JPH11151134A - 面状弾性体による座面を有するシート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 面状弾性体による座面部より大きく隆起する
土手部を簡単な構造で堅牢なものに組み立て、着座時の
ホールド性を向上する。 【解決手段】 略四辺形枠状のシートフレーム１と、座
面部を形成する面状弾性体２と、大きな隆起の土手部を
形成するパッド部材３と、そのパッド部材３を被包する
表皮材４とから組み立てられ、面状弾性体２は樹脂プレ
ート６をスリット６ａに差込み曲げる係止爪５でシート
フレーム１に取り付けてシートフレーム１の枠内に張設
し、表皮材４は補強コード７を抜き穴７ａに嵌込みカシ
メ止める突起６ｂで樹脂プレート６に取り付けて片端末
をシートフレーム１に連結固定すると共に、シートフレ
ーム１に組み付けられるパッド部材３を包み込んで、他
端末をシートフレーム１の背後に巻込み止着する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、伸縮性，通気性の
ある面状弾性体から座面部を形成する面状弾性体による
座面を有するシートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、伸縮性，通気性のある面状弾性
体から座面部を形成するシートは知られている（ＵＳＰ
５，０１３，０８９、同５，５３３，７８９、特表平８
ー５０７９３５号）。

【０００３】そのシートは座面部を面状弾性体で形成す
ることにより通常のシートとデザイン的に変られ、ま
た、座面部を形成するパッド部材やスプリング部材等を
省けるばかりでなく、通気性を付与でき、更には軽量化
を図れ、面状弾性体が薄いことによりスペース効率もよ
いところから好ましい。

【０００４】そのシートを組み立てるのに、面状弾性体
は樹脂枠を端末に備え、この樹脂枠をシートフレームの
軸線上に設けた凹溝に嵌め込んで端末止着し、また、端
末をそのままシートフレームの軸線上に回し込んで押え
プレートと共にねじ止め固定することによりシートフレ
ームの枠内に張設配置されている。然し、このシートで
は土手部が隆起するよう形成されていないところから着
座時のホールド性に欠ける。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、面状弾性体
による座面部より大きく隆起する土手部を簡単な構造で
堅牢なものに組み立てでき、着座時のホールド性を向上
可能な面状弾性体による座面を有するシートを提供する
ことを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明に係る面状弾性体
による座面を有するシートにおいては、略四辺形枠状の
シートフレームと、座面部を形成する面状弾性体と、大
きな隆起の土手部を形成するパッド部材と、そのパッド
部材を被包する表皮材とから組み立てられ、シートフレ
ームには複数個の係止爪をフレーム面より所定の間隔毎
に突出させて備え、面状弾性体には周回り縁に一体に固
着成形され、シートフレームの係止爪と夫々対応位置す
る複数個のスリットと、相間隔を隔てて起立する複数の
突起とを板面に設けた樹脂プレートを備え、表皮材には
樹脂プレートの突起と夫々対応位置する複数個の抜き穴
を設けた補強コードを端末に備え、面状弾性体は樹脂プ
レートをスリットに差込み曲げる係止爪でシートフレー
ムに取り付けてシートフレームの枠内に張設し、表皮材
は補強コードを抜き穴に嵌込みカシメ止める突起で樹脂
プレートに取り付けて片端末をシートフレームに連結固
定すると共に、シートフレームに組み付けられるパッド
部材を包み込んで、他端末をシートフレームの背後に巻
込み止着することにより構成されている。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して説明す
ると、図示実施の形態は図１で示すように車輌用シート
においてシートバックＢ並びにシートクッションＣを各
々組み立てるのに適用されている。この車輌シートの各
部Ｂ，Ｃは、略四辺形枠状のシートフレーム１，１０
と、各座面部を形成する面状弾性体２，１１と、大きな
隆起の土手部を形成するパッド部材３，１２と、そのパ
ッド部材３，１２を被包する表皮材４，１３とから組み
立てられている。

