JPH0568936A - 剥離用シートおよびその製造方法 - Google Patents

剥離用シートおよびその製造方法

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JPH0568936A
JPH0568936A JP25854591A JP25854591A JPH0568936A JP H0568936 A JPH0568936 A JP H0568936A JP 25854591 A JP25854591 A JP 25854591A JP 25854591 A JP25854591 A JP 25854591A JP H0568936 A JPH0568936 A JP H0568936A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】シリコーン樹脂が薄く均一塗布された剥離用シ
ートを効率よく製造する。 【構成】支持体上の少なくとも片面に剥離層を有する剥
離用シート紙において、液化二酸化炭素、窒素、水など
の超臨界流体に溶解されたシリコーン樹脂を、ノズルあ
るいはオリフィスから支持体に噴出することにより、支
持体の表面に作成したシリコーン樹脂被膜を、加熱、紫
外線あるいは電子線照射により硬化して剥離層とするこ
とにより得られることを特徴とする剥離用シート。製造
工程において、有機溶剤を用いずにシリコーン樹脂の粘
度を低下させ、薄塗布を可能にする。 【効果】超臨界流体に溶解したシリコーン樹脂の粘度が
低いため、薄塗布が容易で、カール、しわ、ピンホール
の発生がなく、また製造工程において有機溶剤を使用し
ないため作業環境が良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙、ラミネート紙、合
成紙、プラスチックフィルム、金属表面などの支持体上
に設けたピンホールのない均一なシリコーン樹脂被膜層
を有する剥離用シート、およびその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】紙、ラミネート紙、合成紙、プラスチッ
クフィルムなどのシート状支持体の上に有機ポリシロキ
サンからなる剥離層を設けたシリコーン剥離用シート
は、近年多くの用途に使用されている。剥離層の形成方
法としては、有機すず化合物やその他の重金属塩、およ
び白金系の触媒を含む縮合型もしくは付加型シリコーン
系樹脂の溶液を塗布した後、熱風オーブン中で120℃
から180℃で加熱し、溶剤を蒸発させた後に熱硬化に
より硬化被膜を形成する方法が一般的である。この熱量
の大部分は溶剤揮発に用いられ、シリコーン樹脂を硬化
するのに必要な熱量はごく一部にすぎない。紙を支持体
に用いた剥離用シートにおいては、このような高温加熱
処理を行なうと、紙支持体に耐熱性が必要なことはもち
ろん、紙支持体内部の水分蒸発によりしわやカールが発
生しやすく、また剥離層に水分蒸発や溶剤蒸発に伴うピ
ンホールが生じ易いという欠点を有していた。当然、こ
のような温度において形状を保持しえないプラスチック
フィルムの加工はできない。
【0003】このような欠点を克服する目的と、剥離層
を形成するシリコーン樹脂の紙への吸収を低減させる目
的で、紙表面をポリエチレンや塩化ビニリデン等でラミ
ネートした支持体を用いることがよく使われる方法であ
る。しかしながら、やはりシリコーン樹脂の硬化時にお
いてラミネート層の軟化、溶融、収縮等が起こり、結果
としてラミネート支持体表面の不均一化により剥離性能
を阻害することや、特にマーキングフィルムや合成皮革
製造用に用いられる工程紙としては、表面光沢および表
面平滑性が低下するという致命的欠点を有していた。ま
た、剥離用シート製造工程においては、支持体に塗布す
るシリコーン樹脂を低減させる目的から、トルエンやヘ
キサンなどの有機溶剤を多量に用いるため、作業環境が
良好でないばかりでなく、設備的に防爆性が必要であ
り、かつ、廃溶剤は環境汚染の原因になるという重大な
欠点を有していた。
【0004】このような欠点を克服するひとつの手段と
