JPH0576035A - 色適応輪郭強調装置 - Google Patents

色適応輪郭強調装置

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JPH0576035A
JPH0576035A JP3259593A JP25959391A JPH0576035A JP H0576035 A JPH0576035 A JP H0576035A JP 3259593 A JP3259593 A JP 3259593A JP 25959391 A JP25959391 A JP 25959391A JP H0576035 A JPH0576035 A JP H0576035A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 映像に対する人間の知覚特性の内、マスキン
グ効果に着目し、映像信号の色度情報に応じて輝度情報
の輪郭部の強調の程度を変えるようにしたことにより、
鮮鋭度、解像度感に優れ、ノイズの少ない映像を得るこ
とが可能な色適応輪郭強調装置を提供する。 【構成】 色度・輝度抽出部29にて映像信号より色度
情報を抽出し、信号処理部5にて映像信号より輝度信号
を生成すると共にこの輝度信号より輪郭信号を生成し、
この輪郭信号を、上記の抽出した色情報に応じて補正す
る。この輪郭補正は、画像に対する視覚特性であるマス
キング効果に基づいて行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、映像信号中の輝度情報
を制御することにより映像の輪郭を強調する装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、画像の鮮鋭度、解像度感の向
上を図るため、被写体の輪郭部を強調する手法が知られ
ている。例えば、テレビジョンシステム等の電子映像の
分野では、映像の輝度情報の輪郭を強調することが行わ
れている。この種の輪郭強調の水平・垂直方向の強調量
の制御は、手動やオートゲインコントロール(AGC)
レベルに連動して行っていた。映像の色情報に対応した
輪郭強調法としては、EDTV方式での高彩度部の解像
度劣化補正(定輝度化信号処理)、輝度レベルに対応し
た暗部のディテール改善(適応的エンファシス)があ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の装置
では、その強調の程度によっては、輪郭部とともに映像
のノイズまでも強調してしまい、映像品位を低下させた
り、あるいはまた、被写体の状況によって最適な強調量
の程度も異なるので、かえって不自然な映像になる場合
もあった。本発明は、上記問題を解消するもので、映像
に対する人間の知覚特性の内、マスキング効果に着目
し、映像信号の色度情報に応じて輝度情報の輪郭部の強
調の程度を変えるようにしたことにより、鮮鋭度、解像
度感に優れ、ノイズの少ない映像を得ることが可能な色
適応輪郭強調装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1の発明は、映像信号より色情報を抽出する色
情報抽出手段と、該映像信号より輝度信号を生成すると
共にこの輝度信号より輪郭信号を生成する輪郭信号生成
手段と、この輪郭信号生成手段により生成される輪郭信
号を、前記色情報抽出手段の出力情報に応じて補正する
輪郭補正手段とを備えた色適応輪郭強調装置である。請
求項2の発明は、上記における色情報抽出手段は、色情
報として色度情報を抽出するものである。請求項3の発
明は、上記における色情報抽出手段は、色情報として均
等知覚色度図(u,v),(u´,v´)において均等
に色度情報を抽出するものである。請求項4の発明は、
上記における輪郭補正手段は、画像に対する視覚特性で
あるマスキング効果に基づいて輪郭信号を補正するもの
である。
【0005】
【作用】上記の構成によれば、色情報抽出手段は映像信
号より色情報を抽出し、輪郭信号生成手段は映像信号よ
り輝度信号を生成すると共にこの輝度信号より輪郭信号
を生成する。輪郭補正手段は、輪郭信号生成手段により
