JPH0586240A - 水性分散液 - Google Patents

水性分散液

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JPH0586240A
JPH0586240A JP4061268A JP6126892A JPH0586240A JP H0586240 A JPH0586240 A JP H0586240A JP 4061268 A JP4061268 A JP 4061268A JP 6126892 A JP6126892 A JP 6126892A JP H0586240 A JPH0586240 A JP H0586240A
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健 守谷
Satoshi Hirofuji
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 0.05〜10モル%のスルホン酸アニオン
性基がランダムに導入変性され、かつ常温で水に不溶性
のEVOHの水性分散液。 【効果】 貯蔵あるいは使用時の安定性に優れた高固形
分濃度等の優れた特徴を有する。またこの水性分散液を
塗布、乾燥後の皮膜はガスバリヤー性に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エチレン−ビニルアル
コール系共重合体の水性分散液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エチレン−ビニルエステル共重合体、特
にエチレン−酢酸ビニル共重合体をけん化したエチレン
−ビニルアルコール共重合体(EVOHと略記する)
は、酸素等のガスバリヤー性や耐油・耐薬品性に優れて
いるため、包装材料素材や、プラスチック成形物、金属
表面、紙、木材等の保護被覆用材料として注目されてい
る。
【0003】特に内容物の酸化防止あるいは香りの保持
が必要とされる食品包装用のフィルム、シート、積層
物、中空容器等においては高度のガスバリヤー性が要求
されている。また軟質塩化ビニルからなる塩ビ壁紙、塩
ビレザー、シート等では可塑剤のブリードを防止する被
覆材が要求されている。そこでガスバリヤー性、保香
性、および耐油・耐薬品性に優れたEVOHを内層、外
層あるいは中間層に設けることによってこれらの要求性
能を高度に満たすことが広く実施されている。
【0004】一般にEVOH層を形成する方法として
は、溶融押出あるいは射出成形による方法やEVOHフ
ィルムをラミネートする方法等が広く実施されている。
一方EVOHの溶液や水性分散液を塗布し乾燥する方法
が提案されている。この方法は比較的膜厚の薄い皮膜が
形成できること、中空容器等の複雑な形状のものにも容
易に皮膜形成できることなどから注目される。
【0005】しかしながらEVOH溶液を塗布する方法
では基本的に高い濃度の溶液が粘度の関係から使用困難
なこと、溶剤がジメチルスルホキシド等の有機溶剤や多
量のアルコールと水との混合溶剤のため、皮膜形成過程
において有機溶剤の揮散による作業環境の悪化および有
機溶剤の回収のための装置が必要になるなど経済的にも
不利なこと等の問題がある。これに対しEVOH水性分
散液を塗布する方法は溶剤が水系で、上記の作業環境や
経済性の点から有利と考えられ期待される。
【0006】EVOHの水性乳化分散液としては通常の
EVOHを通常の界面活性剤あるいは通常の高分子保護
コロイド、例えばポリエチレンオキシド、カルボキシメ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビ
ニルアルコール等の共存下乳化分散させたものが特開昭
54−101844、特開昭56−61430等で知ら
れている。しかしながら本発明者らの検討によるとこれ
ら公知の方法で得られたEVOHの水性乳化分散液は分
散安定性が不十分で塗布用として実用が困難である。
【0007】また特開昭54−101844にはアクリ
ル酸やアクリル酸アミドなどのビニルモノマーをエチレ
ン−酢酸ビニルと三元共重合し、けん化して得た、いわ
ゆるランダムに共重合されたランダム共重合体のEVO
H自体を通常の界面活性剤を分散安定剤として分散され
ることが示されている。
【0008】しかしながら、本発明者らの検討によると
単純な三元ランダム共重合EVOHでは乳化分散安定性
の向上は認められず、実用的な乳化分散液は得られなか
った。中ではイオン性基を有するアクリル酸を共重合し
た場合はそのイオン性基により乳化分散安定性は改善さ
れるが、弱いイオン性基がランダムに含有されているた
