JPH0569210U

JPH0569210U - 板状部材の吊下金物挿通用貫通孔形状

Info

Publication number: JPH0569210U
Application number: JP881892U
Authority: JP
Inventors: 哲郎森; 全興藁科; 真人山田; 裕明池田; 恒則原田
Original assignee: Obayashi Corp
Current assignee: Obayashi Corp
Priority date: 1992-02-26
Filing date: 1992-02-26
Publication date: 1993-09-21

Abstract

(57)【要約】【目的】吊下金具の取付け作業性を改善し、また、吊
下金具による板状部材の傷付きを防止するとともに、貫
通孔の埋め戻しも簡単に行える板状部材の吊下金具挿通
用貫通孔形状を提供すること。【構成】吊下装置１に着脱される各ＰＣ床版８には、
前記吊下金具５の配置間隔に等しい間隔で一対の貫通孔
９が上下に貫通形成されている。この貫通孔９は全体と
して吊下金具５の外径よりやや大きく、かつ上部拡開
し、下部側に向けて先細りとなるテーパ孔に形成されて
いる。さらに貫通孔９の下面周縁において、ＰＣ版８に
は補強板１０が一体に埋設されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、床版，壁に用いられるＰＣ版などの板状部材をクレーンにより吊り上げて搬送する上で板状部材に対する吊下金具の取付け作業を簡単に行える貫通孔形状に関する。

【０００２】

【従来の技術】

床版などに用いられるＰＣ版をクレーンで吊りながら所定位置に搬送する場合、落下の危険性を防止するために、従来では例えば特開昭６３−１７７９１号公報に示される吊下金具が用いられている。この吊下金具は、パネルの上下を貫通して形成された一対の挿通孔に挿通されるとともに、下面にフランジ状のパネル受けを有する棒状のもので、各吊下金具のパネルからの上部突出端にワイヤを係止し、このワイヤをクレーンフックに玉掛し吊り上げるものである。

【０００３】また、単なるパネル受けであると脱着が不便であるため、ワイヤごと吊下金具をパネルに脱着するものとして吊下金具の下部にコッタを折畳み展開可能に配置し上部側からの操作によってコッタをパネルの下部に展開したり折り畳みできるものも開発され、脱着時の自動化，省力化を可能にしている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、前記パネルに形成された貫通孔は従来直線的形状をしており、吊下金具を上部側から貫通孔に挿通する際になかなか入らず、取付け時の作業性が乏しかった。また、コッタをパネルの下面に当接させる形式ではパネルの全荷重がコッタに集中するため、この部分のコンクリートが割れたり欠けやすかった。なお、この貫通孔は後でモルタルブロック等で埋めるようにしているが、貫通孔が直線状のため下手をすると抜けて脱落したり、接着用のモルタルが落ちるなどの不具合があった。

【０００５】この考案は以上の欠点を解消するもので、その目的は、吊下金具の取付け作業性を改善し、また、吊下金具による板状部材の傷付きを防止するとともに、貫通孔の埋め戻しも簡単に行える板状部材の吊下金具挿通用貫通孔形状を提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成するため、この考案は、棒状の吊下金具を挿通するための複数の貫通孔を形成した板状部材において、前記貫通孔は吊下金具の径より僅かに大きく、上部側が拡開し、下部側に向けて先細りとなるテーパ孔であり、かつ前記板状部材の下面において前記貫通孔の周囲に補強用板材を埋設固定したものである。

【０００７】

【作用】

以上の構成によれば、吊下金具を位置決め降下させて貫通孔に挿通する際に貫通孔の上部側は拡開しているので、この部分にガイドされて吊下金具を挿通できる。吊下金具のコッタには貫通孔の底部周縁の補強板が当接し、この部分が荷重を受ける。板状部材を所定場所に設置後貫通孔を埋め戻す場合にはテーパ状のモルタルブロックが用いられる。

【０００８】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図面を用いて詳細に説明する。図１はこの考案による板状部材を吊下装置に吊下げた状態を示している。

【０００９】吊下装置１は、クレーン２に玉掛けされるワイヤＷに水平状態に吊下げられたＨ形鋼等からなる水平ビーム３と、水平ビーム３の下部に所定間隔離して垂設された一対のフレーム４と、各フレーム４の先端に一体に垂設される棒状の吊下金具５と、各吊下金具５の先端に折畳み展開可能に枢支されたコッタ６と、各フレーム４内に配置された油圧シリンダ７とを備えている。

【００１０】前記フレーム４は図２，３に示すように二つ割り状をなし、その内部に油圧シリンダ７を支持している。

【００１１】コッタ６は左右対象の翼型をなすもので、吊下金具５の先端にピン１１を介して回動可能に枢支され、垂直状態では吊下金具５の先端部において半割り状をした中空内部に収容され、水平状態ではその両端が吊下金具５の外周部両側に展開状態に突出する構造である。

【００１２】このコッタ６の回転中心から偏心した位置にはクランクピン１２ａを介してリンク機構を構成するクランクレバー１１の先端が連結され、このクランクレバー１１の上端は前記油圧シリンダ７のプランジャ７ａにピン１２ｂを介して連結している。