生成される輪郭信号を、色情報抽出手段の出力情報に応
じて補正する。この輪郭補正は、マスキング効果に着目
してなされる。
【0006】
【実施例】本発明は、上述のように、映像に対する人間
の知覚特性の内のマスキング効果に着目してなされたも
のである。このマスキング効果について以下説明する。
マスキング効果とは、人間の視覚特性の一つで、例えば
図形の輪郭は輝度情報にて支配され、色度情報は該輝度
情報による輪郭で制御されるという効果である。図1
は、ある映像信号の輝度信号と色度信号が水平方向に重
畳している様子を示したもので、aは輝度パターンを、
bは色度パターンを示す。色度パターンbは、テレビジ
ョンシステムの狭帯域周波数伝送特性のため、その輪郭
部はにじんだものとなっている。図中、ΔEは色度情報
のある色相における飽和度に相当するもので、ΔLは輝
度情報の輝度レベル(輝度輪郭の程度)、Lは背景の輝
度レベルを示す。
【0007】図2は、均等知覚色度図である(u,v)
色度図であり、同図において、aは、色度信号の周波数
帯域を0.7MHz、L=10[cd/m2 ]、ΔL=
0としたときのマスキング効果が視認できる色度範囲を
示し、bは、色度信号の周波数帯域、Lを上記と同じと
し、ΔL=10[cd/m2 ]としたときの色度範囲を
示す。図から、輝度輪郭(ΔLに相当)の程度によっ
て、マスキングされる色度分布範囲が無彩色色度点cを
中心に大きく外側に広がることが分かる。この結果によ
り輝度輪郭による色度輪郭のマスキング効果は、極めて
顕著であると言える。また、色覚の狭帯域色相である黄
−青(y−bとする)の方が広帯域色相である赤−緑
(r−gとする)よりもマスキング効果が大きいこと
や、VTRなどで色度パターンに、輪郭のランダムなゆ
すれであるジッターがあったとしても輝度パターンにジ
ッターがなければ鮮明な輪郭のカラー画像として見える
ことも知られている。なお、図2において、R,G,B
の○印は、NTSC規格の受像三原色の色度点、Cの○
印は無彩色の色度点を示す。
【0008】本発明では、映像の色度情報に応じて輝度
情報の輪郭部を強調することにより、テレビジョンシス
テムにおける限られた狭帯域周波数伝送特性の色度信号
の輪郭部のにじみに対するマスキング効果をあげ、映像
の鮮鋭度感、解像度感を増し、映像の品位向上を図って
いる。特に、本実施例では、視覚の狭帯域色相軸y−b
と広帯域色相軸r−gとマスキング効果との関係に着目
した色度情報による輝度輪郭強調量の制御を行う。例え
ば、マスキング効果の少ないr−g付近の色度情報をも
つ映像信号の輝度輪郭を、y−b付近の色度情報をもっ
ている場合よりもより強調する。あるいは、高い飽和度
の色度情報をもつ映像信号の輝度輪郭を、低い飽和度の
それよりも、より強調するなどである。また、副次的な
効果として濃い色ほど輪郭の強調を行うので、定輝度方
式でない映像信号処理を用いた機器においては、そのデ
ィテール特性の改善効果をもたらす。
【0009】図3は本実施例による装置のブロック構成
を示す。撮像した映像信号R,G,Bの内、信号R,B
はホワイトバランス1,2(WBとする)調整用のゲイ
ンコントロールアンプ(GCとする)に入力される。G
C1,GC2はWB制御部3から制御信号によりその利
得が決定される。WBセンサ4は被写体の照明光源の色
温度や蛍光灯などの人工光源を検出し、その検出結果情
報をWB制御部3に出力する。WB制御部3は、該情報
に応じて所定の制御信号をGC1,GC2へそれぞれ出
力することにより、撮像映像信号に対し自動的にWB調
整を行うものである。なお、WB調整の手段は特に上記
構成に限定されない。例えば、映像信号より照明光源の
色温度等を検出してWB調整を行う、内測式自動WB調
整のようなものでもよい。
【0010】WB調整手段によりWB調整のとれた映像
信号である映像信号Gと、GC1,GC2の出力信号
R,Bは、信号処理部5へ入力される。信号処理部5で
は、入力信号に対しガンマ補正、ニー処理などの通常の
映像信号処理を経て、マトリックス処理により色差信号
R´−Y´,B´−Y´の生成、狭帯域輝度信号YL
´、広帯域輝度信号YH´より輝度信号Y´を生成す
