いはその無水物、特にマレイン酸または無水マレイン酸
で変性したものものである。上記変性ポリオレフィンの
変性剤としての不飽和化合物の含有量は原料ポリオレフ
ィンの種類などによって異なり一概には言えないが、一
般には0.01〜30重量%程度、好ましくは0.1 〜10重
量%である。
【0013】このような変性ポリオレフィンは溶液法ま
たは溶融混練法等の既知の変性法を利用して得ることが
できる。また、市販のものから所望のものを適宜選択使
用してもよい。変性法の具体例として、前記無水マレイ
ン酸(MAH)によるポリプロピレンの変性例(グラフ
ト重合)を以下に示す。すなわち、溶融混練法において
は、ポリプロピレンと無水マレイン酸、および必要に応
じて触媒を用い、これら成分を押出機や二軸混練機等に
投入し、170〜300℃程度の温度に加熱して溶融し
ながら、0.1 〜20分程度混練して変性ポリプロピレン
を得る。また溶液法の場合には、キシレン等の有機溶剤
に上記の出発物質を溶解し、90〜200℃程度の温度
で0.1 〜100時間撹拌しながら変性を行なう。
【0014】いずれの変性法の場合にも、触媒として通
常のラジカル重合用触媒を用いることができ、例えば過
酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化ジターシャ
リーブチル、過酸化アセチル、ターシャリーブチルペル
オキシ安息香酸、過酸化ジクミル、ペルオキシ安息香
酸、ペルオキシ酢酸、ターシャリーブチルペルオキシピ
バレート、2,5−ジメチル−2,5−ジターシャリー
ブチルペルオキシヘキシン等の過酸化物類や、アゾビス
イソブチロニトリル等のジアゾ化合物類等が用いられ
る。触媒の添加量は変性用の無水マレイン酸100重量
部に対して0.1 〜10重量部程度である。なお、上記の
グラフト反応時にフェノール系酸化防止剤を添加するこ
とも可能である。また、マレイン酸などの他の不飽和化
合物による変性も上述の方法に準じて行なうことができ
る。
【0015】こうして得られる変性ポリプロピレンのグ
ラフト率は0.1 〜10重量%程度であり、1〜1000g/
10分程度のメルトフローレート(MFR、JISK7210、
荷重2.16kg、230℃)を有し、本発明で好ましく用い
られる。またポリエチレンなどの他の原料ポリオレフィ
ンの変性も上述の方法に準じて行なうことができ、マレ
イン酸または無水マレイン酸のグラフト率が0.1 〜10
重量%で、0.1 〜1000g/10分程度のメルトフローレ
ート(MFR、JISK7210、荷重2.16kg、190℃)有す
る変性ポリエチレンも好ましい。
【0020】本発明では上記成分(a)および成分
(b)の相溶化の改善のために、(c)不飽和グリシジ
ル化合物で変性されたスチレン系樹脂を配合する。本発
明の熱可塑性樹脂組成物成分の(c)変性スチレン系樹
脂の原料として用いられるスチレン系樹脂は、スチレン
を含むスチレン系モノマーの単独重合体、2種以上のス
チレン系モノマーのランダム、ブロック、グラフト等の
共重合体、これらの混合物、スチレン系モノマーと他の
モノマーとのランダム、ブロック、グラフト等の共重合
体、およびこれら共重合体の水添物等である。
【0021】ここで、スチレン系モノマーとしては、ス
チレン、α−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレ
ン、p−メトキシスチレン、p−メチルスチレン、p−
フェニルスチレン、p−ジビニルベンゼン、p−(クロ
ロメトキシ)−スチレン、α−メチルスチレン、o−メ
チル−α−メチルスチレン、m−メチル−α−メチルス
チレン、p−メチル−α−メチルスチレン、p−メトキ
シ−α−メチルスチレンなどが挙げられる。またスチレ
ン系モノマーと共重合し得る他のモノマーとしては、例
えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸エステル、メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピ
