JP2013061571A - 画像形成方法、及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アモルファスシリコンからなる感光層を備える潜像担持部と、弾性ブレードを備えるクリーニング部とを組み合わせて備える画像形成装置により画像を形成する場合に、連続して画像形成する際の潜像担持部表面の摩擦係数の増大を抑制することにより弾性ブレードの巻き上がりや転写不良によるトナーの中抜けの発生を抑制し、逆帯電トナーの発生を抑制することによりかぶり等の形成画像における画像不良の発生を抑制できる画像形成方法と、前述の画像形成方法を用いる画像形成装置とを提供すること。
【解決手段】潜像担持部の回転方向において、クリーニング部よりも上流側に設けられた、正電圧が印加される塗布ブラシをさらに備える画像形成装置において、正帯電性トナーと、体積平均粒子径が2〜12μmである脂肪酸金属塩とを含む静電潜像現像用現像剤を用いる。
【選択図】図2

Description

本発明は、正帯電性トナーと、所定の範囲の粒子径を有する、特定の種類の脂肪酸金属塩とを含む静電潜像現像用現像剤を用いる画像形成方法、及び前述の画像形成方法において好適に使用できる画像形成装置に関する。
一般に電子写真法では、光導電性感光体又は誘電体等からなる潜像担持部をコロナ帯電等により帯電させた後に、帯電した潜像担持部上にレーザー、LED等により露光して形成した静電潜像を、トナー等の現像剤を用いて可視化するか、静電潜像を反転現像することにより可視化して高品質な画像が形成される。
従来、かかる画像形成方法において用いられる潜像担持部として、有機光導電体(OPC)からなる感光層を備える潜像担持部が一般的に使用されている。しかし、近年、画像形成装置の耐久性の向上の要求に応じて、アモルファスシリコンからなる感光層を備える潜像担持部の使用が検討されている。潜像担持部は被印刷物や、後述する弾性ブレード等と摺擦されることによって磨耗するが、アモルファスシリコンは耐摩耗性に極めて優れるため、潜像担持部の磨耗の観点からは画像形成装置の高耐久化を実現できる。具体的には、アモルファスシリコンの磨耗による膜厚の減少速度は有機光導電体の1/100以下である。
このため、アモルファスシリコンからなる感光層を備える正帯電性の潜像担持部を有する画像形成装置は、潜像担持部(感光体)が長寿命であり、画像一枚当たりの画像形成コストを低減することができる。かかる利点から、アモルファスシリコンからなる感光層を備える潜像担持部の使用が広がっている。
また、トナー像を紙等の被印刷物の表面に転写した後、アモルファスシリコンからなる感光層を備える潜像担持部の表面に残留したトナーは、クリーニング部により除去される。かかるクリーニング部としては、可動部が少ない単純な構造であり、画像形成装置を小型化できることから弾性ブレードを備えるものが広く使用されている。
このように、アモルファスシリコンからなる感光層を備える潜像担持部と、弾性ブレードを備えるクリーニング部とは、各々の利点から、組み合わせて使用されることが多い。
しかし、アモルファスシリコンからなる感光層を備える潜像担持部には、連続して画像を出力する場合に、潜像担持部表面の摩擦係数が増大しやすい欠点がある。潜像担持部表面の摩擦係数が増大した場合、アモルファスシリコンからなる感光層を備える潜像担持部と、弾性ブレードを備えるクリーニング部とを組み合わせて備える画像形成装置では、弾性ブレードの巻き上がりや、潜像担持部表面からトナー粒子が剥離し難くなることによる転写不良が生じやすくなる。転写不良が生じる場合、中抜けとよばれる画像不良が発生しやすくなる問題がある。
アモルファスシリコンからなる感光層を備える潜像担持部と、弾性ブレードを備えるクリーニング部とを組み合わせて備える画像形成装置における上記問題を解決する方法として、固形潤滑剤に回転可能なブラシを当接させブラシを回転させることにより粒径1μm以下の潤滑剤(脂肪酸金属塩)を、潜像担持部表面に供給する方法が提案されている(特許文献1)。
特開2005−275166号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、固形潤滑剤が消費されるため、固形潤滑剤を補給、又は交換する必要がある。固形潤滑剤の補給、交換を怠れば、感光体表面の摩擦係数が増大するため、ブレードの巻き上がりや、潜像担持部からトナー像を転写する際に中抜けが発生するおそれがある。このため、特許文献1の方法では、画像形成装置のメンテナンス等の負担が増加する。
このため、固形潤滑剤を補給、交換することなく潜像担持部に脂肪酸金属塩を供給する方法が望まれる。かかる方法としては、トナーを含む現像剤に脂肪酸金属塩を含有させることが考えられる。しかし、粒径1μm以下の微小な粒子はトナー表面に付着しやすく、脂肪酸金属塩が負帯電性であるため、正帯電性トナーと微小な脂肪酸金属塩粒子とを組み合わせて用いる場合、負に帯電した逆帯電トナーが生じることにより、かぶり等の画像不良が発生しやすくなる。
また、脂肪酸金属塩を正帯電性トナーとともに潜像担持部に供給する場合、潜像担持部表面においてトナー像の他の部分(非画像部)では正帯電しているため、負に帯電している脂肪酸金属塩は非画像部に局在しやすい。脂肪酸金属塩の局在化が生じた場合は、潜像担持部の動摩擦係数を抑制しにくい。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、アモルファスシリコンからなる感光層を備える潜像担持部と、弾性ブレードを備えるクリーニング部とを組み合わせて備える画像形成装置により画像を形成する場合に、連続して画像形成する際の潜像担持部表面の摩擦係数の増大を抑制することにより弾性ブレードの巻き上がりや転写不良による中抜けの発生を抑制し、逆帯電トナーの発生を抑制することによりかぶり等の形成画像における画像不良の発生を抑制できる画像形成方法と、前述の画像形成方法において好適に使用できる画像形成装置とを提供することを目的とする。
本発明者らは、アモルファスシリコンからなる感光層を備える潜像担持部と、弾性ブレードを備えるクリーニング部とを組み合わせて備える画像形成装置であって、潜像担持部周面において、潜像担持部の回転方向における、転写部よりも下流側、且つクリーニング部よりも上流側に、潜像担持部に接するように設けられた、正電圧が印加される塗布ブラシをさらに備える画像形成装置において、正帯電性トナーと、体積平均粒子径が2〜12μmである特定種類の脂肪酸金属塩とを含む静電潜像現像用現像剤を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) アモルファスシリコンからなる感光層を有する潜像担持部と、
前記潜像担持部の表面を帯電するための帯電部と、
帯電された前記潜像担持部の表面を露光して前記潜像担持部の表面に静電潜像を形成するための露光部と、
前記静電潜像をトナー像として現像するための現像部と、
前記トナー像を前記潜像担持部から被記録媒体へ転写するための転写部と、
弾性ブレードを有するクリーニング部と、を備える画像形成装置による画像形成方法であって、
前記画像形成装置が、さらに、前記潜像担持部周面において、前記潜像担持部の回転方向における、前記転写部よりも下流側、且つ前記クリーニング部よりも上流側に、前記潜像担持部に接するように設けられた、正電圧が印加される塗布ブラシを備え、
正帯電性トナーと、体積平均粒子径が2〜12μmである、炭素原子数12〜20の脂肪酸の、亜鉛塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩からなる群より選択される一種以上の金属塩、を含む静電潜像現像用現像剤を用いて画像形成する、画像形成方法。
(2) 前記脂肪酸金属塩が、ステアリン酸の金属塩である、(1)に記載の画像形成方法。
(3) 前記静電潜像現像用現像剤における、前記脂肪酸金属塩の含有量が、前記正帯電性トナー100質量部に対して、0.01〜0.5質量部である、(2)又は(3)に記載の画像形成方法。
(4) アモルファスシリコンからなる感光層を有する潜像担持部と、
前記潜像担持部の表面を帯電するための帯電部と、
帯電された前記潜像担持部の表面を露光して前記潜像担持部の表面に静電潜像を形成するための露光部と、
前記静電潜像をトナー像として現像するための現像部と、
前記トナー像を前記潜像担持部から被記録媒体へ転写するための転写部と、
弾性ブレードを有するクリーニング部と、を備える画像形成装置であって、
前記現像部より、前記潜像担持部周面において、前記潜像担持部の回転方向における、前記転写部よりも下流側、且つ前記クリーニング部よりも上流側に、前記潜像担持部に接するように設けられた、正電圧が印加される塗布ブラシを備える画像形成装置。
本発明によれば、アモルファスシリコンからなる感光層を備える潜像担持部と、弾性ブレードを備えるクリーニング部とを組み合わせて備える画像形成装置により画像を形成する場合に、連続して画像形成する際の潜像担持部表面の摩擦係数の増大を抑制することにより弾性ブレードの巻き上がりや転写不良による中抜けの発生を抑制し、逆帯電トナーの発生を抑制することによりかぶり等の形成画像における画像不良の発生を抑制できる画像形成方法と、前述の画像形成方法を用いる画像形成装置とを提供することができる。
