JPH0585303B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、工作物の加工個所に対応する位置へ
３次元方向に移動可能な加工ヘツドを有する加工
ユニツトを一定ピツチ間隔に配設して種々の工作
物の加工を可能にしたフレキシブルトランスフア
マシンに関する。

＜従来の技術＞ 従来、単一品種の工作物を大量に加工するもの
としてはトランスフアマシンがある。このマシン
は、直線上の搬送ラインに沿つて工作物を搬送す
ると同時に、この搬送ラインの両側に設置された
加工ユニツトにて主軸を進退させ、この主軸の先
端に取付られた工具にて工作物の加工を行うもの
で、短いタクトで単一品種の工作物を大量に加工
するには適しているが多品種少量生産には対応で
きない。

このため、最近はNC加工ユニツトが開発され
ている。このNC加工ユニツトはベツド上におい
てテーブルを前記搬送ラインと平行な方向に移動
可能に記載し、このテーブル上においてコラムを
工作物に接近離間する方向に摺動自在に載置し、
さらにこのコラムに加工ヘツドを上下方向に、移
動可能に案内支持したものであり、かかる加工ユ
ニツトを前記搬送ラインに沿つて設置し、このテ
ーブルを水平方向に移動させたり、また加工ヘツ
ドを昇降動作させることによつて種々の形状、寸
法の工作物を加工できるフレキシブルトランスフ
アマシンが開発されている。

＜発明が解決しようとする問題点＞ しかるにこの加工ユニツトは、上記テーブルを
水平方向に移動させるため、ベツド上に案内用の
案内レールを設けなければならず、前記ベツドが
大形化し、しかも案内レールを保護するカバーが
その両サイドに大きくオーバハングし、その結果
加工ユニツトを設置するために大きな設置スペー
スが必要となる。

特にこの種のフレキシブルトランスフアマシン
においては、前記加工ユニツト間に作業者が入り
込めるようにスペースを確保して機械の保守をで
きるようにしておく必要があり、前記ベツドの大
形化は、そのままフレキシブルトランスフアマシ
ンの設置スペースの増大を招き、またマシン間ピ
ツチの増大に伴い、工作物搬送装置の搬送ストロ
ークを大きくしたりしなければならず、それに伴
つて工作物搬送装置が大型化し、またそれを避け
るため、前記マシン間を２ストロークで搬送しよ
うとする途中にアイドラステーシヨンを設置しな
ければならず、コスト高となる欠点がある。

＜発明の構成＞ 本発明はかかる従来の不具合を解消するために
なされたものであり、加工ユニツトを、固定のベ
ースと、このベース上に前記主軸の軸線方向に進
退移動可能に支持された送り台と、この送り台に
前記主軸の軸線と直交する平面内で回動可能に枢
支された第１可動要素と、この第１可動要素に回
動もしくは直動可能に支持され前記加工ヘツドを
備えた第２可動要素とによつて構成し、前記加工
ユニツトを前記工作物搬送装置の搬送ストローク
と等しい間隔に配置し、前記加工ユニツトの前記
可動要素を加工ヘツド原位置状態においてはその
両側に少なくとも作業者が入り込める大きさの保
守スペースを確保できる位置に保持し、また加工
ヘツドによる工作物加工時において前記保守スペ
ースの領域にまで前記加工ヘツドを移動させる駆
動装置を有することを特徴とするものである。

＜作用＞ 上記構成において、本発明装置は、駆動装置に
より第１可動要素を主軸軸線と直交する平面内で
旋回させるとともに、第２可動要素を回動もしく
は直動させ、その結果、加工ヘツドは加工ユニツ
ト両側に確保された保守スペースの領域まで移動
され、この保守スペースの一部を加工範囲として
利用する。

この加工範囲内の所定位置に位置決めされた状
態で送り台の前進により加工ヘツドは工作物に向
かつて前進され、治具装置上に位置決めクランプ
された工作物の加工が行われる。

