JPH0570400U - シートバックの表皮吊り込み構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 使用部品が少なく且つ材料費が易く、コスト
ダウンが図れると共に、表皮の縦方向吊り込みライン部
の吊り込み量が安定して、表皮のずれやたるみ・しわ等
が生じず、製品不良を解消できるシートバックの表皮吊
り込み構造を提供することにある。 【構成】 シートバック１のパッド３に被せられる表皮
４の縦方向吊り込みライン部Ｂの裏面に、この長手方向
に適当長さ連続して亘り吊り込み帯布１５を縫着すると
共に、この吊り込み帯布１５の下端を下方に引っ張って
Ｃリング１１によりパッド３内下部のワイヤ８に掛け止
めしたことを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は主に自動車などの車両用シートのシートバックの表皮吊り込み構造に 関し、特にシートバックの表皮の縦方向吊り込みライン部の吊り込み構造に関す る。

【０００２】

【従来の技術】

図５乃至図６に自動車などの車両用シートのシートバック１を示す。このシー トバック１はフレーム２に所要形状に一体発泡成形したパッド３を被せ、更にこ のパッド３の外周に表皮４を被せて構成されている。

【０００３】 この表皮４はパッド３の形状に合わせて立体的に裁断縫製したもので、前面部 分が略平坦なセンター部４ａと、この左右から前方に突出してサイドサポート的 な役目をなすサイド部４ｂ，４ｂと、その上側に配する上部４ｃとを有する構造 で、これらの各部４ａ〜４ｃがパッド３前面に沿ってたるみやしわなくフィット する状態となるように、センター部４ａと上部４ｃとの縫い合わせ部である横方 向吊り込みライン部Ａと、センター部４ａと左右のサイド部４ｂ，４ｂとの縫い 合わせ部である縦方向吊り込みライン部Ｂ，Ｂとが吊り込まれて凹んでいる。

【０００４】 その表皮４の吊り込み構造としては、まず、パッド３内の上部に予めワイヤ５ を一体発泡成形により設けておくと共に、表皮４のセンター部４ａと上部４ｃと の縫い合わせ部の裏面の横長な袋部に吊り込みワイヤ６を差し通すようにして設 け、この吊り込みワイヤ６を係止具である複数個のＣリング（ホグリンブ）７で パッド３内方に引っ張りながら上部ワイヤ５に掛け止めする。これで表皮４の横 方向吊り込みライン部Ａの吊り込みを行っている。

【０００５】 また、パッド３内下部にも前記同様にワイヤ８を予め一体発泡成形により設け ておくと共に、表皮４のセンター部４ａと左右のサイド部４ｂ，４ｂとの縫い合 わせ部の裏面にそれぞれ縦長な袋状の吊り込み帆布９を縫い付けておく。そして 前記上部の吊り込みワイヤ６に上端を連結した左右一対のゴムバンド１０を前記 左右の吊り込み帆布９に一本ずつ差し通して下方に貫通し、これらゴムバンド１ ０の下端をそれぞれ下方に引っ張って係止具であるＣリング１１により前記下部 のワイヤ８に掛け止めする。これで表皮４の左右の縦方向吊り込みライン部Ｂ， Ｂの吊り込みを行っている。

【０００６】 図９及び図１０は表皮吊り込み構造の別の従来例を示すもので、ここでは、表 皮４の横方向吊り込みライン部Ａの吊り込みは前述と同様であるが、表皮４の左 右の縦方向吊り込みライン部Ｂ，Ｂの吊り込みを雌・雄一対ずつの面ファスナー （ベルクロ）１２，１３を用いて行っている。つまりパッド３の前面部の左右寄 り部に縦長な雌の面ファスナー１２をそれぞれ一体発泡成形により予め設けてお くと共に、これらと対応するように表皮４のセンター部４ａ裏面左右寄り部に縦 長な雄の面ファスナー１３をそれぞれ縫い付け等により止め着して、パッド３に 表皮４を被せる際に、該雄の面ファスナー１３を雌の面ファスナー１２に重合し て係止させるることで、表皮４の左右の縦方向吊り込みライン部Ｂ，Ｂの吊り込 みを行っている。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、前述した従来の表皮吊り込み構造では、該表皮４の左右の縦方向吊 り込みライン部Ｂ，Ｂの吊り込みに不良発生が生じ易いと共に、コスト高を招く 問題がある。

【０００８】 つまり、前者の図５乃至図８に示した表皮吊り込み構造では、表皮４の裏面に 縦長な袋状の吊り込み帆布９を縫い付けると共に、これにゴムバンド１０を貫通 させて表皮４の左右の縦方向吊り込みライン部Ｂ，Ｂの吊り込みを行っているの で、部品点数が多く組付作業が面倒でコスト高を招く。またゴムバンド１０の引 っ張り代により表皮４のつり吊り込み量を調整しているために、表皮４の安定が 得られ難く、表皮４にたるみやしわが発生して製品不良を生じ易い。

【０００９】 後者の図９及び図１０に示した表皮吊り込み構造では、雌・雄の面ファスナー １２，１３を用いるので材料費が高くコスト高を招くと共に、その雌・雄の面フ ァスナー１２，１３の接合位置が不安定でずれを生じ、表皮４の安定が得られ難 く、表皮４にたるみやしわが発生して製品不良を生じ易い。

【００１０】 本考案は前記事情に鑑みなされ、その目的とするところは、使用部品が少なく 且つ材料費が易く、コストダウンが図れると共に、表皮の縦方向吊り込みライン 部の吊り込み量が安定して、表皮のずれやたるみ・しわ等が生じず、製品不良を 解消できるシートバックの表皮吊り込み構造を提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

