JPH057348Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はビル建築における衛生器具設備構造に
関するものであり、詳しくはGRCパネルを用い
ており、配管のメンテナンスが容易になるように
改良させると共に、パネルの耐久性、耐衝撃性が
向上された上記設備構造に関するものである。

［従来の技術］ ビル建築において衛生器具例えば小便器を設置
する場合、従来次の二つの工法が主として行なわ
れている。

湿式工法 この湿式工法は、コンクリートブロツクによる
在来工法であつて、まず給水管及び排水管を所定
位置に立ち上げてから、ブロツク工がコンクリー
トブロツクを積み、そして壁タイル下地モルタル
仕上げを行なつてから壁タイルを貼り、トイレブ
ースを取り付ける。

乾式工法 この乾式工法は軽鉄フレームとタイルパネル工
法とを組み合わせたものであり、基準となるコン
クリート壁面に軽鉄フレームを設置し、そのフレ
ームに予め工場内で石綿セメント板に接着剤でタ
イルを貼り付けたタイルパネルを取り付け、その
後トイレブースを取り付けるものである。なおこ
の乾式工法は工程の短縮化、業種の簡素化などを
図るために近年実用化されたものである。

［考案が解決しようとする問題点］ 上記従来の工法においては、いずれも配管詰ま
りや点検作業等のメンテナンスがむずかしいとい
う問題がある。即ち、湿式工法によれば配管はブ
ロツク内に埋つており、また乾式工法によつても
パネルに排水管接続用孔が設けてあるだけでパネ
ル裏側の補修、点検はできない。従つて、特に配
管詰まりが生じた場合にはブロツクを破壊するか
（湿式工法の場合）パネルを破壊せねばならない
（乾式工法の場合）等の不具合があつた。

また、従来の乾式工法では、軽鉄フレームに防
錆処理を施してあるもののフレームの小口部より
錆の発生する可能性があり、軽鉄フレームに耐久
性が劣るという問題があつた。

また、従来の乾式工法においては、用いる石綿
セメント板（スレート）は衝撃強度が低いので、
大きな衝撃が加えられたときに壁面が破壊される
という問題がある。なお従来の乾式工法において
はパネルは接着材を併用したタツピングビスでパ
ネルとフレームとを止め付けている。

さらに、排水管が円管であるため、排水流れを
円滑にするための通気管が必要であつた。

加えて、小便器においては塵やたばこの葉など
により排水管詰まりを生じ易いのであるが、上記
の如く従来においてはブロツク又はパネルを破壊
しなければ補修ができず、かかる不具合のない保
守管理の容易な乾式工法が提供されることが期待
されている。

［問題点を解決するための手段］ 本考案のビル建築における衛生器具設置構造に
おいては、透孔が開設されたGRC（ガラス繊維強
化セメント）パネルを壁面にアングル材で直接に
取り付けこの透孔を覆うようにGRCパネルの表
側から衛生器具を取り付けるようにした。また横
引排水管の管横断面形状を上部位置程流路幅大な
る異形断面とした。

［作用］ 本考案の衛生器具設備構造においては、横引排
水管の流路上層ほど幅が広いので、トラツプ封水
切れ現象の生ずるおそれがないため、通気管を設
ける必要がなく、さらに排水を円滑に送出するこ
とができる。また衛生器具を取り外すと、GRC
パネルの透孔が表れるので、この透孔を利用して
配管の点検が行なえると共に、GRCパネルの取
り外しも容易に行なうことができるようになる。
また、GRCパネルの曲げ強度、衝撃強度が高い
ことを利用し、GRCパネルをアングル材で壁面
に直接に取り付け、耐久性の高い衛生器具設置構
造とできる。更に、このGRCパネルは造形性が
高く、任意形状のものを容易に製造でき、しかも
タイルやクロス仕上げなどを自由に施すことがで
きる。

