JPH0582587B2

JPH0582587B2 -

Info

Publication number: JPH0582587B2
Application number: JP59021374A
Authority: JP
Inventors: Itsuo Ikeda; Junji Kurokawa
Original assignee: Ricoh Co Ltd
Current assignee: Ricoh Co Ltd
Priority date: 1984-02-08
Filing date: 1984-02-08
Publication date: 1993-11-19
Also published as: JPS60165680A

Description

【発明の詳細な説明】（技術分野）この発明は、画像記録方法、詳しくは光導電性
の感光体を用いる画像記録方法に関する。

（従来技術）光導電性の感光体をドラム状あるいはベルト状
に構成して、これを定方向へ回転させつつ、感光
体表面を均一帯電させ、次いで感光体に対する光
像照射、あるいは光信号による書き込み等により
静電潜像を形成し、この静電潜像を現像してトナ
ーによる可視像を得、この可視像を感光体上か
ら、紙等の記録媒体上に転写し、可視像転写後の
感光体をクリーニング手段によりクリーニングす
る画像記録方式は、電子複写装置や静電プリンタ
ー等に関連して良く知られている。

このような画像記録方式においては、しばしば
画像ぼけ、画像流れと呼ばれる現象が発生する。

画像ぼけとは、記録媒体上に得られた画像が、
本来のあるべき形態に対してぼけた状態となる現
象であり、画像流れとは、記録媒体上の画像が、
液体で流されたかのようにゆがむ現象である。

上述の如き画像記録方式では、画像露光に先立
つて、コロナ放電を利用して感光体の均一帯電或
いはトナー像転写を行なうのであるが、コロナ放
電の際、オゾンや酸化窒素等の過酸化物や、他の
極性物質が不可避的に発生する。これら過酸化物
や極性物質が、感光体表面に物理的、化学的に吸
着すると、感光体表面の電気的特性が劣化し、こ
のように感光体表面の電気的特性が劣化すると、
静電潜像を構成する電荷が、感光体表面上で動き
まわるようになり、この電荷移動が原因となつ
て、画像ぼけや画像流れの現象が発生するのであ
る。

このような画像ぼけ、画像流れの現象は、程度
の差こそあれ、光導電性の感光体の種類を問わ
ず、ひろく認められる現象であるが、なかでも、
光導電層をアモルフアスシリコンで形成する感光
体（以下、アモルフアスシリコン感光体という）
では、特に顕著である。これは、アモルフアスシ
リコン感光体が、もともと、小さい表面抵抗率を
有することに由来する。

画像ぼけ、画像流れを防止する方法としては従
来、感光体の表面を、粉体の研磨剤で研磨し、感
光体表面の吸着物を除去する方法（第１の方法と
いう）や、感光体表面に、トナーの薄層を形成
し、過酸化物等が、光導電層に直接吸着するのを
上記薄層によつて防止する方法（第２の方法とい
う）等が知られている。

第１の方法の場合、化学的に吸着した物質の除
去には、光導電層自体を研磨しなければならない
から、上記アモルフアスシリコン感光体の如く、
光導電層自体が極めて硬い場合には、この第１の
方法は、ほとんど効果がない。

また、上記第２の方法は、画像ぼけや画像流れ
の防止上は有効であるが、感光体に形成されるト
ナーの薄層による遮光効果のため、画像露光に大
量の光量が要求され、また、トナーの薄層の厚さ
の不均一により、記録画像の画像濃度にむらが生
ずる等の問題がある。さらに、コロナ放電の際に
発生するオゾンの量を軽減するため、コロナ放電
器に、オゾン等の過酸化物を分解する分解剤を装
備したり、シールドケースに流れるコロナ電流を
低減したりすることがこころみられているが、画
像ぼけ等発生の防止にはかならずしも十分でな
い。

（目的）そこで、この発明は、感光体として上述のアモ
ルフアスシリコン感光体を用いながら、上記画像
ぼけや画像流れの問題を有効に解決した新規な画
像記録方法の提供を目的とする。

（構成）以下、本発明を説明する。

本発明の画像記録方法の特徴は第１に、静電潜
像の可視化に用いるトナーにあり、第２に、可視
像転写後、アモルフアスシリコン感光体をクリー
ニングするクリーニング手段にある。

