JPH0583488U - 減衰力可変型緩衝器 - Google Patents
減衰力可変型緩衝器Info
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- JPH0583488U JPH0583488U JP2282192U JP2282192U JPH0583488U JP H0583488 U JPH0583488 U JP H0583488U JP 2282192 U JP2282192 U JP 2282192U JP 2282192 U JP2282192 U JP 2282192U JP H0583488 U JPH0583488 U JP H0583488U
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 低周波路面入力と高周波路面入力とが複合さ
れた路面入力に対しても、快適な乗り心地と操縦安定性
を確保できると共に、ピストンの極低速域におけるばね
下のばたつきを抑制できる減衰力可変型緩衝器の提供。 【構成】 伸側サブ減衰バルブ11が設けられた伸側バ
イパス流路F及び圧側サブ減衰バルブ8が設けられた圧
側バイパス流路Jに介装された相互に独立した伸側連通
路(第2縦溝12d)及び圧側連通路(中空部12a,
横孔12b)により両流路F,Jの流路断面積を相互に
独立して変更可能な調整子12が、その変位の中立位置
で伸側と圧側の両流路F,Jの流路断面積が共に最大と
なり、中立位置からの変位方向の内、反時計方向の変位
方向では、圧側バイパス流路Jの流路断面積のみが減少
する方向に変化し、時計方向の変位方向では、伸側バイ
パス流路Fの流路断面積のみが減少する方向に変化可能
に構成されている。
れた路面入力に対しても、快適な乗り心地と操縦安定性
を確保できると共に、ピストンの極低速域におけるばね
下のばたつきを抑制できる減衰力可変型緩衝器の提供。 【構成】 伸側サブ減衰バルブ11が設けられた伸側バ
イパス流路F及び圧側サブ減衰バルブ8が設けられた圧
側バイパス流路Jに介装された相互に独立した伸側連通
路(第2縦溝12d)及び圧側連通路(中空部12a,
横孔12b)により両流路F,Jの流路断面積を相互に
独立して変更可能な調整子12が、その変位の中立位置
で伸側と圧側の両流路F,Jの流路断面積が共に最大と
なり、中立位置からの変位方向の内、反時計方向の変位
方向では、圧側バイパス流路Jの流路断面積のみが減少
する方向に変化し、時計方向の変位方向では、伸側バイ
パス流路Fの流路断面積のみが減少する方向に変化可能
に構成されている。
Description
【0001】
本考案は、自動車のサスペンションに用いるのに最適な、減衰力レンジを変化 可能な緩衝器に関する。
【0002】
従来の減衰力可変型緩衝器としては、例えば、実開昭60−2035号公報に 記載されているようなものが知られている。
【0003】 この従来の減衰力可変型緩衝器は、緩衝器の伸行程時に画成された2室間の流 体の流通を制限することで減衰力を発生する伸側減衰バルブと、緩衝器の圧行程 時に画成された2室間の流体の流通を制限することで減衰力を発生する圧側減衰 バルブと、該両減衰バルブをバイパスして2室を連通する伸・圧共通のバイパス 流路と、該バイパス流路の途中に配設されて流路断面積を変更可能な可変絞り部 を有した調整子とを備えたもので、前記調整子を回転させて可変絞り部を開閉す ることによってバイパス流路の流路断面積を変化させ、これにより、伸側及び圧 側の減衰力レンジを同時に変更可能に構成されたものであった。
【0004】
しかしながら、このような従来の減衰力可変型緩衝器にあっては、一方の行程 側の減衰力レンジがハードレンジの時には、その逆行程側の減衰力もハードレン ジになるような構成であったため、車両が大きなうねり路を走行している時(低 周波路面入力時)等のように、緩衝器の減衰力レンジがハードレンジ側に制御さ れている時に、それまでの緩衝器の行程とは逆行程側の突発的な路面入力(高周 波路面入力)があった場合に、以下に述べるような問題を生じる。