る。この信号処理部5で生成した色差信号R´−Y´,
B´−Y´及び輝度信号Y´は、エンコーダ部6にそれ
ぞれ出力され、色差信号は色副搬送波fscを平衡変調
する。このエンコーダ部6により、輝度信号Y´と該被
変調波と色基準信号(バースト信号)及び水平、垂直同
期信号φH、φVを合成して、対象とするテレビジョン
規格に合致した複合映像信号Vsを生成する。信号処理
部5は、輪郭信号を生成する垂直輪郭信号生成部(VA
Pとする)7と、水平輪郭信号生成部(HAPとする)
8を有し、輝度信号に対し各輪郭信号を付加することに
よって輪郭強調を行う。このVAP7,HAP8の出力
信号レベルの調整、つまり輪郭強調の程度の制御は、デ
ータ処理部9の制御信号Vcont,Hcontにより
各々行われる。
【0011】この輪郭強調手段をなす信号処理部5の一
例を図4に示す。まず、垂直輪郭強調のための構成につ
いて説明する。信号処理部5にて生成した輝度信号YL
´は遅延部10(DLとする)に入力され、その出力信
号は合成部11とVAP7へ出力される。VAP7にて
生成された垂直輪郭信号は制御信号Vcontにてレベ
ルの調整を受け、合成部11に出力され、先の輝度信号
YL´と合成されることにより垂直輪郭の強調された信
号となる。
【0012】VAP7の構成例を図5の(a)に示す。
ここでは、1水平期間時間の遅延手段(1HDLとす
る)12を用いたものを示している。VAP7の入力信
号P(図b)は、1HDL12によって1水平期間時間
の遅延を受けて信号Q(図c)となり、減算部13にて
信号Pと信号Qとが減算処理(P−Q)される。この減
算部13の出力信号Rは、制御信号Vcontにて利得
を制御されたGC14によりレベル調整され、その後、
合成部11へ出力される。この合成部11の出力は輝度
信号Y´を生成するためのY´生成部16(後記)へ入
力される。VAP7の他の構成例として、2つの1HD
Lを使用したものがある。次に、水平輪郭強調の手段と
しては、図4において、信号処理部5にて生成した輝度
信号YH´は、DL15に入力される。その出力信号は
HAP8へ出力され、HAP8からの輝度信号YH´は
Y´生成部16へ出力され、上記合成部11の出力信号
(垂直輪郭強調済信号)とによって輝度信号Y´を生成
し、該信号Y´を合成部17へ出力する。HAP8にて
生成された水平輪郭信号は制御信号Hcontにてレベ
ルの調整を受け、合成部17へ出力され、先の輝度信号
Y´と合成されることにより水平及び垂直輪郭の強調さ
れた信号Y´となる。
【0013】HAP8の構成例を図6の(a)に示す。
HAP8の入力信号S(図b)は、所定の遅延時間Td
を持つ遅延LCフィルタ18(DLFILとする)の受
端ハイインピーダンスによる反射信号T(図c)との合
成波U(図(d))となり、減算部19へ出力される。
DLFIL18の出力信号V(図e)は減算部19によ
り、合成波Uと減算処理(V−U)を受け、その結果、
信号W(図f)を出力する。この信号は水平輪郭信号を
意味する。信号Wは、制御信号Hcontにて利得を制
御されたGC20によりレベル調整され、その後、合成
部17へ出力される。また、DLFIL18の出力信号
Vは、Tdの遅延を受けた輝度信号YH´となってY´
生成部16へ出力される。ちなみにTdは約100ns
ec程度である。なお、図6の(a)における抵抗Ro
は、DLFILの反射信号の減衰を防いだり、DL15
とDLFIL18との緩衝の役目をする。
【0014】次に、図3における色度・輝度抽出部29
の構成について説明する。WB調整手段によりWB調整
のとれた映像信号Gと、同じくGC1,GC2の出力信
号R,Bは、マトリックス部(MTX部とする)21,
22,23へ各々出力され、下式に従って決まるマトリ
ックス信号W1,W2,W3を各々得る。 MTX部21の出力信号 W1=Rl1+Gm1+Bn1 MTX部22の出力信号 W2=Rl2+Gm2+Bn2 MTX部23の出力信号 W3=Rl3+Gm3+Bn3 ただし、各混合比は、MTX部21,22,23の出力
信号W1,W2,W3が色彩科学上の広義の三原色信号
となる値とする。つまり、該信号W1,W2,W3を三