すなわち、本発明の画像記録方式において、可
視像を構成すべきトナーは、１種以上の結晶性物
質を含む。これら結晶性物質は透明であつて、ト
ナー用樹脂、すなわち、トナーの主成分ともいう
べき樹脂の軟化点よりも低い融点を有し、またト
ナー用樹脂よりも低い表面エネルギーを有する。

トナー用樹脂の軟化点は、一般的に50℃〜200
℃程度であり、結晶性物質の融点は、組合せられ
るトナー用樹脂に応じて、その軟化点より低けれ
ばよいが、実用上、130℃程度より低いことが望
ましい。

また、結晶性物質の表面エネルギーは、一般的
状況にあつては、常温で35erg／cm²程度以下であ
ることが望ましい。

クリーニング手段には、感光体を摺擦するブラ
シ状部材が用いられる。もちろんクリーニング手
段として、ゴムブレード、金属ブレード等を必要
に応じて、上記ブラシ状部材と併用してもよい。

このブラシ状部材が感光体を摺擦すると、機械
的エネルギーの一部が摩擦等を介して熱エネルギ
ーにかわる。このようにして、摺擦部に熱が発生
するが、発生する熱量は、ブラシ状部材が感光体
を摺擦する速度、すなわち摺擦速度に依存する。
そこで、本発明では、上記摺擦により発生する熱
によつて、トナー中の結晶性物質のみが、選択的
に溶融し、樹脂が軟化しないような速度に、上記
摺擦速度を定めるのである。

なお、現像方式は、乾式、湿式のいずれでもよ
い。さらに乾式現像方式の場合は、所謂２成分系
現像剤を用いる方式、磁性１成分系現像剤を用い
る方式、非磁性１成分系現像剤を用いる方式等、
公知の任意の乾式現像方式でよい。

また、クリーニング手段に用いられるブラシ状
部材としては、従来から知られている磁気ブラシ
や、所謂フアーブラシを用いることができる。ブ
ラシ状部材による感光体摺擦の方向は、感光体表
面の移動方向と平行的であつてもよいし、上記移
動方向と交る方向でもよい。

上記の如き結晶性物質を含有するトナーを用い
て静電潜像を現像し、可視像の転写後、上記の如
きブラシ状部材でクリーニングを行なうと、ブラ
シ状部材の摺擦により発生する熱で、トナー中
の、結晶性物質のみが、選択的に溶融し、感光体
表面に付着する。このようにして、画像記録プロ
セスが繰返されるに従つて、感光体表面に、結晶
性物質による透明な被膜が形成される。この被膜
は、オゾン等の過酸化物や極性物質に対して不活
性であり、この被膜が保護膜として作用して、過
酸化物や極性物質の、感光体への吸着を有効に防
止する。

ここで、トナー用樹脂及び結晶性物質の具体例
のいくつかをあげておく。

トナー用樹脂としては、スチレン系樹脂、すな
わち、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチル
スチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合
体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体
等、スチレンを主体とした重合体あるいは共重合
体をあげることができる。

また、結晶性物質としては、例えば、パラフイ
ンワツクス、マイクロクリスタリンワツクス等、
石油系ワツクスで代表される長鎖炭化水素類、ス
テアリルアルコール、セチルアルコール等で代表
される、常温で固体の高級アルコール類、パルミ
チン酸、ステアリン酸等で代表される高級脂肪酸
類、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド等
で代表される高級脂肪酸アミド類、ステアリン酸
鉛、パルミチン酸鉛等で代表される高級脂肪酸金
属塩類、カルナバロウ、密ロウ、モンタンロウな
ど植物、動物、鉱物ロウなどで代表される長鎖脂
肪酸とアルコールとのエステルからなる天然ロウ
類さらには、長鎖炭化水素類と同様な性質を示す
低分子量のポリエチレンやポリプロピレン等をあ
げることもできる。ここにあげた結晶性物質は、
いずれも、その軟化点が130℃以下であつて、表
面エネルギーも常温で35erg／cm²以下である。