【0005】 即ち、大きなうねり路走行中で緩衝器の行程が伸行程側である時に、路面の突 起部を通過すると、その逆行程側である圧行程側もハードレンジの状態であるこ とから、緩衝器の収縮速度が遅くなって、突起部通過時の衝撃をそのまま車体側 に伝達し、これにより、車両の乗り心地を悪化させる。
【0006】 また、大きなうねり路走行中で、緩衝器の行程が圧行程である時に、路面の窪 み部を通過すると、その逆行程側である伸行程側もハードレンジの状態であるこ とから、緩衝器の伸長速度が遅くなって、車輪側が路面変化に追従できず、この ため、車体の急激な沈み込みを生じて、車両の乗り心地を悪化させると共に、操 縦安定性を害する。
【0007】 さらに、ソフトレンジ側の減衰特性は、バイパス流路を開閉する可変オリフィ スのオリフィス開口径で決定されることになるため、図9の一点鎖線で示すよう に、ピストン速度に対する減衰力特性が2条特性となり、従って、特に、ピスト ンの極低速域においては減衰力が不足してばね下のばたつきを抑制することがで きない。
【0008】 本考案は、上述のような従来の問題に着目して成されたもので、低周波路面入 力と高周波路面入力とが複合された路面入力に対しても、快適な乗り心地と操縦 安定性を確保することができると共に、ピストンの極低速域におけるばね下のば たつきを抑制することができる減衰力可変型緩衝器を提供することを目的として いる。
【0009】
上述のような目的を達成するために、本考案の減衰力可変型緩衝器では、緩衝 器の伸行程時に画成された2室間の流体の流通を制限することで高い減衰力を発 生する伸側メイン減衰バルブと、緩衝器の圧行程時に画成された2室間の流体の 流通を制限することで高い減衰力を発生する圧側メイン減衰バルブと、伸行程時 に伸側メイン減衰バルブをバイパスして2室間を流通する伸側バイパス流路に設 けられ、該伸側バイパス流路の流通を制限することで低い減衰力を発生する伸側 サブ減衰バルブと、圧行程時に圧側メイン減衰バルブをバイパスして2室間を流 通する圧側バイパス流路に設けられ、該圧側バイパス流路の流通を制限すること で低い減衰力を発生する圧側サブ減衰バルブと、前記伸側バイパス流路と圧側バ イパス流路の途中にそれぞれ介装された相互に独立した伸側連通路と圧側連通路 を有していてその変位により伸側バイパス流路と圧側バイパス流路の流路断面積 を相互に独立して変更可能な調整子とを備え、該調整子が、その変位の中立位置 で伸側と圧側の両バイパス流路の流路断面積が共に最大となり、中立位置からの 変位方向の内、いずれか一方への変位方向では、伸側と圧側の両バイパス流路の 内の一方のバイパス流路の流路断面積のみが減少する方向に変化し、もう一方の 変位方向では、他方のバイパス流路の流路断面積のみが減少する方向に変化可能 に構成されている手段とした。
【0010】
本考案の減衰力可変型緩衝器は、調整子を変位させることにより伸側及び圧側 の減衰力レンジを変更することができる。
【0011】 即ち、調整子が中立位置にある時には、伸側と圧側の両バイパス流路の流路断 面積が共に最大となることから、伸行程及び圧行程の減衰力レンジがいずれもソ フトレンジとなる。
【0012】 また、調整子を中立位置からいずれか一方の方向へ変位させると、伸側と圧側 の両バイパス流路の内の一方のバイパス流路の流路断面積のみが減少する方向に 変化することから、例えば、伸側のバイパス流路の流路断面積のみが減少する方 向に調整子を変位させることにより、圧行程の減衰力レンジはソフトレンジのま まで、伸行程の減衰力レンジをハードレンジ側に変化させることができ、以上と は逆に圧側のバイパス流路の流路断面のみが減少する方向に調整子を変位させる ことにより、伸行程の減衰力レンジはソフトレンジのままで、圧行程の減衰力レ ンジをハードレンジ側に変化させることができる。