また保守のため、マシンの運転を中止した場合
前記第１及び第２可動要素は原位置に戻され、各
加工ユニツト間に必要な保守スペースが確保され
る。

＜実施例＞ 以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。

本発明のフレキシブルトランスフアマシンは第
１図および第２図に示すように直線状の搬送ライ
ンに沿つて工作物Ｗを搬送するとともにこの搬送
ラインの途中に所定間隔をおいて配置された各加
工ステーシヨンS₁〜Snに工作物Ｗを位置決めク
ランプして加工を行うもので、前記搬送ラインに
沿つて設置された搬送台１０と、前記加工ステー
シヨンS₁〜Snの間隔Ｌと同じトランスフアスト
ロークＬ往復動し、搬送ラインに沿つて工作物Ｗ
を順次搬送する工作物搬送装置１１と、この工作
物搬送装置１１によつて搬送された工作物Ｗを各
加工ステーシヨンS₁〜Snに位置決めクランプす
べくピツチ間隔Ｌで搬送ライン上に配置された治
具装置２０と、工作物Ｗを加工すべく前記治具装
置２０に対応して設置された加工ユニツト３０を
有する。

前記工作物搬送装置１１は、第３図に示すよう
に前記搬送ラインに沿つて配設されたトランスフ
アバー１２と、このトランスフアバー１２をトラ
ンスフアストロークＬだけ往復動させるトランス
フアシリンダ１３と、前記トランスフアバー１２
を回転させる爪起倒装置１４とを備え、このトラ
ンスフアバー１２の往復動によつてトランスフア
バー１２上の係合爪１５（第１図およ第２図参
照）を工作物Ｗを支持するパレツトＰに係合さ
せ、またトランスフアバー１２の往復動によつて
パレツトＰを各加工ステーシヨンS₁〜Sn間を順
次搬送するようになつている。

前記治具装置２０はノツクピン等の周知の位置
決め装置と、レバー式クランパ等の周知のクラン
プ装置（いずれも図略）を備え、前記工作物搬送
装置１１にて搬送されていた工作物Ｗを各加工ス
テーシヨンS1〜Snにそれぞれ位置決めクランプ
するようになつている。

前記加工ユニツト３０は、各加工ステーシヨン
S1〜Snのそれぞれに対応して前記トランスフア
ストロークＬと同じ間隔をおいて前記搬送台１０
の側方に設置されるもので、第４図に示すように
ベース３１と、送り台３２と、回動アームよりな
る第１可動要素３３と、この第１可動要素３３上
の直線スライド３５に摺動可能に案内されたスラ
イド体よりなる第２可動要素３４と、この第２可
動要素３４上に固定された加工ヘツド３６と、こ
の加工ヘツド３６に回転可能に軸承された主軸３
７を備えている。そして前記送り台３２は駆動用
サーボモータ３９ならびに送りねじ等の送り系に
より前記ベース３１上において主軸軸線方向（Ｚ
方向）に前進後退され、また第１可動要素３３は
可動要素送り装置として駆動用サーボモータ４０
ならびにギヤ等の送り系により前記主軸軸線にし
て垂直な面内において枢軸４１を中心としてＸ方
向に旋回動作され、さらに第２可動要素３４は可
動要素送り装置しての駆動用サーボモータ４３な
らびに送りねじ等の送り系により前記主軸軸線に
して垂直な面内においてＹ方向に昇降動作される
ようになつている。

従つて前記駆動用サーボモータ４０，４３に数
値指令に応じたパルスを投与して第１、第２可動
要素３３，３４を旋回あるいはスライドさせるこ
とにより加工ヘツド３６を所定の３次方向位置に
移動させることができ、加工位置の異る工作物Ｗ
に対応することができる。この実施例では、第１
図および第２図の実線ならびに仮想線で示す範囲
Ｍ内で加工ヘツド１を移動させることができ、こ
の加工範囲Ｍ内に加工個所を有する加工物Ｗであ
れば加工することができる。

なお、第１〜３図において各治具装置２０に対
応して設置される加工ユニツト３０は全て同一構
成であるので、図面を判りやすくするため、第１
加工ステーシヨンS₁の加工ユニツト３０のみ符号
を記入し、他は省略する。また図中４５は前記主
軸３７を回転駆動する主軸駆動モータ、Ｔは前記
主軸３７の先端に取付られた工具である。

上記構成における作動を説明する。先ず加工に
先だつて加工ユニツト３０の第１、第２可動要素
３３，３４を所定の角度位置ならびに昇降位置に
移動し、加工すべき工作物Ｗに適合した位置に予
め位置決めしておく。

しかる状態において工作物搬送装置１１を作動
する。この搬送動作は先ずこのトランスフアバー
１２上の係合爪１５をパレツトＰに係合させ、さ
らにトランスフアバー１２の往復動させること
で、第１加工ステーシヨンS₁の工作物Ｗはパレツ
トＰとともに第２加工ステーシヨンS₂へ、さらに
第２加工ステーシヨンS₂の工作物Ｗは第３加工ス
テーシヨンS₃へと順次搬送される。

