JPH0572334B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、精密光学部品などの熱間プレス成形
の際に用いられるガラスのプレス成形品の離型装
置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、加熱軟化させたガラス素材をプレス型内
で成形した後、プレス型内より成形品を離型（取
り出す）する場合、特開昭59−203732号公報に提
案されているように、プレス型の一部をガラス素
材の供給治具及び離型用の治具として兼用する方
法が採られていた。

しかし、この従来方法においては、プレス型の
一部が上記のようにガラス成形品を離型の際の治
具として用い型内で搬送した後、半径方向に分割
して行なうので、ガラス素材をプレス型に供給し
た後、所定の成形温度にプレス型が加熱されるの
に時間を要し、従つて、１回の成形に要する時間
が長くなると云う問題があつた。また、プレス型
の一部をガラス素材の供給と離型に使用している
ため、成形品の形状変更等に伴ない、この供給、
離型用の治具を交換する必要があり、プレス型の
加工費が高価になると共に、プレス型の交換にも
時間を多く要していた。

〔発明が解決しようとする問題〕

上記従来の方法では、プレス素材の供給と離型
とをプレス型の一部を介し行なうと共に離型の際
に型内で搬送を行なうために、プレス型に挿入さ
れたプレス素材をプレス用の所定の成形温度にプ
レス型が加熱されるまでに時間を要し、このため
１回の成形に要する時間を長く要し、また、プレ
ス型加工費が高価である等の問題があつた。ま
た、ガラス成形品を吸着する吸着板の吸着面が傾
いていたり、ガラス成形品と吸着面との位置ずれ
が生じていた場合等、真空吸引不良となり確実な
吸着ができないという問題があつた。

本発明はこれに鑑み、プレス型と離型装置とを
分離するように形成し、ガラス成形品を離型後
に、直ちに所定のプレス温度にプレス型を加熱で
きるようにして生産性が向上できるガラスのプレ
ス成形品の離型装置を提供することを目的とした
ものである。

〔問題を解決するための手段〕

そこで、本発明では、プレス型内からガラス成
形品１を形状精度を損なわないで迅速に取り出す
ために、従来の離型のようにプレス型の一部を利
用する方法を用いないで、プレス型とは別個に真
空チヤツク１４からなる真空吸引式の離型装置と
したものである。そして、この搬送装置は、プレ
ス整形したガラス成形品をプレス型内から取り出
すよう、該プレス型の上型が上昇された後、下型
下部に真空チヤツクが進入し、前記真空チヤツク
が前記ガラス成形品を吸着して搬送路まで搬送す
ると共に、前記プレス型内へのガラス素材の供給
動作及び前記プレス型のプレス成形温度への加熱
操作が前記真空チヤツクがガラス成形品を吸着し
てプレス型から離れると直ちに行われよう構成さ
れており、前記真空チヤツクは真空源に連通され
たホルダーと、耐熱性を有する材料から形成され
前記下型上の前記ガラス成形品を吸着固定する円
錐形の吸着面を有する吸着板と、前記ホルダーと
前記吸着板との間に配置されてこれらを連結し、
高温で弾性力を保持し得るベローズとから構成さ
れており、前記搬送路は搬送された前記ガラス成
形品の形状を損なわないよう所定温度に加熱され
ているので、効率よく離型ができ、１回当りの成
形時間を短縮できる。

〔作用〕

第９図のように所定のプレス温度に加熱された
下型８上に所定の温度に加熱されたガラス素材１
ａが送り込まれた後、上型７が胴型９に案内され
第６図のように下降してプレスされる。プレス
後、第７図のように上型７が上げられた後へ下型
８上に真空チヤツク１４が進入し下型８の上昇に
よりガラス成形品１の曲面上に吸着板２が接し真
空源を介し真空吸着し第８図、第９図のようにホ
ルダー４がシユーター１２へ落下用穴６ｃ上に駆
動されシユーター１２内へガラス成形品１を落下
させる。プレス型加熱はガラス成形品１が離型後
直ちに開始され、以下上記の動作が繰り返えされ
る。

