JPH0447823Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はデジタル信号、例えばPCM信号を記
録・再生するのに使用して好適なテープカセツト
に関する。

〔考案の概要〕

本考案は、カセツト匣体に形成されたスライダ
を所定前後位置で規制する弾性ロツク片の変形量
を規制するためにカセツト匣体内に配されるリミ
ツタ部材を壁部により囲繞することによりリミツ
タ部材がテープの巻終り等においてテープテンシ
ヨンにより折損されることを防止し、また組立時
においてテープがリミツタ部材に引掛ることによ
るテープパスミスを防止することができるように
したテープカセツトである。

〔従来の技術〕

近年、音響信号等のアナログ信号をデジタル信
号、例えばPCM信号に変換して磁気テープに記
録（又は再生）するPCM記録再生装置が提案さ
れている。このPCM記録再生装置として回転ヘ
ツドを使用して比較的高い記録密度が得られるよ
うにしたものがある。この回転ヘツドを使用した
PCM記録再生装置においては、再生（又は記録）
時に磁気テープが回転ヘツドが設けられた回転ド
ラムにローデイングされた状態で再生（又は記
録）がなされる。

ところで、この磁気テープを装填するテープカ
セツトにおいては、磁気テープに指が触れて油脂
成分が付着したり、塵埃がついたりすると再生信
号にドロツプアウトを生じるので、磁気テープに
指が触れたり塵埃がつくことがないように磁気テ
ープをできるだけ密封する必要があるが、テープ
カセツトにはリール軸の挿入孔を設け、又、再生
（又は記録）時にテープカセツトから磁気テープ
をローデイング出来るようにガイド系を挿入する
ための空間が必要である。

このため、カセツト匣体の下ハーフ外側部に配
され、カセツト前面に対して前後方向に摺動し、
リール軸挿入孔及びガイド挿入部を開閉するスラ
イダと、回動可能に設けられカセツト前面開口を
覆う前蓋とを有するテープカセツトが考えられて
いる。このようなテープカセツトにおいては、記
録再生装置に装填すると前蓋がカセツト前面から
回動され、カセツト前面開口部に磁気テープが露
呈されると共に、スライダが後方向に摺動されて
この露呈された磁気テープの背面側にガイド類を
挿入するための空間が得られ、また、リール軸の
挿入孔が開放されるようになつている。また、保
存時にはスライダ及び前蓋とカセツト匣体とによ
り磁気テープが密封される。

このようなテープカセツトとして第４図乃至第
８図に示す如き構成のものが提案されている（実
願昭60−3947号）。

即ち、第４図乃至第８図において１はカセツト
匣体を示し、このカセツト匣体１はねじ止めによ
り合体された一対の上ハーフ２及び下ハーフ３よ
り構成されている。２ａは上ハーフ２の上面部に
設けられた透明な窓板である。４ａ及び４ｂはカ
セツト匣体１内に収納され、下ハーフ３の所定位
置に設けられた一対のリール軸挿入孔５ａ及び５
ｂに回転できるように遊嵌された一対のリールハ
ブであり、この一対のリールハブ４ａ，４ｂに磁
気テープ６が巻回される。７ａ及び７ｂは夫々前
面部に面して左右の側壁部寄りに設けられたテー
プガイド柱であり、磁気テープ６がこのテープガ
イド柱７ａ及び７ｂ間に架張されることにより前
面部の所定位置を走行できるようになされる。３
ａはテープガイド柱７ａ及び７ｂ間に架張された
磁気テープ６の背面側の下ハーフ３が所定幅に亘
つて略長方形状に形成された凹部であり、記録又
は再生時にこの凹部３ａ内に記録再生装置からロ
ーデイング用のガイド系が挿入される。

８は左右両側部に設けたアーム部８ａ及び８ｂ
にてカセツト匣体１の前面部側に回動できるよう
に軸支された前面蓋であり、この前面蓋８により
カセツト匣体１の前面開口部が開閉される。

