JPH057055B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は新規なカチオン界面活性剤に関し、そ
の目的とするところは皮膚に対する刺激性が小さ
く、毛髪あるいは繊維に対しすぐれた柔軟効果、
しつとりとしたしなやかな感触及び帯電防止効果
を与えるのみならず洗浄効果も付与する新しいカ
チオン界面活性剤を提供することにある。 繊維を洗浄した後、帯電防止性能及び柔軟性を
付与し、ふんわりとした仕上がりにするために、
あるいは毛髪をシヤンプーした後に柔軟性を与
え、しなやかさ、しつとり感、なめらかさをもた
せるために一般にカチオン界面活性剤を主成分と
した柔軟仕上剤、あるいはヘアーリンスが用いら
れている。カチオン界面活性剤はアニオンやノニ
オンなどの他の界面活性剤に比べカチオン部分が
毛髪や繊維に対する吸着力が強いために、カチオ
ン部を毛髪あるい繊維の表面に、疎水基を外側に
向けて吸着する機能を有している。この疎水基の
ために毛髪や繊維の表面の滑り性が良くなり、髪
の毛や繊維に柔軟性が付与される。カチオン界面
活性剤の中でも特に第４級アンモニウム塩は、酸
性からアルカリ性側までのあらゆるPHにおいてカ
チオン性を有しており、広域のPHで髪や繊維に対
する吸着性が良く、しかも他の１〜３級のカチオ
ン界面活性剤に比べ帯電防止性能が良好で、さら
に抗菌性を有するものも多いために、繊維柔軟仕
上剤あるいはリンス基剤として欠くことのできな
いものとなつている。かかる観点から、繊維柔軟
仕上剤としては、例えばジステアリルジメチルア
ンモニウムクロライド、リンス基剤としては例え
ばジステアリルジメチルアンモニウムクロライド
やステアリルトリメチルアンモニウムクロライド
の如き第４級アンモニウム塩のカチオン界面活性
剤が広く使われている。 従来のカチオン界面活性剤はこのようなすぐれ
た特性を有している反面、アニオンやノニオンな
どの他の界面活性剤に比べて皮膚刺激性や眼粘膜
刺激性の強いものが多く、特に直接皮膚や目にふ
れるリンスや繊維柔軟仕上剤においてはこれらカ
チオン界面活性剤の使用量を規定し、その配合量
もなるべく少なくしていく方向にあるのが現状で
ある。またカチオン界面活性剤の中で柔軟剤主基
剤として必須であるジステアリルジメチルアンモ
ニウムクロライドは水に対する溶解性が乏しく、
柔軟剤として高濃度の水溶液とするために可溶化
剤等を用いており、溶解性の良好なカチオン界面
活性剤が望まれている。さらにカチオン界面活性
剤は、一般にアニオン界面活性剤と混合すると、
水に不溶性の沈澱物を形成して了い、界面活性能
が著しく損われるためにアニオン界面活性剤と併
用することはできない。このために繊維に柔軟性
を付与させるには繊維を先ずアニオン系洗滌剤を
用いて洗濯し、すすぎ、次いでカチオン系の柔軟
仕上剤を添加することによつて柔軟仕上を行つて
いるし、毛髪に対してもシヤンプーで洗浄後、リ
ンス仕上する等、いずれの場合も２度手間がかか
り、その使用法が面倒であり、洗浄と柔軟効果を
同時に付与し得る柔軟剤の出現が望まれている。 本発明者は洗浄剤にも配合しえる新しい柔軟剤
について鋭意検討した結果、ある種のカチオン化
ポリオール長鎖脂肪酸エステル類を主要成分とす
るカチオン界面活性剤が従来のカチオン界面活性
剤に比べて皮膚刺激性が小さい上に柔軟効果、帯
電防止性能が良好で、水に対する溶解性も良く、
さらにアニオン界面活性剤と混合しても水に不溶
の沈澱物を作りにくい等、従来にない特性を見出
し本発明を完成した。 即ち、本発明のカチオン界面活性剤を、例えば
繊維柔軟仕上剤やリンスに用いれば、従来品より
皮膚刺激性が小さく、且つ吸水性、吸湿性が良
く、さらに洗濯洗剤やシヤンプーに配合すれば、
洗濯と柔軟仕上あるいはシヤンプーとリンス等を
同時に行なえる製品を提供することが可能であ
る。 本発明におけるカチオン界面活性剤は分子内に
少くとも３個の水酸基を有するポリオールが長鎖
脂肪酸で部分エステル化され、かつ残余の水酸基
の一部が３〜４級の窒素を含む基で置換されたと
ころのカチオン化ポリオール長鎖脂肪酸エステル
を活性成分として成る。ポリオール化合物の好ま
しい例としてはグリセリン、ジグリセリン、トリ
グリセリン、テトラグリセリン、ペンタエリスリ
トール、ジペンタエリスリトールやアラビノー
ス、キシロース、リボースなどのペントース類、
グルコース、ガラクトース、マンノース、フルク
トースなどのヘキソース類及びこれらがデオキシ
化されたデオキシ糖類、エトリツト、リビツト、
マドニツト、マンニツト、ガラクチツト、イミノ
トールなどの糖アルコール類、シヨ糖、ラクトー
ス、マルトースなどのオリゴ糖類等が挙げられ
る。これらのポリオールは混合物及びエチレンオ
キサイドあるいはプロピレンオキサイド付加体で
あつてもよい。又長鎖脂肪酸としては、炭素数８
〜22の長鎖又は分枝状の飽和又は不飽和脂肪酸、
好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチ
ン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪
酸、硬化牛脂脂肪酸等が挙げられる。またカチオ
ン部としてはハロゲン化アルキルアミン又はグリ
シジルアミン等から誘導される一般式 （但し、式中ｎは０〜４の整数、Ｒは水素又は
水酸基、R₁は水素、メチル基、エチル基又はベ
ンジル基、R₂及びR₃はメチル基、エチル基又は
ベンジル基もしくは