［実施例］ 以下図面に示す実施例を参照しながら本考案に
ついて更に詳細に説明する。

第１図は本考案の実施例に係るビル建築におけ
る衛生器具設置構造を示す正面図、第２図は第１
図−線に沿う断面図、第３図は第１図−
線に沿う断面図、第４図は第１図の−線に沿
う拡大断面図である。また第５図ないし第９図の
各図はGRCパネルの形状説明図である。

第１〜４図において符号１はビルの本体を構成
する壁面、２は同床面である。壁面１からは仕切
壁３が延出しており、この仕切壁３からは隠し壁
４が壁面１と平行方向に延出している。仕切壁３
の中途高さのレベルには棚板５が水平方向に設置
され、この棚板５の前縁側にGRCパネル６が鉛
直姿勢に取り付けられている。

なお、前記仕切壁３内には給水管７と排水管８
とが配設されており、棚板５とGRCパネル６と
で囲まれるGRCパネル背後空間９にそれぞれの
先端が延在している。

GRCパネル６には、第５図、第７図、第８図
にも示すように、その上下および左右の中央部分
に透孔１０が開設されている。この透孔１０は、
本実施例では略正方形状とされており、後述の小
便器の幅よりも若干短い一辺の長さを有してい
る。この透孔１０の下方位置には排水管を抜き出
すための円形開孔１１が開設され、また透孔１０
の上方には給水管を抜き出すための円形開孔１２
が設けられている。符号１３は人体感知センサを
設置するための開孔である。

このGRCパネル６は第６図〜第９図に示すよ
うにその４周囲部分及び中ほどの上段及び下段部
分に補強部６ａ，６ｂが設けられており、GRC
パネル６の剛性を高めている。

また、第２図、第４図に示されるように、給水
管７は横断面円形の円管であるが、排水管８の横
引き配管部８Ａは横断面形状が上層部程流路幅大
となる卵型の異形断面管となつている。なお符号
２５は小便器２１からの排水を排水管の横引き配
管部８Ａに導く排水管で、これは通常の円管で構
成されている。横引配管部８Ａ位置に、一般に使
用する円管を用いた場合には、円管内が排水で満
杯となりやすく、満杯となると吸引力がなくなつ
てトラツプ封水切れが起る。このトラツプ封水切
れ防ぐためには円管に通気管を設ける必要があ
り、それだけ配管作業が面倒となる。しかし本実
施例のように、横引配管部８Ａに卵型の異形断面
管を用いた場合には流路上層部が下層部に比べて
広く、上層部に必ず空気層が形成されるので、ト
ラツプ封水切れが生ずることがない。またトラツ
プ封水切れが生じないので円管の場合よりも流速
が大きく、管詰りもなく排水の送出もスムーズに
行われ、衛生面においても優れたものとなる。な
お、卵型断面に代えて、カマボコ形や楕円形断面
とした場合にも同様の効果がある。

次に第４図を参照しながら、このGRCパネル
６への小便器の取付構造を詳細に説明する。符号
１４はＬ字断面形状のアングル材であり、一方の
辺部がボルト１５により仕切壁３に止め付けられ
ている。符号１７は異なるＬ字断面形状のアング
ル材であり、GRCパネル６の補強部６ａの裏側
にボルト１７により止め付けられている。そし
て、ボルト１８及びナツト１９によりこれらアン
グル材１４，１６が固着され、GRCパネル６の
仕切壁３への取り付けがなされている。

しかしてGRCパネル６の透孔１０を覆うよう
にGRCパネル６の前面側に小便器２１が装着さ
れ、化粧ボルト２２及びナツト２３によりGRC
パネル６に取り付けられている。符号２４は給水
管であり給水管（本管）７と小便器２１とを連結
している。また排水管２５は排水管（本管）８と
小便器２１とを接続している。なおこれら給水管
２４及び排水管２５はそれぞれ前記の如くGRC
パネル６に開設された開孔１１，１２を貫通して
配設されている。なお符号２６はGRCパネル６
と床面２との間に充填された樹脂モルタル、２７
はこの樹脂モルタル２６をバツクアツプするバツ
クアツプ材である。また符号２８は床材を示す。

