JPH0543764A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH0543764A
JPH0543764A JP22831491A JP22831491A JPH0543764A JP H0543764 A JPH0543764 A JP H0543764A JP 22831491 A JP22831491 A JP 22831491A JP 22831491 A JP22831491 A JP 22831491A JP H0543764 A JPH0543764 A JP H0543764A
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JP
Japan
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polyolefin
weight
component
polyester
copolymer
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Application number
JP22831491A
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English (en)
Inventor
Koichi Yokoyama
公一 横山
Tetsuya Kawamura
哲也 河村
Katsuyuki Yokomizo
勝行 横溝
Tatsuo Teraya
竜男 寺屋
Yuji Fujita
祐二 藤田
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (a)ポリエステルと、(b)不飽和グリシ
ジル化合物で変性された変性ポリオレフィンを2重量%
以上含むポリオレフィンと、(c)スチレン系モノマー
と不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体とを
含有し、成分(a)と成分(b)の割合が重量比で
(a)/(b)=3/97〜97/3であり、成分
(c)の含有量が(a)+(b)の合計100重量部に
対して2〜50重量部であることを特徴とする熱可塑性
樹脂組成物。 【効果】 ポリエステルとポリオレフィンとの特性を兼
備する力学的特性、表面特性および環境特性を有し、特
に機械的強度および成形品の剥離性に優れた熱可塑性樹
脂組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリエステルとポリオレ
フィンとを含有する熱可塑性樹脂組成物に関する。より
詳しくは、ポリエステルとポリオレフィンとが良好に相
溶化し、耐衝撃性、機械的強度、表面剥離性などの力学
的特性、耐水性、耐薬品性、耐熱性、外観などの表面特
性に優れ、自動車の内外装品や電装部品、家電製品、ス
ポーツ用品、家具、事務用品などの成形品用等として好
適な熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】ポリエステルは耐熱性、
機械的強度および絶縁性に優れた樹脂である。これに対
してポリオレフィンは、軽量かつ耐衝撃性に優れ、成形
性、耐水性あるいは耐薬品性などの環境特性が良好であ
るという特長を有する。このため、それぞれに優れた特
長を有するポリエステルとポリオレフィンとを配合する
ことにより、両者の長所を備えた樹脂組成物をつくる試
みが行なわれている。しかし、ポリエステルとポリオレ
フィンは相溶性が悪いために、両者を配合した熱可塑性
樹脂組成物は耐衝撃性や機械的強度などが低下するとい
う問題がある。そこで、ポリエステルとポリオレフィン
の相溶性を向上させることを目的として、ポリエステル
に、不飽和カルボン酸またはその誘導体、特に無水マレ
イン酸(MAH)等の不飽和ジカルボン酸の無水物で変
性したポリオレフィンを配合して溶融混練することによ
り、ポリエステルとポリオレフィンの相溶分散性を向上
させ、耐衝撃性の向上や吸水による劣化を防止すること
が行なわれている。しかし、この方法では不飽和ジカル
ボン酸をポリオレフィンに付加させる際に、ポリオレフ
ィンの架橋による変質や劣化を生じ、相溶化による物性
の改善が十分でなく、またポリオレフィンに付加させる
未反応の酸とポリエステルが反応して着色し、外観を損
なうことがあった。従って、本発明の目的はポリエステ
ルとポリオレフィンとが良好に相溶化し、力学的特性、
表面特性および耐水性などの環境特性に優れた熱可塑性
樹脂組成物を提供することにある。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねた結果、ポリエステルとポリオレフィンとに、特定
量の不飽和グリシジル化合物で変性したポリオレフィン
と、スチレン系モノマーと不飽和カルボン酸またはその
誘導体との共重合体を配合させると、ポリエステルとポ
リオレフィンとが良好に相溶化し、力学的特性、表面特
性および環境特性が優れた熱可塑性樹脂組成物が得られ
ることを見出し、本発明に到達したものである。すなわ
ち、本発明は、(a)ポリエステルと、(b)不飽和グ
リシジル化合物で変性された変性ポリオレフィンを2重
量%以上含むポリオレフィン、および(c)スチレン系
モノマーと不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重
合体を含有し、成分(a)と成分(b)の割合が重量比
で(a)/(b)=3/97〜97/3であり、成分
(c)の含有量が(a)+(b)の合計100重量部に
対して2〜50重量部であることを特徴とする熱可塑性
樹脂組成物に関するものである。
【0006】以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物を詳細
に説明する。本発明で使用する熱可塑性樹脂組成物成分
の(a)ポリエステルは、一般に飽和ジカルボン酸と飽
和二価アルコールとのポリ縮合で得られる熱可塑性樹脂
であり、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロ
ピレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレ
ート(ポリブチレンテレフタレート)、ポリヘキサメチ
レンテレフタレート、ポリシクロヘキサン−1,4−ジ
メチロールテレフタレート、ポリネオペンチルテレフタ
レート等が挙げられる。これらの中ではポリエチレンテ
レフタレートおよびポリブチレンテレフタレートが好ま
しい。
【0007】上記成分(a)としてのポリエステルは、
o−クロロフェノール溶媒中において25℃で測定した
溶液粘度より求めた固有粘度[η](dl/g)が0.30〜1.