【0013】 このように本考案の減衰力可変型緩衝器では、伸行程及び圧行程の内のいずれ か一方の減衰力レンジがハードレンジである時には、その逆行程側の減衰力レン ジは常にソフトレンジとなるため、大きなうねり路走行中で緩衝器の行程が伸行 程側(ハードレンジ状態)である時に、路面の突起部を通過すると、その逆行程 側である圧行程側はソフトレンジであることから、緩衝器が速やかに収縮するこ とで急激な上向き路面入力が吸収され、これにより、車体側への衝撃伝達が緩和 されて、車両の乗り心地を確保することができる。
【0014】 また、大きなうねり路走行中で、緩衝器の行程が圧行程(ハードレンジ状態) である時に、路面の窪み部を通過すると、その逆行程側である伸行程側はソフト レンジであることから、緩衝器が速やかに伸長して車輪側を路面変化に追従させ 、これにより、車体の急激な沈み込みを防止して、車両の乗り心地及び操縦安定 性を確保することができる。
【0015】 さらに、ソフトレンジ側の減衰特性は、各バイパス流路に介装された各サブ減 衰バルブにより決定されることになるため、ピストン速度に対する減衰力特性が 2/3条特性となり、従って、特に、ピストンの極低速域における減衰力を高く 設定することができ、これにより、ばね下のばたつきを抑制することができる。
【0016】
以下、本考案の実施例を図面により詳述する。 まず、実施例の構成について説明する。
【0017】 図7は、本考案実施例の減衰力可変型緩衝器の構成を示す断面図であって、こ の緩衝器は、シリンダ1と、シリンダ1を上部室Aと下部室Bとに画成したピス トン2と、シリンダ1の外周にリザーバ室32を形成した外筒33と、下部室B とリザーバ室32とを画成したベース34と、ピストン2に連結されたピストン ロッド17の摺動をガイドするガイド部材35と、ピストンロッド17の上端に 設けられたパルスモータ31と、外筒33と車体との間に介在されたサスペンシ ョンスプリング36と、バンパラバー37とを備えている。
【0018】 次に、図1は、前記ピストン2部分を示す拡大断面図であって、該ピストン2 は、スタッド3の先端小径部3aに取り付けられている。そして、このスタッド 3は、ピストンロッド17の先端部に取り付けられたバウンドストッパ18の先 端外周に螺合して取り付けられている。
【0019】 即ち、前記スタッド3の先端小径部3aに、圧側サブボディ7,圧側サブ減衰 バルブ8,ワッシャ5a,カラー4a,ワッシャ5b,圧側メイン減衰バルブ6 ,ピストン2,伸側メイン減衰バルブ9,ワッシャ5c,伸側サブボディ10, 伸側サブ減衰バルブ11,ワッシャ5d,カラー4bを順次装着し、最後にナッ ト16で締結している。
【0020】 また、前記スタッド3には、その軸芯部に貫通穴3bが穿設されると共に、そ の周壁を直径方向に貫通する状態で上方から順に、第1ポート3c,第2ポート 3d,第3ポート3e,第4ポート3f及び第5ポート3gが穿設されている。 尚、前記第2ポート3dと第3ポート3eは軸方向同一位置に形成されている。 また、第2ポート3dと第4ポート3fだけは周方向同一位置に形成されている が、その他の第1・第3・第5ポート3c,3e,3gはそれぞれ周方向に位相 をずらせた位置に形成されている(図4,5,6参照)。
【0021】 前記圧側サブボディ7は、その下面に圧側サブ減衰バルブ8により開閉される 環状溝7aが形成され、この環状溝7aは第1ポート3cと連通されている。
