JPH0581827A - 複数チヤンネル磁気記録再生方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 パイロット信号を用いたトラッキング方式で
も編集時の編集精度を著しく向上することができる複数
チャンネル磁気記録再生方法を提供する。 【構成】 １トラック上に複数個のトラッキング用パイ
ロット信号記録領域２１，２２があり、トラック上のパ
イロット信号記録領域の位置に従い異なるチャンネルの
ヘッドを用いてパイロット信号を検出してトラッキング
制御を行う。 【効果】 インサート編集時において、パイロット信号
記録領域のトラック上での位置により、パイロット信号
を検出してトラッキング制御を行うヘッドをうまく選択
することによって、複数のヘッド間にトラック上での位
置のズレがある場合に、記録電流のクロストークにより
パイロット信号が検出できないという欠点を回避でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は画像、音声、データ等を
テープに記録再生する磁気記録再生方法に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】ビデオテープレコーダ（以後、ＶＴＲと
略す）など磁気テープを媒体とした磁気記録再生装置が
実用化され普及している。また、より一層の高密度記録
による装置の小型化、ディジタル化の開発が各社で行わ
れている。このように記録密度を上げ、互換性を確保す
るためには、ヘッドとトラックの正確なトラッキングを
行うことが重要であり、記録時にパイロット信号を多重
し、再生時にはこのパイロット信号を用いてトラッキン
グをとるＡＴＦ方式と呼ばれるトラッキング制御法を採
用したＶＴＲが実用化されている。また、ディジタル・
オーディオ・テープレコーダ（以後ＤＡＴと略す）では
トラックの一部に専用に設けられたＡＴＦ領域にパイロ
ット信号を記録している。以下図面を参照しながら、上
記した従来の磁気記録再生方法の一例について説明す
る。

【０００３】（図５）は従来の磁気記録再生方法のトラ
ッキング制御の原理を示すものである。（図５）におい
て、１は回転シリンダ（図示せず）にとりつけられたヘ
ッド、２ａ，２ｂ，２ｃはぞれぞれテープ８上に形成さ
れたトラックである。３ａ，３ｂは帯域通過フィルタ、
４ａ，４ｂはＡＭ検波回路、５は差分回路、６はキャプ
スタン制御回路でありキャプスタンモータ７を制御す
る。９はテープ８を巻きとるリールである。

【０００４】まず、記録時には回転シリンダに取り付け
られたヘッド１によってテープ８上に斜めの記録トラッ
クが順次形成される。このとき、ヘッド１には記録され
る情報信号の他にトラッキング用のパイロット信号が周
波数多重されている。この場合は、異なる周波数ｆ１，
ｆ２で記録された２種類のパイロット信号Ｐ１，Ｐ２が
トラック１本おきに交互に記録されている場合を示して
いる。このパイロット信号は一般に、情報信号と干渉し
ない低周波の１〜４種類の周波数が選ばれ、順次切り換
えられて記録される。

【０００５】このように形成されたトラックを再生時に
如何にしてトラッキングをとるかを以下に示す。今、再
生しようとするトラック２ａ上をヘッド１が通過すると
き、ヘッド１には情報信号の他に、隣接するトラック２
ｂ，２ｃからのパイロット成分ｆ１，ｆ２が誘起される
ので、それらの量を比較することによってヘッドと希望
するトラックとの相対位置関係を知ることができる。す
なわち、帯域通過フィルタ３ａ，３ｂにより検出された
ｆ１，ｆ２成分はそれぞれ、ＡＭ検波回路４ａ，４ｂに
よってそのレベルに応じた直流成分に変換され、差分回
路５によって比較される。差分回路５の出力はヘッド１
と再生されようとしているトラック２ａとの相対位置誤
差、すなわちトラッキング誤差となっている。このトラ
ッキング誤差はキャプスタン制御回路６に加えられキャ
プスタンモータ７を動かして、ヘッド１がトラック２ａ
の真ん中にくるように、テープの送りを制御する。９は
テープ８を適当なテンションでもって巻きとるリールで
ある（例えば、特開平２−５９５３８号公報）。

【０００６】記録済みテープの情報信号を別の情報信号
に書き換える時の動作（以下、インサート編集時と略
す）については、書き換える時点でモードを再生から記
録に切り換えて重ね書きを行い、記録済みの情報信号を
消去すると同時に新たな情報信号を記録していく。