8 で、末端カルボキシル基の濃度が10〜200m当量
/kgのものが好ましい。ポリエチレンテレフタレートの
場合、固有粘度[η]は0.30〜1.2 で、末端カルボキシ
ル基濃度は10〜200m当量/kgのものが好ましい。
なお、ポリエチレンテレフタレート中のテレフタル酸成
分は、アルキル基、ハロゲン基等で置換されたものでも
よく、またグリコール成分は、エチレングリコールの他
に50重量%程度まで他のグリコール、例えば1,4−
ブチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメ
チレングリコール等を含有していてもよい。また、ポリ
ブチレンテレフタレートの場合、固有粘度[η]は0.30
〜1.8 で、末端カルボキシル基濃度は10〜200m当
量/kgのものが好ましい。この場合もテレフタル酸成分
はアルキル基、ハロゲン基等で置換されたものでもよ
く、またグリコール成分は1,4−ブチレングリコール
の他に50重量%程度まで他のグリコール、例えばエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレ
ングリコール等を含有していてもよい。
【0008】本発明における熱可塑性樹脂組成物の
(b)成分の一つである未変成ポリオレフィンとは、エ
チレン、およびプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−
1、3−メチルブテン−1、4−メチル−ペンテン−
1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素
数3以上のα−オレフィンの単独重合体、これら2種以
上のモノマーのランダム、ブロック、グラフト等の共重
合体、これらの混合物、エチレンまたは炭素数3以上の
α−オレフィンの主要部と他の不飽和モノマーとのラン
ダム、ブロック、グラフト等の共重合体をいう。これら
ポリオレフィンの中では、エチレンまたはプロピレンの
単独重合体、エチレンとプロピレンの共重合体、エチレ
ンまたはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体
が好ましい。特に好ましいのは、エチレン含有量が20
重量%以下のエチレン−プロピレン共重合体であり、こ
のようなポリプロピレンは通常0.1 〜200g/10分
程度のメルトフローレート(MFR、JISK7210、荷重2.
16kg、230℃)を有する。エチレン重合体としては高
圧法低密度ポリエチレン(LDPE)や低圧法高密度ポ
リエチレン(HDPE)が好ましく、中低圧法エチレン
共重合体として知られている線状低密度ポリエチレン
(LLDPE)なども用いることができる。
【0009】また、本発明においては、ポリオレフィン
はオレフィン系エラストマーを40重量%程度まで含ん
でいてもよい。ここで、オレフィン系エラストマーと
は、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−
1、4−メチル−ペンテン−1等のα−オレフィンの2
種または3種以上の共重合体ゴム、またはα−オレフィ
ンと他種モノマーとの共重合体を意味する。上記α−オ
レフィンの2種または3種以上の共重合体ゴムの具体例
としてはエチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレ
ン−ブテンゴム(EBR)およびエチレン−プロピレン
−ジエンゴム(EPDM)を挙げることができる。
【0010】また、本発明における熱可塑性樹脂組成物
の(b)成分中に2重量%以上含まれる変性ポリオレフ
ィンとは、上述の各種ポリオレフィンを不飽和グリシジ
ル化合物で変性したものである。ここで、変性剤として
使用される不飽和グリシジル化合物とは、アクリルアミ
ドあるいはメタクリルアミド基とエポキシ基とを有する
