JPH0585910U - 建築用パネル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 パネル面と直交する方向からの側方力に対す
る強度が大きく、しかも大きな断熱、保温効果が得られ
るとともに、安価に製造できるようにした建築用パネル
を提供する。 【構成】 外装体(２)内を真空又は負圧としたことによ
り、大きな断熱、保温効果が得られるとともに、外装体
(２)を内方に向かって緊縮させる力が生じ、この緊縮力
により、パネル全体に掛る引張力に対して強くなり、か
つ外装体(２)の両側板(４)(５)が互いに内方に引き与せ
られて、中空円筒体(３)を両端部から挾圧把持するの
で、中空円筒体(３)を外装体(２)に固着したり保持した
りする特別な手段を設ける必要がなくなる。また外装体
(２)の両側板(４)(５)間に、中空円筒体(３)が補強材と
して介在し、特に、パネル面と直交する方向の側方力に
対する強度が増大する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、建築物の壁材や間仕切等として使用される建築用パネルに関するも のである。

【０００２】

【従来技術】

従来の建築用パネルとして、種々のものがあるが、断熱効果があり、軽量で、 かつ比較的安価に製造できるものとしては、中空の外装体内に、グラスウールや 発泡スチロール樹脂等の断熱材料を充填したものや、石膏ボード等がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の外装体内に断熱材料を充填したものは、ほとんど外装体のみでパネルの 強度を維持するようにしており、特にパネル面と直交する方向からの側方力に対 して弱いという問題点がある。

【０００４】 また、石膏ボード等も、パネル面と直交する方向の側方力に対して脆いという 問題点がある。 なお、中空板状とした外装体の内部を真空とすることが考えられるが、このよ うにすると、外装体の両側板が常時内方に向かって引張られ、特にその中央部に 大きな応力が掛るので、それに耐えるためには両側板の板厚を大としなければな らず、製造コストが大となる不利がある。

【０００５】 本考案は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、パネル面と直交す る方向からの側方力に対する強度が大きく、しかも大きな断熱、保温効果が得ら れるとともに、安価に製造できるようにした建築用パネルを提供することを目的 としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するため、本考案の建築用パネルは、内部を密閉した中空板状 の外装体内に、複数の中空円筒体を、その両端部が外装体の両側板の内面に当接 するようにして、適宜の配置で配設し、かつ前記外装体内を、真空又は負圧とし たことを特徴としている。

【０００７】

【作用】

外装体内を真空又は負圧としたことにより、大きな断熱、保温効果が得られる とともに、外装体を内方に向かって緊縮させる力が生じ、この緊縮力により、パ ネル全体に掛る引張力に対して強くなり、かつ外装体の両側板が互いに内方に引 き与せられて、中空円筒体を両端部から挾圧把持するので、中空円筒体を外装体 に固着したり保持したりする特別な手段を設ける必要がなくなる。また外装体の 両側板間に、中空円筒体が補強材として介在し、特に、パネル面と直交する方向 の側方力に対する強度が増大する。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の実施例を、添付図面を参照して説明する。 図１及び図２は、本考案の第１実施例を示す。 第１実施例においては、建築用パネル(１)は、内部を密閉した方形の中空板状 の外装体(２)内に、複数の中空円筒体(３)を、その両端部が外装体(２)における 両側板(４)(５)の内面に当接するようにして、適宜の配置で配設し、かつ外装体 (２)内を、真空又は負圧としてある。

【０００９】 外装体(２)は、アルミニウム合金、ステンレス、その他の金属材料、又は合成 樹脂材料等の気密な材料よりなり、一方の側板(４)の上下及び前後の縁部に、短 寸の上板(６)、下板(７)、前板(８)及び後板(９)をプレス成形等によりそれぞれ 一体的に連設して、一側方に開口する奥行きの浅い箱体(10)を形成し、この箱体 (10)の開口部を、上記と同材質の側板(５)をもって密閉することにより形成され ている。

【００１０】 箱体(10)と側板(５)との間には、ゴム製のパッキング又はブチルゴム(図示略) 等を挾んで、接合部の気密性を上げるようにするのがよい。また、必要に応じて 、箱体(10)の開口部周縁と側板(５)の周縁とを、溶接、ボルト締め、又は箱体(1 0)の開口部に形成した外向きフランジ部(図示略)を、側板(５)の周縁を内向きに 折返して巻締める等により、適宜固着するのがよい。 側板(５)は、箱体(10)の材質と異ならせたり、若干可撓性を持たせてもよい。