【０００７】ここで、インサート編集時においても正確
なトラッキングを行うためには、トラック上にＡＴＦ専
用領域を設ける方法がある。（図６）にＡＴＦ領域を設
けた場合のトラックの構成図を示す。この場合、トラッ
ク６２ａ上の領域６５ａに記録されている情報信号を別
の情報信号に書き換えるときには、ヘッド６１ａがＡＴ
Ｆ領域６３ａと６４ａを通過するときにモードを再生モ
ードとし、その隣接トラックから検出されるパイロット
成分ｆ１，ｆ２を用いてトラッキングをとる。ヘッド６
１ａが領域６５ａを通過するときにはモードを再生モー
ドから記録モードに切り替えて重ね書きを行い、記録済
みの情報信号を消去するとともに同時に新たな情報信号
を記録していく。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うな方法では、複数チャンネルのヘッドを用いて記録再
生する装置において、複数のヘッド間にトラック上での
位置のズレがある場合、トラッキングをとるチャンネル
のヘッドがトラックの終端にあるＡＴＦ領域を通過して
いる間に他のチャンネルのヘッドは情報信号が記録され
ている領域を通過している時間がある（先行するヘッド
でトラッキングをとる場合）。つまり、トラッキングを
とるチャンネルのヘッドは再生モードとし、他のチャン
ネルのヘッドは情報信号を書き換えるために記録モード
としなければならないタイミングが生じる。このとき、
回転シリンダにおけるローターリートランスの構成上、
チャンネルごとにヘッドを再生モードと記録モードを切
り換えることは実質的に不可能である。これは、記録時
に流れる電流が数十ｍＡのオーダーであるのに対し再生
時に流れる電流は数μＡのオーダーであり、記録電流の
クロストークにより再生信号を検出することはできな
い。すなわちこの例では、トラッキング制御を行うこと
はできない。

【０００９】本発明では、このような課題を解決し、イ
ンサート編集時においてもトラッキング精度に優れた複
数チャンネル磁気記録再生方法を提供することを目的と
する。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の複数チャンネル磁気記録再生方法は、複数チ
ャンネルのヘッドにより書かれる複数本のトラックには
１トラック上にそれぞれ複数個のトラッキング用パイロ
ット信号記録領域があり、再生時にはトラック上の前記
パイロット信号記録領域の位置に従い異なるチャンネル
のヘッドを用いてパイロット信号を検出して、トラッキ
ング制御を行うことを特徴とするものである。

【００１１】

【作用】本発明によれば、インサート編集時においても
全てのパイロット信号記録領域でＡＴＦ信号を検出する
ことができるのでオフトラック量を小さくすることがで
き、編集精度を格段に向上することができる。

【００１２】

【実施例】以下本発明の一実施例について図面を参照し
ながら説明する。

【００１３】（図１）は本発明の一実施例における複数
チャンネル磁気記録再生方法のインサート編集時の動作
原理を示す構成図である。（図４）ははシリンダ上のヘ
ッド１ａ，１ｂの配置図であり、この場合２チャンネル
で記録再生される例である。（図１）において、１１は
検出手段、１２はタイミング生成回路、１３，１４は切
り替えスイッチ、２０ａ，２０ｂは編集しようとするト
ラックの対、２０ｃ，２０ｄはトラック２０ａ，２０ｂ
に隣接するトラックの対である。ここで従来例と同じも
のは同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。

【００１４】（図２）は（図１）に示した各トラックの
構成を示す図であり、領域２１は第１のパイロット信号
記録領域、領域２２は第２のパイロット信号記録領域、
領域２３は情報信号記録領域であり、一つのトラックの
第１のパイロット信号記録領域２１の一部または全部に
位置決め信号２４が記録されている。第１のパイロット
信号記録領域２１，第２のパイロット信号記録領域２２
にはトラッキング用パイロット信号が順次、周波数多重
されており、このパイロット信号は本実施例において上
述した従来例と同様、１トラックおきに、異なる２種類
の周波数ｆ１，ｆ２で交互に記録されている。ただし、
（図２）に示すように、第２のパイロット信号記録領域
に記録されるパイロット信号の種類は、第１のパイロッ
ト信号記録領域に記録されるパイロット信号と異なる並
び、この例では１トラックずらして記録されている。

【００１５】（図３）は第１のパイロット信号記録領域
上の位置決め信号２４が記録されている部位における記
録スペクトラムを示している。（図３）に示すように、
異なる２種類のパイロット信号の周波数ｆ１，ｆ２はヘ
ッドのアジマスロスの影響を受けにくい比較的低い周波
数が、また位置決め信号は隣のトラックの影響を受けに
くい比較的高い周波数が選ばれる。

