JPH0560728B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はホールド性を高め座り心地感を向上さ
せるためにシート両側部を膨出させてなる座席構
造に関し、特にパツド材等による座部構造体の薄
型化を達成し得るようにシートフレーム構造の改
良に関する。

〔従来の技術〕

たとえば車両用シートにおいては、自動車の走
行中、着座者を安定して保持するとともに、適切
な座り心地感を与え、長時間にわたる着座状態に
あつても、疲労をできるだけ軽減し得ることが望
まれ、種々の対策を講じられている。そして、そ
の一つに、たとえばシートクツシヨンやシートバ
ツクの左、右両側部等を着座面側に膨出させ、着
座時において着座者を左、右両側から所要のクツ
ション性と保持力とをもつてホールドすることに
より、シートとしてのホールド感を高めるととも
に、座り心地感を向上させるようにした座席構造
が従来から知られている。すなわち、従来この種
の座席構造は、一般に、枠状フレームと、この枠
状フレーム内側にフツク等を介して係止された状
態で張設された面状支持体と、この面状支持体上
部に載置されて座面を構成する合成樹脂パネル
と、その外側を全体にわたつて被覆するように形
成されるパツド材およびその表面を覆う表皮材等
によつて構成されている。そして、上述した左、
右両側部での膨出部分は、前記合成樹脂パネルの
両側部を着座面側に湾曲形成するとともに、その
湾曲部分へのパツド材の充填量を多くする等の手
法によつて形成されているものであつた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところで、上述したような従来の座席構造で
は、シート内部に座面を構成する合成樹脂パネル
やこれを弾性支持する面状支持体が内設され、さ
らにパツド材で全体が被覆された中実状態となつ
ており、着座時において着座者に対するクツシヨ
ン性やホールド性を確保し、座り心地感をよくす
るうえである程度発揮し得るものであるが、その
一方においてパツド材等を多量に必要とし、しか
もその形状も特殊で、成形加工性の面で問題をも
つものであつた。特に、このような従来構造で
は、シート両側部の膨出部分が、着座時において
必要以上に揺動し易く、これを抑制するために
は、より多くのパツド材を充填して形成すること
が必要で、これによりシート全体が厚くなり、材
料費を始めとして製造時において問題の大きいも
ので、上述したような座り心地感等の性能は確保
する一方、シート全体の薄型化を図り、さらに構
成の簡素化と成形加工性等の向上とを達成し得る
ような何らかの対策を講じることが望まれてい
る。

また、この種のシートによれば、上述した側部
膨出部分が着座時において上下動し、これにより
シート側面部での表皮材にたるみやしわ等が生じ
易いという問題もあり、このような点をも考慮す
ることが必要とされている。

〔問題点を解決するための手段〕

このような要請に応えるために、本発明に係る
座席構造は、枠状フレームとその内側に緊張して
張設される面状支持体の上部に載置して設けられ
合成樹脂パネル、パツド材および表皮材により薄
肉シート状の積層体として構成される座部構造体
の左、右両側部を着座面側に湾曲させて全体略々
弓状を呈するように形成するとともに、この座部
構造体の座部裏面を構成する合成樹脂パネルの湾
曲形成された側部裏面側を弾性的に支持する支持
部材を設け、かつ合成樹脂パネルの外方端側から
前記枠状フレームの外側を通つて下方に垂下され
る垂下パネル部を一体的に設けるようにしたもの
である。

〔作用〕

本発明によれば、左、右両側部が膨出して構成
される座部構造体を、合成樹脂パネル、パツド
材、表皮材による薄肉シート状の積層体として形
成し、シート全体の薄型化を可能とするととも
に、この座部構造体を枠状フレームおよびその内
側に張設された面状支持体で支持し、さらにその
着座面側に湾曲形成された両側部を、支持部材で
弾性的に支持することにより、着座時において
左、右両側部の膨出部分での揺動等が生じないよ
うにし、座り心地感等を確保した状態で、座部構
造体を安定して支持し得るもので、また垂下パネ
ル部の存在により着座時において上下動されるシ
ート側部での表皮材のたるみやしわ等の発生を防
ぎ、見栄えをよくし得るものである。

〔実施例〕

以下、本発明を図面に示した実施例を用いて詳
細に説明する。

第１図および第２図は本発明に係る座席構造の
一実施例を示し、これらの図においてはその要部
構造のみを図示している。まず、全体を符号１で
示すものは、たとえばシートクツシヨン（または
シートバツクでも可）等を構成するシート体で、
このシート体１は、第１図から明らかなように、
パイプ材などからなる枠状フレーム２と、この枠
状フレーム２の内側で鋼線等からなる張り用線材
３により側縁部４ａが緊張して緊張される伸縮性
を有するシート状ばね材による面状支持体４と、
これら枠状フレーム２および面状支持体４の上部
に載置して設けられ合成樹脂パネル５、パツド材
６および表皮材７により薄肉シート状の積層体と
して構成される座部構造体８等によつて構成され
ている。なお、パツド材６はウレタン等の発泡性
材料によつて形成されるとともに、その表面を覆
う表皮材７は、裏打材７ａ、ワデイング７ｂおよ
び表皮（トリムカバー）７ｃ等によつて構成され
ている。また、前記合成樹脂パネル５は、所要の
弾性力を有する一方、ある程度の剛性を有する材
料で形成するとよい。さらに、前記面状支持体４
の側縁部４ａは、面状支持体４の側縁を折返して
熱溶着することで構成され、張り用線材３はその
袋状部分に差込まれることで、配設時に面状支持
体４を緊張して張設し得るようになつている。ま
た、３ａは張り用線材３を枠状フレーム２に対し
引掛け係止することにより面状支持体４をフレー
ム２内側に張設して配置させるためのフツク部材
である。