して、無溶剤型シリコーン樹脂、その中でも特に紫外線
および電子線照射により(以下、紫外線と電子線をまと
めて放射線と称する)重合可能な官能基を有するシリコ
ーン樹脂を用い、放射線照射による硬化を行なう低温キ
ュアリング型の剥離用シート製造技術が開発されている
が、しかしながらこれらの放射線硬化性シリコーン樹脂
では粘度の点で有機溶剤を用いたシリコーン樹脂溶液に
及ばず、グラビアコーターなどで塗布した場合にグラビ
ア目が残ったり、4本あるいは5本ローラーでは高速塗
布時においてシリコーン樹脂の転写不良による表面光沢
や表面平滑性の低下を招くなどの問題を残していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】よって本発明が解決し
ようとする問題は、支持体にシリコーン樹脂による剥離
層を設けるにあたって、支持体に均一にピンホールなく
シリコーン樹脂被膜層を塗布し、シリコーン樹脂被膜層
および支持体に過剰の熱を加える事なくシリコーン樹脂
の硬化を行って剥離層を形成し、良好な表面特性と剥離
特性を有する剥離用シートを製造することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な問題点を解決する手段を鋭意研究した結果、以下のよ
うな方法を見いだすに至った。すなわち、支持体の少な
くとも片面に剥離層を有する剥離用シートにおいて、剥
離層が、シリコーン樹脂を溶解させた超臨界流体を、微
小ノズルあるいはオリフィスから支持体に向かって噴出
させることにより形成したシリコーン樹脂被膜からなる
ことを特徴とする剥離用シートの発明である。本発明に
用いられるシリコーン樹脂被膜層は、被膜形成後に熱硬
化により硬化して剥離層を形成することも可能である
し、紫外線照射あるいは電子線照射により硬化して剥離
層を形成することも可能である。本発明の剥離用シート
は、支持体の少なくとも片面に、シリコーン樹脂を溶解
させた超臨界流体を微小ノズルあるいはオリフィスから
噴出させることによりシリコーン樹脂を塗布する工程
と、超臨界流体を構成する成分(以下、流体成分と呼
ぶ。二酸化炭素、窒素、水など)を拡散(蒸発)させる
工程と、生成したシリコーン樹脂被膜層を熱硬化、紫外
線照射による硬化、電子線照射による硬化の中から選ば
れる1種類以上の硬化方法により硬化され剥離層を形成
する工程とから製造することができる。
【0007】本発明のシリコーン樹脂の塗布方法によれ
ば、支持体上に非常に均一に薄くシリコーン樹脂被膜層
を設けることができ、かつ流体成分は、ノズルあるいは
オリフィスから解放されると同時に希薄状にガス化して
大気中に拡散するため、塗布後に溶剤蒸発のために支持
体に過剰な熱量を加える必要がなく、熱硬化によりシリ
コーン樹脂を硬化させる場合でも薄層のシリコーン樹脂
被膜層を硬化させるだけの熱量を与えれば充分である。
また特に、放射線硬化性のシリコーン樹脂を用いる場
合、従来の方法で高速で薄層塗布した場合に、シリコー
ン樹脂被膜層表面に溶存酸素の影響で不完全硬化部が残
り、剥離用シートとした後に低分子量のシリコーン樹脂
が粘着層に移行し残留接着率を低下させる場合があった
が、本発明の方法では、超臨界流体に溶解した際に完全
に不活性ガス置換し、高速で薄層塗布した場合において
も、このような残留接着率の低下という問題が起こらな
いという意外な効果が認められた。
【0008】以下本発明を詳細に説明する。本発明に用
いられる熱硬化型のシリコーン樹脂としては、すず系の
触媒を用いる縮合型シリコーン樹脂、および白金系触媒
を用いる付加型シリコーン樹脂などがある。紫外線ある
いは電子線硬化性のシリコーン樹脂としては分子末端、
または側鎖にアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニ
ル基、エポキシ基の中から選択される官能基を有するシ
リコーン樹脂(主にポリジアルキルシロキサン)であ
り、必要に応じて光反応開始剤、増感剤を加えて用いる
ことができる。さらに長鎖アルキル基を含有するアクリ
