JPH0583619B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は連続焼鈍炉におけるストリツプ冷却装
置に関する。 ［従来の技術］ 連続焼鈍炉においては公知のように鋼ストリツ
プを加熱し、短時間均熱し、冷却し、次いで必要
に応じて過時効処理するものである。 ところで、ストリツプの材質特性を所望のもの
にするためには、加熱温度（焼鈍温度）やその均
熱時間の他に、その冷却を如何にするかが重要で
ある。例えば、時効性や耐フルーテイング性など
を良好とするには冷却速度を早め、次いで過時効
処理を施すのがよいといわれている。しかし一
方、その冷却速度が水冷のように過冷であれば、
ストリツプは硬質化して好ましくない。 また冷却速度を高め得ることは、冷却帯の設備
的な長さを短縮できることになり、設備的な面か
らも望ましいことであるから、過冷にならないこ
とを考慮して出来るだけ高い冷却速度を採用する
べきである。 かかることから冷却手段として冷却ガスあるい
は気水をストリツプに吹付けて冷却する方式があ
る。即ち、連続焼鈍炉の冷却帯において、ストリ
ツプの通板ラインをはさんで冷媒噴出装置を設
け、該冷媒噴出装置から冷媒例えば冷却ガスをス
トリツプに吹付け冷却するのである。この装置で
冷却速度を早めるには、その吹付け量を増すこと
あるいは冷却噴出装置とストリツプの間隔をせば
めることが常識的にも考えられる。 しかし、実際の工業的な連続焼鈍炉において
は、該吹付け量を増すとストリツプのフラツタリ
ングと称される振動が大となつて、前記冷媒噴出
装置などに接触して該装置を損傷したり、ストリ
ツプに疵が生じたり、また幅方向の冷却の不均一
を生じストリツプの形状不良を招き、甚しい場合
にはヒートバツクルと称する悪性の形状欠陥とな
る。そして冷媒噴出装置とストリツプとの間隔を
せばめて冷却する場合には、この傾向はなお一層
拡大される。 これらのことから、従来よりかかる冷却に関し
て検討され提案されている、例えば実公昭58−
46116号公報や特開昭60−63326号公報に開示され
ているように、冷媒噴出装置の間に、ローラ対を
設けてストリツプを挟持することによつて、スト
リツプのフラツタリングの防止を図るとともに冷
媒の上昇流をさえぎり、不均一冷却の回避を図つ
ている。 ［発明が解決しようとする課題］ 上記公報の手段によると、それなりの効果があ
ると推察される。しかし連続焼鈍においては、そ
の操業特性よりストリツプの通板速度は早くする
こと要望され、また実操業においては当然ながら
かなりの速度で通板され、さらにストリツプの通
板ラインは垂直で、一定の高さを持つことから、
ストリツプには固有のフラツタリングが発生し、
そのフラツタリング量はストリツプの板厚により
大きく変動する。又、ロールの微少偏芯等の外乱
を受け共振現象を起こした場合には、更に大きく
フラツタリングする。前記公報のようにローラ対
でストリツプを挟持しても、又、ローラをシリン
ダで絞り込んでストリツプを強く挟持しても、こ
のような板厚により異なるフラツタリングには対
応できず、またフラツタリング共振現象発生時に
は、その抑制能力の限界外であつたり、逆に形状
をこわしてしまつたり、といつた弱点をもつてい
た。 さらに問題なのは、このようなローラ対は、若
干の絞り込みを行なつたとしても接触角が小さ
く、且つ、ストリツプが温度降下により収縮しな
がら進行していく冷却帯にあつては、微細なスト
リツプ疵が発生しやすいという大きな弱点を持つ
ている事である。冷却速度が速くストリツプの収
縮量が大きい場合には、この傾向は一層助長さ
れ、ストリツプの商品価値を低下させる。 このように、従来においては冷媒の吹付けによ