そして、本発明によれば、上述したようなシー
ト体１において、薄肉シート状の積層体として構
成される座部構造体８を、第１図に示されるよう
に、その左、右両側部が着座面側に湾曲されて全
体略々弓状を呈するように形成するとともに、そ
の座部裏面を構成する合成樹脂パネル５の左、右
両側部裏面側にこの座部構造体８の左、右両側部
裏面側を弾性的に支持する弾性支持部材として第
２図に示すようなエアマツト１０を、この合成樹
脂パネル５両側部下側で枠状フレーム２および面
状支持体４上側に介在させて設けている。ここ
で、本実施例において支持部材を構成するエアマ
ツト１０としては、着座時等のような荷重に対し
局部的な膨出等が生じないような構成とすること
が必要で、このためには、このエアマツト１０全
体を樹脂フイルム材による側面部やその他必要個
所にラバーあるいは伸縮性繊編等によるシート材
等を複合して一体化する等の対策を講じるとよい
もので、第２図はこのシート材１０ａをエアマツ
ト１０側部などに一体化して設けた場合を示して
いる。そして、このようにすると、エアマツト１
０自体によるクツシヨン性に加えてシート材１０
ａとフイルム材との複合体による伸縮力を発揮さ
せ得るもので、その利点は容易に理解されよ。な
お、第１図中１０ｂはエアマツト１０を、面状支
持体４や合成樹脂パネル５側に一体的に付設する
ための面フアスナである。

また、本発明によれば、前記合成樹脂パネル５
の外方端部分を、枠状フレーム２の外側を通つて
下方に垂下されるように一体に延設して形成して
おり、その垂下パネル部５ａの外側面には、前記
表皮７ｃを延設して付設するようにしている。

このような構成によれば、前記支持部材として
のエアマツト１０等の働きで弾性支持される座部
構造体８の湾曲している側部が着座時等に上下動
されたとしても、シート体１の側部において、表
皮材７にたるみやしわ等が生じることが防止し得
るもので、その実用上での効果は大きい。ここ
で、図中９ａ，９ｂは上述した表皮７ｃや裏打材
７ａ等の合成樹脂パネル５側への端末処理部で、
本実施例では、表皮７ｃの一部を、前記垂下パネ
ル部５ａの外側面に沿つて延設して付着させた場
合を示し、これによりシート体１側面部での見栄
えをよくするうえで効果的である。しかし、これ
に限定されず、表皮材７の端末処理部は上方に設
けておき、この垂下パネル部５ａの外側面を、表
皮材７と同等の機能をもつ表面処理を施すことに
より、同様の作用効果が得られることは容易に理
解されよう。

また、上述した構成によれば、左、右両側部が
膨出して構成される座部構造体８を、合成樹脂パ
ネル５、パツド材６、表皮材７による薄肉シート
状の積層体として形成し、シート体１全体の薄型
化を可能とするとともに、この座部構造体８を枠
状フレーム２およびその内側に張設された面状支
持体４で支持し、さらにその着座面側に湾曲形成
された両側部を、所要の弾力性を有する弾性支持
部材としてのエアマツト１０で弾性的に支持する
ことで、着座時において左、右両側部の膨出部分
での無用な揺動等が生じないようにし、座り心地
感等を確保した状態で座部構造体を安定して支持
し得るものである。そして、このような座席構造
によれば、弾性支持部材としてのエアマツト１０
を巧みに利用するだけであり、全体の構成が簡素
化され、また各部の成形加工性等の面からも優れ
ており、その実用上での効果は大きい。

なお、この実施例では、エアマツト１０とし
て、単純なくさび状断面を有する台座状を呈する
ものを用い、これをシート体１の左、右両側部に
それぞれ介在させて設ける場合を示したが、本発
明はこれに限定されず、たとえば第３図に示すよ
うに、馬蹄形状を呈するものを用いてもよいもの
で、またドーナツ円形状等を始めとして種々の変
形例が考えられる。

第４図は本発明の別の実施例を示すものであ
り、この実施例での上述した実施例との相違点
は、合成樹脂パネル５の湾曲部分を支持する弾性
支持部材としてウレタン等の発泡材からなるパツ
ド体１１を用い、これをパネル５側に固着して設
けるとともに、サポート板材１２等を介して枠状
フレーム２および面状支持体４上に配設したこと
であるが、このような構成による作用効果は上述
した実施例と同等で、容易に理解されよう。さら
に、第５図はその変形例を示し、この実施例で
は、面状支持体４を、これと一体に合成樹脂等で
形成されるフツク部材１３で枠状フレーム２に対
し組付けており、パツド体１１をその上部に付設
した場合であるが、これも前述した実施例と同等
の作用効果を奏するものである。