めか、その含量を多くしないと分散安定性が十分に達成
できず、またEVOHの構造の乱れが大となり、形成皮
膜のバリヤー性が低くなるなどの欠点があり実用的でな
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、貯蔵あるい
は使用時の安定性が著しく改善された分散安定性の優れ
たEVOH系水性分散液、とくに水性乳化分散液を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、EVOHと
してスルホン酸アニオン性基がランダムに導入された特
定のイオン変性EVOH系共重合体を用いて自己乳化分
散することによって達成される。
【0011】本発明の最大の特徴はそのEVOH系水性
乳化分散液が貯蔵あるいは使用時の安定性において著し
く改善され分散安定性に優れることにある。分散安定性
が優れ貯蔵あるいは使用時の粒子の凝集による粒子径の
顕著な増大がほとんどないため、造膜性が良好でより薄
い均質な皮膜が塗布でき、乾燥した皮膜がバリヤー性に
優れることにある。
【0012】本発明で使用されるイオン変性EVOHは
スルホン酸アニオン性基が0.05〜10モル%ランダ
ムに導入変性されたエチレン含量が15〜65モル%、
けん化度が90モル%以上のエチレン−ビニルエステル
系共重合体けん化物で、かつ常温で水に不溶性のもの
(以下イオン変性EVOHと略記する)を包含するもの
で、その製造方法等に制限はない。常温で水に不溶性と
は濃度1%で30℃の水に1日溶解した時の不溶解分が
50%以上のものを言う。不溶解分は高い方が好まし
く、80%以上さらに好ましくは90%以上が望まし
い。
【0013】スルホン酸アニオン性基とは水中でスルホ
ン酸アニオン性を示す基、例えばスルホン酸、スルホン
酸塩、硫酸エステル、硫酸エステル塩基が挙げられ、ま
たこれらの酸および塩基が同時に含まれていても良い。
分散安定化効果が優れている点でスルホン酸または該塩
基が望ましい。
【0014】イオン性基の含量は分散安定化効果の点か
ら該イオン変性EVOH中のEVOH成分単位に対し
0.05〜10モル%で、かつ常温で水に不溶性の範囲
にある必要がある。さらに好ましくは0.3〜7モル
%、殊に0.5〜5モル%が望ましい。0.05モル%
未満では分散安定性が低く、10モル%を越えるものは
水性乳化分散液を塗布、乾燥して得られる皮膜の耐水性
が、不良となり使用できない。イオン変性EVOH中に
分散安定化効果を大幅に損なわない範囲でイオン性基を
含まない他の単位を含むことは差し支えない。
【0015】イオン変性EVOH中のEVOH成分の組
成はエチレン含量が15〜65モル%、けん化度90モ
ル%(本発明で言うけん化度はビニルエステル単位のけ
ん化度を示す)以上である必要がある。エチレン含量が
15モル%未満では水性乳化分散液の安定性が不良とな
りまた65モル%を越えるものはガスバリヤー性が不良
となり不適当である。水性乳化分散液の安定性とガスバ
リヤー性の点からはエチレン含量は20〜55モル%が
好ましい。
【0016】またけん化度は90モル%未満になるとポ
リマーのガスバリヤー性が不十分になるので90モル%
以上のものを使用する必要がある。けん化度は高い方が
バリヤー性が高く、望ましくは95モル%以上さらには
97モル%以上が好ましい。
【0017】EVOHの重合度は用途に応じて選択され
るが、極端に低いものは形成皮膜の強度が低く好ましく
ないので通常400以上好ましくは700以上のものが
使用される。重合度の高いものほど水性乳化分散液とし
て塗布使用することは有利であり、通常5000程度の
ものまで使用できる。なお重合度は塩の添加によりイオ
ン反発の効果を防止する以外は通常のEVOHと同様に
粘度法により測定されるものである。また必要に応じて
エチレン単位およびビニルエステル単位およびスルホン
酸アニオン性基単位以外の共重合可能なモノマーを5モ
ル%以下共重合していてもよい。ここでイオン変性EV
OHの重合度は、1モル/リットルのチオシアン酸アン
モニウムを含有する水/フェノール系混合溶剤(重量比
15/85)中、30℃で測定した固有粘度より求めら
れる。
【0018】ビニルエステルとしてはギ酸ビニル、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、三フッ
化酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のエチレンと共重合
可能で該共重合体をけん化することによりビニルアルコ
ールに変換可能なモノマーが使用できるが、特に酢酸ビ
ニルが好ましい。
