JPH0584035A - 蹄 鉄 - Google Patents
蹄 鉄Info
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- JPH0584035A JPH0584035A JP17128291A JP17128291A JPH0584035A JP H0584035 A JPH0584035 A JP H0584035A JP 17128291 A JP17128291 A JP 17128291A JP 17128291 A JP17128291 A JP 17128291A JP H0584035 A JPH0584035 A JP H0584035A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 大荷重での使用に耐え、軽量でかつ耐食性お
よび耐摩耗性に優れた蹄鉄を提供する。 【構成】 チタンまたはチタン合金によって構成された
蹄鉄本体2と、この蹄鉄本体2の接地面2Aの湾曲部中
央部に設けられた溶融拡散硬化層3と、この溶融拡散硬
化層3上に設けられた超硬合金部材4とを具備する。溶
融拡散硬化層3は、チタンまたはチタン合金を構成する
元素とニッケルとを含む金属間化合物または合金、ある
いは炭素,窒素,ホウ素,ジルコニウム,銅,タングス
テン,モリブデン,ニオブの中から選択される少なくと
も1種以上の元素を含むチタン合金からなる。
よび耐摩耗性に優れた蹄鉄を提供する。 【構成】 チタンまたはチタン合金によって構成された
蹄鉄本体2と、この蹄鉄本体2の接地面2Aの湾曲部中
央部に設けられた溶融拡散硬化層3と、この溶融拡散硬
化層3上に設けられた超硬合金部材4とを具備する。溶
融拡散硬化層3は、チタンまたはチタン合金を構成する
元素とニッケルとを含む金属間化合物または合金、ある
いは炭素,窒素,ホウ素,ジルコニウム,銅,タングス
テン,モリブデン,ニオブの中から選択される少なくと
も1種以上の元素を含むチタン合金からなる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、競争馬等の蹄に装着さ
れる蹄鉄に係わり、特に、耐摩耗性を高め軽量化を図る
ための改良に関する。
れる蹄鉄に係わり、特に、耐摩耗性を高め軽量化を図る
ための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の蹄鉄としては、牛や一般馬用には
炭素鋼を用いて鍛造成形したもの、また競争馬用にはア
ルミニウム合金を鋳造成形したものが主に使用されてい
る。
炭素鋼を用いて鍛造成形したもの、また競争馬用にはア
ルミニウム合金を鋳造成形したものが主に使用されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】炭素鋼によって作られ
た蹄鉄は安価であるが、炭素鋼の比重が約7.6と大き
いため、競争馬に使用すると走行速度が抑制される。ま
た、炭素鋼は水分と反応して錆びるから、耐食性に劣る
欠点があった。
た蹄鉄は安価であるが、炭素鋼の比重が約7.6と大き
いため、競争馬に使用すると走行速度が抑制される。ま
た、炭素鋼は水分と反応して錆びるから、耐食性に劣る
欠点があった。
【0004】一方、アルミニウム合金製の蹄鉄は軽く、
競争馬に適するが、1個当りの価格が高いうえ、比較的
軟質であるから耐摩耗性に劣り、接地面の摩耗が早い。
そのため、1または数回のレース毎に新品に交換する必
要があり、交換作業が煩雑で、コストがかかるという問
題があった。
競争馬に適するが、1個当りの価格が高いうえ、比較的
軟質であるから耐摩耗性に劣り、接地面の摩耗が早い。
そのため、1または数回のレース毎に新品に交換する必
要があり、交換作業が煩雑で、コストがかかるという問
題があった。
【0005】なお、蹄鉄の交換は必然的に蹄を痛めるた
め、蹄の成長に合わせて蹄鉄の交換頻度は制限される。
したがって、蹄鉄の耐摩耗性により、レース出場可能回
数までもが制限されることになり、軽量化かつ耐摩耗性
を高めることが強く望まれている。
め、蹄の成長に合わせて蹄鉄の交換頻度は制限される。