【００１６】このように形成されたトラックにおいて情
報信号を上から記録し直すインサート編集時には、（図
１）において、トラック２０ａ，２０ｂの先頭の第１の
パイロット信号記録領域２１では（（図２）において、
ヘッドの位置が１ａ−１，１ｂ−１の状態）、まず記録
再生切り替えのためのスイッチ１３は端子１３ｂに接続
され、ヘッド１ａからの信号を受ける再生状態にされ
る。このとき、ヘッド１ａからの出力には、トラック２
０ａの隣の左右のトラックに記録されている、異なるパ
イロット信号成分ｆ１，ｆ２のもれ成分が含まれている
ので、従来例と同様、トラッキング制御手段１０によっ
て、ヘッド１ａと再生しようとするトラック２０ａとの
トラッキングを制御することができる。また、ヘッド１
ｂはヘッド１ａとごく近傍に配置されヘッドの相対位置
関係を確保することができるため、ヘッド１ｂとトラッ
ク２０ｂとのトラッキングも同時に達成することが可能
である。

【００１７】また、ヘッド１ａからの信号はさらに検出
手段１１に入力されて、第１のパイロット信号記録領域
２１内に記録されている位置決め信号２４が検出され
る。位置決め信号２３は単に一定周波数の信号でもかま
わない。この場合にはその周波数に同調したフィルタを
通して検出すれば良い。この検出された位置決め信号は
タイミング生成回路１２にて情報信号記録領域２３の位
置を示すタイミング信号が生成される。情報信号記録領
域の開始位置も終了位置も、また、トラック２０ｂにお
ける情報信号記録開始位置も終了位置も検出位置決め信
号をトリガーとする単安定マルチバイブレータでタイミ
ングをとることが可能である。しかし、さらに精度、信
頼性を上げるためには、位置決め信号として特定パター
ンの同期信号と同期信号の種別順番などを記録した識別
信号を複数回記録してやれば、読み出すことができた同
期信号とその識別信号の対から正確なタイミング信号を
生成することが可能である。

【００１８】このようにしてつくられたタイミング信号
によって、スイッチ１３は端子１３ｂから端子１３ａに
切り替えられ、新たな情報信号がヘッド１ａに加えられ
ると同時に、ヘッド１ｂにもスイッチ１４が１４ｂから
１４ａに切り替えられることにより新たな別の情報信号
が加えられるため、情報信号記録領域２３に記録されて
いる信号は新規の情報信号に書き換えられる。予め、第
１のパイロット信号記録領域のみが記録されていて、情
報信号記録領域を新たに記録する場合でも動作は同一で
ある。情報信号記録領域２３を記録している間は従来と
同様にトラッキング情報は得られないが第１のパイロッ
ト信号記録領域におけるトラッキング情報は得られるた
め、この期間をサンプリングして制御をかけることがで
きる。また、情報信号記録開始・終了位置のタイミング
をとったのと同様にして、トラック２０ｂにおける第２
のパイロット信号記録領域の開始タイミングもとること
ができる。

【００１９】トラック２０ａ，２０ｂの第２のパイロッ
ト信号記録領域では（（図２）においてヘッドの位置が
１ａ−２，１ｂ−２の状態）、スイッチ１４が１４ａか
ら１４ｂに切り替えられ、ヘッド１ｂからの信号により
トラッキング誤差が検出される。そして、このときヘッ
ド１ｂからの出力にはトラック２０ｂの隣の左右のトラ
ックに記録されている、異なるパイロット信号成分ｆ
１，ｆ２のもれ成分が含まれているので、従来例と同
様、トラッキング制御手段１０によってヘッド１ｂと再
生しようとするトラック２０ｂとのトラッキングを制御
することができる。またヘッド１ａは先ほどと同様にヘ
ッド１ｂとごく近傍に配置され、正確に各ヘッドの相対
位置関係を確保することができるため、ヘッド１ａとト
ラック２０ａとのトラッキングも同時に達成することが
可能である。

【００２０】以上のように本実施例によれば、第１のパ
イロット信号記録領域では先行するヘッド１ａでパイロ
ット信号を検出してトラッキング制御を行い、第２のパ
イロット信号記録領域においては遅れている方のヘッド
１ｂでパイロット信号を検出してトラッキング制御を行
っているので、インサート編集時において記録電流のク
ロストークを考慮する必要がなく、どちらのパイロット
信号記録領域でもトラッキング誤差を検出できるので、
簡単な構成でインサート編集精度を向上させることがで
きる。