【００１３】なお、このピン１２ｂの両端は前記フレーム４の両側に上下方向に沿って形成されたガイド溝４ａに挿通され、各クランクレバー１１を昇降ガイドしている。また、前記油圧シリンダ７はその両側に突出したガイドピン１４をフレームの両側に開口形成された長孔状の第二のガイド溝４ｂに挿通することによりフレーム４の内部に僅かに昇降可能に支持されているとともに、フレーム４の上端と油圧シリンダ７の上端間に介挿された圧縮コイルバネ１５により、常時下降位置に保持され、プランジャ７ａの突出量誤差による反力を受けて上昇側に位置させる構造としている。

【００１４】以上の吊下装置１に着脱される板状部材、すなわちＰＣ床版８は一対のスペーサーブロック１６を介して間隔を開けた状態で複数枚横積み状態で搬送される。各ＰＣ床版８には、前記吊下金具５の配置間隔に等しい間隔で一対の貫通孔９が上下に貫通形成されている。

【００１５】この貫通孔９は図４に拡大して示すように、全体として吊下金具５の外径よりやや大きく、かつ上部拡開し、下部側に向けて先細りとなるテーパ孔に形成されている。さらに貫通孔９の下面周縁において、ＰＣ版８には補強板１０が一体に埋設されている。したがって、複数のＰＣ床版８を横積みした場合には、図１に図示するごとく各貫通孔９が拡開面を上面にして縦二列に配列されることになる。また、１８はＰＣ床版８を所定場所に設置した後貫通孔９を閉塞するためのテーパ状のモルタルブロックである。

【００１６】次に吊下装置１を用いてＰＣ床版８を搬送する方法を説明する。まず、設置場所においてある段積み状態のＰＣ床版８に水平ビーム３を移動させ、これをＰＣ床版８上に位置決め配置すれば、各吊下金具５は挿通孔９に対向する。この状態でプランジャ７ａを後退させておくことにより、コッタ６は吊下金具５の内部に折畳み収容され、吊下金具５を貫通孔９内に挿通することができ、水平ビーム３を下降すれば吊下金具５は貫通孔９の上部の拡開面に強制的にガイドされて容易に挿通することができる。

【００１７】吊下金具５の先端が最下段のＰＣ床版８を突き抜けた状態を確認した後、油圧シリンダ７を駆動してプランジャ７ａを突出させれば、コッタ６は吊下金具４の外周両側に水平状態に展開され、吊下金具５は抜止めされる。この状態でワイヤＷを吊り上げればコッタ６は補強板１０の面に当接し、図１に示すようにＰＣ床版８を水平状態に吊り上げることが可能となる。コッタ６に対しては補強板１０が当接するため、荷重集中による最下段のＰＣ床版８の割れや欠けは未然に防止される。

【００１８】次いでＰＣ床版８を所定の場所に設置し、ここに荷重を預けた後再びプランジャ７ａを後退させれば、コッタ６は回動して吊下金具５の内部に収容される。その後はワイヤＷを引き上げれば、吊下金具５は引き抜かれ、水平ビーム３ごと別の場所に移動することができる。

【００１９】前記スペーサーブロック１６による各ＰＣ床版１８同士の隙間を前記コッタ６の回動しろ分とすることで最下段のＰＣ床版８を所定の場所に置いた状態で次の段のＰＣ床版８をコッタ６により支持し、順次別の場所に移動することもできる。

【００２０】ＰＣ床版８を設置後貫通孔９を塞ぐには、図４に示すモルタルブロック１８を接着用モルタルとともに貫通孔９に嵌合すれば、このブロック１８はテーパ状をしているのでＰＣ床版８から脱落することなく貫通孔９を塞ぐことができる。

【００２１】

【考案の効果】

以上実施例によって詳細に説明したように、この考案による板状部材の吊下金具挿通用貫通孔形状にあっては次の効果がある。吊下金具を位置決め降下させて貫通孔に挿通する際に貫通孔の上部側は拡開しているので、この部分にガイドされて吊下金具を挿通でき、吊り下げ金具の挿通作業が容易であり、搬送作業の自動化に好適な形状である。吊下金具のコッタには貫通孔の底部周縁の補強板が当接し、この部分が荷重を受けるため、板状部材の割れや欠けがなく、損傷を未然に防止できる。板状部材を所定場所に設置後貫通孔を埋め戻す場合には、テーパ状のモルタルブロックを用いることになるので、板状部材から脱落することがなく、作業も容易である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案によるＰＣ床版を吊下装置を介して吊
下げた状態を示す説明図である。

【図２】同吊下装置の要部を示す側断面である。

【図３】同要部を示す正断面図である。

【図４】ＰＣ床版の貫通孔部分の拡大図である。

【符号の説明】

１吊下装置５吊下金具８ＰＣ床版（板状部材）９貫通孔１０補強板

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者池田裕明東京都千代田区神田司町２丁目３番地株式会社大林組東京本社内 (72)考案者原田恒則東京都千代田区神田司町２丁目３番地株式会社大林組東京本社内

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】棒状の吊下金具を挿通するための複数の
貫通孔を形成した板状部材において、前記貫通孔は吊下金具の径より僅かに大きく、上部側が
拡開し、下部側に向けて先細りとなるテーパ孔であり、
かつ前記板状部材の下面において前記貫通孔の周囲に補
強用板材を埋設固定したことを特徴とする板状部材の吊
下金具挿通用貫通孔形状。