レートあるいはメタクリレートおよびそのシリコーン変
性化合物も良好な放射線硬化性の剥離樹脂となりえる。
これらのシリコーン樹脂は、単独もしくは2つ以上を混
合して使用することができる。また、剥離樹脂とともに
剥離性を阻害しない範囲で、他の紫外線硬化性あるいは
電子線硬化性樹脂、あるいはバインダー成分、着色剤、
酸化防止剤などの添加物を混入することができる。
【0009】シリコーン樹脂の塗布量は限定されるもの
ではないが、経済的な観点からより薄いことが望まれ、
好ましくは0.1g/m2〜10g/m2の範囲内であ
る。塗布量が0.1g/m2よりも少ないと支持体上に
均一に塗布する事が困難であり、また剥離性を悪化させ
る。塗布量を10g/m2よりも多くしても特性上変わ
らず、コストのみ向上するし、さらに極端に多くなると
硬化後、摩擦などにより硬化したシリコーンが脱落しや
すくなる。
【0010】本発明においては、シリコーン樹脂は超臨
界流体に溶解した状態で支持体上に塗布され、流体成分
を拡散(あるいは蒸発)させた後、加熱、あるいは放射
線照射によりシリコーン樹脂の硬化を行い、剥離層を固
定化する。ここでいう超臨界流体とは、流体成分がその
成分固有の臨界温度および臨界圧力以上の領域において
形成する単一の相であり、他の表現では高密度ガスある
いは超臨界ガスと呼ばれているような高温、高密度の気
体である。本発明者らは、この超臨界流体の物性に着目
し、シリコーン樹脂の超臨界流体への溶解性を研究した
結果、ある種の超臨界流体は有機溶媒に匹敵あるいはそ
れ以上のシリコーン樹脂溶解性を示すことを見いだした
のみならず、超臨界流体に溶解したシリコーン樹脂は、
微小内径を有するノズル、あるいはオリフィスを経由し
て常温、常圧下にある支持体に向かって噴出させると、
超臨界流体を構成する成分が瞬時に拡散した後、支持体
上にシリコーン樹脂の薄膜を形成することを見いだし
た。この高いシリコーン樹脂の溶解度は、おそらく超臨
界流体の高い密度(0.3〜1.0、一般の気体と同様
に温度、圧力により密度が変化するため一定しない)
と、流体成分が有機溶媒に比べて非常に小さな分子サイ
ズを有することによる高い浸透力に由来するものと思わ
れる。このようにして得られたシリコーン樹脂の薄膜層
を加熱、あるいは紫外線、または電子線照射により硬化
するとシリコーン樹脂被膜からなる剥離層を有する剥離
用シートが得られる。本発明の方法によるシリコーン樹
脂の塗布方法においては、途中で大気圧下で放出すると
はいえ、シリコーン樹脂が非常に粘度の低い超臨界流体
に溶解した状態、あるいはそれに近い状態で支持体に塗
布されるため、非常に薄くかつ均一に塗布することが可
能である。
【0011】本発明の超臨界流体の流体成分として用い
られる物質としては、二酸化炭素(臨界温度31℃、臨
界圧力72.9気圧)、窒素(臨界温度−147℃、臨
界圧力33.5気圧)、酸素(臨界温度−118℃、臨
界圧力50.1気圧)、水(臨界温度374℃、臨界圧
力218.3℃)などの他にフロン類、アルコール類、
アンモニア、笑気ガス、二酸化イオウ、n−ヘキサンや
ペンタンなどの低沸点炭化水素など多く物質が使用可能
であるが、臨界温度と臨界圧力の範囲、塗布後の流体成
分の処理の容易さ、塗布工程に用いる場合の引火性や有
害性などの安全性、放射線照射を行う場合のラジカル重
合妨害性、および価格などの点から特に二酸化炭素およ
び窒素の使用が好ましい。
【0012】本発明の超臨界流体を用いるシリコーン樹
脂の塗布工程は、以下のシステムにより行うことが出来
る。すなわち流体成分を高圧ポンプでくみ出し、別の高
圧ポンプでシリコーン樹脂を供給し、両者を流体成分の
臨界温度、および臨界圧力以上に温度・圧力制御された
溶解カラム内で混合し、耐圧パイプを通してノズル開口
部あるいはオリフィスに導き、支持体に向かって噴出さ
せる。開口部の近くに背圧制御装置を設けることができ
る。流体成分とシリコーン樹脂を混合する場合は、溶解
カラム内で噴霧することにより溶解を促進できる。流体
成分とともにシリコーン樹脂を塗布された支持体はその