トナー用樹脂に対する、これら結晶性物質の混
入率は、３〜45wt％である。２種以上の結晶性
物質を混入する場合は、２種以上の結晶性物質が
全体で３〜45wt％となるようにする。

以下、具体的な例に即して説明する。

アモルフアスシリコン感光体は導電性支持体、
例えば金属板や、導電処理したプラスチツクフイ
ルムやガラス、セラミツク等の絶縁性支持体上に
スパツタリング法、グロー放電法、イオンプレー
テイング法、真空蒸着法等の堆積法によつて、ア
モルフアスシリコンを堆積することによつて形成
される。アモルフアスシリコン層を形成するため
の形成物質としては、シリコン単体や、堆積中に
分解して、シリコンを生成するSiH₄，Si₂H₆等
の、シリコン水素化合物等が代表的に用いられ
る。アモルフアスシリコン層形成においては、光
導電層としての暗抵抗や光感度を制御するため
に、必要に応じて、水素、酸素、窒素、炭素等の
元素が加えられ、特に水素に関しては15〜30atm
％が効果的に加えられる。

さて、発明者らは、清浄化したアルミニウムド
ラムの表面に、グロー放電法によつて、SiH₄ガ
スを原料として水素約20atm％を含有するアモル
フアスシリコンを、厚さ25μmに堆積させて、ア
モルフアスシリコン感光体を作製した。このアモ
ルフアスシリコン感光体を用いて、図示の如き装
置を構成した。図中、符号１は、アモルフアスシ
リコン感光体、符号２はチヤージヤー、符号３は
現像装置、符号４は転写器、符号５はクリーニン
グ装置を、それぞれ示している。

この装置は、電子写真装置であつて、画像記録
プロセスは以下の如く行なわれる。

すなわち、アモルフアスシリコン感光体１を矢
印方向へ回動させつつ、チヤージヤー２によるコ
ロナ放電により、感光体表面を均一帯電し、次い
で露光光束Ｌによつて原稿光像を投射して画像露
光を行なう。かくして感光体１に形成された静電
潜像を現像装置３によつて現像し、得られる可視
像を記録媒体としての転写紙Ｓに、転写器４によ
り転写する。その後、可視像を転写紙Ｓ上に、不
図示の定着装置で定着する。可視像転写後の感光
体はクリーニング装置５により、残留トナーを除
去される。

チヤージヤー２には、−6KVの放電電圧を印加
した。このチヤージヤー２による感光体１の帯電
電位は、略−600Vである。画像露光後、感光体
１に形成される静電潜像の潜像電位は、明部で−
50V、暗部で−500Vである。

現像装置３は磁気ブラシ現像方式のものであつ
て、非磁性トナーと磁性キヤリヤとを含む２成分
系現像剤を用いる。磁性キヤリヤは鉄粉である。
トナーは、カーボンブラツク；10重量部、トナー
用樹脂としてのスチレン−ｎ−ブチルメタクリレ
ート共重合樹脂（共重合比７：３、軟化点＝168
度Ｃ）；60重量部、結晶性物質としてのラウリン
酸アミド（融点＝110度Ｃ、表面エネルギー＝
29.4erg／cm²）；30重量部を組成として構成されて
いる。

クリーニング手段としてのクリーニング装置５
は、ブラシ状部材５０を有する。ブラシ状部材５
０は円柱形状であつて、長手方向にわたつて感光
体表面に接触し、矢印方向へ回転可能である。

ブラシ状部材５０と感光体１との接触幅は７mm
である。

ブラシ状部材５０は所謂フアーブラシであつ
て、繊維長15mm、太さ４デニール（直径25μm）
のレーヨン糸を、植毛密度300本／cm²で植毛して
作製した。

まず、25℃、湿度65％RHの環境下で、図示の
装置を作動させた（実験例１）。このとき、ブラ
シ状部材５０の回転による穂先の速さすなわち摺
擦速度を、感光体周速の50倍に設定した。

画像記録プロセスとしての複写プロセスを連続
して繰返したが、繰返し数10万回でも、画像ぼ
け、画像流れとも全く発生しなかつた。その時の
感光体表面の表面エネルギーは当初42erg／cm²で
あつたものが、30erg／cm²とラウリン酸アミドの
表面エネルギーと略同一の値となつており、これ
により感光体表面にラウリン酸アミドの膜が形成
されていることが判明した。

