JPH0577Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は肉厚を薄く形成した自動車用シート
（座席）におけるトリムカバーの吊込構造に関す
る。

（従来の技術とその問題点） 従来の自動車用シートはフレームに張架したＳ
ばねなどのばね部材に、シートの外形形状にモー
ルド成形した発泡体製クツシヨン材を当て、これ
らをトリムカバーで被覆したものであり、そのト
リムカバーはクツシヨン材の表面に密着するよう
に、内側に吊込材を縫着し、この吊込材を前記ク
ツシヨン材内に埋設したインサートワイヤに結着
して吊込んでいた。そして、前記吊込材はトリム
カバーが均一に吊込まれるように、帯状の吊込袋
と、この吊込袋内に挿通した芯線（ワイヤ）とか
ら構成され、その吊込袋の先端は芯線と共に前記
インサートワイヤ、或いはばね部材にホツグリン
グ等で一体に結着している。

ところで、シートの薄型化を図るため、前記ク
ツシヨン材の肉厚を薄くすると、前記クツシヨン
材の肉厚が薄く、しかもインサートワイヤが剛性
を有するため、着座した際にインサートワイヤが
異物感となる不具合がある。

また、肉厚が薄いクツシヨン材を使用してシー
トの薄型化を図るためには、クツシヨン材を支持
する支持部材として布製弾性材を使用するのが好
ましい。これは、支持部材として剛性プレートか
らなるフレームを使用すると、肉薄状クツシヨン
材では、そのクツシヨン性が発揮されず、フレー
ムが底付感となり、シートとして利用できない欠
陥があり、また、支持部材として、Ｓ形スプリン
グを使用すると、Ｓ形スプリングが撓みにより、
シートの薄型化が図れない不具合がある。

そこで、本考案は斯様に薄型化したシートにお
いて、その外面を構成するトリムカバーにおける
吊込個所に異物感が生じないようにすることを目
的とする。

（問題点を解決すべき手段） 斯る目的を達成するため、本考案はばね部材と
して多数の布状弾性材を間隙をあけて並列状にシ
ート内部の固定部材に張架すると共に、その多数
の弾性材に対して直交状に可撓性を有する取付部
材を配設し、且つ、前記弾性材間の間隙に位置す
る前記取付部材にトリムカバーに設けた吊込材の
一端を止着して、トリムカバーを吊込むようにし
たものである。

従つて、取付部材は可撓性を有するため、トリ
ムカバーの吊込個所は乗員が着座した際にその荷
重によつて撓む。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

図示するものは自動車用シートのシートバツク
Ａを示し、その外面を構成するトリムカバー１は
従来この種のシートに使用されている部材で、そ
の身頃部は表皮１１と発泡体（ウレタンフオーム
のスラブ材）ワデイング１２、ワデイングカバー
１３の積層体からなり、図示する額縁部、まち部
及び背裏部は一枚の表皮１１で形成されている。

そして、このトリムカバー１の内側所定個所
に、紐状の吊込材２が複数（図示するものは４
ケ）縫着されている。

以上のトリムカバー１によつて被覆される発泡
体製（ウレタンフオームのモールド加工品）クツ
シヨン材５は、その肉厚が従来品に比べ肉薄状に
形成され、その左右には前記トリムカバー１の額
縁部、まち部によつて被覆される隆起部５ａが形
成されている。

そして、このクツシヨン材５における前記トリ
ムカバー１の内側に設けた吊込材２が対応する位
置には第４図に示すように円形状の通孔５１，５
１……が設けてあり、この通孔５１……に吊込材
２が挿込まれる。

クツシヨン材５は多数の布状弾性材４ａ，４
ｂ，４ｃに支持され、また、この弾性材４ａ，４
ｂ，４ｃはフレーム６にフツク８，８……で架設
されているサポートワイヤ７に間隔をあけて張架
されている。

布状弾性材４ａの一例を示すと、その張設方向
に伸縮する織物で、ポリエステルの燃糸を縦糸
に、弾性力をもつたポリエステル、エラストラー
のモノフイラメントを横糸に平織した織布で、そ
の横糸と縦糸との交点を熱融着して横糸と縦糸が
滑らないように形成したものである。

以上の弾性材４ａ，４ｂ，４ｃ上に、該弾性材
４ａ……の張設方向に対して直交方向に取付部材
３，３′が固着されている。この取付部材３，
３′はＰ，Ｖ，Ｃなどの可撓性を有する合成樹脂
材で、Ｌ字状に形成され、縫着、高周波溶着など
の手段で、各弾性材４ａ，４ｂ，４ｃ間に渉つて
固着されている。

この取付部材３，３′における弾性材４ａ……
に固着されていない部分、即ち、各弾性材４ａ…
…間に位置する取付部材３，３′に、クツシヨン
材５の通孔５１……に挿込まれたトリムカバー１
の吊込材２がホツグリング９などによつて一体に
結着される。

斯して、トリムカバー１の吊込材２はシートの
内部方向に引込まれ、取付部材３に結着されるた
め、トリムカバー１はクツシヨン材５の表面に密
着するように吊込まれる。

第３図は他の実施例を示し、斯る実施例におけ
る取付部材３ａ，３a′は可撓性を有するワイヤ
で、その両端をフレーム６の上、下部に夫々固定
したものであり、この取付部材３ａ，３a′におけ
る各弾性材４ａ，４ｂ，４ｃ間に位置する部分
に、前記実施例と同様にトリムカバー１の吊込材
２を結着することにより、トリムカバー１を吊込
む構造である。

斯様にフレーム６に取付部材３ａ，３a′を固定
すると、各弾性材４ａ……に取付部材３を固着す
る前記実施例に対して取付性が向上するばかり
か、取付部材３ａ，３a′が各弾性材４ａ……を支
持する構造であるため、各弾性材４ａ……の支持
力が増大する。

（効果） 本考案は叙上の如くトリムカバーの吊込材が可
撓性を有する取付部材に止着して、トリムカバー
が吊込まれるので、その吊込個所は乗員が着座し
た場合、その外力が、吊り込み箇所の一部である
可撓性取付部材を押圧するが、この取付部材が撓
み、更に、その近傍の布状弾性材も撓む。そのた
め、肉厚の薄いクツシヨン材を使用して肉厚が薄
いシートを形成しても、トリムカバーの吊込個所
が異物感となることがなく、座り心地が良好とな
る。更に、布状弾性部材間の取付部材にトリムカ
バーの吊込材を止着して吊込むため、吊込個所に
おける取付部材の可撓性が向上し、乗員に異物感
を与えることがない。また、弾性材にトリムカバ
ーの吊込材を結着する必要がないので、弾性材を
損傷することがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の部分断面図、第２図は本考案
に係る吊込構造を示すシートの部分切欠正面図、
第３図は他の実施例の取付部材の取付構造を示す
正面図、第４図は本考案に使用するクツシヨン材
の正面図である。 図中、１はトリムカバー、２は吊込材、３，
３′，３ａ，３a′は取付部材、４ａ，４ｂ，４ｃ
は弾性材を夫々示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 多数の布状弾性材を間隙をあけて並列状にシ
   ート内部の固定部材に張架すると共に該多数の
   弾性材に対して直交状に可撓性を有する取付部
   材を配設し、且つ、多数の弾性材間の間隙に位
   置する前記取付部材に、トリムカバーに設けた
   吊込材の一端を止着して、トリムカバーを吊込
   むトリムカバーの吊込構造。 (2) 前記取付部材は前記弾性材に対して一体又は
   別体に取付けてなる前記実用新案登録請求の範
   囲第１項記載のトリムカバーの吊込構造。