【0022】 また、上部室A側であるピストン2の上端面には、圧側連通孔2eを介して下 部室Bに連通されて、前記圧側メイン減衰バルブ6により開閉される4つの圧側 環状溝2bと、ピストン2の内周から外周に至る圧側連通溝2cとが形成され、 また、ピストン2の内周上部には、前記第2・第3ポート3d,3eと圧側連通 溝2cとを連通する内周環状溝2dが形成されている(図2参照)。
【0023】 一方、下部室B側であるピストン2の下端面には、伸側連通孔2hを介して上 部室Aに連通された4つの伸側内側溝2fと、この伸側内側溝2fの外側に形成 され、ピストン2の内周に連通された伸側外側溝2gとが形成され、また、ピス トン2の内周下部には、前記第4ポート3fと伸側外側溝2gとを連通する内周 環状溝2kが形成されている(図3参照)。
【0024】 前記伸側サブボディ10は、その下面に伸側サブ減衰バルブ11により開閉さ れる環状溝10aが形成され、この環状溝10aは半径方向溝10bを介して第 5ポート3gと連通されている。
【0025】 さらに、前記スタッド3の貫通穴3bには、調整子12が、環状の上側ブッシ ュ13と下側ブッシュ14との間に挟持されて回動自在に設けられている。
【0026】 この調整子12は、その軸心部に、その下端が前記下部室Bに連通した中空部 12aを有した筒状に形成され、また、その周壁には、前記第1ポート3cと中 空部12aとを連通する横孔12bと、第2ポート3dと第4ポート3fとを連 通する第1縦溝12cと、第3ポート3eと第5ポート3gとを連通する第2縦 溝12dが形成されている。
【0027】 本考案実施例では、以上のような構成としたため、伸行程で流体が流通可能な 流路としては図示の3つの流路がある。即ち、伸側内側溝2fの位置から伸側メ イン減衰バルブ9の内側及び外周部を開弁して下部室Bに至る伸側第1流路Dと 、第2ポート3d及び第4ポート3fを経由して伸側外側溝2gの位置から伸側 メイン減衰バルブ9の外周部を開弁して下部室Bに至る伸側第2流路Eと、第3 ポート3e,第2縦溝12d,第5ポート3gを経由して伸側サブ減衰バルブ1 1を開弁して下部室Bに至る伸側第3流路(伸側バイパス流路)Fとである。
【0028】 一方、圧行程で流体が流通可能な経路としては図示の2つの流路がある。即ち 、圧側メイン減衰バルブ6を開弁して上部室Aに至る圧側第1流路Hと、中空部 12a,横孔12b,第1ポート3cを経由して圧側サブ減衰バルブ8を開弁し て上部室Aに至る圧側第2流路(圧側バイパス流路)Jとである。
【0029】 即ち、前記中空部12aと横孔12bとで請求範囲の圧側連通路を構成し、ま た、前記第2縦溝12dで請求範囲の伸側連通路を構成している。
【0030】 また、調整子12の回動は、コントロールロッド15により成されるもので、 このコントロールロッド15は、ピストンロッド7の貫通穴17b内を貫通して 上端部まで延在され、ピストンロッド17の上端部に設けられたパルスモータ3 1により回動されるようになっている(図7参照)。
【0031】 そして、前記調整子12は、その回動に基づいて減衰力ポジションを図4〜図 6に示す3つのポジションの範囲内で任意のポジション位置に切り換え可能とな っている。
【0032】 まず、図5に示す第1減衰力ポジションでは、第1〜第5ポート3c,3d, 3e,3f,3gの全てが開かれていて、前記伸行程における3つの流路D,E ,Fと、圧行程における2つの流路H,Jのすべてが流通可能となっている。
【0033】 従って、伸行程時には、低ピストン速度域では、流体が流通抵抗の小さい伸側 第3流路Fを流通し、ピストン速度が早くなるにつれて、伸側第2流路E,伸側 第1流路Dの順に流通を開始し、これにより、伸行程の減衰力レンジはソフトレ ンジの状態となる。
【0034】 一方、圧行程時には、低ピストン速度域では、流体が流通抵抗の小さい圧側第 2流路Jを流通し、ピストン速度が早くなるにつれて、圧側第1流路Dの流通を 開始し、これにより、圧行程の減衰力レンジもソフトレンジの状態となる(図8 の)。