したがって、蹄鉄の耐摩耗性により、レース出場可能回
数までもが制限されることになり、軽量化かつ耐摩耗性
を高めることが強く望まれている。
【0006】この問題を解決するために、例えば特開昭
54−80223号公報では、軽量のチタンまたはチタ
ン合金によって蹄鉄を作ることが提案されている。しか
し、チタンまたはチタン合金は軽量でかつ耐食性には優
れているものの、耐摩耗性はそれほど高くなく、アルミ
ニウム合金に比して高価なコストを考慮すると、利点に
乏しかった。
54−80223号公報では、軽量のチタンまたはチタ
ン合金によって蹄鉄を作ることが提案されている。しか
し、チタンまたはチタン合金は軽量でかつ耐食性には優
れているものの、耐摩耗性はそれほど高くなく、アルミ
ニウム合金に比して高価なコストを考慮すると、利点に
乏しかった。
【0007】一方、チタンの表面硬化法の1つとして、
周知のように、窒化法が広範な用途に使用されている
が、窒化法ではチタン表面のごく表層(例えば表面の数
μm程度)しか硬化することができず、大荷重のかかる
蹄鉄には無意味である。
周知のように、窒化法が広範な用途に使用されている
が、窒化法ではチタン表面のごく表層(例えば表面の数
μm程度)しか硬化することができず、大荷重のかかる
蹄鉄には無意味である。
【0008】耐摩耗性の高いモリブデン等の合金をチタ
ン表面に溶射する硬化法も一部で実施されているが、チ
タンの特性上、他合金の溶接は難しく、大荷重のかかる
蹄鉄の場合には信頼性が低いうえ、コストがかかりすぎ
てこの方法は採用できない。
ン表面に溶射する硬化法も一部で実施されているが、チ
タンの特性上、他合金の溶接は難しく、大荷重のかかる
蹄鉄の場合には信頼性が低いうえ、コストがかかりすぎ
てこの方法は採用できない。
【0009】さらに、特開昭50−28443号公報で
は、チタンまたはチタン合金にFe,Co,Ni,Cr
等の他種金属または合金を被覆した後、窒化、ホウ化、
浸炭等の硬化処理する方法が開示されている。ところ
が、この方法で得られる硬化層の厚さは、せいぜい数十
μm程度であって、多大な荷重のかかる蹄鉄には、強度
不足である。
は、チタンまたはチタン合金にFe,Co,Ni,Cr
等の他種金属または合金を被覆した後、窒化、ホウ化、
浸炭等の硬化処理する方法が開示されている。ところ
が、この方法で得られる硬化層の厚さは、せいぜい数十
μm程度であって、多大な荷重のかかる蹄鉄には、強度
不足である。
【0010】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、大荷重での使用に耐え、軽量でかつ耐食性および耐
摩耗性に優れた蹄鉄を提供することを課題としている。
で、大荷重での使用に耐え、軽量でかつ耐食性および耐
摩耗性に優れた蹄鉄を提供することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係わ
る蹄鉄は、チタンまたはチタン合金によって構成された
蹄鉄本体と、この蹄鉄本体の接地面の湾曲部中央部に設
けられた溶融拡散硬化層と、この溶融拡散硬化層上に設
けられた超硬合金部材とを具備し、前記溶融拡散硬化層
は、チタンまたはチタン合金を構成する元素と、ニッケ
ルとを含むことを特徴とする。
る蹄鉄は、チタンまたはチタン合金によって構成された
蹄鉄本体と、この蹄鉄本体の接地面の湾曲部中央部に設
けられた溶融拡散硬化層と、この溶融拡散硬化層上に設
けられた超硬合金部材とを具備し、前記溶融拡散硬化層
は、チタンまたはチタン合金を構成する元素と、ニッケ
ルとを含むことを特徴とする。
【0012】一方、本発明の請求項2に係わる蹄鉄は、
チタンまたはチタン合金によって構成された蹄鉄本体
と、この蹄鉄本体の接地面の湾曲部中央部に設けられた
溶融拡散硬化層と、この溶融拡散硬化層上に設けられた
超硬合金部材とを具備し、前記溶融拡散硬化層は、炭
素,窒素,ホウ素,ジルコニウム,銅,タングステン,
モリブデン,ニオブの中から選択される少なくとも1種
以上の元素を含むチタン合金からなることを特徴として
いる。
チタンまたはチタン合金によって構成された蹄鉄本体