本考案のシートバックの表皮吊り込み構造は、前記目的を達成するために、シ ートのシートバックのパッドに被せられる表皮の縦方向吊り込みライン部の裏面 に、この長手方向に適当長さ連続して亘り吊り込み帯布を縫着すると共に、この 吊り込み帯布の下端を下方に引っ張って係止具によりパッド内下部のワイヤに掛 け止めしたことを特徴とする。

【００１２】

【作用】

前記構成のシートバックの表皮吊り込み構造によれば、帆布地等の単なる吊り 込み帯布を表皮の縦方向吊り込みライン部の裏面に長手方向に亘り縫着して、こ の吊り込み帯布の下端を下方に引っ張って係止具によりパッド内下部のワイヤに 掛け止めするだけであるので、使用部品が少なく且つ材料費が易くなる。また吊 り込み帯布がゴムベルトの如く伸縮しないので、引っ張り代が安定すると共に、 雌・雄の面ファスナーの如く位置ずれを起こすこともなく、表皮の縦方向吊り込 みライン部の吊り込み量が安定して、表皮のずれやたるみ・しわ等が生じること がなくなる。

【００１３】

【実施例】 以下、本考案のシートバックの表皮吊り込み構造の一実施例を図１乃至図４に より説明する。なお、図中前述の図５乃至図１０に示した構成と重複するものに は同一符号を付して説明の簡略化を図る。

【００１４】 まず、表皮４の上部の横方向吊り込みライン部Ａの吊り込みは、従来同様に表 皮４のセンター部４ａと上部４ｃとの縫い合わせ部の裏面の横長な袋部に差し通 した吊り込みワイヤ６を、係止具である複数個のＣリング（ホグリンブ）７でパ ッド３内の上部に埋設したワイヤ５掛け止めすることで行っている。

【００１５】 一方、表皮４の左右の縦方向吊り込みライン部Ｂ，Ｂの吊り込み構造としては 、パッド３内下部にワイヤ８を予め一体発泡成形により設けておくと共に、表皮 ４のセンター部４ａと左右のサイド部４ｂ，４ｂとの縫い合わせ部である縦方向 吊り込みライン部Ｂ，Ｂの裏面に、この長手方向に適当長さ連続して亘り吊り込 み帯布１５を縫糸１６により縫着する。この吊り込み帯布１５は帆布地等の単な る帯布で、この下端に折り返しループ部１５ａを有する。この吊り込み帯布１５ の下端ループ部１５ａを下方に引っ張って係止具であるＣリング１１により前記 パッド３内下部のワイヤ８に掛け止めして、該表皮４の左右の縦方向吊り込みラ イン部Ｂ，Ｂの吊り込みを行っている。

【００１６】 なお、前記表皮４はソフトタッチのキルテングタイプのもので、図２に示す如 く、基布４１の上にウレタン等のワデング４２を介し表皮材４３を重着したもの である。

【００１７】 こうした構成の表皮吊り込み構造であれば、前述の如く帆布地等の単なる吊り 込み帯布１５を表皮４の裏面に適当長さ縦方向に亘り縫着し、この吊り込み帯布 １５の下端ループ部１５ａを下方に引っ張ってＣリング１１によりパッド４内下 部のワイヤ８に掛け止めするだけで、表皮４の左右の縦方向吊り込みライン部Ｂ ，Ｂの吊り込みを行っているので、使用部品が少なく且つ材料費が易く、コスト ダウンが図れるようになる。また吊り込み帯布１５がゴムベルトの如く伸縮しな いので、引っ張り代が安定すると共に、雌・雄の面ファスナーの如く位置ずれを 起こすこともなく、表皮４の縦方向吊り込みライン部Ｂ，Ｂの吊り込み量が安定 して、表皮のずれやたるみ・しわ等が生じることがなくなる。

【００１８】

【考案の効果】

本考案のシートバックの表皮吊り込み構造は、前述の如く構成したので、使用 部品が少なく且つ材料費が易く、コストダウンが図れると共に、表皮の縦方向吊 り込みライン部の吊り込み量が安定して、表皮のずれやたるみ・しわ等が生じず 、製品不良を解消できる効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のシートバックの表皮吊り込み構造の一
実施例を示す縦断面図。

【図２】（ａ）は図１のイ−イ線に沿う部分断面図、
（ｂ）は図１のロ−ロ線に沿う部分断面図。

【図３】同上実施例の斜視図。

【図４】図３のハ−ハ線に沿う断面図。

【図５】従来例を示すシートバックの斜視図。

【図６】図５のニ−ニ線に沿う断面図。

【図７】同上従来例の縦断面図。

【図８】図７のホ−ホ線に沿う部分断面図。

【図９】別な従来例を示すシートバックの斜視図。

【図１０】図９のヘ−ヘ線に沿う断面図。

【符号の説明】

１…シートバック、３…パッド、４…表皮、８…ワイ
ヤ、１１…係止具（Ｃリング）、１５…吊り込み帯布、
Ｂ…表皮の縦方向吊り込みライン部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートのシートバックのパッドに被せら
   れる表皮の縦方向吊り込みライン部の裏面に、この長手
   方向に適当長さ連続して亘り吊り込み帯布を縫着すると
   共に、この吊り込み帯布の下端を下方に引っ張って係止
   具によりパッド内下部のワイヤに掛け止めしたことを特
   徴とするシートバックの表皮吊り込み構造。