【０００８】その具体的な構成をシートバックＢに基づ
いて説明すると、図２で示すようにシートバックフレー
ム１としては枠内方が開放された横断面コの字状の金属
フレームが用いられている。このシートバックフレーム
１は、略四辺形の各辺が座者の着座姿勢に適合するよう
軸線曲げ形成されている。そのシートバックフレーム１
には、後述する如く面状弾性体２を枠内に張設配置する
のに用いられる複数個の係止爪５…が備えられている。
この係止爪５…は所謂「リテーナー」でなり、面状弾性
体２を張設する側のフレーム面に溶接固定することによ
り所定の間隔を隔て外周縁寄りに取付け固定されてい
る。

【０００９】面状弾性体２としては、伸縮性，通気性を
有する布地が用いられている。例えば、内装織物に使用
される繊維状ヤーンからなる複数のストランドで交織さ
れた複数のエラストマーモノフィラメントで形成したも
の、或いは１０００〜４０００デニールのエラストマー
モノフィラメントを経糸また緯糸を織りまたは編んで伸
縮性，通気性を付与した織物または編物を用いるように
できる。

【００１０】その面状弾性体２には、ＰＥＴ，ＰＰ等の
樹脂プレート６が周回り縁に一体に固着成形されてい
る。この樹脂プレート６は、面状弾性体２の周回り縁を
肉厚内に埋め込んで一体にインサート成形することによ
り面状弾性体２を周囲より張設支持するよう形成されて
いる。その樹脂プレート６には、シートバックフレーム
１の係止爪５…と夫々対応位置する複数個のスリット６
ａ…と、相間隔を隔てて板面より複数個起立する台座付
きボス状の突起６ｂ…とがインサート成形と同時成形す
ることにより板面に設けられている。

【００１１】パッド部材３は発泡ウレタン等のクッショ
ンフォーム体でなり、シートバックフレーム１の外側よ
り前面，側面並びに背面に嵌込み固定する凹部を備えて
所定の立体形状に発泡成形されている。このパッド部材
３はシートバックフレーム１の各辺毎に個別に形成し、
また、シートバックフレーム１の枠形状に合わせて全体
を連続の一体ものとして形成するようにもできる。この
パッド部材３の前部側はホールド性の良好な土手部を組
み立てるよう大きく隆起し、特に、両側部の中腹から下
部側は大きな隆起を呈し、また、上部側はヘッドレスト
部として大きく隆起するよう形成されている。

【００１２】表皮材４としては、汎用の本革、合皮，フ
ァブリック等のいずれでも用いることができる。その表
皮材４は、内側が開放された横断面略Ｃ字形でシートバ
ックフレーム１の各辺に組み付けられるパッド部材３を
外側より包み込めるよう全体が連続の一体ものとして縫
着形成することができる。この表皮材４には補強コード
７、所謂「トリムコード」がシートバックフレーム１の
前面側に巻込み止着される端末に沿って縫い付け装着さ
れている。その補強コード７には、支持プレート６の突
起６ｂと夫々対応位置する複数個の抜き穴７ａ，７ｂ…
が長手方向に沿って間隔を隔てて設けられている。

【００１３】上述した各部材からシートバックＢを組み
立てるには、まず、シートバックフレーム１の各係止爪
５…を樹脂プレート６の各スリット６ａ…に差し込んで
係止爪５…の突端側をシートバックフレーム１の外側方
向に折り曲げ、樹脂プレート６をシートバックフレーム
１の前面側にあてがい固定することにより面状弾性体２
をシートバックフレーム１の枠内に張設配置する。次
に、樹脂プレート１の各突起６ｂ…を補強コード７の各
抜き穴７ａ，７ｂ…に嵌め込んで突起６ａの突端側をヒ
ートカシメ或いは超音波カシメし、補強コード７を突起
６ｂの台座部とカシメ変形した頭部との間で挾持するこ
とにより表皮材４の片端末をシートバックフレーム１の
前面側に止着固定する。

【００１４】その面状弾性体２並びに表皮材４の片端末
をシートバックフレーム１に取り付け後、パッド部材３
をシートバックフレーム１の各辺に組み付け、表皮材４
をシートバックフレーム１の背面側に巻き込んでパッド
部材３を包み込む。この表皮材３は硬質樹脂製のフック
８を巻込み側の端末に沿って縫着し、そのフック８をシ
ートバックフレーム１のフランジ部に掛け止めることに
より端末止着するようにできる。これにより、シートバ
ックフレーム１をベースとして座面部を面状弾性体２で
形成すると共に、パッド部材３から大きく隆起する土手
部を形成したシートバックＢを簡単な構造で堅牢なもの
に組み立てることができる。それと同様に、シートクッ
ションＣも組み立てることができる。