【0035】 そして、図9のピストン速度に対する減衰特性図に示すように、ソフトレンジ 状態であって、サブ減衰バルブ8,11のみが開弁する低ピストン速度域におい ては、ピストン速度に対する減衰特性が、サブ減衰バルブ8,11による2/3 乗特性となることから、ピストンの極低速域における減衰力が高く設定された状 態となる。
【0036】 また、図4に示す第2減衰力ポジションでは、第1ポート3cのみが開かれ、 その他の第2〜第5ポート3d,3e,3f,3gは閉じられていて、伸側第1 流路Dと、圧側第1流路Hと、圧側第2流路Jとが流通可能となっている。
【0037】 従って、伸行程時には、流体が伸側メイン減衰バルブ9を開弁して伸側第1流 路Dを流通し、これにより、伸行程の減衰力レンジはハードレンジの状態となる 。
【0038】 一方、圧行程時には、低ピストン速度域では、流体が流通抵抗の小さい圧側第 2流路Jを流通し、高ピストン速度域では圧側第1流路Hを流通し、これにより 、圧行程の減衰力レンジはソフトレンジの状態となる(図8の)。
【0039】 また、図6に示す第3減衰力ポジションでは、第3ポート3e及び第5ポート 3gが開かれ、,第1ポート3c,第2ポート3d及び第4ポート3fが閉じら れていて、伸側第1流路D,伸側第3流路F及び圧側第1流路Hが流通可能とな っている。
【0040】 従って、伸行程時には、低ピストン速度域では、流体が流通抵抗の小さい伸側 第3流路Fを流通し、ピストン速度が早くなるにつれて、伸側第1流路Dを流通 し、これにより、伸行程の減衰力レンジはソフトレンジの状態となる。
【0041】 一方、圧行程時には、流体が圧側メイン減衰バルブ6を開弁して圧側第1流路 Hを流通し、これにより、圧行程の減衰力レンジはハードレンジの状態となる( 図8の)。
【0042】 また、図5に示す第1減衰力ポジションから図4に示す第2減衰力ポジション 方向へ切り換えるべく調整子12を反時計方向に回動させていくと、第2〜第5 ポート3d,3e,3f,3gの開度が絞られて、伸側第2流路Eと伸側第3流 路Fの流路断面積が減少してくるため、この流路断面積の減少に比例して、伸行 程の減衰力が次第に高くなる。
【0043】 つまり、調整子12を第1減衰力ポジション位置から反時計方向に回動させる ことにより、圧行程側の減衰力レンジはソフトレンジ状態のままで、伸行程側の 減衰力レンジのみをハードレンジ方向へ変化させることができる(図8の〜 間)。
【0044】 また、図5に示す第1減衰力ポジションから図6に示す第3減衰力ポジション 方向へ切り換えるべく調整子12を時計方向に回動させていくと、第1ポート3 c及び第2ポート3d,第4ポート3fの開度が絞られて、圧側第2流路Jと伸 側第2流路Eの流路断面積が減少してくるため、この流路断面積の減少に比例し て、圧行程の減衰力が次第に高くなる。なお、第5ポート3gは逆にその開度を さらに開く方向に変化するため、伸側第2流路Eの流路断面積が減少しても伸側 第3流路Fの流路断面積の増加によって、伸側の減衰力はソフトレンジ状態を維 持する。
【0045】 つまり、調整子12を第1減衰力ポジション位置から時計方向に回動させるこ とにより、伸行程側の減衰力レンジはソフトレンジ状態のままで、圧行程側の減 衰力レンジのみをハードレンジ方向へ変化させることができる(図8の〜間 )。 尚、図8の下部に、調整子12の変位に対する各流路E,F,Jの開閉状況を 示している。
【0046】 次に、実施例の作用について説明する。 (a)突起部通過時 大きなうねり路走行中で、緩衝器の行程が伸行程側(ハードレンジ状態)であ る時に、路面の突起部を通過すると、その逆行程側である圧行程側は常にソフト レンジとなっているため、緩衝器が速やかに収縮することで急激な上向き路面入 力が吸収され、これにより、車体側への衝撃伝達が緩和されて、車両の乗り心地 を確保することができる。