まま硬化を行ってもよいが、ブレード、スムージングバ
ー、あるいはロールにより表面平滑化処理を行うことも
できる。また、噴出後流体成分の拡散を助ける目的で、
加熱処理、排気処理を行うことも差し支えない。本発明
に用いるポンプ、溶解カラム、ノズル、オリフィス、背
圧制御装置およびこれらを接続するパイプ、バルブ、上
記のブレード、スムージングバー、ロール、シリコーン
樹脂を塗布前の支持体、あるいはシリコーン樹脂を塗布
した後の支持体はそれぞれ温度制御し得る。
【0013】本発明に用いられる支持体としてはグラシ
ン紙、上質紙、コーテッド紙、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の
合成樹脂フィルム、またはこれらの合成樹脂を紙に片
面、または両面にラミネートしたラミネート紙、金属
箔、または金属箔と紙または合成樹脂フィルムとの貼り
合わせ品などがある。また、感熱紙、感圧紙、写真用印
画紙、熱転写受像紙などの情報記録用紙、粘着テープや
マスキングテープなどのテープ類を支持体として用いる
こともできる。支持体の坪量は特に規定するものではな
いが、好ましくは5〜250g/m2であり、その表面は
平滑であることが好ましいが、剥離性能あるいは工程紙
として用いる場合の型付けのコントロール上、粗面やエ
ンボス面であってもかまわない。本発明に用いられる支
持体には、支持体とシリコーン樹脂被膜層との接着性を
高める目的で、コロナ処理、オゾン処理、表面微粗面化
などの表面処理や、水性コート層、ポリオレフィン樹脂
などによるラミネート層、あるいは放射線硬化性樹脂に
よるプライマー層などが設けられていても良い。
【0014】本発明でシリコーン樹脂被膜層の硬化に使
用する電子線照射条件としては、電子線特性として、透
過力、硬化力の面から加速電圧が50〜750KVであ
り、より好ましくは100〜300Kvの電子線加速器を
用い、ワンパスの吸収線量が0.1〜20Mradになるよ
うにすることが好ましい。
【0015】電子線加速器としては例えば、エレクトロ
カーテンシステム、スキャンニングタイプ、ダブルスキ
ャンニングタイプ等の何れでも良い。なお、電子線照射
に際しては酸素濃度が高いと剥離層の硬化が妨げられる
ため、窒素、ヘリウム、二酸化炭素等の不活性ガスによ
る置換を行い、酸素濃度を600ppm以下、好ましくは
400ppm 以下に抑制した雰囲気中で照射することが好
ましい。
【0016】本発明の、特に紫外線硬化法を用いる場合
に用いられる光開始剤としては、ジおよびトリクロロア
セトフェノンのようなアセトフェノン類、ベンゾフェノ
ン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾイ
ンアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、テト
ラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン
類、アゾ化合物、オニウム塩等があり、紫外線硬化性シ
リコーン樹脂および紫外線硬化性樹脂の重合反応のタイ
プ、安定性、および紫外線照射装置との適正などの観点
から選ばれる。光開始剤の使用量は紫外線硬化性シリコ
ーン樹脂または紫外線硬化性樹脂に対して通常0.1〜
5%の範囲である。また、光開始剤にハイドロキノンの
ような貯蔵安定剤が併用される場合もある。
【0017】同じく本発明に用いられる増感剤として
は、脂肪族アミン、芳香族基を含むアミン、窒素複素環
化合物、アリル系尿素、O-トリルチオ尿素、ナトリウム
ジエチルジチオホスフェート、芳香族スルフォン酸の可
溶性塩、N,N-ジ置換ーP-アミノベンゾニトリル系化合
物、トリーnーブチルホスフィン、ナトリウムジエチルチ
オホスフェート、ミヒラーケトン、N-ニトロソヒドロキ
シルアミン誘導体、オキサゾリン化合物、四塩化炭素、
ヘキサクロロエタン等があり、光開始剤と共用すること
により一般に硬化速度の向上が計れる。
【0018】本発明でシリコーン樹脂被膜層の硬化に使
用する紫外線照射装置としては例えば、低圧水銀灯、中
圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等があ
り、オゾン発生の少ないオゾンレスタイプもある。一般
に出力30w/cm以上のランプを複数本並行して使用す
る。
【0019】
【作用】本発明は、剥離用シートの製造において、シリ
コーン樹脂を超臨界流体に溶解させて塗布させるため、
シリコーン樹脂の粘度を著しく改善でき、支持体上にシ
リコーン樹脂被膜層を均一に、かつ薄く塗布することが
できる。その結果、シリコーン樹脂被膜層を熱硬化する
にあたっても、溶剤の蒸発のための熱量は与える必要が
なく、シリコーン樹脂が反応するだけの熱量を与えるた
め、支持体に過剰な熱量を与えない。このためピンホー
ルのない均一なシリコーン樹脂被膜層の形成が可能で、
良好な表面特性を有する剥離用シートを製造できる。本
発明の方法によれば元来加熱しない紫外線あるいは電子
線照射によるシリコーン樹脂の硬化においても同様に、
一般に高粘度であるこれらのシリコーン樹脂を薄く、均
一に塗布することができる。このように、本発明の方法
によれば高温処理や樹脂の高粘度に由来するカール、し
わ、剥離層のピンホール等の発生を抑制する事ができ、
かつ、良好な表面特性を維持したままシリコーン樹脂の
塗布量も低減できる。また、剥離用シート製造にあたっ
て廃溶剤、廃熱を出さないため、作業環境が良好である
ばかりでなく、周囲の環境を汚染することがない。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳しく説明する
が、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
【0021】実施例1 坪量50g/m2の上質紙の片面に低密度ポリエチレンを
ラミネートしてコロナ処理を施し支持体とした。耐圧性
溶解カラム内に電子線硬化性シリコーン樹脂(信越化学
工業(株)、商品名X-62-7177)と液化二酸化炭素をそ
れぞれ別の高圧送液ポンプで送り、カラム内で混合、溶
解させた。溶解カラム内は150気圧、100℃に保っ
た。シリコーン樹脂を溶解させた超臨界流体を溶解カラ
ム内の上部に設けたマイクロパイプから取り出し、圧力
調節弁を経てマイクロパイプ先端のノズルから噴出し、
支持体の表面に塗布し、温度制御したブレードで均一化
した。二酸化炭素ガスを拡散させ、シリコーン樹脂を均
一に塗布した支持体を、電子線照射室内の酸素濃度を窒
素ガス置換により200ppm 以下にした電子線照射装置
(ESI社製、商品名エレクトロカーテン、TYPE:
CB200/45/300)内に導き、電子線加速電圧
200kV、照射電流20mAの条件で吸収線量4Mradにな
るように電子線照射し剥離用シートを得た。
【0022】実施例2 厚み50μmのポリエステル樹脂フィルムにコロナ処理
を施し、支持体とした。耐圧性溶解カラム内に紫外線硬
化性シリコーン樹脂(信越化学工業(株)、商品名KNS-
5003A/B)と液化窒素をそれぞれ別の高圧送液ポンプで
送り、カラム内で混合、溶解させた。溶解カラム内は1
50気圧、100℃に保った。シリコーン樹脂を溶解さ
せた超臨界流体を溶解カラム内の上部に設けたマイクロ
パイプから取り出し、圧力調節弁を経てマイクロパイプ
先端に取り付けたオリフィスから噴出し、支持体の表面
に塗布した。このシリコーン樹脂を塗布した支持体を、
紫外線照射装置(80W/cm、オゾン集光型、照射距離10c
m)内に導き、紫外線照射し剥離用シートを得た。
【0023】実施例3 坪量50g/m2の上質紙の片面に低密度ポリエチレンを
ラミネートしてコロナ処理を施し支持体とした。耐圧性
溶解カラム内に熱硬化性シリコーン樹脂(信越化学工業
(株)、商品名KL−838および重量比1%の白金触
媒CAT PL−8)と液化二酸化炭素をそれぞれ別の
高圧送液ポンプで送り、カラム内で混合、溶解させた。
溶解カラム内は150気圧、100℃に保った。シリコ
ーン樹脂を溶解させた超臨界流体を溶解カラム内の上部
に設けたマイクロパイプから取り出し、圧力調節弁を経
