JPS6310097A - 肉盛用Ｃｏ基合金 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この発明は、優れた熱間強度と耐衝撃性を有する比較的
安価な肉盛用耐熱合金に関するものである。

〈背景技術〉 “硬化肉盛”は従来から知られている金属部材表面の特
性改善手段の−っであるが、近年、機械加工部材の高精
度化や内燃機関に代表される各種機械装置類の高性能化
が叫ばれている中にあって技術的に極めて重要な位置を
占めるようになってきた。

この“硬化肉盛゛は、母材表面の硬度を増すことによっ
て様々な形態の摩耗や変形等を低減すべく、アーク溶接
、ＴＩＧ溶接、ガス溶接或いは溶射等の手段を応用して
施される表面処理の１種である。そして、予想される摩
耗や変形の形態に応じて各種成分の肉盛材料が使用され
ているが、現在では“ステライト　（米国キャボット社
の商標名）″と呼ばれる系統の合金が最も一般的な需要
を誇っている。

上記“ステライト”は、Ｃｏ　−Ｃｒを主成分とすると
ともにこれにＷ、Ｃを添加して成る組成のＣｏ基合金で
あり、これの使用によって高温でも極めて安定した（即
ち、高温環境下での変形や腐食に対して大きな抵抗力を
有した）肉盛合金層が得られるため、カッター刃先、パ
ンチ刃先、鍛造金型、ロール、ブロア、スクリューコン
ベア、バルブ等の特性改善に欠かせないなど、多岐に渡
る用途を有していた。

そして、溶接や溶射が実施された後のステライト層は“
Ｗ％　Ｃｒを含む樹枝状のＣｏ固溶体をＣｒ、　Ｗの複
炭化物の共晶が埋めた組織”を呈しており、高温での高
硬度や高耐摩耗性は、前記Ｃｒ炭化物とＷ炭化物により
得られるものと考えられている。

ところで、現在、ＪＩＳには第１表に示したような４種
のステライト系の溶接材料が規格化され、高温強度グレ
ードに応じて適所に使い分けられている。

ところで、第１表において材料番号１で示されるものは
主として硬度のみ要求される部分に使用され、材料番号
３で示されるものは耐摩耗性には若干劣るが靭性が高く
、熱間、冷間の衝撃に耐え亀裂が発生しにくいとされる
材料であり、材料番号４で示されるものは更に耐摩耗性
よりも耐衝撃性を優先した材料、そして材料番号２とし
て示されるものは、材料番号１と３の中間の特色を有し
ているものである。

しかしながら、このようにＪＩＳによって複数のステラ
イト系材料が規格化されてはいるが、それでも高温での
硬度と靭性とのバランス、更には合金価格とのバランス
の点で今−歩十分ではなく、この種の材料が適用される
部材の寿命が前記両者のバランスに大きく影響されるこ
とを考えるならば、益々過酷化する使用条件の下での部
材長寿命化を望む時は未だ不満が残るものであって、高
温での機能がより一層優れ、しかも価格的により有利な
高耐熱性肉盛材料が強く望まれているのが現状であった
。

〈問題点を解決するための手段〉 この発明は、上記従来の肉盛用合金が有する問題点を解
消し、熱間での硬度が高くて良好な高温強度を有すると
ともに、より優れた耐衝撃性を示す比較的安価な耐熱硬
化肉盛用合金を提供すべくなされた本発明者等の研究に
よって完成されたものであり、 肉盛用合金を、 Ｃ：０．７〜３．０％（以下、成分割合を表す％は重量
％とする）、 Ｓｉ：２％以下、　　Ｍｎ：２％以下、Ｃｒ：２３〜３
２％、　　Ｍｏ：１超〜７％、Ｗ：３〜６．５％、　Ｎ
ｉ：３％以下、Ｆｅ：５％以下 で、残部が実質的にＣｏから成る成分組成に構成するこ
とにより、優れた高温強度と耐衝撃性とを付与せしめた
点、 に特徴を有するものである。

さて、上記本発明に係るＣｏ基硬化肉盛合金は、従来の
ステライト系合金と同等以上の高温での諸機能を比較的
安価に備えしめるとともに、特に高温硬度と靭性とのバ
ランスを図って適用部材の寿命を延長せしめたものであ
り、従来材がＣｒ炭化物或いはＷ炭化物の高硬度発生機
構を利用して高温高度を確保しているのに対して、本発
明に係る合金では、Ｃｒ炭化物の作用と適量のＷ含有量
に裏打ちされるＷ炭化物の作用とに、やはり適量のＭｏ
含有量に基づ＜Ｍｏ炭化物の作用が複合されて醸し出さ
れたものである。

