JPH056619Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （考案の分野） 本考案は磁気テープカセツトに関し、詳しくは
磁気テープカセツトの前蓋開閉時のトラブルを防
止する為の構造に関する。

（従来技術） 現在、音響信号等のアナログ信号をデジタル信
号例えばPCM信号に変換して磁気テープに記録
（又は再生）するPCM記録再生装置が提案されて
いる。このPCM記録再生装置として回転ヘツド
を使用して比較的高い記録密度が得られるように
したものがある。この回転ヘツドを使用した
PCM記録再生装置においては、記録または再生
時に磁気テープが磁気テープカセツトから引き出
され回転ヘツドが設けられた回転ドラムに巻き付
けられた状態で記録又は再生がなされる。

ところで、このようなPCM記録再生装置に使
用される磁気テープカセツトにおいては、磁気テ
ープに指紋の跡や埃がつくと、再生信号にドロツ
プアウトを生じるので、これを防止するため磁気
テープをできるだけ磁気テープカセツト内に密封
する必要がある。また、記録又は再生時には、磁
気テープを引き出すことができるように、カセツ
ト匣体にはガイド類を挿入するための空間が必要
である。

このため、カセツト匣体の下ハーフ外側部に配
され、カセツト前面に対して前後方向に摺動する
スライドカバーと回動可能に設けられ、回動に応
じてカセツト前面を覆う前蓋とを有する磁気テー
プカツトが考えられている。このような磁気テー
プカセツトにおいては、記録又は再生時に前蓋１
０（第１図及び第２図参照）がカセツト前面から
回動され、カセツト前面部に磁気テープが露呈さ
れると共に、スライドカバー１２が後方向に摺動
されて、この露呈された磁気テープの背面側にガ
イド類を挿入するための空間が得られるようにな
つている。一方、前記前蓋１０の側面１４の内側
下部には、カセツト前面からの回動時に該前蓋１
０の内側を伸延するハブブレーキ腕１６（第３図
及び４図参照）先端に形成された先端突起１８と
係合し、前記ハブブレーキのリールブレーキ作用
を解除せしめる為の突起２０が設けられている。
然し乍ら、前蓋側面１４は肉薄の為外力で撓み易
い事及び突起２０は従来第２図に示される如く略
長先形に形成される事から、前蓋１０を手指等に
よつて第３図の矢印ａ方向に開成した時、並びに
録再機への装填時に自動的に開成された場合の力
の具合によつては、前記突起２０は前蓋側面１４
の撓みによつて突起１８を乗り越えてしまう可能
性がある。一旦乗り越えると、前蓋側面１４の撓
みは復元する為、突起２０の後面２４が先端突起
１８と当接し、それによつて前蓋１０は第４図矢
印ｂ方向への回動を制限される。従つて、こうし
た状態を元に戻す為には前蓋側面１４を指等によ
つて第５図矢印に示す如く外側に広げ、即ち反り
変形させ、突起２０をして先端突起１８を乗り越
えさせなければならないし、レコーダ装着時にこ
れが起きると大変な手間がかかる。然し、そうし
た手動作業に於ては力の入れすぎにより前蓋側面
及び前蓋１０の回転軸部２６が番号８で示す如く
破損し或いは前記前蓋閉成時に磁気テープを引掛
け、これを損傷してしまう危険性が有る。また、
こうした作業中にカセツト匣体内に埃が侵入する
恐れも大きく、これがドロツプアウトの原因を招
く事も考えられる。

（考案の目的） 本考案の目的は、前蓋側面内側の突起がハブブ
レーキの先端突起を乗り越えて回動した前蓋を、
前記側面及び前蓋回転軸を破損する危険性無く閉
成可能とする事である。

本考案の他の目的は、前蓋側面内側に設けた突
起をハブブレーキの先端突起上縁を摺擦しつつ乗
り越え得る形状とする事である。

（考案の概要と作用効果） 本考案によれば、磁気テープカセツトは、上下
ハーフと、該上下ハーフに回動自在に嵌着されカ
セツト前面を開閉する前蓋と、前記上下ハーフ内
に回転自在に装填された一対のリールハブにし
て、テープ巻取面より上方の小径部分にロツク部
が形成されて成る一対のリールハブと、前記一対
のリールハブの回転軸に対し直角方向に摺動自在
で且つ前記ロツク部と係合自在の一対の第１端部
と前記前蓋の内側に設けられた第１突起と係合自
在の第２突起が設けられて成る一対の第２端部と
を有するハブブレーキと、によつて構成され、前
記前蓋の第１突起の、前記ハブブレーキの第２突
起と係合する面と対向する側の面及び前記ハブブ
レーキの第２突起の、前記前蓋の第１突起と係合
する面と対向する面の両方或いはいずれか一方が
略面取状のテーパ面とされる。