と、この蹄鉄本体の接地面の湾曲部中央部に設けられた
溶融拡散硬化層と、この溶融拡散硬化層上に設けられた
超硬合金部材とを具備し、前記溶融拡散硬化層は、炭
素,窒素,ホウ素,ジルコニウム,銅,タングステン,
モリブデン,ニオブの中から選択される少なくとも1種
以上の元素を含むチタン合金からなることを特徴として
いる。
【0013】
【作用】本発明の蹄鉄は、蹄鉄本体がチタンまたはチタ
ン合金から構成されているため、軽量で耐食性に優れて
いるうえ、蹄鉄本体の接地面の湾曲部中央部には、超硬
合金部材が固定されているから、最も大荷重がかかる前
記部分の耐摩耗性が著しく高い。しかも、超硬合金部材
は、蹄鉄本体の材質よりも硬質でかつ超硬合金部材より
は軟質の溶融拡散硬化層を介して蹄鉄本体に固定されて
いるので、この溶融拡散硬化層により超硬合金合金部材
の接合界面での応力集中が緩和され、超硬合金部材の剥
離が防止できる。したがって、従来の蹄鉄に比して耐用
期間が長く、蹄鉄交換の頻度を小さくしてコスト低下が
図れ、蹄の負担も軽減できる。
ン合金から構成されているため、軽量で耐食性に優れて
いるうえ、蹄鉄本体の接地面の湾曲部中央部には、超硬
合金部材が固定されているから、最も大荷重がかかる前
記部分の耐摩耗性が著しく高い。しかも、超硬合金部材
は、蹄鉄本体の材質よりも硬質でかつ超硬合金部材より
は軟質の溶融拡散硬化層を介して蹄鉄本体に固定されて
いるので、この溶融拡散硬化層により超硬合金合金部材
の接合界面での応力集中が緩和され、超硬合金部材の剥
離が防止できる。したがって、従来の蹄鉄に比して耐用
期間が長く、蹄鉄交換の頻度を小さくしてコスト低下が
図れ、蹄の負担も軽減できる。
【0014】
【実施例】図1は、本発明の一実施例として、競争馬用
の蹄鉄1を接地面側からみた平面図である。この蹄鉄1
は、チタンまたはチタン合金で成形されたU字状の蹄鉄
本体2と、この蹄鉄本体2の接地面2Aの湾曲部中央部
に溶融拡散硬化層3を介して固定された平板状の超硬合
金部材4とからなるものである。
の蹄鉄1を接地面側からみた平面図である。この蹄鉄1
は、チタンまたはチタン合金で成形されたU字状の蹄鉄
本体2と、この蹄鉄本体2の接地面2Aの湾曲部中央部
に溶融拡散硬化層3を介して固定された平板状の超硬合
金部材4とからなるものである。
【0015】蹄鉄本体2は、チタンまたはチタンを主成
分とする合金の鋳造インゴットを、熱間及び冷間で圧延
し、その後、切断、切削及び研削を行って図示の形状に
成形したもので、寸法や形状は必要に応じて適宜変更し
てよい。
分とする合金の鋳造インゴットを、熱間及び冷間で圧延
し、その後、切断、切削及び研削を行って図示の形状に
成形したもので、寸法や形状は必要に応じて適宜変更し
てよい。
【0016】溶融拡散硬化層3は、チタンまたはチタ
ン合金を構成する元素と、ニッケルとを含む金属間化合
物または合金、あるいは、炭素,窒素,ホウ素,ジル
コニウム,銅,タングステン,モリブデン,ニオブの中
から選択される少なくとも1種以上の元素を含むチタン
合金で構成されたもので、その厚さは0.1〜5.0m
m程度、より好ましくは0.5〜2.0mm程度とされ
る。0.1mm未満では溶融拡散硬化層3の強度が低下
し、超硬合金部材4の剥離を防止する効果が低下する。
また、5.0mmより厚く形成しても強度は向上しない
うえ、形成困難である。
ン合金を構成する元素と、ニッケルとを含む金属間化合
物または合金、あるいは、炭素,窒素,ホウ素,ジル
コニウム,銅,タングステン,モリブデン,ニオブの中
から選択される少なくとも1種以上の元素を含むチタン
合金で構成されたもので、その厚さは0.1〜5.0m
m程度、より好ましくは0.5〜2.0mm程度とされ
る。0.1mm未満では溶融拡散硬化層3の強度が低下
し、超硬合金部材4の剥離を防止する効果が低下する。
また、5.0mmより厚く形成しても強度は向上しない
うえ、形成困難である。
【0017】溶融拡散硬化層3を形成するには、蹄鉄本
体2の表面に、チタンと反応して金属間化合物,炭化
物,窒化物,ほう化物等の化合物を形成しうる元素を含
