JP4086616B2 - シート構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒステリシスロスの大きい3次元ネットを使用したシート構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用シートは、シートフレームにばね材を取り付け、その上にフォーム材、ロック材あるいは綿等のパッド材を設け、さらにビニールレザー、織布、革等の表皮で上張りされたものが一般的である。
【0003】
一方、車両用シート以外のシートは、フレームに載せたパッド材を表皮で被覆したものや、クッション性を高めるためにばね材をさらに設けたものが一般的である。
【0004】
しかしながら、これらのシートは、肉厚が全体的に厚く、重たくて高価なものが多い。
【0005】
そこで、最近では、軽量で安価な薄型シートも種々提案されており、本願出願人も、軽量でありながらクッション材としての特性(ばね特性、減衰特性等)を十分備えた3次元構造体のネットを使用した薄型シートの開発を行ってきた。
【0006】
図5は、本願出願人らが開発した3次元ネットを使用したシート構造の一例を示しており、特にシートバックの水平断面図を示している。
【0007】
図5に示されるシート構造においては、シートバックフレーム50に張設された3次元ネット52が、表皮材54により選択的に被覆されており、表皮材54は3次元ネット52に縫合されるとともに、3次元ネット52は複数の引張材56により所定の張力が付与されている。
【0008】
この構成は、乗員の背中が当接する部位において、3次元ネット52と表皮材54が一体的に縫合されていることから、この部位の面剛性が高く、3次元ネット52の伸縮は主に中央部(乗員の背中が当接する部位)以外の部分で行われていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、3次元ネットを車両用シートに採用した場合、軽量でありながらクッション材としての特性を備えているものの、面剛性の高い乗り心地とフィット感のある乗り心地を適宜選択できる構造のものはなく、まだまだ改善の余地があった。
【0010】
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、シートバックあるいはシートクッションの表皮に開閉部材を取り付け、この開閉部材を開閉することにより面剛性の高い乗り心地とフィット感のある乗り心地を適宜選択できるシート構造を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうちで請求項1に記載の発明は、シートフレームと、該シートフレームに張設された3次元ネットと、該3次元ネットを選択的に被覆する表皮材とを備え、該表皮材の一部と上記3次元ネットとを開閉部材により連結し、該開閉部材を開閉することにより面剛性を変化させるようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、上記表皮材と上記3次元ネットとの間にクッション材を封入し、該クッション材により振動伝達率を低減させるようにしたことを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項3に記載の発明は、上記表皮材の一部が乗員の背中が当接する部位であることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明にかかるシート構造を備えたシートバック2を示しており、このシートバック2はシートクッション(図示せず)の後部に取り付けられる。また、図2は、車両用シートのフレーム構造を示しており、例えばこのフレーム構造を構成するシートバックフレーム4が図1のシートバック2の内部に設けられている。
【0015】
図2に示されるように、シートバックフレーム4は、所定形状のパイプフレーム6と、このパイプフレーム6に両端が接合された複数のトリム留8とを備えている。
【0016】
また、図1及び図3に示されるように、シートバックフレーム4には3次元ネット(以下、3Dネットと称する)10が張設されており、3Dネット10は、その中央部と両端部と上部(ヘッドレスト部)と下部が革等の表皮材12により選択的に被覆されている。
【0017】
3Dネット10は、立体編物により構成されており、基布の構造を例えば緻密なニット組織やハニカム状(六角形)のメッシュ組織等に形成するとともに、上部層と下部層とを多数のパイルからなるパイル層で結合した3層の立体的なトラス構造を有している。また、上部層と下部層の各糸は、多数の細い糸をよったもので形成する一方、パイル層を構成するパイルの各々は1本の太い糸で形成し立体編物に剛性を付与している。
【0018】
3Dネット10は、その端部が二重に折り込まれ、この折込部10aは弾性材14を介してパイプフレーム6に巻き付けられている。パイプフレーム6の後方に位置する折り返し部10bには引張材16の一端が縫合されており(したがって、両側に位置する折り返し部10bに引張材16の両端が縫合されている)、引張材16は弾性材18を介してトリム留8と当接している。