【0019】イオン変性EVOHの構造に関してはいわ
ゆるランダムにスルホン酸アニオン性基が導入されたも
のであれば特に制約はなく種々の方法で製造されるもの
が使用できる。
【0020】例えば、スルホン酸アニオン性基を含有す
るモノマーをエチレンおよびビニルエステルとラジカル
共重合し、次いで得られた共重合体中のビニルエステル
単位をけん化してビニルアルコール単位に変換する方
法、EVOHポリマーにスルホン酸アニオン性基含有成
分を付加反応させて導入する方法、あるいはエチレン−
ビニルエステル共重合体にスルホン酸アニオン性基含有
成分を付加反応させた後、該共重合体中のビニルエステ
ル単位をけん化してビニルアルコール単位に変換する方
法等が挙げられる。その重合、けん化および付加反応等
の方法は公知の方法で実施できる。
【0021】エチレンおよびビニルエステルと共重合す
るスルホン酸アニオン性基含有モノマーとしてはスルホ
ン酸アニオン性基あるいはスルホン酸アニオン性基に変
換可能な基を有するラジカル単独重合あるいはラジカル
共重合可能なものが使用できる。その例を次に示す。
【0022】oスルホン酸アニオン性基含有モノマー 例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸ナトリウムのごときアクリアミド系スルホン酸塩
モノマー、スチレンスルホン酸カリウムのごときスチレ
ン系スルホン酸塩モノマー、アリルスルホン酸ナトリウ
ムのごときアリル系スルホン酸塩モノマー、またビニル
スルホン酸ナトリウムのごときビニルスルホン酸塩、あ
るいはこれらのアンモニウム塩モノマー、さらにはこれ
らの酸モノマー等が挙げられる。またこれらのスルホン
酸のエステルも重合後エステルをその塩あるいは酸に変
換することにより使用可能である。
【0023】これらのモノマーは単独で使用することも
また併用することも可能である。また分散安定化効果を
阻害しない範囲で他のモノマーとの共重合も可能であ
る。
【0024】EVOHへの付加反応としては、その水酸
基へのスルホン酸アニオン性基含有ビニルモノマーのマ
イケル付加反応、あるいはスルホン酸アニオン性基含有
アルデヒドあるいはケトンによるアセタール化、あるい
はケタール化、スルホン酸アニオン性基含有エポキシ化
合物の付加、また硫酸によるエステル化等が挙げられ
る。
【0025】イオン変性EVOHを乳化分散させる方法
には制限はなく、公知の方法が使用可能である。
【0026】例えばイオン変性EVOHの溶液を該EV
OHの非溶剤である水と撹拌下に接触させてEVOH粒
子を3μm以下、好ましくは2μm以下、最適には1μ
m以下の微粒子として析出させ、次いで溶剤を除去する
ことにより水性乳化分散液を得ることができる。なおこ
こで微粒子の径は数平均粒子径である。
【0027】水性乳化分散液の固形分濃度は用途等によ
り適宜決められるが、高濃度でしかも安定な分散液の得
られることが本発明の特徴である。固形分濃度としては
好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量
%以上、最適には20重量%以上である。固形分濃度の
上限には特に制限はないが、あまり高濃度になりすぎる
と水性分散液の放置安定性がやや不良になるので、通常
60重量%以下が好ましく、さらに好ましくは50重量
%以下、最適には40重量%以下である。
【0028】溶剤としては、例えばメチルアルコール、
エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコ
ール等の1価アルコール、エチレングリコール、プロピ
レングリコール等の2価アルコール、グリセリン等の3
価アルコール、フェノール、クレゾール等のフェノール
類、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン等のアミ
ン類、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、
N−メチルピロリドン等、あるいはこれらの含水物等が
単独あるいは2種以上混合されて使用できる。特に好ま
しい溶剤はアルコール−水系の混合溶剤、例えば水−メ
チルアルコール、水−ノルマルプロピルアルコール、水
−イソプロピルアルコール等である。
【0029】溶剤中の有機溶剤は蒸発法、抽出法あるい
は透析法等の適宜な方法で除去することができる。除去
の程度は高いことが望ましいが、経済性との兼合いで小
割合の有機溶剤を残存させることは可能である。
【0030】また別の方法として、高温では溶解するが
低温にすると不溶になる溶剤にイオン変性EVOHを加