【００１５】上述した実施の形態では横断面コの字状を
有するシートフレーム１で構成したが、図４で示すよう
な四角形のパイプ部材をシートフレーム１’として組み
立てることもできる。この場合には、表皮材として背面
側をスライドファスナー等で開閉可能に形成したバック
付きのもの（図示せず）を用いればよい。また、樹脂プ
レート６には図５で示すように立上りフランジ部６ｃ，
６ｄを両側辺に沿って設けることができる。この立上り
フランジ部６ｃ，６ｄはシートフレーム１の両側辺に嵌
め合せることから、樹脂プレート６を正確に位置決めさ
せてシートフレーム１に容易に組み付けることができ
る。

【００１６】このように構成する面状弾性体による座面
を有するシートでは、図１で示すようにランバーサポー
ト１４をバックカバー１５で上下に位置調整自在に備
え、そのバックカバー１５をシートバックフレーム１の
背面下部寄りに取り付けることにより通気性を上部側で
保ったバックカバー付きのシートバックＢとして構成す
ることができる。

【００１７】そのシートバックＢ並びにシートクッショ
ンＣは、スライドレール１６ａ，１６ｂで摺動自在に立
付け支持されるブラケットプレート１７ａ，１７ｂに取
り付け、このブラケットプレート１７ａ，１７ｂを外装
カバー１８ａ，１８ｂで覆うことにより前後位置調整可
能な通常のシートと同様に構成することができる。ま
た、片側のブラケップレート１７ｂにはリクライニング
機構１９を備えることによりリクライニングシートとし
て構成することもできる。

【００１８】

【発明の効果】以上の如く、本発明に係る面状弾性体に
よる座面を有するシートに依れば、シートフレームをベ
ースとして座面部を面状弾性体で形成すると共に、パッ
ド部材から大きく隆起する土手部を形成したシートバッ
ク並びにシートクッションを簡単な構造で手間も掛らず
堅牢なものに組み立てることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る面状弾性体による座面を有するシ
ートを示す展開斜視図である。

【図２】同シートを構成する各部を展開させて示す部分
拡大断面図である。

【図３】同シートを図１のＡーＡ線個所で示す拡大断面
図である。

【図４】同シートを構成するのに用いられる別のシート
フレームを示す部分断面図である。

【図５】同シートを構成するのに用いられる別の樹脂プ
レートを示す説明図である。

【符号の説明】

１，１０ シートフレーム ２，１１ 面状弾性体 ３ １２ パッド部材 ４，１３ 表皮材 ５… 係止爪 ６ 樹脂プレート ６ａ… 樹脂プレートのスリット ６ｂ… 樹脂プレートの突起 ７ 補強コード ７ａ，７ｂ… 補強コードの抜き穴

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松崎 勉 栃木県塩谷郡高根沢町大字太田118―１ テイ・エステック株式会社技術センター内 (72)発明者 高橋 直広 埼玉県和光市中央１丁目４番１号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 略四辺形枠状のシートフレームと、座面
   部を形成する面状弾性体と、大きな隆起の土手部を形成
   するパッド部材と、そのパッド部材を被包する表皮材と
   から組み立てられ、 シートフレームには複数個の係止爪をフレーム面より所
   定の間隔毎に突出させて備え、面状弾性体には周回り縁
   に一体に固着成形され、シートフレームの係止爪と夫々
   対応位置する複数個のスリットと、相間隔を隔てて起立
   する複数の突起とを板面に設けた樹脂プレートを備え、
   表皮材には樹脂プレートの突起と夫々対応位置する複数
   個の抜き穴を設けた補強コードを端末に備え、 面状弾性体は樹脂プレートをスリットに差込み曲げる係
   止爪でシートフレームに取り付けてシートフレームの枠
   内に張設し、表皮材は補強コードを抜き穴に嵌込みカシ
   メ止める突起で樹脂プレートに取り付けて片端末をシー
   トフレームに連結固定すると共に、シートフレームに組
   み付けられるパッド部材を包み込んで、他端末をシート
   フレームの背後に巻込み止着したことを特徴する面状弾
   性体による座面を有するシート。