【0047】 (b)窪み部通過時 大きなうねり路走行中で、緩衝器の行程が圧行程(ハードレンジ状態)である 時に、路面の窪み部を通過すると、その逆行程側である伸行程側は常にソフトレ ンジとなってるため、緩衝器が速やかに伸長して車輪側を路面変化に追従させ、 これにより、車体の急激な沈み込みを防止して、車両の乗り心地及び操縦安定性 を確保することができる。
【0048】 (c)ソフトレンジ側の減衰特性チューニング時 圧側サブ減衰バルブ7及び伸側サブ減衰バルブ11の剛性を変えることにより 、減衰特性の立ち上がり時の変化率を変更することができ、これにより、ソフト レンジ状態における減衰特性を、図9に示す実線の特性から点線で示すような特 性に変更することができる。
【0049】 以上説明したように、この実施例の衰力可変型緩衝器では、伸行程及び圧行程 の内のいずれか一方の行程側の減衰力レンジがハードレンジである時には、その 逆行程側の減衰力レンジが常にソフトレンジとなっていることから、低周波と高 周波とが複合された路面入力に対しても、快適な乗り心地と操縦安定性を確保す ることができるという特徴を有している。
【0050】 また、ソフトレンジ状態における低ピストン速度域での減衰特性が、サブ減衰 バルブの特性(2/3乗特性)で決定されるため、特に、ピストンの極低速域に おける減衰力を高く設定することができ、これにより、ピストンの極低速域にお けるばね下のばたつきを抑制することができるようになるという特徴を有してい る。
【0051】 以上、本考案の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成は、この実 施例に限られるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲における設計変更 等があっても本考案に含まれる。
【0052】 例えば、実施例では、調整子を回動させるようにした場合を示したが、軸方向 にスライドさせたり、または、回動と軸方向スライドとを組み合わせたものであ ってもよい。
【0053】
以上説明してきたように、本考案の減衰力可変型緩衝器では、伸側バイパス流 路と圧側バイパス流路の途中にそれぞれ介装された相互に独立した伸側連通路と 圧側連通路を有していてその変位により伸側バイパス流路と圧側バイパス流路の 流路断面積を相互に独立して変更可能な調整子を備え、該調整子が、その変位の 中立位置で伸側と圧側の両バイパス流路の流路断面積が共に最大となり、中立位 置からの変位方向の内、いずれか一方への変位方向では、伸側と圧側の両バイパ ス流路の内の一方のバイパス流路の流路断面積のみが減少する方向に変化し、も う一方の変位方向では、他方のバイパス流路の流路断面積のみが減少する方向に 変化可能に構成されている手段とすることで、伸行程及び圧行程の内のいずれか 一方の行程側の減衰力レンジがハードレンジである時でも、その逆行程側の減衰 力レンジを常にソフトレンジの状態にできるため、低周波と高周波とが複合され た路面入力に対しても、快適な乗り心地と操縦安定性を確保することができると いう効果が得られる。
【0054】 また、ソフトレンジ側の減衰特性は、各バイパス流路に介装された各サブ減衰 バルブにより決定されることになるため、このサブ減衰バルブの剛性を変えるこ とでソフトレンジ側の減衰特性を容易にチューニングすることができるという効 果が得られると共に、低ピストン速度域におけるピストン速度に対する減衰力特 性が2/3条特性となるため、特に、ピストンの極低速域における減衰力を高く 設定することができ、これにより、ピストンの極低速域におけるばね下のばたつ きを抑制することができるようになるという効果が得られる。
【図1】本考案実施例の減衰力可変型緩衝器の要部を示