本発明の画像形成装置の概略構成を示す断面図である。 潜像担持部上で行われるプロセスの概略を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態は、導電性基体上に少なくともアモルファスシリコンからなる感光層が形成されている潜像担持部と、弾性ブレードを有するクリーニング部と、潜像担持部周面において、潜像担持部の回転方向における、転写部よりも下流側、且つクリーニング部よりも上流側に、潜像担持部に接するように設けられた、正電圧が印加される塗布ブラシとを備える画像形成装置において、正帯電性トナーと、体積平均粒子径が2〜12μmである特定の種類の脂肪酸金属塩とを含む静電潜像現像用現像剤を用いて画像を形成する画像形成方法に関する。以下、本発明の第1実施形態にかかる、画像形成方法について説明する。ここでは、まず画像形成方法に用いる画像形成装置について説明し、続いて画像形成方法に用いる静電潜像現像用現像剤について説明する。
<<画像形成装置>>
まず、第1実施形態にかかる画像形成方法において用いる画像形成装置は、
アモルファスシリコンからなる感光層を有する潜像担持部と、
潜像担持部の表面を帯電するための帯電部と、
帯電された潜像担持部の表面を露光して前記潜像担持部の表面に静電潜像を形成するための露光部と、
静電潜像をトナー像として現像するための現像部と、
トナー像を潜像担持部から被記録媒体へ転写するための転写部と、
弾性ブレードを有するクリーニング部と、を備え、
さらに、前記潜像担持部周面において、前記潜像担持部の回転方向における、前記転写部よりも下流側、且つ前記クリーニング部よりも上流側に、前記潜像担持部に接するように設けられた、正電圧が印加される塗布ブラシを備える画像形成装置である。
かかる画像形成装置の中では、アモルファスシリコンからなる感光層が厚い場合よりも、高解像度の画像が得られることから、導電性基体の感光層側の表面から潜像担持部の最表面までの距離が30μm以下である潜像担持部を備える画像形成装置がより好ましい。
また、第1実施形態にかかる画像形成方法において用いる画像形成装置としては、後述するような、複数色の現像剤を用いるタンデム方式のカラー画像形成装置が好ましい。ここでは、タンデム方式のカラー画像形成装置による画像形成方法について説明する。
なお、以下に説明するタンデム方式のカラー画像形成装置は、複数の潜像担持部の表面上にそれぞれ異なった色の現像剤に含まれる正帯電性トナーによってトナー像を形成させるために、所定方向に並設された、複数の潜像担持部と、各潜像担持部に対向して配置され、表面にトナーを担持して搬送し、搬送されたトナーを、各潜像担持部の表面にそれぞれ供給する現像ローラーを備えた複数の現像部とを備え、現像部において、本発明にかかる画像形成方法に用いられる静電潜像現像用現像剤(後述する)を潜像担持部に供給する。
以下、図1、及び図2により、第1実施形態において用いる画像形成装置について説明する。図1は、第1実施形態にかかる画像形成方法において用いる、好適な画像形成装置の構成を示す概略図である。図2は、第1実施形態の画像形成方法において、潜像担持部37上で行われるプロセスの概略図である。ここでは、画像形成装置として、カラープリンター1を例に挙げて説明する。
このカラープリンター1は、図1に示すように、箱型の機器本体1aを有している。この機器本体1a内には、用紙Pを給紙する給紙部2と、この給紙部2から給紙された用紙Pを搬送しながら当該用紙Pに画像データ等に基づくトナー像を転写する転写部3と、この転写部3で用紙P上に転写された未定着トナー像を用紙Pに定着する定着処理を施す定着部4とが設けられている。さらに、機器本体1aの上面には、定着部4で定着処理の施された用紙Pが排紙される排紙部5が設けられている。
給紙部2は、給紙カセット121、ピックアップローラー122、給紙ローラー123,124,125、及びレジストローラー対126を備えている。給紙カセット121は、機器本体1aから挿脱可能に設けられ、用紙Pを貯留する。ピックアップローラー122は、給紙カセット121の図1に示す左上方位置に設けられ、給紙カセット121に貯留されている用紙Pを1枚ずつ取り出す。給紙ローラー123,124,125は、ピックアップローラー122によって取り出された用紙Pを用紙搬送路に送り出す。レジストローラー対126は、給紙ローラー123,124,125によって用紙搬送路に送り出された用紙Pを一時待機させた後、所定のタイミングで転写部3に供給する。
また、給紙部2は、機器本体1aの図1に示す左側面に取り付けられる不図示の手差しトレイとピックアップローラー127とをさらに備えている。このピックアップローラー127は、手差しトレイに載置された用紙Pを取り出す。ピックアップローラー127によって取り出された用紙Pは、給紙ローラー123,125によって用紙搬送路に送り出され、レジストローラー対126によって、所定のタイミングで転写部3に供給される。
転写部3は、画像形成ユニット7によってその表面(接触面)にコンピューター等から電送された画像データに基づくトナー像が1次転写される中間転写ベルト31と、この中間転写ベルト31上のトナー像を給紙カセット121から送り込まれた用紙Pに2次転写させるための2次転写ローラー32とを備えている。
画像形成ユニット7は、中間転写ベルト31の移動方向の上流側(図1では右側)から下流側に向けて順次配設されたブラック用ユニット7Kと、イエロー用ユニット7Yと、シアン用ユニット7Cと、マゼンタ用ユニット7Mとを備えている。各ユニット7K,7Y,7C及び7Mは、それぞれの中央位置に像担持部であるドラム型の潜像担持部37が矢符(時計回り)方向に回転可能に配置されている。そして、各潜像担持部37の周囲には、帯電部39、露光部38、現像部71、転写部3、クリーニング部8、及び除電器等が、潜像担持部37の回転方向上流側から順に各々配置されている。
帯電部39は、矢符方向に回転されている潜像担持部37の周面を均一に帯電させる。帯電部39は、潜像担持部37の周面を均一に帯電させることができれば特に制限されず、非接触方式であっても接触方式であってもよい。帯電部の具体例としては、コロナ帯電装置、帯電ローラー、帯電ブラシ等が挙げられる。
潜像担持部37の表面電位(帯電電位)は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。現像性と潜像担持部37の帯電能力とのバランスを考慮すると、表面電位は+200〜+500Vであるのが好ましく、+200V〜+300Vであるのがより好ましい。表面電位が低すぎる場合、現像電界が不十分となり、形成画像の画像濃度を確保し難くなる。表面電位が高すぎる場合、感光層の膜厚によっては帯電能力が不足、潜像担持部37の絶縁破壊、オゾンの発生量が増加する等の問題が起こりやすくなる。
潜像担持部37は、ドラム状の導電性基体上にアモルファスシリコンからなる感光層が形成されている。アモルファスシリコンからなる感光層は、例えば、グロー放電分解法、スパッタリング法、ECR法、蒸着法等の気相成長法によって形成することができる。アモルファスシリコンからなる感光層を形成する際には、感光層に、Hやハロゲン元素を含有させることができる。また、感光層の特性を調整するために、C、N、O等の元素を含有させたり、周期表(長周期型)の13族元素や15族元素を感光層に含有させたりしてもよい。
アモルファスシリコンからなる感光層を構成する材料は、アモルファスシリコンであれば特に限定されない。好適なアモルファスシリコン材料としては、アモルファスSi、アモルファスSiC、アモルファスSiO、アモルファスSiON等が挙げられる。これらのアモルファスシリコン材料の中では、高抵抗であり、帯電特性、耐摩耗性、耐環境性に優れることからアモルファスSiCがより好ましい。また、アモルファスシリコン材料としてアモルファスSiCを用いる場合、アモルファスSi(1−X)(Xは0.3以上1未満)が好ましく、アモルファスSi(1−X)(Xは0.5以上0.95以下)がより好ましい。かかる組成のアモルファスSiCは、1012〜1013Ωcmと極めて高い抵抗値を示すため、潜像担持部37の潜像電荷の流れを抑制でき、静電潜像の維持能力に優れる潜像担持部37が得られる。また、かかる組成のアモルファスSiCを用いることにより、耐湿性に優れる潜像担持部37が得られる。
感光層は、導電性基体上に形成されたキャリア阻止層の上に形成してもよい。また、感光層の表面には表面保護層を設けてもよい。潜像担持部37としては、導電性基体、キャリア阻止層、感光層、表面保護層の順に積層されたものが特に好適に使用される。
表面保護層を設ける場合、帯電部39による放電時の、アモルファスシリコンかなる感光層の表面での、放電生成物や水分子等を吸着しやすい酸化物の皮膜の形成を抑制できる。また、表面保護層を設けることにより、潜像担持部37の、絶縁耐圧の向上、及び繰り返し使用時の耐摩耗性の向上を図れる。表面保護層の材料としては、アモルファスSiC、アモルファスSiO、アモルファスSiN、アモルファスSiON、アモルファスSiCON等の無機絶縁材料が挙げられる。
表面保護層の膜厚は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、20000Å以下が好ましく、5000〜15000Åがより好ましい。表面保護層の膜厚をかかる範囲とすることで、耐圧性能が劣化し難い潜像担持部37を優れた効率で生産できる。
キャリア阻止層を設ける場合、現像時に、アモルファスシリコンからなる感光層へのキャリアの注入を阻止して露光部と非露光部との静電コントラストを高めることにより、画像の濃度向上、地肌カブリの低減を図れる。キャリア阻止層の材料としては、アモルファスSiC、アモルファスSiO、アモルファスSiN、アモルファスSiON、アモルファスSiCON等の無機絶縁材料や、ポリエチレンテレフタレート、パリレン(登録商標)、ポリ四フッ化エチレン、ポリイミド、ポリフッ化エチレンプロピレン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、酢酸セルロール樹脂等の有機絶縁材料が挙げられる。