〔実施例〕

以下本発明のガラスのプレス成形品の離型装置
を実施例を用いて説明する。本実施例はプレス型
からガラス成形品を離型するのに真空吸着方式を
用いており、室温で用いる吸引チヤツクの場合に
は、一般に成形品と接触する部分は、ゴム製品の
弾力性を利用し真空状態の保持が容易に得られる
ようになつている。しかし、本実施例の離型装置
は、300〜700℃と云う著しく高い温度領域での使
用であり、上記のゴム製品の利用は不可能であ
る。そのため、離型装置の吸引チヤツクの材質
は、ステンレス鋼、Ti合金その他の耐熱材料を
使用すると共に、接触部の形状を成形品に近似さ
せたり、もしくは、接触部に20〜100μｍの金属
薄板を用い金属薄板の弾力によりガラス成形品と
真空チヤツクとの真空状態を保持し易くしてい
る。真空チヤツクの一部に金属製のベローズを設
け、このベローズの自由度を利用して真空チヤツ
クとガラス成形品の相互位置がずれてもガラス成
形品を安定して吸引できるようにしている。以下
詳細を第１図ないし第５図により説明する。第１
図は正面断面図、第２図は第１図の−矢視断
面図、第３図、第４図はそれぞれ第１図の吸着板
の詳細図、第５図は第１図の吸着板によりガラス
成形品を吸着する際の吸着板とガラス成形品との
位置がずれた状態の説明図である。図において、
１はガラス成形品、２はガラス成形品１をプレス
型より取り出すための離型装置の吸着板、３は弾
力性を有するベローズ、４はベローズ３を介在し
吸着板２を固定するホルダー、５はホルダー４に
連通した中空穴５ａを有するプツシヤーである。
プツシヤー５の一方の端は駆動機構（図示せず）
に接続され、第７図、第８図に示す水平方向X₁
−X₂に移動し、かつ、中空穴５ａを介し真空吸
引可能な機能（真空吸引用の真空ポンプ機構は図
示せず）を有している。

６ａはホルダー４のX₁−X₂方向の水平移動時
の案内をするためのガイド、６ｂはホルダーの案
内とガラス素材１ａ（第９図参照）をプレス型内
に供給する際の案内用ガイドである。尚、第６図
ないし第９図は本実施例においてプレス型内での
ガラス成形、成形品の取出し及び保管までの作業
説明図である。そして、第６図ないし第９図にお
いて、７はガラス素材１ａを成形するための上
型、８は下型、９はプレス成形時の上型７及び下
型８の上下移動時の案内と、ガラス成形品１の外
径を決めるための銅型である。１０は胴型９をプ
レス装置（図示せず）に固定するためのベース、
１１は胴型９をベース１０に固定するためのボル
トである。また、１２はガラス成形品を受け取り
保管箱（図示せず）へ搬送するためのシユータ
ー、１３はプレス型府へガラス素材１ａを供給す
るためのプツシヤーである。

上記の構造において、ガラス成形品１のプレス
型からの取出し並びに搬送の方法を以下に説明す
る。ガラス成形品１のプレス型からの取出し離型
は、第１図ないし第５図に示す離型装置の吸着板
２、ベローズ３、ホルダー４及びプツシヤー５か
らなる真空チヤツク１４の吸着板２を用いて行な
う。ガラス成形品１を吸着板２に吸着するには、
ホルダー４に設けた吸引穴４ａ及びプツシヤー５
の中空穴５ａを介し真空ポンプに連通させ吸着板
２の円錐面２ａとガラス成形品１との間を真空状
態に保持することにより行なう。吸着板２の形状
は第３図に示すような円錐面２ａをガラス成形品
１の曲面に近似させた剛体、あるいは第４図に示
すような弾力性を有する板厚0.02〜0.2mm程度の
金属薄板を用いる。尚、この場合の吸着板２はベ
ローズ３の先端を加工したものでもよい。

ベローズ３は吸着板２によりガラス成形品１を
吸着するに当り第５図に示すように、吸着板２及
びガラス成形品１のそれぞれの中心がずれ量Ｓ１
で示すように若干ずれることがあつても、吸着板
２の円錐面２ａガラス成形品１の曲面に適切に接
触するために、曲がつたり、あるいは伸縮ができ
るようになつている。また、吸着板２、ベローズ
３、ホルダー４及びプツシヤー５の材質は、高温
下での使用に耐える耐熱合金材を用いており、特
に、吸着板２及びベローズ３は高温で弾力性を保
持する必要がありNi基の合金を用いている。