搬送後、各加工ステーシヨンS₁〜Snにおける
治具装置２０を作動してパレツトＰが所定位置に
位置決めクランプされる。位置決めクランプ後、
駆動用サーボモータ３９を作動して送り台３２を
前進させることにより、加工ヘツド３６は工作物
Ｗに向つて前進され、主軸３７の先端に装着され
た工具Ｔにて工作物Ｗの加工が各加工ステーシヨ
ンS₁〜Snにて同時に行なわれる。

加工終了後、駆動用サーボモータ３９が逆転さ
れ、加工ヘツド３６は工作物Ｗより遠ざかる方向
に後退される。その後、再び工作物搬送装置１１
による工作物Ｗの搬送動作ならびに加工ヘツド３
６の前進後退動作が繰返され、工作物Ｗが順次加
工されながら次工程へ送られる。

また上記フレキシブルトランスフアマシンは、
種類の異なる工作物Ｗを同一の搬送ラインで加工
できる機能を有する。従つて今まで加工してきた
工作物Ｗと異なる種類の工作物Ｗを流す場合に
は、先ず、次に流れてくる工作物Ｗに適合するよ
う数値制御装置（図略）から数値指令が出され、
その指令に応じたパルスが駆動用サーボモータ４
０，４３に投与される。これにより駆動用サーボ
モータ４０によつて第１可動要素３３が旋回さ
れ、同時に駆動用サーボモータ４３によつて第２
可動要素３４が昇降動作され、第２可動要素３４
上の加工ヘツド３６は加工範囲Ｍ内において工作
物Ｗに対応した位置に位置決めされる。この加工
ヘツド３６を位置決め後、前記同様の要領でもつ
て工作物Ｗを搬送し、また加工ヘツド３６を工作
物Ｗに向つて前進後退させることで種類の異なる
工作物Ｗの加工を行うことができる。

ここにおいて、前記加工範囲Ｍは工作物Ｗの種
類の全部をカバーできる大きさに設定する必要が
ある。本発明ではこの加工範囲Ｍ内で加工ヘツド
３６を移動させる手段として第１可動要素３３を
枢軸４１を中心として旋回させるとともに第２可
動要素３４を昇降動作させる構成であるため、従
来装置のようにベツドを大型化してこのベツド上
に上記加工範囲に亘つて移動できるような長い案
内面を形成する必要がなく、必要な加工範囲内を
得るために、単に送り台３２ならびに枢軸４１を
支持させるに必要な小形のベース３１でよく、従
つてベース３１の巾を前記加工範囲Ｍより相当小
さくすることができ、これによつて、加工ユニツ
ト３０の小形化が可能となり、設置スペースを小
さくすることができる。

しかも前記加工ユニツト３０間には、作業者が
入り込んで機械を点検、保守するための保守スペ
ースＨを必要とするが、前記したように加工ユニ
ツト３０の設置スペースが少ないことから、前記
加工ユニツト３０間に所要の保守スペースＨを確
保してもマシン間隔Ｌは大きくならず、従つてマ
シン全体のフロアスペースも少く、また工作物搬
送装置１１の搬送ストロークＬも少くてすむ。

なお、工作物Ｗの品種の変更に伴つて加工ヘツ
ド３６は加工範囲Ｍの範囲で旋回され、その両旋
回端では、加工ヘツド３６は保守スペースＨの範
囲に侵入するとになるが、このような状態は、フ
レキシブルトランスフアマシンの稼動中のことで
あり、例えば、機械の点検、保守に際しては、第
１可動要素３３を第１図の実線に示す原位置状態
に位置決めして運転を停止することで、前記加工
ユニツト３０間に必要な保守スペースＨを確保す
ることができる。

第５図および第６図は、本発明の第２実施例を
示すもので、前記第１実施例に対し送り台３２を
前進後退させる送り装置の構成は同一であらる
が、加工ヘツド３６を主軸軸線と直交する面内で
移動させる可動要素の構成において相違してい
る。

この実施例において上記可動要素は、前記送り
台３２上に枢軸１４１を中心として旋回可能に支
持された第１回動アーム１３３と、この第１回動
アーム１３３の先端に枢軸１３５を中心として旋
回可能に支持された第２回動アーム１３４より構
成されている。