化合物であり、下記一般式(1)で示される不飽和グリ
シジル化合物が好ましく使用される。
【0011】
【化2】
【0012】[式中、Rは水素原子または炭素数1〜6
のアルキル基であり、Arはグリシジルオキシ基を少な
くとも1つ以上有する炭素数6〜20の芳香族炭化水素
基であり、nは1〜4の整数を表わす。]上記一般式の
不飽和グリシジル化合物の中でも、特に下記一般式
(2)で示されるグリシジル化合物が好ましい。
【0013】
【化3】
【0014】[式中、Rは水素原子または炭素数1〜6
のアルキル基である。]このようなグリシジル化合物
は、例えば特開昭60-130580 号に示されるような方法に
より製造することができ、これら重合性化合物は単独
で、あるいは2種以上併用することもできる。
【0015】上記変性ポリオレフィンの変性剤の含有量
は原料ポリオレフィンの種類などによって異なり一概に
は言えないが、一般には0.01〜30重量%程度、好まし
くは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.3 〜7重量
%である。また変性ポリオレフィンの分子量は数平均分
子量で3,000 〜100,000 程度が好ましい。
【0016】このような変性剤によって変性される原料
ポリオレフィンとしては先に例示したエチレン、および
プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブ
テン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘプテン−1、
オクテン−1、デセン−1等の炭素数3以上のα−オレ
フィンの単独重合体の他、これら2種以上のモノマーの
ランダム、ブロック、グラフト等の共重合体、これらの
混合物、エチレンまたは炭素数3以上のα−オレフィン
の主要部と他の不飽和モノマーとのランダム、ブロッ
ク、グラフト等の共重合体をいう。また、前述のように
オレフィン系エラストマー、すなわちエチレン、プロピ
レン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテ
ン−1等のα−オレフィンの2種または3種以上の共重
合体ゴム、またはα−オレフィンと他種モノマーとの共
重合体を含むものでもよい。これら原料ポリオレフィン
としては、特にポリプロピレンが好ましく用いられる。
【0017】このような変性ポリオレフィンは溶液法ま
たは溶融混練法等の既知の変性法を利用して得ることが
できる。また、市販のものから所望のものを適宜選択使
用してもよい。変性法の具体例として、前記グリシジル
化合物によるポリオレフィンの変性例(グラフト重合)
を以下に示す。すなわち、溶融混練法においては、ポリ
オレフィンと前述したグリシジル化合物、および必要に
応じて触媒を用い、これら成分を押出機や二軸混練機等
に投入し、170〜300℃程度の温度に加熱して溶融
しながら、0.1 〜20分程度混練して変性ポリオレフィ
ンを得る。また溶液法の場合には、キシレン等の有機溶
剤に上記の出発物質を溶解し、90〜200℃程度の温
度で0.1 〜100時間撹拌しながら変性を行なう。
【0018】いずれの変性法の場合にも、触媒として通
常のラジカル重合用触媒を用いることができ、例えば過
酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化ジ−t−ブ
チル、過酸化アセチル、過安息香酸t−ブチル、過酸化
ジクミル、過安息香酸、過酢酸、過ピバリン酸t−ブチ
ル、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオ
キシヘキシン等の過酸化物類や、アゾビスイソブチロニ
トリル等のジアゾ化合物類等が用いられる。触媒の添加
量は変性用のグリシジル化合物100重量部に対して0.