刺激値とする表色系が存在することである。W1,W
2,W3の各信号はアナログ−デジタル変換部(A/D
部とする)24,25,26へ各々出力され量子化デー
タに変換される。A/D部24,25,26では入力信
号に対して、サンプリング定理に基づく折り返しノイズ
除去用の帯域制限フィルタが設けられ、サンプリング周
波数fをもつクロック信号CLK1のタイミングにて該
変換動作を行う。A/D部24,25,26より得られ
たW1,W2,W3の各信号データは、各々除算部2
7,28へ出力される。
【0015】除算部27は、W1信号を分子、W2信号
を分母とする除算結果W1/W2を信号データとして出
力する。同様に除算部28はW3信号を分子、W2信号
を分母とする除算結果W3/W2を信号データとして出
力する。除算部27、28の構成は、メモリを使用した
ルック・アップ・テーブル法やロジック構成の除算器ま
たはマイコン等でのプログラムによる処理でもよい。こ
の様にして得られたW1/W2,W3/W2が、該映像
信号の色度情報(色度データ)を表すことは色彩科学上
においいて知られている。ちなみに除算処理において入
力した信号データW2が0、あるいは0を意味する値を
示す場合は(分母が0相当値となる)、例えば無彩色ま
たはその付近の色度を示す色度データを出力してもよ
い。映像信号の水平、垂直ブランキング期間や黒レベル
等にて上記の処理を用いるとよい。
【0016】次に、色度データW1/W2,W3/W2
の色度図上での量子化点の分布の様子を、例をあげて説
明する。今、使用する撮像、映像表示システムがNTS
Cテレビジョン規格に合致したものと仮定し、該色度デ
ータをCIE1976UCS色度図((u´,v´)色
度図、均等知覚色度図)上に展開するとする。各MTX
部21,22,23の混合比を下記のように設定する。 MTX部21の出力信号 W1=R (l=1,m1=n1=0) MTX部22の出力信号 W2=0.261R+0.469G+0.2 70B (l2=0.261,m2=0.469,n2=0.270 0≦W2 ≦1) MTX部23の出力信号 W3=B (l3=m3=0,n3=1)
【0017】MTX部22での混合比は、(u´,v
´)色度図の表色系であるUVW表色系における刺激和
(U+V+W)をNTSC規格RGB表色系での各刺激
値R,G,Bを用いて表わした次式の混合比を、W2信
号について正規化したものである。 U+V+W=0.8482R+1.5288G+0.8773B 上式より、 W2=0.261R+0.469G+0.
270B 0≦W2≦1 (0≦R,G,B≦1)である。よ
って、色度データW1/W2,W3/W2は、下式を意
味する。 W1/W2=R/(0.261R+0.469G+0.270B) W3/W2=B/(0.261R+0.469G+0.270B) ここで、各色度データの値域に着目すると、 0≦W1/W2≦1/0.261 ,0≦W3/W2≦
1/0.270 となり上各値域は非常に接近したものである。
【0018】よって、MTX部22の混合比を近似し、
例えば、 l2:m2:n2=0.261:0.469:0.27
0 =1:1.80:1.03 を、 l2:m2:n2=1:1.8:1 =0.263:0.474:0.263 とする。この結果、該色度データの値域は、 0≦W1/W2 , W3/W2≦1/0.263 と、等しくなるので、除算部27,28は全く同じ構成
を用いることが可能となり、除算部27,28の設計、
製造コストの低減をもたらし、また、除算部を一つだけ
使用し、時分割にて除算処理を行うこともできる。この
様にして得られた色度データW1/W2,W3/W2が
(u´,v´)色度図上において示す量子化点の分布の
様子を図7に示す(量子化ビットは5ビットとした)。
【0019】図7において、R,G,Bの○印はNTS
C規格受像三原色の色度点を示し、Cの○印は基準白色
の色度点を示す。色度データW1/W2,W3/W2の
各値は、(G,R)軸、(G,B)軸を座標軸とした時
の座標値(0から31まで)に各々対応しており、該値
より決まる位置が、(u´,v´)色度図上の色度座標
値を示すことが分かる。また、量子化点の分布は該軸に