てマイクロパイプ先端のノズルから噴出し、支持体の表
面に塗布し、温度制御したスムージングバーで均一化し
た。二酸化炭素を拡散させ、シリコーン樹脂を均一に塗
布した支持体を、120℃の温風循環式乾燥機にてシリ
コーン樹脂が充分硬化するまで熱硬化し、剥離用シート
を得た。
【0024】比較例1 実施例1と同様なポリエチレンをラミネートした上質紙
を支持体に用い、実施例1と同様な電子線硬化性シリコ
ーン樹脂を無溶剤のままグラビアオフセットコーターで
塗布した。塗布後、電子線照射室内の酸素濃度を窒素ガ
ス置換により200ppm 以下にした電子線照射装置(E
SI社製、商品名エレクトロカーテン、TYPE:CB
200/45/300)内に導き、電子線加速電圧20
0kV、照射電流20mAの条件で吸収線量4Mradになるよ
うに電子線照射し剥離用シートを得た。
【0025】比較例2 実施例2と同様なポリエステル樹脂フィルムを支持体に
用い、実施例2と同様な紫外線硬化性シリコーン樹脂を
無溶剤のまま5本ローラーコーターで塗布した。塗布
後、紫外線照射装置(80W/cm、オゾン集光型、照射距離
10cm)内に導き、紫外線照射し剥離用シートを得た。
【0026】比較例3 実施例1と同様なポリエチレンをラミネートした上質紙
を支持体に用い、実施例3と同様な熱硬化性シリコーン
樹脂をトルエンで希釈した溶液(90%希釈)を、グラ
ビアコーターで塗布した。塗布後、120℃の温風循環
式乾燥機にてシリコーン樹脂が充分硬化するまで熱硬化
し、剥離用シートを得た。
【0027】実施例および比較例で作成した剥離用シー
トについて、シリコーン樹脂の塗布量、粘着剤に対する
剥離強度、残留接着率、ラブオフ、カール、しわ、ピン
ホールの有無、表面平滑性、製造工程における廃溶剤の
排出の有無などの結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】試験方法は以下の通りである。
【0030】[シリコーン樹脂塗布量]シリコーン樹脂
被膜硬化した後のサンプルを、蛍光X線分析することに
より、シリコーン樹脂塗布量を求めた。
【0031】[剥離強度]上質紙上に粘着剤(東洋イン
キ(株)製、製品名BPS)を塗布し標準粘着シートと
して使用した。得られた剥離用シートおよび剥離用シー
ト(幅25mm)を20℃、湿度65%の恒温恒湿器内で
24時間放置した後、重量2000g の圧着ローラーで
標準粘着シートに圧着し20℃、湿度65%の恒温恒湿
器内で2時間放置後、テンシロン(東洋ボールドウィン
(株)社製)で剥離角180°、剥離速度30cm/分の
条件で連続して引き剥したときの荷重を剥離強度とす
る。
【0032】[残留接着率]得られた剥離用シート(幅
25mm)を20℃、湿度65%の恒温恒湿器内で24時
間放置した後、重量2000g の圧着ローラーで標準粘
着シートに圧着し20℃、湿度65%、圧力0.1kg/c
m2の条件下で24時間加圧した。標準粘着シートを剥離
用シートより剥した後、表面を良く磨いた厚さ0.5mm
のステンレス鋼板にはりつけ、重量2000g の圧着ロ
ーラーで圧着し20℃、湿度65%の恒温恒湿器内で1
時間放置後、テンシロンで剥離角180°、剥離速度3
0cm/分の条件で連続して引き剥したときの荷重を剥離
強度として求める。次に、表面を良く磨いた厚さ0.5
mmのステンレス鋼板に標準粘着シートをはりつけ、20
℃、湿度65%、圧力0.1kg/cm2の条件下で24時間
加圧した。常圧に戻してから、重量2000g の圧着ロ
ーラーで圧着し20℃、湿度65%の恒温恒湿器内で1
時間放置後、テンシロンで、剥離角180°、剥離速度
30cm/分の条件で連続して引き剥したときの荷重を剥
離強度として求める。残留接着率R(%)は次の数1に
より求められる。剥離用シートへ接触後の粘着シートの
剥離強度=Aとし、剥離用シート紙へ未接触の粘着シー
トの剥離強度=Bとすると、
【0033】
【数1】R=(A/B)×100
【0034】[ラブオフ]剥離用シートのシリコーン面
を指で強く擦り、シリコーン面の剥離を目視により判定