む合金化材を接触させ、さらに超硬合金部材4を載せて
真空中で加熱する。すると、蹄鉄本体3と合金化材が相
互に拡散しあい、溶融拡散反応(合金化・金属間化合物
生成・金属と非金属との化合物生成)が生じて、溶融拡
散硬化層3が形成される。
体2の表面に、チタンと反応して金属間化合物,炭化
物,窒化物,ほう化物等の化合物を形成しうる元素を含
む合金化材を接触させ、さらに超硬合金部材4を載せて
真空中で加熱する。すると、蹄鉄本体3と合金化材が相
互に拡散しあい、溶融拡散反応(合金化・金属間化合物
生成・金属と非金属との化合物生成)が生じて、溶融拡
散硬化層3が形成される。
【0018】合金化材の材質としては、前記の場合に
はニッケルろう、の場合にはチタンろう等が好適であ
り、それぞれの組成例の数種を列記すると以下の通りで
ある。ただし、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
はニッケルろう、の場合にはチタンろう等が好適であ
り、それぞれの組成例の数種を列記すると以下の通りで
ある。ただし、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0019】ニッケルろう 純Ni Ni-7Cr-3B-4Si-3Fe合金 Ni-15Cr-3B合金 Ni-25Cr合金 Ni-0.5C-3Si-10Cr-2.5Fe-2B-0.1Co合
金 (コルモノイNo4) Ni-0.65C-12Cr-4.25Fe-4.0Si-2.5B
合金 (コルモノイNo5) Ni-1.5C-27Cr-8W-1.6Fe-1.55B-0.5
Co合金 (コルモノイNo84) 50Ni-32Mo-15Cr-3Si合金 (商品名:トリバロイ700) JIS規定BNi
金 (コルモノイNo4) Ni-0.65C-12Cr-4.25Fe-4.0Si-2.5B
合金 (コルモノイNo5) Ni-1.5C-27Cr-8W-1.6Fe-1.55B-0.5
Co合金 (コルモノイNo84) 50Ni-32Mo-15Cr-3Si合金 (商品名:トリバロイ700) JIS規定BNi
【0020】チタンろう Ti-48Zr-4Be Ti-30V-4Be Ti-33Cr Ti-13V-11Cr-3Al
【0021】なお、溶融拡散硬化層3にセラミック粒子
を分散させ、その硬さをさらに高めてもよい。それに
は、予め合金化材にセラミックス粉末を混入しておき、
このセラミックス粉末を溶融拡散硬化層3に分散させ
る。使用可能なセラミック粒子としては、TiC,W
C,B4C,CBN,TiN,Si3N4,サイアロン,Si
Cなどが挙げられる。また、セラミック粒子としてウイ
スカを用いてもよい。
を分散させ、その硬さをさらに高めてもよい。それに
は、予め合金化材にセラミックス粉末を混入しておき、
このセラミックス粉末を溶融拡散硬化層3に分散させ
る。使用可能なセラミック粒子としては、TiC,W
C,B4C,CBN,TiN,Si3N4,サイアロン,Si
Cなどが挙げられる。また、セラミック粒子としてウイ
スカを用いてもよい。
【0022】蹄鉄本体2に合金化材を介して超硬合金部
材4を接触させるには、以下のような方法が可能であ
る。
材4を接触させるには、以下のような方法が可能であ
る。
【0023】(1)合金化材を厚さ数分の一〜数mm程
度の箔にして、蹄鉄本体2と超硬合金部材4の間に挟
み、スポット溶接等によりこれらを相互に固定する。
度の箔にして、蹄鉄本体2と超硬合金部材4の間に挟
み、スポット溶接等によりこれらを相互に固定する。
【0024】(2)合金化材を粉体化してアルコール,
市販の有機系バインダ等のバインダに混入し、このバイ
ンダを蹄鉄本体2の表面に塗布し、超硬合金部材4を固
定する。
市販の有機系バインダ等のバインダに混入し、このバイ
ンダを蹄鉄本体2の表面に塗布し、超硬合金部材4を固
定する。
【0025】(3)蹄鉄本体2の表面に無電解めっきま
たは電解めっきを施し、合金化材の薄膜を形成した後、
超硬合金部材4を固定する。
たは電解めっきを施し、合金化材の薄膜を形成した後、
超硬合金部材4を固定する。
【0026】蹄鉄本体2に合金化材および超硬合金部材