９は下ハーフ３の左右の側壁部において前後方
向に摺動可能に係合され下面部に対面するように
なされた略コ字状のスライダである。又、９ａ及
び９ｂは夫々スライダ９が凹部３ａを開くように
後方に摺動された状態においてリール軸挿入孔５
ａ及び５ｂに対応してスライダ９に穿設されたリ
ール軸挿入対応孔である。そしてこのスライダ９
はトーシヨンスプリング１０により常時前方へ摺
動偏倚されている。

このテープカセツトは保存時において第４図及
び第５図に示す如くカセツト匣体１の前面開口部
が前面蓋８により閉じられると共にスライダ９が
前方に摺動され、凹部３ａ及びリール軸挿入孔５
ａ，５ｂがスライダ９により閉じられ、磁気テー
プ６がカセツト匣体１内に密封される。そしてス
ライダ９はテープカセツトの保存時においては不
用意に開くことができないように又、使用時にお
いては閉じることがないように下ハーフ３との間
にロツク機構Ｌが配設されている。即ち、スライ
ダ９の底面にはその前端に開放する長溝状の浅溝
１１を形成し、この浅溝１１は図示しない突き上
げピンが侵入し易いようその前端部近くで末広り
に形成され、これに対応して前面蓋８の下端に形
成された溝１２と連続する。またこの浅溝１１の
前後端部には後述する下ハーフ側のロツク部材で
係止され、スライダ９が開かれた状態又は閉じら
れた状態で位置規制するための透孔１３，１４を
穿孔する。一方、下ハーフ３の底面部にはスライ
ダの浅溝１１と対応してＵ字状の切込み状長溝１
５を穿設して弾性ロツク片１６を形成し、この弾
性ロツク片１６の自由端部に外方に向けて突出す
る係合爪１７を設けることによりロツク機構Ｌを
構成する。

そしてスライダ９が前方へ摺動、即ち閉じた状
態では下ハーフ側の弾性ロツク片１６の係合爪１
７が後端透孔１４に係合され（第５図参照）、又
後方へ摺動、即ち開いた状態では前部透孔１３に
係合されて（第６図参照）、スライダ９は夫々の
状態でロツク保持されるように成される。

また、下ハーフ３のロツク片１６とスライダ９
の係合透孔１３，１４との係合解除、即ちスライ
ダ９のロツク解除はPCM記録再生装置のテープ
カセツト装填部に備えられた突き上げピンが弾性
ロツク片１６の係合爪１７をスライダ９の浅溝１
１を通して透孔１３，１４側から突き上げること
により行われる。

この弾性ロツク片１６の突き上げ動作において
係合爪１７が下方から強く押された場合に弾性ロ
ツク片１６が変形したり折損したりしないよう
に、上ハーフ２の内面に弾性ロツク片１６の先端
部上面に対応してリミツタピン１８を突設して弾
性ロツク片１６が第７図において二点鎖線で示す
位置まで変形すると、リミツタピン１８に突当り
それ以上の変形が防止されるようにしたり、或い
は第８図に示すように弾性ロツク片１６の先端部
上面側にリミツタピン１９を突設して弾性ロツク
片１６が同図二点鎖線で示す位置まで変形する
と、リミツタピン１９が上ハーフ２の内面に突当
りそれ以上の変形を防止するようにしてある。

そして、使用時においては第６図に示す如くス
ライダ９がトーシヨンスプリング１０の偏倚力に
抗して後方に摺動され凹部３ａ及びリール軸挿入
孔５ａ，５ｂが開かれると共に前面蓋８が上方向
に回動され、カセツト匣体１の前面部に磁気テー
プ６が露呈され、凹部３ａ及びリール軸挿入孔５
ａ，５ｂ内に夫々ガイド系及びリール軸が挿入さ
れ、ガイド系により磁気テープ６がカセツト匣体
１の前面部から回転ドラムにローデイングされて
所定の再生（又は記録）が行われる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このようなテープカセツトにおいて下ハーフに
形成される弾性ロツク片の変形量を規制するリミ
ツタピンを上ハーフに突設した場合は組立て時
に、前もつて下ハーフ上にリールハブに巻装され
た状態で配されている磁気テープにリミツタピン
が干渉しないように組立てなければならない。そ
のため組立ての際に磁気テープが弛まないように
しなければならなず、これによつて組立作業性が
低下し、磁気テープが弛んだ状態で上ハーフが下
ハーフ上に組立てられた場合には磁気テープとリ
ミツタピンが干渉したりそれらの位置関係が互い
に逆になつたりして不良品を生ずる可能性があ
る。