す断面図(図2及び第3図のP−P断面)である。
す断面図(図2及び第3図のP−P断面)である。
【図2】図1のL−L断面図である。
【図3】図1のM−M断面図である。
【図4】第2減衰力ポジション位置を示す断面図で、
(イ) は図1のK−K断面図,(ロ)は図1のL−L及びM
−M断面図,(ハ) は図1のN−N断面図である。
(イ) は図1のK−K断面図,(ロ)は図1のL−L及びM
−M断面図,(ハ) は図1のN−N断面図である。
【図5】第1減衰力ポジション位置を示す断面図で、
(イ) は図1のK−K断面図,(ロ)は図1のL−L及びM
−M断面図,(ハ) は図1のN−N断面図である。
(イ) は図1のK−K断面図,(ロ)は図1のL−L及びM
−M断面図,(ハ) は図1のN−N断面図である。
【図6】第3減衰力ポジション位置を示す断面図で、
(イ) は図1のK−K断面図,(ロ)は図1のL−L及びM
−M断面図,(ハ) は図1のN−N断面図である。
(イ) は図1のK−K断面図,(ロ)は図1のL−L及びM
−M断面図,(ハ) は図1のN−N断面図である。
【図7】本考案実施例の減衰力可変型緩衝器の構成を示
す断面図である。
す断面図である。
【図8】実施例緩衝器の衰力切換特性及び各流路の開閉
状況を示す図である。
状況を示す図である。
【図9】実施例緩衝器のピストン速度に対する減衰特性
図である。
図である。
A 上部室 B 下部室 F 伸側第3流路(伸側バイパス流路) J 圧側第2流路(圧側バイパス流路) 6 圧側メイン減衰バルブ 8 圧側サブ減衰バルブ 9 伸側メイン減衰バルブ 11 伸側サブ減衰バルブ 12 調整子 12a 中空部(圧側連通路) 12b 横孔(圧側連通路) 12d 第2縦溝(伸側連通路)
Claims (1)
- 【請求項1】 緩衝器の伸行程時に画成された2室間の
流体の流通を制限することで高い減衰力を発生する伸側
メイン減衰バルブと、 緩衝器の圧行程時に画成された2室間の流体の流通を制
限することで高い減衰力を発生する圧側メイン減衰バル
ブと、 伸行程時に伸側メイン減衰バルブをバイパスして2室間
を流通する伸側バイパス流路に設けられ、該伸側バイパ
ス流路の流通を制限することで低い減衰力を発生する伸
側サブ減衰バルブと、 圧行程時に圧側メイン減衰バルブをバイパスして2室間
を流通する圧側バイパス流路に設けられ、該圧側バイパ
ス流路の流通を制限することで低い減衰力を発生する圧
側サブ減衰バルブと、 前記伸側バイパス流路と圧側バイパス流路の途中にそれ
ぞれ介装された相互に独立した伸側連通路と圧側連通路
を有していてその変位により伸側バイパス流路と圧側バ
イパス流路の流路断面積を相互に独立して変更可能な調
整子とを備え、 該調整子が、その変位の中立位置で伸側と圧側の両バイ
パス流路の流路断面積が共に最大となり、中立位置から
の変位方向の内、いずれか一方への変位方向では、伸側
と圧側の両バイパス流路の内の一方のバイパス流路の流
路断面積のみが減少する方向に変化し、もう一方の変位
方向では、他方のバイパス流路の流路断面積のみが減少
する方向に変化可能に構成されていることを特徴とする
減衰力可変型緩衝器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1992022821U JP2580174Y2 (ja) | 1992-04-10 | 1992-04-10 | 減衰力可変型緩衝器 |
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1992
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Patent Citations (1)
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