4を固定したら、これらを真空加熱炉にいれ、約900
〜1100℃の温度で0.5〜2.0時間程度保持し、
蹄鉄本体2と合金化材を相互拡散させ合金化する。前記
加熱温度は、合金化材の主成分と、蹄鉄本体2に含まれ
る主合金成分との共晶点の温度の近傍に設定することが
より好ましい。上記加熱条件を越えると過剰反応し、硬
化層を形成したくない部分への反応伝播という問題が生
じる。また上記加熱条件を下回ると十分な接合強度が得
られない。ただし、合金化材はその全量が蹄鉄本体2と
相互拡散しなくてもよく、一部がバルクの層として超硬
合金部材4と溶融拡散硬化層3との間に残っていてもよ
い。
4を固定したら、これらを真空加熱炉にいれ、約900
〜1100℃の温度で0.5〜2.0時間程度保持し、
蹄鉄本体2と合金化材を相互拡散させ合金化する。前記
加熱温度は、合金化材の主成分と、蹄鉄本体2に含まれ
る主合金成分との共晶点の温度の近傍に設定することが
より好ましい。上記加熱条件を越えると過剰反応し、硬
化層を形成したくない部分への反応伝播という問題が生
じる。また上記加熱条件を下回ると十分な接合強度が得
られない。ただし、合金化材はその全量が蹄鉄本体2と
相互拡散しなくてもよく、一部がバルクの層として超硬
合金部材4と溶融拡散硬化層3との間に残っていてもよ
い。
【0027】合金化材と蹄鉄本体2との反応は、温度が
高い程進行が速く、また反応時間が長い程、生成される
溶融拡散硬化層3の厚さが大きくなる。熱処理後の合金
化材は図2に示すように、溶融拡散されて蹄鉄本体2と
一体化された溶融拡散硬化層3となる。このようにして
得られる硬化層3は厚さ数mmに達する。同時に、この
溶融拡散硬化層3は超硬合金部材4とも強固に接合され
る。
高い程進行が速く、また反応時間が長い程、生成される
溶融拡散硬化層3の厚さが大きくなる。熱処理後の合金
化材は図2に示すように、溶融拡散されて蹄鉄本体2と
一体化された溶融拡散硬化層3となる。このようにして
得られる硬化層3は厚さ数mmに達する。同時に、この
溶融拡散硬化層3は超硬合金部材4とも強固に接合され
る。
【0028】超硬合金部材4の材質としては、従来使用
されているいかなる超硬合金であってもよく、具体的に
は、JIS−G3,JIS−D3等の材質が挙げられ
る。また、超硬合金部材4の厚さは限定されないが、一
般には0.5〜2.0mm程度が好適である。
されているいかなる超硬合金であってもよく、具体的に
は、JIS−G3,JIS−D3等の材質が挙げられ
る。また、超硬合金部材4の厚さは限定されないが、一
般には0.5〜2.0mm程度が好適である。
【0029】上記構成からなる蹄鉄1によれば、蹄鉄本
体2がチタンまたはチタン合金から構成されているた
め、軽量で耐食性に優れているうえ、蹄鉄本体2の接地
面2Aの湾曲部中央部には、超硬合金部材4が固定され
ているから、最も大荷重がかかる前記部分の耐摩耗性が
著しく高い。しかも、超硬合金部材4は、蹄鉄本体2の
材質よりも硬質かつ超硬合金部材4よりは軟質の溶融拡
散硬化層3を介して蹄鉄本体2に固定されているので、
この溶融拡散硬化層3により超硬合金合金部材4の接合
界面での応力集中を緩和することができ、超硬合金部材
4の剥離を防ぐことができる。したがって、従来の蹄鉄
に比して耐用期間が長く、蹄鉄交換の頻度を小さくして
コスト低下が図れ、蹄の負担も軽減できる。
体2がチタンまたはチタン合金から構成されているた
め、軽量で耐食性に優れているうえ、蹄鉄本体2の接地
面2Aの湾曲部中央部には、超硬合金部材4が固定され
ているから、最も大荷重がかかる前記部分の耐摩耗性が
著しく高い。しかも、超硬合金部材4は、蹄鉄本体2の
材質よりも硬質かつ超硬合金部材4よりは軟質の溶融拡
散硬化層3を介して蹄鉄本体2に固定されているので、
この溶融拡散硬化層3により超硬合金合金部材4の接合
界面での応力集中を緩和することができ、超硬合金部材
4の剥離を防ぐことができる。したがって、従来の蹄鉄
に比して耐用期間が長く、蹄鉄交換の頻度を小さくして
コスト低下が図れ、蹄の負担も軽減できる。
【0030】なお、上記実施例では、溶融拡散硬化層3