キャリア阻止層の膜厚は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、0.01〜5μmが好ましく、0.1〜3μmがより好ましい。キャリア阻止層が薄すぎる場合には、所望のキャリア阻止効果を得にくく、キャリア阻止層が厚すぎる場合には、製膜に長時間を要し、潜像担持部37の生産性が低下するおそれがある。
潜像担持部37の、導電性基体の感光層側の表面から潜像担持部37の最表面までの距離は特に限定されないが、潜像担持部37の製造コストを低減でき、解像度に優れる画像が得られる点から、30μm以下であるのが好ましい。なお、潜像担持部の最表面とは、表面保護層が形成されている場合は表面保護層の表面であり、表面保護層が形成されていない場合は感光層の表面である。また、導電性基体の感光層側の表面から潜像担持部37の最表面までの距離とは、キャリア阻止層、感光層、及び表面保護層の厚さの合計である。
潜像担持部37の、導電性基体の感光層側の表面から潜像担持部37の感光層側の表面までの距離の下限は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、10μm以上が好ましい。距離が短すぎる場合には、潜像担持部37の帯電性能が不十分であったり、露光に用いるレーザー光の乱反射により、ハーフパターンに干渉縞が生じたりする場合がある。
露光部38は、いわゆるレーザー走査ユニットであり、帯電部39によって均一に帯電された潜像担持部37の周面に、上位装置であるパーソナルコンピューター(PC)から入力された画像データに基づくレーザー光を照射し、潜像担持部37上に画像データに基づく静電潜像を形成する。現像部71は、静電潜像が形成された潜像担持部37の周面に、後述する現像剤に含まれる、正帯電性トナー131と脂肪酸金属塩132とを供給することで、潜像担持部37表面の摩擦係数の増大を抑制しつつ、画像データに基づくトナー像を形成させる。現像部71の構成は、現像剤の種類、及び現像方式によって適宜変更される。現像部71により潜像担持部37の周面に形成されたトナー像は、中間転写ベルト31に1次転写される。
正帯電性トナー131と脂肪酸金属塩132とを含む現像剤を潜像担持部37表面に供給してトナー像を形成する際、脂肪酸金属塩132は負帯電性であり、トナー像の他の部位である非画像部は正帯電しているため、脂肪酸金属塩132は、非画像部に局在してしまう。しかし、第1実施形態の画像形成方法で用いる画像形成装置によれば、潜像担持部37の周面において、潜像担持部37の回転方向における、転写部3の下流側、且つクリーニング部8よりも上流側に設けられた、正電圧が印加される塗布ブラシ9によって、潜像担持部37の表面に脂肪酸金属塩132を均一に塗布することができる。また、脂肪酸金属塩132の中でも径の小さな粒子は、正帯電性トナー131に付着しやすいが、1次転写後に潜像担持部37の表面に残留した正帯電性トナー131に付着した脂肪酸金属塩132は、クリーニング部8により正帯電性トナー131とともに回収されてしまうため、潜像担持部37の表面に有効に供給されない。しかし、カラープリンター1が上記の塗布ブラシ9を備える場合、1次転写後に潜像担持部37の表面に残留した正帯電性トナー131に付着した脂肪酸金属塩132を、一旦、塗布ブラシ9に電気的に吸着させて回収した後に、塗布ブラシ9により潜像担持部表面に塗布することができる。このため、第1実施形態の画像形成方法によれば潜像担持部37表面の摩擦係数の増大を良好に抑制することができる。以下、塗布ブラシ9について、詳細に説明する。
まず、塗布ブラシ9は、所定電圧の正電圧を印加されることにより1次転写後における潜像担持部37の表面に局在的に付着する負極性に帯電した脂肪酸金属塩132を、塗布ブラシ9の備えるブラシ毛92の表面に電気的に吸着させて取り除く。具体的には、塗布ブラシ9には、脂肪酸金属塩132の帯電極性とは異なる極性である正極性の正電圧がバイアス印加部93により印加される。これにより、潜像担持部37の表面において、トナー像の他の部位である非画像部に局在する脂肪酸金属塩132を、ブラシ毛92の表面に吸着させて回収する。また、塗布ブラシ9は、1次転写後に潜像担持部37表面に残留した正帯電性トナー131に付着した脂肪酸金属塩132を、非画像部上の脂肪酸金属塩132と同様に、ブラシ毛92表面に吸着させて回収する。
続いて、塗布ブラシ9は、ブラシ毛92に吸着された脂肪酸金属塩132を潜像担持部37の表面に均一に塗布する。具体的には、脂肪酸金属塩132は潤滑剤として作用する柔らかな粒子であるため、ブラシ毛92に吸着された脂肪酸金属塩132が、ブラシ毛92により潜像担持部37の表面に押し広げられることで、潜像担持部37の表面に均一に塗布される。これにより、潜像担持部37表面における脂肪酸金属塩132の局在が解消されるとともに、1次転写後に潜像担持部37の表面に残留した正帯電性トナー131に付着する脂肪酸金属塩132が有効に利用される。
塗布ブラシ9は、潜像担持部37の表面に接触しながら回転軸91を中心に回転可能に配置され、回転軸91と、回転軸91の周面に植毛されるブラシ毛92と、塗布ブラシ9に所定の電圧を印加するバイアス印加部93とから構成される。また、塗布ブラシ9は、回転軸91の回転軸を中心に図2における潜像担持部37の回転方向と逆方向に回転可能に構成される。ブラシ毛92の潜像担持部37表面への侵入量(ブラシ毛92の先端部分が変形せずにそのまま潜像担持部37の表面に侵入したとした場合の仮想量(長))は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、0.5〜5mmが好ましく、1〜3mmがより好ましい。
塗布ブラシ9のブラシ毛92は、回転軸91の周面から径方向外側に延びるように略均一に植毛された多数本の毛からなる。ブラシ毛92の長さは、潜像担持部37の表面に対する上記の侵入量の条件を満たし、ブラシ毛92の先端部が他の部材に接触しない範囲の長さから適宜選択することができる。
ブラシ毛92は、導電性繊維材料で構成される。導電性繊維材料の種類は、所望の導電性を有する限り特に制限されず、周知の導電性繊維から適宜選択できる。ブラシ毛92として用いる導電性繊維材料の好適な例としては、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アクリル等の基材にカーボンを添加して分散させたものが挙げられる。導電性繊維材料の抵抗値は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。導電性繊維材料の体積抵抗値は、典型的には、10〜1010Ω・cmが好ましい。
ブラシ毛92には、回転軸部材91を介してバイアス印加部93により正電圧が印加される。ブラシ毛92に印加される電圧は+50〜+300Vが好ましい。
塗布ブラシ9の回転軸91表面にブラシ毛92を形成する方法は特に限定されず、ブラシ毛92が編みこまれたシート状態のブラシ生地を回転軸91の周面に巻き付ける方法や。ブラシ毛92は、回転軸91の周面に直接植毛する方法等が挙げられる。
従来、ブラシにより潜像担持部37表面に脂肪酸金属塩132を供給する方法がしられている。しかし、かかる方法では、ブラシに脂肪酸金属塩132を供給するための固形潤滑剤を供給する装置を、ブラシに隣接させて設ける必要があり、画像形成装置を小型化しにくい。しかし、第1実施形態による画像形成方法によれば、上述の塗布ブラシ9のみで潜像担持部37の表面における摩擦係数の増大を良好に抑制できるので、画像形成装置の小型化が容易であり、画像形成装置の製造コストを低減することができる。
塗布ブラシ9により脂肪酸金属塩132の塗布が終了した後、潜像担持部37の周面に残留しているトナーをクリーニング部8により清掃する。クリーニング部8は、弾性ブレード81を備え、弾性ブレード81により潜像担持部37の周面に残留するトナーを除去する。弾性ブレードはウレタン系ゴムやエチレン−プロピレン系ゴム等により構成される。第1実施形態にかかる画像形成方法によれば、後述の現像剤を用いることにより、潜像担持部37の表面の摩擦係数の増大が抑制されるため、弾性ブレードの巻き上がりや、転写不良による中抜けの発生を抑制できる。
除電器は、1次転写が終了した後、潜像担持部37の周面を除電する。クリーニング部8及び除電器によって清浄化処理された潜像担持部37の周面は、新たな帯電処理のために帯電部39へ向かい、新たな帯電処理が行われる。
転写部3は、現像部71により潜像担持部37表面に形成されたトナー像の潜像担持部37から用紙Pへの転写を行う。転写部の構成は、特に限定されず、従来から画像形成装置において採用されている転写部の構成から適宜選択できる。カラープリンター1では、転写部は、中間転写ベルト31、2次転写ローラー32、駆動ローラー33、従動ローラー34、バックアップローラー35、及び1次転写ローラー36から構成される。
中間転写ベルト31は、無端状のベルト状回転体であって、表面(接触面)側が各潜像担持部37の周面にそれぞれ当接するように駆動ローラー33、従動ローラー34、バックアップローラー35、及び1次転写ローラー36等の複数のローラーに架け渡されている。また、中間転写ベルト31は、各潜像担持部37と対向配置された1次転写ローラー36によって潜像担持部37に押圧された状態で、複数のローラーによって無端回転するように構成されている。駆動ローラー33は、不図示のステッピングモーター等の駆動源によって回転駆動し、中間転写ベルト31に無端回転させるための駆動力を与える。従動ローラー34、バックアップローラー35、及び1次転写ローラー36は、回転自在に設けられ、駆動ローラー33による中間転写ベルト31の無端回転に伴って従動回転する。これらのローラー34,35,36は、駆動ローラー33の主動回転に応じて中間転写ベルト31を介して従動回転するとともに、中間転写ベルト31を支持する。