熱溶解した後、その溶液を冷却することにより、微粒子
として析出分散させる方法も採用できる。しかる後その
溶剤を水と置換することにより水性乳化分散液とするこ
とができる。
【0031】高温で溶解し低温では析出する溶剤として
は先に示した溶剤の内アルコール類の単独あるいは水と
の混合溶剤等が使用できる。
【0032】さらに別の方法として、イオン変性EVO
Hの溶液を非溶剤と接触させるか、あるいは冷却するこ
とにより析出分散させた粒子を濾別し、その粒子を水中
に分散させる方法も可能である。
【0033】またイオン変性EVOHを水中に直接分散
させることも可能な場合がある。例えば、イオン変性E
VOHを水と混合し撹拌機あるいはボールミル等で撹拌
することにより分散乳化させることも可能である。ただ
し分散に長時間を要する等の問題がある。
【0034】本発明において好適な水性分散液の製法と
しては、イオン変性EVOHを溶剤に、撹拌下、温度5
0〜75℃で溶解して溶液とし、次いで冷却(温度−1
0〜30℃)し、EVOH粒子を析出して分散化(エマ
ルジョン化)し、次に減圧下(温度10〜30℃、圧力
10〜150mmHg)にアルコールを除去し、さらに
水を所望量除去することによって、所望の固形分濃度の
水性分散液を得る方法があげられる。
【0035】本発明の水性分散液には粘度を低下させる
目的で水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリ
ウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウムなどのアルカリ
金属化合物、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、酢酸
カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、などの
アルカリ土金属化合物、その他の電解質を0.01〜
0.5重量%(対ポリマー)配合してもよい。配合は、
EVOHを微粒子化する前でも後でもよい。
【0036】本発明の方法で得られた水性乳化分散液は
優れたガスバリヤー性の皮膜を形成する塗布材料として
有用であるが、その優れた力学的性能や化学的性能を生
かして、他の用途例えば粉霧乾燥して微粒子粉末にした
り、また塗料や接着剤のバインダーやビヒクルなど広範
囲に利用できる。
【0037】本発明の水性乳化分散液には必要に応じて
本発明の目的達成を妨げない範囲で通常の界面活性剤や
保護コロイドを添加することは可能である。また他の樹
脂の水性分散液、光あるいは熱等に対する安定剤、顔
料、滑剤、防黴剤あるいは造膜助剤などを添加すること
もできる。
【0038】以上に説明したように、本発明によれば貯
蔵あるいは使用時の安定性に優れた高固形分濃度の水性
分散液が得られ、かつ水性であるため環境の汚染等の問
題もない利点があり、塗布、乾燥により優れたガスバリ
ヤー性、保香性および耐油・耐薬品性を示す薄い皮膜を
形成できる有用な塗布剤として各種基材表面に塗布でき
る。ここで基材としてはとくに熱可塑性樹脂{ポリオレ
フィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエ
ステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルア
ルコール、酢酸ビニル樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重
合体など)など}からなる各種成形品(フィルム、シー
ト、カップ、ボトルなど)が好適なものとしてあげら
れ、また繊維集合体(紙、不織布、織布、ファイブラス
ケーシングなど)、無機物(セメントなど)、金属、ポ
リ塩化ビニル樹脂製壁紙、写真印画紙などもあげられ
る。
【0039】また本発明の水性分散液を基材表面に塗布
する方法としては、キャスティングヘッドからの吐出、
ロールコート、ドクターロールコート、ドクターナイフ
コート、カーテンフローコート、スプレー、浸漬、刷毛
塗りなど任意の手段が例示される。このように塗布され
た基材を乾燥・熱処理する方法としては乾熱処理法、た
とえば赤外線照射法、熱風乾燥法などが例示される。こ
れらの赤外線照射、熱風乾燥などはそれぞれ単独で使用
してもよいし、また併用することもできる。また乾燥・
熱処理の温度は30〜180℃であることが好ましく、
下限値については50℃以上が好ましく、最適には80
℃以上である。また乾燥・熱処理の時間は5秒〜10分
が好ましく、さらに好適には1〜5分である。乾燥・熱
処理中は条件、たとえば温度を増減させること、たとえ