沿って該色度図平面上に均等に位置している。つまり、
均等知覚色度図を均等に量子化したことにより、人間の
色度知覚に対する量子化ノイズを均等にしたと言える。
このことは、有限のビット数での色度情報の量子化を考
えた場合、必要最小ビット数を考察する根拠となる。
【0020】図8に、CIE1960UCS色度図
((u,v)色度図、均等知覚色度図)における、本例
での量子化点の分布を示す。UVW表色系の刺激和が同
値である(u,v)色度図においても上述したのと同じ
特徴を示す。また、MTX部22の出力信号W2は先に
示したように、R,G,B刺激値を適当に含み、その値
域は0≦W2≦1としているので、映像信号の輝度情報
と見なすことも可能である(量子化されたW2信号を輝
度データとする)。例えば、信号処理部5にて生成する
YH´として、W2信号またはW2信号をガンマ補正し
た信号を用いてもよい。本例では、MTX部21,23
の混合比が、各々、1:0:0,0:0:1であるの
で、MTX部21,23を廃止し、A/D部24,26
に直接R,B信号を各々入力してもよい。MTX部2
1,22,23の混合比は、種々の値や組み合わせがあ
るが、総じて言えることは、MTX部21,23の混合
比は、対象とする色度図上での色度データW1/W2,
W3/W2値を目盛る2本の座標軸を決定し、MTX部
22の混合比は、該色度図平面上での量子化点の分布状
態を決定するものである。よってこれらの混合比は装置
の機能、目的、コスト等に応じて決めればよい。
【0021】次表に他のテレビジョン規格も含めて、本
例におけるMTX部22の混合比を示す。
【表1】 TABLE1 規格名 NTSC PAL/SECAM HDTV ──────────────────────────────────── l2:m2:n2 0.261:0.469:0.270 0.199:0.590:0.211 0.189:0.584:0.227 ──────────────────────────────────── 上混合比の近似例1 1:(1.7 〜1.8):1 1:(2.8 〜3.0):1 1:(2.6 〜3.1):1 ──────────────────────────────────── 上混合比の近似例2 1:(2 〜3):1 1:(2 〜3):1 1:(2 〜3):1 但し、l2:m2:n2は、(u´,v´)または
(u,v)色度図の均等量子化のためのMTX部22の
混合比である。
【0022】上記TABLE1の近似例2は、撮像、受
信システムの構成の簡素化や、各テレビジョン規格に対
する共通化等種々の都合上、本発明の効果や目的をあま
り損なわない範囲で存在しうる値である。ちなみに本例
の説明にて、(u´,v´)色度図を用いたが、UVW
表示系の刺激和が同値である(u,v)色度図について
も同様のことがいえる。また、本例の仮定としてNTS
C規格に合致した撮像、受信システムと述べたが、現行
運用されるシステムに関しても実用上問題はない。他の
テレビジョンシステムについてもそうである。
【0023】次に、MTX部22の混合比のみを変更し
た他の例を示す。MTX部22の混合比をXYZ表色系
のY刺激値、つまり輝度を表す値とすると、 W2=Y=0.299R+0.587G+0.144B ,0≦Y≦1 (l2=0.299,m2=0.587,n2=0.1
14)となる。よって、色度データW1/W2,W3/
W2は次式となる。 W1/W2=R/Y =R/(0.299R+0.587G+0.114B) W3/W2=B/Y =B/(0.299R+0.587G+0.114B) 上記の色度データが(u,v)色度図上において示す量
子化点の分布の様子を図9に示す(量子化ビット数は5
ビットとした)。
【0024】以上の様な原理によって得られた入力映像
信号の有する色度データW1/W2,W3/W2、輝度
データW2は、データ処理部9へ各々出力される。デー
タ処理部9では、入力色度データW1/W2,W3/W
2が指定する色度座標でのマスキング効果に対応する輪
郭強調量の制御を、輝度情報に対し制御信号Vcon
t,Hcontにて行う。この制御は、例えば、図10
に示すマスキング効果の説明図と、図8に示す均等知覚