【００２１】また、トラック前半と後半の２箇所でパイ
ロット信号を検出してトラッキング制御を行っているの
で、ドロップアウトなどで一方の検出信号が欠落しても
トラッキングが確保できる。また、トラックが理想パタ
ーンから多少ずれていても２箇所の検出信号の平均値で
サーボがかかり、オフトラック量を小さくできる。

【００２２】さらに、パイロット信号は異なる複数種類
の周波数の信号が順次切り替えられて記録されている場
合に、第１のパイロット信号記録領域に記録するパイロ
ット信号の種類の順序と比べて、第２のパイロット信号
記録領域に記録するパイロット信号の種類の順序が１つ
だけ遅れる方にずれているならば、トラッキング誤差検
出回路を共用でき、構成が簡単になる。この場合、第１
のパイロット信号記録領域をヘッド１ａが通過するとき
に検出されるパイロット信号と、第２のパイロット信号
記録領域をヘッド１ｂが通過するときに検出されるパイ
ロット信号が同一になり同一の検出回路を使用すること
ができる。

【００２３】なお、本実施例の場合は、１トラック上に
２つのパイロット信号記録領域を設けた場合を示した
が、３つ以上のパイロット信号記録領域を設けた場合に
おいてもその効果は変わらない。例えばパイロット信号
記録領域をトラックの前半，真ん中，後半の３箇所に設
けた場合、情報信号領域は少なくとも２つに分離される
が、編集したい領域によってトラッキングに用いるヘッ
ドのチャンネルを記録電流によるクロストークの影響が
でないように使い分ければよい。具体的には真ん中のパ
イロット信号記録領域では、前半の情報信号記録領域を
編集する場合には後行ヘッドで、後半の情報信号記録領
域を編集する場合には先行ヘッドで誤差を検出すればよ
い。

【００２４】なお、本実施例の場合はトラッキング用パ
イロット信号は２種類の場合を示したが、８ｍｍビデオ
で用いられているような４種類の周波数のパイロット信
号を用いてもよい。また位置決め信号においてもその入
れ方は本実施例に限定されず、ディジタルパターンの一
致を検出するようにしてもかまわない。

【００２５】

【発明の効果】本発明によれば、インサート編集時にお
いても前に記録されたトラックとの位置の整合をとりな
がら情報信号のみを記録することができ、よって編集精
度を向上することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における複数チャンネル磁気
記録再生方法のインサート編集時の動作原理を示す図で
ある。

【図２】本発明の一実施例におけるトラックの構成図で
ある。

【図３】本発明の一実施例において記録トラックに記録
されるパイロット信号と位置決め信号の記録スペクトラ
ムである。

【図４】本発明の一実施例におけるシリンダ上のヘッド
の配置図である。

【図５】従来の磁気記録再生方法のトラッキング制御の
原理図である。

【図６】従来の磁気記録再生方法におけるトラックの構
成図である。

【符号の説明】 １ ヘッド ２０ａ，２０ｂ トラック １０ トラッキング手段 １１ 検出手段 １２ タイミング生成回路 ２１ 第１のパイロット信号記録領域 ２２ 第２のパイロット信号記録領域 ２３ 情報信号記録領域

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数チャンネルのヘッドにより書かれる
   複数本のトラックには１トラック上にぞれぞれ複数個の
   トラッキング用パイロット信号記録領域があり、再生時
   にはトラック上の前記パイロット信号記録領域の位置に
   従い異なるチャンネルのヘッドを用いてパイロット信号
   を検出して、トラッキング制御を行うことを特徴とする
   複数チャンネル磁気記録再生方法。
2. 【請求項２】 １トラック内の複数個のパイロット信号
   記録領域のうち少なくとも１つはトラック前半に設け、
   １つはトラック後半に設けることを特徴とする請求項１
   記載の複数チャンネル磁気記録再生方法。
3. 【請求項３】 複数チャンネルのヘッドのうち、トラッ
   ク前半に設けられたパイロット信号記録領域において
   は、最も先行するヘッドでパイロット信号を検出してト
   ラッキング制御を行い、トラック後半に設けられたパイ
   ロット信号記録領域においては最も遅れているヘッドで
   パイロット信号を検出してトラッキング制御を行うこと
   を特徴とする請求項２記載の複数チャンネル磁気記録再
   生方法。
4. 【請求項４】 パイロット信号記録領域には異なる複数
   種類の周波数のパイロット信号が順次切り換えられて記
   録されており、トラック前半のパイロット信号記録領域
   に記録されるパイロット信号とトラック後半のパイロッ
   ト信号記録領域に記録されるパイロット信号では、その
   記録されるパイロット信号の並びが異なることを特徴と
   する請求項２記載の複数チャンネル磁気記録再生方法。