1次転写ローラー36は、負極性の1次転写バイアスを中間転写ベルト31に印加する。そうすることによって、各潜像担持部37上に形成されたトナー像は、各潜像担持部37と1次転写ローラー36との間で、駆動ローラー33の駆動により矢符(反時計回り)方向に周回する中間転写ベルト31に重ね塗り状態で順次転写(1次転写)される。
2次転写ローラー32は、負極性の2次転写バイアスを用紙Pに印加する。そうすることによって、中間転写ベルト31上に1次転写されたトナー像は、2次転写ローラー32とバックアップローラー35との間で用紙Pに2次転写され、これによって、用紙Pにカラーの転写画像(未定着トナー像)が転写される。
定着部4は、転写部3で用紙Pに転写された転写画像に定着処理を施すものであり、通電発熱体により加熱される加熱ローラー41と、この加熱ローラー41に対向配置され、周面が加熱ローラー41の周面に押圧当接される加圧ローラー42とを備えている。
そして、転写部3で2次転写ローラー32により用紙Pに転写された転写画像は、当該用紙Pが加熱ローラー41と加圧ローラー42との間を通過する際の加熱及び加圧からなる定着処理で用紙Pに定着される。そして、定着処理の施された用紙Pは、排紙部5へ排紙されるようになっている。また、本実施形態のカラープリンター1では、定着部4と排紙部5との間の適所に複数の搬送ローラー対6が配設されている。
排紙部5は、カラープリンター1の機器本体1aの頂部が凹没されることによって形成され、この凹没した凹部の底部に排紙された用紙Pを受ける排紙トレイ51が形成されている。
<<静電潜像現像用現像剤>>
次に、第1実施形態にかかる画像形成方法において用いる静電潜像現像用現像剤(以下、現像剤ともいう)について説明する。本発明の静電潜像現像用現像剤は、所望により、キャリアを配合して3成分現像剤とすることもできる。以下、第1実施形態にかかる現像剤について、正帯電性トナー、脂肪酸金属塩、現像剤の調製方法、及び3成分現像剤とする場合に用いるキャリアについて順に説明する。
〔正帯電性トナー〕
本発明の静電潜像現像用現像剤に含まれる正帯電性トナーは、特に限定されず、従来から静電潜像の現像に使用される種々の正帯電性トナーから適宜選択して使用することができる。静電潜像現像用現像剤に含有させる、好適なトナーの例としては、結着樹脂と着色剤と、所望により、電荷制御剤、離型剤、及び磁性粉等とを含有するトナーが挙げられる。また、トナーは、その表面に、シリカ等の外添剤を外添されていてもよい。以下、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、離型剤、磁性粉、外添剤、及びトナーの調製方法について順に説明する。
(結着樹脂)
正帯電性トナーに含まれる結着樹脂は、従来からトナーを製造する際に結着樹脂として用いられている樹脂であれば特に制限されない。結着樹脂の具体例としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂の中でも、トナー中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、用紙に対する定着性の面から、スチレンアクリル系樹脂、及びポリエステル樹脂が好ましい。以下、スチレンアクリル系樹脂、及びポリエステル樹脂について説明する。
スチレンアクリル系樹脂は、スチレン系単量体とアクリル系単量体との共重合体である。スチレン系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン等が挙げられる。アクリル系単量体の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
ポリエステル系樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合ないし共縮重合によって得られるものを使用することができる。ポリエステル系樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下のアルコール成分やカルボン酸成分が挙げられる。
2価又は3価以上のアルコール成分の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の3価以上のアルコール類が挙げられる。
2価又は3価以上のカルボン酸成分の具体例としては、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、あるいはn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等のアルキル又はアルケニルコハク酸等の2価カルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等の3価以上のカルボン酸等が挙げられる。これらの2価又は3価以上のカルボン酸成分は、酸ハライド、酸無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成性の誘導体として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1から6のアルキル基を意味する。
結着樹脂がポリエステル樹脂である場合の、ポリエステル樹脂の軟化点は、80〜150℃であることが好ましく、90〜140℃がより好ましい。
結着樹脂としては、定着性が良好であることから熱可塑性樹脂を用いることが好ましいが、熱可塑性樹脂単独で使用するだけでなく、熱可塑性樹脂に架橋剤や熱硬化性樹脂を添加することができる。結着樹脂内に一部架橋構造を導入することにより、定着性を低下させることなく、トナーの保存安定性、形態保持性、耐久性等を向上させることができる。
熱可塑性樹脂とともに使用できる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂やシアネート系樹脂が好ましい。好適な熱硬化性樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、シアネート樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、2種以上を組み合わせて使用できる。
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、50〜65℃が好ましく、50〜60℃がより好ましい。結着樹脂のガラス転移点が低すぎる場合、画像形成装置の現像部の内部でトナー同士が融着したり、保存安定性の低下により、トナー容器の輸送時や倉庫等での保管時にトナー同士が一部融着したりする場合がある。また、ガラス転移点が高すぎる場合、結着樹脂の強度が低下し、潜像担持部にトナーが付着しやすい。ガラス転移点が高すぎる場合、トナーの低温定着性が低下する傾向がある。
なお、結着樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、比熱の変化点から求めることができる。より具体的には、測定装置としてセイコーインスツルメンツ株式会社製示差走査熱量計DSC−6200を用い、吸熱曲線を測定することで求めることができる。測定試料10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを使用し、測定温度範囲25〜200℃、昇温速度10℃/minで常温常湿下にて測定して得られた吸熱曲線よりガラス転移点を求めることができる。
(着色剤)
トナーに含まれる着色剤は、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料や染料を用いることができる。トナーに添加することができる好適な着色剤の具体例としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック等の黒色顔料;黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等の黄色顔料;赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGK等の橙色顔料;ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等の赤色顔料;マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等の紫色顔料;紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC等の青色顔料;クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等の緑色顔料;亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等の白色顔料;バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等の体質顔料が挙げられる。これらの着色剤は、トナーを所望の色相に調整する目的等で2種以上を組み合わせて用いることもできる。
着色剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。具体的には、結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部が好ましく、3〜7質量部がより好ましい。
(離型剤)