1 〜10重量部程度である。なお、上記のグラフト反応
時にフェノール系酸化防止剤を添加することも可能であ
る。
【0019】こうして得られる変性ポリオレフィンのグ
ラフト率は0.3 〜7重量%程度であり、1〜1000g
/10分程度のメルトフローレート(MFR、JISK721
0、荷重2.16kg、230℃)を有する。
【0020】本発明における熱可塑性樹脂組成物の
(c)成分は、スチレン系モノマーと不飽和カルボン酸
またはその誘導体との共重合体である。ここで、スチレ
ン系モノマーとしては、例えばスチレン、2,4−ジク
ロロスチレン、p−メトキシスチレン、p−メチルスチ
レン、p−フェニルスチレン、p−ジビニルベンゼン、
p−(クロロメトキシ)−スチレン、α−メチルスチレ
ン、o−メチル−α−メチルスチレン、m−メチル−α
−メチルスチレン、p−メチル−α−メチルスチレン、
p−メトキシ−α−メチルスチレンなどが挙げられる。
これらは1種または2種以上混合して用いることができ
る。これらの中ではスチレンが好ましく用いられる。一
方、不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、例え
ば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール
酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン
酸、クロトン酸、イソクロトン酸等の不飽和モノあるい
はジカルボン酸、またはその誘導体、例えば酸、ハライ
ド、アミド、イミド、無水物、エステル等が挙げられ
る。誘導体の具体例としては、塩化マレニル、マレイミ
ド、無水マレイン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸
メチル、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マ
レイン酸ジメチル等が挙げられる。これらの中では、不
飽和ジカルボン酸またはその誘導体が好適であり、特に
無水マレイン酸が好ましい。スチレン系モノマーと不飽
和カルボン酸またはその誘導体とは、周知の適当な方
法、例えばアニオン重合やラジカル重合によって共重合
することができる。ここで用いられる触媒としては特に
限定されず、例えばラジカル重合用触媒として前述のポ
リオレフィンの変性で挙げたものから選択して使用する
ことができる。スチレン系モノマーと不飽和カルボン酸
またはその誘導体との共重合体としては、ランダム、ブ
ロック、グラフトのいずれをも使用できる。共重合体中
のスチレン系モノマーと不飽和カルボン酸またはその誘
導体との割合は、前者が50〜95重量%で、後者が5
〜50重量%である。スチレン系モノマーが50重量%
未満であるとアルカリ性物質に侵されやすくなり、また
95重量%を越えるとポリエステル、ポリオレフィンと
の相溶性が著しく低下する。スチレン系モノマーと不飽
和カルボン酸またはその誘導体との共重合体の中では、
特にスチレン−無水マレイン酸共重合体が好ましく用い
られる。本発明において(c)成分として特に好ましく
用いられる無水マレイン酸含量が5〜50重量%のスチ
レン−無水マレイン酸共重合体は通常1〜500g/1
0分(MFR、JISK7210、荷重2.16kg、230℃)程度
のメルトフローレートを有する。このようなスチレン−
無水マレイン酸共重合体は、市販のものを適宜選択して
使用することができる。
【0021】本発明において上記(a)成分および
(b)成分の配合割合は、重量比で(a)/(b)=3
/97〜97/3、好ましくは10/90〜90/10
である。重量比が3/97未満では強度、剛性が不足
し、また97/3を超えると耐衝撃性の低下を招き、両
者の特性を兼備した熱可塑性樹脂組成物が得られない。
成分(b)において、未変性ポリオレフィンと変性ポリ
オレフィンとの割合は、重量比で98/2〜0/10
0、好ましくは95/〜0/100である。本発明は成
分(b)の全量が変性ポリオレフィンである組成物も包
含する。すなわち、成分(a)のポリエステルと成分
(b)の変性ポリオレフィンと成分(c)のスチレン系
モノマーと不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重
合体とからなる組成物は相溶性に優れ、ポリオレフィン
とポリエステルとの特色を兼ね備えており、本発明に含
まれるものである。しかし、成分(b)中の未変性ポリ
オレフィンと変性ポリオレフィンの重量比が98/2未
満では変性ポリオレフィンが少なすぎ、その配合による
ポリオレフィンとポリエステルの相溶性の改善効果が認
められない。成分(c)の含有量は(a)+(b)の合
計100重量部に対して2〜50重量部である。(c)
の重量比が2重量%未満ではポリエステルとポリオレフ
ィンの相溶性を改善できず、50重量%を超えると機械
物性の低下を招く。
【0022】本発明では上記した成分以外にも、熱可塑
性樹脂組成物の強化や改質を目的としてその他の物質、
例えば、ガラス繊維等の充填材や強化材、熱安定剤、光
安定剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、発泡剤、造核剤
等を添加配合することができる。
【0023】上記の各成分、すなわちポリエステルと、
不飽和グリシジル化合物で変性したポリオレフィンを2
重量%含むポリオレフィンと、スチレン系モノマーと不
飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体とを、上
記の割合で配合混練することにより、ポリエステルとポ
リオレフィンとが良好に相溶化し、ポリエステルとポリ
オレフィンとの特性を兼備した本発明の熱可塑性樹脂組