ば最初は低温で処理し、徐々に温度を上昇させることな
どは自由である。このような乾燥・熱処理を施すことに
よりガスバリヤー性の優れた皮膜が基材表面に形成され
る。また本発明の水性分散液を塗布、乾燥・熱処理した
あとの皮膜の厚さは0.5〜15μmであることが好ま
しく、さらに好適には1〜10μm、最適には2〜6μ
mである。
【0040】以下に実施例により具体的に本発明を説明
するが、実施例のみに限定されるものではない。また実
施例中の部は特に指定しないかぎり、重量部を示す。溶
剤組成も重量比で示す。
【0041】
【実施例】
実施例1 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナ
トリウム単位がEVOH成分に対し0.5モル%ランダ
ム共重合された、エチレン含量34モル%、けん化度9
9.4モル%、重合度1100のスルホン酸アニオン変
性EVOH(水不溶解分97%)50部を水/メチルア
ルコール=30/70の混合溶剤600部に添加混合し
65℃で加熱溶解した。
【0042】この溶液を撹拌下に10℃まで冷却したと
ころ、粒子が析出し安定に分散して均一な分散液がえら
れた。平均粒子径は0.6μmであった。次いでこの分
散液を撹拌下に20℃で減圧蒸発させメチルアルコール
を留去した。メチルアルコール留去過程でも粒子の凝集
はほとんどみられず安定で、平均粒子径が0.6μm、
固形分濃度27%の水性乳化分散液をえた。また放置安
定性も良好で、40℃で10日の放置試験でも凝集はほ
とんど認められなかった。
【0043】そして、この水性乳化分散液を二軸延伸ポ
リエチレンテレフタレートフィルム(膜厚20μm)の
プライマー処理面に塗布して110℃で5分間乾燥し、
該フィルム(EVOH厚み3μm)の酸素バリヤー性を
20℃、0%RHの条件で測定したところ酸素透過量
が、3.8cc/m2・day・atmで、食品包装材
として良好な性能を示した。(以下、酸素透過量の測定
条件および単位は同一である。)
【0044】一方比較のために、スルホン酸アニオン変
性EVOHに代えて同一のエチレン含量、けん化度およ
び重合度の未変性の通常のEVOHを用いて分散した場
合(比較例1)、またこの通常のEVOHに分散剤とし
て公知の通常のノニオン界面活性剤のノニルフェニルエ
ーテルのエチレンオキシド付加物(比較例2)、アニオ
ン界面活性剤のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
(比較例3)、あるいは高分子保護コロイドとしてけん
化度80モル%、重合度600の部分けん化ポリビニル
アルコール(比較例4)を使用し、それ以外は実施例1
と同じ条件で分散を試みたが、いずれの場合も加熱溶解
した溶液を撹拌下に冷却し粒子が析出する段階で凝集
し、分散液は得られなかった。
【0045】またアクリル酸、エチレンおよび酢酸ビニ
ルをランダム三元共重合し、該共重合体をけん化して、
アクリル酸成分含量2.5モル%、エチレン含量33モ
ル%、けん化度99.6モル%、重合度800のEVO
Hを得た。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを該
EVOHに対して1重量%使用し、それ以外は実施例1
と同様の条件で自己分散させメチルアルコールを蒸発除
去し、平均粒子径1.0μm、固形分濃度20%の水性
乳化分散液を得た。40℃で10日間放置したが、凝集
はわずかにみられた。この水性乳化分散液を実施例1と
同様にして塗布、乾燥し、フィルム(EVOH層厚み3
μm)の酸素透過量を測定したところ、14であった。
(比較例5)
【0046】このように本発明のスルホン酸アニオン性
基の導入により、EVOHの水中での乳化分散安定性が
格段に向上し自己分散でき、安定な水性乳化分散液が得
られることがわかる。
【0047】実施例2 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸カ
リウムがEVOH成分に対して1.2モル%ランダム共
重合されたエチレン含量48モル%、けん化度99.2
モル%、重合度800のイオン変性EVOH(水不溶解
分91%)50部を水/イソプロピルアルコール=30
/70混合溶剤600部と混合し、撹拌下に70℃で加
熱した。
【0048】次いで該溶液を撹拌下に5℃まで冷却した
ところ、粒子径0.7μmの安定な分散液を得た。この
分散液を25℃で減圧蒸発させてイソプロピルアルコー
ルを留去することにより、固形分濃度23%、平均粒子
径0.7μmの安定な水性乳化分散液を得た。
【0049】実施例3 アリルスルホン酸ナトリウムがEVOH成分に対し0.