【式】が共になつて

〔測定条件〕

(1) 単独系での水に対する溶解性 界面活性剤の１％水溶液における25℃での溶解
性を示す。 (2) 市販アニオン界面活性剤との混合系での水に
対する溶解性 カチオン界面活性剤１％水溶液とアニオン界面
活性剤１％水溶液を等量ずつ混合し、振とうした
ときの25℃での溶解性を示す。 表中の略号 Ｓ：溶解 SH：やや白濁 Ｈ：白濁

【表】

〔実験方法〕

供試化合物の10％水溶液0.1mlをパツチテスト
用絆創膏に含ませ、これを14人の被験者（男10
人、女４人）の上腕屈腱に24時間貼付した。 判定：パツチ除去１時間及び24時間経過後次の基
準により行つた。 −：反応なし ±：正常ともとれるくらいの紅斑 ＋：紅斑 ＋＋：紅斑＋浮腫

〔測定条件〕

(1) 繊維の柔軟性 ３％硫酸水溶液中に１日浸漬し水洗した市販タ
オルを0.05％ノニオン界面活性剤（ポリオキシエ
チレンアルキルアリールエーテル）水溶液で洗
浄、水洗した後風乾してノリぬきタオルとした。 (i) 単独系 上記ノリぬきタオルを0.2％ドデシルベンゼン
スルホン酸ソーダ（LAS）水溶液にて縦横各20
回のもみ洗いをし、引き続き縦横各10回ずつのも
み洗いを３回繰り返して水洗した。このタオルを
0.017％カチオン界面活性剤試験水溶液中に40℃
で３分間浸漬した後風乾し試験用タオルとした。 (ii) アニオン界面活性剤との併用系 0.017％カチオン界面活性剤と0.05％LAS配合
水溶液にて(i)と同様に洗浄・水洗後風乾して試験
用タオルとした。 15人の熟練したパレラーを用い、LAS洗浄布
の柔軟性を２点、ジステアリルジメチルアンモニ
ウムクロライド処理布の柔軟性を７点とし、(i)，
(ii)それぞれの試験布について感触の柔かい程高得
点になるように点数をつけ、その平均点より試験
布の柔軟性を調べた。 (2) 帯電防止性能 カチオン界面活性剤試料125mgを直径18cmのシ
ヤーレーにとり、純水50mlを加え溶解させる。次
に10×10cmの羊毛布あるいは各種樹脂フイルムを
この溶液に25℃で２分間浸漬後、25℃湿度50％の
場所で一晩風乾する。同条件下にて表面固有抵抗
器（横河ヒユーレツトパツカードKK製：モデル
4329−Ａ）を用いて羊毛布あるいは樹脂フイルム
の表面固有抵抗を測定する。帯電防止性能は表面
固有抵抗値Ωで表わし、その値が小さいほど帯電
防止性能が強いことを表わす。