また、リミツタピンを前述した如く上ハーフに
突設した場合も、弾性ロツク片の先端部に突設し
た場合も磁気テープの走行ストツプ等によるテー
プテンシヨン、特に巻終りにおいては磁気テープ
がリミツタピンに強く当接し、このテープテンシ
ヨンでリミツタピンを折損するおそれがある。

本考案はかかる点に鑑みてなされたもので、ス
ライダを所定位置でロツクする弾性ロツク片の変
形量を規制するリミツタ部材を外周方向から保護
することにより、リミツタ部材によつて組立作業
性が損われることがないようにし、またリミツタ
部材の折損等を防止するようにしたテープカセツ
トを提供するものである。

〔問題点を解決するための手段〕

前述した問題を解決するために本考案は、カセ
ツト匣体に前後方向に摺動自在に備えられ、ガイ
ド挿入部及びリール軸挿入孔を開閉するスライダ
に係合透孔が穿設され、カセツト匣体のスライダ
摺接面における係合透孔に対応した位置に少なく
ともスライダが閉じた状態で係合透孔に挿入係合
してロツクする係合爪を有する弾性ロツク片を切
込み状に形成し、かつ弾性ロツク片の内側に対応
したリミツタ部材を配し、このリミツタ部材によ
り弾性ロツク片の変形量を規制するようにして成
るテープカセツトであつて、弾性ロツク片の先端
周囲に位置してリミツタ部材を囲繞する壁部を設
けたものである。

〔作用〕

このように弾性ロツク片の先端部周囲に位置し
てリミツタ部材を囲繞する壁部を設けることによ
り、テープカセツトの組立時における磁気テープ
のテープパスはリールハブから壁部の外端面を通
つてテープガイドに至ることになるので磁気テー
プが弛んだ状態でも弾性ロツク片の先端部にはか
からず従つてリミツタ部材と干渉されず、また磁
気テープの走行ストツフ時或いは巻終り時におい
ても磁気テープはリミツタ部材には当接されず従
つてそのテープテンシヨンによりリミツタ部材が
折損される等のおそれはない。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図乃至第３図を参
照して説明するに、第４図乃至第８図において説
明した部分と対応する部材については同一符号を
付してその詳細な説明は省略する。

本例においては下ハーフ３の切込み状長溝１５
によつて形成する弾性ロツク片１６の先端部周囲
に壁部２０を形成する。即ち、図示のものにおい
ては下ハーフ３の前部側に形成される凹部３ａと
磁気テープ収納部との間の隔壁部３ｂの両側端部
に連続すると共に切込み状長溝１５の先端部の前
縁から外縁にかけて壁部２０を形成してある。

このように弾性ロツク片１６の先端部周囲に壁
部２０を形成することにより、上ハーフ２に突設
された弾性ロツク片１６のリミツタ部材としての
リミツタピン１８は壁部２０の内側を通して弾性
ロツク片１６の先端部に対応することになり、即
ちリミツタピン１８は前部から外側部にかけて壁
部２０により囲繞される。