トナーは、定着性や耐オフセット性を向上させる目的で、離型剤を含んでいてもよい。トナーに添加する離型剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。離型剤としてはワックスが好ましく、ワックスの例としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フッ素樹脂系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックス等が挙げられる。これらのワックスは2種以上を組み合わせて使用できる。かかる離型剤をトナーに添加することにより、オフセットや像スミアリング(画像をこすった際の画像周囲の汚れ)の発生をより効率的に抑制することができる。
離型剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。具体的な離型剤の使用量は、トナー全量を100質量部とした場合に、1〜5質量部が好ましい。離型剤の使用量が過少である場合、オフセットや像スミアリングの発生の抑制について所望の効果が得られない場合があり、離型剤の使用量が過多である場合、トナー同士の融着によってトナーの保存安定性が低下する場合がある。
(電荷制御剤)
電荷制御剤は、帯電レベルや、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。第1実施形態にかかる現像剤に含まれるトナーは正帯電性トナーであるため、電荷制御剤としては正帯電性の電荷制御剤が使用される。
正帯電性の電荷制御剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来からトナーに使用されている正帯電性の電荷制御剤から適宜選択できる。正帯電性の電荷制御剤の具体例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ−ンBH/C、アジンディ−プブラックEW、及びアジンディーブラック3RL等のアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体等のニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等のニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの正帯電性の電荷制御剤の中では、より迅速な帯電の立ち上がり性が得られる点で、ニグロシン化合物が特に好ましい。これらの正帯電性の電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、又はカルボキシル基を官能基として有する樹脂も正帯電性の電荷制御剤として使用できる。より具体的には、4級アンモニウム塩を有するスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂等の1種又は2種以上が挙げられる。これらの樹脂の分子量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、オリゴマーであってもポリマーであってもよい。
正帯電性の電荷制御剤として使用できる樹脂の中では、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができる点から、4級アンモニウム塩を官能基として有するスチレン−アクリル系共重合樹脂がより好ましい。4級アンモニウム塩を官能基として有するスチレン−アクリル系共重合樹脂において、スチレン単位と共重合させる好ましいアクリル系コモノマーの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
また、4級アンモニウム塩としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキル(メタ)アクリルアミド、又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドから第4級化の工程を経て誘導される単位が用いられる。ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、ジアルキル(メタ)アクリルアミドの具体例としてはジメチルメタクリルアミドが挙げられ、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの具体例としては、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが挙げられる。また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有重合性モノマーを重合時に併用することもできる。
電荷制御剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。電荷制御剤の使用量は、典型的には、トナー全量を100質量部とした場合に、1.5〜15質量部が好ましく、2.0〜8.0質量部がより好ましく、3.0〜7.0質量部が特に好ましい。電荷制御剤の使用量が過少である場合、トナーを安定して帯電させ難いため、形成画像の画像濃度が好ましい値より低くなったり、形成画像の画像濃度を長期にわたって維持しにくくなったりする。また、かかる場合、電荷制御剤が均一に分散し難く、形成画像におけるかぶりや潜像担持部の汚染が起こりやすくなる。電荷制御剤の使用量が過多である場合、耐環境性の悪化による、高温高湿下での帯電不良、及び形成画像における画像不良や、潜像担持部の汚染等が起こりやすくなる。
(磁性粉)
正帯電性トナーは、結着樹脂中に磁性粉を含む磁性トナーであってもよい。結着樹脂中に配合される磁性粉の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。好適な磁性粉の例としては、フェライト、マグネタイト等の鉄;コバルト、ニッケル等の強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理等の強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
磁性粉の粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されない。具体的な磁性粉の粒子径は、0.1〜1.0μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。かかる範囲の粒子径の磁性粉を用いる場合、結着樹脂中に磁性粉を均一に分散させやすい。
磁性粉は、結着樹脂中での分散性を改良する目的等で、チタン系カップリング剤やシラン系カップリング剤等の表面処理剤により表面処理されたものを使用できる。
磁性粉の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。具体的な磁性粉の使用量は、トナー全量を100質量部とした場合に、20〜60質量部が好ましく、30〜50質量部がより好ましい。磁性粉の使用量が過多である場合、形成画像の画像濃度を維持することができなかったり、定着性が極度に低下したりする場合があり、磁性粉の使用量が過少である場合、形成画像にかぶりが発生しやすかったり、長時間にわたって印刷を行う際に形成画像の画像濃度を維持しにくくなる場合がある。また、トナーを後述する3成分現像剤として使用する場合、磁性粉の使用量は、トナー全量を100質量部とした場合に、20質量部以下が好ましく、15質量部がより好ましい。
(外添剤)
正帯電性トナーは、トナーの流動性、保存安定性、クリーニング性等を改良する目的で外添剤を表面に付着させてもよい。
外添剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来からトナー用に使用されている外添剤から適宜選択できる。好適な外添剤の具体例としては、シリカや、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の金属酸化物が挙げられる。これらの外添剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
外添剤の粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、典型的には0.01〜1.0μmが好ましい。
外添剤の体積固有の抵抗値は、外添剤の表面に酸化スズ及び酸化アンチモンからなる被覆層を形成し、被覆層の厚さや、酸化スズと酸化アンチモンとの比率を変えることにより調整できる。
外添剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。外添剤の使用量は、典型的には、外添剤により処理する前のトナー粒子100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。かかる範囲の量で外添剤を使用する場合、流動性、保存安定性、クリーニング性に優れるトナーを得やすい。
(正帯電性トナーの調製方法)
正帯電性トナーの調製方法は、結着樹脂中に、着色剤、電荷制御剤、離型剤、磁性粉等の成分を良好に分散させることができれば特に限定されず、従来知られるトナーの製造方法から適宜選択できる。好適な製造方法としては、例えば、結着樹脂と、着色剤、電荷制御剤、離型剤、磁性粉等の成分とを混合機により混合した後、溶融混練し、得られた混練物を粉砕・分級することにより製造できる。正帯電性トナーの製造に用いる溶融混練装置は特に限定されず、熱可塑性樹脂の溶融混練に使用される装置から適宜選択できる。溶融混練装置の具体例としては、一軸又は二軸の押出機等が挙げられる。粉砕・分級されたトナーの平均粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、一般的には、5〜10μmが好ましい。