り急速冷却するさいには種々の問題があつた。 本発明はストリツプのフラツタリングを防止
し、又、形状をこわす事もなく、且つ、微細なス
トリツプ疵の発生を完全に防ぎ、冷媒吹付けによ
り冷却速度を大幅に早め得る連続焼鈍におけるス
トリツプ冷却装置を提案することを目的とするも
のである。 ［課題を解決するための手段・作用］ 上記の目的を達成するための本発明の連続焼鈍
炉におけるストリツプ冷却装置の要旨は、冷媒を
ストリツプに吹付ける冷媒噴出装置と、該冷媒噴
出装置の前方または後方の少なくとも一方に、非
対向にて通板ライン方向に間隔をおいて設けた押
えロールと、押えロールを通板ラインに進退させ
入り込ませる電動機と、入側ハースロールの周速
度、冷却帯入側のストリツプ温度、ストリツプの
サイズ、冷媒噴出装置の冷却ガス温度、噴出量を
入力し、押えロールが接する箇所のストリツプ通
板速度を予測する速度予測演算器と、速度予測演
算器からの信号により押えロールの周速度をスト
リツプ通板速度にあわせる押えロール速度制御装
置とからなることを特徴とするところにある。 本発明では押えロールを、当該押えロールが接
触するストリツプの通板速度を予測し、それに等
しい周速度にて接せしめるので、ストリツプには
疵が全く生じない。また押えロールは通板ライン
に対する入り込み量を迅速かつ、精度よく変えら
れ、ストリツプのフラツタリング等が防止され、
冷媒噴出装置はストリツプに可及的に近接でき
る。 ［実施例］ 以下に、本発明について図面を参照して一実施
例に基づいて説明する。 図面において、１は連続焼鈍炉で、この実施例
では加熱帯２、均熱帯３、一次冷却帯４、過時効
帯５、二次冷却帯６よりなつている。 ところで、この実施例では本発明の冷却装置は
一次冷却帯４内に設けられるが、この部分を拡大
して示す第１図を参照して述べる。７は上下に設
けたハースロールであり、ストリツプＳを掛け渡
して通板せしめる。８は冷媒噴出装置で、例えば
冷媒吹付けノズルヘツダーであり、ストリツプＳ
の通板ラインをはさんで対向して且つラインに沿
つて複数設けられている。該冷媒吹付けノズルヘ
ツダー８は、そのノズルから冷却ガス、液体を混
じえた気水、または冷却液体を噴出したストリツ
プＳを冷却するものである。 冷媒の吹付けおよびストリツプＳの通板に基づ
いてストリツプＳはフラツタリングするので、こ
れを防止することが急速冷却を図るには重要であ
る。また、ヒートバツクル発生時には板破断をま
ねく事なくストリツプＳを通板させる事が重要で
ある。 かかることから、本発明では前記冷媒吹付ノズ
ルヘツダー８の前方または後方において、駆動タ
イプの押えロール９−１，９−２を通板ラインの
任意の位置に迅速に入り込み自在でかつ非対向に
してその通板ライン方向に間隔をおいて設ける。
１０は進退駆動装置で、精度高く進退量を調整す
る必要から電動機であり、前記押えロール９−
１，９−２と連結され通板ラインに押えロール９
−１，９−２を任意の点に自在に入り込み量を調
整可能とする。 １１は冷却を受け収縮するストリツプの通板速
度変化を演算し、押えロールが接する箇所のスト
リツプ通板速度を予測する速度予測演算器であ
り、冷却帯入側のストリツプ温度、ストリツプの
サイズ、冷媒噴出装置の冷却ガス装置、噴出量を
入力し、ストリツプが冷却装置にに入つてから押
えロールに接触するまでの間のストリツプの温度
降下量を計算し、ストリツプ長さの収縮量に換算
し、この収縮量と入力された入側ハースロールの
周速度から収縮量に相当するだけのストリツプの
減速量を計算し、押えロール９が設置されている
箇所のストリツプの通板速度を予測する。 １２は押えロール速度制御装置であり、速度予
測演算器１１からの信号を入力し、押えロール９