なお第４図に示す如く、棚板５は支持板部５ａ
と化粧板部５ｂとからなつており、支持板部５ａ
はボルト５ｃによつて仕切壁３に取り付けられた
アングル材５ｄを介して仕切壁３に固定されてお
り、化粧板部５ｂはこの基板部５ａに接着剤等に
より固着されている。符号２９は壁仕上材を示
す。

このように構成された衛生器具設置構造におい
ては、例えば次のようにして組み立てられる。即
ち、GRCパネル６を図示の如く仕切壁３の所定
距離前方位置に配置しボルト締めして固定する。
次に給水管２４及び排水管２５をそれぞれ給水本
管７及び排水本管８に接続しGRCパネル６の前
面側もしくはGRCパネル６とほぼ面一となるよ
うに引き出す。次にGRCパネル６の前面にタイ
ル２０を貼り付けたり化粧クロスを貼り付ける等
して更に所望により塗装仕上げを施す。然る後小
便器２１をGRCパネル６に取り付け、配管２４，
２５との接続を行なう。

このように構成されたビル建築における衛生器
具設置構造では、排水管８の横引配管部８Ａがト
ラツプ封水切れが生じにくい断面形状となつてい
るので、排水管８の詰りがなく、スムーズな排水
の流れを確保できる。また、例えば排水管２５に
詰まりが生じ補修を行なう必要が生じた場合に
は、給水管２４と小便器２１との連結を解除した
後化粧ボルト２２を取り外し、小便器２１を
GRCパネル６から取り外す。そうすると、透孔
１０が露出するので、この透孔１０を通して排水
管２５の点検、補修を容易に行なうことができ
る。修理終了後には逆の手順により小便器２１を
取り付け直ちに再使用することができる。

このように、本考案構造によれば排水管の詰り
がなく排水を確実に送出できる。また配管等の補
修が極めて簡単に行なえ、さらに定期点検を容易
に行なえるから漏水箇所の早期発見を行なうこと
が可能になる。また、本考案においてはパネルと
してGRCパネルを採用しているから、その表面
にタイルや化粧クロス、塗装仕上げなど自由に仕
上処理を施すことができる。またGRCパネルは
造形性が高いから任意の曲面を高精度で作り出す
ことが可能になり、従来のフラツトな壁面と異な
り、デザイン性の優れた湾曲面をもつ壁構造とす
ることができる。

なお本実施例構造においては、GRCパネル６
に補強部６ａ，６ｂを設けGRCパネル６それ自
身に剛性及び強度を持たせているため錆の危険が
ある軽鉄フレームを使用する必要がなく、その耐
久性も高い。なお、GRCは耐衝撃性に優れてい
るから、多少の衝撃が加えられても従来の石綿ス
レート板の如く破壊することがなく、この点にお
いても耐久性に優れたものとなる。

第１０図〜第１２図に本考案の第２の実施例を
示すものである。第１０図は縦断面図であり、前
記第１の実施例の第４図に相当する。また、第１
１図は排水管の横引配管部の正面図、第１２図は
第１１図の−線に沿う断面をそれぞれ示
している。

前記した第１の実施例（第１図〜第９図参照）
では、給水管７や排水管８等の配管部はすべて
GRCパネル６から離して配置された構造となつ
ているが、本実施例では給水管７の横引配管部７
Ａ及び排水管の横引配管部８ＡがそれぞれGRC
パネル６内に埋込まれてGRCパネル６と一体化
された構造となつている。

横引配管部８Ａは小便器２１の排水口に対応す
る位置に配設されている。そして、前記第１の実
施例で示す排水管２５が省略され、この横引配管
部８Ａと小便器２１の排水口とは直接に接続され
ている。また、GRCパネルの裏側位置で水平に
延びている下段補強部６ａがこの横引配管部８Ａ
の下方位置にずらしてある。