そして、真空チヤツク１４の吸着板２のプレス
型内への移動及びガラス成形品１を吸着板２から
保管箱へ自然落下させるためのシユーター１２上
までの水平移動に当つては、溝状のガイド６ａ上
を摺動して行なう。ガイド６ａは、真空チヤツク
のホルダー４の下部に即壁を相対した凹型の溝を
有し、吸着板２を安定し水平に案内できるように
形成されている。

第６図は、プレス成形中のプレス型と離型装置
の真空チヤツク１４の位置関係を示す。この場
合、プレス型の上型７と下型８との間でガラス成
形品１が成形される。プレス成形中の真空チヤツ
ク１４の吸着板２の位置は、図示の如くガイド６
ａ上のガラス成形品１をシユーター１２上に落下
させるための落下用穴６ｃの上部である。プレス
成形中のプレス型の温度は、光学材料のBK７を
例にとれば約600℃である。プレス成形後、約550
℃までプレス型を冷却することによりガラス成形
品１の形状が損なわれないようになりこの状態で
真空チヤツク１４の吸着板２にガラス成形品１を
吸引する。この場合に、吸着板２、シユーター１
２及び保管箱は、450〜550℃に加熱して置く。こ
れにより、プレス型からガラス成形品を取り出
し、保管箱へ搬送する途中の急激な冷却によるガ
ラス成形品の変形や割れの発生を防止できる。そ
のことは、ガラス成形品を成形した後、直ちに搬
送を開始できることを意味し、後述するプレス型
内へのガラス素材１ａの供給動作、及びプレス型
のプレス成形温度への加熱操作を真空チヤツク１
４がガラス成形品を吸着してプレス型から離れる
と直ちに行うことと組み合わされ、成形時間を一
層短縮できるという効果がある。

第７図は、プレス成形後、ガラス成形品１をプ
レス型内より離型する際のプレス型と真空チヤツ
ク１４の位置関係を示す。プレス成形が終了する
と、ガラス成形品１が離型できる温度の約550℃
までプレス型が冷却される。同時に上型７が所定
の位置に上昇し、次に、真空チヤツク１４がプツ
シヤー５によりガイド６ａの溝上をＸ１方向に押
圧摺動され、プレス型の胴型９の中間部に軸方向
に直交し設けられた開口部９ａ，９ｂを通りプレ
ス型の中心部に移動する。次に下型８を図示の位
置まで上昇させる。そして、離型装置の真空ポン
プを動作させ、ガラス成形品１を吸着板２に吸着
する。

第８図はガラス成形品１を真空チヤツクの吸着
板２に吸着した後、保管箱へ搬送する際のプレス
型と真空チヤツク１４の位置関係を示す。ガラス
成形品１を吸着板２に吸着すると、プレス型の下
型８が下降する。次に、真空チヤツク１４がプツ
シヤー５によりガイド６ａの溝上を矢印Ｘ２方向
へ移動する。

第９図は、真空チヤツク１４の吸着板２をガイ
ド６ａの落下用穴６ｃ位置まで搬送し、ガラス成
形品１をシユーター１２の上に落下させる際の真
空チヤツク１４、プレス型及びガラス素材１ａを
供給するためのプツシヤー１３の位置関係を示
す。真空チヤツク１４をガイド６ａの凹溝上をＸ
２方向へ移動させ、落下用穴６ｃの上部に停止さ
せる。次に、離型装置の真空ポンプの動作を停止
させガラス成形品１を吸着板２より離隔させ落下
用穴６ｃからシユーター１２上に落下させる。シ
ユーター１２に落下したガラス成形品１は、シユ
ーター１２の斜面を滑り落ち保管箱へ収納され
る。