した。
【0035】[カールおよびしわ]20℃、湿度65%
の条件における相対比較により判定した。
【0036】[ピンホール]剥離用シートのシリコーン
面を染料を溶かしたトルエンで濡らし、裏面より染み込
み具合いを観察した。
【0037】[表面平滑性]斜光をあてた剥離面の顕微
鏡観察により判定した。
【0038】[廃溶剤]製造工程において、廃溶剤が排
出されるかどうかを記した。
【0039】評価;表1より明らかなように実施例−
1、2、3により得られた剥離用シートは、対応する比
較例1、2、3により得られた剥離用シートと比べて、
シリコーン樹脂の塗布量が非常に少なく塗布でき、かつ
粘着剤への剥離強度は比較例と同等のものが得られる。
さらに、支持体に過剰の熱量がかかっていないためカー
ル、しわの発生がない。放射線照射により硬化する場合
のしわの発生の少なさは、シリコーン樹脂を塗布する場
合の粘度が、本発明の場合において特に低いため、塗布
時に過剰な力が支持体にかかず、しわの発生が少ないと
思われる。また、シリコーン樹脂が低粘度の超臨界流体
に溶解(あるいはそれに近い状態で)して塗布されるた
め、塗布時にすみやかに支持体表面にひろがり、低塗布
量でもピンホールのない剥離用シートが得られる。これ
に対して、特に溶媒を用いる熱硬化法(比較例3)の場
合には、塗布したシリコーン樹脂被膜表面から乾燥し
て、内部の溶媒や水分が蒸発する際に表面を荒すらし
く、ピンホールの問題は避けられない。
【0040】また、溶媒を用いない放射線硬化法(実施
例2と3、比較例2と3)の場合では、実施例において
は塗布時の粘度が低く、かつ支持体と液体のシリコーン
樹脂が直接接触しないので、表面性が非常に良好である
が、比較例においては、粘度の高いシリコーン樹脂をそ
のまま支持体に塗布しなければならないので、グラビア
の刻目や、ロールとシリコーン樹脂面が分離する場合の
表面の荒れがそのまま放射線硬化により固定されてしま
う。このような表面平滑性の低下は、この剥離面を他の
ものに転写するような用途(工程紙など)に用いる場合
に問題になることがある。
【0041】
【発明の効果】以上のように、発明の剥離用シートの製
造方法では、毒性がなく、不活性な二酸化炭素や窒素な
どを溶媒の代替化とするため、大気中に有害な有機溶剤
をまき散らすことなく、作業上も環境保護上も安全に剥
離用シートを製造することができる。また、本発明の剥
離用シート及びその製造方法は、非常に効率的に、良好
な表面特性、および剥離特性を有し、安全、且つ安価に
製造できるものであり、工業的価値大なるものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の少なくとも片面に設けられた剥
    離層が、シリコーン樹脂を溶解してなる超臨界流体を、
    微小ノズルあるいはオリフィスから支持体に向かって噴
    出させて形成されたシリコーン樹脂被膜層からなること
    を特徴とする剥離用シート。
  2. 【請求項2】 該シリコーン樹脂被膜層が、被膜形成後
    に熱硬化により硬化して形成された剥離層であることを
    特徴とする請求項1記載の剥離用シート。
  3. 【請求項3】 該シリコーン樹脂被膜層が、被膜形成後
    に紫外線照射あるいは電子線照射により硬化して形成さ
    れた剥離層であることを特徴とする請求項1記載の剥離
    用シート。
  4. 【請求項4】 支持体の少なくとも片面に、シリコーン
    樹脂を溶解させた超臨界流体を微小ノズルあるいはオリ
    フィスから噴出させることにより塗布する工程と、該超
    臨界流体を構成する成分を拡散させる工程と、生成した
    シリコーン樹脂被膜を熱硬化、紫外線照射による硬化、
    並びに電子線照射による硬化の中から選ばれる1種類以
    上の硬化方法により硬化して剥離層を形成する工程とか
    らなることを特徴とする剥離用シートの製造方法。
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