第１図は、Ｃ：１．４％、Ｓｉ：１．２％、Ｍｎ：　０
．０３％、Ｃｒ　：　３０．１％、Ｍｏ：２．９％、Ｗ
：４．４％、Ｎｉ：２．２％、Ｆｅ：　２．９％で、残
部が実質的にＣＯである本発明に係る合金溶接棒によっ
て形成した肉盛部溶着金属のミクロ写真図であり、この
成分組成は第１表の材料番号３で示したＪＩＳ規格品に
約３％のＭｏを添加したものであるが、該第１図からは
、Ｍｏを添加しないＪＩＳ規格品との組織的な差異は認
められない。この事実は、「添加されたＭＯは、一部は
樹枝状部のＣｏに固溶し、一方でＭｏ複炭化物を形成し
てマトリックス部分に固溶している」こ、とを物語って
いる。

このように、添加されたＭＯは溶金中に分散し、特にＭ
ｏ炭化物の形で溶金の硬度を上昇させるものと推測され
る。そして更に、Ｍｏ炭化物はＣｒ炭化物に比べて高温
での硬度上昇に大きく寄与するものであり、Ｗ炭化物と
一緒になって高温特性の向上に多大な影響を与えている
と考えられる。

第２図は、第１表の材料番号３で示した成分組成のＣｏ
基合金に各挿置でＭｏを添加した場合の熱間硬度（於９
００℃）の変化状況を示したグラフであるが、この第２
図からも、Ｃｒ及びＷとともに適量のＭｏを含有させる
ことはＣｏ基合金の熱間硬度を改善する上で非常に有効
であることが明らかである。

なお、この発明に係る肉盛用耐熱Ｃｏ基合金は、鋳造に
よりアーク溶接棒、ＴＩＧ溶加棒、ガス溶加棒等と成し
て使用できる他、前記成分組成を有する合金粉の焼結や
複数成分の粉末を混合して前記成分組成としたものの焼
結により製造された溶接棒又は溶加棒形態として、或い
は総体的に前記成分組成とされた溶射粉末の形態等とし
ても使用できることは言うまでもない。

次に、この発明において、各成分の含有割合を前記の如
くに限定した理由を説明する。

（ａ）　　　Ｃ Ｃ成分には、Ｃｒｓ　Ｗ、Ｍｏと複炭化物を形成して合
金の高温硬度を上昇させる作用があるが、その含有量が
０．７％未満では前記作用に所望の効果が得られず、一
方、３．０％を超えて含有させると肉盛部の脆化を招く
ようになることから、Ｃ含有量は０．７〜３．０％と定
めた。

（ｂｌ　　Ｓｉ、及びＭｎ これらの成分は、いずれも合金の脱酸剤としての作用を
有していてブローホールを抑制する効果を発揮する他、
Ｓｉには溶金の渦流れを良くする作用があるが、各々の
含有量が２％を超えると溶接性の劣化をもたらすことか
ら、Ｓｉｓ及びＭｎの含有量をそれぞれ２％以下と定め
た。

（ＣＩ　　Ｃｒ Ｃｒ成分には、炭化物を形成して合金の高温並びに常温
での硬度及び強度を向上させる作用がある他、優れた耐
食性を確保する作用をも有しているが、その含有量が２
３％未満では上記作用に所望の効果が得られず、一方、
３２％を超えて含有させると合金の脆化を招くことから
、Ｃｒ含有量は２３〜３２％と定めた。

（ｄｉ　　Ｍ。

Ｍｏ成分には、先にも述べたように、ＣｒやＷとともに
合金の高温硬度を改善し、靭性（熱間での耐衝撃性をも
含む）を劣化させることなく熱間での強度並びに耐摩耗
性を向上させる作用があるが、第２図からも明らかなよ
うにその含有量が１％以下であっても７％を超えても十
分な特性改善効果が得られず、しかも多量のＭｏ添加は
合金価格の高騰に結び付くことからＭｏ含有量は１％を
超え７％以下と限定した。なお、Ｍｏ含有量は、好まし
くは２〜６％に調整することが推奨される。