このような横引配管部７Ａ，８Ａを埋込んだ
GRCパネルを製造するには、まず横引配管部７
Ａ，８Ａを配設する箇所を除いてGRCパネルを
成形する。次いで外周面に目荒し処理やプライマ
処理を施してGRCとの密着性を高めた横引配管
部７Ａ，８Ａを所定位置に配置し、この上に
GRCをオーバーレイして横引配管部７Ａ，８Ａ
を埋込んだGRCパネルとする。なお横引配管部
７Ａ，８ＡをオーバーレイするGRCオーバーレ
イ部は符号６ｃで示している。その他の構成は前
記第１の実施例と同一であるため、同一の符号を
付すことによりその説明は省略する。

なお、この横引配管を埋込んだGRCパネルを
２連以上連立させる場合には、第１１図、第１２
図に示すように配管部８Ａ端部に突設されている
フランジ８Ｂを互いにボルト・ナツト４０で締付
けることにより接続すればよい。

この第２の実施例では、前記第１の実施例と同
様の効果に加えて次のような効果がある。

即ち、GRCパネルに横引配管部７Ａ，８Ａが
一体に埋込まれているので、パネルの構造強度が
それだけ大きくなつている。また、横引配管工事
がそれだけ楽となつて施工作業が容易となる。さ
らに、GRCパネルに埋込まれている部分が錆に
くくなつているので、それだけ配管の耐久性が高
められている。

なお上記の説明は便器を設置した構造に関する
ものであるが、本考案においては洗面器や掃除流
しを壁に取り付けたり、或いは洋風便器等を床に
設置する場合にも上記と同様の構成となし同様の
作用効果を得ることが可能である。

［考案の効果］ 以上の説明から明らかな通り、本考案のビル建
築における衛生器具設置構造によれば、 配管類の保守管理が極めて容易である。

排水管の詰まりや漏水が生じても、その修繕
を短時間で行ない直ちに再使用することが可能
である。

排水管を特有な異形断面形状としたので、ト
ラツプ封水切れがなく、通気管が不要である。

また、該断面形状としたので、排水管内にお
ける流速が停滞しないので、横引配管の水勾配
が不要である。

パネルの施工性、耐久性、耐衝撃性が高く耐
久性に優れる。

表面仕上げも自在になすことができ、また任
意の曲面を有するものを自在に造形することが
可能であり、デザイン性に優れた構造を容易に
得ることができる。

等の幾多の優れた効果が奏される。

また、GRCパネル裏面に配管を埋込むように
すれば、工事の簡略化、配管耐久性の向上等の効
果も得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例構造を説明する正面
図、第２図は第１図−線に沿う断面図、第３
図は第１図−線に沿う断面図、第４図は実施
例構造を説明する拡大断面図、第５図はGRCパ
ネル６の正面図、第６図は同平面図、第７図は同
背面図、第８図は第７図−線に沿う断面図、
第９図は第７図の−線に沿う断面図である。
第１０図は本考案の他の実施例構造を説明する縦
断面図、第１１図はその要部正面図、第１２図は
第１１図−線に沿う断面図である。 １……壁面、２……床面、３……仕切壁、６…
…GRCパネル、７，２４……給水管、７Ａ……
給水管の横引配管部、８，２５……排水管、８Ａ
……排水管の横引配管部、１０……透孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) GRCパネルを壁面に直接にアングル材で取
   り付け、該GRCパネルの表側に衛生器具を取
   り付けると共に該GRCパネルの裏側に配管施
   工を施した衛生器具設備構造であつて、該
   GRCパネルに透孔を開設し、この透孔を塞ぐ
   ように前記衛生器具を取り付け、かつ、前記配
   管のうち排水を送出する横引排水管の管横断面
   形状を上部位置程流路幅大なる異形断面とした
   ことを特徴とするビル建築における衛生器具設
   置構造。 (2) 前記GRCパネルの裏側に配設される配管の
   うち、横引きする給水管及び排水管をGRCパ
   ネル内に埋込んでGRCパネルと一体化したこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   に記載の衛生器具設置構造。