ル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、酢
酸ビニルなどの不飽和カルボン酸およびその誘導体;ブ
タジエン、イソプレン、ジシクロペンタジエン、1,4
−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチルノルボル
ネンなどのジエン類;アクリロニトリル、メタクリロニ
トリルなどを挙げることができる。
【0022】本発明の成分(c)において変性原料とし
て使用されるスチレン系樹脂は、上記の適当なモノマー
を単独もしくは組合せて周知の適当な方法、例えばアニ
オン重合やラジカル重合によって得られる。これらスチ
レン系樹脂の中では、スチレンの単独重合体およびスチ
レンと他のモノマーとの共重合体が好ましい。スチレン
と他のモノマーとの共重合体の中では、スチレンと、ア
クリロニトリル、ジエン類、アクリル酸エステルおよび
メタクリル酸エステルから選択される1種以上のモノマ
ーとの共重合体がよく、特に好ましい原料スチレン系樹
脂はスチレンの単独重合体およびスチレン−アクリロニ
トリル共重合体である。このような好ましいスチレン系
樹脂は市販のものを適宜選択して使用することができ
る。
【0023】本発明の成分(c)において、上記スチレ
ン系樹脂の変性剤として使用される不飽和グリシジル化
合物とは、分子中に不飽和基(重合性二重結合)とグリ
シジルオキシ基とを有するグリシジル化合物が挙げら
れ、具体的には、不飽和グリシジルエステル類、不飽和
グリシジルエーテル類のほか、アクリルアミド基とエポ
キシ基とを有する下記一般式(2)で示されるものが好
ましく使用される。
【0024】
【化3】
【0025】[式中、Rは水素原子または炭素数1〜6
のアルキル基であり、Arはグリシジルオキシ基を少な
くとも1つ以上有する炭素数6〜20の芳香族炭化水素
基であり、nは1〜4の整数を表わす。]上記一般式の
グリシジル化合物の中でも、特に下記一般式(3)で示
されるグリシジル化合物が好ましい。
【0026】
【化4】
【0027】[式中、Rは水素原子または炭素数1〜6
のアルキル基である。]このようなグリシジル化合物
は、例えば特開昭60-130580 号に示されるような方法に
より製造することができ、これらグリシジル化合物は単
独で、あるいは2種以上併用することもできる。上記変
性剤としての不飽和グリシジル化合物の含有量は変性原
料であるスチレン系樹脂の種類によっても異なり一概に
は言えないが、一般には0.1 〜15重量%程度、好まし
くは0.3〜10重量%である。
【0028】本発明の熱可塑性樹脂組成物成分の(c)
変性スチレン系樹脂は、上記の原料スチレン系樹脂を溶
液法または溶融混練法等の既知の方法、好ましくは溶融
混練法で変性することにより得ることができる。すなわ
ち、溶融混練法においては、スチレン系樹脂と前述した
不飽和グリシジル化合物、および必要に応じて触媒を用
い、これら成分を押出機や二軸混練機等に投入し、15
0〜300℃、好ましくは180〜250℃程度の温度
に加熱して溶融しながら、0.1〜20分程度混練して変
性スチレン系樹脂を得る。また溶液法の場合には、キシ
レン等の有機溶剤に上記の出発物質を溶解し、90〜2
00℃程度の温度で0.1 〜100時間撹拌しながら変性
を行なう。ここで用いられる触媒としては特に限定され
ず、例えばラジカル重合用触媒として前述のポリオレフ
ィンの変性で挙げたものから選択して使用することがで
きる。
【0029】本発明において好ましい変性スチレン系樹
脂は、上記の原料スチレン系樹脂、中でもポリスチレン
(PS)またはスチレン−アクリロニトリル共重合体
(AS)を、前記一般式(2)で示されるグリシジル化
合物、特に前記一般式(3)で示されるグリシジル化合
物で変性した不飽和グリシジル化合物のグラフト率が0.