また図示せざるもリミツタピンを弾性ロツク片
１６の先端に突設した場合も同様に壁部２０によ
り囲繞される。

このようにしてリミツタピン１８が壁部２０に
より囲繞されるように構成したことにより第３図
に示す如くテープカセツトの組立時において一方
のリールハブ４ａ又は４ｂと他方のリールハブ４
ｂ又は４ａとの間のテープパスはリールハブから
壁部２０の外側面を通して一方のテープガイド柱
７ａ又は７ｂを巻回して他方のテープガイド柱７
ｂ又は７ａに至ることになるので、（同図一点鎖
線ａ）、磁気テープ６がリミツタピン１８に当接
することはない。従つて磁気テープ６が両リール
ハブ４ａ，４ｂ間で弛みが生じている状態で下ハ
ーフ３に対して上ハーフ２を組付けてもこの上ハ
ーフ２に突設されているリミツタピン１８が磁気
テープ６に干渉したり、リミツタピン１８と磁気
テープ６との位置関係が逆になることなく、上ハ
ーフ２の組立作業性が著しく向上される。

また、リミツタピン１８は上ハーフ２に突設し
た場合でも、弾性ロツク片１６の先端に突設した
場合でも壁部２０により囲繞されることにより磁
気テープ６の走行ストツプ時、巻終り時において
磁気テープ６がリールハブの接線方向から行きす
ぎて停止し、即ちリールハブに対するテープの固
定部から導出される状態で停止され、テープテン
シヨンが作用しても磁気テープ６は壁部２０の外
側面に当接するだけで（同図二点鎖線ｂ）リミツ
タピン１８には当接されず、従つてリミツタピン
１８がテープテンシヨンにより折損される等のお
それはない。

また、磁気テープ６のスタート時、通常の走行
時、早送り時及び巻戻し時のストツプ寸前の状態
では磁気テープ６は壁部２０の外側面に摺接する
ことなく走行され（同図実線ｃ）磁気テープ６が
損傷したり、摩擦による異音を発することなく壁
部２０がないものと同様に円滑に走行される。

なお、本例における壁部２０の形状、大きさ等
は図示のものに限定されるものではなく、また他
の部材も本考案の要旨を逸脱することなくその他
種々の構成を採り得ることは勿論である。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によればスライダを所定の
位置で規制する弾性ロツク片の変形量を規制する
ためにカセツト匣体内に配されるリミツタ部材を
壁部により囲繞するように構成したので、テープ
カセツトの組立てにおいてリミツタ部材と磁気テ
ープとが干渉したり或いは両者の位置関係が逆に
なつたりすることがなく組立作業性が著しく向上
されて不良品の発生を防止し、また磁気テープの
走行ストツプ時、特に巻終り時において磁気テー
プは壁部によりリミツタ部材の当接が阻止されて
リミツタ部材をテープテンシヨンにより折損する
おそれがなく、特にリミツタ部材をピン状に形成
したものにおいてはその効果が大で、テープカセ
ツトは長期の使用に充分耐えることになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるテープカセツトの前面蓋
が開かれた状態の下面側斜視図、第２図は同、テ
ープカセツトの下ハーフの斜視図、第３図は要部
の平面図、第４図は従来のテープカセツトの斜視
図、第５図は同、テープカセツトの下面図、第６
図は同、テープカセツトの使用状態の斜視図、第
７図は第５図のＡ−Ａ線拡大断面図、第８図は第
７図に対応する他例の断面図である。 図中１はカセツト匣体、２は上ハーフ、３は下
ハーフ、３ａは凹部、３ｂは隔壁部、９はスライ
ダ、１３，１４は係合透孔、１６は弾性ロツク
片、１７は係合爪、１８はリミツタ部材としての
リミツタピン、２０は壁部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. カセツト匣体に前後方向に摺動自在に備えら
   れ、ガイド挿入部及びリール軸挿入孔を開閉する
   スライダに係合透孔が穿設され、上記カセツト匣
   体のスライダ摺接面における上記係合透孔に対応
   した位置に少なくとも上記スライダが閉じた状態
   で上記係合透孔に挿入係合してロツクする係合爪
   を有する弾性ロツク片を切込み状に形成し、かつ
   該弾性ロツク片の内側に対応してリミツタ部材を
   配し、該リミツタ部材により上記弾性ロツク片の
   変形量を規制するようにして成るテープカセツト
   であつて、上記弾性ロツク片の周囲に位置して上
   記リミツタ部材を囲繞する壁部を設けたことを特
   徴とするテープカセツト。