色度図平面を均等に量子化した色度データ座標値(W1
/W2,W3/W2)とを対応させた輪郭強調量の重み
付けにより行えばよい。その定性的な重み付けの要領
は、本実施例の最初に説明した通りである。
【0025】図8に示す量子化例では、色度データは人
間の色度知覚に基づく均等色差を有する代表色度を表し
ているため、該色度データに対応させた制御方式は色度
知覚に対して細かいなめらかな輪郭強調の程度の設定を
可能にする、いわゆる知覚制御となる。また、本例では
輝度データW2に対する重み付けも可能で、その要領と
しては、映像の被写体の暗い所や、あるいは映像全体が
暗い場合に、該強調量を抑えノイズ等を目立たせないよ
うにし、それらの逆の場合には、該強調量を高める等で
ある図9の場合は、輝度データW2が入力映像信号の輝
度(Y刺激値)を示すので、輝度レベルに対する該強調
制御に対して精度が高いものである。
【0026】データ処理部9での前述の内容に関わるデ
ータ処理例を示す。データ処理部9では、色度データ座
標(W1/W2,W3/W2)に対して、輪郭強調量を
重み付けしたデータ群(マスキングデータとする)をあ
らかじめメモリ等に持っておき、入力色度データとマス
キングデータとを比較あるいは参照することにより、所
定の強調量をVAP7,HAP8に指示する(ルックア
ップ・テーブル法)。データ処理部9にはクロック信号
CLK2,φH,φVが入力され、これらの信号のタイ
ミングにて前述のデータ処理が行われる。CLK2とC
LK1は同期関係にあり、所定の周波数比また位相差を
保っている。また、これらはφH,φVと同期関係にあ
るので、例えば色副搬送波信号fscから作ってもよ
い。この様にデータ処理部9のデータ処理においては、
色度データが入力されてからVAP7,HAP8にて輪
郭強調量が制御されるまである程度の時間を要する。
【0027】図4のDL10,15は、VAP7,HA
P8にて該信号の制御を始めるタイミングと輪郭強調を
行うに相当する輝度信号YH´,YL´のタイミングを
合わせるための遅延手段である。また、DL31,32
は、該輝度信号YH´,YL´と色差信号R´−Y´,
B´−Y´間の所定の位相関係を保つための遅延手段で
ある。ちなみに、データ処理部9のVAP7,HAP8
の各々に対する強調量の制御としては、水平、垂直とも
視覚上自然で、同程度な様にするのがよい。
【0028】本発明の構成各部は以上の様な動作を行う
ものである。ここで、再び、色度・輝度抽出部29の構
成の変形例について説明する。色度・輝度抽出部29
は、入力映像信号の有する色度データW1/W2,W3
/W2と輝度データW2を抽出するのが目的であるた
め、その手段としてのMTX部、A/D部、除算部等の
構成や組み合わせに関して、図3に示されるものに限ら
れない。A/D部24,25,26は図示の位置に固定
的なものでない。例えば、A/D部24,25,26は
MTX部21,22,23の前に置いて、入力映像信号
R,G,Bを信号データ化することも可能で(ただしM
TX部21,22,23はデジタル処理構成となる)、
また、除算部27,28の後に置いてもよい(ただし除
算部27,28はアナログ処理構成となる)。また、除
算部27,28は1つの構成としてもよい。図11の
(a)はMTX部21,22,23と除算部27,28
を1つの演算部31にて行うもので、例えばメモリによ
るルック・アップ・テーブル法などにて実現できる。同
図の(b)は、(a)の構成にて輝度データW2だけを
MTX部33にて生成するものである。
【0029】色度・輝度抽出部29の入力信号R,G,
Bは、入力光量に比例したリニア信号で映像表示に直接
に係わる信号を意味するなら、どの構成部より取っても
よい。信号処理部5にてプリニー処理済の信号でもよ
い。また、信号処理部5にてガンマ補正済の信号R´,
G´,B´から取ることも可能であるが、この場合は入
力色度情報に対する輪郭強調の制御特性が先述とは異な
ってくる。また、信号処理5の構成について、本実施例
ではアナログ処理としたがデジタル処理構成のものでも
同じ原理を適応できる。この場合、データ処理部9との