【００１１】 中空円筒体(３)は、内部に空気、窒素ガス又はその他の気体、又はグラスウー ルその他の断熱材等を充填し、両端を閉塞板(3a)により缶詰状に気密に密閉した ものとしてある。 製造にあたっては、箱体(10)を上向きに開口するように水平に保持した状態で 、その中に複数の中空円筒体(３)を直立させて所望の配置で載置し、次いで、そ の上方に側板(５)を重ね、必要に応じて側板(５)の周縁を箱体(10)の開口部周縁 に固着し、次いで、箱体(10)における上板(６)(又は下板(7)、前板(８)もしくは 後板(９)のいずれか)に穿設した脱気孔(11)より真空吸引して、箱体(10)内を真 空又はそれに近い負圧状態とし、その後脱気孔(11)に止栓(12)を嵌着するのがよ い。

【００１２】 箱体(10)内を真空とすることにより、両側板(４)(５)は、互いに内方に向かっ て緊縮させられ、中空円筒体(３)の両端部に圧接する。 なお、必要に応じて、両側板(４)(５)と中空円筒体(３)との間に、断熱性のシ ート(図示略)を敷いておいてもよい。

【００１３】 図３は、本考案の第２実施例に用いる中空円筒体を示す。 この中空円筒体(13)は、両端を開放したままとし、かつ外周部の適所に、脱気 孔(11)を穿設しただけのものとしてある。 この中空円筒体(13)を、第１実施例におけるのと同様にして、箱体(10)内に適 宜の配置で配設し、かつ箱体(10)の開口部に側板(５)を重ねて、その内部を真空 吸引すると、中空円筒体(13)の両端が両側板(４)(５)の内面に圧接するとともに 、脱気孔(14)を介して、中空円筒体(13)の内部まで真空吸引され、断熱性能の大 きい建築用パネルを提供することができる。 なお、第１実施例における密閉した中空円筒体(３)内を真空又は負圧としてお いてもよい。

【００１４】

【考案の効果】

本考案は、次のような効果を奏することができる。 (ａ) 外装体内を真空又は負圧としたことにより、外装体を内方に向かって緊 縮させる力が生じ、この緊縮力により、パネル全体に掛る引張力に対して強くな るとともに、外装体の両側板が互いに内方に引き寄せられて、中空円筒体を両端 部から挾圧把持するので、中空円筒体を外装体に固着したり保持したりする特別 な手段を設ける必要がない。

【００１５】 (ｂ) 外装体の両側板間に、中空円筒体が補強材として介在し、特に、パネル 面と直交する方向の側方力に対する強度が増大する。

【００１６】 (ｃ) 外装体内を真空又は負圧としたことにより、大きな断熱、保温効果が得 られる。中空円筒体内に気体を充填した場合にも、中空円筒体同士は、それらの 間に介在する真空又は負圧部分により、相互の熱伝達が阻止されるので、大きな 断熱、保温効果が得られる。中空円筒体内をも真空又は負圧とすれば、断熱、保 温効果はさらに向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例の分解斜視図である。

【図２】第１実施例に用いる中空円筒体の斜視図であ
る。

【図３】本考案の第３実施例に用いる中空円筒体の斜視
図である。

【符号の説明】

(１)建築用パネル (２)外装体 (３)中空円筒体 (3a)閉塞板 (４)(５)側板 (６)上板 (７)下板 (８)前板 (９)後板 (10)箱体 (11)脱気孔 (12)止栓 (13)中空円筒体 (14)脱気孔

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部を密閉した中空板状の外装体内に、
   複数の中空円筒体を、その両端部が外装体の両側板の内
   面に当接するようにして、適宜の配置で配設し、かつ前
   記外装体内を、真空又は負圧としたことを特徴とする建
   築用パネル。
2. 【請求項２】 中空円筒体内に、気体を密封してなる請
   求項１記載の建築用パネル。
3. 【請求項３】 中空円筒体内を、真空又は負圧とした請
   求項１記載の建築用パネル。