そしてこの第１回転アーム１３３は前記送り台
３２上の駆動用サーボモータ１４０によつて前記
主軸軸線と垂直な面内においてＸ方向に旋回さ
れ、さらに第２回転アーム１３４は駆動用サーボ
モータ１４３により同じく主軸軸線と垂直な面内
においてＹ方向に旋回されるようになつている。

なお、３７は加工ヘツド３６に回転可能な軸承
された主軸、４５は主軸駆動モータ、Ｔは主軸３
７の先端に取付けられた工具である。

かかる構成は、前記実施例と同様、加工範囲Ｍ
内において可動要素を構成する第１、第２回動ア
ーム１３３，１３４を旋回させることによつて工
作物Ｗの加工個所に対応する位置へ加工ヘツド３
６を移動しかつ位置決めする構造となつているた
め、加工ユニツト３０を小形化でき、その結果、
加工ユニツト３０間に必要な大きさの保守スペー
スＨを確保するとともにこの各加工ユニツト３０
の間隔を少くすることができ、設置スペースの小
さなフレキシブルトランスフアマシンを構成する
ことができる。

なお、上記実施例は、治具装置２０の一方の側
にのみ加工ユニツト３０を配置しているが、これ
に限定されるものはなく、治具装置２０の両側に
対向配置してもよい。

また一連のフレキシブルトランスフアマシンの
各工程において同一構成の加工ユニツトを配置す
ることなく、その工程における加工形態に応じて
第１、第２実施例の加工ユニツト３０を使い分け
て使用してもよい。

また、上記加工ユニツトの構成としては、上記
実施例のものに限定されるものではなく、その他
特許請求の範囲を逸脱しない範囲内での変形例を
含むものである。

＜発明の効果＞ 上記詳述したように本発明のフレキシブルトラ
ンスフアマシンは、加工ユニツトを前記工作物搬
送装置の搬送ストロークと等しい間隔に配置する
とともに、加工ユニツトの可動要素を、加工ヘツ
ド原位置状態においてはその両側に少なくとも作
業者が入り込める大きさの保守スペースを確保で
きる位置に保持し、また加工ヘツドによる工作物
加工時においては保守スペースの領域にまで加工
ヘツドを移動させる駆動装置を有するため、従来
のようなトランスフア方向に沿つて案内面を不要
にできることから、加工ユニツトの設置スペース
を少くすることができ、前記加工ユニツト間に必
要な保守スペースを確保しても加工ユニツトのマ
シンの間隔は長くならず、従つて極めてフロアス
ペースが小さなフレキシブルトランスフアマシン
を提供することができ、またトランスフアストロ
ークも短く、小型の工作物搬送装置で十分搬送で
きる利点を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図は
本発明のフレキシブルトランスフアマシンの正面
図、第２図は第１図の矢視平面図、第３図は第
１図の矢視断面図、第４図は工作物搬送装置の
斜視図、第５図は本発明の第２実施例を示す側面
図、第６図は第５図の矢視正面図である。 Ｗ……工作物、１１……工作物搬送装置、２０
……治具装置、３０……加工ユニツト、３３……
第１可動要素、３５……第２可動要素、３６……
加工ヘツド、３９，４０，４３……駆動用サーボ
モータ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 加工用の治具装置を一定ピツチ間隔で直線上
   に配置し、各加工用治具装置間にわたつて工作物
   を搬送する工作物搬送装置を設け、各加工用治具
   装置に対応して主軸を回転可能に軸承した加工ヘ
   ツドを前記治具装置に対して相対的３次元方向に
   数制御送り可能に備えた加工ユニツトを配置して
   あるフレキシブルトランスフアマシンにおいて、
   前記加工ユニツトを、固定のベースと、このベー
   ス上に前記主軸の軸線方向に進退移動可能に支持
   された送り台と、この送り台に前記主軸の軸線と
   直交する平面内で回動可能に枢支された第１可動
   要素と、この第１可動要素に回動もしくは直動可
   能に支持され前記加工ヘツドを備えた第２可動要
   素とによつて構成し、前記加工ユニツトを前記工
   作物搬送装置の搬送ストロークと等しい間隔に配
   置し、前記加工ユニツトの前記可動要素を、加工
   ヘツド原位置状態においてはその両側に少なくと
   も作業者が入り込める大きさの保守スペースを確
   保できる位置に保持し、また加工ヘツドによる工
   作物加工時においては前記保守スペースの領域に
   まで前記加工ヘツドを移動させる駆動装置を有す
   ることを特徴とするフレキシブルトランスフアマ
   シン。