が超硬合金部材4と対応する箇所にのみ形成されていた
が、接地面2Aの残りの部分にも形成してよい。その場
合には、接地面2A全体の耐摩耗性を高めることがで
き、一層の長寿命化が図れる。
が超硬合金部材4と対応する箇所にのみ形成されていた
が、接地面2Aの残りの部分にも形成してよい。その場
合には、接地面2A全体の耐摩耗性を高めることがで
き、一層の長寿命化が図れる。
【0031】
【実験例】次に、実験例を挙げて本発明の効果を実証す
る。 (実験例1)合金化材としてJIS規格:BNi−2で
表される金属素材を溶製し、これを急圧凝固して厚さ
0.04mmの箔とした。この箔をTi-6Al-4V合
金で成形した蹄鉄本体2にスポット溶接した後、その上
に85W−10Co−5Cからなる図示形状の超硬合金
部材4を液圧プレスにより圧着した。
る。 (実験例1)合金化材としてJIS規格:BNi−2で
表される金属素材を溶製し、これを急圧凝固して厚さ
0.04mmの箔とした。この箔をTi-6Al-4V合
金で成形した蹄鉄本体2にスポット溶接した後、その上
に85W−10Co−5Cからなる図示形状の超硬合金
部材4を液圧プレスにより圧着した。
【0032】蹄鉄本体2の寸法は、厚さ10mm、幅1
5mm、周長360mmとした。また、超硬合金部材4
の寸法は、厚さ2mm、幅5mm、周長120mm、箔
の平面形状は超硬合金部材4と同一である。
5mm、周長360mmとした。また、超硬合金部材4
の寸法は、厚さ2mm、幅5mm、周長120mm、箔
の平面形状は超硬合金部材4と同一である。
【0033】この蹄鉄本体2を、約900〜1100℃
に設定した真空加熱炉にて真空雰囲気下で1時間保持
し、合金化させた。溶融拡散により合金化材は蹄鉄本体
2および超硬合金部材4と一体化するとともに、溶融拡
散硬化層3が形成された。溶融拡散硬化層3の厚さは
2.0mmであり、バルクの合金化材層は残存していな
かった。
に設定した真空加熱炉にて真空雰囲気下で1時間保持
し、合金化させた。溶融拡散により合金化材は蹄鉄本体
2および超硬合金部材4と一体化するとともに、溶融拡
散硬化層3が形成された。溶融拡散硬化層3の厚さは
2.0mmであり、バルクの合金化材層は残存していな
かった。
【0034】次に、得られた蹄鉄1を加圧(圧延)した
時の割れ発生率を測定した。減面率が25%までは、超
硬合金部材4の接合界面にクラックは発生しなかった
が、減面率が30%を越えると、接合界面からクラック
が発生した。
時の割れ発生率を測定した。減面率が25%までは、超
硬合金部材4の接合界面にクラックは発生しなかった
が、減面率が30%を越えると、接合界面からクラック
が発生した。
【0035】これに対し、前記と全く同じ蹄鉄本体2の
みに対して同様の加圧実験を行ったところ、減面率が3
0%に達した時点でクラックが発生した。したがって、
本発明品では超硬合金部材4が十分な接合強度で固定さ
れていることが判った。
みに対して同様の加圧実験を行ったところ、減面率が3
0%に達した時点でクラックが発生した。したがって、
本発明品では超硬合金部材4が十分な接合強度で固定さ
れていることが判った。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係わる蹄
鉄は、蹄鉄本体がチタンまたはチタン合金から構成され
ているため、軽量で耐食性に優れているうえ、蹄鉄本体
の接地面の湾曲部中央部には、超硬合金部材が固定され
ているから、最も大荷重がかかる前記部分の耐摩耗性が
著しく高い。しかも、超硬合金部材は、蹄鉄本体の材質
よりも硬質かつ超硬合金部材よりは軟質の溶融拡散硬化
層を介して蹄鉄本体に固定されているので、この溶融拡
散硬化層により超硬合金合金部材の接合界面での応力集
中を緩和し、接合界面でのクラック発生を防いで、超硬
合金部材の剥離が防止できる。したがって、従来の蹄鉄
に比して耐用期間が長く、蹄鉄交換の頻度を小さくして
コスト低下が図れ、蹄の負担も軽減できるという優れた
効果を奏する。
鉄は、蹄鉄本体がチタンまたはチタン合金から構成され
ているため、軽量で耐食性に優れているうえ、蹄鉄本体