第６図および第７図は本発明のさらに別の実施
例を示すものであり、弾性支持部材として、ラバ
ーや伸縮性織編材等による伸縮性シート材により
形成されかつ面状支持体４側に一端１４ａが一体
的に連結して設けられる袋状体１４と、その内部
に組込まれるエアマツト１０とによる複合体で構
成した場合を示している。そして、このようにす
ると、エアマツト１０の位置ずれ等を防ぎ、さら
にエアマツト１０によるクツシヨン性に加えて伸
縮性シート材による袋状体１４による弾力性をも
利用できるもので、シート体１の側部膨出部分で
の所要のクツシヨン性を得るうえで効果を発揮し
得るもので、その利点は容易に理解されよう。

なお、本発明は上述した実施例構造に限定され
ず、各部の構造、形状等の適宜変更、変形し得る
もので、たとえば弾性支持部材１０，１１，１４
等の形状、構造やその合成樹脂パネル５と面状支
持体４間への付設構造を始め、面状支持体４の形
状やその枠状フレーム２に対する係止構造につい
て、種々の変形例が考えられることは容易に理解
されよう。また、前記面状支持体４や伸縮性シー
ト材等の材料としても、種々の変形例が考えられ
る。

さらに、上述した実施例構造では、合成樹脂パ
ネル５の側縁部から一体に垂下した垂下パネル部
５ａの外表面に、表皮７ｃを一連に付設すること
で、見栄えのよいシート体１側面部を得ている
が、本発明はこれに限定されず、この垂下部５ａ
の外表面を、表皮材７と類似する表面処理等を行
なうことで、直接外部に露呈させて設けるように
してもよいことは勿論である。また、このような
垂下パネル部５ａとしては、合成樹脂パネル５に
必ずしも一体に形成されたものでなくともよく、
別体構成による成形パネルを合成樹脂パネル５側
に付設するようにしてもよい。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明に係る座席構造に
よれば、枠状フレームとその内側に緊張して張設
される面状支持体の上部に載置して設けられ合成
樹脂パネル、パツド材および表皮材により薄肉シ
ート状の積層体として構成される座部構造体の
左、右両側部を着座面側に湾曲させて全体略々弓
状を呈するように形成するとともに、この座部構
造体の座部裏面を構成する合成樹脂パネルの湾曲
形成された側部裏面側を弾性的に支持する支持部
材を設け、かつ合成樹脂パネルの外方端側から前
記枠状フレームの外側を通つて下方に垂下される
垂下パネル部を一体的に設けるようにしたので、
簡単かつ安価な構成にもかかわらず、座部構造体
を、薄肉シート状の積層体として形成し、シート
全体の薄型化を可能とするとともに、この座部構
造体を枠状フレームおよびその内側に張設された
面状支持体で支持し、さらにその着座面側に湾曲
形成された両側部を、支持部材で弾性的に支持す
ることで、着座時において左、右両側部の膨出部
分での揺動等が生じないようにし、座り心地感等
を確保した状態で、座部構造体を安定して支持し
得るとともに、垂下パネル部の存在により着座時
において上下動されるシート側部での表皮材のた
るみやしわ等の発生を防ぎ、見栄えをよくし得る
等の種々優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明に係る座席構造の
一実施例を示す要部構成のみを示す側断面図およ
びその要部斜視図、第３図はその変形例を示す斜
視図、第４図ないし第７図は本発明の別の実施例
を示す概略説明図である。 図中１……シート体、２……枠状フレーム、３
……張り用線材、４……面状支持体、５……合成
樹脂パネル、５ａ……垂下パネル部、６……パツ
ド材、７……表皮材、７ｃ……表皮、８……座部
構造体、９ａ，９ｂ……端末処理部、１０……エ
アマツト（支持部材）、１１……パツド体（支持
部材）、１２……サポート板材、１３……フツク
部材、１４……伸縮性シート材による袋状体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 枠状フレームと、この枠状フレーム内側に張
   設される面状支持体と、これら枠状フレームおよ
   び面状支持体の上部に載置して設けられ合成樹脂
   パネル、パツド材および表皮材により薄肉シート
   状の積層体として構成されるとともに左、右両側
   部が着座面側に湾曲されて全体略々弓状を呈する
   座部構造体と、この座部構造体の座部裏面を構成
   する合成樹脂パネルの湾曲形成された側部裏面側
   を弾性的に支持する支持部材とを備え、前記合成
   樹脂パネルの外方端側から前記枠状フレームの外
   側を通つて下方に垂下される垂下パネル部を一体
   的に設けたことを特徴とする座席構造。 ２ 垂下パネル部の外側面には、表皮材の一部が
   一連に延設して付着されていることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項記載の座席構造。