JPH0575512U - スタビライザー用ボールジョイント - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ボールシートを内周に嵌合したスタビライザ
ーリンクの筒形ピースを、容易に加工してボールシート
が回転するのを防止する。 【構成】 スタッドボール１１の球状頭部１２を内周に
首振り可能に保持した合成樹脂製のボールシート１３
を、スタビライザーリンク１６に固定された筒形ピース
１７の内周に嵌合したスタビライザー用ボールジョイン
トにおいて、上記ボールシート１３の外形１３′と、筒
形ピース１７の内形１７′を互いに嵌合する多角形にす
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、自動車の左右の車軸とトーションバーとを連結するスタビライザ ーリンクの端部に設けられ、上記車軸や、トーションバーを取付けるスタビライ ザー用ボールジョイントに関する。

【０００２】

【従来の技術】

本出願人は、スタッドボールの球状頭部を内周に首振り可能に保持した合成樹 脂製のボールシートを、スタビライザーリンクに固定された筒形ピースの内周に 嵌合したスタビライザー用ボールジョイントを実願平３−１４９１６号により提 案した。この先行提案は、合成樹脂製のボールシートをスタビライザーリンクの 端部の金属の筒形ピースに圧入して固定していた従前のボールジョイントの問題 点を解消するために開発されたもので、自動車の走行によってボールシートに加 わる各種の応力でボールシートが摩耗、変形し、ボールシートと筒形ピースとの 間に弛みが生じて異音が発生する等の不具合を解消することができた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記先行提案では、ボールシートを筒形ピースの内周に、圧入によらないで嵌 合して固定するため、図４に示すようにスタッドボール１の球状頭部２を内周に 首振り可能に保持したボールシート３の外周に１８０°の位相で軸方向の突条４ ，４を設け、筒形ピース５の内周には上記突条４，４と係合する軸方向の凹溝６ ，６を設けた。このような凹凸嵌合を採用すると、加工上、次のような問題点が あることが分かった。 ａ）機能保証の為の筒形ピースの凹溝の深さや、内径に精度を得るための技術的 難易度が高い。 ｂ）筒形ピースの精度を得るために加工工程が多く必要となり、製品原価が割り 高になってコストメリットが小さい。 ｂ−ｉ）筒形ピースの凹溝の側面が、図５に示すように回転切削方向に対し直角 （θ₁ ）になるため、切削加工により機能上有害なバリが発生する。 ｂ−ｉｉ）そのため、バリの除去工程が必要である。 ｂ−ｉｉｉ）凹溝成形時のボンデライジング被膜の除去工程も必要である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

そこで本考案は、加工上で問題がある凹凸嵌合によらないで、凹凸嵌合と同程 度の機能を有する嵌合のしかたを追及して開発されたのであって、スタッドボー ルの球状頭部を内周に首振り可能に保持したボールシートの外形と、このボール シートを内周に嵌合する筒形ピースの内形を互いに嵌合する多角形にしたことを 特徴とするのである。

【０００５】

【実施例】

第１，２図の実施例において、１１は球状頭部１２を有する金属製のスタッド ボール、１３は上記球状頭部１２を内周に首振り可能に保持した合成樹脂製のボ ールシートで、その上端は一体の上蓋壁１４で塞がれ、外周の下部には段付きの 張出部１５を有する。 １６は金属のスタビライザーリンクで、その各端部には上記ボールシート１３ を内周に嵌合する金属、例えば鋼製の筒形ピース１７が溶接などにより固定して ある。

【０００６】 前記ボールシート１３の外形１３′と、筒形ピース１７の内形１７′は、この 実施例では互いに嵌合する正八角形になっている。従って、スタッドボール１１ の球状頭部１２を内周に嵌合したボールシート１３は八角形の外形の向きを、ス タビライザーリンク１６の各端部の筒形ピース１７の内形に合わせることにより 筒形ピースの内周に嵌合して取付けることができる。 そして、ボールシート１３には、上蓋壁１４の上に重なると共に、周縁部下端 が筒形ピース１７に上から当接し、且つボールシート１３に内接する合成樹脂製 のキャップ１８を上から被せ、キャップ１８とボールシート１３を超音波溶着等 の適宜の固定手段で固定し、筒形ピース１７からの抜けを防止する。又、ボール シート１３の内周と、そこに首振り可能に保持されたスタッドボールの球状頭部 １２の間にごみ等が入るのを防止するためスタッドボールのスタッド軸１１′に 嵌めたダストカバー１９の上端部をボールシートの張出部１５に被せ、止め輪２ ０で固定する。

【０００７】 スタビライザーリンク１６の一端側のボールジョイントのスタッド軸１１ａは 左又は右の車輪の車軸側に取付け、他端側のボールジョイントのスタッド軸１１ ｂはその車輪に対応したトーションバーに取付ける。これによって自動車の走行 中、スタビライザーが機能する際、ボールシート１３はスタッドボールの球状頭 部１２による圧縮荷重と、その首振り回転による摩擦力を受けるが、ボールシー ト１３と、筒形ピース１７とは多角形同志で係合した多角嵌合をしているため筒 形ピース、ひいてはスタビライザーリンク１６に対して回転することを阻止され る。 尚、この実施例ではボールシートの外形と、筒形ピースの内形は八角形である が、六角形等その他の多角形でもよい。

【０００８】

【考案の効果】

本考案によるボールシートと筒形ピースの多角嵌合は以下に列挙する効果を有 する。 ａ）ボールシートの回転方向の入力に対して回ることなく充分に耐え、先行提案 の凹凸嵌合と同等の機能が得られる。 ｂ）筒形ピースは、一般的なパイプ材を引抜き工法により多角形にし、これを輪 切りに切削して製造できるので、製造が容易である上に、機能、精度も容易に得 ることができ、コストメリットが大である。 ｃ）筒形ピースを多角形の引抜き管から輪切りに切削する際、切削方向に対して 多角形の側面（辺）が図３に示すように回転切削方向に近い角度（θ₂ ）をもっ ているため、バリの発生が軽減する。 ｄ）上記ｂ，ｃによって加工工程が大幅に短縮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例のボールジョイントを備えた
スタビライザーリンクの一部を断面にした側面図であ
る。

【図２】図１のボールジョイントの横断面図である。

【図３】図１のボールジョイントの筒形ピースの端面の
切削状態を示す説明図である。

【図４】先行提案のボールジョイントの横断面図であ
る。

【図５】先行提案のボールジョイントの筒形ピースの端
面切削状態を示す説明図である。

【符号の説明】

１１ スタッドボール １２ スタッドボールの球状頭部 １３ ボールシート １３′ ボールシートの外形 １６ スタビライザーリンク １７ 筒形ピース １７′ 筒形ピースの内形

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 スタッドボールの球状頭部を内周に首振
   り可能に保持した合成樹脂製のボールシートを、スタビ
   ライザーリンクに固定された筒形ピースの内周に嵌合し
   たスタビライザー用ボールジョイントにおいて、上記ボ
   ールシートの外形と、筒形ピースの内形を互いに嵌合す
   る多角形にしたことを特徴とするスタビライザー用ボー
   ルジョイント。