1 〜15重量%のものである。このような変性スチレン
系樹脂は市販のものを適宜選択して使用することができ
る。
【0030】上記成分(a)、(b)、および(c)の
配合割合は、まず成分(b)において未変性ポリオレフ
ィンと変性ポリオレフィンとが、重量比で98/2〜0
/100、好ましくは95/5〜0/100である。本
発明は成分(b)の全量が変性ポリオレフィンである組
成物も包含する。すなわち、成分(a)のポリエステル
と、成分(b)の変性ポリオレフィンと、成分(c)の
変性スチレン系樹脂とからなる組成物は相溶性に優れ、
ポリエステルとポリオレフィンとの特色を兼ね備えてお
り、本発明に含まれるものである。しかし、成分(b)
中の未変性ポリオレフィンと変性ポリオレフィンの重量
比が98/2未満では変性ポリオレフィンが少なすぎ、
その配合によるポリエステルとポリオレフィンの相溶性
の改善効果が認められない。
【0031】また、成分(a)(ポリエステル)は、成
分(b)に対して重量比(すなわち、(a)/(b))
で2/98〜98/2、好ましくは5/95〜95/5
である。重量比が2/98未満ではポリエステルが少な
すぎ、98/2を超えると変性ポリオレフィンが少なす
ぎ、その使用による相溶性の改善効果が認められない。
【0032】さらに、成分(c)(変性スチレン系樹
脂)は、成分(a)と成分(b)の合計量(すなわち、
(a)+(b))100重量部に対して、2〜40重量
部、好ましくは5〜30重量部である。2重量部未満で
は上記変性スチレン系樹脂の使用によるポリエステルと
ポリオレフィンの相溶性の改善効果が認められず、また
40重量部を超える量の使用は組成物の力学的性質に悪
影響を与える。
【0033】本発明の熱可塑性樹脂組成物において、さ
らにその強化や改質を目的として、ガラス繊維等の充填
材や強化材、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、帯
電防止剤、発泡剤、造核剤等を添加することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の各成分を一軸押
出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、混練ロール、
ブラベンダー等の混練機を用いて230〜320℃、好
ましくは250〜280℃で加熱溶融混練することによ
り得ることができる。本発明において各成分の混練順序
に特に制限はなく、成分(a)、成分(b)および成分
(c)を一括混練してよく、また成分(a)と成分
(b)を混練した後、成分(c)を混練してもよい。さ
らには、成分(b)として未変性ポリオレフィンと変性
ポリオレフィンとを独立に用い、未変性ポリオレフィン
と成分(a)とを混練した後、変性ポリオレフィンと成
分(c)とを混練してもよく、その他の混練順序もとり
得るものである。
【0034】
【作用】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリエステル
とポリオレフィンとに、変性ポリオレフィンと、変性ス
チレン系樹脂とを配合してなるものであり、樹脂成分で
あるポリエステルとポリオレフィンとが良好に相溶化し
て耐衝撃性、耐熱性、降伏点強度などの機械的強度、絶
縁性に優れるとともに、表面剥離がない熱可塑性樹脂組
成物である。本発明の熱可塑性樹脂組成物がこのような
効果を発揮する理由は必ずしも明らかではないが、成分
(b)の変性ポリオレフィンと成分(c)の変性スチレ
ン系樹脂との相互作用、および成分(c)の変性スチレ
ン系樹脂と成分(a)のポリエステルとの相互作用を介
してポリエステルとポリオレフィンとが相溶化すること
によると考えられる。
【0035】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳細に説明する。なお、各実施例および比較例にお
いて、原料および添加剤としては、以下のものを使用し
た。ポリエステル (1) ポリエチレンテレフタレート PET:[帝人株式会社製 TR 4550BH、固有粘度[η]
0.70 (o−クロロフェノール中)] (2) ポリブチレンテレフタレート PBT:[帝人株式会社製 C-7000N、固有粘度[η]
1.07(o−クロロフェノール中)]ポリオレフィン (1) ポリプロピレンホモポリマー PP:[東燃化学株式会社製 J209 、メルトフローレー
ト(MFR、230℃、2.16kg荷重)8.5 g/10分] (2) ポリエチレンホモポリマー HDPE:[東燃化学株式会社製 J6140V 、メルトフロ
ーレート(MFR、190℃、2.16kg荷重)5.0 g/1
0分]変性用モノマー (1) MAH(無水マレイン酸) (2) AXE:下記化学式で表わされるグリシジル化合物
(鐘淵化学工業株式会社製]
【0036】
【化5】