このようにして得られるトナーは、必要に応じて、その表面を外添剤により処理してもよい。なお、外添処理される粒子を「トナー母粒子」と称する。外添剤によるトナーの処理方法は特に限定されず、従来知られる外添剤による処理方法から適宜選択できる。具体的には、外添剤の粒子がトナー母粒子に埋め込まれないように処理条件を調整し、ヘンシェルミキサーやナウターミキサー等の混合機によって、トナー母粒子に対する外添剤による処理が行われる。
〔脂肪酸金属塩〕
第1実施形態にかかる静電潜像現像用現像剤は、脂肪酸金属塩として、炭素原子数12〜20の脂肪酸の、亜鉛、カルシウム、及びマグネシウムからなる群から選択される一種以上の金属の塩を含有する。脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸の構造は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、直鎖脂肪酸であっても分岐鎖脂肪酸であってもよく、飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよい。脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸としては、入手が容易であり保存安定性に優れることから、直鎖の飽和脂肪酸がより好ましい。
脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸は炭素原子数12〜20の脂肪酸である。脂肪酸の炭素原子数が過少である場合、脂肪酸金属塩の分子量が小さくなり、単位重量に含まれる脂肪酸金属塩の分子数が増加する。このため、トナーの帯電量が低下したり、逆帯電トナーが発生しやすくなったりする傾向がある。脂肪酸の炭素原子数が過多である場合、潜像担持部表面の摩擦係数の増大の抑制について、所望の効果を得にくい傾向がある。脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸の中では、潜像担持部表面の摩擦係数の増大を良好に抑制でき、逆帯電トナーを発生させにくいことから、炭素原子数18の直鎖の飽和脂肪酸であるステアリン酸が好ましい。
また、現像剤に含まれる脂肪酸金属塩は、体積平均粒子径が2〜12μmである。第1実施形態にかかる画面形成方法に用いる現像剤において、かかる粒子径の、トナーと近いサイズの脂肪酸金属塩を用いる場合、脂肪酸金属塩はトナー表面に殆ど付着しない。このため、現像剤中で脂肪酸金属塩の大部分はトナーから遊離しており、トナーとともに、好適な量の脂肪酸金属塩を潜像担持部表面に供給でき、潜像担持部表面の摩擦係数の増大を抑制しやすい。また、この場合には脂肪酸金属塩はトナー表面に殆ど付着せず、トナーを良好に帯電させることができるため、逆帯電トナーの発生を抑制することによりかぶり等の形成画像における画像不良の発生を抑制できる。
一方、脂肪酸金属塩が微小である場合には、トナー表面に付着する脂肪酸金属塩が多くなり、好適な量の脂肪酸金属塩を潜像担持部表面に供給できなくなるため、潜像担持部表面の摩擦係数が増大しやすい。また、脂肪酸金属塩の粒子が粗大である場合には、トナーと脂肪酸金属塩とを潜像担持部表面に供給する際に、現像部内に、自重によって脂肪酸金属塩が落下しやすくなり、好適な量の脂肪酸金属塩を潜像担持部表面に供給できなくなるため、潜像担持部表面の摩擦係数の増大を抑制しがたい。また、脂肪酸金属塩の粒子が粗大である場合には、トナーとともに脂肪酸金属塩の粗粉が現像部内に落下し、トナーが現像部の外部に飛散しやすい。
脂肪酸金属塩の体積平均粒子径を調整する方法は特に限定されない。具体的には、脂肪酸金属塩を公知の装置により粉砕、及び分級する際に、粉砕工程、及び分級工程の条件を適宜変更することにより、脂肪酸金属塩の体積平均粒子径を調整することができる。体積平均粒子径を調整された脂肪酸金属塩の調製には、粉砕装置として例えば気流式粉砕装置を使用でき、分級装置として例えば気流式分級装置を使用できる。
脂肪酸金属塩の中では、高温高湿環境下で印字を行う場合のかぶりの発生を抑制しやすいことから、亜鉛塩、又はカルシウム塩がより好ましい。マグネシウム塩を用いる場合、キャリアへの脂肪酸金属塩の付着等の要因により、トナーを所望の帯電量に帯電させにくくなり、高温高湿環境下で印字を行う場合に、かぶりがやや発生しやすい。また、脂肪酸金属塩の中では、潜像担持部表面の摩擦係数の増大を特に抑制しやすいことから、亜鉛塩が特に好ましい。
現像剤に配合できる脂肪酸金属塩の具体例としては、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸カルシウム、ミリスチン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、アラキジン酸亜鉛、アラキジン酸カルシウム、及びアラキジン酸マグネシウム等が挙げられる。
現像剤の脂肪酸金属塩の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、正帯電性トナー100質量部に対して、0.01〜0.5質量部が好ましい。かかる量の脂肪酸金属塩を現像剤に配合することにより、潜像担持部表面の摩擦係数の増大と、逆帯電トナーの発生とを抑制しやすくなる。
〔静電潜像現像用現像剤の調製方法〕
第1実施形態の画像形成方法において用いる静電潜像現像用現像剤の調製方法は、正帯電性トナーと、脂肪酸金属塩とを均一に混合できれば特に限定されない。正帯電性トナーと、脂肪酸金属塩とを混合する方法としては、ヘンシェルミキサー等の混合装置を用いる方法が挙げられる。
正帯電性トナー表面への脂肪酸金属塩の微粉の付着を抑制できる点からは、外添剤が表面に付着しているトナーと、脂肪酸金属塩とを混合する方法が、現像剤の調製方法として好ましい。また、外添処理と、脂肪酸金属塩、及びトナーの混合とを同時にでき、現像剤の調製操作を簡略化できる点からは、トナー母粒子の表面に前述の外添剤を付着させる際に、混合装置に外添剤とともに脂肪酸金属塩を加える方法も、現像剤の調製方法として好ましい。
〔キャリア〕
第1実施形態の画像形成方法において用いる静電荷像現像用現像剤は、正帯電性トナー、及び脂肪酸金属塩に加え、所望のキャリアを混合して3成分現像剤として使用することもできる。かかる3成分現像剤は、静電潜像の現像に広く利用されているトナーとキャリアとからなる2成分現像剤と同様に扱うことができる。3成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いるのが好ましい。
現像剤を3成分現像剤とする場合の好適なキャリアとしては、キャリア芯材が樹脂により被覆されたものが挙げられる。キャリア芯材の具体例としては、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、コバルト等の粒子や、これらの材料とマンガン、亜鉛、アルミニウム等との合金の粒子、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金等の粒子、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、ニオブ酸リチウム等のセラミックスの粒子、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、ロッシェル塩等の高誘電率物質の粒子、樹脂中に上記磁性粒子を分散させた樹脂キャリア等が挙げられる。
キャリア芯材を被覆する樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、アミノ樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を組み合わせて使用できる。
キャリアの粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、電子顕微鏡により測定される粒子径で、20〜120μmが好ましく、25〜80μmがより好ましい。
キャリアの見掛け密度は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。見掛け密度は、キャリアの組成や表面構造によって異なるが、典型的には、2000〜2500kg/mが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーを3成分現像剤として用いる場合、トナーと脂肪酸金属塩との含有量の合計量は、3成分現像剤の質量に対して、3〜20質量%が好ましく、5〜15質量%が好ましい。3成分現像剤におけるトナーと脂肪酸金属塩との含有量の合計量をかかる範囲とすることにより、適度な形成画像における画像濃度を維持し、トナー飛散の抑制によって画像形成装置内部の汚染や転写紙等へのトナーの付着を抑制できる。
現像剤がキャリアを含む場合、正帯電性トナーとキャリアとの混合物に、脂肪酸金属塩を混合してもよく、正帯電性トナーと脂肪酸金属塩とが混合された現像剤に、さらにキャリアを混合してもよい。
カラープリンター1は、以上のような画像形成動作により静電潜像現像用現像剤を用いて、用紙P上に画像形成を行う。そして、上記の構成のタンデム方式の画像形成装置により、第1実施形態において示した現像を行う場合、画像形成装置が弾性ブレード81と、導電性基体上に少なくともアモルファスシリコンからなる感光層が形成されている潜像担持部37とを備えていても、連続して画像形成する際の潜像担持部表面の摩擦係数の増大を抑制することにより弾性ブレード81の巻き上がりや転写不良による中抜けの発生を抑制し、逆帯電トナーの発生を抑制することによりかぶり等の形成画像における画像不良の発生を抑制できる。
[第2実施形態]
本発明の、第2実施形態は、第1実施形態にかかる画像形成方法において好適に使用できる画像形成装置に関する。以下、本発明の第2実施形態にかかる画像形成装置について説明する。
