JPH0577634U - 車両用ディスクブレーキの分割型キャリパボディ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 制動時における分割型キャリパボディの反作
用部側半体のディスク内周側に働く変形応力を分散し
て、反作用部側半体の剛性を高めて制動時の変形を低減
するとともに、連結ボルトの締結強度への影響を小さく
する。 【構成】 キャリパボディ２の作用部側半体４と反作用
部側半体６とを、キャリパボディ２のディスク軸方向の
中心線よりも側部にそれぞれ２本の連結ボルト９，１０
を配設して締結し、反作用部側半体６の背面に形成され
る補強リブ６ａを、その両基端６ｂ，６ｂを連結ボルト
９，１０の間から隆起させて形成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両用ディスクブレーキの分割型キャリパボディに関し、特に反作 用部側半体の剛性力を高めた分割型キャリパボディに関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、分割型キャリパボディは、軽量化を図るために、ディスクロータの一 側に配置されるシリンダ孔を備えた作用部側半体と、ディスクロータの他側に配 置される反作用部側半体とを異種金属で形成し、両半体をディスクロータの外周 を跨ぐブリッジ部に挿通される連結ボルトで締結しており、例えば、特開昭４９ −１２００８１号公報に示されるものは、制動時における反作用部側半体のディ スク内周側の変形を低減するために、反作用部側半体のディスク内周側背面に直 線状の補強リブを形成している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、キャリパボディのより軽量化と制動力の向上を進めていくと、上述の 構造では、補強リブに変形応力が集中し、反作用部側半体のディスク内周側の変 形量が大きくなるとともに、変形量の増大に伴なって発生する大きな応力が連結 ボルトの締結部に作用して、連結ボルトの締結強度に影響を受ける。

【０００４】 そこで本考案は、変形応力が補強リブに集中しないようにして、反作用部側半 体の剛性を高めて制動時の変形を低減するとともに、連結ボルトの締結強度への 影響を小さくした車両用ディスクブレーキの分割型キャリパボディを提供するこ とを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的達成のため本考案は、ディスクロータの一側に配置されるシリンダ孔 を備えた作用部側半体と、ディスクロータの他側に配置される反作用部側半体と を、ディスクロータの外周を跨ぐブリッジ部に挿通される連結ボルトで締結し、 前記反作用部側半体の背面に補強リブを形成した車両用ディスクブレーキの分割 型キャリパボディにおいて、該キャリパボディのディスク軸方向の中心線よりも 側部にそれぞれ複数本の連結ボルトを配設して、前記作用部側半体と反作用部側 半体とを締結し、前記補強リブを、その両基端を前記複数本の連結ボルトの間か ら隆起させて、反作用部側半体の背面に形成したことを特徴とし、さらに前記補 強リブが、ディスク中心軸とキャリパボディの押圧中心を結ぶ線に直交するピス トン中心線を通ることを特徴としている。

【０００６】

【作 用】

かかる構成により、制動時における反作用部側半体のディスク内周側に働く変 形応力は、補強リブ全体に作用して両基端から複数本の連結ボルト間に分散され るので、反作用部側半体のディスク内周側の変形が低減でき、また、反作用部側 半体の変形量が少ないので、連結ボルトの締結部に影響する応力も小さい。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

【０００８】 図１乃至図５は本考案の第１実施例を示すもので、ディスクブレーキ１のキャ リパボディ２は、ディスクロータ３の一側に配置される作用部側半体４に、ディ スクロータ３の外周を跨ぐブリッジ部５を形成し、該ブリッジ部５にディスクロ ータ３の他側に配置される反作用部側半体６を締結し、ディスクロータ３の一側 で車体に固設されるブラケット７に、摺動ピン８，８を介してディスク軸方向に 移動可能に支持されている。

【０００９】 作用部側半体４には、シリンダ孔４ａが形成され、また、ブリッジ部５の中央 部には、開口部５ａが形成され、該開口部５ａの両側にそれぞれ２本の連結ボル ト９，１０が作用部側半体４側から挿通されて、反作用部側半体６に螺着されて いる。

【００１０】 連結ボルト９，１０は、内側の連結ボルト９が開口部５ａに接近して設けられ 、また、外側の連結ボルト１０は、キャリパボディ２のディスク周方向外端に接 近して設けられている。

【００１１】 シリンダ孔４ａに液密かつ移動可能に嵌挿されるピストン１１とディスクロー タ３の間、及び反作用部側半体６とディスクロータ３の間には、一対の摩擦パッ ド１２，１２が開口部５ａの内側に対向配置され、開口部５ａに架設されるハン ガーピン１３，１３にて吊持され、パッドスプリング１４によりディスク内周方 向へ付勢されている。

【００１２】 反作用部側半体６の背面には、弓形の補強リブ６ａが突出形成されている。こ の補強リブ６ａは、その両基端６ｂ，６ｂを前記連結ボルト９，１０の間から隆 起させて、中央部６ｃをディスク内周方向に彎曲して形成され、中央部６ｃは、 ピストン１１の中心Ａ上に位置している。

【００１３】 このように構成することにより、制動時における反作用部側半体６に働く変形 応力は、補強リブ６ａ全体に作用して、両基端６ｂ，６ｂから連結ボルト９，１ ０間にそれぞれ分散される。