の接地面の湾曲部中央部には、超硬合金部材が固定され
ているから、最も大荷重がかかる前記部分の耐摩耗性が
著しく高い。しかも、超硬合金部材は、蹄鉄本体の材質
よりも硬質かつ超硬合金部材よりは軟質の溶融拡散硬化
層を介して蹄鉄本体に固定されているので、この溶融拡
散硬化層により超硬合金合金部材の接合界面での応力集
中を緩和し、接合界面でのクラック発生を防いで、超硬
合金部材の剥離が防止できる。したがって、従来の蹄鉄
に比して耐用期間が長く、蹄鉄交換の頻度を小さくして
コスト低下が図れ、蹄の負担も軽減できるという優れた
効果を奏する。
【図1】本発明に係わる蹄鉄の一実施例を示す断面図で
ある。
ある。
【図2】図1の蹄鉄のII-II線断面拡大図である。
1 蹄鉄 2 蹄鉄本体 2A 接地面 3 溶融拡散硬化層 4 超硬合金部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 狩野 智 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社商品開発センター内
Claims (2)
- 【請求項1】 チタンまたはチタン合金によって構成さ
れた蹄鉄本体と、この蹄鉄本体の接地面の湾曲部中央部
に設けられた溶融拡散硬化層と、この溶融拡散硬化層上
に設けられた超硬合金部材とを具備し、前記溶融拡散硬
化層は、チタンまたはチタン合金を構成する元素と、ニ
ッケルとを含むことを特徴とする蹄鉄。 - 【請求項2】 チタンまたはチタン合金によって構成さ
れた蹄鉄本体と、この蹄鉄本体の接地面の湾曲部中央部
に設けられた溶融拡散硬化層と、この溶融拡散硬化層上
に設けられた超硬合金部材とを具備し、前記溶融拡散硬
化層は、炭素,窒素,ホウ素,ジルコニウム,銅,タン
グステン,モリブデン,ニオブの中から選択される少な
くとも1種以上の元素を含むチタン合金からなることを
特徴とする蹄鉄。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17128291A JPH0584035A (ja) | 1991-07-11 | 1991-07-11 | 蹄 鉄 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17128291A JPH0584035A (ja) | 1991-07-11 | 1991-07-11 | 蹄 鉄 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0584035A true JPH0584035A (ja) | 1993-04-06 |
Family
ID=15920436
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17128291A Withdrawn JPH0584035A (ja) | 1991-07-11 | 1991-07-11 | 蹄 鉄 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0584035A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5727376A (en) * | 1994-05-04 | 1998-03-17 | Mcl I Avesta Ab | Method and a blank for the production of horseshoes |
-
1991
- 1991-07-11 JP JP17128291A patent/JPH0584035A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5727376A (en) * | 1994-05-04 | 1998-03-17 | Mcl I Avesta Ab | Method and a blank for the production of horseshoes |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19981008 |