本発明の第2実施形態にかかる画像形成装置は、
アモルファスシリコンからなる感光層を有する潜像担持部と、
潜像担持部の表面を帯電するための帯電部と、
帯電された潜像担持部の表面を露光して潜像担持部の表面に静電潜像を形成するための露光部と、
静電潜像をトナー像として現像するための現像部と、
トナー像を潜像担持部から被記録媒体へ転写するための転写部と、
弾性ブレードを有するクリーニング部と、を備える画像形成装置であって、
さらに、前記潜像担持部周面において、前記潜像担持部の回転方向における、前記転写部よりも下流側、且つ前記クリーニング部よりも上流側に、前記潜像担持部に接するように設けられた、正電圧が印加される塗布ブラシを備える画像形成装置である。
本発明の第2実施形態にかかる画像形成装置における、潜像担持部、帯電部、露光部、現像部、転写部、クリーニング部、及び塗布ブラシは、上記した第1実施形態にかかる画像形成方法において用いる画像形成装置と同様である。
第2実施形態にかかる画像形成装置によれば、従来使用されている現像剤によっても画像形成可能であるが、現像剤として、正帯電性トナーと、体積平均粒子径が2〜12μmである、炭素原子数12〜20の脂肪酸の、亜鉛塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩からなる群より選択される一種以上の金属塩とを含む現像剤を用いて画像形成する場合に、特に優れた効果を得られる。
具体的には、第2実施形態にかかる画像形成装置は上記の構成を備えるため、正帯電性トナーと所定の粒子径を有する特定の種類の脂肪酸金属塩とを含む現像剤を用いて画像を形成する場合、潜像担持部表面の摩擦係数の増大と逆帯電トナーの発生とを抑制することができる。
また、第2実施形態にかかる画像形成装置によれば、上述の正帯電性トナーと脂肪酸金属塩とを含む現像剤を用いる場合に、正電圧を印加した塗布ブラシのみにより、潜像担持部の表面における摩擦係数の増大を抑制できる。このため、第2実施形態にかかる画像形成装置では、画像形成装置を小型化でき、画像形成装置の製造コストを低減することができる。このような効果は、複数の画像形成ユニットを有するタンデム方式のカラー画像形成装置においてより顕著に得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
〔調製例1〕
(脂肪酸金属塩粒子の調製)
ステアリン酸亜鉛(II)(SZ−TF(堺化学株式会社製)、体積平均粒子径18μm)、又はステアリン酸カルシウム(カルシウムステアレートFI(日油株式会社製)、体積平均粒子径12.5μm)を、ジェットミル(超音速ジェットミルI型(日本ニューマチック工業株式会社製))により粉砕し、得られた粉砕品をエルボージェット(EJ−LABO型(日鉄工業株式会社製))により分級した。粉砕、及び分級条件を適宜調整し、表1に記載の脂肪酸金属塩A〜Fを調製した。脂肪酸金属塩A〜Fについて、粒度分布測定装置(マルチサイザー3(ベックマンコールター社製))により、粒度分布を測定し、体積平均粒径、粒径3μm以下の粒子の含有量(体積%)、及び粒径10μm以上の粒子の含有量(体積%)を求めた。脂肪酸金属塩A〜Fの、体積平均粒子径、粒径3μm以下の粒子の含有量(体積%)、及び粒径10μm以上の粒子の含有量(体積%)を表1に記す。
Figure 2013061571
〔実施例1〕
(正帯電性トナーの調製)
結着樹脂(ポリエステル樹脂、タフトンNE−7200(花王株式会社製)100質量部、離型剤(カルナバワックス、C1(加藤洋行株式会社製))5.5質量部、着色剤(カーボンブラック、MA100(三菱化学株式会社製))4質量部、及び正帯電性電荷制御剤(四級アンモニウム塩モノマー共重合体、FCA201PS(藤倉化成株式会社製)5.0部を、ヘンシェルミキサー(日本コークス株式会社製)にて2400rpmで混合した。得られた混合物を、二軸押出機(PCM−30(株式会社池貝製))にて、材料投入量5kg/h、軸回転数160rpm、設定温度範囲100〜130℃で溶融混練した。溶融混練物を冷却した後、ロートプレックスミル(8/16型(株式会社東亜器械製作所製))で粗粉砕した後、ジェットミル(超音波ジェットミルI型(日本ニューマチック工業株式会社製))で微粉砕し、得られた微粉砕品をエルボージェット(EJ−LABO型(日鉄工業株式会社製))で分級し、体積平均粒子径6.8μm、粒子径4μm以下の粒子の含有量を5個数%、粒子径10μm以上の粒子の含有量を12体積%としたトナー母粒子を得た。
得られたトナー母粒子100質量部に対して、疎水性シリカ微粒子(RA−200H(日本アエロジル株式会社製)1質量部と、酸化チタン微粒子(ST−100(チタン工業株式会社製))0.5質量部と、脂肪酸金属塩A0.02質量部とを加え、ヘンシェルミキサー(FM−20B(日本コークス株式会社製))にて4分間混合して、トナーと脂肪酸金属塩との混合物を得た。
キャリア(被覆剤:フッ素樹脂、体積固有抵抗:10Ωcm、飽和磁化:70emu/g、平均粒子径35μm、Cu−Zn系フェライトキャリア(パウダーテック株式会社製))に対して、得られたトナーと脂肪酸金属塩との混合物を現像剤中の含有量が12質量%となるように配合し、ボールミルにより30分間混合して3成分現像剤を調製した。
得られた3成分現像剤と、トナーと脂肪酸金属塩Aとからなる混合物を用いて、下記方法に従って、印字濃度2%にて1万枚印字する耐久性試験を行い、耐久性試験後の、形成画像の画像濃度、形成画像のかぶり、潜像担持部表面の摩擦係数、トナーの帯電量、及び逆帯電トナー量と、耐久試験中に現像部内に落下した落下トナー量と、耐久試験中の転写効率とを評価した。実施例1の現像剤の評価結果を表2に記す。
<耐久性試験>
導電性基体上にアモルファスシリコンからなる感光層が形成されている潜像担持部と、弾性ブレードを有するクリーニング部とを備える画像形成装置である複合機(TASKalfa500ci(京セラミタ株式会社製))に、潜像担持部周面において、潜像担持部の回転方向における、転写部よりも下流側、且つクリーニング部よりも上流側に回転軸とブラシ毛とからなる塗布ブラシをさらに設置する。その複合機の黒色用現像部に、3成分現像剤をインストールし、トナーと脂肪酸金属塩Aとからなる混合物を黒色トナー用のトナーカートリッジに充填した。現像スリーブとマグネットロールとの間の電圧(ΔV)を250Vに設定し、マグネットロールに印加する交流電圧(Vpp)を2.0kVに設定して、印字率2%にて1万枚連続して印字を行った。塗布ブラシは、外形5mmの回転軸に、毛体長さ3.5mm、繊維太さ1デニール、体積抵抗10Ω・cmの導電性ナイロン繊維を、ブラシ毛として、50万本/インチの密度で植毛したものを用いた。塗布ブラシは、侵入量1.5mmでブラシ毛が潜像担持部に圧接する位置に配置した。また、塗布ブラシには+100Vの電圧を印加し、画像形成装置の駆動時には、塗布ブラシを潜像担持部の回転方向と逆方向に周速50mm/秒の速度で回転させた。
(画像濃度)
耐久性試験における1万枚連続印字後に、ベタ画像を含む評価用のサンプル画像を印字し、ベタ画像内の任意の10点において、画像濃度計(スペクトロアイ(グレタグマクベス社製))により画像濃度を測定した。10点の画像濃度の平均値を、画像濃度の値とした。画像濃度1.2以上を○と判定し、1.2未満を×と判定した。
(かぶり)
画像濃度の評価に用いたサンプル画像の非印字部の任意の3点の画像濃度を、画像濃度計(スペクトロアイ(グレタグマクベス社製))により測定した。また、未印字の用紙の画像濃度を測定した。サンプル画像の非印字部の3点の画像濃度のうち、最も高い画像濃度の値から、未印字の用紙の画像濃度を差し引いた値を、かぶり濃度の値とした。かぶり濃度0.005以下を○と判定し、0.005超を×と判定した。
(潜像担持部表面の摩擦係数)
潜像担持部(感光体ドラム)表面と、ワイピングクロス(キムワイプ200S(日本製紙クレシア株式会社製))との間の動摩擦係数を、オートグラフ(株式会社島津製作所製)と摩擦係数測定用の専用治具とを用いて、JIS7125に準拠して測定した。なお、動摩擦係数の測定は、216gの重錘を用いて行った。また、耐久性試験前の潜像担持部表面の動摩擦係数は0.18であった。耐久性試験後の動摩擦係数が0.50以下を○と判定し、0.50超を×と判定した。
(現像部内の落下トナー量)
耐久性試験後に、現像部内部に落下しているトナーを回収し、その質量を測定した。落下トナー量100mg以下を○と判定し、100mg超を×と判定した。
(トナーの帯電量)
耐久性試験後に現像スリーブ表面から採取したトナーの帯電量を、QMメータ(TREK社製、MODEL 210HS−1)により測定した。帯電量12〜27μC/gを○と判定し、12μC/g未満、又は27μC/g超を×と判定した。
(転写効率)
耐久性試験後にクリーニング部に回収された回収トナー量を測定した。耐久性試験により消費されたトナー量から、回収トナー量と落下トナー量とを差し引いた値を、転写されたトナー量とした。転写されたトナー量の、消費されたトナー量に対する比率を転写効率(質量%)とした。転写効率90質量%以上を○と判定し、90質量%未満を×と判定した。
(逆帯電トナー量)
耐久性試験後に現像ローラー表面から採取したトナーをイースパートアナライザ(EST−III型(ホソカワミクロン株式会社製))に投入して、トナー中の逆帯電トナー量(質量%)を測定した。逆帯電トナー量が1質量%以下を○と判定し、1質量%超を×と判定した。
〔実施例2〕