【００１４】 したがって、補強リブ６ａの中央部６ｃの変形量が従来に比較して小さくなっ て、反作用部側半体６の剛性が高くなるとともに、中央部６ｃの変形量が小さい ところから、連結ボルト９，１０に作用する応力も小さくなり、連結ボルト９， １０の連結強度への影響を小さくできる。

【００１５】 図６は本考案の第２実施例を示すもので、反作用部側半体２０の背面に形成さ れた補強リブ２０ａは、連結ボルト９，１０の間から隆起する両基端２０ｂ，２ ０ｂをディスク内周方向へ向かわせ、中央部２０ｃを、ディスクロータ３の中心 からピストン１１の中心Ａをとおるディスク半径方向線Ｂに直交して、ピストン １１の中心Ａをとおる線Ｃに沿って直線状に形成している。

【００１６】 また、図７は本考案の第３実施例を示すもので、反作用部側半体３０の背面に 形成された補強リブ３０ａは、連結ボルト９，１０の間から隆起する両基端３０ ｂ，３０ｂと、両基端３０ｂ，３０ｂからそれぞれディスク内周方向へ小さく彎 曲して、ピストン１１の中心Ａをとおる線Ｃに交叉する両側彎曲部３０ｃ，３０ ｃと、該両側彎曲部３０ｃ，３０ｃからさらにディスク外周方向へ小さく彎曲す る中央部彎曲部３０ｄとを連続形成している。

【００１７】 さらに、図８は本考案の第４実施例を示すもので、反作用部側半体４０の背面 に形成された補強リブ４０ａは、連結ボルト９，１０の間から隆起する両基端４ ０ｂ，４０ｂからディスク外周方向へ彎曲形成されている。

【００１８】 このように構成された各補強リブ２０ａ，３０ａ，４０ａは、前記第１実施例 と同様に、反作用部側半体２０，３０，４０に働く変形応力を、両基端２０ｂ， ３０ｂ，４０ｂから連結ボルト９，１０間にそれぞれ分散させるので、反作用部 側半体２０，３０，４０の変形を小さくするとともに、連結ボルト９，１０の連 結強度への変形応力の影響も小さくする。

【００１９】

【考案の効果】

本考案は以上のように、分割型キャリパボディの作用部側半体と反作用部側半 体とを、キャリパボディのディスク軸方向の中心線よりも側部にそれぞれ複数本 の連結ボルトを配設して締結し、前記反作用部側半体の背面に形成される補強リ ブを、その両基端を前記複数本の連結ボルトの間から隆起させて形成したので、 制動時における反作用部側半体のディスク内周側に働く変形応力は、補強リブ全 体に作用して両基端から複数本の連結ボルト間に分散されるので、反作用部側半 体のディスク内周側の変形が低減できる。

【００２０】 また、反作用部側半体の変形量が小さいところから、連結ボルトに作用する応 力も小さくなり、連結ボルトの連結強度への影響を小さくできる。

【００２１】 さらに前記補強リブを、ディスク中心軸とキャリパボディの押圧中心を結ぶ線 に直交するピストン中心線を通すことにより、反作用部側半体の変形量をより効 果的に低減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の第１実施例を示すキャリパボディの
背面図

【図２】 同じく一部断面平面図

【図３】 図２のIII −III 断面図

【図４】 同じく正面図

【図５】 図４のＶ−Ｖ断面図

【図６】 本考案の第２実施例を示すキャリパボディの
背面図

【図７】 本考案の第３実施例を示すキャリパボディの
背面図

【図８】 本考案の第４実施例を示すキャリパボディの
背面図

【符号の説明】

１…ディスクブレーキ、２…キャリパボディ、３…ディ
スクロータ、４…作用部側半体、５…ブリッジ部、６，
２０，３０，４０…反作用部側半体、６ａ，２０ａ，３
０ａ，４０ａ…補強リブ、６ｂ，２０ｂ，３０ｂ，４０
ｂ…補強リブの基端、９，１０…連結ボルト、１１…ピ
ストン、１２…摩擦パッド、Ａ…ピストン１１の中心、
Ｂ…Ａとディスク中心を結ぶ線、Ｃ…Ｂに直交してＡを
通る線

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ディスクロータの一側に配置されるシリ
   ンダ孔を備えた作用部側半体と、ディスクロータの他側
   に配置される反作用部側半体とを、ディスクロータの外
   周を跨ぐブリッジ部に挿通される連結ボルトで締結し、
   前記反作用部側半体の背面に補強リブを形成した車両用
   ディスクブレーキの分割型キャリパボディにおいて、該
   キャリパボディのディスク軸方向の中心線よりも側部に
   それぞれ複数本の連結ボルトを配設して、前記作用部側
   半体と反作用部側半体とを締結し、前記補強リブを、そ
   の両基端を前記複数本の連結ボルトの間から隆起させ
   て、反作用部側半体の背面に形成したことを特徴とする
   車両用ディスクブレーキの分割型キャリパボディ。
2. 【請求項２】 前記補強リブが、ディスク中心軸とキャ
   リパボディの押圧中心を結ぶ線に直交するピストン中心
   線を通ることを特徴とする請求項１記載の車両用ディス
   クブレーキの分割型キャリパボディ。