タイミングの限定が容易にでき、また、精度も高くなる
利点がある。
【0030】次に、図3のデータ処理部9に入力される
制御信号30による該処理部9の機能について述べる。
1.従来の輪郭強調方法と本発明による輪郭強調方法と
の切り換え、または、該強調のON/OFFや該強調の
程度の指定が可能。2.特定色の輪郭強調量の指定が可
能である。すなわち、入力色度データW1/W2,W3
/W2より入力映像の再現色が特定できるので、例えば
肌色を指定して該強調の程度を下げると人肌が滑らかに
表現できる。3.被写体照度が絞り開放以下の低レベル
になると、自動的に入力映像信号レベルを上げるAGC
回路があるが、この動作に係わる映像のノイズレベルの
上昇に伴い、あるいは絞り値と連動して該強調量を全体
あるいは色度情報、輝度情報に応じて下げることによ
り、輪郭強調量とノイズレベルとのバランスを得た映像
表現が可能となる。4.データ処理部9にCLK2,φ
H,φVが入力されることにより、現在の画面の走査位
置が判明するので、画像の画面位置に対する輪郭強調量
の重み付けを行う。例えば、より注目される画面中央に
近ずく程、強調量を上げる等である。これらの機能を有
する制御信号30の送り元は、本装置を使用した機器の
内部、外部を問わないが、外部例としては、ICカード
等による機能指定が考えられる。
【0031】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、映像の色
度情報に対するマスキング効果に着目し、色度情報に応
じて輝度情報の輪郭強調の程度を制御するので、映像の
鮮鋭度感、解像度感の向上が図れる。従って、例えば、
テレビジョンシステムにおける色信号の狭帯域伝送周波
数特性に起因する色にじみに対する色にじみ感の改善効
果が得られる。また、被写体の色度情報によっては余分
な強調がなされないのでノイズも少なくなり、かつ、色
度情報に応じて自動的にマスキング効果による視覚特性
にあった輪郭強調が得られるので、自然な映像表現が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 映像信号の輝度信号と色度信号の関係図であ
る。
【図2】 均等知覚色度図である。
【図3】 本発明の一実施例による輪郭強調装置のブロ
ック構成図である。
【図4】 信号処理部の構成図である。
【図5】 垂直輪郭信号生成部の構成及び各部の信号波
形図である。
【図6】 水平輪郭信号生成部の構成及び各部の信号波
形図である。
【図7】 色度図上における量子化点の分布図である。
【図8】 色度図上における量子化点の分布図である。
【図9】 色度図上における量子化点の分布図である。
【図10】 マスキング効果の説明図である。
【図11】 色度・輝度抽出部の他の例を示す構成図で
ある。
【符号の説明】
5 信号処理部 7 垂直輪郭信号生成部 8 水平輪郭信号生成部 9 データ処理部 29 色度・輝度抽出部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 映像信号より色情報を抽出する色情報抽
    出手段と、該映像信号より輝度信号を生成すると共にこ
    の輝度信号より輪郭信号を生成する輪郭信号生成手段
    と、この輪郭信号生成手段により生成される輪郭信号
    を、前記色情報抽出手段の出力情報に応じて補正する輪
    郭補正手段とを備えたことを特徴とする色適応輪郭強調
    装置。
  2. 【請求項2】 色情報抽出手段は、色情報として色度情
    報を抽出することを特徴とした請求項1記載の色適応輪
    郭強調装置。
  3. 【請求項3】 色情報抽出手段は、色情報として均等知
    覚色度図(u,v),(u´,v´)において均等に色
    度情報を抽出することを特徴とした請求項1記載の色適
    応輪郭強調装置。
  4. 【請求項4】 輪郭補正手段は、画像に対する視覚特性
    であるマスキング効果に基づいて輪郭信号を補正するこ
    とを特徴とした請求項1記載の色適応輪郭強調装置。
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