脂肪酸金属塩Aを、脂肪酸金属塩B(ステアリン酸亜鉛)に変更することの他は、実施例1と同様にして3成分現像剤を調製した。得られた3成分現像剤と、トナーと脂肪酸金属塩Bとの混合物を用いて、実施例1と同様にして、耐久性試験後の、形成画像の画像濃度、形成画像のかぶり、潜像担持部表面の摩擦係数、トナーの帯電量、及び逆帯電トナー量と、耐久試験中に現像部内に落下した落下トナー量と、耐久試験中の転写効率とを評価した。実施例2の現像剤の評価結果を表2に記す。
〔実施例3〕
脂肪酸金属塩Aを、脂肪酸金属塩C(ステアリン酸亜鉛)に変更することの他は、実施例1と同様にして3成分現像剤を調製した。得られた3成分現像剤と、トナーと脂肪酸金属塩Cとの混合物を用いて、実施例1と同様にして、耐久性試験後の、形成画像の画像濃度、形成画像のかぶり、潜像担持部表面の摩擦係数、トナーの帯電量、及び逆帯電トナー量と、耐久試験中に現像部内に落下した落下トナー量と、耐久試験中の転写効率とを評価した。実施例3の現像剤の評価結果を表2に記す。
〔実施例4〕
脂肪酸金属塩Aを、脂肪酸金属塩D(ステアリン酸カルシウム)に変更することの他は、実施例1と同様にして3成分現像剤を調製した。得られた3成分現像剤と、トナーと脂肪酸金属塩Dとの混合物を用いて、実施例1と同様にして、耐久性試験後の、形成画像の画像濃度、形成画像のかぶり、潜像担持部表面の摩擦係数、トナーの帯電量、及び逆帯電トナー量と、耐久試験中に現像部内に落下した落下トナー量と、耐久試験中の転写効率とを評価した。実施例4の現像剤の評価結果を表2に記す。
〔比較例1〕
脂肪酸金属塩Aを、脂肪酸金属塩E(ステアリン酸亜鉛)に変更することの他は、実施例1と同様にして3成分現像剤を調製した。得られた3成分現像剤と、トナーと脂肪酸金属塩Eとの混合物を用いて、実施例1と同様にして、耐久性試験後の、形成画像の画像濃度、形成画像のかぶり、潜像担持部表面の摩擦係数、トナーの帯電量、及び逆帯電トナー量と、耐久試験中に現像部内に落下した落下トナー量と、耐久試験中の転写効率とを評価した。比較例1の現像剤の評価結果を表2に記す。
〔比較例2〕
脂肪酸金属塩Aを、脂肪酸金属塩F(ステアリン酸亜鉛)に変更することの他は、実施例1と同様にして3成分現像剤を調製した。得られた3成分現像剤と、トナーと脂肪酸金属塩Fとの混合物を用いて、実施例1と同様にして、耐久性試験後の、形成画像の画像濃度、形成画像のかぶり、潜像担持部表面の摩擦係数、トナーの帯電量、及び逆帯電トナー量と、耐久試験中に現像部内に落下した落下トナー量と、耐久試験中の転写効率とを評価した。比較例2の現像剤の評価結果を表2に記す。なお、比較例2の現像剤を用いる耐久性試験では、約8000枚印字した時点で弾性ブレードの巻き上がりが発生した。このため、耐久性試験は、途中で弾性ブレードを交換して実施した。
〔比較例3〕
実施例1と同様にして3成分現像剤を調製した。得られた3成分現像剤と、トナーと脂肪酸金属塩Aとの混合物を用いて、塗布ブラシに印加する電圧を0V(接地電圧)に変更することの他は実施例1と同様にして、耐久性試験後の、形成画像の画像濃度、形成画像のかぶり、潜像担持部表面の摩擦係数、トナーの帯電量、及び逆帯電トナー量と、耐久試験中に現像部内に落下した落下トナー量と、耐久試験中の転写効率とを評価した。比較例3の現像剤の評価結果を表2に記す。なお、比較例3の現像剤を用いる耐久性試験では、約8000枚印字した時点で弾性ブレードの巻き上がりが発生した。このため、耐久性試験は、途中で弾性ブレードを交換して実施した。
〔比較例4〕
実施例1と同様にして3成分現像剤を調製した。得られた3成分現像剤と、トナーと脂肪酸金属塩Aとの混合物を用いて、複合機から塗布ブラシを取り除くことの他は実施例1と同様にして、耐久性試験後の、形成画像の画像濃度、形成画像のかぶり、潜像担持部表面の摩擦係数、トナーの帯電量、及び逆帯電トナー量と、耐久試験中に現像部内に落下した落下トナー量と、耐久試験中の転写効率とを評価した。比較例4の現像剤の評価結果を表2に記す。なお、比較例4の現像剤を用いる耐久性試験では、約8000枚印字した時点で弾性ブレードの巻き上がりが発生した。このため、耐久性試験は、途中で弾性ブレードを交換して実施した。
Figure 2013061571
実施例1〜4によると、アモルファスシリコンからなる感光層を備える潜像担持部と、弾性ブレードを備えるクリーニング部とを組み合わせて備える画像形成装置であって、前述した潜像担持部の回転方向において、前記転写部よりも下流側、前記クリーニング部よりも上流側に設けられた、正電圧が印加される塗布ブラシをさらに備える画像形成装置において、正帯電性トナーと、体積平均粒子径が2〜12μmである脂肪酸金属塩とを含む静電潜像現像用現像剤を用いれば、連続して画像形成する際の潜像担持部表面の摩擦係数の増大を抑制することができることが分かる。このため、実施例1〜4では、弾性ブレードの巻き上がりや転写不良による中抜けの発生を抑制し、逆帯電トナーの発生を抑制することによりかぶり等の形成画像における画像不良の発生を抑制できることが分かる。
比較例1の現像剤は、体積平均粒子径が1.5μmの脂肪酸金属塩Eを用いているため、脂肪酸金属塩の微粒子がトナーに付着しやすい。このため、比較例1の現像剤では、潜像担持部表面に脂肪酸金属塩が適当に供給されにくく、耐久性試験により潜像担持部表面の動摩擦係数が増大している。このため、比較例1の現像剤では、潜像担持部表面からトナーが剥離しにくくなり耐久性試験中の転写効率が低下している。また、比較例1の現像剤では、逆帯電トナーが多量に生成するため、耐久性試験後に形成画像におけるかぶりが発生している。
比較例2の現像剤は、体積平均粒子径が13.6μmであるの粒子径の大きな脂肪酸金属塩Fを用いている。このため、比較例2では、脂肪酸金属塩が自重により現像部内に落下しやすく、動摩擦係数の増大を抑制するために十分な量の脂肪酸金属塩が、潜像担持部表面に供給されにくい。実際、比較例2では、耐久性試験後に潜像担持部表面の動摩擦係数が増大している。このため、比較例2の現像剤では、比較例1と同様に耐久性試験中の転写効率が低下している。
比較例3では、実施例1と同様に、脂肪酸金属塩Aを含んだ現像剤を用いているが、塗布ブラシに正電圧が印加されていない。よって、比較例3では、潜像担持部表面において局在している脂肪酸金属塩と、転写されなかったトナーに付着する脂肪酸金属塩とは、塗布ブラシ上に良好に回収されない。このため、潜像担持部表面に局在する脂肪酸金属塩は、塗布ブラシにより潜像担持部表面にある程度押し広げられはするものの、潜像担持部表面に均一に塗布されにくい。よって、比較例3では、潜像担持部表面における脂肪酸金属塩の局在が十分に解消されず、潜像担持部表面の動摩擦係数が増大しやすい。このため、比較例3では、弾性ブレードの巻き上がりと、転写効率の低下とが発生している。
比較例4では、実施例1と同様に、脂肪酸金属塩Aを含んだ現像剤を用いているが、複合機から塗布ブラシが取り除かれている。このため、潜像担持部表面において脂肪酸金属塩の局在化が解消されないため、動摩擦係数が増大し、それによって弾性ブレードの巻き上がりと、転写効率の低下とが発生している。
1 カラープリンター
1a 機器本体
2 給紙部
3 転写部
37 潜像担持部
38 露光部
39 帯電部
4 定着部
6 搬送ローラー
5 排紙部
7 画像形成ユニット
71 現像部
8 クリーニング部
81 弾性ブレード
P 用紙
9 塗布ブラシ
91 回転軸
92 ブラシ毛

Claims (4)

  1. アモルファスシリコンからなる感光層を有する潜像担持部と、
    前記潜像担持部の表面を帯電するための帯電部と、
    帯電された前記潜像担持部の表面を露光して前記潜像担持部の表面に静電潜像を形成するための露光部と、
    前記静電潜像をトナー像として現像するための現像部と、
    前記トナー像を前記潜像担持部から被記録媒体へ転写するための転写部と、
    弾性ブレードを有するクリーニング部と、を備える画像形成装置による画像形成方法であって、
    前記画像形成装置が、さらに、前記潜像担持部周面において、前記潜像担持部の回転方向における、前記転写部よりも下流側、且つ前記クリーニング部よりも上流側に、前記潜像担持部に接するように設けられた、正電圧が印加される塗布ブラシを備え、
    正帯電性トナーと、体積平均粒子径が2〜12μmである、炭素原子数12〜20の脂肪酸の、亜鉛塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩からなる群より選択される一種以上の金属塩、を含む静電潜像現像用現像剤を用いて画像形成する、画像形成方法。
  2. 前記脂肪酸金属塩が、ステアリン酸の金属塩である、請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記静電潜像現像用現像剤における、前記脂肪酸金属塩の含有量が、前記正帯電性トナー100質量部に対して、0.01〜0.5質量部である、請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  4. アモルファスシリコンからなる感光層を有する潜像担持部と、
    前記潜像担持部の表面を帯電するための帯電部と、
    帯電された前記潜像担持部の表面を露光して前記潜像担持部の表面に静電潜像を形成するための露光部と、
    前記静電潜像をトナー像として現像するための現像部と、
    前記トナー像を前記潜像担持部から被記録媒体へ転写するための転写部と、
    弾性ブレードを有するクリーニング部と、を備える画像形成装置であって、
    前記現像部より、前記潜像担持部周面において、前記潜像担持部の回転方向における、前記転写部よりも下流側、且つ前記クリーニング部よりも上流側に、前記潜像担持部に接するように設けられた、正電圧が印加される塗布ブラシを備える画像形成装置。
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