【0019】
また、折込部10aは表皮材12により被覆されており、表皮材12の内縁部は3Dネット10とともに引張材20の一端に縫合されるとともに、引張材20の他端はトリム留8に係止されている。さらに、表皮材12の外縁部は3Dネット10の折り返し部10bとともに引張材22の一端に縫合されており、引張材22の他端はトリム留8に係止されている。
【0020】
したがって、3Dネット10は、上述した複数の引張材16,20,22により所定の張力が付与されている。
【0021】
また、シートバック2の中央部(乗員の背中が当接する部位)に設けられた表皮材12の上下方向に延びる両側縁部には、開閉部材としてのファスナ24の片側の側縁部が縫合され、ファスナ24の反対側の側縁部は3Dネット10の一部に縫合されている。なお、この表皮材12の上縁部及び下縁部は、図1に示されるように、別の表皮材の縁部とともに3Dネット10に縫合されている。
【0022】
上記構成のシートバック2において、図3(a)に示されるように、ファスナ24を閉じた場合、中央部の表皮材12とこの表皮材12の背後に配設された3Dネット10とが一体化して面剛性が上がり、ファスナ24の外側に位置する3Dネット10のみが伸縮しやすくなる。
【0023】
一方、図3(b)に示されるように、ファスナ24を開くと、中央部の表皮材12の両側縁部と3Dネット10とが分離し、面剛性が低下してフィット感が向上するとともに、荷重に応じて3Dネット10は全体的に伸縮する。
【0024】
すなわち、ファスナ24を表皮材12と3Dネット10との連結手段として使用し、この連結手段を開閉することで個々の乗員に合った調整が可能となる。
【0025】
また、図4に示されるように、ファスナ24を開いて3Dネット10と表皮材12との間にウレタン、3Dネット等のクッション材26を封入することもできる。この場合、クッション材26が存在することで振動伝達率が減少し、シートバック2の前後振動が低減する。
【0026】
さらに、図4(a)に示されるように、ファスナ24を閉じた場合、シートバック2の前後振動を低減させつつ面剛性の高い乗り心地が得られる一方、図4(b)に示されるように、ファスナ24を開くと、シートバック2の前後振動を低減させつつフィット感を向上させることができる。
【0027】
なお、上記実施の形態は、本発明にかかるシート構造をシートバックに適用した場合を説明したが、本発明はシートバックに限定されるものではなく、シートクッションに適用することもできる。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
シートフレームに張設された3次元ネットを表皮材により選択的に被覆するとともに、表皮材の一部と3次元ネットとをファスナにより連結し、ファスナを開閉することにより面剛性を変化させるようにしたので、面剛性の高い乗り心地とフィット感のある乗り心地を適宜選択できるシート構造を提供することができる。
【0029】
また、ファスナを開いて表皮材と3次元ネットとの間にクッション材を封入することにより、振動伝達率を低減させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるシートバックの正面図である。
【図2】 図1のシートバックの内部に設けられるシートバックフレームを有する車両用シートフレーム構造の斜視図である。
【図3】 図1の線A−Aに沿った断面図であり、(a)はファスナを閉じた状態を、(b)はファスナを開いた状態を示している。
【図4】 3Dネットと表皮材との間にクッション材を封入した場合の図1の線A−Aに沿った断面図であり、(a)はファスナを閉じた状態を、(b)はファスナを開いた状態を示している。
【図5】 従来のシートバックの水平断面図である。
【符号の説明】
2 シートバック、
4 シートバックフレーム、
6 パイプフレーム、
8 トリム留、
10 3次元ネット、
10a 3次元ネットの折込部
10b 3次元ネットの折り返し部
12 表皮材、
14,18 弾性材、
16,20,22 引張材、
24 ファスナ、
26 クッション材。

Claims (3)

  1. シートフレームと、該シートフレームに張設された3次元ネットと、該3次元ネットを選択的に被覆する表皮材とを備え、該表皮材の一部と上記3次元ネットとを開閉部材により連結し、該開閉部材を開閉することにより面剛性を変化させるようにしたことを特徴とするシート構造。
  2. 上記表皮材と上記3次元ネットとの間にクッション材を封入し、該クッション材により振動伝達率を低減させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のシート構造。
  3. 上記表皮材の一部が乗員の背中が当接する部位であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載のシート構造。
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