次に、30℃、85％PHの環境下で、上記と同様
の実験を行つたが（実験例２）、連続して８万回、
複写プロセスを繰返しても、画像ぼけ、画像流れ
とも全く発生しなかつた。その時の感光体表面の
表面エネルギーも、30erg／cm²とラウリン酸アミ
ドの表面エネルギーと略同一の値となつていた。

つづいて、比較のためトナーとして、カーボン
ブラツク；10重量部、スチレン−ｎ−ブチルメタ
クリレート；90重量部を組成とし、結晶性物質を
含まないトナーを用い、他は実験例１と同じ条件
で、複写プロセスを繰返したところ（実験例３）、
複写プロセス約1000回程度において、画像ぼけが
発生し、以後の複写画像は実用に供し得ないこと
が確認された。その時の感光体表面の表面エネル
ギーは当初の42erg／cm²のままであつた。

さらに、実験例１において、他の条件は不変に
保つたまま、ブラシ状部材の摺擦速度を、アモル
フアスシリコン感光体周速の５倍に設定したとこ
ろ（実験例４）、複写プロセス１万回程度から、
筋状の画像むら、および、感光体周面移動方向に
間のびした画像ぼけの発生が認められた。その時
の感光体表面の表面エネルギーは、場所によりバ
ラツいていたが、多くは初期の値と同じ42erg／
cm²であつた。

（効果）以上の如く、本発明によれば、新規な画像記録
方法を提供できる。この画像記録方法では、クリ
ーニング手段による感光体摺擦の熱によつて、ト
ナー中の結晶性物質が選択的に溶融し、感光体表
面に付着して、保護膜を形成し、感光体劣化の原
因となる過酸化物、極性物質の吸着を防止するの
で、感光体劣化にもとづく画像ぼけ、画像流れを
有効に防止することができる。また、上記結晶性
物質による保護膜は透明なので、この保護膜の存
在により、大きな感光光量が要求されることはな
い。

また、ブラシ状部材をフアーブラシとする場
合、ブラシ用の繊維材質は、ポリアミド樹脂、ポ
リエステル樹脂、レーヨン樹脂、アクリル樹脂等
であつてよいが、繊維の直径は50μm以下、植毛
密度は200〜500本／cm²、またアモルフアスシリコ
ン感光体に対する接触幅（感光体表面の移動方向
の接触幅）は３〜10mmが適当である。

また、摺擦速度は、感光体周速の５〜100倍、
好ましくは50〜70倍くらいが適当である。さら
に、結晶性物質による保護膜は、アモルフアスシ
リコン感光体の表面抵抗を高めるという効果もあ
る。

【図面の簡単な説明】

図は、本発明を実施するための装置の１例を説
明に必要な部分のみ略示する、説明図的正面図で
ある。１……アモルフアスシリコン感光体、２……チ
ヤージヤー、３……現像装置、４……転写器、５
……クリーニング手段としてのクリーニング装
置。

Claims

【特許請求の範囲】１ドラム状もしくはベルト状に構成された光導
電性の感光体を回転させて、その周面を定方向へ
移動させつつ、上記感光体の表面を均一に帯電さ
せ、次いで画像露光を行つて静電潜像を形成し、
この静電潜像を現像して、トナーによる可視像を
得、この可視像を上記感光体上から記録媒体上に
転写し、可視像転写後の感光体をクリーニング手
段によりクリーニングする画像記録方法におい
て、感光体として、光導電層をアモルフアスシリコ
ンで形成した感光体を用い、可視像を構成するべきトナーとして、表面エネ
ルギー及び融点が、トナー用樹脂の表面エネルギ
ー及び軟化点よりそれぞれ低い、透明な結晶性物
質を１種以上含むトナーを用い、かつ、クリーニング手段に、感光体を摺擦する
ブラシ状部材を用い、このブラシ状部材の摺擦速
度を、摺擦による熱によつて上記トナー中の結晶
性物質のみが選択的に溶融するような速度に定め
たことを特徴とする、画像記録方法。