上記した第６図ないし第９図の一連の操作の間
に、プレス型へガラス素材１ａが供給される。プ
レス型内へのガラス素材１ａの供給は、予め、別
の加熱炉（図示せず）を用いてガラス素材１ａを
プレス成形温度の約650℃近傍まで加熱して置く。
そして、プツシヤー１３を用いて案内ガイド６ｂ
の凹溝上をガラス素材１ａを転がしながら矢印Ｘ
３の方向へ搬送し、胴型９の開口部９ｂを通して
プレス型内の下型８の上部へ挿入して行なう。プ
レス型内へのガラス素材１ａの供給動作は、第８
図に示す状態にプレス型から真空チヤツク１４及
びガラス成形品１が離れると直ちに行なうことが
できる。また、プレス型のプレス成形温度への加
熱操作も、上記した状態に真空チヤツク１４が離
れると行なうことができる。上記した第６図ない
し第９図に示す一連の行程を繰り返えすことによ
り、プレス型内で成形したガラス成形品１を連続
的に離型し保管箱内へ保管することができる。

このように本実施例のガラスのプレス成形品の
離型装置においては、プレス型とは別構造の真空
チヤツクからなる離型装置を設け、この真空チヤ
ツクがプレス型上部に移動自在に形成されると共
に、この真空チヤツクが、真空源に連通されたホ
ルダーと、ガラス成形品に接する耐熱性を有する
材料から形成された吸着板と、上記ホルダー及び
該吸着板間に配設され耐熱性を有する金属材料か
ら形成されたベローズとから構成されているの
で、従来のプレス型内の離型装置に比べ成形時間
が2/3程度に短縮でき生産性の向上が可能である。
また、金属製のベローズを設けたことにより、吸
着板とガラス成形品との間に位置ずれが生じて
も、金属ベローズ３の曲がり、あるいは伸縮によ
る作用で、吸着板の円錐面がガラス成形品の曲面
に適切に接触するため安定して円滑に成形品を吸
着できる。さらに、吸着板に、板厚が0.02〜0.2
mmの耐熱合金の薄板を用いたことにより、吸着板
の弾力性により吸着板の円錐面が、ガラス成形品
の曲面に適切に接触し安定し成形品を吸着でき
る。そして、プレス型は構造が簡略化され加工費
が低減されプレス型の交換時間も短縮される。

〔発明の効果〕

以上記述した如く本発明のガラスのプレス成形
品の離型装置は、従来に比べ著しく生産性を向上
できる効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のガラスのプレス成形品の離型
装置の実施例の正面断面図、第２図は第１図の
−矢視断面図、第３図、第４図はそれぞれ第１
図の吸着板の異なる例の詳細図、第５図は第１図
の吸着板によりガラス成形品を吸着する際の吸着
板とガラス成形品との位置がずれた状態の説明
図、第６図ないし第９図は第１図の真空チヤツク
のプレス作業工程内における作業説明図である。 １……ガラス成形品、２……吸着板、３……ベ
ローズ、４……ホルダー、７……上型、８……下
型、１４……真空チヤツク。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ プレス整形したガラス成形品をプレス型内か
   ら取り出すよう、該プレス型の上型が上昇された
   後、下型上部に真空チヤツクが進入し、前記真空
   チヤツクが前記ガラス成形品を吸着して搬送路ま
   で搬送すると共に、前記プレス型内へのガラス素
   材の供給動作及び前記プレス型のプレス成形温度
   への加熱操作が前記真空チヤツクがガラス成形品
   を吸着してプレス型から離れると直ちに行われよ
   う構成されており、 前記真空チヤツクは真空源に連通されたホルダ
   ーと、耐熱性を有する材料から形成され前記下型
   上の前記ガラス成形品を吸着固定する円錐形の吸
   着面を有する吸着板と、前記ホルダーと前記吸着
   板との間に配置されてこれらを連結し、高温で弾
   性力を保持し得るベローズとから構成されてお
   り、 前記搬送路は搬送された前記ガラス成形品の形
   状を損なわないよう所定温度に加熱されているこ
   とを特徴とするガラスのプレス成形品の搬送装
   置。 ２ 前記吸着板が、板厚0.02〜0.2mmの金属薄板
   により形成されている特許請求の範囲第１項記載
   のガラスのプレス成形品の搬送装置。