（Ｑ）　　Ｗ Ｗ成分も、炭化物を形成して合金の硬度を向上させる作
用を有しているが、単独ではＣｒ４）Ｍｏよりもより一
層合金の硬度を左右する元素でもある。

しかし、その含有量が３％未満になると特に常温での所
望硬度を確保できなくなり、一方、６．５％を超えて含
有させると合金の価格が上昇してこの発明の狙いの一つ
である低コスト合金が実現できなくなることから、Ｗ含
有量は３〜６．５％と定めた。

（ｆ）　　Ｎｉ、及びＦｅ　　　　　−これらの元素の
過度の混入は合金の硬度や強度の低下をもたらし、所望
特性の肉盛用合金を実現出来なくなることから、Ｎｉは
３％以下と、Ｆｅは５％以下とそれぞれ限定した。

続いて、この発明を実施例によって具体的に説明する。

〈実施例〉 まず、常法にて第２表に示される如き成分組成の合金か
ら成るアーク溶接棒を鋳造し、これらを使用して「鍛造
品のパリを熱間で打抜くためのパンチ」の刃先に肉感溶
接を施した。

該パンチの形状は第３図に示す通りである。なお、第３
図において符号１はパンチ母材を、符号２は刃先肉盛部
をそれぞれ示している。そして、パンチ母材は熱間用合
金工具鋼であるＪＩＳＳＫＴ’４で構成されており、肉
盛溶接に際しては、溶接割れ防止のために２５０℃で予
熱してオーステナイトステンレス鋼系の下盛りを実施し
た。

次いで、得られた刃先肉盛パンチの肉盛部高温硬度（９
００℃での）を測定するとともに、これらを使用し、第
４図で示される如くに、約９００℃に加熱サレタ鍛造品
３（材質：　ＪＩＳ　Ｓ　ＣＭ　８２２Ｈ）のパリ抜き
を行ってその寿命を調査した。

なお、第４図（ａ）は打抜き前の状態を、そして第４図
（ｂ）は打抜き途中の状態をそれぞれ示しており、図中
、符号４で示されるものはダイスである。

また、通常、パンチの寿命は肉盛部の変形が約１１會に
なるか、或いは割れの開口部幅が１１１に達したときを
以て尽きたと判断され、パンチの交換が行われているが
、ここでも前記基準通りに判定を行った。

これらの結果を第２表に併せて示した。

第２表に示される結果からも、本発明に係る合金を肉盛
したパンチは著しい長寿命を示すのに対して、本発明の
条件を満足していない合金を肉盛したものでは所望の高
温硬度が得られておらず、また、例え比較的高い高温硬
度が得られたとしても耐衝撃性に劣ったものとなってパ
ンチ、寿命の延長につながらないことが分かる。

〈総括的な効果〉 以上に説明した如く、この発明によれば、肉盛層の十分
な熱間硬度が達成され、高温環境下において優れた強度
や耐摩耗性を発揮すると同時に、十分に満足できる耐衝
撃性をも示すところの、緒特性に優れた肉盛用耐熱合金
が安価に得られ、各種熱間工具や機器類の使用寿命をコ
スト安く大幅に延長したり、より過酷な条件下での使用
を可能にしたりすることができるなど、産業上極めて有
用な効果がもたらされるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に係る肉盛用Ｃｏ基合金の溶金組織を
示す金属顕微鏡写真図、 第２図は、肉盛層Ｃｏ基合金の熱間硬度に及ぼすＭｏ添
加量の影響を示したグラフ、 第３図は、刃先肉盛を施したパリ抜きパンチの一部破断
概略図、 第４図は、パリ抜き作業状況を示す概略模式図であり、
第４図（ａ）は打抜き前の状態を、第４図中）は打抜き
途中の状態をそれぞれ示している。 図面において、 １・・・パンチ母材、　　２・・・刃先肉盛部、３・・
・鍛造品、　　　　　４・・・ダイス。 第２図

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 重量割合にて、 Ｃ：０．７〜３．０％、Ｓｉ：２％以下、 Ｍｎ：２％以下、Ｃｒ：２３〜３２％、 Ｍｏ：１超〜７％、Ｗ：３〜６．５％、 Ｎｉ：３％以下、Ｆｅ：５％以下 で、残部が実質的にＣｏから成ることを特徴とする肉盛
   用耐熱Ｃｏ基合金。