【0037】ラジカル発生剤 POX:パーヘキシン25B[日本油脂株式会社製]スチレン系樹脂 スチレン−アクリロニトリル共重合体 AS:[日本合成ゴム株式会社製 AS230、メルトフロー
レート(MFR、230℃、2.16kg荷重)6.6 g/10
分]
【0038】変性ポリオレフィン (1) 変性ポリオレフィンの合成例1 ポリプロピレンホモポリマー[東燃化学株式会社製 Y20
1 、メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷
重)1.0 g/10分]100重量部と、MAH1重量部
およびPOX0.1 重量部をドライブレンドした後、これ
を直径30mmの一軸押出機を用いて、230℃、60rp
m の条件で溶融混練し、メルトフローレート(MFR、
230℃、2.16kg荷重)150g/10分の変性ポリプ
ロピレン(PO−1)を得た。この変性ポリプロピレン
のMAHのグラフト率は、0.25重量%であった。なお、
グラフト率は以下の方法で算出した。変性ポリプロピレ
ンのIRスペクトル(変性ポリプロピレンを沸騰キシレ
ンに溶解し、不溶分を除去した後、メタノールにより溶
解成分を沈殿させ、これを50μm程度の厚さにプレス
したものに対して測定。)において、MAHのカルボニ
ル(C=O)結合の伸縮にかかるピーク(1780cm-1
と、アイソタクティックポリプロピレンに特有のピーク
の1つ(840 cm-1)との吸光度比からグラフト率を算出
した。 (2) 変性ポリオレフィンの合成例2 ポリエチレンホモポリマー[HDPE、東燃化学株式会
社製 J6311、メルトフローレート(MFR、190℃、
2.16kg荷重)1.0 g/10分]100重量部と、MAH
1重量部およびPOX0.1 重量部をドライブレンドした
後、これを直径30mmの一軸押出機を用いて、230
℃、60rpm の条件で溶融混練し、メルトフローレート
(MFR、190℃、2.16kg荷重)0.1 g/10分の変
性ポリエチレン(PO−2)を得た。この変性ポリエチ
レンのMAHのグラフト率は、0.8重量%であった。
【0039】変性スチレン系樹脂 スチレン−アクリロニトリル共重合体[AS、日本合成
ゴム株式会社製 AS230、メルトフローレート(MFR、
230℃、2.16kg荷重)6.6 g/10分]100重量部
と、AXE3重量部およびPOX0.1 重量部をドライブ
レンドした後、これを直径30mmの一軸押出機を用い
て、230℃、60rpm の条件で溶融混練し、メルトフ
ローレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)15g/
10分の変性スチレン系樹脂(M−AS)を得た。この
変性スチレン系樹脂のAXEのグラフト率は、2.6 重量
%であった。なお、グラフト率は以下の方法で算出し
た。すなわち、変性スチレン系樹脂のIRスペクトル
(変性スチレン系樹脂をトルエンに溶解し、不溶分を除
去した後、メタノールにより溶解成分を沈殿させ、これ
を50μm程度の厚さにホットプレスしたフィルムに対
して測定。)において、AXEのC=O結合の伸縮にか
かるピーク(1648cm-1)とフィルム厚みから、予め作成
した検量線に基き付加量を求めグラフト率とした。
【0040】実施例1〜20および比較例1〜20 ポリエステル(PETまたはPBT)と、ポリオレフィ
ン(PPまたはHDPE)と、変性ポリオレフィン(P
O−1またはPO−2)と、未変性のスチレン系樹脂
(AS)と、変性スチレン系樹脂(M−AS)とを第1
表に示す割合でヘンシェルミキサーによりドライブレン
ドした後、直径45mmの二軸押出機(L/D=30)に
より、250℃、200rpm で混練して樹脂組成物のペ
レットを得た。このようにして得られた熱可塑性樹脂組
成物を射出成形し、成形品のメルトフローレート(MF
R、250℃、2.16kg荷重)と、表面剥離性と、23℃
での曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度および降伏点強度
と、熱変形温度とを測定した。結果を第1表に合せて示
す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】上記第1表に示した各物性の測定方法は以
下のとおりである。 (1) メルトフローレート:250℃、荷重2.16kgで測
定。 (2) 表面剥離性:テストピース表面にカミソリを用いて
1mm×1mmのマス目を100個つけ、マス目にセロハン
テープ(ニチバン株式会社製)を付着した後、はぎ取っ
た。100個のマス目のうち、セロハンテープに付着せ
ずテストピース表面に残ったマス目の数を数えた。 (3) 曲げ弾性率(23℃):ASTM D-790により測定。 (4) アイゾット衝撃強度(23℃):ASTM D-256により