6モル%ランダムに共重合導入されたエチレン含量28
モル%、けん化度99.7モル%、重合度600のアニ
オン変性EVOH(水不溶解分93%)50部を、水/
イソプロピルアルコール=40/60の混合溶剤500
部に加え、75℃で加熱溶解した。この溶液を20℃に
保った水/=イソプロピルアルコール20/80の混合
溶剤200部中に高速撹拌機で撹拌しながら滴下したと
ころ粒子が析出分散し安定な分散液を得た。平均粒子径
は0.9μmであった。
【0050】次いでこの分散液を20℃で減圧蒸発させ
イソプロピルアルコールを留去し固形分濃度20%の水
性分散液を得た。この水性分散液の平均粒子径は0.9
μmで減圧蒸発過程での粒子の肥大化もほとんどなく、
安定な水性乳化分散液が得られた。実施例1と同様にし
て塗布、乾燥して得られたフィルム(EVOH層厚み3
μm)の酸素透過量は6.5で良好であった。
【0051】実施例4 EVOHの水酸基へのマイケル付加反応により2−メタ
クリルアミド−2−メメチルプロパンスルホン酸ナトリ
ウムをEVOH成分に対して1モル%導入したエチレン
含量34モル%、けん化度99.5モル%、重合度10
00のEVOH(水不溶解分95%)100部をエチル
アルコール/水=50/50の混合溶剤800部と混合
し70℃で加熱溶解した。
【0052】実施例1と同様の方法で分散およびエチル
アルコールの留去を実施し、固形分濃度22%、粒子径
0.8μmの安定な水性乳化分散液を得た。
【0053】実施例5 EVOHの水酸基へのベンズアルデヒド−p−スルホン
酸ナトリウムによるアセタール化反応により該スルホン
酸アニオン性基がEVOH成分に対し0.8モル%導入
された、エチレン含量38モル%、けん化度99.5モ
ル%、重合度1100のアニオン変性EVOH(水不溶
解分94%)を用いる以外は実施例1と同一条件で分
散、メチルアルコールの留去を実施したところ、固形分
濃度23%、平均粒子径0.9μmの水性乳化分散液を
得た。分散液は粒子の凝集が若干認められたが、実施例
1と同一条件で塗布、乾燥したフィルム(EVOH層厚
み5μm)の酸素透過量は5.1で良好であった。
【0054】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のイオン
変性EVOHを用いて自己乳化分散した水性乳化分散液
は、貯蔵あるいは使用時の安定性に優れた高固形分濃度
の水性分散液で、かつ水性であるため環境の汚染等の問
題もない利点があり、塗布乾燥により優れたガスバリヤ
ー性、保香性および耐油・耐薬品性を示す薄い皮膜を形
成できる有用な塗布剤として利用できる、工業的価値の
高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 129/04 PFL 6904−4J C09J 123/26 JCF 7107−4J (72)発明者 守谷 健 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 廣藤 俐 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.05〜10モル%のスルホン酸アニ
    オン性基がランダムに導入変性され、かつ常温で水に不
    溶性のエチレン含量15〜65モル%のエチレン−ビニ
    ルアルコール系共重合体の水性分散液。
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