【表】 表３に示したように本発明化合物の中で特にジ
エステル体（Ｂ，Ｆ）及びトリエステル体（(H)は
市販の柔軟仕上基剤、ジステアリルジメチルアン
モニウムクロライドで処理した布に比べ、しなや
かでふつくらとした感触を有している。モノエス
テル体（Ａ，Ｃ，Ｄ，Ｅ，Ｇ）もステアリルトリ
メチルアンモニウムクロライドよりも良好な柔軟
性を有している。さらにアニオン界面活性剤と併
用しても良好な柔軟性を有している。

〔評価方法〕

20〜30代の女性パネラー10名を用い、まず市販
シヤンプーにて洗髪し、次に10mlの試料を用いて
リンスしたとき（指通し性、ぬめり性など）と、
乾燥時（髪のパサツキ感、しなやかさ、なめらか
さなど）の髪の感触を官能評価し、下記の基準に
従い点数をつけ、その平均点を示した。 しつとりしなやかな感じが強い やや良い ＋２ ＋１ ふつう やや劣る 劣る ０ −１ −２

【表】 表５から明らかなように本発明化合物をリンス
基剤として用いるとリンス時、乾燥時のいずれも
使用感の良いものが得られる。 実施例 ５ 繊維柔軟仕上剤 カチオン化ソルビトールジステアレート（本発
明化合物Ｂ） 10.0％ セチルアルコール 3.0％ プロピレングリコール 1.0％ 色素・香料 適量水 残部 計100％ 上記成分を配合して布に対し柔軟性良好な繊維
柔軟仕上剤が得られた。 実施例 ６ 柔軟剤配合洗剤 カチオン化シユークロースジステアレート（本
発明化合物Ｆ） 5.0％ ラウリル硫酸Na塩 20.0％ P.O.E(3)ラウリルエーテル硫酸Na塩 5.0％ 色素・香料 適量水 残部 計100％ 上記成分を配合することにより布に対し洗浄後
柔軟効果の良好な柔軟剤配合洗剤が得られた。 実施例 ７ 毛髪用リンス カチオン化ソルビトールジステアレート（本発
明化合物Ｂ） 3.0％ セチルアルコール 3.0％ ラノリンポリエチレングリコールエステル
3.0％ プロピレングリコール 1.0％ 色素・香料 適量水 残部 計100％ 上記配合組成物はリンス時には指通しが良くき
しみが無く、乾燥時には髪がばさつかず、しつと
りとしなやかな風合を与える。 実施例 ８ 柔軟性付与毛髪シヤンプー カチオン化ポリグリセリンモノステアレート
（本発明化合物Ｄ） 4.0％ ラウリル硫酸Na塩 20.0％ ニツコールＬ BL−4.2 １％ クエン酸 ２％ 香料 適量水 残部 計100％ 上記組成物は洗髪時にきしみが無く、乾燥時に
も髪がばさつかず、しつとりとした柔軟性を付与
する。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 分子内に少くとも３個の水酸基を有するポリ
   オール化合物が炭素数８〜22の長鎖脂肪酸で部分
   エステル化され、且つ残余の水酸基の一部が下記
   一般式で示される３〜４級の窒素含有基で置換さ
   れたところのカチオン化ポリオール長鎖脂肪酸エ
   ステルを活性成分としてなるカチオン界面活性剤 （但し、式中ｎは０〜４の整数、Ｒは水素又は
   水酸基、R₁は水素、メチル基、エチル基又はベ
   ンジル基、R₂及びR₃はメチル基、エチル基又は
   ベンジル基もしくは【式】が共になつて 【式】を示し、Ｘ はアニオンを示す）。