の周速度を当該押えロールが接触するストリツプ
通板速度に等しくする速度制御を行う。 押えロール９−１，９−２の通板ラインへの入
り込み量としては、押えロール９−１，９−２の
ロール径及び当該連続焼鈍設備の通板板厚範囲な
どにもよるが、例えば０〜100mm程度（ラツプ量
として）とされ板厚別にミリメートルのオーダー
で精度高くセツトされる。好ましくは５mm以上入
り込ませる。 また押えロールの通板ライン方向の配設間隔は
300〜800mm程度とされる。 図示の実施例では押えロール９−１，９−２は
間隔をおいて２個設けているが、第４図に示すよ
うに押えロール９を通板ラインに３個入り込み自
在に設けることもできる。この例では通板ライン
を押えロールの入り込み量に応じて調整する必要
がない。 本発明では、ストリツプＳに接触して振動を抑
える押えロール９−１，９−２がストリツプＳの
通板速度と等しい周速度に速度制御されているの
で、ストリツプＳに表面疵が全く発生しない。 また、押えロール９−１，９−２を非対向で、
且つ通板ライン方向に間隔をおいて設けることに
より、ストリツプＳはその一面をロール９−１で
押えられ、次いで、非対向に配設された他方の押
えロール９−２で反対側の面を押えられる、とい
つた通板ラインにラツプして入り込み、且つその
入り込み量が例えば板厚別に自在な押え込みを受
ける事により、共振発生時を含め、どのようなフ
ラツタリングも完全に防止され、また、形状をこ
わす事もない。さらにストリツプＳが押えロール
９−１，９−２に接触する前の反対側は何物にも
接触していない、即ち、挟持されていないので、
ヒートバツクル発生時にも板破断をまねく事なく
通板される。 ［発明の効果］ 本発明の装置は以上のようであり、連続焼鈍炉
１の一次冷却帯４あるいは二次冷却帯６に設けら
れるが、微細ストリツプ疵といつた付随的弊害の
発生を防止しながらストリツプＳのフラツタリン
グを完全に防止できるので、冷媒吹付けノズルヘ
ツダー８をストリツプＳに可及的に近接でき、冷
却速度を早めることができる。また前述のようで
あるから所望の材質特性にもつストリツプが得ら
れ、また、ライン長が短かくできる作用効果もあ
る。 なお、押えロール９の表面に、ビルドアツプ防
止の目的で、溶射等の表面処理を施してもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例において冷却装置を
拡大して示す図、第２図は本発明の一実施例にお
いて連続焼鈍炉の概要を示す図、第３図は本発明
の要部である押えロールの配列状態を示す拡大
図、第４図は第３図の他の例を示す拡大図であ
る。 Ｓ……ストリツプ、７……ハースロール、８…
…冷媒吹付けノズルヘツダー、９……サポートロ
ール、１０……進退駆動装置（電動機）、１１…
…ストリツプ速度予測演算器、１２……押えロー
ル速度制御装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 冷媒をストリツプに吹付ける冷媒噴出装置
   と、該冷媒噴出装置の前方または後方の少なくと
   も一方に、非対向にて通板ライン方向に間隔をお
   いて設けた押えロールと、押えロールを通板ライ
   ンに進退させ入り込ませる電動機と、入側ハース
   ロールの周速度、冷却帯入側のストリツプ温度、
   ストリツプのサイズ、冷媒噴出装置の冷却ガス温
   度、噴出量を入力し、押えロールが接する箇所の
   ストリツプ通板速度を予測する速度予測演算器
   と、速度予測演算器からの信号により押えロール
   の周速度をストリツプ通板速度にあわせる押えロ
   ール速度制御装置とからなることを特徴とする連
   続焼鈍炉におけるストリツプ冷却装置。