成物を得ることができる。溶融混練の方法としては従来
公知の各種方法が採用可能である。すなわち、バッチ式
混練機を用いて一括混練する方法、あるいはバンバリー
ミキサー、ブラベンダー、混練ロール、一軸押出機、二
軸押出機等の混練機を用いて混練する方法等を例示する
ことができる。混練の温度は230〜320℃、好まし
くは250〜280℃の範囲である。混練温度が230
℃未満ではポリエステルとポリオレフィンの相溶化が不
十分であり、また320℃を越える温度では樹脂本来の
特性が損なわれることがある。
【0024】各成分の混練順序は特に制限はなく、種々
の順序をとり得るものである。例えば、(i) 成分
(a)、成分(b)、および成分(c)とを、前述した
バッチ式混練機、ブラベンダー、あるいは一軸もしくは
二軸押出機等の混練機に同時に投入して一括混練する方
法、(ii)成分(a)と、成分(b)とを同時に押出機に
投入した後、バレルの途中から成分(c)を投入して混
練する方法、(iii) 成分(b)と、成分(c)とを押出
機に同時に投入した後、成分(a)を途中投入する方
法、(iv)成分(a)と成分(c)とを押出機に同時に投
入した後、成分(b)を途中投入する方法等である。
【0025】
【作用】ポリエステルと、不飽和グリシジル化合物(ア
クリルアミドあるいはメタクリルアミド基とエポキシ基
を有する化合物)で変性したポリオレフィンを含有する
ポリオレフィンと、スチレン系モノマーと不飽和カルボ
ン酸またはその誘導体との共重合体とを含有する本発明
の熱可塑性樹脂組成物で、ポリエステルとポリオレフィ
ンとが良好に相溶化する理由は必ずしも明らかではない
が、変成ポリオレフィンの特に(メタ)クリルアミド基
およびエポキシ基と、スチレン系モノマーと不飽和カル
ボン酸またはその誘導体との共重合体との相互作用を介
してポリエステルとポリオレフィンとが相溶化すること
によると考えられる。
【0026】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明は下記の例に限定される
ものではない。実施例および比較例において、原料成分
および添加剤として以下のものを使用した。ポリエステル (1) ポリブチレンテレフタレート(PBT):帝人株式
会社製 C7000N、固有粘度[η]1.05(o−クロロフェ
ノール中、25℃)。 (2) ポリエチレンテレフタレート(PET):帝人株式
会社製 TR4550BH、固有粘度[η]0.7 (o−クロロフ
ェノール中、25℃)。
【0027】未変性ポリオレフィン (1) ポリプロピレンホモポリマー(PP(1) ):東燃化
学株式会社製 J209 、メルトフローレート(MFR、2
30℃、2.16kg荷重) 8.5g/10分。 (2) ポリプロピレンホモポリマー(PP(2) ):東燃化
学株式会社製 BJ309、メルトフローレート(MFR、2
30℃、2.16kg荷重) 8.5g/10分。
【0028】変性ポリオレフィン (1) 変性ポリプロピレン(変性PP(1) ):ポリプロピ
レン[メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg
荷重)1g/10分]100重量部に対し、有機過酸化
物(パーヘキシン25B:日本油脂株式会社製) 0.1重
量部、無水マレイン酸1重量部を添加し、直径30m
m、L/D比25の単軸式押出機を用い、スクリュー回
転速度250rpm 、温度200℃で溶融混練したもの。
無水マレイン酸グラフト率: 0.4重量%、メルトフロー
レート(MFR、230℃、2.16kg荷重)200g/1
0分。 (2) 変性ポリプロピレン(変性PP(2) ):ポリプロピ
レン[メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg
荷重)1g/10分]100重量部に対し、有機過酸化
物(パーヘキシン25B)0.03重量部、下記化学式で表
わされる不飽和グリシジル化合物(AXE)[鐘淵化学
工業株式会社製]
【0029】
【化4】
【0030】を3重量部を添加し、直径30mm、L/
D比25の単軸式押出機を用い、スクリュー回転速度2
50rpm 、温度200℃で溶融混練したもの。AXEグ
ラフト率: 2.5重量%、メルトフローレート(MFR、
230℃、2.16kg荷重)11.1g/10分。 (3) 変性ポリプロピレン(変性PP(3) ):ポリプロピ
レン−非共役ジエンランダム共重合体[メルトフローレ
ート(MFR、230℃、2.16kg荷重)5g/10分、
ジエン含量: 0.4mol%]100重量部に対し、有機
過酸化物(パーヘキシン25B) 0.1重量部、AXE2
重量部を添加し、直径30mm、L/D比25の単軸式
押出機を用い、スクリュー回転速度250rpm 、温度2
00℃で溶融混練したもの。AXEグラフト率:1重量
%、メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷
重)15g/10分。スチレン系モノマーと不飽和カルボン酸またはその誘導
体との共重合体 (1) スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA(1)
):積水化学工業株式会社製 ダイラーク232、無
水マレイン酸15重量%、メルトフローレート(MF
R、230℃、2.16kg荷重)2.52g/10分。 (2) スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA(2)
):積水化学工業株式会社製 ダイラーク332、無
水マレイン酸10重量%、メルトフローレート(MF
R、230℃、2.16kg荷重)2.14g/10分。
【0031】実施例1〜13、比較例1〜6 ポリエステル(PETまたはPBT)と、ポリオレフィ