本考案の磁気テープカセツトの前蓋は、前記構
成により、仮に手動等によつて誤つて規格以上に
開成され第１突起が第２突起を乗り越えた場合で
も、前蓋の一部を押し戻し、前蓋を閉成方向に回
動する事だけによつて、前記第１突起をして前記
第２突起上縁をテーパ面によつて摺擦せしめ且つ
前蓋の側面を最小限の大きさで反らせ変形せしめ
つつ弾発的に乗り越えさせそれによつて元の位置
に復帰させ得る。本考案の磁気テープカセツトは
又、こうした特徴によつて前述の如き場合におけ
る手動による前蓋側面部の外側への反らせ変形作
業を排除し、それによつて手動による不均一或い
は過大な力による前記側面部の回転軸の不慮の破
損或いは指等のテープへの引掛りを未然に防止し
得る。

（好ましい実施例の説明） 図面を参照して本考案を詳しく説明する。

第６図を参照されたい。第６図は本考案の磁気
テープカセツトの前蓋２８の部分斜視図である。
前蓋２８の取付け位置及び作用は、第１図に番号
１０で示される従来からの前蓋のそれと同一であ
る。番号３０は前蓋２８の側面である。該側面の
内側には、前蓋２８をテープカセツト前面に於て
回動自在に装着する為の回動軸３２と、前蓋の開
成時にハブブレーキ３８の第２突起或は先端突起
４０の後面４２と係合し、前記ハブブレーキのリ
ールブレーキ作用を解除し且つ前蓋を規格以上に
開成させない様、前蓋の回動を阻止する為の第１
突起或は突起３４とが一体的に形成される。該突
起３４の、前記ハブブレーキの後面４２と係合す
る側の面４６と反対側の面は、第８図に示す正規
の前蓋開成状態に於てテープカセツト前方方向に
向つて傾斜するテーパが付されたテーパ面３６と
して形成される。

第７図には手動等により誤つて前蓋２８が規格
以上に矢印ａ方向に回動された状態が示される。
この状態に於ては、前蓋２８の前記突起３４のテ
ーパ面３６はハブブレーキ３８の先端突起４０の
前面４４と当接する様位置づけられる。こうした
状態から前記前蓋２８を第８図の正規の開成位置
に復帰する為に、例えば第７図に番号４８で示さ
れる様な位置に於て、前蓋２８が第７図矢印ｂ方
向へと回動軸３２を中心として回動する様、軽く
押圧される。該押圧によつて、前記ハブブーキの
先端突起４０の前面４４の上方縁部と前蓋の突起
３４のテーパ面３６とが当接し、次いでテーパ面
３６が前記前面４４の上方縁部を摺擦し、同時に
前蓋２８の側面部３０が外側、即ち第７図矢印Ｃ
方向へと、前記突起３４が先端突起４０を乗り越
える為に必要な最小量に於て反り変形し、そして
後突起３４が前記側面と共に弾発的に前記先端突
起４０を乗り越える。

以上、本考案を具体的に説明したが、本考案の
内で多くの変更を為し得る事を銘記されたい。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の磁気テープカセツトの斜視図で
ある。第２図は従来形状の突起が設けられて成る
前蓋の部分斜視図である。第３図は従来形状の突
起が設けられて成る前蓋の正規の開成状態を示す
側面図である。第４図は規定以上に前蓋が開成さ
れた状態を示す側面図である。第５図は手動によ
り無理な力がかけられた状態にある前蓋側面を示
す例示図である。第６図は本考案の突起が設けら
れて成る前蓋の部分斜視図である。第７図は本考
案の突起を設けて成る前蓋が規定以上に開成され
た状態を示す部分斜視図である。第８図は本考案
の突起を設けて成る前蓋の規定の開成状態を示す
部分斜視図である。尚、図中主な部分の名称は以
下の通りである。 ２８……前蓋、３０……側面、３２……回動
軸、３４……突起、３６……テーパ面、３８……
ハブブレーキ、４２……後面、４４……前面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上下ハーフと、該上下ハーフに回動自在に嵌着
   されカセツト前面を開閉する前蓋と、前記上下ハ
   ーフ内に回転自在に装填された一対のリールハブ
   にして、テープ巻取面より上方の小径部分にロツ
   ク部が形成されて成る一対のリールハブと、前記
   一対のリールハブの回転軸に対して直角方向に摺
   動自在で且つ前記ロツク部と係合自在の一対の第
   １端部と、前記前蓋の内側に設けられた第１突起
   と係合自在の第２突起が設けられて成る一対の第
   ２端部とを有するハブブレーキと、によつて構成
   される磁気テープカセツトに於て、前記前蓋の第
   １突起の、前記ハブブレーキの第２突起と係合す
   る面と対向する側の面及び前記ハブブレーキの第
   ２突起の、前記前蓋の第１突起と係合する面と対
   向する側の面の両方或いはいずれか一方を略面取
   状のテーパ面とした事を特徴とする磁気テープカ
   セツト。