測定。 (5) 降伏点強度(23℃):ASTM D-638により測定。 (6) 熱変形温度(荷重4.6kg/cm2 ):ASTMD-648により
測定。
【0048】第1表から明らかなように、ポリエステル
と未変性のポリオレフィンとからなる組成物(比較例5
〜7および11〜16)は、ポリエステル(比較例1、
2)およびポリオレフィン(比較例3、4)に比べて、
表面剥離性、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度、降伏点
強度および熱変形温度のすべてが劣り、ポリエステルと
ポリオレフィンの相溶性が悪いことが分る。また、ポリ
エステルと未変性のポリオレフィンとに、変性ポリオレ
フィンを配合した組成物(比較例8〜10および17〜
19)、および変性ポリオレフィンと未変性のスチレン
系樹脂を配合した組成物(比較例20)は表面剥離性に
おいて若干の改善はみられるものの、その他の物性は依
然として不十分である。これに対して本発明の熱可塑性
樹脂組成物は、変性ポリオレフィンと変性スチレン系樹
脂を欠いたポリエステルと未変性のポリオレフィンとか
らなる組成物(比較例5〜7および11〜16)、ポリ
エステルと未変性ポリオレフィンと変性ポリオレフィン
とからなる組成物(比較例8〜10および17〜1
9)、およびポリエステルと未変性のポリオレフィンと
変性ポリオレフィンと未変性のスチレン系樹脂とからな
る組成物(比較例20)に比べて、表面剥離性、曲げ弾
性率、アイゾット衝撃強度、降伏点強度および熱変形温
度のすべてが良好であり、特に降伏点強度と表面剥離性
の改善が著しい。
【0049】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の熱可塑性
樹脂組成物は、ポリオレフィンとポリエステルとに、両
者の相溶性を向上させる変性ポリオレフィンと、変性ス
チレン系樹脂とを配合してなるものであり、耐衝撃性、
耐熱性、機械的強度、絶縁性に優れるとともに、耐表面
剥離性など良好な表面性を有している。このような本発
明の熱可塑性樹脂組成物は、各種エンジニアリングプラ
スチックとして、特に自動車の内装および外装部品、家
電部品、工業材料部品、包装材料等用の樹脂組成物とし
て好適である。
フロントページの続き (72)発明者 藤田 祐二 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡1丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ポリエステルと、(b)不飽和カ
    ルボン酸またはその誘導体で変性された変性ポリオレフ
    ィンを2重量%以上含むポリオレフィンと、(c)不飽
    和グリシジル化合物で変性されたスチレン系樹脂とを含
    有し、前記成分(a)および(b)の割合が、重量比で
    (a)/(b)=2/98〜98/2であり、成分
    (c)の含有量が(a)+(b)の合計100重量部に
    対して2〜40重量部であることを特徴とする熱可塑性
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1における成分(c)の変性スチ
    レン系樹脂が、下記一般式 【化1】 [式中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基
    であり、Arはグリシジルオキシ基を少なくとも1つ以
    上有する炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であり、n
    は1〜4の整数を表わす。]で表わされる不飽和グリシ
    ジル化合物で変性されたものである請求項1に記載の熱
    可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1における成分(c)の不飽和グ
    リシジル化合物で変性されるスチレン系樹脂が、スチレ
    ンとアクリロニトリルとの共重合体である請求項1また
    は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108699324A (zh) * 2016-03-07 2018-10-23 陶氏环球技术有限责任公司 用于光纤电缆组件的聚合组合物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108699324A (zh) * 2016-03-07 2018-10-23 陶氏环球技术有限责任公司 用于光纤电缆组件的聚合组合物
CN108699324B (zh) * 2016-03-07 2024-03-29 陶氏环球技术有限责任公司 用于光纤电缆组件的聚合组合物

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