ン(PP(1) またはPP(2) )と、変性ポリオレフィン
(変性PP(1) 、変性PP(2) または変性PP(3) )
と、スチレン系モノマーと不飽和カルボン酸またはその
誘導体との共重合体(SMA(1) またはSMA(2) )と
を第1表に示す割合で用い、これを直径45mmの二軸
式押出機を用い、スクリュー回転速度200rpm 、温度
250℃で溶融混練し、ペレット化した。このようにし
て得られた熱可塑性樹脂組成物のメルトフローレート
(MFR、250℃、2.16kg荷重)、表面剥離特性、引
張り強度、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度および熱変
形温度を測定した。結果を第1表に合せて示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】上記第1表に示した各物性の測定方法は以
下のとおりである。 (1) メルトフローレート:250℃、2.16kg荷重で測
定。 (2) 表面剥離特性:テストピース表面にカミソリを用い
て1mm×1mm のマス目を100個つけ、マス目にセロハ
ンテープ(ニチバン株式会社製)を付着した後はぎ取っ
た。100個のマス目のうち、セロハンテープに付着せ
ずテストピース表面に残ったマス目の数を数えた。 (3) 引張り強度:ASTM D638 (23℃)により測定。 (4) 曲げ弾性率:ASTM D790 (23℃)により測定。 (5) アイゾット衝撃強度:ASTM D256 (23℃)により
測定。 (6) 熱変形温度:ASTM D648 により測定。
【0035】第1表から明らかなように、本発明の方法
で得られる熱可塑性樹脂組成物は、AXEおよびスチレ
ン−無水マレイン酸共重合体を欠いたポリエステルとポ
リオレフィンのみからなる比較例1〜4の組成物および
AXEの代りにMAHを使用しスチレン−無水マレイン
酸共重合体を欠いた比較例5〜6の組成物に比べ、表面
剥離特性、引張り強度、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強
度および熱変形温度が良好であり、特に表面剥離特性お
よび衝撃強度の改善が著しい。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明はポリエス
テルとポリオレフィンの相溶性を向上させるために、不
飽和グリシジル化合物で変性したポリオレフィンおよび
スチレン系モノマーと不飽和カルボン酸またはその誘導
体との共重合体をポリエステルに配合した熱可塑性樹脂
組成物を提供したものである。本発明の樹脂組成物は耐
衝撃性、耐熱性、耐薬品性、機械的強度、絶縁性に優れ
るとともに、成形品の剥離性が改善され、外観が良好で
ある。このような本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種
エンジニアリングプラスチックとして、特に自動車の内
装および外装部品、家電部品、工業材料部品、スポーツ
用品、家具、事務用品、包装材料等用の樹脂組成物とし
て好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺屋 竜男 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡1丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内 (72)発明者 藤田 祐二 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡1丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ポリエステルと、(b)不飽和グ
    リシジル化合物で変性された変性ポリオレフィンを2重
    量%以上含むポリオレフィンと、(c)スチレン系モノ
    マーと不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体
    を含有し、成分(a)と成分(b)の割合が重量比で
    (a)/(b)=3/97〜97/3であり、成分
    (c)の含有量が(a)+(b)の合計100重量部に
    対して2〜50重量部であることを特徴とする熱可塑性
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 成分(b)の変性ポリオレフィンが、下
    記一般式 【化1】 [式中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基
    であり、Arはグリシジルオキシ基を少なくとも1つ以
    上有する炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であり、n
    は1〜4の整数を表わす。]で表わされる不飽和グリシ
    ジル化合物で変性されたポリプロピレンである請求項1
    に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 成分(c)のスチレン系モノマーと不飽
    和カルボン酸またはその誘導体との共重合体が、スチレ
    ン−無水マレイン酸共重合体である請求項1または請求
    項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5436297A (en) * 1992-10-30 1995-07-25 Tonen Corporation Modified polyolefin

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